友「お前の彼女ってサバサバ系なんだって?」男(ていうかサバなんだけどね……)

2018年12月09日
友「お前の彼女ってサバサバ系なんだって?」男(ていうかサバなんだけどね……)

1: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:10:09.792 ID:FxS0e2tG0
友「よっしゃ、カラオケ行こうぜ!」

男「悪い、俺これから用事あるんだ」

友「あっ、もしかしてデートか?」

男「……まぁな」

友「聞いた話じゃ、お前の彼女ってサバサバ系なんだって?」

男「サバサバ系、ねえ……」

男(ていうか、サバなんだけどね……)

6: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:12:12.903 ID:FxS0e2tG0
男「お待たせー!」

サバ「あっ、来た来た~」ビチビチッ

男「待った?」

サバ「ううん、全然!」

男「よかったぁ~。それじゃ映画でも観に行こうか」

サバ「あっ、だったらサバイバル映画にしよっ!」

男(さすがサバ……)

8: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:15:06.364 ID:FxS0e2tG0
男「面白かったね」

サバ「うん、最高だったわ!」ビチビチッ

サバ「特に絶望的な状況でも最後まで諦めない主人公に感動しちゃった!」

男「分かる! やっぱ男ってのはああでなくっちゃね!」

サバ「うふふっ!」ビチッ

サバ「……う!」

10: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:17:24.228 ID:FxS0e2tG0
サバ「ハァ、ハァ、ハァ……」

男「ど、どうしたの!?」

サバ「息が苦しくて……地上にいすぎたかしら……」

男(かなり長い映画だったからな……)

男「すぐ近くに海がある! 急いで向かおう!」

サバ「あ、ありがとう……」

16: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:21:16.052 ID:FxS0e2tG0
― 海 ―

ザザーン…

男「さぁ、海だ!」

サバ「嬉しい~!」

男「ハハハ、まるで水を得た魚だね」

サバ「だってあたし、魚だもん!」

男「そっか!」

18: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:23:13.647 ID:FxS0e2tG0
男「待て~!」バシャバシャ

サバ「こっちこっち~!」スイスイ

男「やっぱり速いなぁ……俺も水泳やってたのに、とても泳ぎじゃ追いつけないよ」

サバ「えへへっ」スイスイ





サメ「青春だねえ……」

21: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:25:08.514 ID:FxS0e2tG0
友「彼女とはどうだ?」

男「ああ、うまくいってるよ」

友「いいなぁ~」

友「あ、そうだ! 今度お前の彼女に会わせてくれよ! 一度会ってみたかったんだ!」

男「ん~……いいけど」

25: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:30:04.057 ID:FxS0e2tG0
サバ「こんにちは~!」ビチビチッ

友「こ、こんにちは」

友(サバサバ系じゃなくて、まさかサバだったとは……)

友「えぇ~と、年はいくつなの?」

サバ「17歳ですっ」ビチビチッ

友「へぇ~、若いねえ!」

男(本当はもっと上なのに……サバ読んでやがる)

27: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:33:27.538 ID:FxS0e2tG0
ペチャクチャ… ペチャクチャ…

男「へぇ~、パソコン壊れちゃったのか」

友「ああ、買い換えたいけど、どれにしたらいいのか分からないんだよな」

サバ「あっ、だったらオススメのパソコンあるわよ!」

友「えっ、パソコン詳しいの?」

サバ「うん、あたしパソコン関係の仕事してるから!」

友「え、意外! そうなんだ!」

男「サーバー管理をやってるんだって」

男(サバだけに、ね……)

28: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:35:13.159 ID:FxS0e2tG0
2月14日――

サバ「そろそろ冷蔵庫から出してもいいかな……」

ジャン!

