【後編】女騎士「女魔法使いが結婚、ですか」
203: VIPがお送りします 2018/03/25(日) 19:19:02.060 ID:9ZyHGvO90
勇者「……一度、賭けに出ようと思う」
女騎士「何か考えがあるのですね?」
勇者「付き合ってくれるか?」
女騎士「もちろんですっ」
女騎士「あっ、でもあんまり勇者さまが危ない方法ならダメですよ」
勇者「……善処するよ」
女騎士「何か考えがあるのですね?」
勇者「付き合ってくれるか?」
女騎士「もちろんですっ」
女騎士「あっ、でもあんまり勇者さまが危ない方法ならダメですよ」
勇者「……善処するよ」
207: 予想者こわい 2018/03/25(日) 19:37:29.588 ID:9ZyHGvO90
馬刺し「ヒヒーン!」バサバサッ
魔物使い「ふん。焦れて突貫して来たか。それともこちらの狙いに気付いたか?」
魔物使い「何にせよ、そう簡単に近付けるとは思うなよ」
キメラの群れ「GAAAAAAAAAAAAAA!」
魔物使い「ふん。焦れて突貫して来たか。それともこちらの狙いに気付いたか?」
魔物使い「何にせよ、そう簡単に近付けるとは思うなよ」
キメラの群れ「GAAAAAAAAAAAAAA!」
208: VIPがお送りします 2018/03/25(日) 19:38:11.828 ID:9ZyHGvO90
女騎士「……やはり、集めてきましたね」
勇者「ああ」
女騎士「……本当にやるんですか?」
勇者「俺を信じられないか?」
女騎士「……もうっ! そういう言い方はずるいです!」
勇者「ああ」
女騎士「……本当にやるんですか?」
勇者「俺を信じられないか?」
女騎士「……もうっ! そういう言い方はずるいです!」
212: VIPがお送りします 2018/03/25(日) 20:05:08.617 ID:9ZyHGvO90
勇者「行くぞっ!」
タンッ!
魔物使い「なっ……跳んだだと!?」
勇者「うおっと」
タンッ、タンッ、タタンッ
キメラ「GAAAAAA?」
魔物使い「密集したキメラどもを足場に……!?」
魔物使い「まずい!」
タンッ!
魔物使い「なっ……跳んだだと!?」
勇者「うおっと」
タンッ、タンッ、タタンッ
キメラ「GAAAAAA?」
魔物使い「密集したキメラどもを足場に……!?」
魔物使い「まずい!」
213: VIPがお送りします 2018/03/25(日) 20:05:57.865 ID:9ZyHGvO90
勇者「ようやく近くで顔を拝めたな、魔物使い!」スタッ
魔物使い「クッ……!」
勇者「うおおおお!!」
魔物使い「躱せ!!!」
キメラ「GAAAAAAAA!」バサバサッ
魔物使い(間に合え……!)
ズバッ!
魔物使い「クッ……!」
勇者「うおおおお!!」
魔物使い「躱せ!!!」
キメラ「GAAAAAAAA!」バサバサッ
魔物使い(間に合え……!)
ズバッ!
214: VIPがお送りします 2018/03/25(日) 20:06:43.847 ID:9ZyHGvO90
キメラ「GAAAAAAAA!?」グラグラッ
魔物使い「クッ! キメラの片翼が!」
勇者「……外したっ!」
女騎士「もうっ! だから言ったじゃないですか!」バサバサッ
勇者「来るな女騎士! 立て直す前にあいつをやれ!」
女騎士「でも!」
勇者「俺はこの高さなら大丈夫だ!」
ヒューーーーーー…………
タノンダゾー!
女騎士「勇者さまっ……」
魔物使い「クッ! キメラの片翼が!」
勇者「……外したっ!」
女騎士「もうっ! だから言ったじゃないですか!」バサバサッ
勇者「来るな女騎士! 立て直す前にあいつをやれ!」
女騎士「でも!」
勇者「俺はこの高さなら大丈夫だ!」
ヒューーーーーー…………
タノンダゾー!
女騎士「勇者さまっ……」
215: VIPがお送りします 2018/03/25(日) 20:07:43.115 ID:9ZyHGvO90
女騎士(けど、今の魔物使いはキメラたちに指示を出せない上、落下しかけています!)
女騎士「なら……聖槍よ!」
魔物使い「はぁ……はぁ……」
魔物使い「……!! まずい、散れ!!」
女騎士「遅いです!」
ドパァァァン!!
女騎士「なら……聖槍よ!」
魔物使い「はぁ……はぁ……」
魔物使い「……!! まずい、散れ!!」
女騎士「遅いです!」
ドパァァァン!!
216: VIPがお送りします 2018/03/25(日) 20:15:22.738 ID:9ZyHGvO90
ドシィィィン!
勇者「……………………」
勇者「……………………」ムクリ
勇者「……覚悟はしてても、やっぱ痛いものは痛いな」
パラパラ…
勇者「あいつは頼んだぜ、女騎士」
騎士A「あっ! 勇者様!!」
勇者「!」
騎士A「ようやく見つけた……! 大変なんです! 王宮が……王宮が!!」
勇者「王宮が……!? 詳しく聞かせてくれ」
勇者「……………………」
勇者「……………………」ムクリ
勇者「……覚悟はしてても、やっぱ痛いものは痛いな」
パラパラ…
勇者「あいつは頼んだぜ、女騎士」
騎士A「あっ! 勇者様!!」
勇者「!」
騎士A「ようやく見つけた……! 大変なんです! 王宮が……王宮が!!」
勇者「王宮が……!? 詳しく聞かせてくれ」
218: VIPがお送りします 2018/03/25(日) 20:30:34.382 ID:9ZyHGvO90
ドシュッ! ズガッ!
キメラ「GAAAAAA……」
女騎士「はぁ、はぁ……先ほどの攻撃でキメラのほとんどを失ったというのに、まだやるのですか!」
魔物使い「……当然だ。勇者は取り逃がしたが、お前にはここで消えてもらうぞ女騎士」
女騎士(これまでの魔物使いは、旗色が悪くなるとすぐに逃走する性質でした……)
女騎士(だからこそ厄介だったというのに……やはり……)
キメラ「GAAAAAA……」
女騎士「はぁ、はぁ……先ほどの攻撃でキメラのほとんどを失ったというのに、まだやるのですか!」
魔物使い「……当然だ。勇者は取り逃がしたが、お前にはここで消えてもらうぞ女騎士」
女騎士(これまでの魔物使いは、旗色が悪くなるとすぐに逃走する性質でした……)
女騎士(だからこそ厄介だったというのに……やはり……)
219: VIPがお送りします 2018/03/25(日) 20:32:41.865 ID:9ZyHGvO90
女騎士「魔物使い……あなたの狙いは、時間稼ぎですね?」
魔物使い「…………」
女騎士「あなたの性格なら、ここは万全を期して逃げるはずです。それを押してまで戦いを続けるなんて、一体何を企んでいるのですかっ!」
魔物使い「……何度も言わせるな。目障りなお前にはここで倒れてもらうというだけだ」
キメラ「GAAAAAA!」
女騎士「くっ……」
ザシュッ!
女騎士(魔物使いも、この状況で勝てるとは考えていないはず)
女騎士(いったい……何を……!)
魔物使い「…………」
女騎士「あなたの性格なら、ここは万全を期して逃げるはずです。それを押してまで戦いを続けるなんて、一体何を企んでいるのですかっ!」
魔物使い「……何度も言わせるな。目障りなお前にはここで倒れてもらうというだけだ」
キメラ「GAAAAAA!」
女騎士「くっ……」
ザシュッ!
女騎士(魔物使いも、この状況で勝てるとは考えていないはず)
女騎士(いったい……何を……!)
254: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 03:28:28.469 ID:94SIIWfZ0
王宮、王の間
呪術師「……………………」
呪術師「……ここが、そうか」
ドタドタッ
バァン!
騎士団長「陛下!」
呪術師「……………………」
呪術師「……ここが、そうか」
ドタドタッ
バァン!
騎士団長「陛下!」
255: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 03:29:54.437 ID:94SIIWfZ0
呪術師「…………人間」
騎士「お前は……魔王軍の!」
騎士団長「貴様……陛下をどうした!」
呪術師「王は死んだ」
騎士団長「……!! ……なんという……!!」
騎士団長「貴様ァ!!」
ズバッ!
下級悪魔「ギィィィ!」
呪術師「ククク……良き、黒き感情だ」
騎士「お前は……魔王軍の!」
騎士団長「貴様……陛下をどうした!」
呪術師「王は死んだ」
騎士団長「……!! ……なんという……!!」
騎士団長「貴様ァ!!」
ズバッ!
下級悪魔「ギィィィ!」
呪術師「ククク……良き、黒き感情だ」
256: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 03:37:17.301 ID:94SIIWfZ0
ズバッ! ドガッ!
勇者「はぁ……はぁ……、くそっ、王宮の中が魔物だらけだ……!」
タタタ…
勇者「!」
勇者「近衛の人……!」
近衛兵「……ぐ……勇者殿か……!」
勇者「はぁ……はぁ……、くそっ、王宮の中が魔物だらけだ……!」
タタタ…
勇者「!」
勇者「近衛の人……!」
近衛兵「……ぐ……勇者殿か……!」
257: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 03:40:03.216 ID:94SIIWfZ0
近衛兵「はぁ、はぁ……すまない……君たちが外で戦っているという時に……油断した……! 不甲斐ない……不甲斐ない……!」
勇者「奴らは、どこに!」
近衛兵「……わからない……はぁ……だが、王の間……!」
勇者「王の間……!」
近衛兵「随分前にそちらに向かうのを見た……私は、それから気を失ってしまったが……何が起きているのか把握できていない……陛下が……陛下が心配だ……」
勇者「わかった。俺が見てくる。アンタはそこに隠れていてくれ」
勇者「奴らは、どこに!」
近衛兵「……わからない……はぁ……だが、王の間……!」
勇者「王の間……!」
近衛兵「随分前にそちらに向かうのを見た……私は、それから気を失ってしまったが……何が起きているのか把握できていない……陛下が……陛下が心配だ……」
勇者「わかった。俺が見てくる。アンタはそこに隠れていてくれ」
259: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 04:07:52.718 ID:94SIIWfZ0
ザシュッ! ズガッ!
ズバッ! ドガッ!
タタタ…
バァン!
勇者「王様!!」
呪術師「!! 勇者か……!」
呪術師「魔物使いめ……何をやっている……!」
勇者「呪術師……! 王様をどこへやった!」
呪術師「ククク……奴か。人間どもの王ということで少しは楽しみにしていたんだがな……」
呪術師「そこらの人間と大して変わらない魂の質……失望したよ」
勇者「てめえ!!」
ズバッ! ドガッ!
タタタ…
バァン!
勇者「王様!!」
呪術師「!! 勇者か……!」
呪術師「魔物使いめ……何をやっている……!」
勇者「呪術師……! 王様をどこへやった!」
呪術師「ククク……奴か。人間どもの王ということで少しは楽しみにしていたんだがな……」
呪術師「そこらの人間と大して変わらない魂の質……失望したよ」
勇者「てめえ!!」
261: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 04:09:48.037 ID:94SIIWfZ0
呪術師「おっと。動くなよ勇者」
ジャキッ
勇者「なっ!? アンタは……!」
騎士団長「……………………勇者……殿…………」ギギ…
呪術師「人間にしては、中々使える強さと魂の質だ。ここの王族や、そこらに転がっている騎士どもとは大違いだ」
勇者「騎士団長に何をした!!」
呪術師「私を誰だか忘れたか……? 今や神官や魔術師の真似事をすることが多いが、私の本分はこちらだ」
ジャキッ
勇者「なっ!? アンタは……!」
騎士団長「……………………勇者……殿…………」ギギ…
呪術師「人間にしては、中々使える強さと魂の質だ。ここの王族や、そこらに転がっている騎士どもとは大違いだ」
勇者「騎士団長に何をした!!」
呪術師「私を誰だか忘れたか……? 今や神官や魔術師の真似事をすることが多いが、私の本分はこちらだ」
262: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 04:10:40.449 ID:94SIIWfZ0
呪術師「もっとも、以前の戦いではそう披露する機会は無かったがな」
呪術師「貴様を……貴様らを見くびっていた」
呪術師「もう同じ過ちを繰り返すつもりはない。勇者……覚悟をすることだ……!」
呪術師「貴様を……貴様らを見くびっていた」
呪術師「もう同じ過ちを繰り返すつもりはない。勇者……覚悟をすることだ……!」
263: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 04:26:35.138 ID:94SIIWfZ0
女騎士「やぁーーーーーー!!」
ズドン!
キメラ「GAAAAAAAAAA……!!」
女騎士「そこですっ!」
ドシュッ!
魔物使い「ぐ…………がはっ…………」
魔物使い「ここまでか……」
魔物使い「フ……フフッ……これでいい……これで……!」
シュウウウウウウウ……
女騎士「魔物使い……あなたは……!」
ズドン!
キメラ「GAAAAAAAAAA……!!」
女騎士「そこですっ!」
ドシュッ!
魔物使い「ぐ…………がはっ…………」
魔物使い「ここまでか……」
魔物使い「フ……フフッ……これでいい……これで……!」
シュウウウウウウウ……
女騎士「魔物使い……あなたは……!」
264: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 04:28:36.341 ID:94SIIWfZ0
カッ!
馬刺し「ブルルッ」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「一度城門へ戻りましょう……少し様子がおかしいです」
魔法使い「女騎士!」
女騎士「!」
女騎士「魔法使いさん、戦士さん!」
戦士「僧侶と武闘家も一緒だ」
僧侶「女騎士さん、今傷を治癒しますね」
女騎士「ありがとうございます、僧侶さん」
武闘家「勇者はどこへ行った。女騎士と一緒と思っていたが」
女騎士「それが……」
馬刺し「ブルルッ」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「一度城門へ戻りましょう……少し様子がおかしいです」
魔法使い「女騎士!」
女騎士「!」
女騎士「魔法使いさん、戦士さん!」
戦士「僧侶と武闘家も一緒だ」
僧侶「女騎士さん、今傷を治癒しますね」
女騎士「ありがとうございます、僧侶さん」
武闘家「勇者はどこへ行った。女騎士と一緒と思っていたが」
女騎士「それが……」
266: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 04:45:09.338 ID:94SIIWfZ0
魔法使い「空から落ちた? そんなのでどうにかなる奴じゃないでしょう」
戦士「あのやろう、どこで油を売ってやがる」
僧侶「でも、今の勇者様は聖剣を……」
武闘家「僧侶。あいつは聖剣など無くても高所からの落下で死ぬような奴ではないだろう……それに、見ろ」
女騎士「あっ、地面が人の型で抉れています」
魔法使い「このシルエットは勇者ね」
戦士「あのやろう、どこで油を売ってやがる」
僧侶「でも、今の勇者様は聖剣を……」
武闘家「僧侶。あいつは聖剣など無くても高所からの落下で死ぬような奴ではないだろう……それに、見ろ」
女騎士「あっ、地面が人の型で抉れています」
魔法使い「このシルエットは勇者ね」
267: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 04:45:29.329 ID:94SIIWfZ0
戦士「……わかるのか?」
魔法使い「適当に言っただけよ」
魔法使い「適当に言っただけよ」
269: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 04:46:36.568 ID:94SIIWfZ0
女騎士「落ちてきた位置もこの辺りですし、勇者さまですね」
武闘家「ここに死体が無いということは、おそらくどこかへと向かったのだろう」
魔法使い「まだ戦ってる女騎士を置いていくなんて……もうっ」
僧侶「でもよかった。無事のようですね」
戦士「久々にあのツラ拝んでやろうと思ったんだがな」
武闘家「ここに死体が無いということは、おそらくどこかへと向かったのだろう」
魔法使い「まだ戦ってる女騎士を置いていくなんて……もうっ」
僧侶「でもよかった。無事のようですね」
戦士「久々にあのツラ拝んでやろうと思ったんだがな」
270: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 05:07:12.406 ID:94SIIWfZ0
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
全員「!」
ゴーレム「グオオオ……!!」
女騎士「そんな……半壊したゴーレムが!」
魔法使い「どうやらまだ生きているみたいね。あの手のゴーレムは体のどこかにコアを持っているの。いくら図体が大きくたって、それは変わらないはず……あいつ、コアを壊さない限り動き続けるわよ」
戦士「乗り込んで破壊しろってことか。……上等じゃねえか」
僧侶「勇者様も、もしかしたらすでに乗り込んでいるのかもしれませんね」
女騎士「では……!」
武闘家「待て、女騎士。お前はここに残れ」
女騎士「!」
全員「!」
ゴーレム「グオオオ……!!」
女騎士「そんな……半壊したゴーレムが!」
魔法使い「どうやらまだ生きているみたいね。あの手のゴーレムは体のどこかにコアを持っているの。いくら図体が大きくたって、それは変わらないはず……あいつ、コアを壊さない限り動き続けるわよ」
戦士「乗り込んで破壊しろってことか。……上等じゃねえか」
僧侶「勇者様も、もしかしたらすでに乗り込んでいるのかもしれませんね」
女騎士「では……!」
武闘家「待て、女騎士。お前はここに残れ」
女騎士「!」
271: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 05:08:06.515 ID:94SIIWfZ0
武闘家「勇者が本当にあそこにいるとも限らん。ゴーレムには我々だけで乗り込む」
女騎士「でもっ」
武闘家「この中で一番機動力があるのはお前だ。外で勇者を探しつつ、戦場の異変を探れ」
戦士「魔物使いのやろうとやってる時、感じたことがあったんだろ。そういう勘は大事にした方がいいぜ」
魔法使い「勇者を見つけてからゆっくり追って来てくれればいいわ。ま、その頃にはわたしたちで片付けちゃってるかもしれないけれどね?」
女騎士「みなさん……」
僧侶「女騎士さん……ご武運を」
女騎士「はいっ。みなさんも気をつけてください!」
女騎士「でもっ」
武闘家「この中で一番機動力があるのはお前だ。外で勇者を探しつつ、戦場の異変を探れ」
戦士「魔物使いのやろうとやってる時、感じたことがあったんだろ。そういう勘は大事にした方がいいぜ」
魔法使い「勇者を見つけてからゆっくり追って来てくれればいいわ。ま、その頃にはわたしたちで片付けちゃってるかもしれないけれどね?」
女騎士「みなさん……」
僧侶「女騎士さん……ご武運を」
女騎士「はいっ。みなさんも気をつけてください!」
334: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:19:46.834 ID:94SIIWfZ0
キィン! ガキィン!
勇者「くっ……騎士団長!」
騎士団長「……………………」
ギャリィン!
勇者「……駄目か!」
呪術師「無駄だ勇者。魂の強き者ほど黒き念も強くなる。一度孔が穿たれ、付け入られれば、そうそう念は払えん」
勇者「くっ……騎士団長!」
騎士団長「……………………」
ギャリィン!
勇者「……駄目か!」
呪術師「無駄だ勇者。魂の強き者ほど黒き念も強くなる。一度孔が穿たれ、付け入られれば、そうそう念は払えん」
336: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:22:21.110 ID:94SIIWfZ0
勇者(騎士団長を斬るわけにもいかねえ……! けど、このまま打ち合ってても……!)
騎士団長「……………………」ドクドク…
勇者(出血が酷い……! 無理やり操られて動けているが、このままじゃ……!)
勇者(……あれは何だ? まるで獣の爪や牙に穿たれたような傷……)
勇者(操られる前の団長と戦って、倒した奴がいる。そいつは呪術師じゃない……今、どこにいる……?)
騎士団長「……………………」ドクドク…
勇者(出血が酷い……! 無理やり操られて動けているが、このままじゃ……!)
勇者(……あれは何だ? まるで獣の爪や牙に穿たれたような傷……)
勇者(操られる前の団長と戦って、倒した奴がいる。そいつは呪術師じゃない……今、どこにいる……?)
337: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:23:31.562 ID:94SIIWfZ0
??「ケッ、中々隙を見せねえな」
勇者「!」
呪術師「……狼男。まだ機では無いはずだが」
狼男「うるっせえな。どの道こいつ、俺のこと気付いてやがったぜ。さっきから気配探られまくって居心地悪りぃんだよ」
勇者「!」
呪術師「……狼男。まだ機では無いはずだが」
狼男「うるっせえな。どの道こいつ、俺のこと気付いてやがったぜ。さっきから気配探られまくって居心地悪りぃんだよ」
338: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:24:21.594 ID:94SIIWfZ0
勇者「……………………」
狼男「アンタの作戦じゃあ、場所がバレんのも時間の問題。奇襲も無理なんだしいいだろ別に。現場判断って奴だよ、わかるか?」
呪術師「…………もう姿を見せたのだ。好きにしろ」
狼男「へへっ、そう来なくっちゃ」
狼男「アンタの作戦じゃあ、場所がバレんのも時間の問題。奇襲も無理なんだしいいだろ別に。現場判断って奴だよ、わかるか?」
呪術師「…………もう姿を見せたのだ。好きにしろ」
狼男「へへっ、そう来なくっちゃ」
339: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:25:55.166 ID:94SIIWfZ0
狼男「だから俺ァ言ったんだ。そこの騎士団長サンなんかじゃあこいつに隙は作れねえ。現に加減されまくりで余裕綽々」
狼男「よう勇者、そんなのと遊んでても退屈だったろう? 俺がいいもん見せてやるよ」
勇者「……二体一か。」
狼男「いや?」
勇者「ッ?」
狼男「ま、そいつとは遊び続けてくれていいぜ。俺はお前に余興を見せてやるんだ。きっと、退屈しないぜ?」
勇者「どういうつもりだ……!」
狼男「まあ見てろって」
騎士団長「……………………」ビュッ
勇者「くっ!」
ギィン!
狼男「よう勇者、そんなのと遊んでても退屈だったろう? 俺がいいもん見せてやるよ」
勇者「……二体一か。」
狼男「いや?」
勇者「ッ?」
狼男「ま、そいつとは遊び続けてくれていいぜ。俺はお前に余興を見せてやるんだ。きっと、退屈しないぜ?」
勇者「どういうつもりだ……!」
狼男「まあ見てろって」
騎士団長「……………………」ビュッ
勇者「くっ!」
ギィン!
341: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:32:23.309 ID:94SIIWfZ0
狼男「さて。どれにしようか。ざっと十人以上はいるが……」
騎士「…………ぅ……………」
狼男「こいつでいいか」グイッ
勇者「!! まさかッ!」
狼男「じゃ、いただきます」アーン
勇者「よせ!!!」
ダッ!
騎士団長「…………」ザッ
勇者「団長……!!」
騎士「…………ぅ……………」
狼男「こいつでいいか」グイッ
勇者「!! まさかッ!」
狼男「じゃ、いただきます」アーン
勇者「よせ!!!」
ダッ!
騎士団長「…………」ザッ
勇者「団長……!!」
342: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:34:19.157 ID:94SIIWfZ0
勇者「おおっ!!」
ドガッ!
騎士団長「…………」ズシャッ
勇者「やめろ!!」
ビュッ!
狼男「おっと」ヒョイ
騎士「がっ……」ドサッ
ドガッ!
騎士団長「…………」ズシャッ
勇者「やめろ!!」
ビュッ!
狼男「おっと」ヒョイ
騎士「がっ……」ドサッ
343: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:36:15.909 ID:94SIIWfZ0
狼男「せっかくいいモン見せてやるってのになぁ」ケラケラ
勇者「はぁ、はぁ……!」
狼男「それに、ヒドイことしやがる。そこの団長サン、あんまり乱暴に扱うとおっ死んじまうぜ?」
騎士団長「……………………」ドクドク…
勇者「はぁ、はぁ……!」
狼男「さぁて、鬼ごっこは好きか? ま、どっちが鬼だかわかったもんじゃないが、まだまだゲームは始まったばかりだ。次行くぜ次」
勇者「この…………野郎っ!!」
ドクンッ!!
勇者「はぁ、はぁ……!」
狼男「それに、ヒドイことしやがる。そこの団長サン、あんまり乱暴に扱うとおっ死んじまうぜ?」
騎士団長「……………………」ドクドク…
勇者「はぁ、はぁ……!」
狼男「さぁて、鬼ごっこは好きか? ま、どっちが鬼だかわかったもんじゃないが、まだまだゲームは始まったばかりだ。次行くぜ次」
勇者「この…………野郎っ!!」
ドクンッ!!
344: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:43:14.535 ID:94SIIWfZ0
女騎士「な……王宮がっ!?」
騎士A「はい! 先ほど勇者様にお伝えし、向かっていただいたところです!」
女騎士(魔物使いの狙いはこれだったのですか!)
騎士A「騎士団長様たちが先行しているとは言え……勇者様ひとりでは……」
騎士A「いえ、勇者様ならおひとりでも何とかできるかも知れません。ですが、女騎士様にも救援に向かっていただけると心強いです」
女騎士「わかりました……!」
女騎士「馬刺し!!」
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「全速力で王宮まで向かいます! お願いします!」
女騎士「勇者さま、あれから大分時間が経っている……くっ、わたしがもっと早く気付けたならっ!」
騎士A「はい! 先ほど勇者様にお伝えし、向かっていただいたところです!」
女騎士(魔物使いの狙いはこれだったのですか!)
騎士A「騎士団長様たちが先行しているとは言え……勇者様ひとりでは……」
騎士A「いえ、勇者様ならおひとりでも何とかできるかも知れません。ですが、女騎士様にも救援に向かっていただけると心強いです」
女騎士「わかりました……!」
女騎士「馬刺し!!」
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「全速力で王宮まで向かいます! お願いします!」
女騎士「勇者さま、あれから大分時間が経っている……くっ、わたしがもっと早く気付けたならっ!」
345: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:48:42.441 ID:94SIIWfZ0
狼男「ヒャハハ! 楽しいなあ、勇者!」
勇者「はぁ、はぁ……!」
勇者「ッ!」
ギィン!
騎士団長「…………」
狼男「じゃあ次はこいつにしようかな。肉付きがほど良くてなかなか旨そうだ」
騎士「……ぁが…………」
勇者「クソォ!」
勇者(どうすればいい、どうすればいい……! このままじゃ……!!)
勇者「はぁ、はぁ……!」
勇者「ッ!」
ギィン!
騎士団長「…………」
狼男「じゃあ次はこいつにしようかな。肉付きがほど良くてなかなか旨そうだ」
騎士「……ぁが…………」
勇者「クソォ!」
勇者(どうすればいい、どうすればいい……! このままじゃ……!!)
347: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:55:37.523 ID:94SIIWfZ0
呪術師「狼男め。人を見捨てられぬ勇者の性を利用したか。あやつらしい狡猾さよ」
呪術師「だがまだまだ時間はかかりそうだな……難儀なものだ。聖剣を失えど、流石は女神に選ばれし勇者と言ったところだ」
呪術師「狼男のこの遊びに付き合いきれるような者でさえなければ、私の術の付け入る隙もあったものを……」
勇者「おああっ!!」
ドクンッ!!
呪術師「!!」
呪術師「……なんだ、今のは」
呪術師「だがまだまだ時間はかかりそうだな……難儀なものだ。聖剣を失えど、流石は女神に選ばれし勇者と言ったところだ」
呪術師「狼男のこの遊びに付き合いきれるような者でさえなければ、私の術の付け入る隙もあったものを……」
勇者「おああっ!!」
ドクンッ!!
呪術師「!!」
呪術師「……なんだ、今のは」
348: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:58:28.341 ID:94SIIWfZ0
呪術師(今までの勇者からは決して感じられなかった気配……)
呪術師(……いや、そもそも違和感はあった。今はあのデュラハンの魔剣を使っているようだが、あの腰に提げている剣は女騎士の剣ではないか?)
呪術師(デュラハンの魔剣の発する邪気に誤魔化されてはいたが……あの剣から、かつての忌々しい聖気がまったく感じられない)
呪術師(いや、これはむしろ……!)
呪術師(!! ……そういうことか、勇者よ……!!)
呪術師「クク……! フフフフフフ……!! フハハハハハハハハハハ!!!!」
呪術師(……いや、そもそも違和感はあった。今はあのデュラハンの魔剣を使っているようだが、あの腰に提げている剣は女騎士の剣ではないか?)
呪術師(デュラハンの魔剣の発する邪気に誤魔化されてはいたが……あの剣から、かつての忌々しい聖気がまったく感じられない)
呪術師(いや、これはむしろ……!)
呪術師(!! ……そういうことか、勇者よ……!!)
呪術師「クク……! フフフフフフ……!! フハハハハハハハハハハ!!!!」
349: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 21:59:53.875 ID:94SIIWfZ0
勇者「ッ!?」
狼男「アァン? なんだ呪術師の野郎。前々から怪しいとは思っていたがついに気でも触れたか」
呪術師「これが笑わずにいられるものか!!」
・・ ・・・・
呪術師「勇者!! 貴様、堕ちたな!!」
狼男「アァン? なんだ呪術師の野郎。前々から怪しいとは思っていたがついに気でも触れたか」
呪術師「これが笑わずにいられるものか!!」
・・ ・・・・
呪術師「勇者!! 貴様、堕ちたな!!」
350: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:01:25.689 ID:94SIIWfZ0
勇者「はぁ、はぁ……! 何の話だ……!」
呪術師「何があれば貴様がそうなるのか想像も付かんが……いや、かつての貴様もそうなる機会はあったやもしれん。だが、それもまた聖剣に守れていたか」
呪術師「ククク……! いいぞ、実に良い! お前ほどの魂を持つ者が反転するとどうなるのか、想像しただけでも身が震える!」
呪術師「何があれば貴様がそうなるのか想像も付かんが……いや、かつての貴様もそうなる機会はあったやもしれん。だが、それもまた聖剣に守れていたか」
呪術師「ククク……! いいぞ、実に良い! お前ほどの魂を持つ者が反転するとどうなるのか、想像しただけでも身が震える!」
351: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:06:38.736 ID:94SIIWfZ0
呪術師「はっ!!」
キィィィィィィィィィィィン!!!
勇者「ぐぁ……!? な、何だ……体が……!」
呪術師「一度堕ちた者に手を加えることなど、私にとっては造作もない……が、流石に抵抗は強いな」
呪術師「狼男!! 勇者の剣を叩き落とせ!!」
狼男「なんだか知らねえが、あいよ!!」
ギンッ!
ガラァン…
勇者「くっ……」
呪術師「そら、勇者よ。その腰の剣を抜け。丸腰では狼男の遊びにも付き合えんだろう」
勇者「……………………!」
キィィィィィィィィィィィン!!!
勇者「ぐぁ……!? な、何だ……体が……!」
呪術師「一度堕ちた者に手を加えることなど、私にとっては造作もない……が、流石に抵抗は強いな」
呪術師「狼男!! 勇者の剣を叩き落とせ!!」
狼男「なんだか知らねえが、あいよ!!」
ギンッ!
ガラァン…
勇者「くっ……」
呪術師「そら、勇者よ。その腰の剣を抜け。丸腰では狼男の遊びにも付き合えんだろう」
勇者「……………………!」
352: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:09:46.810 ID:94SIIWfZ0
勇者(これは、罠だ……)
勇者(自分の体のことだ。今どういう具合なのかなんて、俺が一番わかってるさ)
勇者(けど……!)グッ
騎士団長「……………………」ドクドク…
騎士A「…………ぁ…………」
騎士B「……うぅ……………」
騎士C「……………………」
勇者(……………………)
勇者(剣がなければ、彼らを守れない)
勇者「見捨てられるわけ、ねえだろっ!!」
シャリィィィン!!
勇者(自分の体のことだ。今どういう具合なのかなんて、俺が一番わかってるさ)
勇者(けど……!)グッ
騎士団長「……………………」ドクドク…
騎士A「…………ぁ…………」
騎士B「……うぅ……………」
騎士C「……………………」
勇者(……………………)
勇者(剣がなければ、彼らを守れない)
勇者「見捨てられるわけ、ねえだろっ!!」
シャリィィィン!!
353: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:11:06.309 ID:94SIIWfZ0
狼男「黒い、刀身……?」
呪術師「今だ!!!!」
ゴォッ!!
勇者「ッ!!」
勇者「があああっ!!?」
勇者(刀身の闇が……入り込んで来る……!)
勇者「がああああああああああああああああ!!!!」
呪術師「今だ!!!!」
ゴォッ!!
勇者「ッ!!」
勇者「があああっ!!?」
勇者(刀身の闇が……入り込んで来る……!)
勇者「がああああああああああああああああ!!!!」
354: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:12:21.505 ID:94SIIWfZ0
勇者「……………………」
ドサッ…
狼男「おいおい……倒しちまったよ、勇者。こんなにあっさりでいいのか」
ドサッ…
狼男「おいおい……倒しちまったよ、勇者。こんなにあっさりでいいのか」
355: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:14:50.189 ID:94SIIWfZ0
狼男「なあ呪術師。勇者の奴、喰っちまっていいか?」
呪術師「駄目だ。それと、もうこんな場所に用はない」
狼男「アァン? 魔王様の復活のためにここが必要だっつったのはお前じゃねえかよ」
呪術師「必要無くなったのだ。儀式の準備も片付ける。……引き上げるぞ、魔王城に」
呪術師「あと少し……あと少しで」
呪術師「魔王様が、帰って来る……!」
呪術師「駄目だ。それと、もうこんな場所に用はない」
狼男「アァン? 魔王様の復活のためにここが必要だっつったのはお前じゃねえかよ」
呪術師「必要無くなったのだ。儀式の準備も片付ける。……引き上げるぞ、魔王城に」
呪術師「あと少し……あと少しで」
呪術師「魔王様が、帰って来る……!」
356: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:19:34.240 ID:94SIIWfZ0
ゴーレム 体内
魔法使い「これがゴーレムのコアよ。あとはわたしの魔法で……」
ブチッ
魔法使い「あっ」
チャリーン
魔法使い「これがゴーレムのコアよ。あとはわたしの魔法で……」
ブチッ
魔法使い「あっ」
チャリーン
357: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:22:46.577 ID:94SIIWfZ0
戦士「……ん? 魔法使い、お前こんなペンダント持ち歩いてたのかよ」
魔法使い「う。うるさいわね……いいじゃない、別に」
僧侶「まぁ! そのペンダント、私は素敵だと思いますよっ」
武闘家「む。……俺たちの写真か。これは、旅の途中に王都で撮ったときのものだな」
戦士「ああ、そういやこいつ、そういう魔道具買い集めてやがったな」
僧侶「……あぁ! 大変です! 落とした時の衝撃で少しヒビが入ってしまっています!」
魔法使い「えっ、うそ。……わぁ、本当だ……丁度、勇者の位置に線が入っちゃってる……」
武闘家「不吉だな」
僧侶「大丈夫ですよ。写真なんて、みんながいればまた撮り直せます。この戦いが終わった後に、もう一度撮りに行きましょう!」
戦士「ケッ、ならさっさと終わらせて帰るぜ。そろそろ勇者も女騎士も外で待ってんだろ」
魔法使い「う。うるさいわね……いいじゃない、別に」
僧侶「まぁ! そのペンダント、私は素敵だと思いますよっ」
武闘家「む。……俺たちの写真か。これは、旅の途中に王都で撮ったときのものだな」
戦士「ああ、そういやこいつ、そういう魔道具買い集めてやがったな」
僧侶「……あぁ! 大変です! 落とした時の衝撃で少しヒビが入ってしまっています!」
魔法使い「えっ、うそ。……わぁ、本当だ……丁度、勇者の位置に線が入っちゃってる……」
武闘家「不吉だな」
僧侶「大丈夫ですよ。写真なんて、みんながいればまた撮り直せます。この戦いが終わった後に、もう一度撮りに行きましょう!」
戦士「ケッ、ならさっさと終わらせて帰るぜ。そろそろ勇者も女騎士も外で待ってんだろ」
359: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:34:36.108 ID:94SIIWfZ0
バサッ!
