借金取り「水商売してもらおうかぁ!」女「許して下さい……!」

2019年03月10日
借金取り「水商売してもらおうかぁ!」女「許して下さい……!」

1: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:05:16.941 ID:m4Pg5IRT0
借金取り「今日こそ借金を耳を揃えて返してもらおうかぁ!」

女「あと少しだけ、あと少しだけ待って下さい……」

借金取り「待てねえ!」

女「そんな……」

借金取り「こうなったらしかたねえ。あんたにゃ、水商売してもらおうかぁ!」

女「水商売だなんて……許して下さい……!」

借金取り「ダメだ! その若さとルックスでしっかり商売してもらうぜ!」ニヤ…

9: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:08:29.712 ID:m4Pg5IRT0
女「分かったわ」

借金取り「へ」

女「脱げばいいんでしょ、脱げば」ヌギッ…

借金取り「お、落ち着け!」

女「なにいってんの! あんたが水商売しろっていったんでしょ!」

借金取り「だからっていきなり脱ぐやつがあるか! 水商売イコール脱ぐっておかしいだろ!」

女「でも露出多いに越したことないでしょ?」ヌギヌギ

借金取り「やめろぉっ!」

借金取り「俺がいった水商売は、普通の水商売とは違うんだ!」

女「へ」

12: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:11:08.620 ID:m4Pg5IRT0
女「あ、もしかして水は海ってことでマグロ漁?」

女「私、遠洋漁業の経験あるから、そっちのがいいかも!」

借金取り「マ、マジか……どんな人生送ってんだ」

借金取り「だけどそれも違うんだ!」

女「じゃあ何しろってのよ! まどろっこしいわね!」

借金取り「飲料水を売ってもらう」

17: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:15:11.340 ID:m4Pg5IRT0
借金取り「売ってもらう水は、これだ」


『超神秘☆激ウマ水』


女「うわ……うさんくさ」

女「で、値段は?」

借金取り「500ml 200円」

女「高っ! ぼったくりよ! こんなの売れるわけないじゃない!」

借金取り「売るんだよ! これをある程度売ったら、借金はチャラにしてやる!」

女「ええい! やればいいんでしょ、やれば!」

21: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:18:34.104 ID:m4Pg5IRT0
女(こんな水、どうやって売ればいいんだろう……)

女(とりあえず、野球場の売り子さんみたいに売り歩いてみるか……)

女「お水いかがですか~?」

通行人「いくら?」

女「200円です」

通行人「高え! そこの自販機で買った方が安いじゃん!」

女「ですよね~」

22: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:22:37.809 ID:m4Pg5IRT0
ドッサリ…

女「全然売れない……」

女「そりゃそうよ!」

女「水道水がただで飲めて、コンビニでもミネラルウォーターを100円で買える時代よ!?」

女「なにが悲しくて200円で水を買うってのよ! エナジードリンクじゃあるまいし!」

女「こんなもん、売れるわけないじゃない!」

女「プレステVR欲しがってる子にバーチャルボーイ売りつける方がまだ可能性あるわよ!」

24: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:25:14.460 ID:m4Pg5IRT0
借金取り「どうだ、売れたか?」

女「全然ダメ~」

借金取り「なんで!?」

女「決まってるでしょ? 値段が高いからよ!」

女「ねえ、せめて値段を下げさせてくれない? 150円ならまだ勝負できるかも」

借金取り「ダメだ! こっちにもプライドがある! 値段はこのままだ!」

女「えぇ~……」

25: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:29:44.468 ID:m4Pg5IRT0
女「だったらさ、水素水とかいって売っちゃおうよ」

借金取り「ダメ!」

女「マイナスイオンたっぷりってことにするとか」

借金取り「それもダメ!」

女「その辺の人気ミネラルウォーターに毒を混入して、不安を煽って売りつけるとか」

借金取り「恐ろしいこと考える奴だな!」

借金取り「全部却下!」

借金取り「俺はあくまでこの水の実力で商売したいんだ!」

女「なにが実力よ……値段も実力のうちだっての」ブツブツ…

女「じゃ、飲んでみるか」グビッ

30: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:33:49.657 ID:m4Pg5IRT0
女「…………!」

