勇者「とうとう辿り着いたぞ!」魔王「なんだこの幼女は」
1: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:11:33 ID:mcWhYPL.
魔王城、王の間
勇者「とうとう辿り着いたぞ!」
魔王「・・・・・・なんだこの幼女は」
勇者「いざ!」タッタッタ
魔王「待て、そこは」
ツルン
勇者「あう!」ズテン
魔王「・・・・・・モップをかけたばかりだ」
勇者「とうとう辿り着いたぞ!」
魔王「・・・・・・なんだこの幼女は」
勇者「いざ!」タッタッタ
魔王「待て、そこは」
ツルン
勇者「あう!」ズテン
魔王「・・・・・・モップをかけたばかりだ」
2: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:12:06 ID:mcWhYPL.
勇者「・・・・・・う、ぐす、ひっく」
魔王(な、泣いている)
勇者「・・・・・・」キッ
魔王「お、俺が悪いのか?」
勇者「痛いよう」スリスリ
魔王「・・・・・・あー・・・・・・いや、だってお前が勝手に」
勇者「・・・・・・」キッ
魔王「その、すまぬ」
魔王(な、泣いている)
勇者「・・・・・・」キッ
魔王「お、俺が悪いのか?」
勇者「痛いよう」スリスリ
魔王「・・・・・・あー・・・・・・いや、だってお前が勝手に」
勇者「・・・・・・」キッ
魔王「その、すまぬ」
3: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:12:55 ID:mcWhYPL.
勇者「だまれ! 敵になさけをかけられるなど!」
魔王「だってお前が」
勇者「・・・・・・」キッ
魔王「・・・・・・」
勇者「わたしは勇者だ!」
魔王「そ、そうか・・・・・・そうかぁ?」
勇者「魔王、かくご!」スタッ
魔王「だってお前が」
勇者「・・・・・・」キッ
魔王「・・・・・・」
勇者「わたしは勇者だ!」
魔王「そ、そうか・・・・・・そうかぁ?」
勇者「魔王、かくご!」スタッ
4: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:13:32 ID:mcWhYPL.
魔王「おい、だからそこは」
ツルン
勇者「あう!」ズテン
魔王「・・・・・・滑るんだってば」
勇者「きさま! はかったな!」キッ
魔王「ああ、もういい。そうだ、この魔王が計ったのだ」
ツルン
勇者「あう!」ズテン
魔王「・・・・・・滑るんだってば」
勇者「きさま! はかったな!」キッ
魔王「ああ、もういい。そうだ、この魔王が計ったのだ」
5: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:14:03 ID:mcWhYPL.
勇者「なんとひれつな!!」
魔王「ああ、卑劣だ。魔王だからな」
勇者「ゆるさん!」ソローリ
魔王(学習しているな)
勇者「・・・・・・」ソローリ
魔王(あと二歩で安全地帯だぞ)
勇者「よし! いざ!!」ダッ
ツルン
勇者「あう!」ズテン
魔王(何故あと一歩我慢出来なかったのだ)
魔王「ああ、卑劣だ。魔王だからな」
勇者「ゆるさん!」ソローリ
魔王(学習しているな)
勇者「・・・・・・」ソローリ
魔王(あと二歩で安全地帯だぞ)
勇者「よし! いざ!!」ダッ
ツルン
勇者「あう!」ズテン
魔王(何故あと一歩我慢出来なかったのだ)
6: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:14:48 ID:mcWhYPL.
勇者「痛いよう」スリスリ
魔王「だ、大丈夫か?」
勇者「だまれ! きさまと話をするためにきたのではない!」ダッ
ツルン
勇者「あう!」ズテン
魔王(・・・・・・転びに来たのか?)
勇者「うう、ぐすっ。なんでころんじゃうのよ」ポロ、ポロ
魔王「・・・・・・魔族長よ」
魔王「だ、大丈夫か?」
勇者「だまれ! きさまと話をするためにきたのではない!」ダッ
ツルン
勇者「あう!」ズテン
魔王(・・・・・・転びに来たのか?)
