【ドラえもんSS】のび太「宇宙射撃大会?」ドラえもん「そうだよ。行こうよ!」

2018年12月29日
【ドラえもんSS】のび太「宇宙射撃大会?」ドラえもん「そうだよ。行こうよ!」

のび太「宇宙射撃大会?」ドラえもん「そうだよ。行こうよ!」

元ネタ:ドラえもん
1: 名無しさん@おーぷん 2014/08/08(金)11:48:37 ID:MNq0AeAKV
のび太「それ、どんなの?」

ドラえもん「宇宙中のガンマンが集まって、宇宙一を決める大会なんだよ」

のび太「へぇ~」

ドラえもん「苦労して観戦チケットをとったんだ。きっと面白いよ」

のび太「うん!行こうよ!」

7: 名無しさん@おーぷん 2014/08/08(金)11:58:42 ID:MNq0AeAKV
~会場~
のび太「ここが会場かぁ……なんかぼろっちい星だね」

ドラえもん「何もない星が舞台になるんだよ。この星には、岩しかないし。だからこうして、観戦者もテキオートーを使うんだよ」

のび太「しずかちゃんも連れてくれば良かったなぁ」

ドラえもん「バイオリンの習い事があるなら仕方ないよ。それに、大会は今日だけじゃないんだ」

のび太「そうなの?」

ドラえもん「うん。今日は、あくまでも予選会。グループリーグでポイントを稼ぎあうんだよ。それで、各リーグの上位2人が本選トーナメントに出場できるんだ」

のび太「グループリーグってどのくらいあるの?」

ドラえもん「本選トーナメントは16人だから、8グループだね。各グループが約500人くらいなんだよ」

のび太「そんなにいるの!?」

ドラえもん「宇宙一を決める大会だよ?当たり前じゃないか」

20: 名無しさん@おーぷん 2014/08/08(金)12:28:31 ID:MNq0AeAKV
>>9
ありがと
イメージしやすいから助かるわ

のび太「うわぁ!美味しそうな焼きそば!」

店主「いらっしゃい。いくつ食べる?」

ドラえもん「二つ下さい」

店主「お二つだね。だったら、射的チャンスだ!」

のび太「射的チャンス?」

ドラえもん「なんですか?それ?」

店主「簡単な話だよ。いまから射的をしてもらって、高得点だとタダ」

のび太「タダ!?やるやる!僕がやる!」

店主「じゃあ坊主がやるんだな」

ドラえもん「のび太くん!頑張って!」

のび太「任せてよ!」

16: 名無しさん@おーぷん 2014/08/08(金)12:21:05 ID:MNq0AeAKV
ドラえもん「開会までは時間があるから、出店回ってみようよ」

のび太「出店まであるんだ」

ドラえもん「お祭りだからね」

のび太「僕、焼きそば食べたい!」

ドラえもん「うん!じゃあ食べに行こう!」

24: 名無しさん@おーぷん 2014/08/08(金)12:34:28 ID:MNq0AeAKV
店主「準備出来たぞ~」

のび太「どうすればいいんですか?」

店主「今から、フライングボールを投げる。投げたらボールが好き勝手飛び回るから、そのレーザー銃で撃つ。弾は全部で10発。そのうち1発でも当てればタダだ」

ドラえもん「たった1発?」

店主「まあな。だが、すばしっこいぞ?何せ、このゲームは――」

のび太「おじさーん!早く早くー!」

店主「おおっと待たせてたな。じゃあ、始めるぞ。――開始!!」

26: 名無しさん@おーぷん 2014/08/08(金)12:55:28 ID:MNq0AeAKV
ピュン――ピュン――

ドラえもん「うわぁ速い……」

店主「だから言ったろ?すばしっこいって」

のび太「は、速すぎるよぉ……!」

ピュン――ピュン――

のび太「えい!」

バヒュン!――スカッ

店主「外れだな」

のび太「うぅぅ……えい!」

バヒュン!――スカッ

店主「また外れだな」

ドラえもん「さすがののび太くんでも、これはちょっと……」

店主「かかか!そりゃそうだ!」

27: 名無しさん@おーぷん 2014/08/08(金)12:57:36 ID:MNq0AeAKV

のび太(速い……だけど、だんだんなれてきたぞ……)

のび太(考えちゃだめだ。目に全てを頼っちゃだめだ。感じるんだ……!

のび太(――ドントシンク!フィール!!)

ピュン――ピュン――

のび太「……」

ピュン――ピュン――

のび太「……」

店主(……すげえ集中力だ……こいつ、もしかしたら……!)

のび太「……」

ピュン――ピュン――

ピュン――ピュン――

のび太「………………ここだッ!!」

ズダダダダダダダ……!!

バシバシバシバシバシ……!!

……ポトリッ

店主「……は、8発命中……だと……?ワナワナワナ」

31: 名無しさん@おーぷん 2014/08/08(金)12:59:33 ID:MNq0AeAKV

のび太「やったああ!」

ドラえもん「のび太くん!すごい!!」

ワーワー!!
パチパチパチパチ……!!

ドラえもん「いつの間にかこんなに観客が……」

のび太「なんだか恥ずかしいなぁ……」

店主「……坊主」

のび太「あ!おじさん!」

店主「まいった。お前の勝ちだ」

のび太「えへへへ」

店主「……なあ坊主、ちょっと、時間あるか?

のび太「へ?」

店主「ちょっとついてきてほしい」

のび太「ドラえもん、どうする?

ドラえもん「う~ん……とりあえず、ついていってみようよ」

のび太「うん……」

スタスタ……

34: 名無しさん@おーぷん 2014/08/08(金)13:03:32 ID:MNq0AeAKV
ドラえもん「なんか、大きな建物だね 」

のび太「おじさん、ここは?」

店主「いいから。ついてこい」

のび太「う、うん……」

スタスタ……

ウィーン

女「……会長。お帰りなさいませ」

店主「おう」

のび太「会長?」

ドラえもん「なんだろ、会長って……」

店主「……よく来たな、坊主」

のび太「あ、あの……おじさんは……」

店主「自己紹介が遅れたな。――俺は、宇宙射撃大会運営委員長をしている者だ。よろしくな

39: 名無しさん@おーぷん 2014/08/08(金)13:09:44 ID:MNq0AeAKV
ドラえもん「う、宇宙射撃大会……!」

のび太「運営委員長!?」

会長「まあな。黙ってて悪かったな」

ドラえもん「会長なのに、焼きそば屋さん!?」

会長「あれは俺の趣味だ。毎回ああやって、露店を出してるんだよ」

のび太「へ~……」

会長「……それより坊主、さっきのゲームなんだがな」

ドラえもん「フライングボール?」

会長「そうだ。実はな、あれは、宇宙射撃大会の公式一般テストで使われるゲームなんだよ」

のび太「あれが!?」

会長「そうだ。テストでは、10発中5発当てれば予選会に出られる。――そんで、だ。坊主が出した8発という記録……これは、歴代2位の記録なんだよ」

のび太「ぼ、僕が……歴代2位!?」

46: 名無しさん@おーぷん 2014/08/08(金)13:17:42 ID:MNq0AeAKV
ドラえもん「それで……なんでのび太くんをここに?」

会長「なぁに。簡単な話だ。――坊主、大会に出てみないか?」

のび太くん「!?」

ドラえもん「!?」

会長「坊主が出れば、間違いないなく歴代最年少出場記録だ。大会も盛り上がるだろう。どうだ?出てみないか?」

ドラえもん「で、でも……危険なんじゃないんですか?」

会長「その点は大丈夫だ。大会で使用するのは、レーザー銃でな。当たっても多少痺れるくらいだ。もともと、単純に射撃の腕を競う大会だからな。ケガをすることはほとんどないよ」

のび太「……」

会長「それに、優勝すればそれなりの報酬も出る。おまけに、優勝者はレリーフに名前が刻まれ、永久に語り継がれるんだ」

のび太「……」

会長「どうする?坊主?」

のび太「……僕、出てみようかな……」

ドラえもん「のび太くん!?」

65: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)14:26:55 ID:MNq0AeAKV


ドラえもん「止めときなよのび太くん。相手は宇宙中の腕利きのガンマンだよ?いくら射撃が得意でも、勝てるはずなんて……」

会長「いや、そうでもないぞ?さっきも言った通り、坊主の射撃の腕は確かだ。まあ確かに、大会の雰囲気に飲まれる可能性はあるが、いい線は行くと思うぞ?」

ドラえもん「で、でも……」

のび太「大丈夫だよドラえもん。会長さんが言ってたじゃない。ケガはしないって。ちょっと記念に出るだけだよ」

ドラえもん「う~ん……のび太くんがそこまで言うなら……」

会長「よし決まりだ!開始は1時間後だ!楽しみにしてるぞ、坊主!」

のび太「はい!」

68: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)14:31:16 ID:MNq0AeAKV
~ドラえもん達が去った後~

女「……よろしいのですか?」

会長「……なにがだ?」

女「あの少年です」

会長「ああ……楽しみじゃないか。最年少出場記録の少年が、どこまでやれるかが」

女「お戯れを……本当に、それだけですか?」

会長「……まあ、確かに多少期待してるがな。あの少年なら、もしかしたら……」

女「……“X”、ですか?」

会長「そこまでは言わんよ。……今は、な……」

女「……」

79: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)17:23:04 ID:MNq0AeAKV
~会場~
ドラえもん「いよいよだね、のび太くん」

のび太「う、うん……緊張してきた……」

ドラえもん「のび太くん、くれぐれも、ケガしないように気をつけてね?」

のび太「分かってるよ。んもぅ、ドラえもんは心配性だなぁ」

ドラえもん「まあ、ダメでもともとだし、気軽に楽しんできなよ」

のび太「うん。そうするよ」

『本大会予選に出場の選手は、ゲートまでお集まりください。繰り返します。本大会予選に出場の選手は……』

ドラえもん「あ、時間だ。のび太くん!頑張ってね!」

のび太「任せてよ!」

80: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)17:34:53 ID:MNq0AeAKV
~予選会場~
のび太「うわぁ……怖そうな人がたくさん……」

男「おい小僧!」

のび太「は、はい!?」

男「なんだお前?迷ったのか?邪魔になるからさっさと観戦席に戻れ」

のび太「い、いや……あの……僕も、参加するんですけど……」

男「……何?お前が?嘘をつくな。テストの時いなかっただろ」

のび太「さ、さっき会長さんから出るように言われたので……その、フライングボールで点数が良くて……」

男「会場から?……おい、何点だったんだ?」

のび太「8点……です……」

男「な、なんだと!?嘘を言うな!」

のび太「ほ、ほんとです!」

男「……会長のやつ、さては話題作りに……」

のび太「あ、あの……」

男「……まあいい。いずれにしても、すぐに終わるだろ。予選はこの俺、ダンゲル様がトップで決まりだからな。せいぜい頑張れ」スタスタ……

のび太「……こ、怖い……」


82: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)17:42:07 ID:MNq0AeAKV
『さて皆様!間もなく、本大会予選のスタートです!』

ワーワー…!!

