彡(ﾟ)(ﾟ)「Time is moneyとはよくいったものである」

2018年11月29日

彡(ﾟ)(ﾟ)「Time is moneyとはよくいったものである」

彡(ﾟ)(ﾟ)「いや、それすら正しい表現ではないことに気付く」
彡(ﾟ)(ﾟ)「時の流れには誰しも抗うことはできないが、その価値は万人にとって等しいわけではないのだ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「テスト1日前の学生にとっての1時間は価値のある1時間であろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「駅前で待ち合わせをする恋人にとって10分は早々に過ぎ去って欲しい時間であろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「100m走の決勝で2位になった少年にとって1秒は喉から手が出るほど欲しかった1秒であろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「余命1年と宣告された患者にとって、家族にとって、それは価値のある時間であろうか、それとも・・・」

彡(ﾟ)(ﾟ)「お金を出して時間が買えるものならばその価値はどれほどのものになるだろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私はたくさんの時間を無駄にしてきた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「生きてきた人生の全てを悔いているのではない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「ただどこかで行動を変えていれば今頃どんな人生を歩んでいただろうかと、ふと空想に世界に没入することが多いように感じる」
彡(ﾟ)(ﾟ)「パラレルワールドなど信じていないが、あるとすれば向こうの自分は楽しくやっているのだろうか」

彡(ﾟ)(ﾟ)「私は俗にいい子だった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「親のいいつけを守り、それなりに勉強し、それなりの大学に入り、それなりの学生生活を過ごした」
彡(ﾟ)(ﾟ)「後悔というわけではないが、私には色恋とは無縁の学生生活を過ごした」
彡(ﾟ)(ﾟ)「古臭い貞操観念があったわけではない、単純に私が異性の恋愛対象の外側にいたというだけの話である」

彡(ﾟ)(ﾟ)「私は就職活動もそれなりに励んだ」
彡(ﾟ)(ﾟ)「大学名で足切りされることはなかったが、面接でことごとく落とされた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「顔が駄目なのだろうか、どもりがちなこの口がだめなのだろうか、理由はいろいろ考えた、そして自分なりに克服しようとした」
彡(ﾟ)(ﾟ)「しかしその成果が面接官に評価されることはなく、ついに大学4年の12月を迎えてしまった」

彡(ﾟ)(ﾟ)「私はその頃には心も折れ、憔悴しきっていた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「就職できずに卒業することへの恐れはほとんどなかったが、両親への報告が私の悩みの種であった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「幸い大学は他県で一人暮らしであったため、近況がすぐに知れることはなかったがそれも時間の問題であった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「年末が近づき、ある日両親から電話がかかってきた」

彡(ﾟ)(ﾟ)「就職はどうなっているのか、年末はいつ帰って来るのか、いつもの会話であったが私はひどく憂鬱な気分になった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「卒論が忙しいからと嘘をつき、その年は実家に帰らなかった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「しかし恋人はおろか友人すらいない私には年末に予定などなく、低俗なTV番組を眺めるしかなかった」

彡(ﾟ)(ﾟ)「私はもう就職することは諦めていた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「3月になり、ごまかしもきかなくなり、私はとうとう帰省した」
彡(ﾟ)(ﾟ)「両親は暖かく迎えてくれたが、就職が決まっていない旨伝えると気まずい空気が流れた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「両親は励まそうとしてくれたが、その行動は予想通りであったので私の心には何も響かなかった」

彡(ﾟ)(ﾟ)「大学を卒業すると私は地元に戻った」
彡(ﾟ)(ﾟ)「正社員ではないが工場に勤務することが決まった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「工場勤務は平穏そのものだった
彡(ﾟ)(ﾟ)「誰も私を邪魔しないし、必要とされていなかった、空気のような存在だった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私が特別なわけではない、大多数の人間がそこでは私と同列の扱いを受けるのだ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「毎日同じような仕事をこなした」
彡(ﾟ)(ﾟ)「社員として入ってくる人、結婚して辞めていく人、工場で怪我をして退職を余儀なくされた人、いろんな人と出会い、別れてきた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「よくある表現ではあるが、あるときふとまさに歯車ではないかと考えた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「大きさ、色、歯の数は違えどどこかに組み込まれ、その他大勢と一緒に回る」

彡(ﾟ)(ﾟ)「私が工場勤務であるから卑屈になってこのようなことをいっているわけではない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「素直にそう感じたのだ、少なくともこの時は」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私は一生懸命働いた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「正社員として雇用されることはなかったが真面目に仕事をこなしてきた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「自分は歯車の一部だと認識してからは仕事が以前よりも楽になった」