借金取り「……どう?」

女「うっま! なにこれうっま!」

女「ちょっと……冗談抜きでこんなおいしい水飲んだの初めてなんだけど!」

女「別に私、水にうるさいわけでもなんでもないけど、これはうまいわ!」ゴキュゴキュ

女「これだったら私……300円、いやもっと出してもいいかも!」ガブガブ

借金取り「だろ?」

女「ああ……ペットボトル逆さにして最後の一滴まで飲み干したい……」ポタ…ポタ…

33: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:36:38.524 ID:m4Pg5IRT0
すると――

ワイワイ… ガヤガヤ…

「俺にも一本くれ!」 「私にも!」 「うまそうだ!」 「一本ください!」



女「え……」

借金取り「なんでいきなり……?」

女「そっか、今の私のリアクションがコマーシャルになったんだ!」

借金取り「…………」ポカーン

女「なにぼさっとしてんの! 商売商売!」

借金取り「お、おう!」

34: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:39:25.917 ID:m4Pg5IRT0
女「やったー、完売!」

借金取り「……ありがとよ」

借金取り「これでスッキリした。もう悔いはねえ。あんたを選んだ俺の目に狂いはなかった」

女「だけど、まだ売上は借金返せるほどじゃ……」

借金取り「いいよもう。借金は俺が立て替えておいてやるよ。大した額じゃねえし」

女「…………!?」

女「あんた……なんなの? 何者なの?」

借金取り「知りたいか?」

女「知りたい!」

借金取り「じゃあ、ついてきな。少し長い旅になる」

37: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:43:29.960 ID:m4Pg5IRT0
……

山奥の村――

借金取り「ふぅ、やっと着いた」

女「のどかでいいところね。ここは……?」

借金取り「俺の故郷さ。人口100人にも満たない小さな村だがよ」

女「あなたのふるさと……」

借金取り「あの『超神秘☆激ウマ水』はこの村の湧き水でしか採れないんだ」

39: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:46:24.160 ID:m4Pg5IRT0
チョロチョロ…

借金取り「これがその湧き水だ」

女「へぇ~」

借金取り「飲んでみてくれ」

女「あっ、うまっ!」

女「だけど、多少味が落ちるかも……」

借金取り「この村に伝わる特殊な採水法を使わないと、わずかに味が落ちちまうんだ」

借金取り「だから、値段も多少高めにしなきゃならなかったんだ。利益出ねえからな」

40: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:50:29.682 ID:m4Pg5IRT0
女「ちなみにこの水っておいしいだけなの?」

借金取り「いや、健康にもとてもいい!」

借金取り「これを飲んでれば、お肌つやつや、病気知らず、若さだって保たれるって代物だ」

女「それをもっとウリにしなさいよ……」

借金取り「あくまで味で勝負したかったんだよ!」

女「でも、副作用とか大丈夫なの? これだけおいしいと、逆に不安になってくるけど……」

借金取り「たまたまこの村に来た東大名誉教授が大丈夫っていってたから大丈夫だ」

女「東大名誉教授がいうなら大丈夫ね!」

43: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:55:10.503 ID:m4Pg5IRT0
借金取り「だけど、この村は……もうすぐダムに沈む」

女「え!?」

借金取り「以前、役人がこの村に来て――」


役人『こんなさびれた村を残していてもなんのメリットもありませんからね』

役人『家屋は全て破壊して、ダムにしてしまいましょう』


借金取り「だから俺は村を守るため、村の名産品『超神秘☆激ウマ水』を売ろうと都会に出てきたんだが」

借金取り「全然売れなくて……メリットを示すことはできなかった」

借金取り「だが、最後の最後、あんたのおかげでちょっとは売ることができた」

借金取り「だから……今は満足してるよ」

女「ちょっとちょっと、なに諦めてるのよ!」

45: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 01:58:28.538 ID:m4Pg5IRT0
女「やっとあんたも商売の仕方が分かったところでしょ?」