女騎士「王宮が見えてきた……!」
女騎士「馬刺し! 王宮の中にはわたしひとりで乗り込みます! 王宮入口前で待っていてください!」
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「勇者さま……!」
女騎士「王宮が見えてきた……!」
女騎士「馬刺し! 王宮の中にはわたしひとりで乗り込みます! 王宮入口前で待っていてください!」
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「勇者さま……!」
360: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:35:34.122 ID:94SIIWfZ0
タタタタッ…
女騎士「はぁ、はぁ……」
女騎士「おかしい……静かすぎます……!」
女騎士「戦闘が起こっている様子もないし、誰も、魔物すらいないだなんて……」
女騎士「はぁ、はぁ……」
女騎士「おかしい……静かすぎます……!」
女騎士「戦闘が起こっている様子もないし、誰も、魔物すらいないだなんて……」
361: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:37:29.700 ID:94SIIWfZ0
女騎士「ここは……王の間……」
女騎士「……は、入りますよ」
ギィィィ……
女騎士「……これはっ!?」
女騎士「……は、入りますよ」
ギィィィ……
女騎士「……これはっ!?」
362: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:41:23.712 ID:94SIIWfZ0
女騎士「団長! しっかりしてください!」
騎士団長「……………………」
女騎士「ひどい傷……! すぐに止血をしないと!」
騎士団長「……ぐ…………女騎士、か……」
女騎士「!!」
女騎士「団長っ! ここで何が起きたのですかっ」
騎士団長「あぁ……何ということだ……」
騎士団長「陛下は……奴らに……!」
女騎士「!? 陛下が、そんな……!!」
騎士団長「……………………」
女騎士「ひどい傷……! すぐに止血をしないと!」
騎士団長「……ぐ…………女騎士、か……」
女騎士「!!」
女騎士「団長っ! ここで何が起きたのですかっ」
騎士団長「あぁ……何ということだ……」
騎士団長「陛下は……奴らに……!」
女騎士「!? 陛下が、そんな……!!」
363: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:44:35.884 ID:94SIIWfZ0
騎士団長「私達は……間に合わなかったのだ……! その上、勇者殿まで……!」
女騎士「勇者さま……そうだ、勇者さまはどこに!?」
騎士団長「すべて私の責任だ……私が、ヤツに操られなければ……!」
騎士団長「勇者殿は……攫われてしまった……!」
女騎士「ッ!?」
女騎士「勇者さま……そうだ、勇者さまはどこに!?」
騎士団長「すべて私の責任だ……私が、ヤツに操られなければ……!」
騎士団長「勇者殿は……攫われてしまった……!」
女騎士「ッ!?」
365: VIPがお送りします 2018/03/26(月) 22:45:08.621 ID:94SIIWfZ0
女騎士「……………………」
騎士団長「私は呪術師に操られ勇者殿に剣を向け……騎士たちは人質に……幹部級が二人も…………クッ!」
女騎士「そんな……そんな……」
女騎士「…………勇者さまっ!!」
騎士団長「私は呪術師に操られ勇者殿に剣を向け……騎士たちは人質に……幹部級が二人も…………クッ!」
女騎士「そんな……そんな……」
女騎士「…………勇者さまっ!!」
388: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 03:30:52.789 ID:DdtRN4FO0
女騎士(それから、王都全体を巻き込んだ魔王軍残党による襲撃事件は収束に向かいました)
女騎士(魔法使いさんたちの手によりゴーレムの起動は完全に停止)
女騎士(魔物使いやデュラハンといった多くの魔王軍幹部級討伐の報もありましたが)
女騎士(陛下の死。そして、勇者さまの敗北)
女騎士(わたしたちは、あまりにも重すぎる深手を負うことになったのです)
女騎士(魔法使いさんたちの手によりゴーレムの起動は完全に停止)
女騎士(魔物使いやデュラハンといった多くの魔王軍幹部級討伐の報もありましたが)
女騎士(陛下の死。そして、勇者さまの敗北)
女騎士(わたしたちは、あまりにも重すぎる深手を負うことになったのです)
390: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 03:32:32.553 ID:DdtRN4FO0
女騎士「……………………」
馬刺し「ブルルッ…」クシクシ
焼き鳥「キィキィ…」バサバサッ
女騎士「……………………」
女騎士「……ふたりとも……ありがとうございます」 👀
馬刺し「ブルルッ…」クシクシ
焼き鳥「キィキィ…」バサバサッ
女騎士「……………………」
女騎士「……ふたりとも……ありがとうございます」 👀
392: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 03:35:28.456 ID:DdtRN4FO0
盗賊「よう。お隣、いいかい」
女騎士「……あっ、盗賊さん。もうお身体は大丈夫なのですか」
盗賊「お陰さまでな。聞いたぜ。アンタが助けてくれたんだって? まさか死にぞこなっちまうとはな」
女騎士「……あっ、盗賊さん。もうお身体は大丈夫なのですか」
盗賊「お陰さまでな。聞いたぜ。アンタが助けてくれたんだって? まさか死にぞこなっちまうとはな」
393: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 03:36:50.911 ID:DdtRN4FO0
女騎士「わたしは……助けただなんて、そんな……」
盗賊「救護テントで目覚めた時にゃあこりゃまた随分な冥界もあったもんだと思ったもんだ」
盗賊「せっかく、柄にもなく格好良く決めて死ねたもんだと思ったんだがね。おかげで死にぞこなっちまった」
盗賊「あれが俺の、人生のピークってヤツだったのかもしれねえのになあ」
盗賊「救護テントで目覚めた時にゃあこりゃまた随分な冥界もあったもんだと思ったもんだ」
盗賊「せっかく、柄にもなく格好良く決めて死ねたもんだと思ったんだがね。おかげで死にぞこなっちまった」
盗賊「あれが俺の、人生のピークってヤツだったのかもしれねえのになあ」
394: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 03:37:43.933 ID:DdtRN4FO0
ハハ……
女騎士「……………………」
女騎士「…………てくださいよ」
盗賊「……あ?」
女騎士「死ねただなんて……いうの、やめてくださいよ……わたし、あのとき……わたし……」
グスッ
盗賊「!?」
女騎士「……………………」
女騎士「…………てくださいよ」
盗賊「……あ?」
女騎士「死ねただなんて……いうの、やめてくださいよ……わたし、あのとき……わたし……」
グスッ
盗賊「!?」
395: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 03:38:55.777 ID:DdtRN4FO0
盗賊「なっ、おい、泣くんじゃねえよっ」
女騎士「うぅ……」
盗賊(……こりゃあまた、随分と弱っちまってんな……)
盗賊(……あぁ、もう。何しに来たんだよ俺ァ……こんなこと言いに来たんじゃねえだろうがよ……)
女騎士「うぅ……」
盗賊(……こりゃあまた、随分と弱っちまってんな……)
盗賊(……あぁ、もう。何しに来たんだよ俺ァ……こんなこと言いに来たんじゃねえだろうがよ……)
396: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 03:41:48.297 ID:DdtRN4FO0
盗賊「……悪かったって。なぁ」
女騎士「うっ……ぐすっ……」
盗賊「はぁ。俺が悪かったよ、すまねえ」
女騎士「うっ……ぐすっ……」
盗賊「はぁ。俺が悪かったよ、すまねえ」
397: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 03:46:21.231 ID:DdtRN4FO0
盗賊「本当はアンタに礼を言いに来たんだがよ」
盗賊「こういうの、なんつーか、言い慣れてなくてな」
盗賊「ついいつもの調子で喋っちまった」
盗賊「その、…………ありがとうよ」
女騎士「……盗賊さん……ぐすっ……」
女騎士「こちらこそ、ありがとうございます。あなたが生きていてくれて、よかった」
盗賊「……………………………………そりゃ、どうも」
盗賊(くそ、相変わらず調子が狂う)
盗賊「こういうの、なんつーか、言い慣れてなくてな」
盗賊「ついいつもの調子で喋っちまった」
盗賊「その、…………ありがとうよ」
女騎士「……盗賊さん……ぐすっ……」
女騎士「こちらこそ、ありがとうございます。あなたが生きていてくれて、よかった」
盗賊「……………………………………そりゃ、どうも」
盗賊(くそ、相変わらず調子が狂う)
399: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 03:57:46.402 ID:DdtRN4FO0
盗賊「……勇者の奴は、大丈夫だろうよ」
女騎士「……!」
盗賊「何したって、くたばるようなタマじゃねえさ」
盗賊「生き残った騎士の話によれば、殺されそうになった所を呪術師の方が止めたらしいじゃねえか」
盗賊「奴ら、まだ何か生きた勇者に用があるってことなんだろう」
盗賊(そのあと何やら不穏なワードもあったらしいが、今は言わねえ方がいいだろうな……)
女騎士「……!」
盗賊「何したって、くたばるようなタマじゃねえさ」
盗賊「生き残った騎士の話によれば、殺されそうになった所を呪術師の方が止めたらしいじゃねえか」
盗賊「奴ら、まだ何か生きた勇者に用があるってことなんだろう」
盗賊(そのあと何やら不穏なワードもあったらしいが、今は言わねえ方がいいだろうな……)
400: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 03:58:42.418 ID:DdtRN4FO0
女騎士「そう、ですね……」
女騎士「……わたし、こんなところで落ち込んでいる場合じゃありませんでした」
女騎士「勇者さまを、助けなきゃ」
女騎士「……ありがとうございます、盗賊さん。わたし、がんばります」
女騎士「聖槍が、わたしを選んでくれたのです。あまりがっかりさせてしまうようなことはできませんよね」
女騎士「……わたし、こんなところで落ち込んでいる場合じゃありませんでした」
女騎士「勇者さまを、助けなきゃ」
女騎士「……ありがとうございます、盗賊さん。わたし、がんばります」
女騎士「聖槍が、わたしを選んでくれたのです。あまりがっかりさせてしまうようなことはできませんよね」
401: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 04:06:08.551 ID:DdtRN4FO0
魔法使い「……先を越されちゃったわね」
戦士「なあ、あいつに話があったんだろ? 何でこんな所にコソコソ隠れてんだよ」
魔法使い「…………ばか」
僧侶「戦士さん……」
武闘家「……うむ。流石の俺も、どうかと思うぞ戦士よ」
戦士「何なんだよお前ら……」
戦士「なあ、あいつに話があったんだろ? 何でこんな所にコソコソ隠れてんだよ」
魔法使い「…………ばか」
僧侶「戦士さん……」
武闘家「……うむ。流石の俺も、どうかと思うぞ戦士よ」
戦士「何なんだよお前ら……」
405: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 04:53:41.915 ID:DdtRN4FO0
呪術師「…………」
呪術師「魔王様は、勇者どもの手により滅ぼされた」
呪術師「だが、それはあくまで肉体の話だ」
呪術師「魔王様の強靭な魂は、千々にちぎれながらも、まだ生きていた」
呪術師「それを時間をかけて集め、修復。人間どもの魂を贄にさらに回復に向かいつつある」
呪術師「だが、それでも足りなかった」
呪術師「核となるものが無かったのだ」
呪術師「それを補うため、大陸の無色の、大量のエネルギーを求めて彼奴らの都に攻め入ったが」
呪術師「本来必要であった核を手に入れられたのなら、正規の手段で復活に臨んだ方が良い」
呪術師「魔王様は、勇者どもの手により滅ぼされた」
呪術師「だが、それはあくまで肉体の話だ」
呪術師「魔王様の強靭な魂は、千々にちぎれながらも、まだ生きていた」
呪術師「それを時間をかけて集め、修復。人間どもの魂を贄にさらに回復に向かいつつある」
呪術師「だが、それでも足りなかった」
呪術師「核となるものが無かったのだ」
呪術師「それを補うため、大陸の無色の、大量のエネルギーを求めて彼奴らの都に攻め入ったが」
呪術師「本来必要であった核を手に入れられたのなら、正規の手段で復活に臨んだ方が良い」
406: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 04:54:26.508 ID:DdtRN4FO0
呪術師「……女神に選ばれし勇者の魂、不足ない」
呪術師「懸念していた、器の問題も解決だ。不良品のスペアはすべて廃棄しよう」
呪術師「……色の問題で候補から外してはいたが、まさか自ら黒に染まってくれようとはな」
呪術師「女神の、聖剣の力の残滓で徐々に浄化されつつあった色も、もはや固定化した」
呪術師「まだ無意識ながらも抗っているようだが、それも時間の問題よ」
呪術師「魔王様。もう暫し、お待ちください……必ずやこの手で……」
呪術師「懸念していた、器の問題も解決だ。不良品のスペアはすべて廃棄しよう」
呪術師「……色の問題で候補から外してはいたが、まさか自ら黒に染まってくれようとはな」
呪術師「女神の、聖剣の力の残滓で徐々に浄化されつつあった色も、もはや固定化した」
呪術師「まだ無意識ながらも抗っているようだが、それも時間の問題よ」
呪術師「魔王様。もう暫し、お待ちください……必ずやこの手で……」
408: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 05:22:04.898 ID:DdtRN4FO0
数日後
魔法使い「魔王城には、向かわないわよ」
女騎士「えぇっ!?」
魔法使い「魔王城には、向かわないわよ」
女騎士「えぇっ!?」
409: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 05:24:33.882 ID:DdtRN4FO0
女騎士「そんな、魔法使いさん……勇者さまを見捨てるんですかっ!?」
魔法使い「そ、そんなわけないでしょう。……そんな顔しないでよ」
魔法使い「正確には、前回の魔王城には向かわない、ということよ」
魔法使い「そ、そんなわけないでしょう。……そんな顔しないでよ」
魔法使い「正確には、前回の魔王城には向かわない、ということよ」
410: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 05:26:52.699 ID:DdtRN4FO0
魔法使い「あれからすぐに、前回の魔王城を監視している王都の偵察隊から連絡があったわ。前回の魔王城は、先日の一件でも特に動きが無かったみたい」
武闘家「あれだけの規模の侵攻作戦だったというのに、動きが無いというのもおかしな話だな」
魔法使い「そ。つまり、呪術師たち魔王軍残党はそこを根城にはしていない。きっとどこかに拠点を移したのよ」
盗賊「そりゃあ、そうだよな。ゴロツキだって警備隊にカチコミ入れられたアジトをそのまま使い続けるわけがねえ。負けたってんなら尚更だ」
魔法使い「察しがいいじゃない。なに、経験者?」
盗賊「そいつぁ言わねえ約束ですよ」
武闘家「あれだけの規模の侵攻作戦だったというのに、動きが無いというのもおかしな話だな」
魔法使い「そ。つまり、呪術師たち魔王軍残党はそこを根城にはしていない。きっとどこかに拠点を移したのよ」
盗賊「そりゃあ、そうだよな。ゴロツキだって警備隊にカチコミ入れられたアジトをそのまま使い続けるわけがねえ。負けたってんなら尚更だ」
魔法使い「察しがいいじゃない。なに、経験者?」
盗賊「そいつぁ言わねえ約束ですよ」
411: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 05:28:35.512 ID:DdtRN4FO0
女騎士「そんな……じゃあ、手がかりは」
魔法使い「今のところ、無いわね」
戦士「だがよ、このまま黙ってまた奴らが仕掛けてくるのを待てってのかよ。俺はそんなのゴメンだぜ」
魔法使い「わたしは、わたしなりの方法で調べてみるつもりよ。幸い、王都にはそれなりの魔術設備も整ってるみたいだしね」
武闘家「ふむ。残念だが、その点において我々が魔法使いに協力できることは無さそうだ。魔法使いとは別口で、足を使って調べる必要もあるだろう」
魔法使い「今のところ、無いわね」
戦士「だがよ、このまま黙ってまた奴らが仕掛けてくるのを待てってのかよ。俺はそんなのゴメンだぜ」
魔法使い「わたしは、わたしなりの方法で調べてみるつもりよ。幸い、王都にはそれなりの魔術設備も整ってるみたいだしね」
武闘家「ふむ。残念だが、その点において我々が魔法使いに協力できることは無さそうだ。魔法使いとは別口で、足を使って調べる必要もあるだろう」
412: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 05:39:29.792 ID:DdtRN4FO0
僧侶「ただいま戻りました」
女騎士「あっ、僧侶さん。おかえりなさい」
武闘家「……僧侶。あまり無理をするな。顔色も良くないぞ」
僧侶「……そうも言っていられません。襲撃の件から、まだ日も経っていません……王都内の被害が少ないとは言え、王都の兵士さんたちの心身に刻まれた傷痕はとても大きいみたいです」
女騎士「わたしもお手伝いに行ったのですが……」
僧侶「あ、あはは……お、お気持ちは嬉しかったんですよ? ただ……」
女騎士「うぅ」
盗賊(僧侶の姐さん、顔が引きつってるぞ。何をやらかしたってんだ)
魔法使い(想像はつくわね)
女騎士「あっ、僧侶さん。おかえりなさい」
武闘家「……僧侶。あまり無理をするな。顔色も良くないぞ」
僧侶「……そうも言っていられません。襲撃の件から、まだ日も経っていません……王都内の被害が少ないとは言え、王都の兵士さんたちの心身に刻まれた傷痕はとても大きいみたいです」
女騎士「わたしもお手伝いに行ったのですが……」
僧侶「あ、あはは……お、お気持ちは嬉しかったんですよ? ただ……」
女騎士「うぅ」
盗賊(僧侶の姐さん、顔が引きつってるぞ。何をやらかしたってんだ)
魔法使い(想像はつくわね)
416: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 06:01:44.934 ID:DdtRN4FO0
女騎士「わたしは……魔法使いさんはああ言いましたけど、前回の魔王城を調べてみる価値はあると思います。もしかしたら何か痕跡が残されているかもしれません」
武闘家「俺は、これまで僧侶と旅をして回った地域で怪しい所がないか調べてみることにしよう。……僧侶、行けるか」
僧侶「ええ。おおよその引き継ぎは済ませてきました。私がいなくても、兵士の皆さんについては心配いらないでしょう」
戦士「…………じゃあ、俺も」
武闘家「戦士。お前は魔法使いとともに王都に残れ」
戦士「あぁ?」
武闘家「俺は、これまで僧侶と旅をして回った地域で怪しい所がないか調べてみることにしよう。……僧侶、行けるか」
僧侶「ええ。おおよその引き継ぎは済ませてきました。私がいなくても、兵士の皆さんについては心配いらないでしょう」
戦士「…………じゃあ、俺も」
武闘家「戦士。お前は魔法使いとともに王都に残れ」
戦士「あぁ?」
417: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 06:02:55.584 ID:DdtRN4FO0
戦士「俺はさっきジッとしてらんねえって……」
武闘家「はぁ。如何にも魔法使いが心配と言った風な顔で何を言うか」
戦士「なっ」
魔法使い「あら」
武闘家「それに、先の件で王都周辺の魔物も殺気立っている。騎士団も疲弊している今、王都の防衛力も心許ないが、お前がいるとなれば話は別だ」
僧侶「また魔王軍が仕掛けて来ないとも限らないですしね。魔法使いさんと戦士さんがいるならば安心です」
戦士「……チッ」
武闘家「はぁ。如何にも魔法使いが心配と言った風な顔で何を言うか」
戦士「なっ」
魔法使い「あら」
武闘家「それに、先の件で王都周辺の魔物も殺気立っている。騎士団も疲弊している今、王都の防衛力も心許ないが、お前がいるとなれば話は別だ」
僧侶「また魔王軍が仕掛けて来ないとも限らないですしね。魔法使いさんと戦士さんがいるならば安心です」
戦士「……チッ」
418: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 06:04:19.453 ID:DdtRN4FO0
盗賊「じゃ、俺も単独で情報収集に動かせてもらいますよっと。ぼちぼち顔も効く方なんでね。情報網は企業秘密ってことで」
魔法使い「あら、意外ね」
盗賊「なんだよ」
魔法使い「あなたはてっきり、女騎士についていくものだと思っていたわ」
盗賊「……なに変なこと勘ぐってやがる」
魔法使い「べつに?」
魔法使い「あら、意外ね」
盗賊「なんだよ」
魔法使い「あなたはてっきり、女騎士についていくものだと思っていたわ」
盗賊「……なに変なこと勘ぐってやがる」
魔法使い「べつに?」
420: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 06:07:22.936 ID:DdtRN4FO0
盗賊「俺ァ、皆さんと違ってこっちの方はからっきしなんでね。女騎士に付いてったって何の役にも立ちゃしないだろう。言いたかないが、ただの足手まといだ」
魔法使い「少しは考えたのね」
盗賊「あんた、いちいちうるさいな」
魔法使い「少しは考えたのね」
盗賊「あんた、いちいちうるさいな」
422: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 06:23:34.756 ID:DdtRN4FO0
魔法使い「じゃあ、皆にこれを渡しておくわ」
女騎士「わぁ、きれいな石ですね」
僧侶「これは……?」
魔法使い「通信用の魔石よ。簡単なことしか伝えられないけれど、これで遠くにいてもある程度のことは伝えられる。貴重な物だから無くさないでね」
武闘家「ふむ。我々のうち誰かが手掛かりを掴み次第、これを使って連絡ができるわけか」
魔法使い「ここに居る誰かが手掛かりを掴んでくれるって、わたしは信じているわ」
魔法使い「必ず、また会いましょう。きっとその時が決戦の時よ」
女騎士「わぁ、きれいな石ですね」
僧侶「これは……?」
魔法使い「通信用の魔石よ。簡単なことしか伝えられないけれど、これで遠くにいてもある程度のことは伝えられる。貴重な物だから無くさないでね」
武闘家「ふむ。我々のうち誰かが手掛かりを掴み次第、これを使って連絡ができるわけか」
魔法使い「ここに居る誰かが手掛かりを掴んでくれるって、わたしは信じているわ」
魔法使い「必ず、また会いましょう。きっとその時が決戦の時よ」
424: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 06:54:22.473 ID:DdtRN4FO0
パカラッパカラッヒヒーン!
女騎士「王都を出発して数日、もう半分以上の距離は走ったでしょうか」
女騎士「……川があります。少し休憩していきましょう」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ」
女騎士「王都を出発して数日、もう半分以上の距離は走ったでしょうか」
女騎士「……川があります。少し休憩していきましょう」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ」
425: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 06:55:25.083 ID:DdtRN4FO0
女騎士「こうしてお前たちと一緒に野を駆けるのも、なんだか久しぶりな気がしますね」
馬刺し「ブルルッ」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「そう言えば……以前勇者さまたちと旅をしていたときも、決戦前は王都からこの道を行ったのでした」
女騎士「もう随分前のことのように思えます」
女騎士「魔王城……まさか、またこの道を行くことになるだなんて思いもしませんでした」
女騎士「何か痕跡が残っていると良いのですが」
女騎士「……いいえ。見つけないといけませんね、必ず」
女騎士「勇者さま……どうかご無事で……」
馬刺し「ブルルッ」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「そう言えば……以前勇者さまたちと旅をしていたときも、決戦前は王都からこの道を行ったのでした」
女騎士「もう随分前のことのように思えます」
女騎士「魔王城……まさか、またこの道を行くことになるだなんて思いもしませんでした」
女騎士「何か痕跡が残っていると良いのですが」
女騎士「……いいえ。見つけないといけませんね、必ず」
女騎士「勇者さま……どうかご無事で……」
426: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 07:05:12.792 ID:DdtRN4FO0
女騎士「…………」
女騎士「……………………」
キョロキョロ
女騎士「誰も、いないですよね」
女騎士「ここ数日、走りっぱなしでしたし。ここは良い感じに茂みと岩があって人目にもつきませんし」
女騎士「少しくらい、いいですよね?」
女騎士「水浴びをしていきましょう」
女騎士「馬刺し、焼き鳥。荷を頼みましたよ」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ」
女騎士「……………………」
キョロキョロ
女騎士「誰も、いないですよね」
女騎士「ここ数日、走りっぱなしでしたし。ここは良い感じに茂みと岩があって人目にもつきませんし」
女騎士「少しくらい、いいですよね?」
女騎士「水浴びをしていきましょう」
女騎士「馬刺し、焼き鳥。荷を頼みましたよ」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ」
427: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 07:07:33.233 ID:DdtRN4FO0
ガサガサ…
??「…………」
??「…………」
428: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 07:11:38.968 ID:DdtRN4FO0
パシャパシャ
女騎士「ふぅ……すっきりしました」
女騎士「……あまり荷から目を離してもいけませんね。僧侶さんや魔法使いさんにも言われていますし、早めに戻るとしましょう」
「ヒヒーン!」
女騎士「! 馬刺しの鳴き声……?」
焼き鳥「キィ、キィ!」バサバサッ
女騎士「や、焼き鳥まで……何かあったのですかっ」
女騎士「ふぅ……すっきりしました」
女騎士「……あまり荷から目を離してもいけませんね。僧侶さんや魔法使いさんにも言われていますし、早めに戻るとしましょう」
「ヒヒーン!」
女騎士「! 馬刺しの鳴き声……?」
焼き鳥「キィ、キィ!」バサバサッ
女騎士「や、焼き鳥まで……何かあったのですかっ」
430: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 07:17:49.377 ID:DdtRN4FO0
馬刺し「ヒヒーン!」
??「わっ、わっ……なんだよこの馬! 馬のくせにっ!」
女騎士「馬刺しっ!」
タタッ
??「ほら、お前が暴れるせいで……!」
女騎士「! あ、あなたは……」
??「!!」
女騎士「子ど、も…………?」
子供「……………………」
??「わっ、わっ……なんだよこの馬! 馬のくせにっ!」
女騎士「馬刺しっ!」
タタッ
??「ほら、お前が暴れるせいで……!」
女騎士「! あ、あなたは……」
??「!!」
女騎士「子ど、も…………?」
子供「……………………」
431: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 07:23:18.939 ID:DdtRN4FO0
女騎士「どうして、こんな子供がひとりでこんな所に……」
子供「…………」
子供「……………………」
バタン
女騎士「た、倒れちゃいましたっ」
女騎士「……顔が真っ赤です……いったいどうして」
女騎士「熱でもあるのでしょうか……!」
女騎士「あっ」
馬刺し「ブルルッ」
焼き鳥「キィ、キィ」
子供「…………」
子供「……………………」
バタン
女騎士「た、倒れちゃいましたっ」
女騎士「……顔が真っ赤です……いったいどうして」
女騎士「熱でもあるのでしょうか……!」
女騎士「あっ」
馬刺し「ブルルッ」
焼き鳥「キィ、キィ」
432: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 07:28:19.534 ID:DdtRN4FO0
子供「…………うぅん……」
女騎士「あっ、気がつきましたか」
子供「!」
女騎士「急に倒れてしまって、びっくりしましたよ。大丈夫ですか?」
子供「あ、あんたは……」
子供「変質者の姉ちゃん」
女騎士「!?」
女騎士「あっ、気がつきましたか」
子供「!」
女騎士「急に倒れてしまって、びっくりしましたよ。大丈夫ですか?」
子供「あ、あんたは……」
子供「変質者の姉ちゃん」
女騎士「!?」
434: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 07:31:43.264 ID:DdtRN4FO0
女騎士「わ、わたしは女騎士と言います。……こほん、先ほどのことは忘れてください」
子供「わ、わかったよ……変質者の女騎士さん」
女騎士「もっと他に言い方があるでしょうっ!」
子供「わ、わかったよ……変質者の女騎士さん」
女騎士「もっと他に言い方があるでしょうっ!」
435: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 07:36:50.995 ID:DdtRN4FO0
女騎士「改めて聞きますが、あなたのような子供がなぜこんな所にいるのですか?」
子供「……村が魔物に襲われて、無くなった」
女騎士「!」
子供「食べ物探して歩いてたら、ちょうどあんたがそこに荷物を置いてくのが見えたんだ。それで、食い物だけでも盗って行こうとしたんだけど」
馬刺し「ブルルッ」
女騎士「なるほど」
子供「……村が魔物に襲われて、無くなった」
女騎士「!」
子供「食べ物探して歩いてたら、ちょうどあんたがそこに荷物を置いてくのが見えたんだ。それで、食い物だけでも盗って行こうとしたんだけど」
馬刺し「ブルルッ」
女騎士「なるほど」
436: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 07:42:31.516 ID:DdtRN4FO0
女騎士(このまま、この子を見捨てていくことなんてできませんね……)
女騎士「……わたしがこれから向かう場所の近くに町があります。わたしにもやることがあるので、ずっとというわけには行きませんが、途中まで一緒に行きませんか?」
子供「…………」
女騎士「はい。……その町は、かつての魔王城の近くにある町。今は穏やかなはずですが、かつての戦乱の名残で、孤児院等の施設もあるはずです」
女騎士「あなたの身を落ち着ける場所もあるでしょう。どうですか?」
子供「……いいの?」
女騎士「もちろんです」
女騎士「……わたしがこれから向かう場所の近くに町があります。わたしにもやることがあるので、ずっとというわけには行きませんが、途中まで一緒に行きませんか?」
子供「…………」
女騎士「はい。……その町は、かつての魔王城の近くにある町。今は穏やかなはずですが、かつての戦乱の名残で、孤児院等の施設もあるはずです」
女騎士「あなたの身を落ち着ける場所もあるでしょう。どうですか?」
子供「……いいの?」
女騎士「もちろんです」
437: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 07:49:51.561 ID:DdtRN4FO0
パカラッパカラッパカラッ……
女騎士「町に着きました」
馬刺し「ヒヒーン!」
子供「……すごい。おれの村より大きいし、人もたくさんだ……!」
女騎士(そういえば、王都の偵察隊もこの辺りを拠点にしていると聞きました)
女騎士(この子の身の置き場と合わせて、少し聞き込みをしてみましょう)
女騎士「町に着きました」
馬刺し「ヒヒーン!」
子供「……すごい。おれの村より大きいし、人もたくさんだ……!」
女騎士(そういえば、王都の偵察隊もこの辺りを拠点にしていると聞きました)
女騎士(この子の身の置き場と合わせて、少し聞き込みをしてみましょう)
438: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 08:00:51.357 ID:DdtRN4FO0
町人「王都の偵察隊? ああ、それならこの町に宿を取っているよ。日中は魔王城の方に行っているんじゃないか?」
女騎士「この町を拠点にしているのですね」
町人「この間、酒場で話してるのをチラリと聞いたが何かきになることがあるとか言ってたなあ」
女騎士「!」
町人「いやいや、そんな魔物が出たとかって話じゃない。最近は王都で大変なことがあったって聞くが、ここら辺はまだ平和な方さ」
町人「俺も横から聞いた程度だからなんとも言えないな。気になるなら直接聞きに行ってみたらどうだ?」
女騎士「この町を拠点にしているのですね」
町人「この間、酒場で話してるのをチラリと聞いたが何かきになることがあるとか言ってたなあ」
女騎士「!」
町人「いやいや、そんな魔物が出たとかって話じゃない。最近は王都で大変なことがあったって聞くが、ここら辺はまだ平和な方さ」
町人「俺も横から聞いた程度だからなんとも言えないな。気になるなら直接聞きに行ってみたらどうだ?」
440: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 08:14:54.696 ID:DdtRN4FO0
女騎士「情報、ありがとうございます。……あの、もう一つお聞きしたいのですが。この町にある孤児院について」
町人「ああ、それなら……」
女騎士「よかった……どうにか、あなたの身を落ち着けることができそうですね」
子供「……うん」
女騎士「こほん。もう怒ってはいませんが、あの時のように盗みなどはしてはいけませんよ?」
子供「……うん」
女騎士「あと、好き嫌いも直すように。道中の食事でもお野菜を避けていたのはわかりましたよ」
子供「う……がんばるよ」
町人「ああ、それなら……」
女騎士「よかった……どうにか、あなたの身を落ち着けることができそうですね」
子供「……うん」
女騎士「こほん。もう怒ってはいませんが、あの時のように盗みなどはしてはいけませんよ?」
子供「……うん」
女騎士「あと、好き嫌いも直すように。道中の食事でもお野菜を避けていたのはわかりましたよ」
子供「う……がんばるよ」
441: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 08:19:25.428 ID:DdtRN4FO0
女騎士「それでは、わたしはこの辺りで」
子供「……ねえ、女騎士さん」
女騎士「?」
子供「あのさ……また、会えるかな。ここに、来てくれる……?」
女騎士「……ええ。きっと、また会えます」
子供「そっか……へへっ、おれも……がんばるよ」
女騎士「そろそろ。行きますね。お達者で!」
パカラッパカラッ…
子供「…………」
子供「女騎士さーーーん! 女騎士さんも元気でねーーー!」
子供「もうハダカで動き回っちゃダメだよーーー!」
女騎士「ぶっ」
子供「……ねえ、女騎士さん」
女騎士「?」
子供「あのさ……また、会えるかな。ここに、来てくれる……?」
女騎士「……ええ。きっと、また会えます」
子供「そっか……へへっ、おれも……がんばるよ」
女騎士「そろそろ。行きますね。お達者で!」
パカラッパカラッ…
子供「…………」
子供「女騎士さーーーん! 女騎士さんも元気でねーーー!」
子供「もうハダカで動き回っちゃダメだよーーー!」
女騎士「ぶっ」
444: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 08:43:10.627 ID:DdtRN4FO0
魔王城 付近
女騎士「……! あれは」
女騎士「野営ですね。人がいます。向かってみましょう」
パカラッパカラッ
馬刺し「ヒヒーン!」
偵察隊員A「……ん?」
偵察隊員B「あっ、あなたは!」
偵察隊員C「女騎士様!」
女騎士「……! あれは」
女騎士「野営ですね。人がいます。向かってみましょう」
パカラッパカラッ
馬刺し「ヒヒーン!」
偵察隊員A「……ん?」
偵察隊員B「あっ、あなたは!」
偵察隊員C「女騎士様!」
445: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 08:43:42.212 ID:DdtRN4FO0
女騎士「王都の偵察隊のみなさんですね。お疲れ様です」
偵察隊員A「はっ……先日は王都で大変だったと聞き及んでおります」
偵察隊員B「我々など、この今や平和な地で偵察を行なっているだけですので……」
女騎士「そんなことはありません。みなさんがこうしてここを見張って、安全を伝えてくれるだけで民は安心して眠ることができているのです。とても大事なお仕事だと思いますよ」
偵察隊員A「女騎士様……」
偵察隊員A「はっ……先日は王都で大変だったと聞き及んでおります」
偵察隊員B「我々など、この今や平和な地で偵察を行なっているだけですので……」
女騎士「そんなことはありません。みなさんがこうしてここを見張って、安全を伝えてくれるだけで民は安心して眠ることができているのです。とても大事なお仕事だと思いますよ」
偵察隊員A「女騎士様……」
447: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 08:50:54.780 ID:DdtRN4FO0
女騎士「わたしは今、王都を襲撃した魔王軍の残党を追っています」
女騎士「見立てでは、ここの魔王城とは別の拠点へ移ったと思われているのですが……」
隊員「ええ。私達も交代で目を離さないようにこうして魔王城を見張っているのですが、ここ数日……いえ、ほぼ毎日ですが、魔王軍残党……特に、王都を襲うような軍勢が出入りしたなどということはありませんね」
女騎士「やはりそうですか……でも、少しでも何か手がかりが残っていないかを調べたいのです。些細なことでも構いません。教えていただけないですか?」
女騎士「見立てでは、ここの魔王城とは別の拠点へ移ったと思われているのですが……」
隊員「ええ。私達も交代で目を離さないようにこうして魔王城を見張っているのですが、ここ数日……いえ、ほぼ毎日ですが、魔王軍残党……特に、王都を襲うような軍勢が出入りしたなどということはありませんね」
女騎士「やはりそうですか……でも、少しでも何か手がかりが残っていないかを調べたいのです。些細なことでも構いません。教えていただけないですか?」
448: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 09:09:01.683 ID:DdtRN4FO0
隊員A「そういえば……」
女騎士「! 何かあったのですか?」
隊員A「えぇ。大したことではないのですが……先日……ちょうど、王都襲撃の報から数日後に、飛行型の魔物……中級悪魔でしょうか。それらが何匹か魔王城から出て行ったという目撃がありました」
女騎士「魔王城から……」
女騎士「! 何かあったのですか?」
隊員A「えぇ。大したことではないのですが……先日……ちょうど、王都襲撃の報から数日後に、飛行型の魔物……中級悪魔でしょうか。それらが何匹か魔王城から出て行ったという目撃がありました」
女騎士「魔王城から……」
449: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 09:10:55.972 ID:DdtRN4FO0
隊員A「ええ。あの魔王城、はぐれの魔物等がたまに寝床として使用することがあってですね。それが増えすぎた場合は軍を呼んだりして定期的に駆除しているのです」
隊員B「中級悪魔クラスなんて見たことがなかったですね。あそこに寄り付くのは低級の獣系ばかりなので」
隊員A「おまけに、そいつらが入城したところを見た者が誰もいないのです。中級悪魔なんて珍しいので、返って見逃すことなんて無いと思うのですが……」
隊員B「王都襲撃後のことですので、奴らがその件に関与していたとは思えないのですが」
女騎士「……なるほど」
隊員B「中級悪魔クラスなんて見たことがなかったですね。あそこに寄り付くのは低級の獣系ばかりなので」
隊員A「おまけに、そいつらが入城したところを見た者が誰もいないのです。中級悪魔なんて珍しいので、返って見逃すことなんて無いと思うのですが……」
隊員B「王都襲撃後のことですので、奴らがその件に関与していたとは思えないのですが」
女騎士「……なるほど」
450: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 09:22:51.385 ID:DdtRN4FO0
女騎士「やはり、一度向かってみるべきですね。情報、ありがとうございます」
隊員「いえ、我々の仕事が少しでもお役に立てたのなら幸いです」
隊員「ここらはまだ平和ですが、最近の情勢を聞いて皆不安がっています。ましてや王都の襲撃……それも二度。そして、陛下の訃報……」
女騎士「…………」
隊員「あなた方、かつての英雄にばかり頼ってばかりで申し訳ない……ですが、何卒よろしくお願いします。我々にできることならば何だって協力します」
隊員「いえ、我々の仕事が少しでもお役に立てたのなら幸いです」
隊員「ここらはまだ平和ですが、最近の情勢を聞いて皆不安がっています。ましてや王都の襲撃……それも二度。そして、陛下の訃報……」
女騎士「…………」
隊員「あなた方、かつての英雄にばかり頼ってばかりで申し訳ない……ですが、何卒よろしくお願いします。我々にできることならば何だって協力します」
451: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 09:23:24.176 ID:DdtRN4FO0
女騎士「えぇ。任せてください。わたしも、わたしにできることを精いっぱいやるつもりです」
隊員「……あの、ひとつだけお願いが」
女騎士「さっそくですね。何でしょうか」
隊員「…………サ、」
女騎士「…………」ゴクリ…
隊員「サインを、いただけないでしょうか」
女騎士「……………………」
女騎士「…………ふえ?」
隊員「……あの、ひとつだけお願いが」
女騎士「さっそくですね。何でしょうか」
隊員「…………サ、」
女騎士「…………」ゴクリ…
隊員「サインを、いただけないでしょうか」
女騎士「……………………」
女騎士「…………ふえ?」
468: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 13:16:27.372 ID:DdtRN4FO0
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「着きました……魔王城」
女騎士「…………」
女騎士「前に来たときほどの禍々しさは感じませんが、やはり残滓のようなものは残っていますね」
女騎士「これでは人が寄り付かないのもよくわかります……」
女騎士「今からお城の中に入るので、馬刺しはこの辺りで待っていてくださいね」
馬刺し「ブルルッ…」
女騎士「着きました……魔王城」
女騎士「…………」
女騎士「前に来たときほどの禍々しさは感じませんが、やはり残滓のようなものは残っていますね」
女騎士「これでは人が寄り付かないのもよくわかります……」
女騎士「今からお城の中に入るので、馬刺しはこの辺りで待っていてくださいね」
馬刺し「ブルルッ…」
469: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 13:19:50.146 ID:DdtRN4FO0
ギィィィ…
女騎士「お、お邪魔します……」
女騎士「…………」
女騎士「……やはり、暗いですね」
女騎士「…………」
女騎士「……誰かいませんかー……?」
女騎士「…………」
女騎士「い、いるわけがないですよね」
女騎士「行きましょう」
魔物「ギャァァァァス!!」
女騎士「きゃあああ!?」
ズバッ!
女騎士「お、お邪魔します……」
女騎士「…………」
女騎士「……やはり、暗いですね」
女騎士「…………」
女騎士「……誰かいませんかー……?」
女騎士「…………」
女騎士「い、いるわけがないですよね」
女騎士「行きましょう」
魔物「ギャァァァァス!!」
女騎士「きゃあああ!?」
ズバッ!