『ここで、予選のルールを説明します!』

『出場者には、それぞれ持ち点が10点あります。この点数を、奪い合って勝敗を決めます。』

『誰かを撃ち、致命打を与えれば1点を奪うことが出来ます。逆に撃たれれば、自分の点数が奪われてしまいます。』

『そうやって点数を奪い合い、持ち点が0になった者は失格。制限時間2時間を生き抜いた選手はの、上位2名が本選トーナメントに出場することができる、サバイバル形式で行われます!』

ワーワー…!!

ドラえもん「けっこう厳しいんだなぁ……のび太くん、大丈夫かなぁ」

『さて、間もなく第一グループの試合です!皆様!存分にご鑑賞下さい!』

ワーワー…!!

85: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)17:49:36 ID:MNq0AeAKV
~控え室~
「ほら、あいつ見てみろよ。ただのガキだぜ?」ヒソヒソ…

「そうだな。あんな奴が出場なんて、この大会も質が落ちたものだ……」ヒソヒソ…

「まあいいじゃねえか。さっそく狙えるカモがいるんだしな。ヘヘヘ……」ヒソヒソ……

のび太「……なんか、むちゃくちゃ見られてる……嫌だなぁ」

係員「第3グループの選手の方々!準備をお願いします!」

のび太(ぼ、僕のグループだ……!!)

スクッ

――ドンッ!!

のび太「あいたっ!!」

男「おっと悪いな。そんなに貧弱とは思わなくてな……ヘヘヘ……」

のび太(わざとぶつかったな……!)

男「おら、さっさと母ちゃんのとこに帰りな!ハハハ……!!」

のび太「……」

のび太(……見てろよぉ。ぎゃふんと言わせてやる……!)

87: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)17:53:56 ID:MNq0AeAKV
『――続きまして、第3グループの試合を行います!』

ドラえもん「――!のび太くんのグループだ!」

『選手、入場!』

スタスタ……

ザワザワ……

「お、おい、あの選手、子供じゃねえか?」

「そうよ!まだ子供よ!」

「どういうことだ?あんな子供が、テストをパスしたのか?」

ザワザワ……

ドラえもん「のび太くん、やっぱり注目されてるなぁ」


のび太「……」ドキドキ

のび太(心臓が飛び出しそうだ……!)

『選手の皆様、準備はよろしいのですか?』

ザワザワ……

ザワザワ……

『……では……始め!』

91: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)17:59:13 ID:MNq0AeAKV
のび太「は、始まった!!」

バシッ!!

のび太「あいてっ!」

『おおっとぉ!早くも一人撃たれた選手がいます!』

のび太(う、撃たれた!?もう!?)

バシッ!!

のび太「うわぁ!」

バシッ!!

のび太「うわぁ!」

『集中砲火です!狙われているのは、なんと!歴代最年少出場の少年です!』

『しかしこれが大会!フィールドに立ったからには、子供も大人も関係ないんです!』

ワーワー!!

のび太「――うわぁ!!」

のび太「はあ……はあ……」

のび太(も、もう、7発も撃たれちゃった……もう無理だよ……ドラえもん……)

95: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)18:04:29 ID:MNq0AeAKV
ドラえもん「――のび太く~ん!!」

のび太「……?ドラえもんの声?」

ドラえもん「のび太く~ん!頑張って~!まだ終わってないよ~!」

のび太「ど、ドラえもん……」

「うるせえぞ青タヌキ!もう終わりだよ!」

ドラえもん「ま、まだ終わってないよ!それに!僕は猫型ロボットなの!」

「タヌキが何か言ってやがる!!ハハハ……!!」

ドラえもん「た、タヌキじゃない!!」

のび太「……」

のび太(……ドラえもんが、あれだけ応援してくれてる……ドラえもんが、バカにされても応援してくれてる……!!)

のび太(ドラえもんを……バカにするな……!!)

112: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)18:20:32 ID:MNq0AeAKV
のび太「……」ユラリ…

『おおっと!立ち上がりました!しかし、フィールドで
棒立ちするのは自殺行為です!』

のび太「……」

男「そうだよ!大人しくさっさと終わるんだな!!もらっ――」

――バシュッ!!

男「ぐわぁ!!」

のび太「……」

男「く、くそっ!」

バシュッ!
バシュッ!!
バシュッ!!!

男「うわあああ!!」

『おおっと!ここで最初の脱落者が!撃ったのは……しょ、少年です!!』

113: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)18:20:55 ID:MNq0AeAKV
のび太「……」
タタタッ…!!

『少年!尚も駆け出します!!』

のび太「うわああああああ!!!」

ダダダダダダダ……!!

「ぐわぁ!」
「ひぃぃぃ!」

『す、凄い!凄まじい猛攻です!!走りながら、次々と選手を撃ち続けています!』

『め、命中率は……パ、パーフェクトです!!』

ワアアアアアア!!

のび太「うわああああああ!!!」

ダダダダダダダ……!!

『少年止まりません!猛攻が続きます!』

ワアアアアアア!!

124: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)19:28:39 ID:MNq0AeAKV
女「……会長」

会長「ああ。想像以上だな。あの少年、無意識だろうが、予選の必勝法を使っている」

女「必勝法……」

会長「予選は、知っての通り点数を奪い合うサバイバル戦だ。さらに言えば、敵を撃ち続ける限り、失格になることはない。」

会長「いくら撃たれ」としても、それ以上に敵を撃てばいいからな


女「なるほど……つまりは、攻撃こそが最大の防御になると」

会長「その通り。そこで求められるのは、激しい銃撃戦の中でも、確実に自分の弾を相手に当てる技術と精神力だ。」

会長「その点、あの少年はあれだけの混戦の中、完璧にヒットさせている」

女「……」

会長「勝負は、決まったも当然だ……」

126: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)19:36:31 ID:MNq0AeAKV
『――制限時間です!!それまで!』

のび太「お、終わった……」

『第3グループの結果をお知らせします!』

『――第2位!147pt!ダンゲル選手!!』

ワアアアアアア!!

『そして第1位!ポイントは……ええ!?』

ザワザワ……
ザワザワ……

『……し、失礼しました!!第1位!ご、533pt!――のび太選手!!』

ザワザワ……
ザワザワ……

『この数字合ってるの!?……え!?間違いない!?』

ザワザワ……
ザワザワ……

『ポ、ポイントに間違いはないようです!!歴代!最高得点です!!』

ワアアアアアア……!!

132: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)19:45:16 ID:MNq0AeAKV
ドラえもん「のび太く~ん!」

のび太「あ!ドラえもん!」

ドラえもん「のび太くん凄いよ!歴代最高得点だよ!」

のび太「う、うん……嘘みたい……」

ドラえもん「嘘なもんか!やっぱり君は射撃の天才だよ!」

のび太「い、いやぁ……////」

ドラえもん「これで本選トーナメント進出だね!」

のび太「うん!ドラえもん、僕、頑張るよ!」

ドラえもん「のび太くんなら、きっと優勝できるよ!」

のび太「ありがとう!なんか、自信出てきた!がんばるぞ~!」

ドラえもん「本選トーナメントは明日だって。今日は、帰って寝よ」

のび太「あ、でも、明日学校が……」

ドラえもん「学校なら大丈夫だよ。大会が終わったら、タイムマシンで戻ればいいんだし」

のび太「その手があったか。よ~し!明日、絶対優勝するぞ!」

ドラえもん「その意気だのび太くん!」

133: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)19:53:48 ID:MNq0AeAKV
~翌日~
しずか「のび太さん!」

のび太「し、しずかちゃん!?」

ドラえもん「僕が呼んだんだよ。せっかくの君の勇姿、みんなにも見せないとね」

しずか「のび太さん!宇宙射撃大会に出てるんですって!?応援するわ!」

のび太「ありがとう!しずかちゃん!」

ジャイアン「しずかちゃんだけじゃないぜ!俺達も一緒に応援するぜ!」

スネ夫「のび太は射撃の腕だけは確かだからな。仕方ないから応援してやるよ!」

のび太「みんな……ウルウル」

ドラえもん「のび太くん。泣くのは、優勝してからだよ。そのときに、思い切り泣きよ」

のび太「ドラえもん……うん!僕、絶対優勝する!」

136: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)20:03:46 ID:MNq0AeAKV
~会場~
『さあて!いよいよ本選トーナメントです!』

ワーワー!!

『第1回戦は、速打ち対決です!』

『ルールは至ってシンプル!合図と共に銃を撃ち、先に相手を仕留めた選手の勝利です!』

『なお、公正を期すため、合図前に銃に触れると電流が流れるようになっています!必ず、合図と共に始めて下さい!』

ワーワー!!

ジャイアン「すげぇ……本当に宇宙大会なんだな……」

スネ夫「のび太、大丈夫なのか?」

しずか「のび太さん、本当に凄いわ!」

ドラえもん「みんなでのび太くんを応援しようね!」

ジャイアン「ああ!」
スネ夫「うん!」
しずか「ええ!」

139: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)20:08:57 ID:MNq0AeAKV
~控え室~
ダンゲル「……小僧」

のび太「あ、あなたは……!」

ダンゲル「そう警戒するな。お前の予選での活躍、目の前で見たんだ。今さらお前をバカにしたりしねえよ」

のび太「……」

ダンゲル「俺だけじゃない。出場した選手、観客、全てが、もうお前に一目置いてるんだ。……全く、大したガキだ」

のび太「あ、ありがとうございます」

ダンゲル「だが、優勝はこの俺がいただくからな。そこんとこは、間違えるなよ」

のび太「……僕だって、負けません!」

ダンゲル「へっ……言うじゃねえか……。俺達が当たるのは、決勝戦だ。負けんじゃねえぞ」

のび太「はい!」

ダンゲル「話はそんだけだ。じゃあな……」

スタスタ…

141: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)20:15:50 ID:MNq0AeAKV
『それでは!第1回戦を開始します!』

ワーワー!!

『第1回戦から、注目選手が登場します!』

『予選において、歴代最高得点を叩き出した怪童!――のび太選手です!!』

ワアアアアアア!!