彡(ﾟ)(ﾟ)「ただの現実逃避かもしれないし、工場勤務で頭がおかしくなったといわれれば否定はしようとは思わない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「ただ私は少しでも誰かの、何かの役にたっているということが嬉しかったのだと思う」
彡(ﾟ)(ﾟ)「賃金を得るためだけに仕事をしているのではない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「そういう風に思おうとしていたのかもしれない、今となっては分からないが」

彡(ﾟ)(ﾟ)「ある日私は気付いた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「歯車の回る速度が加速していることに」
彡(ﾟ)(ﾟ)「気付けば大学を卒業してから8年の歳月が流れていた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「年齢でいえば三十路である」

彡(ﾟ)(ﾟ)「私は焦った」
彡(ﾟ)(ﾟ)「自分の年齢に焦ったわけではない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「歯車の回る速度が年々早くなっていることに焦ったのである」
彡(ﾟ)(ﾟ)「12歳から20歳までの8年間は永遠のように長く感じた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「22歳から30歳までの8年間はどうだろう、体感でいうところ10代の3年程度ではないだろうか」

彡(ﾟ)(ﾟ)「そのようなことを考えていると勤務中手が止まっていた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私はそのことに気付き、急いで作業を再開した」
彡(ﾟ)(ﾟ)「考えるのはやめようと、心を無にしようと自分に言い聞かせた」

これは心に痛いスレ

彡(ﾟ)(ﾟ)「家に帰ると母親から昔の知人の近況を聞かされることが多かった、実家住まいの嫌なところの1つである」
彡(ﾟ)(ﾟ)「聞くところによると知人がまた結婚したらしい」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私は友人と思っていないのであえて知人と表現しているが小学校の頃の同級生である」
彡(ﾟ)(ﾟ)「これで何人目だろうか、三十路にもなれば早いどころかむしろ遅いといっていいくらいの年齢である」

彡(ﾟ)(ﾟ)「生まれてきてこのかた私は両親のいいつけを守ってきた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「勉強もがんばったし、タバコも吸わない、ギャンブルもしない、風俗にも手を出さなかった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「だがどうだろう、その結果が三十路で何の楽しみも見出せない哀れな男性である」
彡(ﾟ)(ﾟ)「中学のとき、不良たちが校内でタバコを吸っていたのを覚えている」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私もあの時加わっていれば今が少しは変わっただろうか」

彡(ﾟ)(ﾟ)「高校のとき、クラスの中心的な集団のうち数名が体育祭をサボってどこかへ遊びにいったのを覚えている」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私もあのときサボっていれば今が少しは変わっただろうか」
彡(ﾟ)(ﾟ)「大学のとき、数合わせに一度だけ合コンというものに誘われたことを覚えている」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私もあのとき参加していれば今が少しは変わっただろうか」
彡(ﾟ)(ﾟ)「いや、きっと変わらなかったであろう、そんなことは私でも分かる」

彡(ﾟ)(ﾟ)「じゃあどうすれば私は変わったのだろうか」
彡(ﾟ)(ﾟ)「誰かのせいだろうか」
彡(ﾟ)(ﾟ)「そしてどういう風に変わりたいのか、それすら私は分からない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「何事も自分で決断できない甘さが招いた結果なのかもしれない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「結婚して家庭を築いていく知人がとてつもなく大人に見えた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「そして、それを遠くから見つめる自分があまりにもちっぽけに見えた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「そんなことを繰り返し考えながら眠りについた」

彡(ﾟ)(ﾟ)「次の日からも私はなんら変わりなく工場で真面目に働いた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「そして更に4年の歳月が流れた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「34歳の冬である」
彡(ﾟ)(ﾟ)「両親が交通事故で二人とも亡くなった」

彡(ﾟ)(ﾟ)「私の地元は雪の積もる地域だった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「スリップしてそのまま横転して山の方面にぶつかったらしい」
彡(ﾟ)(ﾟ)「対向車がいなかったことは幸いであったが、二人は帰らぬ人となってしまった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「遺体の損傷は激しくなく、両名とも人目で両親だと認識できた」

彡(ﾟ)(ﾟ)「親戚付き合いはほとんどなかったが、葬儀の段取り等は父方の親戚が手伝ってくれた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「もちろん仕事も休んだが、慣れないことの連続で私は疲れ果てていた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「なんとか無事に一連の作業が終わり、親戚一同も帰路についた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私はこの広い家で一人になった」