470: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 13:20:26.235 ID:DdtRN4FO0
女騎士「そ、そうでした……偵察隊の方が下級魔物が住み着いていると言っていたのでした」
女騎士「えぇと、前回来たときに入手した地図を持って来ているので……」
ゴソゴソ…
女騎士「これを見ながら探索して行きましょう」
女騎士「えぇと、前回来たときに入手した地図を持って来ているので……」
ゴソゴソ…
女騎士「これを見ながら探索して行きましょう」
472: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 13:42:41.293 ID:DdtRN4FO0
ガチャッ
戦士「戻ったぞ」
魔法使い「おかえりなさい」
魔法使い「やっぱり、この前来た魔物が王都周囲に住み着き始めちゃってるのね……」
魔法使い「騎士団長もまだ快復されていないし、王都の守りをあなたにばかり押し付けちゃってごめんなさいね。わたしも、手が空いたときは……」
戦士「それはいいんだがよぉ……お前、目に隈できてんぞ」
魔法使い「えっ、やだ本当? これでも誤魔化してるんだけどなぁ……」
戦士「はぁ……。」
戦士「戻ったぞ」
魔法使い「おかえりなさい」
魔法使い「やっぱり、この前来た魔物が王都周囲に住み着き始めちゃってるのね……」
魔法使い「騎士団長もまだ快復されていないし、王都の守りをあなたにばかり押し付けちゃってごめんなさいね。わたしも、手が空いたときは……」
戦士「それはいいんだがよぉ……お前、目に隈できてんぞ」
魔法使い「えっ、やだ本当? これでも誤魔化してるんだけどなぁ……」
戦士「はぁ……。」
473: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 13:43:38.081 ID:DdtRN4FO0
戦士「俺は武器を振り回すことしかできねえ」
魔法使い「……何よ、いきなり」
戦士「襲ってくる火の粉を払うことはできても、星見も遠見も、お前が弄くり回してる見たこともねえ魔道具だとか、勇者探すのに小難しいことは何にもわからねえよ」
魔法使い「…………」
戦士「けどよ、お前が何考えてんのかくらいはわかる。俺も、たぶん同じ気持ちだからな」
魔法使い「……戦士……」
魔法使い「……何よ、いきなり」
戦士「襲ってくる火の粉を払うことはできても、星見も遠見も、お前が弄くり回してる見たこともねえ魔道具だとか、勇者探すのに小難しいことは何にもわからねえよ」
魔法使い「…………」
戦士「けどよ、お前が何考えてんのかくらいはわかる。俺も、たぶん同じ気持ちだからな」
魔法使い「……戦士……」
474: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 13:44:34.719 ID:DdtRN4FO0
戦士「だがな、俺にとっちゃお前のことも心配なんだよ。隈だけじゃねえ、ちゃんとメシ食ってんのか? 少し窶れてねえか? ……ガキは、大丈夫なのかよ」
魔法使い「…………」
戦士「……言いたいことがまとまらねえ。とにかく勇者のことも心配だが、お前も無理すんなってことだよ、くそっ」
魔法使い「………………」
魔法使い「……ありがと。これが一区切りついたら一度眠るわ。心配ばかりかけて、あなたに怪我されちゃあ王都は大変だもの」
戦士「俺はそんなヘマはしねえっ。……チッ、先に寝るぞ」
魔法使い「…………」
戦士「……言いたいことがまとまらねえ。とにかく勇者のことも心配だが、お前も無理すんなってことだよ、くそっ」
魔法使い「………………」
魔法使い「……ありがと。これが一区切りついたら一度眠るわ。心配ばかりかけて、あなたに怪我されちゃあ王都は大変だもの」
戦士「俺はそんなヘマはしねえっ。……チッ、先に寝るぞ」
475: >>471 馬刺しと一緒に外で待ってる 2018/03/27(火) 13:57:10.478 ID:DdtRN4FO0
コツコツコツ…
女騎士「えぇと……このフロアは大体探索を終えましたね」
女騎士「やはり、あれから呪術師たちがここを根城としていることはないみたいです」
女騎士「ですが、せめて次の拠点の手がかりになるものだけでも見つけられれば……」
コツコツ…
女騎士「ここは……魔王軍の実験室、のような所ですね」
女騎士「えぇと……このフロアは大体探索を終えましたね」
女騎士「やはり、あれから呪術師たちがここを根城としていることはないみたいです」
女騎士「ですが、せめて次の拠点の手がかりになるものだけでも見つけられれば……」
コツコツ…
女騎士「ここは……魔王軍の実験室、のような所ですね」
476: >>471 馬刺しと一緒に外で待ってる 2018/03/27(火) 13:59:47.387 ID:DdtRN4FO0
女騎士「前に来たときも思いましたが、相変わらず不気味な部屋ですね……」
女騎士「うぅ……薬品くさいです……」
女騎士「……ここも、最近使われた形跡は……」
女騎士「……おや?」
女騎士「うぅ……薬品くさいです……」
女騎士「……ここも、最近使われた形跡は……」
女騎士「……おや?」
478: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:06:06.501 ID:DdtRN4FO0
女騎士「鍵のかかった扉……」
女騎士「実験室の中の、更に奥に繋がる部屋」
女騎士「そういえば前回魔王城に来たときもこの扉は見つけましたが、結局鍵を見つけられず仕舞いとなってしまいましたね」
女騎士「よっぽど何か重要なものがあるのでしょうか」
女騎士「………………」
ベキャッ!
女騎士「あっ、開きました」
女騎士「実験室の中の、更に奥に繋がる部屋」
女騎士「そういえば前回魔王城に来たときもこの扉は見つけましたが、結局鍵を見つけられず仕舞いとなってしまいましたね」
女騎士「よっぽど何か重要なものがあるのでしょうか」
女騎士「………………」
ベキャッ!
女騎士「あっ、開きました」
479: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:07:57.463 ID:DdtRN4FO0
女騎士「以前来たときはこういう鍵の壊し方はできませんでしたね」
女騎士「魔法使いさんいわく、すべての鍵穴に特殊な魔法がかけられていたそうですが」
女騎士「城主がいなくなったことでその魔法も解けてしまったのでしょう」
女騎士「……おかげで鍵のかかった部屋を見つけるたびに鍵を探し回ることになり憂うつになったものです」
女騎士「この城に住んでいたひとたちは苦労をしなかったのでしょうか」
女騎士「魔法使いさんいわく、すべての鍵穴に特殊な魔法がかけられていたそうですが」
女騎士「城主がいなくなったことでその魔法も解けてしまったのでしょう」
女騎士「……おかげで鍵のかかった部屋を見つけるたびに鍵を探し回ることになり憂うつになったものです」
女騎士「この城に住んでいたひとたちは苦労をしなかったのでしょうか」
480: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:12:05.161 ID:DdtRN4FO0
ガチャッ
女騎士「……地下へ繋がる階段」
女騎士「!」
女騎士「階段を照らす燭台が使われた痕跡があります」
女騎士「最後に使われてからそれほど経ってはいないように見えますね……」
女騎士「この先に、何かが……!」
女騎士「……地下へ繋がる階段」
女騎士「!」
女騎士「階段を照らす燭台が使われた痕跡があります」
女騎士「最後に使われてからそれほど経ってはいないように見えますね……」
女騎士「この先に、何かが……!」
481: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:16:53.957 ID:DdtRN4FO0
コツコツ…
女騎士「階段を下りた先に、また扉がありますね」
ガチャッ
女騎士「!」
女騎士「広い……部屋」
女騎士「部屋の真ん中にある、あの大きな円柱は何なのでしょう」
女騎士「あの円柱に向けて、いろいろなケースや魔道具から配管が伸びています」
女騎士「階段を下りた先に、また扉がありますね」
ガチャッ
女騎士「!」
女騎士「広い……部屋」
女騎士「部屋の真ん中にある、あの大きな円柱は何なのでしょう」
女騎士「あの円柱に向けて、いろいろなケースや魔道具から配管が伸びています」
482: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:20:49.140 ID:DdtRN4FO0
女騎士「あっ、円柱の前に何やらスイッチがあります」
女騎士「赤くて大きなスイッチですね」
女騎士「スイッチの周りに注意書きのようなものがたくさんありますが」
女騎士「魔族の文字みたいで読めませんね……」
女騎士「魔法使いさんが居てくれたなら解読できたのですが」
女騎士「赤くて大きなスイッチですね」
女騎士「スイッチの周りに注意書きのようなものがたくさんありますが」
女騎士「魔族の文字みたいで読めませんね……」
女騎士「魔法使いさんが居てくれたなら解読できたのですが」
483: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:21:43.336 ID:DdtRN4FO0
女騎士「…………」
女騎士「……………………」
女騎士「…………………………………………」
女騎士「押しちゃいましょう」ポチッ
女騎士「……………………」
女騎士「…………………………………………」
女騎士「押しちゃいましょう」ポチッ
485: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:25:39.884 ID:DdtRN4FO0
キィィィィィィィン
女騎士「!?」
ガタガタガタガタガタガタ
ウィーーーーーーン
ガシャコンガシャコンガシャコン
ゴウンゴウンゴウンゴウン
プシューーーーーーッ!
女騎士「わっ、わっ、わっ!?」
女騎士「!?」
ガタガタガタガタガタガタ
ウィーーーーーーン
ガシャコンガシャコンガシャコン
ゴウンゴウンゴウンゴウン
プシューーーーーーッ!
女騎士「わっ、わっ、わっ!?」
486: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:36:49.430 ID:DdtRN4FO0
女騎士「あわわわわ」
女騎士「な、何が起こるんですっ!?」
ガシャーーーー!
女騎士「!!」
女騎士「円柱の表面が、開いて……中身が……!」
ゴポポッ
??「…………………………」
女騎士「あれは……少年……!?」
女騎士「な、何が起こるんですっ!?」
ガシャーーーー!
女騎士「!!」
女騎士「円柱の表面が、開いて……中身が……!」
ゴポポッ
??「…………………………」
女騎士「あれは……少年……!?」
487: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:38:53.743 ID:DdtRN4FO0
女騎士「ガラスケースの中で、何やら液体に浸かっています……」
女騎士「……わたしとそんなに変わらないくらいの年ですかね」
女騎士「肌も髪も真っ白で……」
女騎士「……あっ、頭にツノが生えています」
女騎士「……………………」
女騎士「……い、生きているのでしょうか」
角の生えた少年「……………………」パチリ
女騎士「!!」
女騎士「……わたしとそんなに変わらないくらいの年ですかね」
女騎士「肌も髪も真っ白で……」
女騎士「……あっ、頭にツノが生えています」
女騎士「……………………」
女騎士「……い、生きているのでしょうか」
角の生えた少年「……………………」パチリ
女騎士「!!」
488: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:42:13.345 ID:DdtRN4FO0
角の少年「………………」
女騎士「………………」
角の少年「……………………」
女騎士「……………………」
角の少年「…………その槍……」
女騎士「!!」
女騎士(しゃ、喋りました!)
女騎士「………………」
角の少年「……………………」
女騎士「……………………」
角の少年「…………その槍……」
女騎士「!!」
女騎士(しゃ、喋りました!)
489: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:46:02.851 ID:DdtRN4FO0
角の少年「聖なる気を確認した。つまり、敵か」
ガシャァァァン!!
女騎士「なっ!?」
角の少年「…………」
女騎士「腕が変形して、刃に……!」
女騎士「……くっ!」
ガギィィン!
ガシャァァァン!!
女騎士「なっ!?」
角の少年「…………」
女騎士「腕が変形して、刃に……!」
女騎士「……くっ!」
ガギィィン!
490: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:52:00.219 ID:DdtRN4FO0
キィン! ガキン!
ジャキッ! ギィン!
角の少年「……………………」
女騎士「ッ!」
女騎士(攻撃は単調ですがっ、鋭く重いっ!)
ギィン!
女騎士「はぁ、はぁ……!」
女騎士「あなたは一体誰ですか! どうしていきなり攻撃してくるのですか!」
角の少年「どうして……? 誰……?」
ピタッ
女騎士「はぁ、はぁ……!」
女騎士(動きが止まった……っ!)
ジャキッ! ギィン!
角の少年「……………………」
女騎士「ッ!」
女騎士(攻撃は単調ですがっ、鋭く重いっ!)
ギィン!
女騎士「はぁ、はぁ……!」
女騎士「あなたは一体誰ですか! どうしていきなり攻撃してくるのですか!」
角の少年「どうして……? 誰……?」
ピタッ
女騎士「はぁ、はぁ……!」
女騎士(動きが止まった……っ!)
491: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 14:56:41.217 ID:DdtRN4FO0
角の少年「どうして、に対する回答は持ち合わせている」
角の少年「お前の持っているその槍。聖の気を感じる。つまり、敵だ」
女騎士「! あなたは、魔王軍なのですか……!」
角の少年「誰なのか、に対する回答は持たない」
角の少年「俺は、誰だ?」
女騎士「え……?」
角の少年「お前の持っているその槍。聖の気を感じる。つまり、敵だ」
女騎士「! あなたは、魔王軍なのですか……!」
角の少年「誰なのか、に対する回答は持たない」
角の少年「俺は、誰だ?」
女騎士「え……?」
493: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 15:10:08.943 ID:DdtRN4FO0
女騎士(よくわかりませんが、話しかければ応えてはくれるみたいですね)
女騎士「わたしは、ここに来たばかりなのであなたが誰なのかはわかりません」
角の少年「そうか」
女騎士「けど、あなたが誰なのかわからなくて、魔王軍でないのなら、わたしはあなたと戦う理由はありません」
角の少年「……そうなのか?」
スゥ…
女騎士(刃を納めてくれました……)
女騎士「わたしは、ここに来たばかりなのであなたが誰なのかはわかりません」
角の少年「そうか」
女騎士「けど、あなたが誰なのかわからなくて、魔王軍でないのなら、わたしはあなたと戦う理由はありません」
角の少年「……そうなのか?」
スゥ…
女騎士(刃を納めてくれました……)
494: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 15:13:19.083 ID:DdtRN4FO0
女騎士「……あなたの名前は?」
角の少年「名前……わからない」
女騎士「あなたは、なぜこんな所にいるのですか?」
角の少年「なぜ……わからない」
女騎士「……ここがどこなのかわかりますか?」
角の少年「どこ……わからない」
角の少年「名前……わからない」
女騎士「あなたは、なぜこんな所にいるのですか?」
角の少年「なぜ……わからない」
女騎士「……ここがどこなのかわかりますか?」
角の少年「どこ……わからない」
496: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 15:20:48.441 ID:DdtRN4FO0
女騎士「えぇと…………」
女騎士「何か、知っていることはありますか?」
角の少年「……何かとは何だ? 具体的に言ってくれ」
女騎士「むぅぅぅ…………」
女騎士「……では、なぜ聖槍を持つわたしを敵だと思ったのですか?」
角の少年「……それも……わからない」
女騎士「………………」
角の少年「………………」
女騎士「……………………」
角の少年「……………………」
角の少年「俺は、何をすればいいんだ?」
女騎士(……どうしましょう)
女騎士「何か、知っていることはありますか?」
角の少年「……何かとは何だ? 具体的に言ってくれ」
女騎士「むぅぅぅ…………」
女騎士「……では、なぜ聖槍を持つわたしを敵だと思ったのですか?」
角の少年「……それも……わからない」
女騎士「………………」
角の少年「………………」
女騎士「……………………」
角の少年「……………………」
角の少年「俺は、何をすればいいんだ?」
女騎士(……どうしましょう)
497: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 15:30:32.425 ID:DdtRN4FO0
女騎士「うぅん……うぅん……」
角の少年「……………………」
女騎士「……………………」
女騎士「……とりあえず、服を着ませんか?」
角の少年「服? どこにある」
女騎士「えぇと……ひとまず、このテーブルのクロスでも使いましょうか」
角の少年「わかった」
角の少年「……………………」
女騎士「……………………」
女騎士「……とりあえず、服を着ませんか?」
角の少年「服? どこにある」
女騎士「えぇと……ひとまず、このテーブルのクロスでも使いましょうか」
角の少年「わかった」
498: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 15:40:27.043 ID:DdtRN4FO0
女騎士(結局、角の少年についてわかったことは何もありませんでした)
女騎士(放置していくこともできないので、残りのフロアの探索は後回しにし、彼を連れて一旦町に戻ることにしました)
女騎士「その布きれの服だけで町に入るわけには行きませんね……それに、その角も目立ってしまうので隠さないと……」
角の少年「そうなのか?」
女騎士「わたしが先に行って服を買ってくるので、ここで待っていてくれませんか?」
角の少年「わかった」
女騎士(放置していくこともできないので、残りのフロアの探索は後回しにし、彼を連れて一旦町に戻ることにしました)
女騎士「その布きれの服だけで町に入るわけには行きませんね……それに、その角も目立ってしまうので隠さないと……」
角の少年「そうなのか?」
女騎士「わたしが先に行って服を買ってくるので、ここで待っていてくれませんか?」
角の少年「わかった」
499: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 15:41:01.494 ID:DdtRN4FO0
女騎士(彼はあのお話の後、意外にも最初に見せた攻撃性を一度も発揮することなくわたしの言うことを聞いてくれています)
女騎士(だからこそ、町に連れてこようと思ったのですが……)
女騎士(純粋で素直……まるで、何も知らない子供のようです)
女騎士(だからこそ、町に連れてこようと思ったのですが……)
女騎士(純粋で素直……まるで、何も知らない子供のようです)
500: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 15:53:30.428 ID:DdtRN4FO0
女騎士「服を買ってきましたよ」
角の少年「ああ」
女騎士「…………」
角の少年「…………」
女騎士「着てください」
角の少年「わかった」
角の少年「ああ」
女騎士「…………」
角の少年「…………」
女騎士「着てください」
角の少年「わかった」
502: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 15:57:55.907 ID:DdtRN4FO0
女騎士「おぉ……似合っていますね。我ながらナイスセンスです」ムフー
角の少年「そうなのか?」
女騎士「えぇ、ばっちりです。あと、この帽子も被っておいてください」
角の少年「わかった」
女騎士「いいですか、町の中で、この帽子は決して外してはいけませんよ」
角の少年「わかった」
角の少年「そうなのか?」
女騎士「えぇ、ばっちりです。あと、この帽子も被っておいてください」
角の少年「わかった」
女騎士「いいですか、町の中で、この帽子は決して外してはいけませんよ」
角の少年「わかった」
503: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 16:00:25.458 ID:DdtRN4FO0
ワイワイガヤガヤ…
角の少年「人が……いっぱいだ。数えきれない」
女騎士「人里に来るのも初めてなんですね」
角の少年「これは全部敵か?」
女騎士「違いますっ!!」
角の少年「人が……いっぱいだ。数えきれない」
女騎士「人里に来るのも初めてなんですね」
角の少年「これは全部敵か?」
女騎士「違いますっ!!」
504: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 16:13:21.974 ID:DdtRN4FO0
武闘家「…………この渓谷も、何も見つからなかったか」
僧侶「そうですね……。魔王軍の新しい拠点。この地域にはもう構えられそうな場所は無さそうです」
武闘家「次は北の地域に移動するか。あの地域は、魔王城の地形と似通った箇所が多い。拠点を構えるのも適している」
僧侶「えぇ。本当は、もっと絞り込めれば良いのですが」
武闘家「その手の絞り込みは魔法使いに任せる他ない。何かがわかればこの石を通して連絡があるだろう」
僧侶「私たちは、とにかく足と旅の記憶を活かして探し続けること、ですよね」
武闘家「ああ。それが今の我々にできる最大限の努力だろう。とにかく根を詰めることだ」
僧侶「そうですね……。魔王軍の新しい拠点。この地域にはもう構えられそうな場所は無さそうです」
武闘家「次は北の地域に移動するか。あの地域は、魔王城の地形と似通った箇所が多い。拠点を構えるのも適している」
僧侶「えぇ。本当は、もっと絞り込めれば良いのですが」
武闘家「その手の絞り込みは魔法使いに任せる他ない。何かがわかればこの石を通して連絡があるだろう」
僧侶「私たちは、とにかく足と旅の記憶を活かして探し続けること、ですよね」
武闘家「ああ。それが今の我々にできる最大限の努力だろう。とにかく根を詰めることだ」
508: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 16:42:29.194 ID:DdtRN4FO0
女騎士「人里、町についてはひとまずこんな所です」
角の少年「ああ。参考になった」
女騎士「……もう日も落ちてきましたし、今日はひとまず宿を取りましょうか」
角の少年「宿を獲る。攻め落とすのか?」ジャキッ
女騎士「何でそんなに物騒な考え方をするのですかっ! あと、町中でそれを出すのも禁止です!」
角の少年「……違うのか」シュン…
角の少年「ああ。参考になった」
女騎士「……もう日も落ちてきましたし、今日はひとまず宿を取りましょうか」
角の少年「宿を獲る。攻め落とすのか?」ジャキッ
女騎士「何でそんなに物騒な考え方をするのですかっ! あと、町中でそれを出すのも禁止です!」
角の少年「……違うのか」シュン…
509: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 16:45:39.145 ID:DdtRN4FO0
宿
女騎士「あなたをひとりにするのはまだ不安なので、とりあえずは同室です」
角の少年「そうか」
女騎士「そろそろ寝ましょう」
女騎士「……念のために聞いておきますが、眠れますよね?」
角の少年「睡眠の機能についてなら、その通りだ。一定時間の活動をしたのなら、俺も睡眠を必要とする。現に今も、眠気というものを感じている」
女騎士「よかった。わたしたちと変わらないのですね」
女騎士「あなたをひとりにするのはまだ不安なので、とりあえずは同室です」
角の少年「そうか」
女騎士「そろそろ寝ましょう」
女騎士「……念のために聞いておきますが、眠れますよね?」
角の少年「睡眠の機能についてなら、その通りだ。一定時間の活動をしたのなら、俺も睡眠を必要とする。現に今も、眠気というものを感じている」
女騎士「よかった。わたしたちと変わらないのですね」
510: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 16:48:14.929 ID:DdtRN4FO0
角の少年「……女騎士。俺は今日、お前から様々な知識を教わった。俺にとって益のあることなのは事実だが、なぜこんなことをする? お前に得はあるのか?」
女騎士「なぜ、と言われても。うぅん……放っておくわけにもいかないじゃないですか」
角の少年「なぜ放っておけないんだ?」
女騎士「……そうですね。そうした方がいいと思ったから、でしょうか」
角の少年「そうした方がいいと……思った……?」
女騎士「自分が正しいと思ったことをやる。自分が間違っていると思ったことはやらない」
女騎士「あなたにもわかりますか?」
女騎士「なぜ、と言われても。うぅん……放っておくわけにもいかないじゃないですか」
角の少年「なぜ放っておけないんだ?」
女騎士「……そうですね。そうした方がいいと思ったから、でしょうか」
角の少年「そうした方がいいと……思った……?」
女騎士「自分が正しいと思ったことをやる。自分が間違っていると思ったことはやらない」
女騎士「あなたにもわかりますか?」
511: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 16:48:33.537 ID:DdtRN4FO0
角の少年「……わからない。正しいと、間違っているの、基準値を教えてくれ」
女騎士「……それは、わたしにもわかりません」
角の少年「お前にも、わからないことはあるのか」
女騎士「はい。わからないことだらけです」
女騎士「……それは、わたしにもわかりません」
角の少年「お前にも、わからないことはあるのか」
女騎士「はい。わからないことだらけです」
523: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 19:07:54.831 ID:DdtRN4FO0
女騎士「ごめんください」チリンチリーン
角の少年「…………?」
孤児院院長「おや、女騎士様。今日はどうされましたか」
女騎士「先日は急な話を受けてくださってありがとうございました」
院長「とんでもない、ここの運営は私がやりたくてやっていることですから」
院長「最近はこの辺りも平和なもので、入院する子も減っていまして。それ自体は良いことなのですがね。院の子たちも先日は家族が増えたと喜んでいたところです」
女騎士「院長さん……」
院長「あの子もあなたに会いたがっていましたよ。よろしければ後で顔を見せてやってください」
女騎士「はい、あとで覗いてみますね」
角の少年「…………?」
孤児院院長「おや、女騎士様。今日はどうされましたか」
女騎士「先日は急な話を受けてくださってありがとうございました」
院長「とんでもない、ここの運営は私がやりたくてやっていることですから」
院長「最近はこの辺りも平和なもので、入院する子も減っていまして。それ自体は良いことなのですがね。院の子たちも先日は家族が増えたと喜んでいたところです」
女騎士「院長さん……」
院長「あの子もあなたに会いたがっていましたよ。よろしければ後で顔を見せてやってください」
女騎士「はい、あとで覗いてみますね」
524: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 19:09:11.940 ID:DdtRN4FO0
女騎士「あの、実はもうひとり、お願いしたい子がいるのです」
院長「ふむ。もしかして、そちらの?」
角の少年「…………?」
女騎士「はい。実は……」
院長「ふむ。もしかして、そちらの?」
角の少年「…………?」
女騎士「はい。実は……」
525: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 19:10:03.012 ID:DdtRN4FO0
院長「なるほど。記憶が……それはまた大変な思いをしたのでしょうね」
女騎士「少し、一般的な知識が欠けているところもあるみたいなんです。でも悪い子ではありません。せめて、自立できるまでの間だけでも……」
角の少年「女騎士。さっきから話しているのは俺のことか」
女騎士「そうですよ。……って、朝にも話したじゃありませんか」
角の少年「すまない。眠気が取れなくてな」
女騎士「もうっ」
女騎士(こういうところは意外と人間っぽいんですね)
女騎士「少し、一般的な知識が欠けているところもあるみたいなんです。でも悪い子ではありません。せめて、自立できるまでの間だけでも……」
角の少年「女騎士。さっきから話しているのは俺のことか」
女騎士「そうですよ。……って、朝にも話したじゃありませんか」
角の少年「すまない。眠気が取れなくてな」
女騎士「もうっ」
女騎士(こういうところは意外と人間っぽいんですね)
526: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 19:11:03.682 ID:DdtRN4FO0
女騎士「わたしはこれから行かなければならない所、そしてやらなければならないことがあるのです」
女騎士「ひとまずは昨日の調査の続きを。そしてその後はまたどこへ行くともわかりません」
女騎士「危険なこともあります。いくらあなたが戦えるとはいえ、あなたを巻き込むわけにも行きません」
角の少年「俺は、邪魔なのか」
女騎士「……そういう話ではありません」
女騎士「ひとまずは昨日の調査の続きを。そしてその後はまたどこへ行くともわかりません」
女騎士「危険なこともあります。いくらあなたが戦えるとはいえ、あなたを巻き込むわけにも行きません」
角の少年「俺は、邪魔なのか」
女騎士「……そういう話ではありません」
527: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 19:14:59.968 ID:DdtRN4FO0
女騎士「ただ、あなたには自分で道を選んで生きてほしいのです。わたしに無理やり付き合わされた道を進むのではなく、自分の思うように生きてほしい」
女騎士「自分のやりたいと感じたこと、そうではないこといろいろありますが、自分で道を決めて生きていくのです」
角の少年「……昨日の、心の話か」
女騎士「自分のやりたいと感じたこと、そうではないこといろいろありますが、自分で道を決めて生きていくのです」
角の少年「……昨日の、心の話か」
528: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 19:16:13.181 ID:DdtRN4FO0
女騎士「昨日はちゃんとした答えを出してあげられませんでしたが、いろいろなひとと触れ合って、自分でその答えを見つけてください。ここは、そういう学びの意味でもあなたにとって良き場だと思ったんです」
角の少年「…………」
女騎士「院長にも、話せる限りの事情は話しておきました。角の話もです。他のひとにはまだ見せてはいけませんが、あの院長にはあなたの悩みや秘密を相談できるでしょう」
女騎士「……どうですか?」
角の少年「…………」
角の少年「わかった。女騎士がそう言うのならそうなんだろう。それに従おう」
角の少年「…………」
女騎士「院長にも、話せる限りの事情は話しておきました。角の話もです。他のひとにはまだ見せてはいけませんが、あの院長にはあなたの悩みや秘密を相談できるでしょう」
女騎士「……どうですか?」
角の少年「…………」
角の少年「わかった。女騎士がそう言うのならそうなんだろう。それに従おう」
530: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 19:18:44.300 ID:DdtRN4FO0
子供「あっ、女騎士さん!」
女騎士「あはは……昨日、ああ言って別れたばかりなのに、もう来ちゃいました」
子供「全然だよ! ……そこの白い兄ちゃんは誰?」
院長「今日からの、新しい家族だよ」
女騎士「仲良くしてあげてくださいね」
子供「うん、よろしくな。兄ちゃん」
角の少年「よろしく頼もう」
女騎士「あはは……昨日、ああ言って別れたばかりなのに、もう来ちゃいました」
子供「全然だよ! ……そこの白い兄ちゃんは誰?」
院長「今日からの、新しい家族だよ」
女騎士「仲良くしてあげてくださいね」
子供「うん、よろしくな。兄ちゃん」
角の少年「よろしく頼もう」
531: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 19:20:27.086 ID:DdtRN4FO0
女騎士「では、わたしはもう行きますね」
角の少年「そうか」
角の少年「…………」
角の少年「もう、ここには来ないのか」
女騎士「いいえ、魔王城の調査にはもう少し時間がかかりそうですから。もうしばらくはこの辺りに留まります。時間があれば、また顔を出そうと思っていますよ」
角の少年「そうか」
角の少年「それは……よかった」
女騎士「!」
角の少年「そうか」
角の少年「…………」
角の少年「もう、ここには来ないのか」
女騎士「いいえ、魔王城の調査にはもう少し時間がかかりそうですから。もうしばらくはこの辺りに留まります。時間があれば、また顔を出そうと思っていますよ」
角の少年「そうか」
角の少年「それは……よかった」
女騎士「!」
532: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 19:21:47.239 ID:DdtRN4FO0
女騎士「……あなたは、そんな顔をして笑うのですね」
角の少年「……俺が? 何かしたか」
女騎士「ふふっ。何でもありません」
角の少年「……俺が? 何かしたか」
女騎士「ふふっ。何でもありません」
534: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 19:42:35.460 ID:DdtRN4FO0
路地裏の男「悪りぃな」
盗賊「いんや、全然。また何かわかったら教えてくれや」
チャリーン
盗賊「…………」
盗賊「はぁ、何もかもサッパリだな」
盗賊「あの時ゃ見栄張ってああ言ったが、やっぱ俺の調査なんてのも高が知れてんのかね」
盗賊「ま、俺一人くらいサボってても、そのうち優秀な魔法使いの姐さんや武闘家のおっさん、女騎士あたりが見つけてくれるんだろうがな」
盗賊「そうなりゃこの苦労だって何の意味もねえ徒労だしな」
盗賊「はは、サボっちまうか?」
盗賊「…………」
盗賊「……………………」
盗賊「はぁ。柄じゃねえけど、仕方ねえ……。いつから俺はこんなメンドくさい性格になっちまったんだ」
盗賊「いんや、全然。また何かわかったら教えてくれや」
チャリーン
盗賊「…………」
盗賊「はぁ、何もかもサッパリだな」
盗賊「あの時ゃ見栄張ってああ言ったが、やっぱ俺の調査なんてのも高が知れてんのかね」
盗賊「ま、俺一人くらいサボってても、そのうち優秀な魔法使いの姐さんや武闘家のおっさん、女騎士あたりが見つけてくれるんだろうがな」
盗賊「そうなりゃこの苦労だって何の意味もねえ徒労だしな」
盗賊「はは、サボっちまうか?」
盗賊「…………」
盗賊「……………………」
盗賊「はぁ。柄じゃねえけど、仕方ねえ……。いつから俺はこんなメンドくさい性格になっちまったんだ」
538: VIPがお送りします 2018/03/27(火) 20:14:25.379 ID:DdtRN4FO0
女騎士「あれから数日、魔王城の調査を行いましたが……」
女騎士「あの子の発見以外、特に新しい情報は発見できませんでした」
女騎士「でも、あの子の収容されていた実験室……」
女騎士「あの場所には何日か前に使われた痕跡があったんですよね」
女騎士「それと、王都襲撃の後に目撃されたという、飛び立つ中級悪魔……」
女騎士「これはいったい、何を意味するのでしょうか」
女騎士「その数日前まで、その中級悪魔があの子の体に関わっていた……?」
女騎士「……でも、あれからも何度かあの部屋に足を運んでみましたが、何かが戻って来た形跡はありません」
女騎士「…………うぅん」
女騎士「この城の調査も、潮時なのかも知れませんね……」
女騎士「あの子の発見以外、特に新しい情報は発見できませんでした」
女騎士「でも、あの子の収容されていた実験室……」
女騎士「あの場所には何日か前に使われた痕跡があったんですよね」
女騎士「それと、王都襲撃の後に目撃されたという、飛び立つ中級悪魔……」
女騎士「これはいったい、何を意味するのでしょうか」
女騎士「その数日前まで、その中級悪魔があの子の体に関わっていた……?」
女騎士「……でも、あれからも何度かあの部屋に足を運んでみましたが、何かが戻って来た形跡はありません」
女騎士「…………うぅん」
女騎士「この城の調査も、潮時なのかも知れませんね……」
573: ◆exqaVCJQksMK 2018/03/28(水) 05:42:36.528 ID:FaBrTRu/0
ポーン…
パァン!
角の少年「ぬ」
子供「あー、白い兄ちゃん、またボール割ったのかよ」
角の少年「すまない。まだ力加減がうまくできないようだ」
パァン!
角の少年「ぬ」
子供「あー、白い兄ちゃん、またボール割ったのかよ」
角の少年「すまない。まだ力加減がうまくできないようだ」
574: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 05:43:47.405 ID:FaBrTRu/0
角の少年「あれから数日か」
角の少年「俺は上手く馴染めているだろうか」
角の少年「何かおかしなところはないだろうか」
角の少年「もっと良くできることはあるだろうか」
角の少年「次に女騎士が来たときに聞いてみよう」
角の少年「…………」
角の少年「そう言えば、女騎士はもうすぐこの町から出ると言っていたな」
角の少年「俺は上手く馴染めているだろうか」
角の少年「何かおかしなところはないだろうか」
角の少年「もっと良くできることはあるだろうか」
角の少年「次に女騎士が来たときに聞いてみよう」
角の少年「…………」
角の少年「そう言えば、女騎士はもうすぐこの町から出ると言っていたな」
575: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 05:51:15.627 ID:FaBrTRu/0
角の少年「…………」
角の少年「…………」
角の少年「やるべきこと、か」
???「ギィィィィィ!」
角の少年「!」
町人「魔物だ! 魔物が出たぞおお!」
角の少年「魔物……」
角の少年「…………」
角の少年「やるべきこと、か」
???「ギィィィィィ!」
角の少年「!」
町人「魔物だ! 魔物が出たぞおお!」
角の少年「魔物……」
576: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 05:52:11.842 ID:FaBrTRu/0
上級悪魔「まったく、中級悪魔どもめ」
上級悪魔「呪術師様の命令は不良品の廃棄だというのに、何を勘違いしたのかただ放棄して帰ってきおった」
上級悪魔「おまけに、数日前に封印が解けたという報告もある」
上級悪魔「大した失態だ……」
上級悪魔「呪術師様の命令は不良品の廃棄だというのに、何を勘違いしたのかただ放棄して帰ってきおった」
上級悪魔「おまけに、数日前に封印が解けたという報告もある」
上級悪魔「大した失態だ……」
577: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 05:52:51.954 ID:FaBrTRu/0
魔王城
女騎士「はっ!」
ズバッ!
下級悪魔「ギィィィィィ!」
中級悪魔「き、聞いてないぞ! なぜ女騎士がこんなところにいる!」
女騎士「それはこちらのセリフです! 今まで誰もいなかったこのお城に、何の用があって来たのですか!」
中級悪魔「くっ……くそ、早く廃棄に向かわねばならんというのに」
女騎士「!」
女騎士(廃棄……?)
女騎士「はっ!」
ズバッ!
下級悪魔「ギィィィィィ!」
中級悪魔「き、聞いてないぞ! なぜ女騎士がこんなところにいる!」
女騎士「それはこちらのセリフです! 今まで誰もいなかったこのお城に、何の用があって来たのですか!」
中級悪魔「くっ……くそ、早く廃棄に向かわねばならんというのに」
女騎士「!」
女騎士(廃棄……?)
578: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 05:54:24.545 ID:FaBrTRu/0
町人「うわあああああ!!」
下級悪魔「ギィィィィィ!」
上級悪魔「城には件の中級悪魔どもを向かわせたが……廃棄品が人里に降りている可能性もある」
上級悪魔「まあ、あのような物が人里に馴染めるとは到底思えん」
上級悪魔「降りて来ているのなら目立つだろう。すぐに見つかる」
上級悪魔「…………」
下級悪魔「ギィィィィィ!」
上級悪魔「城には件の中級悪魔どもを向かわせたが……廃棄品が人里に降りている可能性もある」
上級悪魔「まあ、あのような物が人里に馴染めるとは到底思えん」
上級悪魔「降りて来ているのなら目立つだろう。すぐに見つかる」
上級悪魔「…………」
579: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 06:00:35.910 ID:FaBrTRu/0
院長「た、大変だ……!」
子供たち「うわああああん!!」
院長「くっ!」
院長(子供たちの中には故郷を魔物に襲われたという子が多い……)
院長(この状況、きっと嫌な思い出が蘇っているのだろう……)
院長(このままでは避難が……!)
角の少年「…………」
子供たち「うわああああん!!」
院長「くっ!」
院長(子供たちの中には故郷を魔物に襲われたという子が多い……)
院長(この状況、きっと嫌な思い出が蘇っているのだろう……)
院長(このままでは避難が……!)
角の少年「…………」
580: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 06:01:49.024 ID:FaBrTRu/0
下級悪魔「ギィィィィィ!」
院長「くっ! 子供たちに泣き声に反応したか……」
院長「くそっ、来るなぁっ!」
ザッ
角の少年「…………」
院長「き、君は……何をやっている! 早く逃げるんだ!」
角の少年「…………」
角の少年「……いや」
角の少年「……俺の力なら」ブゥン…
角の少年「…………」
角の少年「………………む」
院長「くっ! 子供たちに泣き声に反応したか……」
院長「くそっ、来るなぁっ!」
ザッ
角の少年「…………」
院長「き、君は……何をやっている! 早く逃げるんだ!」
角の少年「…………」
角の少年「……いや」
角の少年「……俺の力なら」ブゥン…
角の少年「…………」
角の少年「………………む」
581: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 06:02:31.597 ID:FaBrTRu/0
角の少年「…………」
角の少年「女騎士は、町中でこの力を使うのは駄目だと言っていたな……」
下級悪魔「ギィィィィィ!」
角の少年「!」
ガブッ!
角の少年「女騎士は、町中でこの力を使うのは駄目だと言っていたな……」
下級悪魔「ギィィィィィ!」
角の少年「!」
ガブッ!
583: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 06:06:43.383 ID:FaBrTRu/0
ポタポタ…
角の少年「…………む」
院長「そ、その子から離れろぉ!!」
ベキッ
下級悪魔「ギィィィ……」
フラフラ…バタン
角の少年「…………む」
院長「そ、その子から離れろぉ!!」
ベキッ
下級悪魔「ギィィィ……」
フラフラ…バタン
584: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 06:07:39.495 ID:FaBrTRu/0
院長「はぁはぁ……! だ、大丈夫か! ち、血がっ!」
角の少年「大丈夫だ」
院長「な、なにを……」
角の少年「俺は存外、頑丈にできているらしい。ここから逃げるんだろう、院長」
院長「あ、あぁ……」
角の少年「俺も手伝う。行くなら早く行こう」
角の少年「大丈夫だ」
院長「な、なにを……」
角の少年「俺は存外、頑丈にできているらしい。ここから逃げるんだろう、院長」
院長「あ、あぁ……」
角の少年「俺も手伝う。行くなら早く行こう」
627: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:36:55.386 ID:FaBrTRu/0
魔王城
ドシュッ!
中級悪魔「ぐ……あ…………くそ…………」
女騎士「はぁ、はぁ……これで全員……」
女騎士「彼らはこの城のどこかに向かおうとしていました……その方向……」
女騎士「そして、先ほどの廃棄という言葉……」
女騎士「……! まさか……!」
ダッ!
ドシュッ!
中級悪魔「ぐ……あ…………くそ…………」
女騎士「はぁ、はぁ……これで全員……」
女騎士「彼らはこの城のどこかに向かおうとしていました……その方向……」
女騎士「そして、先ほどの廃棄という言葉……」
女騎士「……! まさか……!」
ダッ!