勇者「うう、ぐすっ。なんでころんじゃうのよ」ポロ、ポロ
魔王「・・・・・・魔族長よ」
7: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:15:24 ID:mcWhYPL.
魔族長「ハッ、どうされましたか?」
魔王「・・・・・・それを、転ばないところまで運んでくれ」
魔族長「・・・・・・は?」
魔王「いいから」
魔族長「は、はあ」
魔王(見ていられない)
魔王「・・・・・・それを、転ばないところまで運んでくれ」
魔族長「・・・・・・は?」
魔王「いいから」
魔族長「は、はあ」
魔王(見ていられない)
8: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:16:11 ID:mcWhYPL.
勇者「は、はなせ!」ジタバタ
魔族長「ちょ、暴れないで下さい」
魔王「よし、そこまで行けば大丈夫だろう」
魔族長「はい。では失礼致します」ドサ
勇者「いてっ! むう、陵辱したな!」
魔王「いや、陵辱はしてないから」
勇者「へんたい! くずにんげん!」
魔王(・・・・・・なんだこの新しい呪文は。心を抉られる)
魔族長「ちょ、暴れないで下さい」
魔王「よし、そこまで行けば大丈夫だろう」
魔族長「はい。では失礼致します」ドサ
勇者「いてっ! むう、陵辱したな!」
魔王「いや、陵辱はしてないから」
勇者「へんたい! くずにんげん!」
魔王(・・・・・・なんだこの新しい呪文は。心を抉られる)
9: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:16:48 ID:mcWhYPL.
勇者「わ、わたしは勇者だ!!」
魔王「さっき聞いたが」
勇者「つよいんだぞ!」
魔王「ああ、そんなことを言う勇者は今までいなかったよ。よほど強いんだろうな」
勇者「ほめるな!! 篭絡されないぞ!!」
魔王「褒めてない、皮肉だぞ」
魔王「さっき聞いたが」
勇者「つよいんだぞ!」
魔王「ああ、そんなことを言う勇者は今までいなかったよ。よほど強いんだろうな」
勇者「ほめるな!! 篭絡されないぞ!!」
魔王「褒めてない、皮肉だぞ」
10: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:17:19 ID:mcWhYPL.
勇者「ば、ばーか!」
魔王「とうとうただの悪口だな。・・・・・・お前、どうやってここまで辿り着いたんだ?」
勇者「なみいる魔族を、たおしてきた!!」
魔王(そんな報告入ってないけどなぁ)
魔王「魔族長よ」
魔族長「ハッ。どうされましたか?」
魔王「この娘はどうやってここまで来たのだ」
勇者「娘ではない! 勇者だ!!」
魔王「・・・・・・この勇者は、どうやってここまで来たのだ」
魔族長「・・・・・・言いづらいのですが」
魔王「とうとうただの悪口だな。・・・・・・お前、どうやってここまで辿り着いたんだ?」
勇者「なみいる魔族を、たおしてきた!!」
魔王(そんな報告入ってないけどなぁ)
魔王「魔族長よ」
魔族長「ハッ。どうされましたか?」
魔王「この娘はどうやってここまで来たのだ」
勇者「娘ではない! 勇者だ!!」
魔王「・・・・・・この勇者は、どうやってここまで来たのだ」
魔族長「・・・・・・言いづらいのですが」
11: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:18:01 ID:mcWhYPL.