彡(ﾟ)(ﾟ)「私はとうとう親孝行というものをすることができなかった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「結婚も絶望的であり、収入も自分が生きていくだけで精一杯であった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「広いこの家で、一人で歳をとり、看取ってくれる子孫も存在せず、ただただ淋しく一人で死んでいくんだろうか」
彡(ﾟ)(ﾟ)「とはいえ34歳という年齢である。12年間工場で勤務してきた私を雇いたいという会社も皆無であろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私は泣いた、両親の死が悲しかったのか、私の境遇が悲しかったのか、これからの将来が不安なのか自分でも分からない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「ただただ嗚咽をあげながら泣いた、これほどまでに声を出して泣いたのはいつ以来だろうか、泣きながらそんなことを考えた」

彡(ﾟ)(ﾟ)「落ち着いてから私は工場に復帰した」
彡(ﾟ)(ﾟ)「工場に出勤すると、私が担当していた業務は別の人が引き継いでいた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私がいなくても誰も困らない、当然ではあるがそれを実感した瞬間だった」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私はその日を最後に工場を辞めた」

彡(ﾟ)(ﾟ)「私は誰からも必要とされていない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私は孤独である」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私が孤独であるということを他の誰もが認識していない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「70歳まで生きると仮定しても私は残り36年間生きることになる」
彡(ﾟ)(ﾟ)「36年間孤独に生きることに何の意味があるだろうか」
彡(ﾟ)(ﾟ)「一人で、誰からも干渉されることなく、子孫を残すこともなく、ただただ生きる」
彡(ﾟ)(ﾟ)「何かの罰だろうか、罰だとすれば私は何か悪い行いをしたのだろうか」
彡(ﾟ)(ﾟ)「こうやって何かのせいにしようとする思考がそもそも悪い行いなのかもしれない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私は歯車として社会の一部に属することさえできなかったのだ」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私の歯車は加速するのをやめた」

彡(ﾟ)(ﾟ)「ひどく1日が長く感じる」
彡(ﾟ)(ﾟ)「このまま36年間生きるのは苦痛でしかない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私はあまりにも時間を無駄に浪費しすぎた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「できることなら私の残りの36年間を誰かの寿命の足しにしてあげたいと切に願う」
彡(ﾟ)(ﾟ)「それが可能であれば私がこの世に存在した価値もあるだろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「必要とされる場所もきっとあるであろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私にとって無価値な36年間も有意義に使ってもらえるであろう」

彡(ﾟ)(ﾟ)「テスト1日前の学生にとっての1時間は価値のある1時間であろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「3時間ほど寿命を分け与えたら彼は欠点を免れるだろうか」
彡(ﾟ)(ﾟ)「駅前で待ち合わせをする恋人にとって10分は早々に過ぎ去って欲しい時間であろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「彼、彼女には時間を分け与える必要もないであろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「100m走の決勝で2位になった少年にとって1秒は喉から手が出るほど欲しかった1秒であろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「彼には寿命を分け与えたところで記録は変わらないが練習時間を増やすことはできるであろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「余命1年と宣告された患者にとって、家族にとって、それは・・・」

彡(ﾟ)(ﾟ)「私はあまりにも時間を無駄に浪費しすぎた」
彡(ﾟ)(ﾟ)「後悔という言葉だけでは言い表すことが出来ない」
彡(ﾟ)(ﾟ)「一度きりの人生をどれだけ軽んじて生きてきたことだろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「この歳になるとやり直しがきかないのだから」
彡(ﾟ)(ﾟ)「Time is moneyとはよくいったものである」
彡(ﾟ)(ﾟ)「いや、それすら正しい表現ではないであろう」
彡(ﾟ)(ﾟ)「私にとっての残り36年間は無価値に等しいのだから」
彡(ﾟ)(ﾟ)「時間を授けることはできないが反面教師として罵ってもらえれば私が存在した価値も少しはあるのだろうか」
彡(ﾟ)(ﾟ)「それすら私には分からない」

-------- 完 --------

え、何この救いのない話は

で、結局今おんjにスレ立てして時間無駄にしてる時点でなんも学んでないし
そんな奴の語ることに教訓もクソもないで

彡(ﾟ)(ﾟ) の特集へ ▶

彡(ﾟ)(ﾟ)「Time is moneyとはよくいったものである」

「彡(ﾟ)(ﾟ)」の最新SS