628: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:37:29.416 ID:FaBrTRu/0
女騎士「馬刺し! 焼き鳥!」
馬刺し「ヒヒーン!」
焼き鳥「キィーーーー!」
カッ!
女騎士「あの子が危ない……町へ急がないと!」
バサッ!
馬刺し「ヒヒーン!」
焼き鳥「キィーーーー!」
カッ!
女騎士「あの子が危ない……町へ急がないと!」
バサッ!
629: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:43:17.161 ID:FaBrTRu/0
院長「皆、こっちに来るんだ!」
バタバタ
角の少年「…………」
子供「……白い兄ちゃん」
角の少年「どうした」
子供「……大丈夫……だよね……?」
角の少年「何がだ」
子供「……おれの村みたいに、この町が無くなっちゃったりしないよね……誰か、死んじゃったりしないよね……?」
バタバタ
角の少年「…………」
子供「……白い兄ちゃん」
角の少年「どうした」
子供「……大丈夫……だよね……?」
角の少年「何がだ」
子供「……おれの村みたいに、この町が無くなっちゃったりしないよね……誰か、死んじゃったりしないよね……?」
630: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:43:57.569 ID:FaBrTRu/0
角の少年「……それは、」
角の少年(わからない。こんな時にどう回答すればいいのか。俺は答えを持ち合わせていない)
角の少年(だが…………)
子供「うぅ……」
角の少年「…………」
角の少年(わからない。こんな時にどう回答すればいいのか。俺は答えを持ち合わせていない)
角の少年(だが…………)
子供「うぅ……」
角の少年「…………」
631: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:44:42.202 ID:FaBrTRu/0
角の少年「院長は、お前たちを生かそうとしている」
子供「…………」
角の少年「……俺も、それを手伝おう。お前も……頑張れ」
子供「………………」
子供「……うん……おれも、頑張る……!」
子供「…………」
角の少年「……俺も、それを手伝おう。お前も……頑張れ」
子供「………………」
子供「……うん……おれも、頑張る……!」
632: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:48:23.293 ID:FaBrTRu/0
下級悪魔「ギィィィィ!」
ワァァァァァァ!
マモノダァァァァ!
ウワァァァァァァ!
上級悪魔「……この村には、いないようだな」
上級悪魔「ならばまだ城にいるのだろう……だが、中級悪魔の帰りが遅すぎる」
上級悪魔「よもや、目覚めたアレの返り討ちに遭っているのではあるまいな」
上級悪魔「欠陥品如きに何というザマだ……どうも面倒を掛けてくれる奴らよ」
上級悪魔「……む?」
院長「はぁ、はぁ! はぐれた子はいないか!?」
角の少年「全員いる。問題ない」
上級悪魔「……………………」
ワァァァァァァ!
マモノダァァァァ!
ウワァァァァァァ!
上級悪魔「……この村には、いないようだな」
上級悪魔「ならばまだ城にいるのだろう……だが、中級悪魔の帰りが遅すぎる」
上級悪魔「よもや、目覚めたアレの返り討ちに遭っているのではあるまいな」
上級悪魔「欠陥品如きに何というザマだ……どうも面倒を掛けてくれる奴らよ」
上級悪魔「……む?」
院長「はぁ、はぁ! はぐれた子はいないか!?」
角の少年「全員いる。問題ない」
上級悪魔「……………………」
633: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:49:39.024 ID:FaBrTRu/0
上級悪魔「……貴様」
院長「ッ!? ……あ、悪魔……!!」
角の少年「…………」
上級悪魔「こんな所で何をやっている、欠陥品よ」
角の少年「欠陥品……俺のことを言っているのか」
上級悪魔「ふん、まさか人里で人間ごっこをしているとはな。欠陥品たる由縁の無駄な自我がそうしているのか。それとも誰かの入れ知恵か?」
角の少年「…………」
院長「ッ!? ……あ、悪魔……!!」
角の少年「…………」
上級悪魔「こんな所で何をやっている、欠陥品よ」
角の少年「欠陥品……俺のことを言っているのか」
上級悪魔「ふん、まさか人里で人間ごっこをしているとはな。欠陥品たる由縁の無駄な自我がそうしているのか。それとも誰かの入れ知恵か?」
角の少年「…………」
634: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:50:35.923 ID:FaBrTRu/0
上級悪魔「何にせよ、貴様には廃棄の命がくだされている。大人しく、死ね」
コォォ…
カッ!
角の少年「…………ッ」
コォォ…
カッ!
角の少年「…………ッ」
635: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:52:00.515 ID:FaBrTRu/0
院長「や、やめろぉ!」
ドンッ
角の少年「……あっ」
ボゥッ!
角の少年「ッ!」ズサァ
角の少年「…………院長」
院長「……あ…………が…………」
ドサッ…
ドンッ
角の少年「……あっ」
ボゥッ!
角の少年「ッ!」ズサァ
角の少年「…………院長」
院長「……あ…………が…………」
ドサッ…
636: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:53:08.548 ID:FaBrTRu/0
角の少年「……何を……しているんだ」
院長「……はぁ……はぁ…………」
院長「……はは…………よかった……無事みたいだね……」
角の少年「…………」
院長「……はぁ……はぁ…………」
院長「……はは…………よかった……無事みたいだね……」
角の少年「…………」
637: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:55:48.189 ID:FaBrTRu/0
院長「……ガフッ! はぁはぁ……! 子どもたちを頼むよ……みんな、幼いんだ……君が一番しっかりしている……」
角の少年「……なぜ、俺を庇ったんだ」
院長「はぁ、はぁ……! なぜって、家族を守るのは当たり前だろう……?」
角の少年「………………」
院長「……君は、まだ院に入ったばかりだけど……、そのときから、君は私にとっての家族なんだ……私は、君のことを子どものように思っているよ……」
角の少年「……………………」
院長「……だから、子どもたちを…………」
角の少年「…………………………」
角の少年「……なぜ、俺を庇ったんだ」
院長「はぁ、はぁ……! なぜって、家族を守るのは当たり前だろう……?」
角の少年「………………」
院長「……君は、まだ院に入ったばかりだけど……、そのときから、君は私にとっての家族なんだ……私は、君のことを子どものように思っているよ……」
角の少年「……………………」
院長「……だから、子どもたちを…………」
角の少年「…………………………」
639: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 18:56:43.988 ID:FaBrTRu/0
上級悪魔「人間ごっこの成果が出たか、欠陥品。良い盾を手に入れたではないか」
上級悪魔「だが、やはり脆いな」
上級悪魔「次はどいつを盾にする? そこのガキは小さいが、弾よけくらいには使えるか」
角の少年「………………」
角の少年「……………………」
角の少年「悪いな、女騎士。約束を、守れそうにない」
上級悪魔「だが、やはり脆いな」
上級悪魔「次はどいつを盾にする? そこのガキは小さいが、弾よけくらいには使えるか」
角の少年「………………」
角の少年「……………………」
角の少年「悪いな、女騎士。約束を、守れそうにない」
640: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 19:08:36.787 ID:FaBrTRu/0
ドシュッ、ズバッ
女騎士「はぁ、はぁ……あの子はどこに……」
女騎士「魔物の数に対して、町の被害が少ない……まるで何かを探しているかのよう……」
女騎士「!」
女騎士「魔物が……一斉に向こうの方へ……」
女騎士「……ッ!」
ダッ!
女騎士「はぁ、はぁ……あの子はどこに……」
女騎士「魔物の数に対して、町の被害が少ない……まるで何かを探しているかのよう……」
女騎士「!」
女騎士「魔物が……一斉に向こうの方へ……」
女騎士「……ッ!」
ダッ!
642: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 19:19:23.689 ID:FaBrTRu/0
ドシュッ!!
上級悪魔「……………………」
角の少年「……………………」
上級悪魔「………………がっ……」
角の少年「…………………………」ブゥン…
町人A「あ、あれは何だ……」
町人B「院長の所の子……手が、剣に……」
ザワザワ…
上級悪魔「……………………」
角の少年「……………………」
上級悪魔「………………がっ……」
角の少年「…………………………」ブゥン…
町人A「あ、あれは何だ……」
町人B「院長の所の子……手が、剣に……」
ザワザワ…
643: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 19:21:39.404 ID:FaBrTRu/0
上級悪魔「……………………」
上級悪魔「……き………………様ァァァァァァァァ!!」
ビュッ!
角の少年「………………」チッ
ブゥン…
角の少年「…………ッ!」
ビュッ!
ズバッ!!
角の少年「………………」
上級悪魔「……よもや……ここまで……」
ドサッ
上級悪魔「……き………………様ァァァァァァァァ!!」
ビュッ!
角の少年「………………」チッ
ブゥン…
角の少年「…………ッ!」
ビュッ!
ズバッ!!
角の少年「………………」
上級悪魔「……よもや……ここまで……」
ドサッ
644: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 19:29:36.974 ID:FaBrTRu/0
ザワザワ…ザワザワ…
オイ、タオシチマッタゾ…
テガヘンケイシタ…
ナニモノナンダ…
角の少年「…………」
角の少年「…………む」
ハラリ…
角の少年「帽子が……さっき掠ったときか」
パサッ
町人「!?」
オイ、タオシチマッタゾ…
テガヘンケイシタ…
ナニモノナンダ…
角の少年「…………」
角の少年「…………む」
ハラリ…
角の少年「帽子が……さっき掠ったときか」
パサッ
町人「!?」
645: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 19:31:09.331 ID:FaBrTRu/0
町人A「角だ……角が生えている……!」
町人B「あいつも、魔物なんだ……!」
町人C「あの子、院長の所の子でしょ!? 人間のフリをして私たちの中に紛れ込んでたってこと!?」
町人D「でも今、魔物を倒したぞっ」
町人E「仲間割れか何かだろ……」
ザワザワ…ザワザワ…
角の少年「……………………」
町人B「あいつも、魔物なんだ……!」
町人C「あの子、院長の所の子でしょ!? 人間のフリをして私たちの中に紛れ込んでたってこと!?」
町人D「でも今、魔物を倒したぞっ」
町人E「仲間割れか何かだろ……」
ザワザワ…ザワザワ…
角の少年「……………………」
646: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 19:35:02.278 ID:FaBrTRu/0
角の少年「この中に、院長の傷を治せる者はいないか」
町人「……………………」
角の少年「いないのか」
町人「…………………………」
角の少年「医者というものがいると聞いた。そいつはどこだ」
町人「………………………………」
町人「……………………」
角の少年「いないのか」
町人「…………………………」
角の少年「医者というものがいると聞いた。そいつはどこだ」
町人「………………………………」
647: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 19:40:41.177 ID:FaBrTRu/0
角の少年「どうやらここにはいないらしい」
角の少年「……子供」
子供「…………」
角の少年「医者はどこにいるんだ。案内してくれ」
子供「……ひっ……」
角の少年「…………子供……?」
子供「……あ、あの……あうぅ……!」
角の少年「…………………」
角の少年「……子供」
子供「…………」
角の少年「医者はどこにいるんだ。案内してくれ」
子供「……ひっ……」
角の少年「…………子供……?」
子供「……あ、あの……あうぅ……!」
角の少年「…………………」
649: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 19:51:05.272 ID:FaBrTRu/0
ドシュッ、ズバッ
女騎士「これで、粗方の魔物は倒せたでしょうか……」
女騎士「!」
女騎士「あそこに人集りが……!」
ダッ!
女騎士「すいません、道を開けてください……!」
女騎士「…………あっ……」
角の少年「…………女騎士」
女騎士「これで、粗方の魔物は倒せたでしょうか……」
女騎士「!」
女騎士「あそこに人集りが……!」
ダッ!
女騎士「すいません、道を開けてください……!」
女騎士「…………あっ……」
角の少年「…………女騎士」
650: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 19:55:08.954 ID:FaBrTRu/0
女騎士「これは……上級悪魔……あなたが倒したのですか?」
角の少年「……あぁ。だが院長が……」
女騎士「!! ひどい傷……! 早く手当てをしないとっ!」
ビリビリッ
ゴソゴソ…
女騎士「応急手当てはこれでなんとか……」
女騎士「あのっ! この中にお医者さまはいらっしゃいませんか! それか病院へ案内をっ」
町人「あ、あぁ……私が、案内しよう……」
角の少年「……………………」
角の少年「……あぁ。だが院長が……」
女騎士「!! ひどい傷……! 早く手当てをしないとっ!」
ビリビリッ
ゴソゴソ…
女騎士「応急手当てはこれでなんとか……」
女騎士「あのっ! この中にお医者さまはいらっしゃいませんか! それか病院へ案内をっ」
町人「あ、あぁ……私が、案内しよう……」
角の少年「……………………」
651: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 20:22:03.649 ID:FaBrTRu/0
夜
女騎士「院長は、無事峠を越えたようです」
角の少年「……………………」
角の少年「…………そうか」
女騎士「…………こんな所にいると、風邪を引いてしまいます。一度、中に入りましょう」
角の少年「……………………」
女騎士「……………………」
女騎士「院長は、無事峠を越えたようです」
角の少年「……………………」
角の少年「…………そうか」
女騎士「…………こんな所にいると、風邪を引いてしまいます。一度、中に入りましょう」
角の少年「……………………」
女騎士「……………………」
653: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 20:29:25.083 ID:FaBrTRu/0
女騎士「……あの……お話は聞きました」
角の少年「………………」
女騎士「みんなのために、戦ってくれたんですよね」
角の少年「……………………」
角の少年「…………お前の言いつけを、破った」
女騎士「………………」
角の少年「………………」
女騎士「みんなのために、戦ってくれたんですよね」
角の少年「……………………」
角の少年「…………お前の言いつけを、破った」
女騎士「………………」
654: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 20:31:40.820 ID:FaBrTRu/0
角の少年「前にした、心の話」
女騎士「…………」
角の少年「俺は、あの場で何もしないのは、間違っていると思った」
角の少年「間違っていることだと、思ったんだ」
角の少年「正しいと思ったことをしようとした」
角の少年「だからお前の言いつけを破って、あいつを倒した」
女騎士「……はい」
女騎士「…………」
角の少年「俺は、あの場で何もしないのは、間違っていると思った」
角の少年「間違っていることだと、思ったんだ」
角の少年「正しいと思ったことをしようとした」
角の少年「だからお前の言いつけを破って、あいつを倒した」
女騎士「……はい」
655: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 20:33:21.306 ID:FaBrTRu/0
角の少年「でも、間違っているのは、俺の存在だったみたいなんだ」
女騎士「何を……!」
角の少年「奴らは、俺のことを欠陥品と呼んでいた」
角の少年「奴らは、俺を廃棄品とも呼んでいた」
角の少年「奴らは、俺を殺すためにこの町を襲ったんだ」
角の少年「町人も、あのとき俺のことを間違っていると。そう言われた気がしたんだ」
角の少年「魔王城で俺が目覚めてしまったこと。すべて、間違いだったんじゃないのか」
女騎士「……そんなことは、ありません」
女騎士「何を……!」
角の少年「奴らは、俺のことを欠陥品と呼んでいた」
角の少年「奴らは、俺を廃棄品とも呼んでいた」
角の少年「奴らは、俺を殺すためにこの町を襲ったんだ」
角の少年「町人も、あのとき俺のことを間違っていると。そう言われた気がしたんだ」
角の少年「魔王城で俺が目覚めてしまったこと。すべて、間違いだったんじゃないのか」
女騎士「……そんなことは、ありません」
657: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 20:34:18.811 ID:FaBrTRu/0
女騎士「町が襲われてしまったのは、わたしの迂闊な判断のせいです」
女騎士「もっと、あなたに気を配っていればよかった」
女騎士「本当に……本当に……!」
角の少年「……………………」
女騎士「でも、生きていることが間違いだったなんて、言わないでください……」
女騎士「あなたは正しいことをしました。決して間違いなんかじゃありません」
女騎士「あなたは、正しい心を持っているんです」
角の少年「…………………………」
女騎士「もっと、あなたに気を配っていればよかった」
女騎士「本当に……本当に……!」
角の少年「……………………」
女騎士「でも、生きていることが間違いだったなんて、言わないでください……」
女騎士「あなたは正しいことをしました。決して間違いなんかじゃありません」
女騎士「あなたは、正しい心を持っているんです」
角の少年「…………………………」
658: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 20:36:53.201 ID:FaBrTRu/0
角の少年「お前が、正しいと言うのなら……正しいんだろう」
角の少年「………………」
角の少年「じゃあ、何で、こんなに胸が苦しいんだ……?」
角の少年「正しいことをするのは、苦しいことなのか?」
女騎士「……それは」
角の少年「………………」
角の少年「じゃあ、何で、こんなに胸が苦しいんだ……?」
角の少年「正しいことをするのは、苦しいことなのか?」
女騎士「……それは」
659: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 20:38:48.058 ID:FaBrTRu/0
角の少年「………………」
角の少年「……すまない。少し、取り乱した」
女騎士「………………」
角の少年「何となく、わかっているんだ。町人たちが怖がっていたのは、俺のこの角のせいだってこと」
角の少年「女騎士との、帽子を取らないという言いつけも、破ってしまったからな」
角の少年「わかっていた。それはどうにもならないことだということも。なのに、お前を問い詰めてしまった」
角の少年「……これは、間違っていること、だな」
女騎士「……………………」
角の少年「……すまない。少し、取り乱した」
女騎士「………………」
角の少年「何となく、わかっているんだ。町人たちが怖がっていたのは、俺のこの角のせいだってこと」
角の少年「女騎士との、帽子を取らないという言いつけも、破ってしまったからな」
角の少年「わかっていた。それはどうにもならないことだということも。なのに、お前を問い詰めてしまった」
角の少年「……これは、間違っていること、だな」
女騎士「……………………」
661: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 20:58:15.033 ID:FaBrTRu/0
ギュッ
女騎士「……………………」
角の少年「…………女騎士?」
女騎士「…………もう、いいんです」
女騎士「わたしはわかっています。たとえ角が生えていたとしても」
女騎士「正しさについてこんなにも悩めるあなたは」
女騎士「こんなことで涙を流せるあなたは」
女騎士「とても優しい、人間なんです」
女騎士「あなたが生きていることは、間違いなんかじゃないんです」
角の少年「涙……」
ツーーー…
角の少年「これが……そうか」
女騎士「………………」
角の少年「…………お前は、暖かいな。女騎士」
女騎士「……………………」
角の少年「…………人間……か」
女騎士「……………………」
角の少年「…………女騎士?」
女騎士「…………もう、いいんです」
女騎士「わたしはわかっています。たとえ角が生えていたとしても」
女騎士「正しさについてこんなにも悩めるあなたは」
女騎士「こんなことで涙を流せるあなたは」
女騎士「とても優しい、人間なんです」
女騎士「あなたが生きていることは、間違いなんかじゃないんです」
角の少年「涙……」
ツーーー…
角の少年「これが……そうか」
女騎士「………………」
角の少年「…………お前は、暖かいな。女騎士」
女騎士「……………………」
角の少年「…………人間……か」
664: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 21:16:51.625 ID:FaBrTRu/0
翌日
女騎士「……良いのですか、院長に会いに行かなくて」
角の少年「ああ。俺が行くと、また町の人たちを怖がらせてしまう」
角の少年「それは、嫌だな」
女騎士「…………」
女騎士「……良いのですか、院長に会いに行かなくて」
角の少年「ああ。俺が行くと、また町の人たちを怖がらせてしまう」
角の少年「それは、嫌だな」
女騎士「…………」
665: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 21:17:34.814 ID:FaBrTRu/0
角の少年「俺は、お前の旅について行く。これは俺が自分で決めたことだ」
角の少年「この目で見た魔王軍のやっていること」
角の少年「それは、間違っていることだと思った」
角の少年「俺は、それを止めたいと思った」
角の少年「そうした方がいいとおもったことを、やりたいだけなんだ」
角の少年「巻き込んでしまっただなんて、思わないでくれ」
女騎士「……はい」
角の少年「この目で見た魔王軍のやっていること」
角の少年「それは、間違っていることだと思った」
角の少年「俺は、それを止めたいと思った」
角の少年「そうした方がいいとおもったことを、やりたいだけなんだ」
角の少年「巻き込んでしまっただなんて、思わないでくれ」
女騎士「……はい」
667: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 21:23:15.067 ID:FaBrTRu/0
女騎士「では、行きましょうか」
角の少年「あぁ……」
女騎士「馬刺し」
馬刺し「ブルルッ…」
子供「待って!」
角の少年「!」
女騎士「あの子は……」
角の少年「あぁ……」
女騎士「馬刺し」
馬刺し「ブルルッ…」
子供「待って!」
角の少年「!」
女騎士「あの子は……」
668: VIPがお送りします 2018/03/28(水) 21:25:11.579 ID:FaBrTRu/0
角の少年「……子供」
子供「白い兄ちゃん……」
子供「その、助けてくれて、ありがとう」
角の少年「!」
角の少年「俺は……しかし……」
角の少年「……俺が、怖くないのか」
子供「……初めて見たときはびっくりして、その、怖くなっちゃったけど……」
子供「……兄ちゃんはあいつをやっつけて、おれたちを守ってくれたじゃないか」
角の少年「………………」
子供「それならやっぱり、兄ちゃんは兄ちゃんじゃないかって」
子供「うまく言えないけど、そう思ったんだ」
角の少年「………………」
角の少年「……………………子供」
角の少年「ありがとう」
子供「白い兄ちゃん……」
子供「その、助けてくれて、ありがとう」
角の少年「!」
角の少年「俺は……しかし……」
角の少年「……俺が、怖くないのか」
子供「……初めて見たときはびっくりして、その、怖くなっちゃったけど……」
子供「……兄ちゃんはあいつをやっつけて、おれたちを守ってくれたじゃないか」
角の少年「………………」
子供「それならやっぱり、兄ちゃんは兄ちゃんじゃないかって」
子供「うまく言えないけど、そう思ったんだ」
角の少年「………………」
角の少年「……………………子供」
角の少年「ありがとう」
748: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 18:39:03.996 ID:xXFlWtLF0NIKU
勇者「………………」
ジャラ…
呪術師「………………」
呪術師「……勇者め。存外にしぶとい」
呪術師「既に魂はほぼ黒に染まり切っているというのにまだ足掻くか」
呪術師「一度目覚めさせて目の前でつがいの女を嬲って見せれば片がつきそうなものだが……」
呪術師「勇者の師。女を匿ったまま姿を眩まし未だに見つからん。……食えん爺だ」
呪術師「……勇者の仲間、女騎士どもがここを嗅ぎ回っているようだ。そうそう見つからんとは思うが」
呪術師「奴らは侮れん。早目に片をつける必要がある」
呪術師「魔王様の器となる体を傷つけるつもりは無かったが、やむを得ん……か」
呪術師「力業で屈服させてもらおう」
呪術師「……お許しください……魔王様……」
??「ふむ。これが噂の勇者とやらか」
呪術師「!」
ジャラ…
呪術師「………………」
呪術師「……勇者め。存外にしぶとい」
呪術師「既に魂はほぼ黒に染まり切っているというのにまだ足掻くか」
呪術師「一度目覚めさせて目の前でつがいの女を嬲って見せれば片がつきそうなものだが……」
呪術師「勇者の師。女を匿ったまま姿を眩まし未だに見つからん。……食えん爺だ」
呪術師「……勇者の仲間、女騎士どもがここを嗅ぎ回っているようだ。そうそう見つからんとは思うが」
呪術師「奴らは侮れん。早目に片をつける必要がある」
呪術師「魔王様の器となる体を傷つけるつもりは無かったが、やむを得ん……か」
呪術師「力業で屈服させてもらおう」
呪術師「……お許しください……魔王様……」
??「ふむ。これが噂の勇者とやらか」
呪術師「!」
749: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 18:41:34.694 ID:xXFlWtLF0NIKU
呪術師「姫……このような所、あなたのようなお方が来るものではありません」
魔王の娘「よいではないか。最近は城に動きが無くてつまらなかった所を、そなたが珍しいものを持ち帰ったと聞いてな」
勇者「………………」
魔王の娘「ふむ……これが勇者」
魔王の娘「あの強き、父上を討った男……」
魔王の娘「………………」
魔王の娘「よいではないか。最近は城に動きが無くてつまらなかった所を、そなたが珍しいものを持ち帰ったと聞いてな」
勇者「………………」
魔王の娘「ふむ……これが勇者」
魔王の娘「あの強き、父上を討った男……」
魔王の娘「………………」
750: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 18:44:00.871 ID:xXFlWtLF0NIKU
魔王の娘「初めて見たが、存外に良い男ではないか。おまけに腕も立つという」
魔王の娘「器となる者でなければ妾がもらってやっても良かったというのに」
呪術師「……お戯れを」
魔王の娘「クク……まあそう言うでない」
魔王の娘「何にせよ貴様の働き、期待しているぞ」
呪術師「………………必ずや」
魔王の娘「器となる者でなければ妾がもらってやっても良かったというのに」
呪術師「……お戯れを」
魔王の娘「クク……まあそう言うでない」
魔王の娘「何にせよ貴様の働き、期待しているぞ」
呪術師「………………必ずや」
752: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 18:46:38.767 ID:xXFlWtLF0NIKU
ドタドタ…
バンッ!
戦士「おい、魔法使い!」
魔法使い「戦士……あなたも見たのね」
戦士「ああ。この石、便利だな。女騎士からの念が届いた」
魔法使い「あそこは……放棄された魔王城の近くにある町ね」
戦士「上級悪魔が出やがったんだってな」
魔法使い「今どき、上級悪魔なんて大物が魔王軍所属じゃないなんて考えづらいわ。あの町から見て、悪魔たちがやって来た方角……絞り込めるわね」
魔法使い「お手柄よ、女騎士」
バンッ!
戦士「おい、魔法使い!」
魔法使い「戦士……あなたも見たのね」
戦士「ああ。この石、便利だな。女騎士からの念が届いた」
魔法使い「あそこは……放棄された魔王城の近くにある町ね」
戦士「上級悪魔が出やがったんだってな」
魔法使い「今どき、上級悪魔なんて大物が魔王軍所属じゃないなんて考えづらいわ。あの町から見て、悪魔たちがやって来た方角……絞り込めるわね」
魔法使い「お手柄よ、女騎士」
753: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 18:47:58.346 ID:xXFlWtLF0NIKU
女騎士「……むむむ…………」
角の少年「女騎士、何をやっているんだ」
女騎士「わっ、びっくりしました」
角の少年「すまない」
角の少年「女騎士、何をやっているんだ」
女騎士「わっ、びっくりしました」
角の少年「すまない」
754: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 18:49:36.656 ID:xXFlWtLF0NIKU
女騎士「何をやっているのか、でしたね。この石を使ってですね、わたしの仲間に連絡を取ってみてるんです」
角の少年「仲間……お前の仲間、か。遠くにいるのか」
女騎士「はい。みんな、とっても頼れる人たちなんですよ。今は別々になって魔王城への手がかりを探しているところなのです」
角の少年「女騎士の仲間。ということは、俺の味方か」
女騎士「はい。あなたの仲間でもあります」
角の少年「仲間……お前の仲間、か。遠くにいるのか」
女騎士「はい。みんな、とっても頼れる人たちなんですよ。今は別々になって魔王城への手がかりを探しているところなのです」
角の少年「女騎士の仲間。ということは、俺の味方か」
女騎士「はい。あなたの仲間でもあります」
755: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 18:55:51.046 ID:xXFlWtLF0NIKU
女騎士「……そうだ! せっかくだから、挨拶をしてみませんか?」
角の少年「……俺がか?」
女騎士「この石を握って強く念じるのです。そうすると自分の頭の中のイメージや言葉を、別の石を持つ相手に伝えられるそうですよ。やってみませんか?」
角の少年「念じる……難しそうだ。俺に、出来るだろうか」
女騎士「わたしもあまり得意ではないので集中に時間がかかってしまうのですが、念じるだけなので大丈夫と思いますよ。……少し待ってくださいね……」
角の少年「……俺がか?」
女騎士「この石を握って強く念じるのです。そうすると自分の頭の中のイメージや言葉を、別の石を持つ相手に伝えられるそうですよ。やってみませんか?」
角の少年「念じる……難しそうだ。俺に、出来るだろうか」
女騎士「わたしもあまり得意ではないので集中に時間がかかってしまうのですが、念じるだけなので大丈夫と思いますよ。……少し待ってくださいね……」
756: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 18:58:07.339 ID:xXFlWtLF0NIKU
武闘家「……む。女騎士からもう一度念が届いたようだ」
僧侶「えぇ。今度はどんな内容なんでしょう……」
武闘家「…………同行者が一人増えたそうだな」
僧侶「…………今から自己紹介させる、ですって。どんな方なんでしょうか」
僧侶「えぇ。今度はどんな内容なんでしょう……」
武闘家「…………同行者が一人増えたそうだな」
僧侶「…………今から自己紹介させる、ですって。どんな方なんでしょうか」
758: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:02:16.429 ID:xXFlWtLF0NIKU
角の少年「…………むぅ」
女騎士「どうですか?」
角の少年「とりあえず、よろしく頼むとだけ伝えてみた」
女騎士「……伝わっているでしょうか」
角の少年「……反応がないな」
女騎士「むむ……」
角の少年「届いているのか確かめようが無い」
女騎士「もうちょっとしっかり石を握ってみてはどうですか? 手のひらに乗せるだけではなくて、こう、ぎゅっと」
ギュッ
角の少年「…………む」
角の少年(女騎士の手……やはり暖かいな)
角の少年(………………)
角の少年(あのときのことを、思い出す……)
角の少年(………………)
ポワァァァ…
女騎士「どうですか?」
角の少年「とりあえず、よろしく頼むとだけ伝えてみた」
女騎士「……伝わっているでしょうか」
角の少年「……反応がないな」
女騎士「むむ……」
角の少年「届いているのか確かめようが無い」
女騎士「もうちょっとしっかり石を握ってみてはどうですか? 手のひらに乗せるだけではなくて、こう、ぎゅっと」
ギュッ
角の少年「…………む」
角の少年(女騎士の手……やはり暖かいな)
角の少年(………………)
角の少年(あのときのことを、思い出す……)
角の少年(………………)
ポワァァァ…
759: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:03:36.537 ID:xXFlWtLF0NIKU
盗賊「………………」
盗賊「何だったんだ、今の。よろしく頼むとだけ聞こえて途切れちまったぞ」
盗賊「……………………」
盗賊「……おっ。また来たみたいだな」
ポワァァァ…
盗賊「…………………………………………ぶっ!」
盗賊「な、な、な…………」
盗賊「何てもの見せやがるっ!」
盗賊「つーか、人がひーこら動き回ってる間に、あいつら何やってんの!?」
盗賊「何だったんだ、今の。よろしく頼むとだけ聞こえて途切れちまったぞ」
盗賊「……………………」
盗賊「……おっ。また来たみたいだな」
ポワァァァ…
盗賊「…………………………………………ぶっ!」
盗賊「な、な、な…………」
盗賊「何てもの見せやがるっ!」
盗賊「つーか、人がひーこら動き回ってる間に、あいつら何やってんの!?」
760: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:05:12.151 ID:xXFlWtLF0NIKU
女騎士「どうですか?」
角の少年「……む。返事が来たみたいだ……これは……」
角の少年「……困惑……混乱……怒り……?」
角の少年「すまない。俺にはうまく読み取れないみたいだ」
女騎士「な、何を送ってしまったのか気になります……」
角の少年「俺はただ、よろしく頼むと伝えただけだが」
角の少年「……む。返事が来たみたいだ……これは……」
角の少年「……困惑……混乱……怒り……?」
角の少年「すまない。俺にはうまく読み取れないみたいだ」
女騎士「な、何を送ってしまったのか気になります……」
角の少年「俺はただ、よろしく頼むと伝えただけだが」
761: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:06:35.471 ID:xXFlWtLF0NIKU
角の少年「……む。また届いたぞ。今度は言葉だ」
女騎士「誰からでしたか?」
角の少年「魔法使いという女からだ」
角の少年「『よろしくやっているのはわかったけど、もうこういうのは送って来ないでよね。あと、一度王都に帰って来なさい』……とのことだ」
女騎士「……なぜ、ちょっと怒っているんでしょうか」
角の少年「わからない」
女騎士「誰からでしたか?」
角の少年「魔法使いという女からだ」
角の少年「『よろしくやっているのはわかったけど、もうこういうのは送って来ないでよね。あと、一度王都に帰って来なさい』……とのことだ」
女騎士「……なぜ、ちょっと怒っているんでしょうか」
角の少年「わからない」
762: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:08:51.046 ID:xXFlWtLF0NIKU
パカラッパカラッヒヒーン!