魔王「ああ」
魔族長「あまりに哀れな様子に、見逃す者が多かったようで」
勇者「あ! ぶつけたところにあざができてる!」
魔族長「あまりの転びっぷりに、つい傷薬を渡す者まで居たようで」
勇者「やっぱり火龍の傷薬はよく効くなぁ」ヌリヌリ
魔王「・・・・・・うん、分かった」
魔族長「申し訳ございません」
魔王「いや、うん。もう下がっていいよ」
魔族長「はい」
魔族長「あまりに哀れな様子に、見逃す者が多かったようで」
勇者「あ! ぶつけたところにあざができてる!」
魔族長「あまりの転びっぷりに、つい傷薬を渡す者まで居たようで」
勇者「やっぱり火龍の傷薬はよく効くなぁ」ヌリヌリ
魔王「・・・・・・うん、分かった」
魔族長「申し訳ございません」
魔王「いや、うん。もう下がっていいよ」
魔族長「はい」
12: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:18:33 ID:mcWhYPL.
魔王「・・・・・・それで、何をしに来たのだ」
勇者「魔王をたおしにきた!」
魔王「そ、そうか」
勇者「おまえ、魔王だろう!」
魔王「そうだ」
勇者「じゃあ言うことがあるだろう!」
魔王「え、なにを?」
勇者「大地の半分を、みたいなやつ!」
魔王「なんと前時代的な」
勇者「いいから言え!!」
勇者「魔王をたおしにきた!」
魔王「そ、そうか」
勇者「おまえ、魔王だろう!」
魔王「そうだ」
勇者「じゃあ言うことがあるだろう!」
魔王「え、なにを?」
勇者「大地の半分を、みたいなやつ!」
魔王「なんと前時代的な」
勇者「いいから言え!!」
13: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:19:12 ID:mcWhYPL.
魔王「・・・・・・よく来たな勇者よ。私の部下になれ、さすれば大地の半分をお前にくれてやろう」
勇者「ことわる!」
魔王「・・・・・・そうか」
勇者「ふふんっ」ドヤ
魔王「いや、断るなら何で言わせたのだ?」
勇者「勇者学校でならった!」
魔王「学校があるのか!」
勇者「ことわる!」
魔王「・・・・・・そうか」
勇者「ふふんっ」ドヤ
魔王「いや、断るなら何で言わせたのだ?」
勇者「勇者学校でならった!」
魔王「学校があるのか!」
14: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:19:53 ID:mcWhYPL.
勇者「うん、私はとても成績がいい!」
魔王「それは偉いな」
勇者「えへへ」
魔王「・・・・・・」
勇者「・・・・・・ハッ! きさま篭絡する気か!!」
魔王「それは大地のくだりで言うことだろうに」
魔王「それは偉いな」
勇者「えへへ」
魔王「・・・・・・」
勇者「・・・・・・ハッ! きさま篭絡する気か!!」
魔王「それは大地のくだりで言うことだろうに」
15: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:20:27 ID:mcWhYPL.
魔王「・・・・・・ところで、お前はいくつなのだ」
勇者「6つだ!」
魔王「・・・・・・ここに来るのは、ちょっと早かったんじゃないのか?」
勇者「魔族の侵攻は待ってくれない!」
魔王「せ、正論だな」
勇者「フフン! ・・・・・・あ」グウウ
勇者「6つだ!」
魔王「・・・・・・ここに来るのは、ちょっと早かったんじゃないのか?」
勇者「魔族の侵攻は待ってくれない!」
魔王「せ、正論だな」
勇者「フフン! ・・・・・・あ」グウウ
16: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:21:04 ID:mcWhYPL.
魔王「お腹が空いたのか」
勇者「す、空いていない!」
魔王「・・・・・・」
勇者「・・・・・・」グウウウウ
魔王「・・・・・・なにか、食べるか?」
勇者「敵の情けはうけぬ!」
勇者「す、空いていない!」
魔王「・・・・・・」
勇者「・・・・・・」グウウウウ
魔王「・・・・・・なにか、食べるか?」
勇者「敵の情けはうけぬ!」
17: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:21:51 ID:mcWhYPL.