スネ夫「凄い歓声……」

ドラえもん「のび太くんは、予選で歴代最高の成績を残したからね。今じゃ、優勝候補だよ」

ジャイアン「すげえぜのび太!さすが、俺の心の友!」

しずか「のび太さん!本当に凄いわ!」

『選手!!入場!!』

のび太「ど、どうも」

ワアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

『割れんばかりの声援が会場を包んでいます!!』

『それではいってみましょう!選手は用意してください!』

142: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)20:21:13 ID:MNq0AeAKV
『ブザーが鳴ったらスタートとなります!』

男「こ、子供なんかに、負けてたまるか!」

のび太「……」

ピッ……ピッ……

のび太(大丈夫……落ち着くんだ……)

ピッ……ピッ……

のび太(相手は動きが硬い……落ち着けば、負けない

ピッ……ピッ……

のび太「……」

ピッ……ピッ……

――ブーッ!!!

のび太「――!」

男「――!」

――ターン……!!!

……シーン……

のび太「……」

男「……」

のび太「……」

男「……う…ぐぅっ……」バタン!!

『勝負あり!!勝者!!のび太選手!!』

ワアアアアアアアアアアアアアアアア!!

のび太「や、やったぁ……!」

143: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)20:26:58 ID:MNq0AeAKV
ドラえもん「のび太くん凄い!」

ジャイアン「うおおおおお!!やったぜのび太!」

スネ夫「のび太のくせに!のび太のくせに!!」

しずか「のび太さん素敵!!」

ワアアアアアア!!

のび太「やあやあやあ……どうもどうも」

ジャイアン「ドラえもん、のび太の次の試合はいつなんだ?」

ドラえもん「ええと、パンフレットによると、1時間後くらいかな」

ジャイアン「分かった。――スネ夫!時間まで探検しようぜ!」

スネ夫「うん!」

ドラえもん「時間に遅れないようにね~!」

ジャイアン「分かってるって!」

スタスタ……

145: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)20:31:36 ID:MNq0AeAKV
~会場裏~
ジャイアン「この辺は人がいないな……」

スネ夫「ね、ねえジャイアン。ここ、来たらまずいんじゃないの?」

ジャイアン「なぁに言ってんだ。探検なんだから、人が来ない場所がいいに決まってるだろ」

スネ夫「で、でも……」

ジャイアン「む!?あれは……」

スネ夫「ど、どうしたのジャイアン」

ジャイアン「シーッ!……おい、あれを見てみろよ」

スネ夫「あれって……あの仮面つけてる人?」

ジャイアン「そうそう。怪しいだろ?」

スネ夫「宇宙は広いんだから、仮面をつけた人くらいいるでしょ?」

ジャイアン「む!辺りを警戒しながら、あの階段を降りていった……!怪しい……」

ジャイアン「おいスネ夫!あとをつけるぞ!」

スネ夫「ええ!?――あ!ジャイアン待ってよ!

148: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)20:34:58 ID:MNq0AeAKV
ジャイアン「な、なんだよここ……」

スネ夫「じゃ、ジャイアン……やっぱりまずいよ!戻ろう!?」

ジャイアン「そ、そうだな……何もないみたいだし……」

ジャイアン「――ッ!?」

スネ夫「じゃ、ジャイアン?」

ジャイアン「……」

スネ夫「ど、どうしたの?後ろを見て固まって……」

スネ夫「――ッ!!」

???「――何を、してるのかな?」

ジャイアン「ぎゃあああああああ!!!」

スネ夫「ま、ママあああああああ!!!」

152: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)20:50:57 ID:MNq0AeAKV
~会場~
ドラえもん「ジャイアン達遅いね……」

しずか「迷子になってるのかしら」

ドラえもん「しょうがないなぁ……僕、ちょっと探してくる」

しずか「え、ええ……」

タタタタ……

しずか「……大丈夫かしら……」


154: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)20:56:54 ID:MNq0AeAKV
ドラえもん「もう……二人ともどこに言ったんだろ……」

ドラえもん「そうだ!こんな時は……」

テッテレー!!

ドラえもん「探し人サーチぃ!」

ドラえもん「この道具は、名前を入力するだけで、その人がどこにいるのか分かるようになりまーす」

ドラえもん「……って、誰に説明してんだろ……まあいいや」

カタカタ…

ドラえもん「ええと……ジャイアンとスネ夫……は……」

カタカタ……
ピコーン!!

ドラえもん「出た。ええと、あっちか……」

スタタタ…

161: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)22:44:10 ID:SyRZbYjLr
~某所~
ジャイアン「――開けろ!ここから出せよ!こんなとこに閉じ込めやがって!!」

ガンガン!!
ガンガン!!

スネ夫「無駄だよジャイアン。格子なんだよ?蹴っても出られないよ……」

ジャイアン「うるせえスネ夫!お前もなんか考えろよ!」

スネ夫「だいたいジャイアンが悪いんだよ!?僕はこんなとこなんか来たくなかったのに……」

ジャイアン「なんだと!?」

ガシッ!!

スネ夫「ああ!暴力反対!!」

ウィーン

ドラえもん「通り抜けフープぅ!」

ジャイアン「ど、ドラえもん!?」

スネ夫「ドラえもん!?」

ドラえもん「もう~やっと見つけた。ダメじゃないかこんなとこに……あれ?鉄格子の中?」

ジャイアン・スネ夫「ドラえも~ん!」

ガシガシッ!!

ドラえもん「うわわ!どうしたの二人とも……」

162: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)22:52:11 ID:SyRZbYjLr
ドラえもん「――ええ!?仮面の男に捕まった!?」

ジャイアン「そうなんだ!怪しい動きをしてて、後をつけたらさ!」

ドラえもん「仮面の男……」

ジャイアン「ドラえもん!この大会、普通じゃないぜ!」

ドラえもん「う~ん……」

スネ夫「ね、ねえ……話なら外でしようよ……また仮面の男が帰ってくるかもしれないし……」

ドラえもん「そうだね!とにかく、ここを出よう!……その前に……」

テッテレー!!

ドラえもん「石ころ帽子ぃ!」

ドラえもん「とりあえず、これを被ってよ!もし途中で会ったらいけないし!」

165: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)23:09:17 ID:SyRZbYjLr
~会場~

――ターンターンターン!!!

ザザッザザッ

男「く、くそっ!」

ザザッザザッ……

――ターン!!!

男「うわぁぁぁ!!」

『勝負あり!!勝者!!のび太選手!!』

ワアアアアアア!!

のび太「やあやあやあ。どうもどうもどうも」

しずか「のび太さん凄~い!……でも、ドラちゃん達どうしたのかしら……」

ドラえもん「しずかちゃん!」

しずか「あ!ドラちゃん!それに、剛さん達も!」

ジャイアン「しずかちゃん!この会場、変なんだよ!」

しずか「え?どういうこと?」

170: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)23:25:58 ID:SyRZbYjLr
しずか「じゃあ、その仮面の男が剛さん達を?」

ジャイアン「そうなんだ」

ドラえもん「……でも、どうしてジャイアン達が捕まったんだろ……」

スネ夫「……たぶん、あそこを見たからだと思う……」

ドラえもん「あそこ?」

ジャイアン「あ、ああ。この会場の地下に、妙なものがあったんだ……」

スネ夫「なんというか、妙なボタンばっかりある部屋だったんだけど……」

ドラえもん「部屋……うん、調べてみよう!ジャイアン達はここにいて!」

ジャイアン「俺とスネ夫も行くぜ!」

スネ夫「ぼ、僕も?」

ドラえもん「ジャイアン達はここにいて!みんながいなくなったら、のび太くんが心配するだろうから!」

ジャイアン「で、でもよぉ……!」

ドラえもん「いいから!――じゃあ、僕は行くね!」

スタスタ…

171: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/08(金)23:32:51 ID:SyRZbYjLr
~某所~

ドラえもん「ここが、ジャイアン達が言ってた場所……」

ドラえもん「これは……機械の部屋?なんの部屋だろ……」

???「――新たな、世界を開く部屋ですよ……」

ドラえもん「――ッ!?お、お前は――!?」

???「初めまして、22世紀のロボットさん……」

ドラえもん「ぼ、僕のことを知ってる!?お前は、まさか……!!」

???「――お喋りが、過ぎたようですね……」

――バシュン!!!

ドラえもん「うわぁあああああああ!!!」

174: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)00:21:58 ID:HZcdppafi
~会場~

――バシュン!!!

『――決まったあああああああ!!!のび太選手!!決勝進出!!』

のび太「やったああああ!!!」

ワアアアアアア!!

『凄い!凄すぎる!この言葉に尽きます!!史上最年少の出場はもちろん、決勝進出は、まさに大会史上最大の罷業!!』

『この少年は、どこまで進むんだああああ!?』

ジャイアン「……」

スネ夫「……」

しずか「……ドラちゃん、遅いわね……」

ジャイアン「……」

スネ夫「……もしかして、ドラえもんは……」

しずか「……」

スネ夫「……」

ジャイアン「……」スクッ

スネ夫「ジャ、ジャイアン?どうしたの?」

ジャイアン「ドラえもんを……探しに行く」

スネ夫「で、でも……」

ジャイアン「こんなに帰りが遅いんだ!なにかあったに決まってる!ほっとけるかよ!」

スネ夫「で、でも……!」

しずか「……そうね。私も行くわ。のび太さんには悪いけど、ドラちゃんが心配ですもの」

スネ夫「し、しずかちゃんまで……ああもう!分かったよ!僕も行けばいいんでしょ!」


のび太「ん?あれは、みんな?……立って応援してくれてるんだ!」

のび太「でも、ドラえもんがいない……まあどうせトイレだろ。もう!肝心な時にいないんだから……あとで、文句言ってやろ」

178: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)00:32:42 ID:HZcdppafi
~某所~

ジャイアン「ドラえも~ん!!」

スネ夫「じゃ、ジャイアン!声が大きい!」

ジャイアン「大声出さないと、聞こえないかもしれないだろ!?――ドラえも~ん!!」

しずか「……ここ、いったいなんの部屋なのかしら……」

スネ夫「さあ……何かの、実験施設のようにも見えるけど……」

ジャイアン「ドラえも――」

???「――騒々しいですねぇ……」

ジャイアン・スネ夫・しずか「――ッ!?」

???「もう少し、静かに出来ないんですか?」

ジャイアン「お、お前は――!?」

スネ夫「仮面の……男!?」

仮面の男「君たちは、捕らえたはずですがね……まあ、あのタヌキの仕業でしょうが……」

しずか「タヌキ……ドラちゃんのこと!?」

ジャイアン「おいお前!!ドラえもんをどうしたんだよ!」

仮面の男「ここにいますよ……」

ドンッ

ドラえもん「うわああ!」

ゴロゴロ

ジャイアン「ど、ドラえもん!!」

ドラえもん「ゴメンみんな……捕まっちゃった……」

しずか「でも、無事でよかったわ!」

ドラえもん「あ!みんな気をつけて!この仮面の男……未来人だ!!」

ジャイアン「な、なんだって!?」

仮面の男「……」

183: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)00:42:10 ID:HZcdppafi
スネ夫「未来人が、どうしてこんなとこに!?」

未来人「……まあ、バレたのなら仕方ありませんね……そうですよ。私は、22世紀から来ました」

ジャイアン「未来人が、なんでこんなところに!?」

???「――X計画のためよ……」

ドラえもん達「――ッ!?」

未来人「お前は……」

???「まさか、あなた達がこんなところに来ていたなんてね……」

ドラえもん「あ、あなたは……会長と一緒にいた……!!