女騎士(王都までの距離も、残り半日と言ったところですね)
女騎士(送った情報が役に立っているといいのですが……)
角の少年「……女騎士、女騎士」クイクイ
女騎士「?」
女騎士「何でしょうか」
角の少年「この馬はあのとき翼を生やして飛んでいたな」
女騎士「えぇ。この聖槍の力で、馬刺しと焼き鳥が一体化するのです」
焼き鳥「キィ、キィ」バサバサッ
角の少年「聖槍……そんな力があるのか」
女騎士(王都までの距離も、残り半日と言ったところですね)
女騎士(送った情報が役に立っているといいのですが……)
角の少年「……女騎士、女騎士」クイクイ
女騎士「?」
女騎士「何でしょうか」
角の少年「この馬はあのとき翼を生やして飛んでいたな」
女騎士「えぇ。この聖槍の力で、馬刺しと焼き鳥が一体化するのです」
焼き鳥「キィ、キィ」バサバサッ
角の少年「聖槍……そんな力があるのか」
763: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:10:07.918 ID:xXFlWtLF0NIKU
角の少年「今は飛ばないのか」
女騎士「あれを使うとこの子たちは疲れてしまうんです。緊急時ならともかく、通常の移動ではあまり使いませんね」
角の少年「……そうか」
女騎士「…………」
角の少年「……………………そうか」
女騎士「……また今度、乗せてあげますね」
馬刺し「ヒヒーン」
女騎士「あれを使うとこの子たちは疲れてしまうんです。緊急時ならともかく、通常の移動ではあまり使いませんね」
角の少年「……そうか」
女騎士「…………」
角の少年「……………………そうか」
女騎士「……また今度、乗せてあげますね」
馬刺し「ヒヒーン」
765: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:22:34.061 ID:xXFlWtLF0NIKU
ガチャッ
女騎士「魔法使いさん、戻りました」
魔法使い「……来たわね」
女騎士「戦士さんはどちらに?」
魔法使い「戦士なら、今は王都周辺の魔物の討伐に行ってるわ。もうすぐ帰って来る頃だと思うけれど」
女騎士「魔物……やはりあの防衛戦のときに集まったものたちですね。王都に入る前にも何度か交戦しました」
魔法使い「……それで、その子が例の?」
角の少年「先に挨拶を送らせてもらったが、改めてよろしく頼む」
魔法使い「…………ふぅん。まあいいけれど」
女騎士「魔法使いさん、戻りました」
魔法使い「……来たわね」
女騎士「戦士さんはどちらに?」
魔法使い「戦士なら、今は王都周辺の魔物の討伐に行ってるわ。もうすぐ帰って来る頃だと思うけれど」
女騎士「魔物……やはりあの防衛戦のときに集まったものたちですね。王都に入る前にも何度か交戦しました」
魔法使い「……それで、その子が例の?」
角の少年「先に挨拶を送らせてもらったが、改めてよろしく頼む」
魔法使い「…………ふぅん。まあいいけれど」
766: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:30:48.803 ID:xXFlWtLF0NIKU
魔法使い「あの挨拶はあまり深く受け取らないことにするわ」
女騎士「……?」
魔法使い「こちらこそ、よろしくね」
角の少年「ああ」
魔法使い「それと、あなたから受け取った情報の件ね」
魔法使い「盗賊や武闘家たちとの情報と合わせて、あれからの何日間で大分絞り込みができたわ」
女騎士「!」
女騎士「……?」
魔法使い「こちらこそ、よろしくね」
角の少年「ああ」
魔法使い「それと、あなたから受け取った情報の件ね」
魔法使い「盗賊や武闘家たちとの情報と合わせて、あれからの何日間で大分絞り込みができたわ」
女騎士「!」
767: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:31:56.386 ID:xXFlWtLF0NIKU
女騎士「それじゃあ……!」
魔法使い「えぇ。もうすぐ、特定できると思う。……実は大体の見当はもうついているの」
魔法使い「ちょうど、武闘家たちがその近くにいたみたいだったから、今は先に、直接見に行ってもらっているわ」
魔法使い「確かめるまではあくまでも推測だけれど……ここから先は、戦士と盗賊が集まってから話しましょうか」
魔法使い「えぇ。もうすぐ、特定できると思う。……実は大体の見当はもうついているの」
魔法使い「ちょうど、武闘家たちがその近くにいたみたいだったから、今は先に、直接見に行ってもらっているわ」
魔法使い「確かめるまではあくまでも推測だけれど……ここから先は、戦士と盗賊が集まってから話しましょうか」
768: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:51:09.586 ID:xXFlWtLF0NIKU
夜
魔法使い「新しい魔王城があるのは、空よ」
女騎士「……空?」
魔法使い「新しい魔王城があるのは、空よ」
女騎士「……空?」
769: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:51:31.131 ID:xXFlWtLF0NIKU
魔法使い「浮いてるの」
女騎士「……浮いてる……? お、お城がですか?」
盗賊「こりゃあまた大層な……」
戦士「……見つからねえわけだ」
角の少年「………………」
女騎士「……浮いてる……? お、お城がですか?」
盗賊「こりゃあまた大層な……」
戦士「……見つからねえわけだ」
角の少年「………………」
770: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 19:52:18.725 ID:xXFlWtLF0NIKU
魔法使い「にわかに信じられないのも無理はないけれど、事実よ」
魔法使い「みんなの情報を集めて位置を絞り込んで、徹底的に魔力探査をかけたの。……今までは空まで探すリソースが無かったから、情報を集めてここまで絞り込んでくれたみんなのおかげね」
魔法使い「さっき武闘家たちからも目視で確認できたと連絡があったわ。相当な高度にあるみたいで、注意して見ないと見逃してしまうくらいだそうよ」
女騎士「そんなに……」
魔法使い「みんなの情報を集めて位置を絞り込んで、徹底的に魔力探査をかけたの。……今までは空まで探すリソースが無かったから、情報を集めてここまで絞り込んでくれたみんなのおかげね」
魔法使い「さっき武闘家たちからも目視で確認できたと連絡があったわ。相当な高度にあるみたいで、注意して見ないと見逃してしまうくらいだそうよ」
女騎士「そんなに……」
771: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 20:04:52.990 ID:xXFlWtLF0NIKU
戦士「で、どうすんだよ」
戦士「見つかったんなら、後は殴りに行くだけだ。だが殴りに行くにも届かねえんじゃしょうがねえぞ」
角の少年「女騎士の馬と鳥は使えないのか」
盗賊「それじゃあ女騎士ともう一人くらいしか行けねえでしょ。いくら少数精鋭っつっても無理があるぜ」
女騎士「……魔法使いさん、何か考えがあるんですよね?」
魔法使い「……まあね」
戦士「見つかったんなら、後は殴りに行くだけだ。だが殴りに行くにも届かねえんじゃしょうがねえぞ」
角の少年「女騎士の馬と鳥は使えないのか」
盗賊「それじゃあ女騎士ともう一人くらいしか行けねえでしょ。いくら少数精鋭っつっても無理があるぜ」
女騎士「……魔法使いさん、何か考えがあるんですよね?」
魔法使い「……まあね」
772: VIPがお送りします 2018/03/29(木) 20:11:07.045 ID:xXFlWtLF0NIKU
魔法使い「魔王を倒してからまた魔物の動きが活発になるまで。国は一時平和になったわね」
魔法使い「その間に王都の技術力も大分進歩していたの」
魔法使い「まあ、まだ一般公開はされていないから皆が知らないのも当然ね。わたしも開発に一枚噛んでいなかったら知らなかったわ」
魔法使い「城が空にある可能性が濃厚になった時点で既に手配は済ませてある。今は準備を進めてもらってるところ」
魔法使い「もっとも、まだ本格的に実用される前の試験機のようなものだけれど、この際しのごの言ってられないわ」
女騎士「そ、それは……!?」
魔法使い「飛行船よ」
魔法使い「その間に王都の技術力も大分進歩していたの」
魔法使い「まあ、まだ一般公開はされていないから皆が知らないのも当然ね。わたしも開発に一枚噛んでいなかったら知らなかったわ」
魔法使い「城が空にある可能性が濃厚になった時点で既に手配は済ませてある。今は準備を進めてもらってるところ」
魔法使い「もっとも、まだ本格的に実用される前の試験機のようなものだけれど、この際しのごの言ってられないわ」
女騎士「そ、それは……!?」
魔法使い「飛行船よ」
803: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 04:04:46.261 ID:NItIZ8Gj0
女騎士(魔導飛行船の準備にはまだ時間がかかるとのことです)
女騎士(準備にかかるのはおよそ三日ほど。武闘家さんたちの到着もなんとか間に合いそうです)
女騎士(すべてを整えて、万全の状態で魔王城に向かう。そのために今わたしたちができること……)
女騎士「はっ!」
ズバッ
魔物「ギィィィ!」
女騎士(準備にかかるのはおよそ三日ほど。武闘家さんたちの到着もなんとか間に合いそうです)
女騎士(すべてを整えて、万全の状態で魔王城に向かう。そのために今わたしたちができること……)
女騎士「はっ!」
ズバッ
魔物「ギィィィ!」
805: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 04:08:32.367 ID:NItIZ8Gj0
女騎士「ふぅ。このあたりの魔物も、大分数が減ってきましたね」
戦士「今日はこの辺で終わりだ! 明日は王都北側の魔物をやる!」
戦士「お前らは明日に備えてさっさと帰って、寝ろ!」
騎士たち「はい!!」
戦士「今日はこの辺で終わりだ! 明日は王都北側の魔物をやる!」
戦士「お前らは明日に備えてさっさと帰って、寝ろ!」
騎士たち「はい!!」
806: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 04:10:13.120 ID:NItIZ8Gj0
女騎士「…………」
戦士「……なんだよ」
女騎士「い、いえ。みんなに指示を飛ばす戦士さん、なんだか板についていましたね」
戦士「……ふん。最初に突っ走って一人で暴れてたら、あいつら、いつの間に後ろについて来てやがったんだ」
女騎士「戦いが終わってからも、このお仕事を続けてみてはどうですか?」
戦士「よせよ。……柄じゃねえのはわかってんだ。ただ、俺一人が好き勝手暴れてどうにかなる量でもねえからな。仕方なくだ」
戦士「……なんだよ」
女騎士「い、いえ。みんなに指示を飛ばす戦士さん、なんだか板についていましたね」
戦士「……ふん。最初に突っ走って一人で暴れてたら、あいつら、いつの間に後ろについて来てやがったんだ」
女騎士「戦いが終わってからも、このお仕事を続けてみてはどうですか?」
戦士「よせよ。……柄じゃねえのはわかってんだ。ただ、俺一人が好き勝手暴れてどうにかなる量でもねえからな。仕方なくだ」
807: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 04:14:51.204 ID:NItIZ8Gj0
騎士団長「戦士殿」
戦士「!」
女騎士「あっ、団長! お体はもういいのですか?」
騎士団長「ああ。むしろ、休み過ぎたくらいだ。明日からは私も参加するとしよう」
戦士「へっ、これで俺もようやくお役御免って所か」
騎士団長「……私がいない間、王都を守っていただき、感謝いたします」
戦士「気にすんな。ついでだ、ついで」
戦士「!」
女騎士「あっ、団長! お体はもういいのですか?」
騎士団長「ああ。むしろ、休み過ぎたくらいだ。明日からは私も参加するとしよう」
戦士「へっ、これで俺もようやくお役御免って所か」
騎士団長「……私がいない間、王都を守っていただき、感謝いたします」
戦士「気にすんな。ついでだ、ついで」
808: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 04:16:52.220 ID:NItIZ8Gj0
騎士団長「……決戦の日。我ら騎士団も同行します」
女騎士「!」
戦士「王都の守りはいいんかよ」
騎士団長「その憂いを断つため、出発までの間に可能な限り魔物を減らす」
騎士団長「力を尽くしましょう。……鈍った勘も、取り戻さねばなりますまい」
騎士団長「……私たちの力不足により、陛下をお守りすることができなかった。王都の盾として失格ですな」
騎士団長「ですが、ここで出なければ剣としても、ここに在る意味を失ってしまう。……勇者様の救出、魔王軍残党の掃討」
騎士団長「我々にも意地はある。絶対に、借りは返させてもらいましょう」
女騎士「団長……」
戦士「……いい気迫だ。頼りにするぜ」
女騎士「!」
戦士「王都の守りはいいんかよ」
騎士団長「その憂いを断つため、出発までの間に可能な限り魔物を減らす」
騎士団長「力を尽くしましょう。……鈍った勘も、取り戻さねばなりますまい」
騎士団長「……私たちの力不足により、陛下をお守りすることができなかった。王都の盾として失格ですな」
騎士団長「ですが、ここで出なければ剣としても、ここに在る意味を失ってしまう。……勇者様の救出、魔王軍残党の掃討」
騎士団長「我々にも意地はある。絶対に、借りは返させてもらいましょう」
女騎士「団長……」
戦士「……いい気迫だ。頼りにするぜ」
811: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 05:01:28.922 ID:NItIZ8Gj0
ワイワイガヤガヤ…
ワイワイガヤガヤ…
角の少年「……凄いな、王都は。あの町とは比べ物にならない程、人がいる」
盗賊「そーですか」
角の少年「…………」
盗賊「…………」
盗賊(はぁ、何でまた俺はこんな役回りを……)
ワイワイガヤガヤ…
角の少年「……凄いな、王都は。あの町とは比べ物にならない程、人がいる」
盗賊「そーですか」
角の少年「…………」
盗賊「…………」
盗賊(はぁ、何でまた俺はこんな役回りを……)
812: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 05:12:11.224 ID:NItIZ8Gj0
前日
盗賊『……で、そこの帽子の小僧は誰なんですかい。いい加減紹介してほしいもんだが』
角の少年『む』
女騎士『あれ。先日、石を通して自己紹介をしてもらったと思うのですが……』
盗賊『あれのどこが自己紹介だってんだよ』
女騎士『う……。どんな念が届いたのですか?』
盗賊『………………』
魔法使い『………………』
戦士『………………』
女騎士(あ、あの、本当に何を送ったんでしょう)
角の少年(わからない。俺はよろしく頼むとだけ伝えたはずだが)
盗賊『……で、そこの帽子の小僧は誰なんですかい。いい加減紹介してほしいもんだが』
角の少年『む』
女騎士『あれ。先日、石を通して自己紹介をしてもらったと思うのですが……』
盗賊『あれのどこが自己紹介だってんだよ』
女騎士『う……。どんな念が届いたのですか?』
盗賊『………………』
魔法使い『………………』
戦士『………………』
女騎士(あ、あの、本当に何を送ったんでしょう)
角の少年(わからない。俺はよろしく頼むとだけ伝えたはずだが)
813: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 05:13:16.477 ID:NItIZ8Gj0
角の少年『上手く伝わらなかったようだな。あらためて、よろしく頼みたい』
盗賊『よろしく、だけじゃわからねえでしょ。お前さんは何者なんだ?』
角の少年『………………』
女騎士『え、えぇと……何と説明すれば良いのでしょう……少し複雑な事情がありまして』
角の少年『女騎士。いい。俺が話す』
角の少年『そうするべきだと、俺は思う』
パサッ
盗賊『なっ』
戦士『ぬっ』
魔法使い『……へぇ』
盗賊『よろしく、だけじゃわからねえでしょ。お前さんは何者なんだ?』
角の少年『………………』
女騎士『え、えぇと……何と説明すれば良いのでしょう……少し複雑な事情がありまして』
角の少年『女騎士。いい。俺が話す』
角の少年『そうするべきだと、俺は思う』
パサッ
盗賊『なっ』
戦士『ぬっ』
魔法使い『……へぇ』
814: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 05:14:23.380 ID:NItIZ8Gj0
角の少年『俺にはこの通り、角がある』
角の少年『女騎士と出会うまでの記憶はないが、どうやら魔王城の実験室で眠っていたようだ』
角の少年『俺には俺の正体がわからない。だが、やるべきこと。そうした方がいいと思うことは、ある』
角の少年『心というものを教わったんだ』
女騎士『…………』
角の少年『俺は、この目で見た。魔王軍のやっていることは間違っていることだと思う』
角の少年『俺の正体が魔王軍の何なのかはまだわからないが、言葉に嘘は無い』
角の少年『協力、させてほしい』
角の少年『女騎士と出会うまでの記憶はないが、どうやら魔王城の実験室で眠っていたようだ』
角の少年『俺には俺の正体がわからない。だが、やるべきこと。そうした方がいいと思うことは、ある』
角の少年『心というものを教わったんだ』
女騎士『…………』
角の少年『俺は、この目で見た。魔王軍のやっていることは間違っていることだと思う』
角の少年『俺の正体が魔王軍の何なのかはまだわからないが、言葉に嘘は無い』
角の少年『協力、させてほしい』
815: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 05:18:56.172 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「さて、この辺はもう満足したか?」
角の少年「ああ」
盗賊(ま、女騎士が連れて来たってこたぁそんなに悪い奴じゃないんでしょうよ)
盗賊(目覚めたばかりってのも嘘じゃなさそうだ)
盗賊(おかげでこうして、女騎士に頼まれて子守みたいなことやらされちまってるがな)
角の少年「ああ」
盗賊(ま、女騎士が連れて来たってこたぁそんなに悪い奴じゃないんでしょうよ)
盗賊(目覚めたばかりってのも嘘じゃなさそうだ)
盗賊(おかげでこうして、女騎士に頼まれて子守みたいなことやらされちまってるがな)
817: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 05:36:41.677 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「……ん?」
盗賊「………………」
盗賊「……はぁ。ああいう輩ってのはどこにでもいるもんだな。このご時世だってのに逞しいもんだ」
角の少年「?」
盗賊「まあ、都会だしな。入れ食いだ。……耳が痛いっつーか、目が痛いっつーのか」
角の少年「埃でも入ったのか」
盗賊「ばっか、そうじゃねえよ……ちょっとこの辺で待ってろ」
角の少年「?」
盗賊「………………」
盗賊「……はぁ。ああいう輩ってのはどこにでもいるもんだな。このご時世だってのに逞しいもんだ」
角の少年「?」
盗賊「まあ、都会だしな。入れ食いだ。……耳が痛いっつーか、目が痛いっつーのか」
角の少年「埃でも入ったのか」
盗賊「ばっか、そうじゃねえよ……ちょっとこの辺で待ってろ」
角の少年「?」
818: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 05:39:22.643 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「待たせたな」
角の少年「何をしていたんだ。お前が話しかけた男。項垂れたまま兵士に連れて行かれるようだが」
盗賊「スリだよ。ちょいと事情があってその辺の目は嫌でも効いちまうんだ」
角の少年「スリ……盗みか……それは悪いこと、だな」
角の少年「あの男はこの後、殺されるのか?」
盗賊「ンなわけねえだろ」
角の少年「何をしていたんだ。お前が話しかけた男。項垂れたまま兵士に連れて行かれるようだが」
盗賊「スリだよ。ちょいと事情があってその辺の目は嫌でも効いちまうんだ」
角の少年「スリ……盗みか……それは悪いこと、だな」
角の少年「あの男はこの後、殺されるのか?」
盗賊「ンなわけねえだろ」
819: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 05:44:00.242 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「人殺しとか、よっぽどのことをしない限り、普通は処刑なんてされねえさ」
盗賊「ま、貴族サマとかその辺に無礼を働いた場合はその限りでもないだろうがね」
盗賊「あの程度なら、何日間か牢にぶち込まれて解放されるんじゃねえかな」
角の少年「……なぜ、そんなことをする?」
盗賊「なぜって、そりゃあ反省とかやり直しの機会を与えてやるためだろう」
角の少年「……反省。やり直し」
盗賊「ま、貴族サマとかその辺に無礼を働いた場合はその限りでもないだろうがね」
盗賊「あの程度なら、何日間か牢にぶち込まれて解放されるんじゃねえかな」
角の少年「……なぜ、そんなことをする?」
盗賊「なぜって、そりゃあ反省とかやり直しの機会を与えてやるためだろう」
角の少年「……反省。やり直し」
820: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 05:45:15.372 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「人間誰しも間違いは犯すもんさ。弱い人間なら特にな。お前さんは女騎士くらいとしか話したこと無いんだろうが、ありゃ特別だ。その辺りに関して参考にならねえよ」
角の少年「そうなのか?」
盗賊「戦士の兄さんも魔法使いの姐さんも同じだ、強すぎて参考にならねえ。その辺り、勉強するなら俺みたいな小市民に聞いた方がいいぜ」
角の少年「そうか」
角の少年「さっきのことと言い、盗賊は良い奴だな」
盗賊「……そういうのはやめろ」
角の少年「そうなのか?」
盗賊「戦士の兄さんも魔法使いの姐さんも同じだ、強すぎて参考にならねえ。その辺り、勉強するなら俺みたいな小市民に聞いた方がいいぜ」
角の少年「そうか」
角の少年「さっきのことと言い、盗賊は良い奴だな」
盗賊「……そういうのはやめろ」
869: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:14:39.195 ID:NItIZ8Gj0
呪術師「……………………」
呪術師「……今、すべてが整った」
呪術師「集めた魂も、核となる者も、すべてだ」
呪術師「これより魔王様復活の儀を執り行う」
呪術師「勇者の身柄を、ここに」
中級悪魔「はっ」
呪術師「……今、すべてが整った」
呪術師「集めた魂も、核となる者も、すべてだ」
呪術師「これより魔王様復活の儀を執り行う」
呪術師「勇者の身柄を、ここに」
中級悪魔「はっ」
871: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:16:07.124 ID:NItIZ8Gj0
呪術師「…………………………」
呪術師「………………………………」
呪術師「……………………………………」
呪術師「……おおおっ!!!」
カッ!!
勇者「……………………」
呪術師「………………………………」
呪術師「……………………………………」
呪術師「……おおおっ!!!」
カッ!!
勇者「……………………」
872: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:16:43.734 ID:NItIZ8Gj0
ザッ
呪術師「……………………」
魔王「……………………」
呪術師「……………………魔王、様…………」
呪術師「……………………」
魔王「……………………」
呪術師「……………………魔王、様…………」
873: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:17:49.339 ID:NItIZ8Gj0
魔王「…………呪術師か」
呪術師「!!」
呪術師「はっ! ここに……!」
魔王「……この状況、理解した。貴様ならばこの程度、やれて当然のことだろう」
呪術師「……恐れ多い」
魔王「この体は……勇者か」
魔王「……………………」
呪術師「!!」
呪術師「はっ! ここに……!」
魔王「……この状況、理解した。貴様ならばこの程度、やれて当然のことだろう」
呪術師「……恐れ多い」
魔王「この体は……勇者か」
魔王「……………………」
875: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:19:11.889 ID:NItIZ8Gj0
魔王「……呪術師」
呪術師「はっ」
魔王「今の俺の気分がわかるか?」
呪術師「………………はっ?」
ガシッ!
呪術師「がっ!?」
ギリギリギリギリギリギリ…
魔王「最悪だ。悪い夢でも見ているかのようだ」
呪術師「はっ」
魔王「今の俺の気分がわかるか?」
呪術師「………………はっ?」
ガシッ!
呪術師「がっ!?」
ギリギリギリギリギリギリ…
魔王「最悪だ。悪い夢でも見ているかのようだ」
876: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:20:16.271 ID:NItIZ8Gj0
魔王「俺の魂だ。そう簡単には滅びん」
魔王「たとえ肉体が滅んだとしても何者かが……それこそ呪術師。貴様のような者が蘇生を試みることはわかっていた」
ギリギリギリ…
呪術師「……あ……が……!!」
魔王「だがな。この俺は負けたのだ。姑息な手段を用いられたのならともかく、あろうことか正面から挑まれ打倒されたのだ」
魔王「悔いがなかった、とは言わん」
魔王「悲願はあった。野望もあった」
魔王「だが、あれほどの輝きに正面から討ち倒されたのだ」
魔王「俺とて貴様らに魔王と呼ばれる存在だが、同時に一個の魔族の戦士であるつもりだ」
魔王「その敗北を呑み込み、納得するだけの気概が俺に無いとでも思ったか」
呪術師「…………!!………………ッ!!」
ギリギリギリギリギリギリ…!
魔王「たとえ肉体が滅んだとしても何者かが……それこそ呪術師。貴様のような者が蘇生を試みることはわかっていた」
ギリギリギリ…
呪術師「……あ……が……!!」
魔王「だがな。この俺は負けたのだ。姑息な手段を用いられたのならともかく、あろうことか正面から挑まれ打倒されたのだ」
魔王「悔いがなかった、とは言わん」
魔王「悲願はあった。野望もあった」
魔王「だが、あれほどの輝きに正面から討ち倒されたのだ」
魔王「俺とて貴様らに魔王と呼ばれる存在だが、同時に一個の魔族の戦士であるつもりだ」
魔王「その敗北を呑み込み、納得するだけの気概が俺に無いとでも思ったか」
呪術師「…………!!………………ッ!!」
ギリギリギリギリギリギリ…!
877: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:21:32.425 ID:NItIZ8Gj0
……ドサッ
呪術師「……がはっ! はぁ、はぁ、はぁ……!!」
魔王「だが……貴様らを統べる、魔王であるのも、確かだ。……ここは抑えよう」
魔王「これで、この一件は不問に処す」
呪術師「はぁ、はぁ、はぁ……!!」
魔王「呪術師、大義であった」
魔王「これが勇者の肉体であることも気に喰わんが、それもまた許そう」
呪術師「はぁ、はぁ、はぁ……! がふっ、はぁ……!」
呪術師「………………魔王様……ありがたき、お言葉……!」
呪術師「……がはっ! はぁ、はぁ、はぁ……!!」
魔王「だが……貴様らを統べる、魔王であるのも、確かだ。……ここは抑えよう」
魔王「これで、この一件は不問に処す」
呪術師「はぁ、はぁ、はぁ……!!」
魔王「呪術師、大義であった」
魔王「これが勇者の肉体であることも気に喰わんが、それもまた許そう」
呪術師「はぁ、はぁ、はぁ……! がふっ、はぁ……!」
呪術師「………………魔王様……ありがたき、お言葉……!」
880: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:25:43.342 ID:NItIZ8Gj0
ドタドタ…
バン!
中級悪魔「呪術師様!」
呪術師「!」
呪術師「貴様! 魔王様の御前であるぞ!!」
中級悪魔「ま、魔王様……! お戻りに……失礼いたしました!!」ザッ
バン!
中級悪魔「呪術師様!」
呪術師「!」
呪術師「貴様! 魔王様の御前であるぞ!!」
中級悪魔「ま、魔王様……! お戻りに……失礼いたしました!!」ザッ
881: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:27:58.607 ID:NItIZ8Gj0
魔王「構わん。それで、呪術師に何か用があったのだろう。火急の件ならばここで話せ」
中級悪魔「……はっ!」
中級悪魔「かねてより追跡していた勇者のつがいの女を捕らえました!」
呪術師「……ふん、一足遅かったな……」
呪術師「散々手こずらせてくれた、勇者の師はどうした」
中級悪魔「死にました」
魔王「………………」
中級悪魔「……はっ!」
中級悪魔「かねてより追跡していた勇者のつがいの女を捕らえました!」
呪術師「……ふん、一足遅かったな……」
呪術師「散々手こずらせてくれた、勇者の師はどうした」
中級悪魔「死にました」
魔王「………………」
882: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:29:31.640 ID:NItIZ8Gj0
中級悪魔「最後まで抵抗を続け、我が軍の被害も相当……追跡していた幹部級の三名と相討つ形となりました」
呪術師「そうか……良くやった。幹部を失ったのは大きく、またその女は既に必要ないが、爺を殺したことはより大きい。いずれまた第二第三の勇者を育てんとも限らん」
中級悪魔「女は、こちらへ」
幼馴染「……………………」
魔王「……………………」
呪術師「ふむ。こいつが勇者の……」
中級悪魔「如何なされますか」
呪術師「魔王様がお戻りになられた今、この女は用済みだ。幹部連中の中にこの手の者を欲しがる輩がいただろう。適当にくれてやれ」
中級悪魔「はっ!」
呪術師「そうか……良くやった。幹部を失ったのは大きく、またその女は既に必要ないが、爺を殺したことはより大きい。いずれまた第二第三の勇者を育てんとも限らん」
中級悪魔「女は、こちらへ」
幼馴染「……………………」
魔王「……………………」
呪術師「ふむ。こいつが勇者の……」
中級悪魔「如何なされますか」
呪術師「魔王様がお戻りになられた今、この女は用済みだ。幹部連中の中にこの手の者を欲しがる輩がいただろう。適当にくれてやれ」
中級悪魔「はっ!」
883: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:36:36.153 ID:NItIZ8Gj0
中級悪魔「では、私はこれで……」
魔王「……………………」
魔王「……………………待て」
呪術師「……………………は?」
魔王「……待て、と言ったのだ」
呪術師「し、しかし……」
魔王「その女に手を下すことは……気に喰わん」
呪術師「!!」
魔王「……その女は捕虜とする。牢にでも入れておけ。看守にも、決して手出しはならんと伝えておけ」
呪術師「……………………」
魔王「……二度、言わせるつもりか?」
呪術師「め、滅相もありません……」
中級悪魔「……では、そのように」
魔王「……………………」
魔王「……………………待て」
呪術師「……………………は?」
魔王「……待て、と言ったのだ」
呪術師「し、しかし……」
魔王「その女に手を下すことは……気に喰わん」
呪術師「!!」
魔王「……その女は捕虜とする。牢にでも入れておけ。看守にも、決して手出しはならんと伝えておけ」
呪術師「……………………」
魔王「……二度、言わせるつもりか?」
呪術師「め、滅相もありません……」
中級悪魔「……では、そのように」
884: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:37:26.100 ID:NItIZ8Gj0
魔王「永き眠りから叩き起こされたのだ。俺は一度寝る。部屋まで案内しろ」
呪術師「…………はっ」
呪術師(魔王様…………まさか…………!!)
呪術師「…………はっ」
呪術師(魔王様…………まさか…………!!)
885: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:48:27.097 ID:NItIZ8Gj0
女騎士(…………勇者さま…………)
女騎士「………………」
盗賊「よう」
女騎士「あっ、盗賊さん」
盗賊「いい夜だな。俺らが下でわちゃわちゃやってんのも、お星様には関係ねえってか」
女騎士「……そうですね……いい夜です」
女騎士「………………」
盗賊「よう」
女騎士「あっ、盗賊さん」
盗賊「いい夜だな。俺らが下でわちゃわちゃやってんのも、お星様には関係ねえってか」
女騎士「……そうですね……いい夜です」
886: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 20:50:24.617 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「あの角の小僧と王都を回ったぜ。世間知らずにも程がある。よくあんなのを連れてきたな」
女騎士「あはは……。先日のお話は聞きました。けど、とてもよい子でしょう? まだ目覚めたばかりで、子どものようなものですから。純粋で、真っ白で」
女騎士「だから、もっともっといろいろなことを知ってほしいんです。盗賊さんに案内をお願いすれば、その辺りのこと、頼れると思ったのです。ありがとうございました」
盗賊「礼を言われるほどのことでもねーですよ」
盗賊「……本当、あの小僧も、最初に拾われたのがアンタみたいなので良かったな」
女騎士「どう言う意味ですか?」
盗賊「なに、親が少しは間抜けな方が、子どもはのびのびと育つもんですよってこった」
女騎士「な、なんてこと言うんですかっ」
女騎士「あはは……。先日のお話は聞きました。けど、とてもよい子でしょう? まだ目覚めたばかりで、子どものようなものですから。純粋で、真っ白で」
女騎士「だから、もっともっといろいろなことを知ってほしいんです。盗賊さんに案内をお願いすれば、その辺りのこと、頼れると思ったのです。ありがとうございました」
盗賊「礼を言われるほどのことでもねーですよ」
盗賊「……本当、あの小僧も、最初に拾われたのがアンタみたいなので良かったな」
女騎士「どう言う意味ですか?」
盗賊「なに、親が少しは間抜けな方が、子どもはのびのびと育つもんですよってこった」
女騎士「な、なんてこと言うんですかっ」
887: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 21:02:17.956 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「……決戦も、もうすぐだな。アンタらも昼間の魔物退治で疲れてるだろうが、魔法使いの姐さんの働きっぷりは尋常じゃねえぜ、あれ」
女騎士「そうですね。お手伝いをしたくても、わたしじゃ役に立ちそうもありません」
盗賊「むしろ機材ぶっ壊して追い出されるところが目に見えるぜ」
女騎士「……もうっ!」
盗賊「はははっ……」
女騎士「そうですね。お手伝いをしたくても、わたしじゃ役に立ちそうもありません」
盗賊「むしろ機材ぶっ壊して追い出されるところが目に見えるぜ」
女騎士「……もうっ!」
盗賊「はははっ……」
888: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 21:03:01.199 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「……はぁ。また憎まれ口ばっか叩いちまう。やっぱりアンタと居ると調子が狂うな」
女騎士「……盗賊さん?」
盗賊「激励に来たんだよ。これでもな」
女騎士「……盗賊さん?」
盗賊「激励に来たんだよ。これでもな」
889: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 21:07:01.894 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「さっき、武闘家のおっさんと僧侶の姐さんが戻って来たぜ。今は部屋で休んでる」
女騎士「武闘家さんたちが……」
盗賊「ああ。後は魔法使いの姐さんと王都の技術士次第だ。魔導船が仕上がるのもそうかからないだろうさ」
女騎士「……では、もうすぐですね」
盗賊「ああ」
女騎士「武闘家さんたちが……」
盗賊「ああ。後は魔法使いの姐さんと王都の技術士次第だ。魔導船が仕上がるのもそうかからないだろうさ」
女騎士「……では、もうすぐですね」
盗賊「ああ」
891: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 21:08:01.435 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「……今さら見栄張るのもどうかと思うから言っちまうが、俺は弱い。それこそ丸腰のアンタにも勝てないくらいにはな」
女騎士「………………」
盗賊「魔導船の乗員、誘われたよ。ここまで来た仲間なんだからってな……笑える話だろ?」
盗賊「断ろうと思う」
女騎士「……………………」
女騎士「…………そう、ですか……」
盗賊「ははっ、止めねえのな」
女騎士「……わたしが決めることでは、ありませんから」
女騎士「………………」
盗賊「魔導船の乗員、誘われたよ。ここまで来た仲間なんだからってな……笑える話だろ?」
盗賊「断ろうと思う」
女騎士「……………………」
女騎士「…………そう、ですか……」
盗賊「ははっ、止めねえのな」
女騎士「……わたしが決めることでは、ありませんから」
892: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 21:13:59.693 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「……………………」
盗賊「あーーーあ、ちくしょうっ」
盗賊「弱すぎんだよ、俺ァ。まあ当然だわな。あんたたちが魔王を倒して世界を救おうって必死こいて戦ってるときに、俺は裏でコソコソ人の目盗んで盗賊なんかやってやがった」
女騎士「………………」
盗賊「昔の自分を殴れるもんなら殴ってやりてえよ。もっと他のことに時間を使っていたなら。諦めずに、もっと頑張っていたのなら」
盗賊「今ごろこうして、惚れた女が死地に向かうのを見送るだけだなんて、情けないことはしてなかっただろうになあ」
女騎士「……そう……ですね…………」
女騎士「……………………」
女騎士「………………………………ふぇ?」
盗賊「あーーーあ、ちくしょうっ」
盗賊「弱すぎんだよ、俺ァ。まあ当然だわな。あんたたちが魔王を倒して世界を救おうって必死こいて戦ってるときに、俺は裏でコソコソ人の目盗んで盗賊なんかやってやがった」
女騎士「………………」
盗賊「昔の自分を殴れるもんなら殴ってやりてえよ。もっと他のことに時間を使っていたなら。諦めずに、もっと頑張っていたのなら」
盗賊「今ごろこうして、惚れた女が死地に向かうのを見送るだけだなんて、情けないことはしてなかっただろうになあ」
女騎士「……そう……ですね…………」
女騎士「……………………」
女騎士「………………………………ふぇ?」
893: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 21:15:28.143 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「あっ、言っちまった」
女騎士「あ、あのっ?」
盗賊「決戦前夜なんかに言うつもりは無かったんだがな。やっぱりアンタと話してると調子が狂っちまう」
女騎士「え、えぇと、ですね」
盗賊「別に、なんでもねえよ。気にすんな」
女騎士「気にするなと言われてもっ……!」
女騎士「あ、あのっ?」
盗賊「決戦前夜なんかに言うつもりは無かったんだがな。やっぱりアンタと話してると調子が狂っちまう」
女騎士「え、えぇと、ですね」
盗賊「別に、なんでもねえよ。気にすんな」
女騎士「気にするなと言われてもっ……!」
894: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 21:16:16.667 ID:NItIZ8Gj0
盗賊「本当に、今のは忘れてくれや。これでアンタまで調子崩して怪我でもされちまうと、俺だってやりきれねえっつの」
女騎士「盗賊さん……」
盗賊「……こんなはずじゃ無かったんだがな。小っ恥ずかしくなっちまったし、俺ももう帰るわ」
女騎士「………………」
盗賊「勇者とは、俺だってもう腐れ縁なんだ。……あいつを頼んだぜ」
女騎士「……はい。任せて、ください」
盗賊「必ず、無事に帰ってこいよな。柄じゃねえけど、このお星様にでも祈っておくよ」
女騎士「盗賊さん……」
盗賊「……こんなはずじゃ無かったんだがな。小っ恥ずかしくなっちまったし、俺ももう帰るわ」
女騎士「………………」
盗賊「勇者とは、俺だってもう腐れ縁なんだ。……あいつを頼んだぜ」
女騎士「……はい。任せて、ください」
盗賊「必ず、無事に帰ってこいよな。柄じゃねえけど、このお星様にでも祈っておくよ」
897: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 21:24:48.649 ID:NItIZ8Gj0
翌日
女騎士「僧侶さん、武闘家さんっ」
武闘家「女騎士か。しばらくぶりだな」
僧侶「女騎士さん……えぇと、その子が、例の……?」
角の少年「お前たちが武闘家と僧侶か。女騎士から聞いている。よろしく頼む」
武闘家「……ふむ」
僧侶「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
僧侶「………………」
僧侶(女騎士さん、後で説明だけお願いしますね)
女騎士「はい?」
魔法使い「みんな、揃ったわね。今から魔導船まで案内するわ」
女騎士「僧侶さん、武闘家さんっ」
武闘家「女騎士か。しばらくぶりだな」
僧侶「女騎士さん……えぇと、その子が、例の……?」
角の少年「お前たちが武闘家と僧侶か。女騎士から聞いている。よろしく頼む」
武闘家「……ふむ」
僧侶「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
僧侶「………………」
僧侶(女騎士さん、後で説明だけお願いしますね)
女騎士「はい?」
魔法使い「みんな、揃ったわね。今から魔導船まで案内するわ」
898: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 21:26:18.495 ID:NItIZ8Gj0
女騎士「す、すごい……」
戦士「……ああ」
武闘家「壮観だな」
僧侶「これが、空を飛ぶんですね……」
魔法使い「用意できた魔導船は全部で四隻よ。本当はもっと用意できれば良かったのだけれど……こればっかりは仕方ないわね」
女騎士「騎士団はもう集まっているみたいですね。わたしたちも行きましょう」
戦士「……ああ」
武闘家「壮観だな」
僧侶「これが、空を飛ぶんですね……」
魔法使い「用意できた魔導船は全部で四隻よ。本当はもっと用意できれば良かったのだけれど……こればっかりは仕方ないわね」
女騎士「騎士団はもう集まっているみたいですね。わたしたちも行きましょう」
899: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 21:35:10.830 ID:NItIZ8Gj0
騎士団長「皆! これより空の魔王城へと乗り込む!」
騎士団長「我々はこれまでに二度、魔王軍による王都への侵攻を許した!」
騎士団長「二度目の際には、陛下を失い、勇者殿を攫われるという、これ以上ない程の大敗を喫した!」
騎士団長「このままで済ませても良いと言う騎士は、この場にはいないだろう」
騎士団長「今から行うのは、これまでばかりの守戦ではない、攻戦だ」
騎士団長「我々はこれまでに二度、魔王軍による王都への侵攻を許した!」
騎士団長「二度目の際には、陛下を失い、勇者殿を攫われるという、これ以上ない程の大敗を喫した!」
騎士団長「このままで済ませても良いと言う騎士は、この場にはいないだろう」
騎士団長「今から行うのは、これまでばかりの守戦ではない、攻戦だ」
900: VIPがお送りします 2018/03/30(金) 21:35:44.205 ID:NItIZ8Gj0
騎士団長「我々は今、王都の盾ではなく、剣となる」
騎士団長「厳しい戦いになるだろう。命を落とす者もいるだろう」
騎士団長「だが、無辜の民を脅かすあの魔王軍を、このままのさばらせておくわけには行くまい!」
騎士団長「騎士として、王都の剣として、誇りある戦いを奴らに見せてやれ!」
騎士団長「我々人類の意地を、奴らに叩きつけてやるのだ!」
騎士団長「厳しい戦いになるだろう。命を落とす者もいるだろう」
騎士団長「だが、無辜の民を脅かすあの魔王軍を、このままのさばらせておくわけには行くまい!」
騎士団長「騎士として、王都の剣として、誇りある戦いを奴らに見せてやれ!」
騎士団長「我々人類の意地を、奴らに叩きつけてやるのだ!」
2: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 06:36:59.437 ID:pyCU+liR0
新魔王城
魔王「………………」
魔王の娘「父上、体調は如何か?」
魔王「……娘か」
魔王「万全に動くにはまだ足りん。だが並の相手ならば戦闘も問題ないだろう」
魔王の娘「……ふふ。その姿の父上というのも新鮮なものだ。以前の姿も雄々しく素敵であったが、今の姿も悪くない」
魔王「………………」
魔王「………………」
魔王の娘「父上、体調は如何か?」
魔王「……娘か」
魔王「万全に動くにはまだ足りん。だが並の相手ならば戦闘も問題ないだろう」
魔王の娘「……ふふ。その姿の父上というのも新鮮なものだ。以前の姿も雄々しく素敵であったが、今の姿も悪くない」
魔王「………………」
3: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 06:38:05.085 ID:pyCU+liR0
魔王「何の用だ。俺も暇ではない。手短に済ませろ」
魔王の娘「なに、一つ気になることがあったというだけ。……あの人間の娘をどうするつもりなのか、父上の考えを聞かせてほしい」
魔王「………………」
魔王の娘「………………」
魔王の娘「……答えられぬ、か。それもまた一つの答えとみましょう」
魔王の娘「父上の手で殺せぬ、というならばこちらで処理しても良いが?」
魔王「……………………」
魔王の娘「なに、一つ気になることがあったというだけ。……あの人間の娘をどうするつもりなのか、父上の考えを聞かせてほしい」
魔王「………………」
魔王の娘「………………」
魔王の娘「……答えられぬ、か。それもまた一つの答えとみましょう」
魔王の娘「父上の手で殺せぬ、というならばこちらで処理しても良いが?」
魔王「……………………」
4: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 06:39:13.198 ID:pyCU+liR0
魔王「……今はまだ」
魔王の娘「……?」
魔王「今はまだ、やめておけ。あの娘に手を出せば、俺はこの手でお前を縊り殺してしまうやもしれん」
魔王の娘「………………」
魔王の娘(……それほど、か)
魔王の娘(勇者。存外、まだ生きているのやもしれぬな)
魔王の娘「……?」
魔王「今はまだ、やめておけ。あの娘に手を出せば、俺はこの手でお前を縊り殺してしまうやもしれん」
魔王の娘「………………」
魔王の娘(……それほど、か)
魔王の娘(勇者。存外、まだ生きているのやもしれぬな)
5: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 06:43:13.057 ID:pyCU+liR0
呪術師「…………魔王様……!」
魔王「呪術師か。どうした」
呪術師「は。……人間どもが、空飛ぶ舟に乗り、この城に接近しております」
魔王「…………」
魔王の娘「ほう」
魔王「呪術師か。どうした」
呪術師「は。……人間どもが、空飛ぶ舟に乗り、この城に接近しております」
魔王「…………」
魔王の娘「ほう」
6: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 06:44:13.280 ID:pyCU+liR0
呪術師「数は三。人間の騎士どもと、かつての勇者の仲間たちが乗船していると思われます」
魔王「時はどれほどか」
呪術師「一刻ほど」
魔王「幹部は」
呪術師「……現在、その殆どが出払っております」
魔王「……寝起きというのに、騒がしい者どもだ。おかげで目が醒める」
魔王「時はどれほどか」
呪術師「一刻ほど」
魔王「幹部は」
呪術師「……現在、その殆どが出払っております」
魔王「……寝起きというのに、騒がしい者どもだ。おかげで目が醒める」
7: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 06:45:54.538 ID:pyCU+liR0
魔導船
ビュゥゥゥゥゥ…
戦士「……結構速えじゃねえか」
魔法使い「実用予定の物はこんなに速度が出ないわ。これは少し特別製」
武闘家「飛ぶのは三隻、か」
魔法使い「脱出の時に万が一のことがあると困るでしょう。今飛べるのは本当にこれだけしか無いから、一隻は王都に残しておく必要があるわ」
角の少年「……女騎士は何をしているんだ?」
魔法使い「……あれはそっとしておいてあげて」
女騎士「……………………うぷっ……」
僧侶「大丈夫ですか、女騎士さん」サスサス…
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
ビュゥゥゥゥゥ…
戦士「……結構速えじゃねえか」
魔法使い「実用予定の物はこんなに速度が出ないわ。これは少し特別製」
武闘家「飛ぶのは三隻、か」
魔法使い「脱出の時に万が一のことがあると困るでしょう。今飛べるのは本当にこれだけしか無いから、一隻は王都に残しておく必要があるわ」
角の少年「……女騎士は何をしているんだ?」
魔法使い「……あれはそっとしておいてあげて」
女騎士「……………………うぷっ……」
僧侶「大丈夫ですか、女騎士さん」サスサス…
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
8: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 06:56:17.120 ID:pyCU+liR0
ガァン! ガァン! ガァン!