サバ「できた!」ビチビチッ

サバ「あたし手作りのチョコレート! 喜んでもらえるといいなぁ……」

30: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:38:12.065 ID:FxS0e2tG0
サバ「ねえ……」

男「ん?」

サバ「はいっ、バレンタインデーのプレゼント!」サッ

男「えっ、これはまさか……」

サバ「チョコレートよ!」ビチッ

男「……! 嬉しいよ、ありがとう!」

32: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:40:40.487 ID:FxS0e2tG0
男「さっそく、いただきます!」パクッ

男「……」モグモグ

ギトギト… ヌメヌメ…

男「うん、脂がよくのってておいしい!」

サバ「よかったー!」

男「……ん?」シュゥゥゥゥ…

34: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:43:52.304 ID:FxS0e2tG0
男「な、なんだ!? 体が急にスリムになって……!」シュゥゥゥ…

男「うおおおーっ! どうなってんだこれ!?」ガッシリ

サバ「きっとあたしの脂が作用したのよ!」

男「そうか! サバの脂には中性脂肪を減らすDHAやEPAが豊富だっていうもんね!」

男「おかげでダイエットできたよ! ありがとう!」

サバ(やだ……ますますステキになっちゃった……)ピチッ

35: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:47:08.715 ID:FxS0e2tG0
それからおよそ三週間後――

男(明日はいよいよ“あの日”だ……)

男(明日のために用意したプレゼントを、彼女に渡そう!)

男(――ん?)



TV『今日の≪おいしく健康≫ではサバを特集します』

36: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:49:06.243 ID:FxS0e2tG0
TV『サバはとっても栄養が豊富なんです!』

TV『しかし、いたみやすいという特徴もあるので、サバの水煮缶で食べるのがオススメです』

TV『なるほどぉ~』



男「……」

男(この番組って視聴率高いし、影響力すごいんだよな……)

男(なんだか嫌な予感がする……)

39: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:56:12.033 ID:FxS0e2tG0
次の日――

男「やぁ!」

サバ「急に呼び出してどうしたの?」

男「実は……渡したいものがあるんだ」

サバ(渡したいもの?)

サバ(ホワイトデーにはまだ早いし……なんだろ?)

40: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 00:58:05.100 ID:FxS0e2tG0
黒服A「動くな!」サッ

男「!」

サバ「!」

男「なんだお前……!?」

黒服B「おっと、こっちにもいるんだぜ!」ガッ

男「ぐわっ……!」ドサッ

サバ「何するのよ!」ビチビチッ

黒服A「ボスが昨日の≪おいしく健康≫を見て、サバの水煮缶を欲しがってるのだがどこも売り切れなのだ」

黒服A「女……お前にはボスのために水煮缶になってもらうぞ」

41: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:00:09.579 ID:FxS0e2tG0
黒服A「お前にはこっちに来てもらおうか!」ガシッ

黒服B「大人しくしやがれ!」ガシッ

サバ「いや……はなして! はなしてぇぇぇぇぇ!」ビチビチビチッ



男「待て……待てーっ!!!」

43: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:03:07.324 ID:FxS0e2tG0
男(彼女が連れ去られてしまった……)

男「くそう……どうすればいいんだ……」

サメ「取り戻すしかないだろうな」

男「サメさん!?」

サメ「奴らの匂いは覚えた……オレが連れていってやろう」

男「あ、ありがとう……!」

サメ「なぁに、オレもお前らの青春する姿を見て、ずいぶん癒やされた……その礼さ」

44: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:05:30.869 ID:FxS0e2tG0
ザバババババッ

サメ「着いたぞ。ここが奴らのいる屋敷だ」

サメ「オレはあまり陸では動けんから手伝うことはできん……許せ」

男「ここまで来れば大丈夫!」

男「俺が必ず彼女を取り戻してみせる!」

サメ「フッ、期待しているぞ」

47: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:07:51.279 ID:FxS0e2tG0
― 屋敷内 ―

黒服A「き、貴様は!? もう追いついてきたのか……」

男「彼女を返せ!」

黒服A「そういうわけにはいかんな……」

黒服A「我らのボスは健康食品の類が大好きでな。あの女はサバの水煮缶となるのだ!」

男「……だったら戦うまでだ!」

51: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:13:39.517 ID:FxS0e2tG0
黒服A「ちなみに貴様、身長はいくつだ?」

男「170cmだ!」

黒服A(なるほど……ならばこの間合いで戦えば相手の攻撃は届かない!)ササッ

男「でりゃっ!」

バキィッ!