女「……久しぶりね。青いロボットさん

185: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)00:57:27 ID:HZcdppafi
~会場~

『さあ皆さんお待ちかね!いよいよ!決勝戦です!!』

ワアアアアアア!!

『さっそく、選手のご紹介です!』

『――まず一人目は、史上最年少の優勝候補!見かけの幼さなんのその!抜群の射撃能力で勝ち上がってきた小さな巨人!!』

『――のび太選手!!』

ワアアアアアア!!

『そして二人目!!奇しくも、そののび太選手と同じ予選グループにいた実力者!!圧倒的な実力で並みいる強豪を撃破してきた達人!!』

『――ダンゲル選手!!』

ワアアアアアア!!

『ともにここまで敵なしで勝ち上がってきた猛者達!決勝戦は、稀に見る激戦になること間違いなし!!私も、興奮を抑えきれません!!』

ワアアアアアア!!

『では!!――選手!入~場~!!!』

ワアアアアアア!!

186: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)01:03:41 ID:HZcdppafi
~某所~
とドラえもん「どうしてあなたが、こんなところに!?」

女「簡単な話よ。私は、その男を追っていたんですもの。――正確には、その男が企む、X計画を、ね……」

しずか「その、X計画って……何ですか?」

女「私が説明するのは簡単だけど……ここは、本人から直接聞こうじゃない。」

女「――ねえ?“ダンゲル”さん?」

ドラえもん「だ、ダンゲルさんって……!!」

未来人「……バレてた、か……」

――カランッ

ダンゲル「……ふう。仮面ってのは、息苦しくてダメだな」

ドラえもん「あなたは……のび太くんと同じ予選グループにいた……!!」

ダンゲル「ああそうだ。一応、初めましてって言っとくべきかな?」

188: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)01:25:31 ID:HZcdppafi
女「……じゃあ、説明してもらいましょうか」

ダンゲル「ふん。まあいい……」

ダンゲル「X計画ってのは通称でしかない。正式には、“エクストリーム・ソルジャー・プロジェクト”って言うんだ。平たく言えば、究極の兵士を作る計画ってことだ」

ドラえもん「きゅ、究極の……兵士!?」

ダンゲル「この部屋にある装置は、データを採取するための装置だ。上で戦う奴等のデータを採取し、インプットさせる。そして機械は、そのデータを集計して、兵士を作り出すってわけだ」

しずか「じゃ、じゃあ!この大会は!?

ダンゲル「ああ。利用させてもらった。ここにこの装置をつければ、ハイレベルなデータが採取出来るからな。それで出来た兵士は、高く売れるだろう」

スネ夫「兵器を売るなんて!」

ダンゲル「何が悪い?兵器は、立派な商売だ。需要があるから供給する……ただ、それだけのものだ」

しずか「く、狂ってるわ……」

ダンゲル「さあ、どうだろうな。案外、俺の方が正常なだけかもしれないぞ?」

192: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)01:33:33 ID:HZcdppafi
ダンゲル「中でもあの小僧のデータは最高だ。これまでとは比べ物にならないくらいのデータが取れた」

ジャイアン「の、のび太のことか!?」

ドラえもん「のび太くんを……兵器の材料にするなんて……!!」

ダンゲル「綺麗事じゃ飯は食えないんでな。――さて、そろそろ新しいタイプの兵士が出来上がるはずだ。俺も忙しいんでな。もういいだろ……」

チャッ…

スネ夫「じゅ、銃!?」

ダンゲル「動くなよ女。全員撃ち殺すぞ?」

女「くっ……!?」

ダンゲル「……とりあえず、タヌキロボットは面倒だ。破壊させてもらう……」

194: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)01:42:38 ID:HZcdppafi
ジャイアン「や、やらせるかよ!」

バッ!

ドラえもん「じゃ、ジャイアン!?」

ジャイアン「ドラえもんを撃つなら、俺を撃て!!」

ダンゲル「……」

バッ!

しずか「わ、私も!ドラちゃんを守るわ!」

ドラえもん「しずかちゃん!」

バッ!

スネ夫「こ、怖いけど……でも、僕だって……!!」

ドラえもん「スネ夫まで……」

195: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)01:43:16 ID:HZcdppafi

ダンゲル「……泣けるな……だが、子供だからって撃たないとでも思ったか?

チャッ

ドラえもん「――!!」

ガッ――バッ!!!

ドラえもん「撃つのは、僕だけにしろ!!」

ジャイアン「ドラえもん!!」
しずか「ドラちゃん!!」
スネ夫「ドラえもん!!」

ダンゲル「そうだ……それでいい……動くなよ」

ググッ……

ドラえもん「……みんな。のび太くんを、お願いね。のび太くん……ドジだから……迷惑かけるかもしれないけど……!」

ジャイアン・しずか・スネ夫「――!!」

ダンゲル「……終わりだ」



――ターーンッ!!!




ダンゲル「――う、うぐっ!?」

???「僕の友達に――手を出すな!!」

ダンゲル「き、貴様は……!!」

のび太「ドラえもん達は、大切な友達だ!!」

ドラえもん「の、のび太くん!!」
ジャイアン「のび太!!」
しずか「のび太さん!!」
スネ夫「の、のび太あああ!!」

203: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)02:01:07 ID:HZcdppafi
~会場~

ガヤガヤ……

『……えええ……皆様、大変申し訳ありません。決勝の時間なのですが……選手2名とも、ゲートに現れておらず、開始することができません……』

「ふざけんなあ!!」

「さっさと呼んでこい!!」

ブーブー!!!

『み、皆様!現在係員が総力を上げ、行方を探しています!!今しばらくご静粛に……!!』

ブーブー!!!

会長「……」

会長(……動いたか、坊主……)

会長(全ては、お前にかかってるんだ……頼むぞ、坊主……)

208: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)02:19:13 ID:HZcdppafi
~某所~

のび太「みんな!大丈夫!?」

ドラえもん「う、うん!大丈夫だけど……どうしてここに!?決勝戦は!?」

のび太「だって!ドラえもんがいなかったじゃない!応援してくれるって言ってたドラえもんが、いなかったじゃない!」

のび太「そんなの、おかしいだろ!?ドラえもんが、僕の試合をみないわけないだろ!?応援しないわけないだろ!?」

のび太「だから、何かあったって思ったんだよ!」

ジャイアン「の、のび太、その銃は!?」

のび太「入り口のとこに、置いてあったんだよ!」

スネ夫「スゲー!まるでご都合主義!」

のび太「みんな下がってて!ここは、僕がやる!」

209: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)02:25:45 ID:HZcdppafi
ダンゲル「……小僧、まさか、ここに来るとはな……」ユラリ

のび太「う、動かないで!」

ダンゲル「小僧、お前が持ってるものがわかるか?……それは、本物の銃だ」

のび太「――ッ!!」

ダンゲル「撃ったお前が一番驚いただろ?それは、本物なんだよ」

のび太「……!」

ダンゲル「それは、命を奪うことにもなる武器だ。お前に、それがもう一度使えるのか?」

のび太「……こ、怖いさ!怖いけど、僕がやらないと、ドラえもんを壊すんだろ!?」

ダンゲル「……まあな」

のび太「命を奪わなくても、勝つことは出来るよ!!」

ダンゲル「……」

のび太「……」

ダンゲル「……そう、か……だったら、話は早いな……」

……チャッ

のび太「――ッ!」

ダンゲル「上で出来なかった決勝……今から、やろうじゃねえか!!」

211: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)02:32:25 ID:HZcdppafi
ダダダッ!!!
ダダダッ!!!

――ターーン!!!

のび太「うぅ……!」

ダンゲル「どうした小僧!逃げてばかりじゃ勝てないぞ!?」

ターーンターーン!!!
チッチッ!!!

のび太「うぅ……うぅ……!」

ジャイアン「ど、ドラえもん!!なんとかならないのかよ!」

しずか「このままじゃ!のび太さんが!

スネ夫「道具出してよ!早く!!」

ドラえもん「う、うん!ちょっと待って……あああ!!」

ジャイアン「どうした!?」

ドラえもん「ない!僕のポケットがない!!」

スネ夫「な、なんだって!?」

ダンゲル「残念だったな青ダヌキ!!お前のポケットなら、とっくに外してあるんだよ!!」

しずか「じゃ、じゃあ!!」

ダンゲル「ここを抜ける方法はただ一つだ!――小僧が、俺に勝つことだけだ!!」

ターーンターーン!!!

212: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)02:35:05 ID:HZcdppafi
ターーンターーン!!!

のび太「……!!」

のび太(こ、怖い……怖いよ……!!)

のび太(かすったところから血が出てる!もし、体を撃たれたら……!!)

ターーンターーン!!!

のび太「……!!」

のび太(……でも、僕がやるしかないんだ!みんなを守れるのは、僕だけなんだ!!)

216: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)02:39:28 ID:HZcdppafi
ダンゲル「どうしたどうした!おちおちしてたら、お友達が死ぬぞ!!」

のび太「――!!ダンゲルさん!!」

ターーンターーン!!!

ダンゲル「――ッ!?おおっと!!」

ターーンターーン!!!

ダンゲル「さすがだな……正確に俺の腕を狙ってやがる。あの小僧……本当に俺に“勝つ”つもりらしいな……」

のび太「はあ……はあ……」

ダンゲル「小僧!貴様との決勝、楽しみにしてたのは本当だぞ!」

ダンゲル「楽しいな!!最高に楽しいよな!!」

のび太「じょ、冗談じゃないよ!僕がしたかったのは、こんなことじゃないんだ!」

218: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)02:44:47 ID:HZcdppafi
ダンゲル「ハハハ!!最高だよお前!!」

ターーンターーン!!!