ガァン! ガァン! ガァン!
全員「!!」
角の少年「これは、何の鐘だ」
戦士「魔物接近の合図だ。準備しておけ、坊主」
騎士「魔王城から、飛行系魔物の接近を確認! 接敵まで間も無くです!」
魔法使い「……来たわね。まあ、簡単に乗り込ませてはくれないと思っていたけれど」
ガァン! ガァン! ガァン!
全員「!!」
角の少年「これは、何の鐘だ」
戦士「魔物接近の合図だ。準備しておけ、坊主」
騎士「魔王城から、飛行系魔物の接近を確認! 接敵まで間も無くです!」
魔法使い「……来たわね。まあ、簡単に乗り込ませてはくれないと思っていたけれど」
9: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 06:57:25.287 ID:pyCU+liR0
騎士団長「皆、配置に付け! 魔導隊、弓兵隊は攻撃準備。連携し、魔物どもを撃ち落とす。操舵手、及び他の二隻との連絡は密に行え! 近接部隊は敵の乗船に備え、迎撃準備を急げ!」
ウオオオオオオオオオオ!!!
角の少年「………………」
戦士「ようやくだな」
武闘家「……いよいよか」
魔法使い「この舟は先頭。騎士団長や主力が揃ってる。守るわよ、全力で」
角の少年「……これが、戦い……」
ウオオオオオオオオオオ!!!
角の少年「………………」
戦士「ようやくだな」
武闘家「……いよいよか」
魔法使い「この舟は先頭。騎士団長や主力が揃ってる。守るわよ、全力で」
角の少年「……これが、戦い……」
10: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 07:01:32.602 ID:pyCU+liR0
魔将軍「数で押し潰せ。決して城には近付けるな」
魔将軍「奴らはあの舟以外に空を飛ぶ手段を持たない。撃ち落とすことを念頭に置いて動け」
中級悪魔A「はっ!」
中級悪魔B「将軍! 奴らの空飛ぶ舟から一騎、突出する影があります!」
魔将軍「一騎、だと?」
中級悪魔B「あれは……翼を持つ白馬……天馬です!」
魔将軍「奴らはあの舟以外に空を飛ぶ手段を持たない。撃ち落とすことを念頭に置いて動け」
中級悪魔A「はっ!」
中級悪魔B「将軍! 奴らの空飛ぶ舟から一騎、突出する影があります!」
魔将軍「一騎、だと?」
中級悪魔B「あれは……翼を持つ白馬……天馬です!」
11: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 07:04:50.659 ID:pyCU+liR0
ヒュゥゥゥゥゥゥ……
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「………………」
女騎士「馬刺し、焼き鳥……とうとう、ここまで来ましたね」
女騎士「思えば、お前たちとの付き合いも長いものになりました」
ナデナデ…
馬刺し「ブルルッ」
女騎士「これが終わったら、また一緒に旅をしましょう」
女騎士「必ず、勇者さまを助け出しましょう。この戦いを、終わらせるのです」
魔物の群れ「ギィィィ!」
女騎士「…………行きます!!」
バサッ!
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「………………」
女騎士「馬刺し、焼き鳥……とうとう、ここまで来ましたね」
女騎士「思えば、お前たちとの付き合いも長いものになりました」
ナデナデ…
馬刺し「ブルルッ」
女騎士「これが終わったら、また一緒に旅をしましょう」
女騎士「必ず、勇者さまを助け出しましょう。この戦いを、終わらせるのです」
魔物の群れ「ギィィィ!」
女騎士「…………行きます!!」
バサッ!
12: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 07:13:38.542 ID:pyCU+liR0
ドォン! ズガァン!
魔導隊「……数が、多すぎるっ」
弓兵「落とし切れない……!」
……カッ!
ズドォォォン!
魔導隊「この規模の爆発は……」
弓兵「……魔法使い様だ!」
魔導隊「……数が、多すぎるっ」
弓兵「落とし切れない……!」
……カッ!
ズドォォォン!
魔導隊「この規模の爆発は……」
弓兵「……魔法使い様だ!」
13: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 07:15:21.531 ID:pyCU+liR0
魔法使い「今まで机に噛り付いてばかりだった分、今日は発散させてもらうわよ!」ビリビリッ…
ピシャァァァン!
魔物「ギィィィ……!!」
戦士「だが、やっぱ数が多いな……落とし切れてねえ」
角の少年「舟に入ってきそうだぞ」
武闘家「……仕方あるまい。俺は状況を見て他の舟の援護に動く。ここは頼むぞ」タンッ
騎士「乗り込まれます!!」
ピシャァァァン!
魔物「ギィィィ……!!」
戦士「だが、やっぱ数が多いな……落とし切れてねえ」
角の少年「舟に入ってきそうだぞ」
武闘家「……仕方あるまい。俺は状況を見て他の舟の援護に動く。ここは頼むぞ」タンッ
騎士「乗り込まれます!!」
15: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 07:28:32.713 ID:pyCU+liR0
女騎士「やぁーーーー!」
ドシュッ!
上級悪魔「グオオオ……!!」
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「はぁ、はぁ……! 聖槍の力の制御も、大分できてきましたね」
ズドッ! ザシュッ!
女騎士「これなら……まだまだ戦えます!」
バサッ!
ドシュッ!
上級悪魔「グオオオ……!!」
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「はぁ、はぁ……! 聖槍の力の制御も、大分できてきましたね」
ズドッ! ザシュッ!
女騎士「これなら……まだまだ戦えます!」
バサッ!
16: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 07:29:45.267 ID:pyCU+liR0
ピキピキ…
パキィィィン!
魔物の群れ「ギィィィィィ!!」
騎士団長「魔導隊、弓兵隊! 魔法使い殿の魔法に合わせ、一斉射だ!」
騎士団長「撃ち漏らした大型は女騎士がかかっている! そちらとも上手く連携を取っていけ!」
騎士団長「近接部隊は船上の魔物を最優先に! 手の空いた者は舟の側面にしがみついた魔物を叩き落とせ!」
パキィィィン!
魔物の群れ「ギィィィィィ!!」
騎士団長「魔導隊、弓兵隊! 魔法使い殿の魔法に合わせ、一斉射だ!」
騎士団長「撃ち漏らした大型は女騎士がかかっている! そちらとも上手く連携を取っていけ!」
騎士団長「近接部隊は船上の魔物を最優先に! 手の空いた者は舟の側面にしがみついた魔物を叩き落とせ!」
17: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 07:33:06.061 ID:pyCU+liR0
魔物「ギィィィィィ!」
角の少年「……………………」ブゥン…
ズバッ! ザシュッ!
戦士「へぇ。まだ荒削りだが、そんなナリしてよくやるじゃねえか坊主」
ドカッ! ズバッ!
角の少年「……まだまだ、戦士や女騎士たちには及ばない」
角の少年「だが、俺も全力を尽くす。よろしく頼む」
ドシュッ!
角の少年「……………………」ブゥン…
ズバッ! ザシュッ!
戦士「へぇ。まだ荒削りだが、そんなナリしてよくやるじゃねえか坊主」
ドカッ! ズバッ!
角の少年「……まだまだ、戦士や女騎士たちには及ばない」
角の少年「だが、俺も全力を尽くす。よろしく頼む」
ドシュッ!
18: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 07:43:16.381 ID:pyCU+liR0
騎士団長「負傷した部隊は一時船内に退避しろ! 救護隊と僧侶殿の治癒を終えたらまた戻ってこい! 部隊の再編は騎士隊長に任せる!」
騎士「魔王城、目前! 今、遠見の者が舟の着地点を探しています!」
騎士団長「もとより、安全に着地できるとは考えていない。乱暴なものになることは覚悟しておけ」
騎士「はっ」
騎士「魔王城、目前! 今、遠見の者が舟の着地点を探しています!」
騎士団長「もとより、安全に着地できるとは考えていない。乱暴なものになることは覚悟しておけ」
騎士「はっ」
24: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:00:21.542 ID:pyCU+liR0
中級悪魔「敵魔導船、三隻とも重大な被害はなし。進路を見るに、庭園への着地を狙っています」
魔将軍「ここまでやるか、人間どもよ。前回の敗戦から驕りを捨てたつもりではあったが……」
魔将軍「城にいる上級悪魔を集めろ。もはや敵の着地は防げまい」
??「おい」
魔将軍「……!! 貴方は……!」
魔将軍「ここまでやるか、人間どもよ。前回の敗戦から驕りを捨てたつもりではあったが……」
魔将軍「城にいる上級悪魔を集めろ。もはや敵の着地は防げまい」
??「おい」
魔将軍「……!! 貴方は……!」
25: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:00:54.706 ID:pyCU+liR0
騎士「着地点、確認しました! これより進行方向を固定します!」
騎士団長「皆、衝撃に備えろ!! 行儀よく着地できるとは思うな! 船体にしがみつけ!」
騎士「……!! 遠見から報告! 着地点に人影が、一つ!」
騎士団長「何……!?」
騎士「あれは……あれは!!」
騎士団長「皆、衝撃に備えろ!! 行儀よく着地できるとは思うな! 船体にしがみつけ!」
騎士「……!! 遠見から報告! 着地点に人影が、一つ!」
騎士団長「何……!?」
騎士「あれは……あれは!!」
26: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:03:08.847 ID:pyCU+liR0
カッ!
ズドォォォン!
魔法使い「……ねえ。隣の舟の着地予定点、誰かいないかしら」
戦士「あぁん?」
ズドッ! バキッ!
戦士「居るにしたって、一人ってのはおかしいだろう」
角の少年「……いや、確かに誰かいるぞ。俺はお前たちに比べて目がいいらしい」
戦士「ちっ、たった一人で待ち構えようってのかよ。随分舐めたマネしてくれるじゃねえか」
魔法使い「ねえ、あなたの視力ではどのくらい見えているの? 相手の特徴はわかる?」
角の少年「…………人間……に、見える。一人の男だ。まだ若い。剣を一振り持っている」
魔法使い「人間……? 一人の男で、剣を持っている……!!」
戦士「…………まさか!」
ズドォォォン!
魔法使い「……ねえ。隣の舟の着地予定点、誰かいないかしら」
戦士「あぁん?」
ズドッ! バキッ!
戦士「居るにしたって、一人ってのはおかしいだろう」
角の少年「……いや、確かに誰かいるぞ。俺はお前たちに比べて目がいいらしい」
戦士「ちっ、たった一人で待ち構えようってのかよ。随分舐めたマネしてくれるじゃねえか」
魔法使い「ねえ、あなたの視力ではどのくらい見えているの? 相手の特徴はわかる?」
角の少年「…………人間……に、見える。一人の男だ。まだ若い。剣を一振り持っている」
魔法使い「人間……? 一人の男で、剣を持っている……!!」
戦士「…………まさか!」
28: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:06:35.331 ID:pyCU+liR0
バサッ!
女騎士「はぁ、はぁ……どうにか、舟を無事に降ろせそうですね」
女騎士「舟が降りたら、一度僧侶さんの所へ行きましょう」
馬刺し「ヒヒーン」
女騎士「着地点の様子は、誰も……」
女騎士「…………………!!」
女騎士「あれは……!!」
「……………………」
女騎士「勇者さま!!」
女騎士「はぁ、はぁ……どうにか、舟を無事に降ろせそうですね」
女騎士「舟が降りたら、一度僧侶さんの所へ行きましょう」
馬刺し「ヒヒーン」
女騎士「着地点の様子は、誰も……」
女騎士「…………………!!」
女騎士「あれは……!!」
「……………………」
女騎士「勇者さま!!」
29: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:28:45.137 ID:pyCU+liR0
戦士「あのやろう、無事だったか!」
魔法使い「ひとりで逃げ出してきたのかしら……でも、これ以上ないくらいの援軍よ!」
角の少年「勇者……? あれが、そうなのか」
角の少年「………………」
戦士「どうしたんだよ」
角の少年「お前たちの話は聞いている。勇者の人となりも、俺なりに理解はしていたつもりだ」
角の少年「だが、あれは本当に勇者なのか」
魔法使い「……どういう意味?」
角の少年「……………………」
角の少年「……俺には、あれが敵に見える」
魔法使い「ひとりで逃げ出してきたのかしら……でも、これ以上ないくらいの援軍よ!」
角の少年「勇者……? あれが、そうなのか」
角の少年「………………」
戦士「どうしたんだよ」
角の少年「お前たちの話は聞いている。勇者の人となりも、俺なりに理解はしていたつもりだ」
角の少年「だが、あれは本当に勇者なのか」
魔法使い「……どういう意味?」
角の少年「……………………」
角の少年「……俺には、あれが敵に見える」
30: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:29:44.403 ID:pyCU+liR0
騎士団長「……まずい! 勇者殿のいる位置は隣の舟の着地点だ!」
騎士「……駄目です、伝達しましたが、もう進路は変えられません! ぶつかります!」
魔王「……………………」
騎士「……駄目です、伝達しましたが、もう進路は変えられません! ぶつかります!」
魔王「……………………」
31: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:30:35.518 ID:pyCU+liR0
女騎士「……あれは、何ですか」
女騎士「本当に、勇者さま……?」
女騎士「!!」
女騎士「勇者さまの剣に、禍々しい魔力が集まって…………ッ!!」
女騎士「勇者さまっ! 何を!!」
バサッ!
女騎士「本当に、勇者さま……?」
女騎士「!!」
女騎士「勇者さまの剣に、禍々しい魔力が集まって…………ッ!!」
女騎士「勇者さまっ! 何を!!」
バサッ!
32: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:33:18.212 ID:pyCU+liR0
魔王「……………………」スッ…
ブワッ!
騎士「え?」
ドパァァァァァァァン!!
ブワッ!
騎士「え?」
ドパァァァァァァァン!!
33: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:33:44.606 ID:pyCU+liR0
騎士「………………え?」
騎士団長「……なっ」
騎士「……隣船っ、大破!!」
騎士「勇者様の……勇者様の、攻撃です!!」
騎士団長「……なっ」
騎士「……隣船っ、大破!!」
騎士「勇者様の……勇者様の、攻撃です!!」
34: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:36:27.348 ID:pyCU+liR0
魔王「………………」
魔王「……大破、か」
魔王「一度に断ち切るつもりで放ったが」
魔王「……………………」
魔王「……お前か」
バサッ!
女騎士「……何を」
女騎士「何をやっているのですか! 勇者さま!!」
魔王「……大破、か」
魔王「一度に断ち切るつもりで放ったが」
魔王「……………………」
魔王「……お前か」
バサッ!
女騎士「……何を」
女騎士「何をやっているのですか! 勇者さま!!」
36: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:57:11.928 ID:pyCU+liR0
騎士「隣船、不時着します!」
騎士団長「くっ……! 状況はわからんが、あれは一旦敵と見なす!!」
騎士団長「こちらも着地だ! 総員、備えろ!!」
騎士団長「くっ……! 状況はわからんが、あれは一旦敵と見なす!!」
騎士団長「こちらも着地だ! 総員、備えろ!!」
37: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:58:09.844 ID:pyCU+liR0
ズズゥゥゥゥゥン……!!
パラパラ…
魔王「勇者、か。まさかこの俺がその名で呼ばれる日が来るとはな」
魔王「女騎士……」
女騎士「……………………」
魔王「この俺の魔力を見ても、まだそう呼べるか」
女騎士「……あなたは、まさか……!!」
パラパラ…
魔王「勇者、か。まさかこの俺がその名で呼ばれる日が来るとはな」
魔王「女騎士……」
女騎士「……………………」
魔王「この俺の魔力を見ても、まだそう呼べるか」
女騎士「……あなたは、まさか……!!」
38: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 08:59:15.677 ID:pyCU+liR0
武闘家「女騎士」ザッ
女騎士「! 武闘家さんっ」
武闘家「今撃墜された舟に乗っていた」
武闘家「大破の衝撃と不時着により負傷者もいるが、被害の数はそれほどでもない」
武闘家「お前がいてくれなければ、危なかった」
武闘家「…………勇者、どういうつもりだ」
女騎士「! 武闘家さんっ」
武闘家「今撃墜された舟に乗っていた」
武闘家「大破の衝撃と不時着により負傷者もいるが、被害の数はそれほどでもない」
武闘家「お前がいてくれなければ、危なかった」
武闘家「…………勇者、どういうつもりだ」
39: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 09:00:08.297 ID:pyCU+liR0
女騎士「武闘家さんっ、下がって! このひとは……勇者さまではありませんっ!」
武闘家「……何?」
魔王「………………」
魔王「女騎士、武闘家。……不思議なものだ。かつての宿敵であったはずの貴様らを、どこか懐かしく感じている」
魔王「敵としてではなく、近しい者としてな」
魔王「……これも、弊害か」
武闘家「……何?」
魔王「………………」
魔王「女騎士、武闘家。……不思議なものだ。かつての宿敵であったはずの貴様らを、どこか懐かしく感じている」
魔王「敵としてではなく、近しい者としてな」
魔王「……これも、弊害か」
41: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 09:14:07.174 ID:pyCU+liR0
武闘家「……貴様、その眼の色……!」
女騎士「あれは……勇者さまの身体に取り憑いた……!」
魔王「かつて己を殺した相手とまみえることなど、そうはあるまい」
魔王「この身体、気に喰わん面もある」
魔王「だが、今この時はこの再会を喜ぼう」
魔王「会いたかったぞ……この肉体に染み付いた情からではなく」
魔王「貴様らに滅ぼされた男の魂として……」
魔王「貴様らの、宿敵として……!!」
女騎士「あのひとは、魔王です!!」
女騎士「あれは……勇者さまの身体に取り憑いた……!」
魔王「かつて己を殺した相手とまみえることなど、そうはあるまい」
魔王「この身体、気に喰わん面もある」
魔王「だが、今この時はこの再会を喜ぼう」
魔王「会いたかったぞ……この肉体に染み付いた情からではなく」
魔王「貴様らに滅ぼされた男の魂として……」
魔王「貴様らの、宿敵として……!!」
女騎士「あのひとは、魔王です!!」
43: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 09:39:58.813 ID:pyCU+liR0
ズズゥゥゥゥゥン……
コツ、コツ……
魔王の娘「この派手な音……父上か」
魔王の娘「相変わらず激しいおひとよ」
魔王の娘「せっかくの城を壊さないでほしいものだが……いや、戦士としての父上にそのようなことを言うのも無粋よな」
コツ、コツ……
魔王の娘「……これが、勇者の」
幼馴染「……………………」
コツ、コツ……
魔王の娘「この派手な音……父上か」
魔王の娘「相変わらず激しいおひとよ」
魔王の娘「せっかくの城を壊さないでほしいものだが……いや、戦士としての父上にそのようなことを言うのも無粋よな」
コツ、コツ……
魔王の娘「……これが、勇者の」
幼馴染「……………………」
44: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 09:41:10.233 ID:pyCU+liR0
魔王の娘「肉体の……勇者の残滓の影響とは言え、今の父上の情けを……」
魔王の娘「……いや、認めるか。今この時、最も父上の寵愛を受けている者よ」
魔王の娘「…………………」
キィィィィィィィン……!
幼馴染「……ぅ…………あぅ…………!!」
魔王の娘「……………………」
魔王の娘「……いや、認めるか。今この時、最も父上の寵愛を受けている者よ」
魔王の娘「…………………」
キィィィィィィィン……!
幼馴染「……ぅ…………あぅ…………!!」
魔王の娘「……………………」
45: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 09:43:39.166 ID:pyCU+liR0
看守悪魔「い、いけません、姫!!」
看守悪魔「魔王様より、絶対に手出してはならぬと厳命されております! このままでは……!」
魔王の娘「………………………」
魔王の娘「……わかっておる。なに、今のはほんの戯れよ」
フッ…
幼馴染「……………………」
魔王の娘「いくら勇者の残滓といえど、時とともにいずれ消え失せよう」
魔王の娘「なに、良き女とは待つものだ」
魔王の娘「娘。その時こそ、妾の手で葬ってやるとしよう」
看守悪魔「魔王様より、絶対に手出してはならぬと厳命されております! このままでは……!」
魔王の娘「………………………」
魔王の娘「……わかっておる。なに、今のはほんの戯れよ」
フッ…
幼馴染「……………………」
魔王の娘「いくら勇者の残滓といえど、時とともにいずれ消え失せよう」
魔王の娘「なに、良き女とは待つものだ」
魔王の娘「娘。その時こそ、妾の手で葬ってやるとしよう」
50: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 10:12:52.153 ID:pyCU+liR0
ギィン! ガキィン!
女騎士「はぁ、はぁ……!」
武闘家「くっ!」
魔王「……かつてまみえた時よりも力は上がっているようだが……技に冴えが無いぞ」
ギィン!
魔王「まさかこの身体に気を遣っているつもりか?」
魔王「そんな気概でこの俺を止めようなどと考えているのなら、心外だ」
ガァン!
魔王「あまりがっかりさせてくれるな。来るのなら、死に物狂いで来い」
女騎士「くっ……!」
女騎士「はぁ、はぁ……!」
武闘家「くっ!」
魔王「……かつてまみえた時よりも力は上がっているようだが……技に冴えが無いぞ」
ギィン!
魔王「まさかこの身体に気を遣っているつもりか?」
魔王「そんな気概でこの俺を止めようなどと考えているのなら、心外だ」
ガァン!
魔王「あまりがっかりさせてくれるな。来るのなら、死に物狂いで来い」
女騎士「くっ……!」
51: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 10:13:15.727 ID:pyCU+liR0
……カッ!
魔王「……む?」
ズドォォォン!
魔王「………………」
パラパラ…
魔法使い「無傷、ね。……剣の一振りでほとんど相殺された。少しは加減したとは言え、ショックだわ」
魔王「………………」
魔王「……む?」
ズドォォォン!
魔王「………………」
パラパラ…
魔法使い「無傷、ね。……剣の一振りでほとんど相殺された。少しは加減したとは言え、ショックだわ」
魔王「………………」
52: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 10:15:55.034 ID:pyCU+liR0
女騎士「魔法使いさん! その人はっ!」
魔法使い「大体把握しているわ。さっきの舟の撃墜……あんなに真っ黒な魔力は勇者には出せない」
魔法使い「聖槍で減衰されたって言うのにあれほどの威力を出せる輩も、武闘家とあなたとでこんなに苦戦するだなんて輩も、限られてるもの……!」
戦士「魔王!! てめえ!!」
角の少年「………………」
魔王「……来たか」
魔王「一人見慣れない者もいるが……かつてこの俺を滅ぼした者たちよ。よくここまで来た」
魔王「先も言ったが、この身体だからと手を抜いてくれる必要は無い。もとより、負けるつもりもない。存分にかかって来い、英雄達よ」
魔法使い「大体把握しているわ。さっきの舟の撃墜……あんなに真っ黒な魔力は勇者には出せない」
魔法使い「聖槍で減衰されたって言うのにあれほどの威力を出せる輩も、武闘家とあなたとでこんなに苦戦するだなんて輩も、限られてるもの……!」
戦士「魔王!! てめえ!!」
角の少年「………………」
魔王「……来たか」
魔王「一人見慣れない者もいるが……かつてこの俺を滅ぼした者たちよ。よくここまで来た」
魔王「先も言ったが、この身体だからと手を抜いてくれる必要は無い。もとより、負けるつもりもない。存分にかかって来い、英雄達よ」
53: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 10:20:31.158 ID:pyCU+liR0
僧侶「女騎士さん!」
女騎士「はぁ、はぁ……! 僧侶さん」
僧侶「聖槍の消耗もあります! 一旦後ろに下がってください」
女騎士「ですが!」
僧侶「すぐに回復させます! ここにあなたの力が必要なことなんて、わかっています!」
女騎士「…………!」
僧侶「だからこそ、今は堪えて、下がってください!」
女騎士「……………お願いします」
女騎士「はぁ、はぁ……! 僧侶さん」
僧侶「聖槍の消耗もあります! 一旦後ろに下がってください」
女騎士「ですが!」
僧侶「すぐに回復させます! ここにあなたの力が必要なことなんて、わかっています!」
女騎士「…………!」
僧侶「だからこそ、今は堪えて、下がってください!」
女騎士「……………お願いします」
54: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 10:33:15.919 ID:pyCU+liR0
ガァン! ギィン!
ズガッ! ガキィン!
女騎士「………………このままでは……」
女騎士(……どうすれば、魔王を止められるのでしょう……)
女騎士(みんな、頭ではわかっているんです……あれが、すでに勇者さまではないことを……)
女騎士(たとえ魔王を打ち倒したとしても……勇者さまが帰ってこないかもしれないことも……!)
女騎士(どうすれば……!)
……ドクンッ
ズガッ! ガキィン!
女騎士「………………このままでは……」
女騎士(……どうすれば、魔王を止められるのでしょう……)
女騎士(みんな、頭ではわかっているんです……あれが、すでに勇者さまではないことを……)
女騎士(たとえ魔王を打ち倒したとしても……勇者さまが帰ってこないかもしれないことも……!)
女騎士(どうすれば……!)
……ドクンッ
56: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 10:34:37.855 ID:pyCU+liR0
女騎士「ッ!」
女騎士「これは……聖槍が……!?」
女騎士「…………見えます………………」
女騎士「……盗賊さんを救ったときと、同じ景色……聖槍の、力……」
女騎士「…………いま、勇者さまの身体の中には、魔王の魂が……」
女騎士「そして、もう小さいけれど……。暖かい……」
女騎士「消えかけているけど、光を持つ……あの魂は……!!」
女騎士「これは……聖槍が……!?」
女騎士「…………見えます………………」
女騎士「……盗賊さんを救ったときと、同じ景色……聖槍の、力……」
女騎士「…………いま、勇者さまの身体の中には、魔王の魂が……」
女騎士「そして、もう小さいけれど……。暖かい……」
女騎士「消えかけているけど、光を持つ……あの魂は……!!」
57: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 10:39:14.416 ID:pyCU+liR0
焼き鳥「キィーーーーーー!」 バサッ
カッ!
馬刺し「ヒヒーン!」
僧侶「女騎士さんっ!? まだ治癒が……!」
女騎士「すみません僧侶さん! 試したいことがあるのです!」
バサッ!
カッ!
馬刺し「ヒヒーン!」
僧侶「女騎士さんっ!? まだ治癒が……!」
女騎士「すみません僧侶さん! 試したいことがあるのです!」
バサッ!
60: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 11:04:44.431 ID:pyCU+liR0
ギィン!
魔王「……やるようになったな。ようやく腹を括ったか」
戦士「ああ決めたぜ! 元からてめえ相手に殺さないよう手加減なんざ無理な話だったんだ! 手足引き裂いてボロカスにしてでも連れ帰ってやるから、あとで僧侶にくっつけてもらえ!」
ガキィン!
魔王「…………ッ!」
角の少年「………………」スッ
ガシッ!
魔王「……やるようになったな。ようやく腹を括ったか」
戦士「ああ決めたぜ! 元からてめえ相手に殺さないよう手加減なんざ無理な話だったんだ! 手足引き裂いてボロカスにしてでも連れ帰ってやるから、あとで僧侶にくっつけてもらえ!」
ガキィン!
魔王「…………ッ!」
角の少年「………………」スッ
ガシッ!
61: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 11:05:19.151 ID:pyCU+liR0
魔王「小僧……後ろからしがみついた程度で、俺を殺すに至ると思うか」
角の少年「思わないな。だから、こうする」
ギチッ!
魔王「貴様……手足を……。成る程な、見覚えがあるぞ。あの計画は俺の生前から動いていた」
魔王「だが、所詮は中身のない木偶人形にこの俺を止め切れると思うな」
バキバキ…!
角の少年「ッ! …………!!」
角の少年「思わないな。だから、こうする」
ギチッ!
魔王「貴様……手足を……。成る程な、見覚えがあるぞ。あの計画は俺の生前から動いていた」
魔王「だが、所詮は中身のない木偶人形にこの俺を止め切れると思うな」
バキバキ…!
角の少年「ッ! …………!!」
62: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 11:06:34.896 ID:pyCU+liR0
角の少年「……………………」
角の少年「……いいんだ、これで、十分なんだ」
角の少年「……………………女騎士」
バサッ!
女騎士「やぁーーーー!!」
ドシュッ!
魔王「ッ!」
魔王「……クッ、この程度、どうということは…………」
魔王「……………………ッ!?」
角の少年「……いいんだ、これで、十分なんだ」
角の少年「……………………女騎士」
バサッ!
女騎士「やぁーーーー!!」
ドシュッ!
魔王「ッ!」
魔王「……クッ、この程度、どうということは…………」
魔王「……………………ッ!?」
63: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 11:08:50.414 ID:pyCU+liR0
魔王「これは……ッ! 俺の、魂が……ッ!!」
女騎士(見える……聖槍が、魔王の魂を貫いて、浄化している……!)
女騎士「このまま…………!!」
コォォォォォ…!!
魔王「ぐ…………ああああああああ……!!」
女騎士「倒れてっ!!」
魔将軍「そこまでだ」
女騎士(見える……聖槍が、魔王の魂を貫いて、浄化している……!)
女騎士「このまま…………!!」
コォォォォォ…!!
魔王「ぐ…………ああああああああ……!!」
女騎士「倒れてっ!!」
魔将軍「そこまでだ」
64: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 11:10:08.329 ID:pyCU+liR0
ズガッ!
女騎士「あっ!」
ズサァ…!
魔将軍「魔王様、ご無事で」
魔王「……将軍、貴様……」
バッ
魔将軍「彼奴らとは一人でやらせろ、という魔王様のご指示、承知の上です」
魔将軍「これでも一個の武人……貴方の覚悟を踏みにじったその重みは弁えております」
魔将軍「この首、刎ねられると言うのならどうぞ刎ねられよ。貴方の命に比べれば安い物だ」
魔王「……………………」
女騎士「あっ!」
ズサァ…!
魔将軍「魔王様、ご無事で」
魔王「……将軍、貴様……」
バッ
魔将軍「彼奴らとは一人でやらせろ、という魔王様のご指示、承知の上です」
魔将軍「これでも一個の武人……貴方の覚悟を踏みにじったその重みは弁えております」
魔将軍「この首、刎ねられると言うのならどうぞ刎ねられよ。貴方の命に比べれば安い物だ」
魔王「……………………」
65: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 11:13:53.346 ID:pyCU+liR0
魔王「……………………」
魔王「……良い。俺も、少し熱くなりすぎた。王として、今ここで倒れる訳にはいかんな」
魔王「……今の一撃で、大分消耗した。俺は一度戻る
魔王「後は任せるぞ、将軍」
魔将軍「…………はっ!」
魔王「……良い。俺も、少し熱くなりすぎた。王として、今ここで倒れる訳にはいかんな」
魔王「……今の一撃で、大分消耗した。俺は一度戻る
魔王「後は任せるぞ、将軍」
魔将軍「…………はっ!」
71: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 12:23:50.483 ID:pyCU+liR0
戦士「邪魔、すんじゃねえ!!」
ガギン!
魔将軍「ふん。……一度は取られた我らが王の命。二度も取り零すまい」
魔将軍「そうやすやすと、取られてたまるか!!!」
ギィン!!
ガギン!
魔将軍「ふん。……一度は取られた我らが王の命。二度も取り零すまい」
魔将軍「そうやすやすと、取られてたまるか!!!」
ギィン!!
72: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 12:24:22.062 ID:pyCU+liR0
女騎士「はぁ、はぁ……! うぐっ……」
僧侶「女騎士さんっ!」
女騎士「はぁ、はぁ……ごめんなさい、取り逃がしました……!」
僧侶「そんなことより、早く治癒を……!」
武闘家「僧侶!」
女騎士「武闘家さん……ッ! その子は……」
角の少年「………………」
女騎士「う、腕が……! 僧侶さんっ!」
僧侶「女騎士さんっ!」
女騎士「はぁ、はぁ……ごめんなさい、取り逃がしました……!」
僧侶「そんなことより、早く治癒を……!」
武闘家「僧侶!」
女騎士「武闘家さん……ッ! その子は……」
角の少年「………………」
女騎士「う、腕が……! 僧侶さんっ!」
73: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 12:26:07.535 ID:pyCU+liR0
僧侶「……わかりました。治癒します。でも、あなたが先です」
女騎士「そんなっ……! でもっ!」
僧侶「先ほどの魔王への一撃は見ました。あなたの考えも理解したつもりです。ならば、あの魔王を討てるのはあなたしかいないはずです」
女騎士「………………!!」
僧侶「この子の傷も重症ですが、幸いまだ命に関わるものではありません。あなたを治してからでも間に合います」
僧侶「この子の身を賭した覚悟に応えるために、あなたが今優先するべきことは何ですか?」
女騎士「…………ッ! ………………!!」
女騎士「……わかりました。よろしくお願いします、僧侶さん」
僧侶「…………えぇ。任せてください」
女騎士「そんなっ……! でもっ!」
僧侶「先ほどの魔王への一撃は見ました。あなたの考えも理解したつもりです。ならば、あの魔王を討てるのはあなたしかいないはずです」
女騎士「………………!!」
僧侶「この子の傷も重症ですが、幸いまだ命に関わるものではありません。あなたを治してからでも間に合います」
僧侶「この子の身を賭した覚悟に応えるために、あなたが今優先するべきことは何ですか?」
女騎士「…………ッ! ………………!!」
女騎士「……わかりました。よろしくお願いします、僧侶さん」
僧侶「…………えぇ。任せてください」
74: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 12:39:38.203 ID:pyCU+liR0
騎士団長「先の戦いを見たか!! 我らも続く! 遅れを取るなぁっ!!」
ウオオオオオオオオ!!
魔将軍「我らの城に土足で上り込んだ人間どもを許すな! ここを死地と捉えよ! 殲滅だ!!」
ガアアアアアアアア!!
ウオオオオオオオオ!!
魔将軍「我らの城に土足で上り込んだ人間どもを許すな! ここを死地と捉えよ! 殲滅だ!!」
ガアアアアアアアア!!
75: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 12:40:44.294 ID:pyCU+liR0
魔王「………………くっ」
呪術師「魔王様!」
魔王「……女騎士のあの聖槍……厄介だな。威力については報告にあったが、まさか魂に直接干渉してくるとは」
呪術師「魂に……!」
呪術師(まずい……いくら魔王様の魂が強靭とは言え、まだ器に定着して間もない……このままあの槍と戦い続ければ……!)
魔王「少し休む……戦のことは魔将軍に任せてある。貴様は貴様の為すべきことを為せ」
呪術師「……はっ!」
呪術師「魔王様!」
魔王「……女騎士のあの聖槍……厄介だな。威力については報告にあったが、まさか魂に直接干渉してくるとは」
呪術師「魂に……!」
呪術師(まずい……いくら魔王様の魂が強靭とは言え、まだ器に定着して間もない……このままあの槍と戦い続ければ……!)
魔王「少し休む……戦のことは魔将軍に任せてある。貴様は貴様の為すべきことを為せ」
呪術師「……はっ!」
76: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 12:44:47.397 ID:pyCU+liR0
魔王の娘「父上!」
魔王「……娘か」
魔王の娘「その傷……聖槍の力か……」
魔王の娘「おのれ、小娘め……!」
魔王「貴様は下がっていろ」
魔王の娘「……また、ですか」
魔王の娘「また父上は、一人で逝こうと言うのか……妾を置いて!!」
魔王「………………娘」
魔王の娘「……少し、取り乱しました」
魔王の娘「……部屋に、戻っています。父上も早く休まれよ」
魔王「……………………」
魔王「……娘か」
魔王の娘「その傷……聖槍の力か……」
魔王の娘「おのれ、小娘め……!」
魔王「貴様は下がっていろ」
魔王の娘「……また、ですか」
魔王の娘「また父上は、一人で逝こうと言うのか……妾を置いて!!」
魔王「………………娘」
魔王の娘「……少し、取り乱しました」
魔王の娘「……部屋に、戻っています。父上も早く休まれよ」
魔王「……………………」
77: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 12:51:21.973 ID:pyCU+liR0
僧侶「…………これで、治癒は完了です。疲労は残っていると思いますが、これでまた戦えるはず」
女騎士「ありがとうございます……馬刺し、焼き鳥っ」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「……城の中で、騎乗は適しません。お前たちは魔導船の中で待っていてください」
馬刺し「ブルルッ」
焼き鳥「キィ…」
女騎士「大丈夫。必ず戻ってきます。そのとき、きっとまたお前たちの力が必要になるのです。今はゆっくり休んで、待っていてください」
女騎士「ありがとうございます……馬刺し、焼き鳥っ」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「……城の中で、騎乗は適しません。お前たちは魔導船の中で待っていてください」
馬刺し「ブルルッ」
焼き鳥「キィ…」
女騎士「大丈夫。必ず戻ってきます。そのとき、きっとまたお前たちの力が必要になるのです。今はゆっくり休んで、待っていてください」
78: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 12:52:26.565 ID:pyCU+liR0
女騎士「僧侶さん。……その子を、お願いしますね」
僧侶「えぇ。……それでは、女騎士さん」
武闘家「女騎士。戦士と魔法使いはこの乱戦に必要だが……せめて俺だけでも同行しよう。城へ、行くぞ」
女騎士「はい、行きましょうっ!」
僧侶「えぇ。……それでは、女騎士さん」
武闘家「女騎士。戦士と魔法使いはこの乱戦に必要だが……せめて俺だけでも同行しよう。城へ、行くぞ」
女騎士「はい、行きましょうっ!」
80: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 13:16:55.647 ID:pyCU+liR0
魔物の群れ「ギィィィィィ!!」
ズバッ! ドシュッ!
ドガッ! ズガッ!
女騎士「はぁ、はぁ。やはり、城の中にも魔物はたくさんいますね」
武闘家「だが、幹部級は今庭園に出ているのが殆どのようだ。急襲作戦が成功したな。おそらく、地上の幹部を呼び戻す時間は無かったのだろう。揃えられていればこうも行くまい」
タタタッ…
ズバッ! ドシュッ!
ドガッ! ズガッ!
女騎士「はぁ、はぁ。やはり、城の中にも魔物はたくさんいますね」
武闘家「だが、幹部級は今庭園に出ているのが殆どのようだ。急襲作戦が成功したな。おそらく、地上の幹部を呼び戻す時間は無かったのだろう。揃えられていればこうも行くまい」
タタタッ…
81: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 13:17:23.139 ID:pyCU+liR0
バァン!