女「これからもっと本格的に売ろうよ! ちゃんとお店や会社みたいなの作ってさ!」

借金取り「ダメなんだ」

借金取り「俺は水が売れなくて途方に暮れてる時、ある悪人から借金して手下になっちまった」

借金取り「借金こそ返したが、俺は手下のままだ。だから借金取りなんかやってたんだけど」

借金取り「あの人の手下であるうちには、そんなまともな商売はさせてもらえねえさ」

女「だったら足を洗おう!」

借金取り「足を洗うって……どうやって」

女「その悪人さんに退職しますっていうのよ!」

借金取り「えええ!?」

女「さ、都会に戻るよ!」

49: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:02:49.093 ID:m4Pg5IRT0
悪人の事務所――

悪人「ハァ? 足を洗いたいだぁ……!?」ビキビキッ

借金取り「す、すみませんっ!」

女「お願いしますっ!」

悪人「お前は足手まといだったから惜しくもねえが、こっちにもメンツってもんがある」

悪人「ケジメとして指くらい詰めてみろや。小指よこせや」

借金取り「……もう詰めました、どうぞ」サッ

悪人「ほう……」

悪人「いいだろう、好きにしろよ」

借金取り「ありがとうございます!」

女「ありがとうございます!」

52: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:05:23.372 ID:m4Pg5IRT0
女「…………」

借金取り「…………」

女「やったわね!」

借金取り「いやぁ~、まさかうまくいくとは思わなかったよ」

女「あれは小指じゃなくてソーセージなのにね!」

借金取り「あの人、相当目悪かったんだな……」

女「というより、頭が悪かったんじゃない?」

55: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:08:48.160 ID:m4Pg5IRT0
悪人「…………」

手下A「アニキ?」

手下B「どうしました? なんか寂しそうですね」

手下A「もしかして足洗ったあいつのことっすか?」

手下B「あいつはワルになりきれねえ足手まといですよ! やめさせてよかった!」

手下A「って、なんすかそれ? ソーセージ?」

悪人「いや……これは小指だよ」

モグモグ…

悪人「ふん、ずいぶんとうまい小指じゃねえか」ゴクッ

57: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:11:51.277 ID:m4Pg5IRT0
山奥の村――

借金取り「いいか、村のみんな! 俺たちは村総出でこの『超神秘☆激ウマ水』を売る!」

女「私がサイトを作って、通信販売もやってあげるわ!」

借金取り「みんなで売上を伸ばして、村を残すメリットを示して、ダム建設をストップさせるんだ!」



オーッ!

オオーッ!

58: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:15:35.531 ID:m4Pg5IRT0
プルルルル… プルルルル…

村人A「お電話ありがとうございます!」

村人B「100本ご注文ですね! ありがとうございます!」

村人C「はい、東大名誉教授も副作用はないと太鼓判を……」


女「本格的に広告を出して、売上は順調ね!」

借金取り「ああ、これなら役人もダム建設を中止してくれるはずだ!」

女「でも湧き水は大丈夫? 枯渇しちゃわない?」

借金取り「枯渇どころか、あの通りはりきってるよ」

借金取り「まるで自分がおいしく飲んでもらえてることを喜んでるみたいだ」


ドバババババババ…


女「いい子ね」

61: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:20:41.078 ID:m4Pg5IRT0
ところが――

役人「ごきげんよう、地図から消える村の皆さん」

役人「そろそろこの村を潰させてもらいますよ。これ以上、存続させる意味はありませんからね」

借金取り「待ってくれ!」

借金取り「『超神秘☆激ウマ水』の売上が伸びてるんだ! もうこの村を潰す理由はないはず!」

女「そうよそうよ!」

役人「たかが飲料水が売れたからどうしたというのです」

役人「こんな村は潰して、ダムにしてしまった方がよっぽど利益になるというもの」

役人「さ、ダム建設業者の皆さん、強行突入するのです!」



ワァァァァァッ!!!

62: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:23:28.433 ID:m4Pg5IRT0
「やっちまえーっ!」 「たたき壊せーっ!」 「オラ、どけぇっ!」

ドガシャァンッ! ドカァンッ! ドカァンッ!