のび太「――ッ!」

のび太(ダンゲルさん……やっぱり強い!)

のび太(だけど……ある程度癖が読めてきた!!)

のび太(ダンゲルさんは、撃った後に少しだけ余韻に浸る瞬間がある……勝つには、そこを狙うしかない!!)

のび太(……だけど、そのためには、ダンゲルさんが撃った後を狙う必要がある。つまりは、僕自身を囮に使う必要が……!!)

ターーンターーン!!!

のび太(……でも、それしかないんだ。それしか、ないんだ!)

220: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)02:50:27 ID:HZcdppafi
のび太「――ダンゲルさんッ!」

ターーンターーン!!!

ダンゲル「どこを狙ってやがる!!甘いぞ!!」

――ターーン!!!

バシュッ!!!

のび太「うわああああ!!」

ドラえもん「のび太くん!!」
ジャイアン「のび太あああ!!」
しずか「のび太さん!!」
スネ夫「の、のび太が撃たれた!!」

のび太(痛い……とても痛いよ……!!!)

のび太(――でも撃たれたのは左手……右手が無事なら……!!)

――チャッ!!!

ダンゲル「――ッ!?倒れながら構えた!?チッ――!!」

のび太「――うわぁあああ!!!」






――ターーーン……!!!

223: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)02:55:08 ID:HZcdppafi
のび太「……」

ダンゲル「……」

のび太「……」

ダンゲル「……」

のび太「……う、うぅ……」

バタンッ

ドラえもん「の、のび太くううううん!!!」

ダンゲル「……安心しろ、青ダヌキ。かすり傷だ」

ダンゲル「……この勝負……小僧の……勝ち…だ……うぐっ」バタンッ

225: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)02:58:53 ID:HZcdppafi
ドラえもん「の、のび太くん!!しっかり!!」

のび太「うぅ……」

しずか「は、早く手当てを!!」

ダンゲル「……お、おい、青ダヌキ……忘れもんだ……」

パサッ

スネ夫「ど、ドラえもんのポケット!?」

ジャイアン「ほんとだ!ドラえもん!これで手当てを!!」

ドラえもん「助かった!!のび太くん!!すぐ直すからね!!」

228: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)03:05:01 ID:HZcdppafi
のび太「うぅ……痛かったぁ……」

ドラえもん「よかったぁ……治ってよかった……ううう……!」

スネ夫「……ジャイアン……こ、これ……」

ジャイアン「あ、ああ……ドラえもん!これを見てくれよ!」

ドラえもん「これって、ダンゲル……ああ!」

バチバチ……
バチバチ……

しずか「き、機械の……体?」

ドラえもん「……まさか、お前は……」

ダンゲル「……ああ。俺は、ここの装置で生まれた、試作型第002号……ロボットだ……

のび太「そ、そんな……」

ダンゲル「強かっただろ?当然だ。宇宙中の、ガンマンの力が集まったのが俺だしな。……そんな俺に勝つなんて……とんでもねえ小僧だ……」

のび太「……」

229: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)03:14:27 ID:HZcdppafi
――ドーン!!!

ドラえもん「な、なんだ!?」

スネ夫「ば、爆発音!?」

ダンゲル「当選だ。俺は、この装置の中枢でもあった。その俺が活動を停止しようとしてるんだ。今制作中の、大量の試作型が暴走を始めたんだよ……」

ドラえもん「じゃあ……上では……!!」

ダンゲル「ああ。暴れまわってるだろうな 」

ドラえもん「た、大変だ!!すぐに止めないと!!」

ジャイアン「行こうぜドラえもん!」

スネ夫「道具があるなら百人力だ!負けるはずがないよ!

ドラえもん「う、うん!そうだね!――みんな、外に出るんだ!!」

「うん!!」

タタタタタ……!!!

のび太「……」

ダンゲル「……どうした小僧。行かないのか?」

のび太「……ダンゲルさん。あなたがロボットなら……それなら……」

ダンゲル「――その先は、自分で確かめな」

のび太「――ッ!」

ダンゲル「お前は、もう立派な兵士だ。自分の意思のもと、思うように行動しろ」

のび太「……うん!」

タタタタタ……!!!

ダンゲル「……たく、らしくねえな、俺も。」

ダンゲル「……負けんなよ、小僧。最後にお前と撃ち合えて……楽しかっ…た……ぜ……」

230: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)03:18:59 ID:HZcdppafi
~会場~

ドラえもん「うわぁ酷い!」

しずか「会場が、メチャクチャになってる!!」

ドーン!!!
ドーン!!!

ドラえもん「早くなんとかしないと……!!」

ポイポイポイポイ……!!!

ドラえもん「みんな、武器は持った!?」

ジャイアン「ああ!」
スネ夫「うん!」
しずか「ええ!」

ドラえもん「うん!くれぐれも、ケガだけはしないようにね!」

ドラえもん「――じゃあ!行こう!」

「「「おおおお!!!」」」

タタタタタ……!!!

ドラえもん「……あれ?そういえば、のび太くんは?」

233: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)03:24:20 ID:HZcdppafi
~某所~

カツ……カツ……

???「……」

カツ……カツ……

――ザッ

???「……ようやく来たか。――見ろよ。壮大な光景だな。爆発の一つ一つが、まるで花火みたいだろ?」

???「――な?坊主……いや、のび太」

のび太「……やっぱり、あなたが黒幕だったんだね」

???「……」

のび太「――会長!どうして!!」

会長「……」



235: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)03:31:07 ID:HZcdppafi
会長「……いつ、気がついた?」

のび太「ついさっきだよ。ダンゲルさんが、機械だった時だ」

会長「ほう……」

のび太「考えたら簡単な話だったんだよ。ダンゲルさんは言った。僕が、最高の素材だって」

のび太「……でも、僕を大会に出したのは、ダンゲルさんじゃない。――会長!あなたじゃないか!」

会長「……」

のび太「ダンゲルさんは、あなたに命じられて動いてただけだ。全ての元凶は……あなただ!!」

会長「……ハハハ!!勘が鋭いな、坊主!!」

のび太「……」

会長「……そうだ。X計画を立てたのは他でもない。――この、俺だ」

249: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)09:20:47 ID:HZcdppafi
のび太「どうして、会長が……」

会長「難しいことじゃない。大方は、ダンゲルが言った通りだ。兵器は金になる。だからした。――ただ、それだけだ」

のび太「お金のために人を傷つけるものを売るなんて、間違ってる!」

会長「青いな、坊主……それに、少しだけ考え方を変えてみろ」

会長「例えば、戦争が起こったとしよう。もちろん、たくさんの兵士が死ぬ。戦争だからな」

のび太「……」

会長「だが、もし戦うのが人ではなくロボットだったら……死者の数は、極端に減るだろう」

のび太「……そんなの、言い訳だ!」

会長「……」

のび太「難しいことなんて分からないけど、でも、怖い目に遭わないと、簡単に出来ちゃうんだよ!」

のび太「僕だって、宿題したくないとき、もし代わりにしてくれるロボットがいたら、たぶんいっぱいお願いすると思う。だってその方が楽だし、疲れないもん」

会長「……」

のび太「――だけど、それは子供だから出来るんだよ!会長は、大人じゃないか!大人が、楽しちゃいけないんだよ!」

会長「……」

のび太「……」

会長「……坊主、やはりお前は、子供だな……だが、羨ましくもあるな……」

251: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)09:41:36 ID:HZcdppafi
会長「……もういいだろう。――おい」

女「はい……」

のび太「!?あ、あなたは……!!」

女「……」

会長「坊主の相手をしてやれ。俺は、やることがある」

女「かしこまりました……」

会長「頼んだぞ……」

スタスタ…

のび太「――ッ!?ま、待て――!!」

――ターーン!!!

のび太「――ッ!」

女「――追わせません」

のび太「邪魔しないで下さい!」

女「そういうわけにはいきません。マスターの命令ですので……」

――チャッ

女「――私は、試作型第001号。あなたは、ここで止めます」

のび太「ろ、ロボット――!?」

258: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)12:52:15 ID:nMaPaFAeE
~会場~

ジャイアン「名刀電光丸!!――うらあああああああ!!!」

ズバズバズバズバ…!!!

――ドガアアアン!!!

しずか「ショックガン!!えい!!」

バババババ…!!

――ドガアアアン!!!

スネ夫「う、うわわわ!!空気砲!!」

ドドドドドド…!!

――ドガアアアン!!!

ダダダダダダッ…!!

ドラえもん「うわわ!!撃って来た!!ヒラリマント!!それええ!!」

ヒラヒラヒラヒラ…!!

――ドガアアアン!!!

ロボット「………」

ズンズンズンズン…

ジャイアン「ドラえもん!!きりがないぜ!!」

スネ夫「あのロボットたち、どんどん出てきてるよ!!」

ドラえもん「う、うん!確かに数は多いけど、そこまでは強くないよ!たぶん、まだ製作途中だったからだと思う!!」

しずか「それに、そのうち必ず尽きるはずよ!!それまで頑張りましょう!!」

ドラえもん「そうだね!!大会に出場した人たちも戦ってるんだ!!僕達も頑張らないと!!」

ジャイアン「おう!!」
スネ夫「そうだね!」

ドラえもん(それにしてものび太くん……どこに行ったんだろ……)

260: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)13:04:08 ID:nMaPaFAeE
~会長室~

――ターンターン!!

のび太「……」

女「なぜ隠れてばかりいる!!戦え!!」

――ターンターン!!

のび太「……」

女「そのまま撃たれるまで何もしないつもりか!!少年!!」

――ターーーン…!!

のび太「……もう止めましょう。あなたは、ダンゲルさんよりも強くはありません。僕には、勝てません」

女「……だからどうした!!」

――ターンターン!

のび太「……どうしても、やり合うんですか……?」

女「それが、私の役目だ!!」

262: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)13:20:57 ID:nMaPaFAeE
のび太「……」

スクッ!!
――ダダーン!!

ガガッ!!