女騎士「……広間……」
武闘家「大分進んだように思う。魔王の部屋を探そう」
女騎士「はい……」
武闘家「……………………むっ!」
武闘家「女騎士!!」
女騎士「……え?」
バキィッ!
女騎士「……広間……」
武闘家「大分進んだように思う。魔王の部屋を探そう」
女騎士「はい……」
武闘家「……………………むっ!」
武闘家「女騎士!!」
女騎士「……え?」
バキィッ!
82: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 13:18:33.327 ID:pyCU+liR0
狼男「……へっ、やるじゃねえか。そこの女騎士はぼやっとしてっから簡単に仕留められると思ったんだがな」
狼男「相当、気配を読むのがお上手なようだ」
武闘家「………………」
女騎士「武闘家さんっ!」
武闘家「狼男。幹部級か」
狼男「おーおー、よりによって他の幹部連中が出払ってる時にやって来やがって。おかげで面倒なことになっちまったよ」
武闘家「………………」
狼男「相当、気配を読むのがお上手なようだ」
武闘家「………………」
女騎士「武闘家さんっ!」
武闘家「狼男。幹部級か」
狼男「おーおー、よりによって他の幹部連中が出払ってる時にやって来やがって。おかげで面倒なことになっちまったよ」
武闘家「………………」
83: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 13:19:19.933 ID:pyCU+liR0
武闘家「女騎士、お前は先に行け」
女騎士「なっ……わたしも一緒に戦います!」
武闘家「駄目だ。こいつはまともに正面から戦う柄の男ではないだろう。おそらく徹底的に時間を稼ぐつもりだ」
武闘家「お前が魔王に与えたダメージは小さくないはずだ。特に、魂に与えたダメージ。回復される前に討つに越したことはない」
女騎士「……ッ」
武闘家「頼んだぞ。お前にしかできんことだ」
女騎士「……ご武運を」
女騎士「なっ……わたしも一緒に戦います!」
武闘家「駄目だ。こいつはまともに正面から戦う柄の男ではないだろう。おそらく徹底的に時間を稼ぐつもりだ」
武闘家「お前が魔王に与えたダメージは小さくないはずだ。特に、魂に与えたダメージ。回復される前に討つに越したことはない」
女騎士「……ッ」
武闘家「頼んだぞ。お前にしかできんことだ」
女騎士「……ご武運を」
84: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 13:22:05.488 ID:pyCU+liR0
狼男「そう簡単に、行かせるわけねえだろっ!」
ビュッ
バキッ!
武闘家「そう簡単に、止められると思うなよ」
狼男「……チッ」
タタタッ…
ビュッ
バキッ!
武闘家「そう簡単に、止められると思うなよ」
狼男「……チッ」
タタタッ…
86: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 13:43:25.764 ID:pyCU+liR0
ビュッ
ガッ! ドガッ!
シャッ
ズガッ! バキィ!
狼男「ったく、人間にしちゃあ速え奴だな」ズサァ!
武闘家「脚力にはそれなりに自信がある」
狼男「……オーケー、わかった。場所を変えようぜ。俺たちにとってこの部屋は少し狭すぎる」
バッ
ガシャァァァン!
武闘家「どこへ行くつもりだ」
狼男「なに、少し外にな。お前もこのくらいの高さ、跳べるだろ」
武闘家「……安い挑発だ」
バッ
ガッ! ドガッ!
シャッ
ズガッ! バキィ!
狼男「ったく、人間にしちゃあ速え奴だな」ズサァ!
武闘家「脚力にはそれなりに自信がある」
狼男「……オーケー、わかった。場所を変えようぜ。俺たちにとってこの部屋は少し狭すぎる」
バッ
ガシャァァァン!
武闘家「どこへ行くつもりだ」
狼男「なに、少し外にな。お前もこのくらいの高さ、跳べるだろ」
武闘家「……安い挑発だ」
バッ
87: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 13:43:56.130 ID:pyCU+liR0
スタッ
狼男「……見てみろよ、もう夜だぜ。良い満月だ。こんな時間になったんだ。もう帰るって気はねえか?」
武闘家「愚問だな。無駄口に付き合う気はないぞ」
狼男「……そうかい」
狼男「……見てみろよ、もう夜だぜ。良い満月だ。こんな時間になったんだ。もう帰るって気はねえか?」
武闘家「愚問だな。無駄口に付き合う気はないぞ」
狼男「……そうかい」
88: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 13:44:22.379 ID:pyCU+liR0
狼男「……お前、さっき俺のことを馬鹿にしたな」
武闘家「………………」
狼男「正面から戦わないだの、時間稼ぎだの、まるで俺がお前らに敵わねえみてえじゃねえか」
武闘家「否定はしない。お前はここで倒されるだろう」
狼男「ハッ、言ってくれやがる」
狼男「だがよ、見ろ。……満月だ。」
狼男「俺は狼男。この意味、わかるか?」
武闘家「……………………」
武闘家「………………」
狼男「正面から戦わないだの、時間稼ぎだの、まるで俺がお前らに敵わねえみてえじゃねえか」
武闘家「否定はしない。お前はここで倒されるだろう」
狼男「ハッ、言ってくれやがる」
狼男「だがよ、見ろ。……満月だ。」
狼男「俺は狼男。この意味、わかるか?」
武闘家「……………………」
89: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 13:45:27.040 ID:pyCU+liR0
狼男「まあ、確かに俺ァ真正面か
ら馬鹿正直に、ってクチじゃねえ」
狼男「実際、勇者を倒した時もそんな感じだったしな」
武闘家「! 貴様が、勇者を……」
狼男「何だったかな……そうそう、騎士団長だったか。王様がおっ死んじまったって聞いただけで馬鹿みたいに怒り狂いやがって。呪術師の野郎の術に簡単に引っかかりやがった」
武闘家「………………」
狼男「勇者の野郎も、ありゃ傑作だ。味方に剣突きつけられてビビっちまってよ。ロクに手出ししねえでやんの」
狼男「ついでに転がってた雑魚痛ぶってやればコロッと乗せられやがって、後はチョチョイのチョイよ」
狼男「お前ら人間どもの悪い癖だ。まあ、楽に倒せるってんならそれに越したことはねえよなあ?」ケラケラ
ら馬鹿正直に、ってクチじゃねえ」
狼男「実際、勇者を倒した時もそんな感じだったしな」
武闘家「! 貴様が、勇者を……」
狼男「何だったかな……そうそう、騎士団長だったか。王様がおっ死んじまったって聞いただけで馬鹿みたいに怒り狂いやがって。呪術師の野郎の術に簡単に引っかかりやがった」
武闘家「………………」
狼男「勇者の野郎も、ありゃ傑作だ。味方に剣突きつけられてビビっちまってよ。ロクに手出ししねえでやんの」
狼男「ついでに転がってた雑魚痛ぶってやればコロッと乗せられやがって、後はチョチョイのチョイよ」
狼男「お前ら人間どもの悪い癖だ。まあ、楽に倒せるってんならそれに越したことはねえよなあ?」ケラケラ
90: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 13:46:05.758 ID:pyCU+liR0
狼男「まあ、だが今は……」
バキバキバキバキ、メキメキメキメキ…!!
狼男「ンな小細工しなくっても、捻り潰してやるだけの力はあるぜ。満月の狼男、舐めるなよ」
武闘家「……随分と安く滑る口だ」
狼男「アァン? なに、怒った? 冷静さを失ってくれるんならそれならそれで歓迎だぜ、俺ァ」
武闘家「気にするな。この程度で平静を欠くほど、ヤワな鍛錬はしていない」
武闘家「ただ……」
武闘家「久々に、滾って来たのは確かだ」
バキバキバキバキ、メキメキメキメキ…!!
狼男「ンな小細工しなくっても、捻り潰してやるだけの力はあるぜ。満月の狼男、舐めるなよ」
武闘家「……随分と安く滑る口だ」
狼男「アァン? なに、怒った? 冷静さを失ってくれるんならそれならそれで歓迎だぜ、俺ァ」
武闘家「気にするな。この程度で平静を欠くほど、ヤワな鍛錬はしていない」
武闘家「ただ……」
武闘家「久々に、滾って来たのは確かだ」
91: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 13:49:24.178 ID:pyCU+liR0
タタタッ…
女騎士「はぁ、はぁ……!」
魔物の群れ「ギィィィィィ!!」
女騎士「……どいて、くださいっ!」
ズバッ! ドシュッ!
女騎士「はぁ、はぁ……また階段……」
女騎士「随分上まで来たように思います……」
女騎士「もうすぐ……! 待っていてください、勇者さま……!」
女騎士「はぁ、はぁ……!」
魔物の群れ「ギィィィィィ!!」
女騎士「……どいて、くださいっ!」
ズバッ! ドシュッ!
女騎士「はぁ、はぁ……また階段……」
女騎士「随分上まで来たように思います……」
女騎士「もうすぐ……! 待っていてください、勇者さま……!」
93: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 14:08:47.126 ID:pyCU+liR0
角の少年「…………う……」
僧侶「!」
僧侶「気がつきましたね」
角の少年「俺は……女騎士は、魔王はどうなった」
僧侶「あなたの決死の足止めのおかげで、魔王に手傷を負わせることに成功しました」
僧侶「今は魔王は城の中に戻ってしまいましたが、女騎士さんと武闘家さんが追っています」
角の少年「そうか。俺は、役に立てただろうか」
僧侶「はい。とても。腕の治癒は粗方終わりましたが、まだ動けるような状態ではありません。休んでいてください」
角の少年「………………」
僧侶「私は、他の負傷者の所へ行ってきます。……動いてはいけませんよ?」
角の少年「………………」
角の少年(女騎士……まだ、戦っているのか)
角の少年(…………俺は)
フラッ…
僧侶「!」
僧侶「気がつきましたね」
角の少年「俺は……女騎士は、魔王はどうなった」
僧侶「あなたの決死の足止めのおかげで、魔王に手傷を負わせることに成功しました」
僧侶「今は魔王は城の中に戻ってしまいましたが、女騎士さんと武闘家さんが追っています」
角の少年「そうか。俺は、役に立てただろうか」
僧侶「はい。とても。腕の治癒は粗方終わりましたが、まだ動けるような状態ではありません。休んでいてください」
角の少年「………………」
僧侶「私は、他の負傷者の所へ行ってきます。……動いてはいけませんよ?」
角の少年「………………」
角の少年(女騎士……まだ、戦っているのか)
角の少年(…………俺は)
フラッ…
96: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:05:09.531 ID:pyCU+liR0
タタタッ… バァン!
女騎士「はぁ、はぁ……! ここも違う……」
タタタッ…
女騎士「……ここの、扉……」
バン!
女騎士「……………………」
女騎士「……この部屋は……」
女騎士「他の部屋と、雰囲気が違う……なんだか、とてもおぞましい様な……」
呪術師「ついにこんな所まで入り込んで来たか、女騎士よ」
女騎士「はぁ、はぁ……! ここも違う……」
タタタッ…
女騎士「……ここの、扉……」
バン!
女騎士「……………………」
女騎士「……この部屋は……」
女騎士「他の部屋と、雰囲気が違う……なんだか、とてもおぞましい様な……」
呪術師「ついにこんな所まで入り込んで来たか、女騎士よ」
97: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:07:36.841 ID:pyCU+liR0
女騎士「……呪術師」
呪術師「侮るまい侮るまいとは考えてはいたが、そう考えていた時点で既に侮りがあったようだな」
呪術師「魔王様を蘇らせた時点で、私も少し気を抜いてしまっていた……」
呪術師「まさか、貴様がここまでの脅威となるとは思わなんだ」
女騎士「………………」
呪術師「その聖槍……少し眩しすぎる。貴様をこれ以上、魔王様と合わせるわけには行かない。ここで、すべてを終わらせてもらうぞ……!!」
呪術師「侮るまい侮るまいとは考えてはいたが、そう考えていた時点で既に侮りがあったようだな」
呪術師「魔王様を蘇らせた時点で、私も少し気を抜いてしまっていた……」
呪術師「まさか、貴様がここまでの脅威となるとは思わなんだ」
女騎士「………………」
呪術師「その聖槍……少し眩しすぎる。貴様をこれ以上、魔王様と合わせるわけには行かない。ここで、すべてを終わらせてもらうぞ……!!」
98: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:09:13.789 ID:pyCU+liR0
キィィィィィィィン…!
女騎士「……ッ!? これは……!?」
呪術師「生半可な呪術では貴様とその聖槍に通用せんことはわかっている」
呪術師「この部屋は、少し特別でな」
呪術師「……今この瞬間、この時の呪術のためだけに、すべてを整えた」
呪術師「並の準備ではない。対象は若い女。人間。鎧持ち。槍使い。騎手。王都の血……すべて、お前のためだけに用意した術式だ」
呪術師「ここまで揃えれば聖槍の加護など貫くに容易いだろう」
女騎士「くぅ……ッ!!」
パリパリッ…!
女騎士「……ッ!? これは……!?」
呪術師「生半可な呪術では貴様とその聖槍に通用せんことはわかっている」
呪術師「この部屋は、少し特別でな」
呪術師「……今この瞬間、この時の呪術のためだけに、すべてを整えた」
呪術師「並の準備ではない。対象は若い女。人間。鎧持ち。槍使い。騎手。王都の血……すべて、お前のためだけに用意した術式だ」
呪術師「ここまで揃えれば聖槍の加護など貫くに容易いだろう」
女騎士「くぅ……ッ!!」
パリパリッ…!
99: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:10:26.103 ID:pyCU+liR0
コツ、コツ……
呪術師「思えば、お前には随分と手こずらされて来た。王都東の村での魂集めから始まり、オークからの防衛、吸血鬼、海魔、蟲男、竜人。そして先の王都戦での活躍。……魔王様に負わせた手傷」
呪術師「お前のすべてを聞き及び、調べ上げた。今や私の中で、お前の脅威はかつての勇者よりも高いと考えている」
女騎士「う…………ぐぅ…………!!」
パリパリッ…!
呪術師「思えば、お前には随分と手こずらされて来た。王都東の村での魂集めから始まり、オークからの防衛、吸血鬼、海魔、蟲男、竜人。そして先の王都戦での活躍。……魔王様に負わせた手傷」
呪術師「お前のすべてを聞き及び、調べ上げた。今や私の中で、お前の脅威はかつての勇者よりも高いと考えている」
女騎士「う…………ぐぅ…………!!」
パリパリッ…!
100: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:10:52.368 ID:pyCU+liR0
コツ、コツ……
呪術師「だが、それも、ここまでだ……」
呪術師「ここで、終わりにしてやる……私の手で!!!」
女騎士「ッ!!!」
ドッ……
呪術師「だが、それも、ここまでだ……」
呪術師「ここで、終わりにしてやる……私の手で!!!」
女騎士「ッ!!!」
ドッ……
101: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:13:47.013 ID:pyCU+liR0
ポタ、ポタ……
呪術師「………………」
呪術師「……………………」
呪術師「……貴、様…………!!」
角の少年「はぁ、はぁ……!!」ブゥン…
女騎士「あなたは……!!」
呪術師「………………」
呪術師「……………………」
呪術師「……貴、様…………!!」
角の少年「はぁ、はぁ……!!」ブゥン…
女騎士「あなたは……!!」
102: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:14:22.703 ID:pyCU+liR0
呪術師「不完全な……欠陥品がッ!!」
呪術師「離れろッ!!」
ドカッ!
ズサァ!
角の少年「ぐぁ…………」
ドシャッ
女騎士「!!」
女騎士「まだ傷口が塞がっていないじゃないですか!!」
女騎士「早く、戻ってください!!」
呪術師「離れろッ!!」
ドカッ!
ズサァ!
角の少年「ぐぁ…………」
ドシャッ
女騎士「!!」
女騎士「まだ傷口が塞がっていないじゃないですか!!」
女騎士「早く、戻ってください!!」
103: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:16:51.897 ID:pyCU+liR0
角の少年「はぁ、はぁ……! それは、できない」
角の少年「お前はまだ、戦っているじゃないか」
角の少年「お前の方こそ、動けないんだろう」
角の少年「こいつは俺が倒す。そこで、黙って見ていてくれ」
女騎士「………………ッ!!」
角の少年「お前はまだ、戦っているじゃないか」
角の少年「お前の方こそ、動けないんだろう」
角の少年「こいつは俺が倒す。そこで、黙って見ていてくれ」
女騎士「………………ッ!!」
104: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:20:17.276 ID:pyCU+liR0
呪術師「ふん、出来損ないが大言を。どこの誰に吹き込まれたのやら」
呪術師「……貴様、血を流しすぎだ。血というのは、呪術師の前で容易に流すものではない。床にこれほど大量に撒かれればな……」
スッ
ペロッ
呪術師「少し、私を見くびっていないか?」
角の少年「………………」
呪術師「血というのは、呪術にとって深い意味を持つ。貴様など、女騎士のような準備もいらぬ。即興の呪いで、殺してやる」
呪術師「……貴様、血を流しすぎだ。血というのは、呪術師の前で容易に流すものではない。床にこれほど大量に撒かれればな……」
スッ
ペロッ
呪術師「少し、私を見くびっていないか?」
角の少年「………………」
呪術師「血というのは、呪術にとって深い意味を持つ。貴様など、女騎士のような準備もいらぬ。即興の呪いで、殺してやる」
105: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:30:42.844 ID:pyCU+liR0
キィィィィィィィン……!!
角の少年「……ぐっ…………!!」
呪術師「動けんだろう。今貴様の中に流れる血、そのすべてが鉛のように重く感じる筈だ」
呪術師「どう料理してやろうか。呪術と一口に言えど様々にある。一瞬で楽にしてやるものから長く苦しむものまでな」
呪術師「血を直接啜ったのだ。何でも叶えてやろう」
角の少年(……………………)
角の少年「……ぐっ…………!!」
呪術師「動けんだろう。今貴様の中に流れる血、そのすべてが鉛のように重く感じる筈だ」
呪術師「どう料理してやろうか。呪術と一口に言えど様々にある。一瞬で楽にしてやるものから長く苦しむものまでな」
呪術師「血を直接啜ったのだ。何でも叶えてやろう」
角の少年(……………………)
106: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:32:05.142 ID:pyCU+liR0
女騎士「やめなさい!!」
女騎士「あなたの目的はわたしのはずです!!」
女騎士「これ以上はっ!!」
角の少年「女騎士、心配いらない」
ズバッ!!
ブシャァッ!!
女騎士「あなたの目的はわたしのはずです!!」
女騎士「これ以上はっ!!」
角の少年「女騎士、心配いらない」
ズバッ!!
ブシャァッ!!
107: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:33:54.615 ID:pyCU+liR0
呪術師「なっ……!!」
女騎士「何を……何をやってるんですか!!」
女騎士「自分の……体をッ!!」
角の少年「そいつの言う通り、血がすべて重くなっていた。確かにそうだ。抜いてみると、随分軽くなった」
角の少年「重くなっているのが、血だけで良かった」
角の少年「だが、お前を倒すにはまだ足らないな」
女騎士「やめなさい!!」
ズバッ!!
ビチャビチャッ……
女騎士「何を……何をやってるんですか!!」
女騎士「自分の……体をッ!!」
角の少年「そいつの言う通り、血がすべて重くなっていた。確かにそうだ。抜いてみると、随分軽くなった」
角の少年「重くなっているのが、血だけで良かった」
角の少年「だが、お前を倒すにはまだ足らないな」
女騎士「やめなさい!!」
ズバッ!!
ビチャビチャッ……
108: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:34:33.446 ID:pyCU+liR0
コツ、コツ……
角の少年「大分血を失ってしまったが、これでようやく動ける。俺を頑丈に作ってくれた奴に、感謝しないとな」
呪術師「貴様……ッ! 正気か!!!」
コツ、コツ……
角の少年「正気だ。ここでお前を倒せるのなら。女騎士を守れるなら、俺はここで死んだっていい」
角の少年「血が邪魔になるのなら、もういらない。動く体と、心があればそれでいい」
呪術師「欠陥品が……ッ!! 邪魔をするなァ!!」
ブゥン…
ズバッ!
角の少年「大分血を失ってしまったが、これでようやく動ける。俺を頑丈に作ってくれた奴に、感謝しないとな」
呪術師「貴様……ッ! 正気か!!!」
コツ、コツ……
角の少年「正気だ。ここでお前を倒せるのなら。女騎士を守れるなら、俺はここで死んだっていい」
角の少年「血が邪魔になるのなら、もういらない。動く体と、心があればそれでいい」
呪術師「欠陥品が……ッ!! 邪魔をするなァ!!」
ブゥン…
ズバッ!
110: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 15:59:45.558 ID:pyCU+liR0
呪術師「……あ……が…………………魔王、様…………」
ドサッ
角の少年「………………」
フッ
女騎士「! 呪術の縛りが解けた……!!」
角の少年「……………………」フラッ…
ドサッ
女騎士「ッ!!!」
ダッ!
ドサッ
角の少年「………………」
フッ
女騎士「! 呪術の縛りが解けた……!!」
角の少年「……………………」フラッ…
ドサッ
女騎士「ッ!!!」
ダッ!
111: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 16:00:09.977 ID:pyCU+liR0
角の少年「………………」
女騎士「起きて……起きてください…………ッ!!」
女騎士「そうだ、聖槍……!」
女騎士「聖槍の力で……ッ!!」ドスッ
角の少年「………………うっ……」
女騎士「!!」
女騎士「起きて……起きてください…………ッ!!」
女騎士「そうだ、聖槍……!」
女騎士「聖槍の力で……ッ!!」ドスッ
角の少年「………………うっ……」
女騎士「!!」
113: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 16:01:59.412 ID:pyCU+liR0
女騎士「魂が、繋がった……!!」
女騎士「あとは治癒を……僧侶さん……僧侶さんッ!!」
角の少年「……女騎士。ここに、僧侶はいないぞ」
女騎士「でも……でもっ!! 早く治癒しないと、あなたが死んじゃう!!」
角の少年「……もう、無理だ」
女騎士「何をっ……!」
角の少年「俺の体は少し特別で、そのおかげで動けていた。だが、やはり血を流しすぎたみたいだ」
角の少年「お前が魂を繋ぎ止めてくれても、もう間に合わないだろう」
女騎士「そんな……そんなっ!!」
女騎士「あとは治癒を……僧侶さん……僧侶さんッ!!」
角の少年「……女騎士。ここに、僧侶はいないぞ」
女騎士「でも……でもっ!! 早く治癒しないと、あなたが死んじゃう!!」
角の少年「……もう、無理だ」
女騎士「何をっ……!」
角の少年「俺の体は少し特別で、そのおかげで動けていた。だが、やはり血を流しすぎたみたいだ」
角の少年「お前が魂を繋ぎ止めてくれても、もう間に合わないだろう」
女騎士「そんな……そんなっ!!」
114: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 16:03:12.282 ID:pyCU+liR0
女騎士「だめですっ! まだあなたは……何もっ……!」
角の少年「……これでいいんだ。空っぽだった俺に、心を教えてくれた」
角の少年「お前は、俺の中で一番大切な人間になっていた」
角の少年「心を教えてくれて、こんな俺に、暖かさを教えてくれて、ありがとう」
角の少年「そんなお前を守ることが、俺のやるべきことだと、そう思ったんだ」
角の少年「お前の暖かさを守れたのなら、それで……」
角の少年「……これでいいんだ。空っぽだった俺に、心を教えてくれた」
角の少年「お前は、俺の中で一番大切な人間になっていた」
角の少年「心を教えてくれて、こんな俺に、暖かさを教えてくれて、ありがとう」
角の少年「そんなお前を守ることが、俺のやるべきことだと、そう思ったんだ」
角の少年「お前の暖かさを守れたのなら、それで……」
115: VIPがお送りします 2018/03/31(土) 16:03:54.126 ID:pyCU+liR0
角の少年「魔王軍のやっていることを許せないと思うのも、本当だ。お前なら、止められるだろう」
角の少年「……俺は、少しはお前の役に立てただろうか」
角の少年「みんなの役に立てただろうか」
角の少年「そうだったのなら、俺は嬉しい」
角の少年「でも、そうだな……最後にお前を泣かせてしまったのは……悪いこと、だな」
角の少年「……………………」
女騎士「……………………」
女騎士「あ、ああぁぁ…………」
女騎士「………………!!……………………ッ!!!!」
角の少年「……俺は、少しはお前の役に立てただろうか」
角の少年「みんなの役に立てただろうか」
角の少年「そうだったのなら、俺は嬉しい」
角の少年「でも、そうだな……最後にお前を泣かせてしまったのは……悪いこと、だな」
角の少年「……………………」
女騎士「……………………」
女騎士「あ、ああぁぁ…………」
女騎士「………………!!……………………ッ!!!!」
124: ID被りなんているのかよ…末尾0で被るのなんて初めてだ ◆exqaVCJQksMK 2018/03/31(土) 16:32:03.503 ID:pyCU+liR0
ズドン!!
狼男「……………………」
武闘家「……………………」
武闘家「………がふっ!」
ビチャビチャッ……
武闘家「はぁ、はぁ、はぁ……!!」
狼男「……へっ……へへっ……!」
ドシャッ
狼男「……………………」
武闘家「……………………」
武闘家「………がふっ!」
ビチャビチャッ……
武闘家「はぁ、はぁ、はぁ……!!」
狼男「……へっ……へへっ……!」
ドシャッ
125: ◆exqaVCJQksMK 2018/03/31(土) 16:33:56.034 ID:pyCU+liR0
狼男「……満月の狼男を……ノしちまうなんてなあ……」
武闘家「…………」
狼男「……胸を張っていいぜ。全力の俺をここまでやれる奴なんて……魔王様か勇者くらいだと思ってたよ……」
武闘家「………………」
狼男「……さっさと行きな、女騎士の奴、今ごろ呪術師の奴に呪い殺されてるかもしれねえぜ……」
武闘家「……………………」
スッ…
狼男「なぁんてな!! 死ねえ!!」グワッ
武闘家「……つくづく救えん奴だ」
ドゴォン!!
狼男「…………ガフッ………………」
武闘家「…………」
狼男「……胸を張っていいぜ。全力の俺をここまでやれる奴なんて……魔王様か勇者くらいだと思ってたよ……」
武闘家「………………」
狼男「……さっさと行きな、女騎士の奴、今ごろ呪術師の奴に呪い殺されてるかもしれねえぜ……」
武闘家「……………………」
スッ…
狼男「なぁんてな!! 死ねえ!!」グワッ
武闘家「……つくづく救えん奴だ」
ドゴォン!!
狼男「…………ガフッ………………」
126: ◆exqaVCJQksMK 2018/03/31(土) 16:35:44.171 ID:pyCU+liR0
狼男「………この、野郎…………!!」
ドシャッ
武闘家「…………ぐっ……」フラッ…
武闘家「……情けないことに、しばらく動けそうにない……」
武闘家「女騎士……!」
ドサッ…
ドシャッ
武闘家「…………ぐっ……」フラッ…
武闘家「……情けないことに、しばらく動けそうにない……」
武闘家「女騎士……!」
ドサッ…
187: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:08:05.892 ID:9TRm8/810USO
女騎士「……………………」
女騎士「…………………………」
女騎士「………………………………」
女騎士「……行かなきゃ」
女騎士「…………………………」
女騎士「………………………………」
女騎士「……行かなきゃ」
188: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:08:54.115 ID:9TRm8/810USO
女騎士「……もっと」
女騎士「もっと、いろいろなことを教えてあげたかった」
女騎士「人の営みも。美味しいお料理も。春の野山の、きれいな花も」
女騎士「暖かさを、もっと知ってほしかった」
女騎士「天馬に乗せてあげる約束も、守ってあげられなかった」
女騎士「……………………」
女騎士「けれど、この約束だけは、守らなきゃ」
女騎士「もっと、いろいろなことを教えてあげたかった」
女騎士「人の営みも。美味しいお料理も。春の野山の、きれいな花も」
女騎士「暖かさを、もっと知ってほしかった」
女騎士「天馬に乗せてあげる約束も、守ってあげられなかった」
女騎士「……………………」
女騎士「けれど、この約束だけは、守らなきゃ」
189: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:09:33.108 ID:9TRm8/810USO
シュゥゥゥゥゥ……
魔王「………………」
魔王「身体の傷は粗方治った、か」
魔王「…………だが」
……ズクンッ!
魔王「……魂の損傷はそう癒えんな」
魔王「………………」
魔王「身体の傷は粗方治った、か」
魔王「…………だが」
……ズクンッ!
魔王「……魂の損傷はそう癒えんな」
190: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:10:29.776 ID:9TRm8/810USO
魔王「勇者め。俺の抑止力が弱まると見るや抵抗を増してきたか」
魔王「……この俺を、内側から喰らうつもりか」
魔王「クッ、面白い。それでこそ、一度は俺を滅ぼした男だ」
魔王「俺が貴様を屈服させるのが先か。貴様が俺を喰い殺すのが先か」
魔王「……………………」
魔王「……この俺を、内側から喰らうつもりか」
魔王「クッ、面白い。それでこそ、一度は俺を滅ぼした男だ」
魔王「俺が貴様を屈服させるのが先か。貴様が俺を喰い殺すのが先か」
魔王「……………………」
191: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:11:49.661 ID:9TRm8/810USO
中級悪魔「魔王様っ!」
魔王「………………」
中級悪魔「…………あ…………し、失礼しました!」
魔王「…………話せ」
中級悪魔「は、はっ!」
中級悪魔「呪術師様が、城に侵入した女騎士と、例の欠陥品に敗れました!」
魔王「………………そうか」
魔王「死んだか、呪術師……」
中級悪魔「同時に、侵入した武闘家と狼男様が戦闘! 戦闘中に城外へ行き、以降どちらも城へ戻りません! 時を見るに、相討ちとなったことが予想されます!」
中級悪魔「女騎士は現在、さらに城内を侵攻中! 城内の兵はまるで役に立たず、次々と城を攻略されているようです!」
魔王「…………………………」
魔王「………………」
中級悪魔「…………あ…………し、失礼しました!」
魔王「…………話せ」
中級悪魔「は、はっ!」
中級悪魔「呪術師様が、城に侵入した女騎士と、例の欠陥品に敗れました!」
魔王「………………そうか」
魔王「死んだか、呪術師……」
中級悪魔「同時に、侵入した武闘家と狼男様が戦闘! 戦闘中に城外へ行き、以降どちらも城へ戻りません! 時を見るに、相討ちとなったことが予想されます!」
中級悪魔「女騎士は現在、さらに城内を侵攻中! 城内の兵はまるで役に立たず、次々と城を攻略されているようです!」
魔王「…………………………」
192: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:12:56.488 ID:9TRm8/810USO
魔王「今この城に、あの女の進行を止められる者は居まい」
魔王「俺が出る。玉座へ向かおう」
中級悪魔「……は、はっ! しかし、魔王様、お体は………………がっ!?」
ジャキッ
魔王「出過ぎた真似をするな、中級悪魔」
魔王「貴様の仕事は俺に意見をすることか?」
中級悪魔「……あ…………い、いいえ!」
魔王「わかっているのなら持ち場に戻れ。これ以上、俺を煩わせるな」
中級悪魔「……はっ! 失礼しました!」
魔王「……………………」
魔王「俺が出る。玉座へ向かおう」
中級悪魔「……は、はっ! しかし、魔王様、お体は………………がっ!?」
ジャキッ
魔王「出過ぎた真似をするな、中級悪魔」
魔王「貴様の仕事は俺に意見をすることか?」
中級悪魔「……あ…………い、いいえ!」
魔王「わかっているのなら持ち場に戻れ。これ以上、俺を煩わせるな」
中級悪魔「……はっ! 失礼しました!」
魔王「……………………」
194: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:28:27.150 ID:9TRm8/810USO
コツ、コツ…
魔王「ここで俺が倒れれば、この軍も終わりだな」
魔王「三度目の立て直しは効かないだろう」
コツ、コツ…
魔王「女騎士。強き者ではあったが、まさか女神の神器を携えここまでやるようになるとはな」
魔王「この俺が、ここまで追い詰めらるとは」
魔王「ここで俺が倒れれば、この軍も終わりだな」
魔王「三度目の立て直しは効かないだろう」
コツ、コツ…
魔王「女騎士。強き者ではあったが、まさか女神の神器を携えここまでやるようになるとはな」
魔王「この俺が、ここまで追い詰めらるとは」
195: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:29:26.784 ID:9TRm8/810USO
コツ、コツ…
魔王「だが、負けるつもりは毛頭無い」
魔王「こちらにも積み上げて来た物。そしてこれから積み上げて行く物がある」
魔王「………………」
カチャ…
バン!
魔王「……………………」
女騎士「……………………」
魔王「……良い面構えになった」
魔王「貴様らにも背負う物はあるのだろうが、それはこちらとて同じことだ」
魔王「倒すぞ。お前を」
女騎士「……………………」
魔王「だが、負けるつもりは毛頭無い」
魔王「こちらにも積み上げて来た物。そしてこれから積み上げて行く物がある」
魔王「………………」
カチャ…
バン!
魔王「……………………」
女騎士「……………………」
魔王「……良い面構えになった」
魔王「貴様らにも背負う物はあるのだろうが、それはこちらとて同じことだ」
魔王「倒すぞ。お前を」
女騎士「……………………」
196: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:30:46.733 ID:9TRm8/810USO
女騎士「……………………」
女騎士「多くを語るつもりはありません」
女騎士「あなたたちの所業を、止めに来ました」
女騎士「親を失う子がいた。子を失う親がいた」
女騎士「それを間違っていると、それを止めようと願った子がいた」
女騎士「わたしは、それに応えるためここに来ました」
女騎士「その体を……勇者さまを返してもらいます」
女騎士「この槍で、あなたを再び討ち滅ぼしましょう」
女騎士「多くを語るつもりはありません」
女騎士「あなたたちの所業を、止めに来ました」
女騎士「親を失う子がいた。子を失う親がいた」
女騎士「それを間違っていると、それを止めようと願った子がいた」
女騎士「わたしは、それに応えるためここに来ました」
女騎士「その体を……勇者さまを返してもらいます」
女騎士「この槍で、あなたを再び討ち滅ぼしましょう」
198: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:47:51.447 ID:9TRm8/810USO
カッ!
ズドォォォン!
魔法使い「はぁ、はぁ……!!」
魔法使い「魔力不足になりかけるだなんて、いつ以来かしら……!」フラッ…
戦士「魔法使い!!」
魔将軍「余所見をする暇があるか!」
ギィン!
戦士「くっ……このっ!」
ガキィン!
ズドォォォン!
魔法使い「はぁ、はぁ……!!」
魔法使い「魔力不足になりかけるだなんて、いつ以来かしら……!」フラッ…
戦士「魔法使い!!」
魔将軍「余所見をする暇があるか!」
ギィン!
戦士「くっ……このっ!」
ガキィン!
199: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:49:40.045 ID:9TRm8/810USO
僧侶「……………………」
シュゥゥゥゥゥ……
騎士A「……うっ。傷が……大分楽になりました。これでまた動けそうです」
僧侶「はぁ、はぁ……次の方、来てください……」
僧侶「………………あっ」フラッ…
騎士B「僧侶殿!」
僧侶「も、問題ありません。続きを……」
騎士B「いけません。あなたは少し休んでください。この場は救護隊の面々でなんとかしましょう」
僧侶「そのような訳にはいきません。まだ皆さん、戦っているのですから」
騎士B「だからこそです。あなたにここで倒れてしまっては、今戦っている者たちが帰って来た時にどうするのです」
僧侶「………………」
僧侶「……少し、休んできます。すぐに戻ります」
シュゥゥゥゥゥ……
騎士A「……うっ。傷が……大分楽になりました。これでまた動けそうです」
僧侶「はぁ、はぁ……次の方、来てください……」
僧侶「………………あっ」フラッ…
騎士B「僧侶殿!」
僧侶「も、問題ありません。続きを……」
騎士B「いけません。あなたは少し休んでください。この場は救護隊の面々でなんとかしましょう」
僧侶「そのような訳にはいきません。まだ皆さん、戦っているのですから」
騎士B「だからこそです。あなたにここで倒れてしまっては、今戦っている者たちが帰って来た時にどうするのです」
僧侶「………………」
僧侶「……少し、休んできます。すぐに戻ります」
200: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:50:28.676 ID:9TRm8/810USO
僧侶「…………ふぅ……」
僧侶「……私、いけませんね、女騎士さんにあれだけ言っておきながら……」
僧侶「……………………」
キィィィン…
僧侶「!」
僧侶「これは……通信石が……」
僧侶「ッ! 武闘家さんから……!」
僧侶「……………………!!」
僧侶「……私、いけませんね、女騎士さんにあれだけ言っておきながら……」
僧侶「……………………」
キィィィン…
僧侶「!」
僧侶「これは……通信石が……」
僧侶「ッ! 武闘家さんから……!」
僧侶「……………………!!」
201: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:55:03.740 ID:9TRm8/810USO
僧侶「大変……! あんな所で倒れていたら、いつ魔物に襲われるとも……!」
僧侶「女騎士さんも、一人で……」
僧侶「戦士さんも魔法使いさんも、通信石を見ている余裕はない……!」
僧侶「私は……私は…………!!」
僧侶「女騎士さんも、一人で……」
僧侶「戦士さんも魔法使いさんも、通信石を見ている余裕はない……!」
僧侶「私は……私は…………!!」
202: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 10:55:42.149 ID:9TRm8/810USO
騎士B「……む、僧侶殿。まだ戻ってくるには早すぎると……」
僧侶「いいえ。私、行かなくてはなりません」
騎士B「……何か、あったようですな」
僧侶「………………」
騎士B「行ってこられよ。ここは我々にお任せください」
僧侶「……すみません、お願いしますっ!」
ダッ!
僧侶「いいえ。私、行かなくてはなりません」
騎士B「……何か、あったようですな」
僧侶「………………」
騎士B「行ってこられよ。ここは我々にお任せください」
僧侶「……すみません、お願いしますっ!」
ダッ!