黒服A「がふっ! ……な、なぜ!? この距離、身長170cmの手足では届かないはず……!」

男「実際には173cmだ」

黒服A「油断させるためにサバを読んでいたということか……」ガクッ

53: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:15:01.116 ID:FxS0e2tG0
黒服B「てめえはさっきの!」

男「さっきはよくもやってくれたな……今度はこっちの番だ!」

黒服B「ふん、また同じ目にあわせてやらぁっ!」

男「むんっ!」ガシッ

黒服B「ぐえっ!?」

黒服B(く、首を絞められ……!)

男「これが……“絞めサバ”だ」

黒服B「つ、つええ……」ガクッ

55: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:16:48.157 ID:FxS0e2tG0
男「お前がボスか!」

ボス「ほう、よくここまで来れたな……褒めてやろう」

サバ「来てくれたのね!」ビチビチッ

男「彼女を返せ!」

ボス「いいだろう……返してやる」

ボス「ただし……私を倒せたらなァ!!!」

56: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:18:57.616 ID:FxS0e2tG0
ボス「ゆくぞ!」シュバッ

ガッ! バキッ! ドカッ!

男「は、速い……!」

ボス「フフフ、日頃から健康食品を食べまくっている私に敵はない!」

ボス「死ねぇい!」

バキィッ!!!

男「ぐは……っ!」

サバ「いやぁぁぁっ! やめてぇぇぇっ!」ビチビチッビチビチッ

57: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:22:19.784 ID:FxS0e2tG0
男「ま、まだだ……!」ヨロッ…

ボス「まだ立てるのか……!」

男「どんな絶望的な状況でも、俺は諦めない……映画の主人公のように!」

ボス「主人公だと? 笑わせるな! 主役はこの私だ! お前はこれから死ぬのだ!」

男「……」ヨロヨロ… ガシッ

ボス「?」

ボス「なに抱きついてきているんだ。とっととはなさんか!」

男「抱きついたんじゃあない……これは――」

60: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:25:15.859 ID:FxS0e2tG0
男「必殺の“サバ折り”だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


バキボキベキバキボキゴキッ


ボス「ぐぎゃぁぁぁぁぁっ!!!」


ドサッ…


男「健康に自信があるらしいが、カルシウム不足だったな……」

64: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:28:28.054 ID:FxS0e2tG0
サバ「助けてくれてありがとう!」ビチビチッ

男「無事でよかった……」

男「ところで、はいこれ」スッ…

サバ「!」

サバ「これは……プランクトンで作った結婚指輪!?」

男「ああ、だって今日は3月8日……“サバの日”だろう?」

サバ「あっ……!」キュンッ

65: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:30:09.744 ID:FxS0e2tG0
男「結婚しよう」

サバ「はい……!」





サメ「青春だねえ……」


こうして二人は結婚した――

68: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:33:49.613 ID:FxS0e2tG0
それからおよそ10年後……


娘「ただいまー!」ドタバタ

男「お帰り」

サバ「お帰りなさい」

娘「今日も友達とたっぷり遊んできちゃった!」

男「……」

男「お前は俺たちの子供だけど……半魚人ってことでイジメられたりしてないか?」

娘「ん~」

娘「そりゃあ、時々からかわれることはあるけど……」

71: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:36:19.497 ID:FxS0e2tG0
娘「全然気にしないしー! そんな奴はウロコでゴリゴリしてやるしー!」

娘「それに水泳じゃ、あたしに勝てる奴一人もいないんだから!」

娘「むしろ半魚人って生まれてよかったーって思ってるわ!」

男「我が娘ながら、サバサバしてるなぁ……頼もしい」

サバ「いったい誰に似たのかしらねえ……」





おわり

77: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 01:43:09.666 ID:kTIje9xX0
わけがわからないのに面白いというわけのわからない現象

78: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 02:05:50.962 ID:Fiz8dP/Dr

鯖尽くしなSSだった

79: VIPがお送りします 2018/10/16(火) 02:10:00.367 ID:4OY2ii+20
よくわかんないけど面白かった
よくわかんないけど

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