女「うぅ…!!銃を飛ばされた!?」

のび太「……もう終わりです。動かないでください」

女「……」

のび太「……」

女「……なるほどな。確かに、私は第002号よりも集計したデータが少ない。第002号に勝利したキミに勝つことは、難しいだろう……」

のび太「……降参してください。もう勝負はつきました」

女「……ふふ……キミは、甘いな……なぜ撃たない?」

のび太「……!!」

女「私が、女の姿をしているからか?それとも、銃を持たないからか?」

のび太「……両方です」

女「……ふっ」

263: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)13:30:37 ID:nMaPaFAeE
女「……だが、キミが私を撃たなければ、私は会場に行くぞ」

のび太「……!!」

女「キミは、確かに私よりも強い。……だが、キミの仲間はどうかな?キミほどの射撃の実力が、あるとは思えないがな……」

のび太「あ、あなたは……!!」

女「今から、私はあそこに落ちた銃を拾う……見逃すなら、それもよかろう……」

のび太「……」

女「……それと、キミは勘違いをしている。私は、ただのロボットだ。見かけに騙されるな。本質を見抜け。私の外見など、なんら関係もない……」

のび太「………!!」

女「………決めるのはキミだ……決断しろ!!」

ダッ――!!

のび太「―――ッ!!」





――ターーーン……!!!

269: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)13:51:10 ID:nMaPaFAeE

のび太「………」

女「……そんな顔をするな……キミは、キミの役割を果たしただけだ……」

のび太「……で、でも……」

女「……この通路の先に、会長はいる……追うんでしょ?」

のび太「……うん」

女「……だったら、もう行きなさい。そうしたいのが、キミの意志でしょ?」

のび太「………」

女「……願わくば、会長を止めてほしい……あの人は、苦しんでいる。だから、キミなら……」

のび太「……あなた、もしかして、会長を……」

女「……ふっ、バカなことを。私は、ロボットだぞ?そんな人間のような感情などあるはずも……」

のび太「――いいえ。あなたは、限りなく人ですよ」

女「……なに?」

のび太「――“見かけに騙されるな。本質を見抜け。外見など、なんら関係ない”……」

女「………!?」

のび太「さっき、あなたが言ったことですよね。あなたは、確かにロボットだ。……だけど、あなたは、確かに人間だ」

女「……」

のび太「それに、僕は知ってるんだ。ロボットだけど、とても暖かくて、とても優しい友達を……。ロボットだって、怒ったり、笑ったり、泣いたり、ネズミから逃げたりするんだよ……」

女「……それは……」

のび太「……あなたの最後の願いは、僕が叶えます。必ず、会長を止めます。だから、待っててください。あなたの大切な人を、待っててください。……じゃあ」

タタタ…

女「……不思議な少年だ。なんだ。人も、捨てたもんじゃないじゃないか。……会長……まったく、いつも…適当……なんだか…ら………」

女「………」

271: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)14:08:21 ID:nMaPaFAeE
~研究室~

タタタタタタ…

のび太「会長!!」

会長「……来たか、坊主……」

のび太「……会長……あなたを、止めに来ました」

会長「ハハハ……止めるときたか……。――だが、一足遅かったな……」

ウィィィィィン……

のび太「頭に、装置?」

会長「これで、全てが終わった……第003型試作品……いや、完成品と言えるか。X型完成品だ……!!」

のび太「か、完成品!?そ、そんなの……どこに……」

会長「あるだろ。――お前の、目の前に……」

のび太「――ッ!?ま、まさか――!!」

会長「そうだ。俺が、完成品そのものだ。――“X”、とでも言っておこうか……」

273: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)14:19:07 ID:nMaPaFAeE
のび太「X!?」

X「まあな。お前には、感謝してるんだよ小僧」

のび太「……ぼ、僕に?」

X「お前のおかげで、最後に足りなかったデータが取れた」

のび太「最後に……まさか!?」

X「……まあ最後だ。種明かしをしようか……」

X「――これまで取れたデータは、膨大なものだった。だが、それでも足りないものがあったんだよ。命をかけた戦いの中で発せられる、生きる意志、強さ、底力……そこだけは、射撃大会じゃ生まれないんでな」

のび太「………」

X「そこで、お前を利用させてもらった。だが、お前の大会の試合じゃない。それは……」

のび太「……まさか……ダンゲルさんとの!?」

X「それだけじゃない。……さっきの、試作品001号との戦いも、データを取らせてもらった」

のび太「―――ッ!!」

X「……お前は、不思議に思わなかったのか?なぜ捕えたお前の友人を無事にしていたか……なぜ、研究室の入り口に、おあつらえ向きに銃が置いてあったか……」

のび太「……あれも、あなたが……」

X「そうだ。全て、俺が仕組んだことだ。お前に、命懸けの戦いをさせるためにな……」

277: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)14:37:40 ID:nMaPaFAeE
X「お前のデータは、完璧に取り終えた。……そして、全て俺に“インストール”してある……」

のび太「インストールって……!!まさか、あなたは……!!」

X「……ああ。俺の体は、既に生身じゃない。これまでの試作品と、同じだ……」

のび太「自分を……機械に……!!??」

X「そう驚くな。けっこう、快適だぞ?全てが清々しく思える。これからは、悩みも、苦痛も、空腹も……全て、忘れ去ることが出来る」

のび太「……そんなの……人じゃない!!」

X「そうさ。俺は、人を超えたんだ」

のび太「違う!!あなたは、人を捨てたんだ!!超えたんじゃない!!逃げたんだよ!!」

X「どちらでもいいさ。些細なことだ」

のび太「……!!」

X「……それと、もう一つ種明かしがある……フライングボールのテスト、覚えているか?」

のび太「う、うん……」

X「お前が出した点数……歴代2位の記録、8点。お前より更に上は、10点満点。歴代1位の記録……」

のび太「………」

X「――その1位は……この俺だ」

のび太「な――ッ!?」

X「そして俺には、お前の射撃能力が更にプラスされている。歴代1位と2位の射撃能力を有するのが、この俺、Xだ……」

のび太「………!!」

X「……さて……お前に、勝ち目はあるかな?坊主……!!」

281: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)14:53:14 ID:nMaPaFAeE
~会場~

ジャイアン「ドラえもん!!」

スネ夫「ドラえもん!!」

ドラえもん「ジャイアン!スネ夫!!」

ジャイアン「こっちは粗方倒し切ったぜ!!」

スネ夫「僕の方も、なんとか……!!」

しずか「私の方も、終わったわよ!!」

ドラえもん「しずかちゃん!」

しずか「ドラちゃん!のび太さんは!?」

ドラえもん「うん!さっき、探し人サーチで探してみたんだ!どうやらのび太くんは、あの研究室にいるみたい!!」

スネ夫「研究室に!?なんであんなところに……!!」

ドラえもん「たぶん、のび太くんは何かに気付いたんだと思う!!だから一人でそこに……!!」

しずか「なんですって!?」

ジャイアン「のび太の野郎!!一人でカッコつけやがって!!」

ドラえもん「たぶんそこには、黒幕が……!!」

全員「………」

しずか「――ドラちゃん!!」

ジャイアン「ドラえもん!!」

スネ夫「ドラえもん!!」

ドラえもん「――うん!!行こう!!のび太くんのところへ!!」

ジャイアン・スネ夫・しずか「おおおお!!!」

タタタタタタ…

ドラえもん(のび太くん!!どうか無事で……!!)

286: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)15:07:27 ID:nMaPaFAeE
~研究室~

ターンターン!

のび太「くっ――!!」

ターンターン!!

X「無駄だぞ坊主」

タターン!!!
バシシシッ!!!

のび太「弾丸に、弾丸を当てて防ぐなんて……!!」

X「言ったはずだ。俺は、全てを合わせ持つ人を超えた存在……。もう一度聞こうか?――お前に、勝ち目はあるかな?」

のび太「……まだ…分からないよ!!」

ターンターン!

X「……無駄なことを……」

のび太「……!!」

X「……俺は、いつでもお前を撃つことが出来るぞ……顔、腕、足、胸……さあ、どこがいい?」

のび太「……く、くそ――!!」

ターンターン!

X「無駄だと言っている……!!」

ターン!!
チュインッ!!

――バシュッ!!

のび太「うぐぅっ!!」

のび太(跳弾を肩に……!!??)

X「……ふふふ……素晴らしい力だ……負ける気がしないな……」

290: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)15:39:35 ID:nMaPaFAeE
のび太「はあ……はあ……」

X「……無様だな。だが、この力もお前のおかげ……感謝しないとな……」

のび太「はあ……はあ……」

のび太(か、勝てない……強すぎるよ……)

X「……さて、もう終わらせようか。せめてもの感謝の意を込めて、最後は苦しまないようにしてやる……」

……チャッ

のび太「―――!!」

X「じゃあな、坊主……」

???「――ドッカン!!」

X「―――ッ!?」

ダッ――

ドオオオオン!!!

???「躱された!?」

のび太「……!!」

ドラえもん「――のび太くん!!」

しずか「のび太さん!!」

のび太「ど、ドラえもん!!しずかちゃん!!」

ジャイアン「のび太!!カッコつけてんじゃねえぞ!!」

スネ夫「そうだそうだ!!のび太のくせに生意気だぞ!!」

のび太「ジャイアン!!スネ夫!!」

295: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)15:47:46 ID:nMaPaFAeE
ドラえもん「のび太くん。一人で無茶しちゃダメじゃない……」

のび太「ご、ごめん……」

しずか「で、でも、無事で良かったわ……」

のび太「しずかちゃん……」

X「……仲間か……」

ジャイアン「のび太、こいつが……」

のび太「う、うん……」

X「………」

ドラえもん「か、会長さん!?」

のび太「……もう、会長じゃないんだ、ドラえもん。今は、ロボットなんだ。――Xだ!!」

ドラえもん「ろ、ロボット!?」

スネ夫「X!?」

X「……まあいい。数が増えたところで、俺の敵ではない……」

ドラえもん「……そうはいかないぞ!!こっからは、僕らが相手だ!!行くよ!!みんな!!」

全員「おおおお!!!」

X「………」

297: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)16:31:36 ID:nMaPaFAeE
スネ夫「――ドッカン!!ドッカン!!」

ドオオオン!!ドオオオン!!

X「………」

スネ夫「ダメだ!!全部避けられる!!」

ジャイアン「今度は俺だ!!うおおおお!!名刀電光丸!!」

X「無駄だ」

ダーン!!
チュインッ!!

――バチバチ!!

ジャイアン「うわっ!!ちょ、跳弾でバッテリー部分を!?」

X「……」

しずか「ショック―――!!」

X「見えてるぞ」

ターーーン!!

バシィッ!!