203: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:01:15.224 ID:9TRm8/810USO
タタタッ…
僧侶「はぁ、はぁ……確か、満月……武闘家さんは屋外に……高い所に居ましたね」
僧侶「廊下に戦闘痕があります……これをたどって行けば……!」
僧侶「……ッ!!」
僧侶「誰かの、助けを呼ぶ声……」
僧侶「戦闘痕からは少し外れますが……」
僧侶「………………」
僧侶「……これを見捨てては、後で武闘家さんに怒られてしまいますね……」
僧侶「待っていてください、すぐに行きますっ……!」
タタタッ…
僧侶「はぁ、はぁ……確か、満月……武闘家さんは屋外に……高い所に居ましたね」
僧侶「廊下に戦闘痕があります……これをたどって行けば……!」
僧侶「……ッ!!」
僧侶「誰かの、助けを呼ぶ声……」
僧侶「戦闘痕からは少し外れますが……」
僧侶「………………」
僧侶「……これを見捨てては、後で武闘家さんに怒られてしまいますね……」
僧侶「待っていてください、すぐに行きますっ……!」
タタタッ…
205: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:14:34.062 ID:9TRm8/810USO
幼馴染「誰かーーーっ!! 助けてくださーーーい!!!」
幼馴染「ここに閉じ込められてるのーーーっ!! 誰かーーーっ!!」
看守悪魔「くっ、目を覚ました途端からうるさい小娘だ……魔王様の言いつけさえなければこんな奴……!」
幼馴染「誰かーーーっ!! ……はぁ、はぁ……」
幼馴染「ねえ、ここで何が起こっているの! 外ではすごい音がするし、振動も……」
幼馴染「教えてよ! 勇者は……勇者は無事なの!? どこにいるの!」
看守悪魔「こいつ……調子に乗りおって!」
ドガッ!
幼馴染「ここに閉じ込められてるのーーーっ!! 誰かーーーっ!!」
看守悪魔「くっ、目を覚ました途端からうるさい小娘だ……魔王様の言いつけさえなければこんな奴……!」
幼馴染「誰かーーーっ!! ……はぁ、はぁ……」
幼馴染「ねえ、ここで何が起こっているの! 外ではすごい音がするし、振動も……」
幼馴染「教えてよ! 勇者は……勇者は無事なの!? どこにいるの!」
看守悪魔「こいつ……調子に乗りおって!」
ドガッ!
207: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:15:38.350 ID:9TRm8/810USO
僧侶「はぁ、はぁ……」
看守悪魔「ぐっ…………」
ドサッ
幼馴染「!!」
幼馴染「あなたは……僧侶さん! 僧侶さんですよねっ!」
僧侶「幼馴染さん……! 捕らえられていたのですかっ!」
僧侶「すぐに解放します、少し待ってくださいっ」
看守悪魔「ぐっ…………」
ドサッ
幼馴染「!!」
幼馴染「あなたは……僧侶さん! 僧侶さんですよねっ!」
僧侶「幼馴染さん……! 捕らえられていたのですかっ!」
僧侶「すぐに解放します、少し待ってくださいっ」
208: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:26:41.759 ID:9TRm8/810USO
カチャッ
ギィィィ…
幼馴染「ありがとうございます、僧侶さん。あの、ここで何が起きてるんですかっ?」
僧侶「……少し、移動しながら説明します。動けますか?」
幼馴染「はい!」
ギィィィ…
幼馴染「ありがとうございます、僧侶さん。あの、ここで何が起きてるんですかっ?」
僧侶「……少し、移動しながら説明します。動けますか?」
幼馴染「はい!」
209: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:27:36.493 ID:9TRm8/810USO
幼馴染「そんな、ことが……!」
幼馴染「勇者……!!」
僧侶「私はこのまま上に行かなければなりませんが……。でも、一度あなたを安全な場所へ……」
幼馴染「……わたしも行きます」
僧侶「……いけません。危険すぎます」
幼馴染「大丈夫です。勇者の師匠から動き方はある程度教わっていますから……戦えないにしても、僧侶さんのお邪魔にはなりません」
幼馴染「だから……お願いしますっ……!」
幼馴染「勇者……!!」
僧侶「私はこのまま上に行かなければなりませんが……。でも、一度あなたを安全な場所へ……」
幼馴染「……わたしも行きます」
僧侶「……いけません。危険すぎます」
幼馴染「大丈夫です。勇者の師匠から動き方はある程度教わっていますから……戦えないにしても、僧侶さんのお邪魔にはなりません」
幼馴染「だから……お願いしますっ……!」
210: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:28:18.095 ID:9TRm8/810USO
僧侶「……………………」
僧侶「……私の判断で、危険と思った時にはすぐに引き返してください。指示には必ず従ってください」
僧侶「……いいですね?」
幼馴染「……はい!」
幼馴染「ありがとうございます、僧侶さん……!」
僧侶「……私の判断で、危険と思った時にはすぐに引き返してください。指示には必ず従ってください」
僧侶「……いいですね?」
幼馴染「……はい!」
幼馴染「ありがとうございます、僧侶さん……!」
211: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:29:02.838 ID:9TRm8/810USO
ガキィン!!
魔王「………………」
女騎士「…………ッ!」
ギィン! ガァン!
ジャキッ! ガキィン!
魔王「………………」
女騎士「…………はぁっ!」
ギャリィィィン!!
魔王「………………」
女騎士「…………ッ!」
ギィン! ガァン!
ジャキッ! ガキィン!
魔王「………………」
女騎士「…………はぁっ!」
ギャリィィィン!!
213: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:29:48.666 ID:9TRm8/810USO
魔王「…………ふん」
女騎士「…………はぁ、はぁ……!」
魔王「どうやら、既に消耗があるらしいな」
魔王「呪術師のことだ。タダでやられた訳ではあるまい」
魔王「だが、強い」
女騎士「………………」
女騎士「…………はぁ、はぁ……!」
魔王「どうやら、既に消耗があるらしいな」
魔王「呪術師のことだ。タダでやられた訳ではあるまい」
魔王「だが、強い」
女騎士「………………」
214: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:31:19.666 ID:9TRm8/810USO
魔王「先ほどとはまるで別人だな」
魔王「何があったか、とは敢えて聞くまい」
魔王「この俺をここまで昂らせる個が、勇者以外にいるとは思わなんだ」
女騎士「……ッ!」
ギィィィン!
魔王「簡単に終わってくれるな」
魔王「王としての俺を、この時ばかりは少し忘れる」
魔王「一人の戦士として、ただこの時を愉しむことを考えよう」
ガキィン!!
魔王「何があったか、とは敢えて聞くまい」
魔王「この俺をここまで昂らせる個が、勇者以外にいるとは思わなんだ」
女騎士「……ッ!」
ギィィィン!
魔王「簡単に終わってくれるな」
魔王「王としての俺を、この時ばかりは少し忘れる」
魔王「一人の戦士として、ただこの時を愉しむことを考えよう」
ガキィン!!
216: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:39:33.539 ID:9TRm8/810USO
タタタッ…
バン!
僧侶「ここは……広間……」
幼馴染「! 僧侶さん、あそこ!」
僧侶「硝子の破片……ここで誰かが戦って、あの窓から外に出たようですね」
僧侶「……武闘家さん……なの……?」
僧侶「幼馴染さん、ここで待っていてください!」
バッ
幼馴染「………………」
バン!
僧侶「ここは……広間……」
幼馴染「! 僧侶さん、あそこ!」
僧侶「硝子の破片……ここで誰かが戦って、あの窓から外に出たようですね」
僧侶「……武闘家さん……なの……?」
僧侶「幼馴染さん、ここで待っていてください!」
バッ
幼馴染「………………」
218: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:44:43.090 ID:9TRm8/810USO
幼馴染「!」
ズズゥゥゥゥゥゥン……
パラパラ…
幼馴染「……………………」
幼馴染「…………………………」
幼馴染「……勇者?」
ズズゥゥゥゥゥゥン……
パラパラ…
幼馴染「……………………」
幼馴染「…………………………」
幼馴染「……勇者?」
219: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 11:45:30.398 ID:9TRm8/810USO
幼馴染「………………」
幼馴染「……………………」
幼馴染「…………………………」
幼馴染「……ごめんなさい、僧侶さん……わたしっ……!」
タタタッ…
幼馴染「……………………」
幼馴染「…………………………」
幼馴染「……ごめんなさい、僧侶さん……わたしっ……!」
タタタッ…
222: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:10:25.671 ID:9TRm8/810
魔王「おおおっ!!」
ガァン!!
女騎士「ッ! …………そこッ!」
ジャッ!
魔王「ぐっ……!」
ズサァ!
女騎士「はぁ、はぁ……!」
女騎士(身体のダメージは、わたしの方が上……)
女騎士(でも、見える……!)
女騎士(庭園で与えた魂のダメージはまだ回復していません……)
女騎士(先ほどの掠るような攻撃でも、この槍の一撃なら、魔王にだって通っているはずです……!)
ガァン!!
女騎士「ッ! …………そこッ!」
ジャッ!
魔王「ぐっ……!」
ズサァ!
女騎士「はぁ、はぁ……!」
女騎士(身体のダメージは、わたしの方が上……)
女騎士(でも、見える……!)
女騎士(庭園で与えた魂のダメージはまだ回復していません……)
女騎士(先ほどの掠るような攻撃でも、この槍の一撃なら、魔王にだって通っているはずです……!)
223: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:10:54.856 ID:9TRm8/810
魔王「……………………」
ブワッ!
女騎士「!!」
女騎士「魔王の剣に……魔力が……!」
ブワッ!
女騎士「!!」
女騎士「魔王の剣に……魔力が……!」
224: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:11:38.696 ID:9TRm8/810
魔王「……先ほどの庭園の一撃と同じと思うなよ。あれは挨拶だ」
女騎士「…………!!」
魔王「貴様も、構えろ」
魔王「先の、守るための一撃ではなく、この俺を滅ぼすだけの一撃を、叩き込んで来い」
魔王「捩じ伏せてやる」
女騎士「………………」
ジャキッ!
女騎士「…………!!」
魔王「貴様も、構えろ」
魔王「先の、守るための一撃ではなく、この俺を滅ぼすだけの一撃を、叩き込んで来い」
魔王「捩じ伏せてやる」
女騎士「………………」
ジャキッ!
225: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:12:26.239 ID:9TRm8/810
魔王「……………………」
女騎士「……………………」
魔王「…………………………」
女騎士「…………………………ッ!」
カッ!!
ゴバッッッ!!!!!!
女騎士「……………………」
魔王「…………………………」
女騎士「…………………………ッ!」
カッ!!
ゴバッッッ!!!!!!
226: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:13:15.405 ID:9TRm8/810
バン!
幼馴染「…………ここは……」
幼馴染「!」
幼馴染「誰か倒れてるっ……!」
幼馴染「………………」
幼馴染「……白い、きれいな男の子……」
幼馴染「角が生えてる……魔物……?」
幼馴染「……………………」
幼馴染「……いえ、でも……魔物……それにしては……」
幼馴染「とても、優しい顔をしている……」
幼馴染「…………………………」
幼馴染「…………ここは……」
幼馴染「!」
幼馴染「誰か倒れてるっ……!」
幼馴染「………………」
幼馴染「……白い、きれいな男の子……」
幼馴染「角が生えてる……魔物……?」
幼馴染「……………………」
幼馴染「……いえ、でも……魔物……それにしては……」
幼馴染「とても、優しい顔をしている……」
幼馴染「…………………………」
227: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:14:19.476 ID:9TRm8/810
……ガァン…………ギィン……
幼馴染「!」
幼馴染「この音は……」
幼馴染「誰かが、戦っている……!」
……ズドォォォォォォォン!!!
幼馴染「ッ!」
幼馴染「……勇者!」
幼馴染「!」
幼馴染「この音は……」
幼馴染「誰かが、戦っている……!」
……ズドォォォォォォォン!!!
幼馴染「ッ!」
幼馴染「……勇者!」
228: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:28:36.998 ID:9TRm8/810
女騎士「………………」
魔王「………………」
女騎士「……………………」
魔王「……………………」
魔王「……ガフッ!」
ビチャビチャッ…
女騎士「…………………………」
魔王「………………」
女騎士「……………………」
魔王「……………………」
魔王「……ガフッ!」
ビチャビチャッ…
女騎士「…………………………」
229: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:29:06.289 ID:9TRm8/810
魔王「はぁ、はぁ……!」
女騎士「………………」
魔王「……ここまでの俺の全力を、正面から受け止めたのは、お前が初めてだ」
女騎士「……………………」
魔王「見事な一撃だった」
女騎士「………………」
魔王「……ここまでの俺の全力を、正面から受け止めたのは、お前が初めてだ」
女騎士「……………………」
魔王「見事な一撃だった」
230: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:30:00.285 ID:9TRm8/810
魔王「………………」
女騎士「………………」
魔王「お前という騎士の名を、覚えておこう」
女騎士「………………」
魔王「俺の、勝ちだ……」
女騎士「………………」
魔王「お前という騎士の名を、覚えておこう」
女騎士「………………」
魔王「俺の、勝ちだ……」
231: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:34:34.216 ID:9TRm8/810
魔王「…………ぐっ……!」
魔王「傷は、深い。また癒える時を待たねばな」
魔王「だが、その時こそ……」
バァン!!
魔王「……………………」
幼馴染「………………あ……」
魔王「傷は、深い。また癒える時を待たねばな」
魔王「だが、その時こそ……」
バァン!!
魔王「……………………」
幼馴染「………………あ……」
232: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:35:32.613 ID:9TRm8/810
魔王「………………」
幼馴染「…………勇、者……?」
幼馴染「その、眼の色……」
幼馴染「!!」
幼馴染「お、女騎士さんっ!!」
幼馴染「大変っ……! こんなに血が……!!」
幼馴染「僧侶さん程じゃないけど、わたしの治癒で……!」
魔王「……………………」
幼馴染「…………勇、者……?」
幼馴染「その、眼の色……」
幼馴染「!!」
幼馴染「お、女騎士さんっ!!」
幼馴染「大変っ……! こんなに血が……!!」
幼馴染「僧侶さん程じゃないけど、わたしの治癒で……!」
魔王「……………………」
233: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:36:13.725 ID:9TRm8/810
シュゥゥゥゥゥ……
幼馴染「はぁ、はぁ……!!」
幼馴染「はぁ、はぁ……!!」
幼馴染「……な、何やってるの、勇者! あなた、そんな所で突っ立って……」
幼馴染「あなたも、何かを……女騎士さんがっ!」
魔王「………………」
幼馴染「はぁ、はぁ……!!」
幼馴染「はぁ、はぁ……!!」
幼馴染「……な、何やってるの、勇者! あなた、そんな所で突っ立って……」
幼馴染「あなたも、何かを……女騎士さんがっ!」
魔王「………………」
234: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:36:36.679 ID:9TRm8/810
コツ、コツ…
魔王「………………」
幼馴染「はぁ、はぁ!」
コツ、コツ…
魔王「………………」
幼馴染「はぁ……! はぁ……!!」 👀
魔王「………………」
幼馴染「はぁ、はぁ!」
コツ、コツ…
魔王「………………」
幼馴染「はぁ……! はぁ……!!」 👀
235: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:37:34.688 ID:9TRm8/810
コツ、コツ…
魔王「………………」
魔王「……お前を殺せば、この魂の叫びも……」
魔王「消えて無くなるだろうか」
幼馴染「はぁ……! はぁ……! 何を、言って……!?」
魔王「死んでくれ」
ドシュッ!
魔王「………………」
魔王「……お前を殺せば、この魂の叫びも……」
魔王「消えて無くなるだろうか」
幼馴染「はぁ……! はぁ……! 何を、言って……!?」
魔王「死んでくれ」
ドシュッ!
237: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:39:56.341 ID:9TRm8/810
ポタポタ……
魔王「………………」
魔王「……………………」
魔王「…………………………」
魔王「………………………………」
魔王「………………女、騎士……!!」
ギリッ!
女騎士「はぁ……! はぁ……!」
魔王「………………」
魔王「……………………」
魔王「…………………………」
魔王「………………………………」
魔王「………………女、騎士……!!」
ギリッ!
女騎士「はぁ……! はぁ……!」
238: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:40:33.016 ID:9TRm8/810
女騎士「……もう、誰かを……目の前で失うのは……」
女騎士「嫌なんです……!」
女騎士「これで……!!」
女騎士「これで………………!!」
女騎士「倒れてっ!!!」
カッ!!
女騎士「嫌なんです……!」
女騎士「これで……!!」
女騎士「これで………………!!」
女騎士「倒れてっ!!!」
カッ!!
239: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 12:47:58.453 ID:9TRm8/810
シュゥゥゥゥゥ……
女騎士「はぁ……! はぁ……!」ギリッ…!
魔王「……………………」
女騎士「はぁ……! はぁ……!」ギリギリッ…!
魔王「……………………」
女騎士「はぁ……! はぁ……!!」ギリギリッ…!
魔王「……もう良い」
魔王「核を壊された。俺の魂は時期に消滅するだろう」
女騎士「はぁ……! はぁ……!!」ギリギリギリギリッ…!
魔王「……これ以上、お前の仲間の身体を傷つけるのは、やめておけ」スッ
ズズ…
カラァン……
女騎士「はぁ……! はぁ……!」ギリッ…!
魔王「……………………」
女騎士「はぁ……! はぁ……!」ギリギリッ…!
魔王「……………………」
女騎士「はぁ……! はぁ……!!」ギリギリッ…!
魔王「……もう良い」
魔王「核を壊された。俺の魂は時期に消滅するだろう」
女騎士「はぁ……! はぁ……!!」ギリギリギリギリッ…!
魔王「……これ以上、お前の仲間の身体を傷つけるのは、やめておけ」スッ
ズズ…
カラァン……
241: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 13:00:01.618 ID:9TRm8/810
魔王「敗因は幾通りも挙げられるが……言うまい」
魔王「良き、戦いであった」
魔王「…………女」
幼馴染「…………あっ……」
魔王「勇者はまだ生きている」
魔王「この身体も、俺の魂が消滅すれば勇者のもとに戻ることだろう」
魔王「貴様を視界に入れてからというもの、疼いて仕方がない。しぶとい奴よ」
魔王「結局、こちらでも。屈服させるには至らなかったか」
魔王「俺の……負け、だ……」
ドサッ
魔王「良き、戦いであった」
魔王「…………女」
幼馴染「…………あっ……」
魔王「勇者はまだ生きている」
魔王「この身体も、俺の魂が消滅すれば勇者のもとに戻ることだろう」
魔王「貴様を視界に入れてからというもの、疼いて仕方がない。しぶとい奴よ」
魔王「結局、こちらでも。屈服させるには至らなかったか」
魔王「俺の……負け、だ……」
ドサッ
242: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 13:04:51.556 ID:9TRm8/810
幼馴染「ゆ、勇者っ!!」
ガバッ
勇者「……………………」
スゥ…
幼馴染「……生きてる……生きてる……!」
幼馴染「良かった……! 勇者……!!」
幼馴染「良かったよぉ……!」
ガバッ
勇者「……………………」
スゥ…
幼馴染「……生きてる……生きてる……!」
幼馴染「良かった……! 勇者……!!」
幼馴染「良かったよぉ……!」
243: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 13:05:24.094 ID:9TRm8/810
女騎士「………………」フラッ…
幼馴染「!!」
幼馴染「女騎士さんっ!!」
幼馴染「傷は……女騎士さんの方が深い……!」
幼馴染「わたしの、治癒を……!」
幼馴染「!!」
幼馴染「女騎士さんっ!!」
幼馴染「傷は……女騎士さんの方が深い……!」
幼馴染「わたしの、治癒を……!」
244: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 13:07:58.326 ID:9TRm8/810
シュゥゥゥゥゥ……
女騎士「…………うぅ……」
幼馴染「! 良かった……目を、覚ました……」
女騎士「……幼馴染さん……魔王は……勇者さまは……?」
幼馴染「魔王は勇者の体から出て行ったみたい……勇者も無事よ」
幼馴染「みんな、生きてる……!」
女騎士「……………………」
女騎士「…………うぅ……」
幼馴染「! 良かった……目を、覚ました……」
女騎士「……幼馴染さん……魔王は……勇者さまは……?」
幼馴染「魔王は勇者の体から出て行ったみたい……勇者も無事よ」
幼馴染「みんな、生きてる……!」
女騎士「……………………」
245: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 13:24:59.251 ID:9TRm8/810
シュゥゥゥゥゥ……
女騎士「幼馴染さん……治癒は、もういいです」
幼馴染「で、でも、まだ……」
女騎士「あなたのおかげで、歩けるくらいには回復しました……」
女騎士「ここから……出ましょう」
女騎士「勇者さまはまだ目を覚ましていませんが、お願いできますか?」
幼馴染「……はいっ!」
女騎士「幼馴染さん……治癒は、もういいです」
幼馴染「で、でも、まだ……」
女騎士「あなたのおかげで、歩けるくらいには回復しました……」
女騎士「ここから……出ましょう」
女騎士「勇者さまはまだ目を覚ましていませんが、お願いできますか?」
幼馴染「……はいっ!」
246: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 13:25:54.062 ID:9TRm8/810
女騎士「…………くっ……」フラッ…
幼馴染「! 女騎士さん、やっぱりまだ傷が……」
女騎士「はやく、帰らなきゃ……」
女騎士「魔王を倒したこと……勇者さまのご無事を、はやく伝えなきゃ……」
幼馴染「……………………」
幼馴染「女騎士さんっ、僧侶さんもこちらに向かっているはずです。わたし、先に合流しに行きます!」
幼馴染「合流したら一緒に戻ってくるので、僧侶さんの治癒を受けてください!」
女騎士「…………お願い、します……」
タタタッ…
幼馴染「! 女騎士さん、やっぱりまだ傷が……」
女騎士「はやく、帰らなきゃ……」
女騎士「魔王を倒したこと……勇者さまのご無事を、はやく伝えなきゃ……」
幼馴染「……………………」
幼馴染「女騎士さんっ、僧侶さんもこちらに向かっているはずです。わたし、先に合流しに行きます!」
幼馴染「合流したら一緒に戻ってくるので、僧侶さんの治癒を受けてください!」
女騎士「…………お願い、します……」
タタタッ…
247: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 13:26:16.559 ID:9TRm8/810
女騎士「……これで、終わるのですね」
女騎士「ようやく、すべてが……」
女騎士「盗賊さんにも、なんて報告しましょう……」
女騎士「……あの子は……武闘家さんにお願いして……連れていってあげなくちゃいけませんね……」
女騎士「……外で戦っているみなさんは……無事でしょうか……」
女騎士「魔法使いさん……無理をしていなければいいのですが……」
女騎士「……はやく……戻らなくちゃ……はやく……」
女騎士「ようやく、すべてが……」
女騎士「盗賊さんにも、なんて報告しましょう……」
女騎士「……あの子は……武闘家さんにお願いして……連れていってあげなくちゃいけませんね……」
女騎士「……外で戦っているみなさんは……無事でしょうか……」
女騎士「魔法使いさん……無理をしていなければいいのですが……」
女騎士「……はやく……戻らなくちゃ……はやく……」
248: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 13:27:21.105 ID:9TRm8/810
女騎士「……………………」
女騎士「…………この先に、あの子がいますね」
女騎士「…………………………」
……ドンッ!
女騎士「ッ!」
ドサッ…
女騎士「…………この先に、あの子がいますね」
女騎士「…………………………」
……ドンッ!
女騎士「ッ!」
ドサッ…
249: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 13:28:30.359 ID:9TRm8/810
女騎士「ぐ…………」
女騎士(魔力弾……これは……)
魔王の娘「よくも……」
魔王の娘「よくも、父上を滅ぼしてくれたな」
魔王の娘「一度ならず、二度までも……!!」
女騎士「………………」
魔王の娘「魂を殺す聖槍……もう、父上に三度目はないだろう……」
魔王の娘「女騎士、貴様だけは絶対に許さん……」
女騎士「………………」
魔王の娘「妾の父上を殺して、貴様だけが生きて帰れると思うなァ!!!」
女騎士(魔力弾……これは……)
魔王の娘「よくも……」
魔王の娘「よくも、父上を滅ぼしてくれたな」
魔王の娘「一度ならず、二度までも……!!」
女騎士「………………」
魔王の娘「魂を殺す聖槍……もう、父上に三度目はないだろう……」
魔王の娘「女騎士、貴様だけは絶対に許さん……」
女騎士「………………」
魔王の娘「妾の父上を殺して、貴様だけが生きて帰れると思うなァ!!!」
250: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 13:28:48.605 ID:9TRm8/810
女騎士「……わたしは、帰るんです。みんなのもとに、帰らなくちゃ……」ガシッ…
グググ…!
女騎士「…………どいて、ください……ッ!!!」
ダッ!
グググ…!
女騎士「…………どいて、ください……ッ!!!」
ダッ!
258: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 14:41:10.116 ID:9TRm8/810
バン!
幼馴染「女騎士さんっ!」
僧侶「!! 倒れて……ッ!!」
ガバッ!
僧侶「………………」
僧侶「……生きています、いま治癒を掛けます!」
幼馴染「女騎士さんっ!」
僧侶「!! 倒れて……ッ!!」
ガバッ!
僧侶「………………」
僧侶「……生きています、いま治癒を掛けます!」
259: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 14:41:49.625 ID:9TRm8/810
シュゥゥゥゥゥ……
幼馴染「! そこにも、倒れている女の人が……これは、魔族……?」
武闘家「……どことなく、元の魔王に似た面影があるな」
幼馴染「………………」
幼馴染「! そこにも、倒れている女の人が……これは、魔族……?」
武闘家「……どことなく、元の魔王に似た面影があるな」
幼馴染「………………」
260: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 14:42:58.492 ID:9TRm8/810
ギャリィン!!
魔将軍「はぁ……! はぁ……!」
戦士「……チィッ! しぶとい野郎だ」
魔将軍「………………」
バァン!!
魔将軍「!!」
戦士「城門から……ありゃあ、僧侶、武闘家、女騎士に…………ッ!!」
魔法使い「魔王……いえ、あれは……!」
魔将軍「はぁ……! はぁ……!」
戦士「……チィッ! しぶとい野郎だ」
魔将軍「………………」
バァン!!
魔将軍「!!」
戦士「城門から……ありゃあ、僧侶、武闘家、女騎士に…………ッ!!」
魔法使い「魔王……いえ、あれは……!」
261: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 14:43:48.372 ID:9TRm8/810
騎士団長「!! ……勇者殿……!!」
騎士「つ、つまり……!」
騎士団長「皆ァ!! 英雄達の手により、魔王を討ち取ったぞぉ!!」
ウオオオオオオオオ!!!!
騎士「つ、つまり……!」
騎士団長「皆ァ!! 英雄達の手により、魔王を討ち取ったぞぉ!!」
ウオオオオオオオオ!!!!
262: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 14:45:27.246 ID:9TRm8/810
魔将軍「………………」
戦士「……ここでやめるか? ……って聞くのも野暮な話だな」
魔将軍「……………………」
チャキッ…
戦士「…………いいぜ」
戦士「後で化けて出てこないように、ここでしっかり叩き斬っておいてやるよ」
ジャキッ
戦士「……ここでやめるか? ……って聞くのも野暮な話だな」
魔将軍「……………………」
チャキッ…
戦士「…………いいぜ」
戦士「後で化けて出てこないように、ここでしっかり叩き斬っておいてやるよ」
ジャキッ
263: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 14:45:58.611 ID:9TRm8/810
戦士「………………」
魔将軍「………………」
戦士「……………………」
魔将軍「……………………ッ!!」
魔将軍「…………おおおっ!!!」
戦士「……ッ!!」
ザンッ!
魔将軍「………………」
戦士「……………………」
魔将軍「……………………ッ!!」
魔将軍「…………おおおっ!!!」
戦士「……ッ!!」
ザンッ!
265: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 14:58:21.480 ID:9TRm8/810
魔法使い「………………」パリパリッ…
ピシャァァァン!!
魔物「ギィィィ……!」
魔法使い「……これで、城に残った魔物も殆ど全滅ね」
魔法使い「………………」
ゴゴゴゴゴゴ……!!
魔法使い「!!」
魔法使い「……城が、落ちている……」
魔法使い「城主か、ここを維持していた誰かが倒れたのね」
ピシャァァァン!!
魔物「ギィィィ……!」
魔法使い「……これで、城に残った魔物も殆ど全滅ね」
魔法使い「………………」
ゴゴゴゴゴゴ……!!
魔法使い「!!」
魔法使い「……城が、落ちている……」
魔法使い「城主か、ここを維持していた誰かが倒れたのね」
266: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 15:05:46.829 ID:9TRm8/810
騎士団長「皆!! 勝鬨を上げるのは後だ! 急ぎ舟に乗り込め!!」
騎士団長「大破した舟に乗っていた者達は均等に分かれ、残りの二隻に乗り込むように!!」
騎士団長「大破した舟に乗っていた者達は均等に分かれ、残りの二隻に乗り込むように!!」
267: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 15:07:16.252 ID:9TRm8/810
ビュゥゥゥゥゥ……
戦士「……城、崩れていくな。この下に町とかねえだろうな」
武闘家「案ずるな。この辺りに人里はない」
魔法使い「後の瓦礫の撤去が大変そうだけれどね」
戦士「勇者と、女騎士は」
魔法使い「中で僧侶が診ているわ。命に別状はないそうよ」
戦士「そりゃあ……良かったな」
戦士「………………」
武闘家「……あの少年は、もう僧侶の手でも間に合わなかったそうだ」
武闘家「身体中の血を殆ど失ってしまっている。……一体、どんな戦い方をすればああなるのか」
魔法使い「………………」
戦士「………………」
戦士「……城、崩れていくな。この下に町とかねえだろうな」
武闘家「案ずるな。この辺りに人里はない」
魔法使い「後の瓦礫の撤去が大変そうだけれどね」
戦士「勇者と、女騎士は」
魔法使い「中で僧侶が診ているわ。命に別状はないそうよ」
戦士「そりゃあ……良かったな」
戦士「………………」
武闘家「……あの少年は、もう僧侶の手でも間に合わなかったそうだ」
武闘家「身体中の血を殆ど失ってしまっている。……一体、どんな戦い方をすればああなるのか」
魔法使い「………………」
戦士「………………」
268: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 15:17:30.850 ID:9TRm8/810
騎士団長「皆!! よくぞ生き残った!!」
騎士団長「苦しい戦いだった!! 失くしたものも、ある!!」
騎士団長「だが、魔王は再び打倒された!!」
騎士団長「完膚なきまでに撃破された!! もう二度と復活することはないだろう!!」
騎士団長「魔王の陰に怯え、民が眠れる夜を過ごすことも無くなるだろう!!」
騎士団長「諸君のおかげだ!!」
騎士団長「胸を張って凱旋しよう!!」
騎士団長「我々の、勝利である!!」
騎士団長「苦しい戦いだった!! 失くしたものも、ある!!」
騎士団長「だが、魔王は再び打倒された!!」
騎士団長「完膚なきまでに撃破された!! もう二度と復活することはないだろう!!」
騎士団長「魔王の陰に怯え、民が眠れる夜を過ごすことも無くなるだろう!!」
騎士団長「諸君のおかげだ!!」
騎士団長「胸を張って凱旋しよう!!」
騎士団長「我々の、勝利である!!」
269: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 15:21:12.878 ID:9TRm8/810
あとはエピローグ的なのをやって終わりです
274: 締めでミスるとか…ほんと…もう… 2018/04/01(日) 15:31:09.657 ID:9TRm8/810
騎士団長「皆!! よくぞ生き残った!!」
騎士団長「苦しい戦いだった!! 失くしたものも、ある!!」
騎士団長「だが、魔王は再び打倒された!!」
騎士団長「完膚なきまでに撃破された!! もう二度と復活することはないだろう!!」
騎士団長「魔王の陰に怯え、民が眠れぬ夜を過ごすことも無くなるだろう!!」
騎士団長「諸君のおかげだ!!」
騎士団長「胸を張って凱旋しよう!!」
騎士団長「我々の、勝利である!!」
騎士団長「苦しい戦いだった!! 失くしたものも、ある!!」
騎士団長「だが、魔王は再び打倒された!!」
騎士団長「完膚なきまでに撃破された!! もう二度と復活することはないだろう!!」
騎士団長「魔王の陰に怯え、民が眠れぬ夜を過ごすことも無くなるだろう!!」
騎士団長「諸君のおかげだ!!」
騎士団長「胸を張って凱旋しよう!!」
騎士団長「我々の、勝利である!!」
281: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 16:16:07.480 ID:9TRm8/810
女騎士「あれから、数ヶ月の時が経ちました」
女騎士「魔王軍による大規模侵攻……王都に残された傷痕はとても大きいものでした」
女騎士「新たな王の即位に、壊された建物等の修繕……」
女騎士「復興は進んでいますが、落ち着くにはまだまだ時間がかかりそうです」
女騎士「魔王軍による大規模侵攻……王都に残された傷痕はとても大きいものでした」
女騎士「新たな王の即位に、壊された建物等の修繕……」
女騎士「復興は進んでいますが、落ち着くにはまだまだ時間がかかりそうです」
282: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 16:16:28.513 ID:9TRm8/810
女騎士「戦士さんと魔法使いさんは、復興にひと段落がつくとまた故郷に戻りました」
女騎士「魔法使いさんからこの前いただいたお手紙では、お腹も大分大きくなり、出産も近いようです」
女騎士「わたしも是非、立ち会いたいのですが……遠いですからね。間に合うと良いのですが」
女騎士「行くときにはまた、あの村人さんの舟に乗せてもらおうと思います」
女騎士「元気にしているといいのですが」
女騎士「魔法使いさんからこの前いただいたお手紙では、お腹も大分大きくなり、出産も近いようです」
女騎士「わたしも是非、立ち会いたいのですが……遠いですからね。間に合うと良いのですが」
女騎士「行くときにはまた、あの村人さんの舟に乗せてもらおうと思います」
女騎士「元気にしているといいのですが」
283: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 16:17:11.932 ID:9TRm8/810
女騎士「武闘家さんと僧侶さんは、今はまだ王都に身を留めています」
女騎士「大規模侵攻による人々の怪我や、心のけあをしているそうです」
女騎士「直に、また旅立つとのことですが……」
女騎士「そろそろ身を落ち着ける場所を決めた方が良いのでは、と。戦士さんや魔法使いさんを見ていると思います」
女騎士「大規模侵攻による人々の怪我や、心のけあをしているそうです」
女騎士「直に、また旅立つとのことですが……」
女騎士「そろそろ身を落ち着ける場所を決めた方が良いのでは、と。戦士さんや魔法使いさんを見ていると思います」
284: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 16:18:28.322 ID:9TRm8/810
女騎士「勇者さまと幼馴染さんは、故郷に戻り療養しています」
女騎士「……目覚めたときの勇者さまの荒れっぷりはすごかったですね」
女騎士「幼馴染さんのびんたですぐに落ち着いたみたいですが」
女騎士「……難しいお話ですよね」
女騎士「わたしとしては、早くまた元気な勇者さまに戻ってもらいたいと思います」
女騎士「幼馴染さんがいれば、大丈夫でしょう」
女騎士「あまり心配はいらないかもしれないですね」
女騎士「案外、もうすぐ近くに来ていたりするかもしれません」
女騎士「……目覚めたときの勇者さまの荒れっぷりはすごかったですね」
女騎士「幼馴染さんのびんたですぐに落ち着いたみたいですが」
女騎士「……難しいお話ですよね」
女騎士「わたしとしては、早くまた元気な勇者さまに戻ってもらいたいと思います」
女騎士「幼馴染さんがいれば、大丈夫でしょう」
女騎士「あまり心配はいらないかもしれないですね」
女騎士「案外、もうすぐ近くに来ていたりするかもしれません」
285: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 16:19:09.030 ID:9TRm8/810
王都
ワイワイガヤガヤ…
盗賊「………………」
勇者「…………よう」
盗賊「……なんだよ、珍しいな。王都にいるなんて」
勇者「野暮用でな。少し話さないか?」
盗賊「幼馴染のねーちゃんはいいのかよ」
勇者「あいつは今、僧侶の所だよ。なんか長くなりそうだし、出てきた」
盗賊「そうかい」
ワイワイガヤガヤ…
盗賊「………………」
勇者「…………よう」
盗賊「……なんだよ、珍しいな。王都にいるなんて」
勇者「野暮用でな。少し話さないか?」
盗賊「幼馴染のねーちゃんはいいのかよ」
勇者「あいつは今、僧侶の所だよ。なんか長くなりそうだし、出てきた」
盗賊「そうかい」
286: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 16:19:52.909 ID:9TRm8/810
勇者「……なぁ」
盗賊「なんだよ」
勇者「………………お友達からよろしくお願いします」
盗賊「ぶっ!!」
盗賊「……てめえ……!」
勇者「ククッ……生真面目なあいつらしいな」
盗賊「……ちっ、魔王の野郎に乗っ取られてから性格までひん曲がっちまったのかい」
勇者「まあ、そんなに怒るなよ」
盗賊「ケッ」
勇者「悪かったって。あいつも、実は満更でもないんじゃないか?」
盗賊「どうだかな」
盗賊「なんだよ」
勇者「………………お友達からよろしくお願いします」
盗賊「ぶっ!!」
盗賊「……てめえ……!」
勇者「ククッ……生真面目なあいつらしいな」
盗賊「……ちっ、魔王の野郎に乗っ取られてから性格までひん曲がっちまったのかい」
勇者「まあ、そんなに怒るなよ」
盗賊「ケッ」
勇者「悪かったって。あいつも、実は満更でもないんじゃないか?」
盗賊「どうだかな」
287: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 16:20:11.728 ID:9TRm8/810
勇者「で、女騎士は? あいつの所にも寄ろうと思うんだが」
盗賊「……今はやめとけ」
勇者「?」
盗賊「墓参りだとよ」
勇者「………………そうか」
盗賊「……………………」
盗賊「……今はやめとけ」
勇者「?」
盗賊「墓参りだとよ」
勇者「………………そうか」
盗賊「……………………」
288: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 16:20:51.427 ID:9TRm8/810
盗賊「帰ってきた時の落ち込みっぷりったらねえぜ」
盗賊「表面ばっか取り繕いやがって……見てらんなかったよ」
勇者「でも、よく見てるじゃないか」
盗賊「……………………」
勇者「応援してるぜ、親友」
盗賊「……せめて、悪友にしとけ」
盗賊「表面ばっか取り繕いやがって……見てらんなかったよ」
勇者「でも、よく見てるじゃないか」
盗賊「……………………」
勇者「応援してるぜ、親友」
盗賊「……せめて、悪友にしとけ」
289: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 16:22:17.294 ID:9TRm8/810
女騎士「………………」
女騎士「……なんだか、あなたもよく知らない人のことの話までしてしまいましたね」
女騎士「……………………」
女騎士「……そろそろ、行かなきゃ」
女騎士「わたしも、復興のお手伝いがあるのです」
女騎士「これでも、頼りにされているんですよ?」
女騎士「また、来ますね」
女騎士「馬刺し、焼き鳥……」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「あらためてですが、これからもよろしくお願いしますね」
女騎士「では、行きましょう」
女騎士「……なんだか、あなたもよく知らない人のことの話までしてしまいましたね」
女騎士「……………………」
女騎士「……そろそろ、行かなきゃ」
女騎士「わたしも、復興のお手伝いがあるのです」
女騎士「これでも、頼りにされているんですよ?」
女騎士「また、来ますね」
女騎士「馬刺し、焼き鳥……」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「あらためてですが、これからもよろしくお願いしますね」
女騎士「では、行きましょう」
290: VIPがお送りします 2018/04/01(日) 16:22:36.500 ID:9TRm8/810
終わり