借金取り「ああっ、俺たちの村が……!」

女「あれのどこが建設業者よ! どう見てもただの荒くれ者じゃない!」

役人「人聞きの悪い。彼らはれっきとした建設会社社員ですよ」

役人「ただし、明日にはもう辞めているでしょうが」

女「このためだけに雇ったってわけね……」

借金取り「結局、暴力で解決するのか……なんて汚い奴らだ!」

66: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:26:49.996 ID:m4Pg5IRT0
借金取り「役人! どうしてお前はここまでダム建設に固執するんだ!?」

借金取り「そんなに業者からの利益が欲しいのか!?」

役人「それもありますが、ダム建設というのは公共事業の華ですからね」

役人「役人になったからには、一つぐらいダムを完成させてみたいじゃないですか!」

役人「ダム建設! これこそ究極の水商売なのです!!!」

借金取り「くっ……話し合いが通じる相手じゃねえ……!」

女「ど、どうしよう……?」

借金取り「ダメだ……力ずくで来られたらどうしようもない……!」





「諦めんじゃねえ!!!」

69: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:30:34.917 ID:m4Pg5IRT0
女「こ、この声は――」

借金取り「悪人さん!?」

悪人「風の便りで、おめえのピンチだって聞いてよぉ……助けに来てやったぜ」

借金取り「ど、どうして俺を……」

悪人「“元”とはいえ手下のピンチだ。兄貴分として放っておくわけにもいかねえだろ」

悪人「それに俺も『超神秘☆激ウマ水』のファンだからな」グビッ

借金取り「あ、ありがとうございますっ!」

悪人「泣くなバカ」

悪人「おめえら、あのバカどもを叩き出せ!」

手下A「へい!」

手下B「喧嘩なら負けねえ!」



役人「くっ……なんだあのチンピラどもは! さっさと蹴散らせ!」

70: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:33:25.666 ID:m4Pg5IRT0
ワァァァァ……! ワァァァァ……!

ドカッ! バキッ! ドコッ! ガッ! バシッ! ドゴッ!



女「すごいすごい! 悪人さんの手下さんたち強い!」

借金取り「本当になんてお礼をいっていいか……」

悪人「礼なんていらねえよ。好きでやってるだけだ」

悪人「……ところでおめえ、ちゃんと指十本あるな」ニヤッ

借金取り「あ、これは……は、生えてきたんですっ!」

悪人「アホか」

71: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:37:24.766 ID:m4Pg5IRT0
東大名誉教授「ワシも手伝おう!」ザッ

借金取り「あなたは東大名誉教授!?」

東大名誉教授「ワシの水研究に協力してくれた村が潰されると聞いて、放ってはおけんじゃろう」

女「だけど、相手は強硬手段に出てます! 危ないからすぐ東京に戻って!」

東大名誉教授「心配いらんよ」

荒くれ者「ジジイ、どけっ!」

バキィッ!

荒くれ者「ぐほっ……」ドサッ

東大名誉教授「これでもプロボクシングのライセンスを持ってるのじゃよ。空手も三段じゃ」

借金取り「文武両道ってわけですか……」

72: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:40:34.799 ID:m4Pg5IRT0
悪人「…………」

東大名誉教授「…………」

悪人「久しぶりだな、親父」

東大名誉教授「ふん、勘当したバカ息子とともに戦う日が来るとはのう」

悪人「もし、あんたが戦力になったら、息子に戻ってやってもいいぜ」

東大名誉教授「それはこっちの台詞じゃ。足を引っぱるなよ」

女「なんかすごい因縁が明らかになったわ!」

74: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:44:48.261 ID:m4Pg5IRT0
悪人「オラァッ!」

バキィッ!

東大名誉教授「ほいっ」

ドゴォッ!