しずか「キャア!!」

ドラえもん「みんな!!大丈夫!?」

ジャイアン「あ、ああ……でもよお……!!」

スネ夫「こいつ……物凄く強い!!化物だよ!!」

ドラえもん「う、うん……僕のひみつ道具でも、歯が立たないなんて……」

X「フフフ……」

のび太(このままだと……みんなやられちゃう……!!……そうだ!!)

のび太「ドラえもん!!時間を稼いでて!!」

ドラえもん「え!?どういうこと!?」

のび太「いいから!!頼んだよ!!」ダッ――

ドラえもん「あ!のび太くん!!」

298: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)16:47:34 ID:nMaPaFAeE
ドラえもん「みんな!!空気砲を一斉に撃つんだ!!」

ジャイアン「おう!!」

スネ夫「うん!!」

しずか「ええ!!」

ドラえもん・ジャイアン・スネ夫・しずか「ドッカン!!ドッカン!!ドッカン!!ドッカン!!……!!」

ドーーン!
ドーーン!
ドーーン!
ドーーン!

X「ふん……弾幕のつもりか……」

ジャイアン「ドラえもん!!全然当たんないぜ!!」

しずか「これからどうするの!?」

ドラえもん「わ、分かんない!!」

スネ夫「なんだよそれ!!無責任だよ!!」

ドラえもん「の、のび太くんが何かを思いついたみたいなんだよ!!だから、僕には分かんない!!」

ジャイアン「のび太が!?だったら、俺は信じるぜ!!」

しずか「私も信じるわ!!」

スネ夫「ぼ、僕も信じてやるよ!!のび太!!早くしろ!!」

ドラえもん「ありがとう……みんな!!」

X「ふん……しゃらくさい……」

301: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)17:06:03 ID:nMaPaFAeE
X「いい加減飽きてきたな……もういいか?」

ターンターンターンターン!!
チュインッ!!チュインッ!!チュインッ!!チュインッ!!

――バシュバシュバシュバシュッッ!!!

ドラえもん「ぎゃあああああ!!」

ジャイアン「うわあああああ!!」

スネ夫「うああああああ!!」

しずか「きゃあああああ!!」

X「他愛もない……」

ドラえもん「うぅ……み、みんな………」

ジャイアン・スネ夫・しずか「………」

ドラえもん「みんな気絶してる…………はっ!?」

X「ロボット……貴様さえいなけば、全員ただの子供だ……」

ドラえもん「う、撃たれる―――!!」

のび太「――ま、待て……!!」

X「……む?お前は……」

のび太「………」

X「なんだ、坊主か……今更、どうしようと……」

のび太「………」

X(……なんだこの雰囲気は……先ほどの坊主とは、全く違うように思えるが……)

302: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)17:24:08 ID:nMaPaFAeE
X「……いや、思い過ごしだろうな。坊主、いい加減、諦めろ……」

――チャッ

ドラえもん「の、のび太くん逃げて!!Xは、化物だよ!!」

のび太「………」

X「……動かないのか。つまらん最後だ……」

――ターーン!!

のび太「―――!!」

――ターン!!
バシィッ!!

X「――ッ!?な、何だと――!?」

ドラえもん「弾丸を……弾丸ではじき返した!?」

のび太「………」

X「ぼ、坊主……お前、まさか……!!」

303: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)17:24:55 ID:nMaPaFAeE
のび太「……そうだ……あなたの装置を、使わせてもらったんだよ……」

X「自分に……自分のデータをインストールしたのか!!??」

ドラえもん「な、なんだって!?」

X「しょ、正気か坊主……!!」

のび太「……ドラえもん、みんなを連れて外へ……!!」

ドラえもん「で、でも……」

のび太「早く――!!」

ドラえもん「う、うん!!」

ガシガシガシガシ
タタタタタタ…

のび太「………」

X「……坊主……お前は……!!」

のび太「……僕の射撃能力に、更に僕のデータを入れたんだ……僕の射撃能力は、2倍になったんだ!!」

X「……!!」

のび太「――勝負は、これからだ!!」

308: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)17:34:45 ID:nMaPaFAeE
X「分かってるのか!?生身の体に、無理やりデータを入れてるんだぞ!?」

のび太「………」

X「それに、お前はまだ子供だ!!体と脳に、どれだけ負担がかかるか分かってるのか!?」

のび太「………」

X「一歩間違えたら、死ぬかもしれないんだぞ!?」

のび太「………」

X「………」

のび太「……負担がかかるのは分かってるよ。頭だってガンガンしてるし、さっきから目眩もする!!」

X「………」

のび太「――だけど、このままみんながやられるのを見るくらいなら……そのくらい、どうってことないよ!!」

X「ぼ、坊主……」

のび太「行くよX……今度こそ、決着をつける!!」

310: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)17:56:12 ID:nMaPaFAeE
タタタタタタ…
ターンターン!!

ターンターン!!

――バシバシバシ!!

X「クソッ!!正確に弾を弾に当ててきやがる……!!」

のび太「やっぱり、簡単には倒せないか……!!」

ターンターン!
チュインッ!!チュインッ!!

のび太(跳弾!?でも――!!)

タターン!!
バシバシ!!

X「また弾きやがった……!!」

のび太「今度は……僕の番だ!!」

タターン!!
チュインッ!!チュインッ!!

X「――ッ!!く、クソ――!!」

タターン!!
バシバシ!

のび太「ダメか……!!」

X「チッ――!!跳弾がこんなに面倒とはな――!!――クソッたれ!!」

ターンターン!
チュインッ!!チュインッ!!
ターンターン!

318: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)18:48:23 ID:nMaPaFAeE
~会場~

ジャイアン「う~ん……」

スネ夫「こ、ここは……」

しずか「……みんなは……」

ドラえもん「――あ!みんな気が付いた!?」

ジャイアン「ど、ドラえもん?ここは……」

ドラえもん「会場だよ。もう暴走したロボットもいないよ」

スネ夫「そ、そっか……」

しずか「――!!のび太さんは!?」

ドラえもん「……の、のび太くんは……」

ジャイアン「――まさか!!」

スネ夫「あそこに!?」

ドラえもん「……うん……!!」

319: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)18:48:42 ID:nMaPaFAeE

しずか「すぐに、助けに行きましょ!!」

ジャイアン「ああ!!そうだ!!」

スネ夫「そうだね!!」

タッ――!!

ドラえもん「――ちょ、ちょっと待って!!」

ジャイアン「な、なんだよドラえもん!なんで止めるんだよ!!」

しずか「そうよドラちゃん!このままじゃ、のび太さんが!!」

スネ夫「のび太を見捨てるつもりか!?」

ドラえもん「行ってどうするの!?相手は、僕の道具も通じないような化物なんだよ!?」

ジャイアン「そ、それは……!!」

ドラえもん「今のび太くんは、Xの装置を使って、いつもの2倍の射撃能力を身に着けているんだ!!おそらく、この宇宙でXに張り合えるのは、のび太くんだけなんだよ!!」

スネ夫「そ、そりゃそうだけど……」

ドラえもん「悔しいけど、僕達があそこに行っても、かえってのび太くんの邪魔になるだけだよ……」

しずか「………」

ジャイアン「………」

スネ夫「………」

ドラえもん「……僕だって、すぐに助けに行きたいよ。でも、今は信じて待とう。それしか、出来ないんだ……!!」

ジャイアン「………クソ!!のび太ー!!負けんなよー!!」

スネ夫「のび太ー!!絶対勝てよ!!」

しずか「のび太さん!!信じてるから!!」

ドラえもん(のび太くん……キミを待ってる人が、こんなにもいるんだ……必ず、必ず帰って来てよね……!!)

329: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)19:15:47 ID:nMaPaFAeE
~研究室~

のび太「はあ……はあ……」

X「……かなり、息が上がって来たな坊主……」

のび太「……ま、まだ……やれるよ……!!」

X「強がりを……。体の負担が、限界に達しつつあるんだよ。お前自身の体力も、そろそろ限界だ。……いや、むしろここまでよくもったと言えるな……」

のび太「……ち、ちくしょう……」

X「これが、生身の限界だ……疲労は溜まり、休息を求めてくる……。辛いだろう。苦しいだろう。――弱いな、人間は……」

のび太「……で、でも!!だからこそ!!疲れた中でする昼寝は、最高に気持ちいいんだ!!それが分からないのなんか、生きてるって言えないよ!!」

X「……だから青いと言ってるんだよ!!坊主!!」

タタタタターーン!!!

のび太「―――ッ!!」

ダダダダダ…!!
バシバシバシ…!!

のび太(ふ、防ぎきれない……!!)

――バシュッ!!

のび太「うわああああああ!!」

バタッ

のび太「うぅ……」

X「……今度こそ、終わりだ。坊主……」

332: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)19:29:13 ID:nMaPaFAeE
のび太(……悔しいけど、僕の体力は限界だ……。たぶん、もう長くは動けない……次でなんとか決めないと……)

のび太(でも、どうやって……ダンゲルさんの時と違って、Xに隙は全く無い……いくら撃っても、銃弾を撃ち落される……)

のび太(とにかく死角がなさすぎる……このままじゃ、ただ一方的に撃たれて……)



のび太(……………)



のび太(……一方的に撃たれるなら、もうそれしかない……でも、それは……)

のび太(………だけど、それしかない……それしかないんだ……!!)

335: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)19:40:45 ID:nMaPaFAeE
のび太「………」スクッ

X「……ほう……よく立ち上がったな……だが、どうするつもりだ?」

のび太「……あなたを、倒す……!!」

――チャッ

X「何かと思えば……ただ銃を構えただけじゃねえか。お前の弾丸が、俺に届くとでも思ってるのか?」

のび太「……思ってない。だけど、僕はあなたを倒すんだ!!」

X「……戯言戯言……戯言が過ぎるぞ!!気持ちだけではどうにもならないんだよ!!思ってるだけじゃ、何も掴めやしないんだよ!!」

のび太「……でも、何かを思わないと……気持ちがないと、掴めるものも掴めないよ!!」

X「それが戯言だと言ってるんだよ!!――倒れろ!!」

――チャッ

のび太「……」

のび太(集中だ……集中するんだ……!!体中の神経を、全部集めるんだ……!!)

339: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)19:46:41 ID:nMaPaFAeE
のび太「………」

X「………」

X(この集中力は……以前見た……)

X(……なるほど。諦めてはいないみたいだな……だが……)

X「俺には――通じないぞ!!坊主!!」

のび太(――――――ここだッ!!!!)



―――――タタ(チッ)ーーン…!!





のび太「………」

X「………」

のび太「………」

X「………」

のび太「………」……バタッ

X「……小僧……お前……」

356: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)20:13:19 ID:nMaPaFAeE
のび太「うぅ……うぅ……」

X「……坊主、最後に答えろ。お前、何をしたんだ?」

のび太「……う……う……」

X「答えられないか……無理もなかろう。腹部に当たったんだ……もっとも、その位置では致命傷にはならないがな……。……まあいいさ。お前が何をしたのか――分かってるつもりだ……」

のび太「………」

X「まさか……最後にこんな手を使って来るなんてな……」

……バチバチバチ

X「……良かったな坊主。俺の方は……見事に……致命傷…だ………」……バタツ

のび太「…………」

X「……まさか、俺の弾丸にお前の弾丸を当てて、そのまま、俺の方に跳弾させるとはな……」

のび太「……へ……へへ……」

X「……だが……俺の弾を俺の方に跳弾させるということは……お前にも自分の弾が跳ね返るということ……事実、自分の弾がお前の腹部に当たってるしな……もし心臓を撃ち抜いていれば……即死だったぞ……」

のび太「……」

X「……それでも、お前は賭けに勝ったんだな……。そして俺は、駆けに負けた……。……ただ、それだけのことなんだよな……」

X「………俺の、負けだ……」

363: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)20:24:11 ID:nMaPaFAeE
X「……坊主……これを飲め……」

のび太「………?」

X「お前の傷は、致命傷ではないがな……このままだと、血が出過ぎるぞ……」

のび太「………!」

X「……これは、傷を一時的に治療する薬だ……飲めば楽になるぞ……」

のび太「…………」ゴク……ゴク……

X「……そうだ……それでいい……」

のび太「………少し、楽になった……」

X「……とりあえずは、一安心だ……」

のび太「……おじさん……」

X「……心配するな。俺は、ロボットだ。この程度では、死にはしない。……ただ、電気系統をやられてな……身動きが取れないんだよ……」

のび太「……そう……」

368: 名無しさん@おーぷん 2014/08/09(土)20:44:46 ID:nMaPaFAeE
のび太「おじさん……どうして、僕を……?」

X「さあな……ただ、なんとなくだ……分かんねえよ……」

のび太「………」

X「妙な話だな……悩みや不安から解放するために自分を機械にしたのに……今は、自分のことが分からず、混乱してやがる……。俺は、何がしたかったんだろうな……」

のび太「……たぶん、人になりたかったんだよ……」

X「……?」

のび太「おじさんは、本当は、機械になんてなりたくなかったんじゃないかな……」

X「……そんなはずがないだろう……何を言って……」

のび太「だって、おじさんには、感情が残ってるじゃないか。完全に機械になれば良かったのに、残してたじゃないか……。怒ったり、僕を助けてくれたり……どれだけ体を機械にしても、最後におじさんは、人の心を残してたんだよ……」

のび太「……それが、答えなんじゃないかな……」

X「………」

のび太「………」

X「……やっぱ、お前はガキだ。青臭い、ただのガキだ。……ホント、ガキだよな……」

のび太「……うん。大人の都合なんて、僕には分からないよ……」

X「――だが、少し羨ましくもある……」

370: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)20:55:22 ID:nMaPaFAeE
のび太「おじさんは、これからどうするの?」

X「……俺は、お前に負けたんだ。負けた者の最後なんて決まってるだろ……仄暗いとこに、落ちるだけだ。たった一人でな……」

のび太「……おじさんは、一人じゃないよ」

X「……?」

のび太「ほら。あそこ……」

X「?……あれは……」

女「……か、会長……!!」

X「……00…1号?」

女「……会長!!」

ダッ――

女「無事で良かった……本当に……!!」

X「……お前……泣いてるのか?」

のび太「……その人、僕にお願いしたんだよ。おじさんを、止めてほしいって……」

女「会長……会長……」

X「………」

372: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)21:04:15 ID:nMaPaFAeE
X「……そう、か……だが、この騒ぎで負傷者が出ている以上、誰かがケツを拭かなきゃならない。――責任を、取らなきゃならない」

のび太「………」

X「だから俺が――」

???「――その必要はないぜ」

のび太「―――!!」

X「……お、お前……」

ダンゲル「……よう」

のび太「だ、ダンゲルさん!!」

X「どうしてお前が?」

ダンゲル「なんだよ、どいつもこいつも。勝手に俺を殺してんじゃねえよ」

X「……そうか。悪かった。――それより、その必要がないってどういうことだ?」

ダンゲル「なぁに、簡単なことだ。――今回の一件については、俺が自首する」

のび太「えっ――!?」

375: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)21:11:02 ID:nMaPaFAeE
X「お、お前……何を……!!」

ダンゲル「間違いじゃないはずだぜ?俺がやられたからこそ、ロボットは暴走したんだ。だったら、俺が主犯だ。――そうだろ?」

X「……そんなわけあるか!!これは、俺が……!!」

ダンゲル「……大将。俺はよ、アンタに感謝してるんだぜ?何せ、最後に小僧とガチで撃ち合わせてくれたんだ。……あんな勝負、たぶん金輪際出来ることはねえ。だから、俺はもう満足だ。悔いはねえよ」

X「だ、だが……!!」

ダンゲル「……男が、ここまで腹くくってるんだ。だからよお大将、黙って、頷いてくれねえか?」

X「………」

ダンゲル「………」

X「……悪いな、ダンゲル……」

のび太「違うよおじさん。言葉が、違うよ……」

X「坊主……」

のび太「……」

X「……そうだな。ありがとう、ダンゲル……」

ダンゲル「なあに。いいってことよ。――ってことだ、小僧。そういうことに、してくれねえか?」

のび太「……さっきも言ったけど、大人の都合なんて、僕は知らないよ。知らないからこそ、僕は何も分からないよ……」

ダンゲル「へっ!言うじゃねえか!!……でも、ありがとよ。恩に着る……」

381: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)21:28:57 ID:nMaPaFAeE
ダンゲル「……なら、俺はそろそろ行くとするかな。――大将、001号、それと、小僧……達者でな……」

スタスタスタ……

のび太「……行っちゃったね」

X「ああ……」

のび太「……それで?おじさんはこれからどうするの?」

X「……そうだな……どっかで静かに暮らすさ。――コイツと、一緒にな」

女「ニコッ」

X「……それで……そうだなぁ……。――坊主、お前がこれから、どういう世界を作っていくかを見届けてやるよ」

のび太「見ても一緒だよ。――僕はただ、昼寝をするだけだ。のんびりと、ね……」

X「言うじゃねえか」

女「……会長、そろそろ……私が支えますので……」

X「……そうだな……俺も、行くとするか……」

スクッ

X「お前と会えて良かったよ。人も、捨てたもんじゃないって思えたよ」

のび太「おじさん……」

X「じゃあな、坊主。……いやすまん、間違えた……」

のび太「?」

X「――じゃあな、“のび太”――!!」

のび太「……うん!!おじさんも、元気でね!!」

スタスタスタ……

のび太「……おじさん、僕も、もう少し頑張ってみるよ。頑張って、きっと、いい世界にしてみるよ……だから見ててね……おじさん……」

385: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)21:40:49 ID:nMaPaFAeE
~会場~
のび太「――ドラえも~ん!!みんな~!!」

ドラえもん「――ッ!!のび太くん!!」

しずか「のび太さん!!」

スネ夫「のび太!!」

ジャイアン「のび太!!無事だったか!!」

のび太「うん!僕なら大丈夫!!」

ドラえもん「それで!?Xは!?」

のび太「……ああ……そのことなんだけど……ドラえもん、ちょっとポケット貸してくれない?」

ドラえもん「え?なんで?」

のび太「いいからいいから」

ドラえもん「別にいいけど……はい」

のび太「ありがとう。……ええと……」

テッテレー!!

のび太「ワスレンボー!!――えい!」

ポカポカポカ…!!

ドラえもん「んん!?」
ジャイアン「ほへっ!?」
スネ夫「ほろっ!?」
しずか「あら?」

のび太「……みんな、大丈夫?」

ドラえもん「……あれ?僕達、どうしてこんなところに……って、うわ!!会場がめちゃくちゃだ!!どうしたんだろう……」

のび太「ええと……ガ、ガス爆発だって!」

スネ夫「ガス爆発にしては規模が大きすぎるような……」

のび太「いいの!それでいいの!……それで、いいんだ……」

のび太(ね?おじさん……)

しずか「……?変なのび太さん……」

388: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)21:47:30 ID:nMaPaFAeE
のび太「とにかく、帰ろうよ。家に、さ……」

ドラえもん「う、うん……そうだね。帰るとしようか」

ジャイアン「賛成ー!!なんか知らないけど、俺、腹減ったぜ……」

スネ夫「そう言われてみれば、僕も腹ペコだよ……」

しずか「私もお腹ぺこぺこ……」

ドラえもん「どこでもドアー!!」

スタスタスタ……

のび太「……」

ドラえもん「のび太くーん!何してるのー?」

のび太「うん!今行くー!」

のび太「………」

のび太(ばいばい、おじさん……)

スタスタスタ…

394: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)21:57:54 ID:nMaPaFAeE
~数日後~

のび太「――ふぁあああぁぁ……」

ドラえもん「ああ、のび太くんまた大あくびして。もう、今日は河原で野球やるんでしょ」

のび太「そうなんだけどね……なんか、眠いんだよ……」

ドラえもん「もう、キミはいつも寝てばっかりだね……」

ママ「――のび太―。のび太―?」

のび太「ん?何ー?」

ママ「あなた宛てに郵便が届いているわよ?」

のび太「僕宛に?」

ママ「はいこれ。確かに渡したわよ」

のび太「……何だろ」

ドラえもん「開けてみたら?」

のび太「うん……」

ガサガサガサ…

ドラえもん「……これ、銃弾のペンダント?なんでこんなものが……」

のび太「……!!」

のび太(おじさんだ……!!)

ドラえもん「ん?やけにうれしそうだね……」

のび太「うん!?別に~!……それよりドラえもん、野球いこ!!」

ドラえもん「え?う、うん……あ、待ってよ!のび太くーん!!のび太くーん!!」




                       ~fin

396: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)22:00:09 ID:nMaPaFAeE
企画 俺

脚本 俺

演出 俺

広報 俺

作画 なし



監督 俺

399: ◆IAvTSYr7MA 2014/08/09(土)22:01:37 ID:nMaPaFAeE
ここまでありがとうございました。

ダラダラ書いてたら二日に渡ってしまいましたが……

最後までかけたのは、お前らが支援してくれたからです。

ありがとうございました。

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