借金取り「あの二人……さすが実の父子だけある。抜群のコンビネーションだ!」

女「これなら、力で来られたって負けないわよ!」



役人「……おのれえ」ギリッ

役人「こうなったら重機を出せ! 奴ら全員押し潰してやるんだ!」

75: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:47:18.378 ID:m4Pg5IRT0
借金取り「おい! まだ人がいるのに重機駆り出すなんて、血迷ったのか!」

役人「血迷ってなんかいませんよ。私は至極冷静です」

役人「もはや手段は選びません。ダム建設を邪魔する者には死あるのみ、です」

役人「さあ、ここにいる連中を全員ダムの底に沈めてやりなさい!」


ゴゴゴゴゴ……! グオングオン……!

メキメキメキ… バキバキバキ…



悪人「ムチャクチャしやがる! 俺なんかよりよっぽど極悪人じゃねえか!」

東大名誉教授「くっ、さすがに重機を持ち出されたらどうしようもないのう……」

76: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:51:00.157 ID:m4Pg5IRT0
ゴゴゴゴゴ……! グゴゴゴゴゴ……!


メキメキメキ…! バリバリバリ…!



借金取り「村が……! 俺の故郷が……!」

借金取り「ちくしょう、こうなったら俺が体を張って止めてやる!」

女「ダメ! 死んじゃうよ!」ガシッ

借金取り「だったらどうしろっていうんだよ! このまま村を破壊されるのを見てろってのか!?」

女「ううん……まだ私たちには武器があるじゃない」

借金取り「武器? 武器なんてどこにも……」

女「これよ。『超神秘☆激ウマ水』!」

77: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:55:37.245 ID:m4Pg5IRT0
借金取り「おい役人!」

役人「なんですか?」

借金取り「最後の頼みだ……これを飲んでくれ。『超神秘☆激ウマ水』を」

役人「まさか毒が入ってるんじゃないでしょうね?」

借金取り「そんなことするか! 村を潰される前に、せめてこの味は知って欲しいんだよ!」

役人「ふっ、まぁいいでしょう、ちょうどノドが渇いてましたしね」ゴクッ





役人「うんまぁぁぁぁぁい!!!」

78: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 02:59:45.700 ID:m4Pg5IRT0
役人「これはなんだ……? 女神の涙か? 天国の雫か? う、うますぎる!」

役人「ああ……私はなんという愚かなことを……!」

役人「こんなおいしい水を生み出せる村を、潰そうとしていたなんて……!」

役人「私が間違っていました……ダム計画は白紙にしましょう!」


ワアァァァァァ……!



女「やったぁ! 『超神秘☆激ウマ水』が勝ったんだわ!」

東大名誉教授「うまい水は心をも清めるという……見事!」

悪人「これで解決するんなら最初から飲ませとけボケ、っていってやりたいが我慢するぜ」

借金取り「皆さん、本当にありがとうございました!」

80: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 03:03:22.479 ID:m4Pg5IRT0
東大名誉教授「…………」

悪人「…………」

東大名誉教授「たまには家に顔を出せ。母さんが喜ぶ」

悪人「……おう」



女「父子関係も少し修復されたみたいね」

借金取り「ああ、できれば悪人さんも足を洗って欲しいな……」

女「そう簡単にはいかないだろうけどね」

83: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 03:06:48.689 ID:m4Pg5IRT0
借金取り「それにしても今まで本当にありがとう」

借金取り「お前がいなきゃ、俺もこの村ももう終わってた。本当に助かったよ」

女「ちょっと待って」

借金取り「!」

女「なに全て終わったみたいなツラしてんの。まだまだこれからどころか、今がスタート地点でしょ」

女「それに、あんたに立て替えてもらった借金、まだ返してないしね」

借金取り「は? いいよ、返さなくて」

女「いや! 絶対あんたに返してやる! だからそれまでは一緒にいさせて!」

借金取り「……分かったよ」

借金取り「だったら俺からもいわせてくれ」

84: VIPがお送りします 2017/12/21(木) 03:10:20.749 ID:m4Pg5IRT0
借金取り「お前との出会いをここで終わらせたくはない。いや、今をスタート地点にしたい」

女「!」

借金取り「これからもっと忙しくなるだろうし、俺の人生には……お前が必要だ」

借金取り「これからもずっと……俺と水商売してくれないか?」

女「……はい」





おわり

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