魔王「いや、俺も昼食にするところだから」
勇者「・・・・・・毒をしこむつもりだろう!」
魔王「仕込まないから」
勇者「・・・・・・虫は、たべないぞ!」
魔王「ああ、俺も虫は食べないから大丈夫だ」
勇者「・・・・・・じゃあ、たべてやる」
勇者「・・・・・・毒をしこむつもりだろう!」
魔王「仕込まないから」
勇者「・・・・・・虫は、たべないぞ!」
魔王「ああ、俺も虫は食べないから大丈夫だ」
勇者「・・・・・・じゃあ、たべてやる」
18: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:22:36 ID:mcWhYPL.
魔王「はあ、魔族長よ」
魔族長「ハッ。どうされましたか?」
魔王「今日の昼食は勇者と食べることにした」
魔族長「・・・・・・えー、それはつまり?」
魔王「いや、毒とかは無しで」
魔族長「え? ですが」
魔王「・・・・・・仕方ないだろう、ほら」コソコソ
勇者「お腹へったなぁ」グウウ
魔族長「・・・・・・まあ、確かに」コソコソ
魔族長「ハッ。どうされましたか?」
魔王「今日の昼食は勇者と食べることにした」
魔族長「・・・・・・えー、それはつまり?」
魔王「いや、毒とかは無しで」
魔族長「え? ですが」
魔王「・・・・・・仕方ないだろう、ほら」コソコソ
勇者「お腹へったなぁ」グウウ
魔族長「・・・・・・まあ、確かに」コソコソ
19: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:23:09 ID:mcWhYPL.
魔王城、テラス
勇者「おいしい!」もぐもぐ
魔王「・・・・・・ああ、そうだな」
勇者「ハッ! まさか、食べてる隙に襲う気か!」ガタ
魔王「いやいや、それなら毒を入れた方が早いだろうに」
勇者「ならいい!」もぐもぐ
魔王「・・・・・・」
勇者「・・・・・・」もぐもぐ
魔王「・・・・・・」
勇者「おいしい!」もぐもぐ
魔王「・・・・・・ああ、そうだな」
勇者「ハッ! まさか、食べてる隙に襲う気か!」ガタ
魔王「いやいや、それなら毒を入れた方が早いだろうに」
勇者「ならいい!」もぐもぐ
魔王「・・・・・・」
勇者「・・・・・・」もぐもぐ
魔王「・・・・・・」
20: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:23:42 ID:mcWhYPL.
勇者「美味しかった!」
魔王「ああ」
勇者「お前に言ったのではない、魔王め! この城の料理長に言ったのだ!」
魔王「料理長も魔族だぞ」
勇者「なっ!?」
魔王「いや、ここ魔王城だから」
勇者「・・・・・・うーん」
魔王「どうした」
勇者「・・・・・・魔族め! 美味しかったぞ!」
魔王「ああ、そこで落ち着いたんだな」
魔王「ああ」
勇者「お前に言ったのではない、魔王め! この城の料理長に言ったのだ!」
魔王「料理長も魔族だぞ」
勇者「なっ!?」
魔王「いや、ここ魔王城だから」
勇者「・・・・・・うーん」
魔王「どうした」
勇者「・・・・・・魔族め! 美味しかったぞ!」
魔王「ああ、そこで落ち着いたんだな」
21: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:24:17 ID:mcWhYPL.
魔王城、王の間
魔王「・・・・・・昼食も済んだが、戦うのか?」
勇者「・・・・・・」
魔王「あれ、どうした」
勇者「・・・・・・え?」
魔王「眠いのか?」
勇者「眠くなどない! 魔王め!」トローン
魔王「いや、とても眠そうだぞ」
勇者「ハッ! まさか!?」
魔王「料理長は何も入れていないぞ」
勇者「・・・・・・ん」トローン
魔王「・・・・・・昼食も済んだが、戦うのか?」
勇者「・・・・・・」
魔王「あれ、どうした」
勇者「・・・・・・え?」
魔王「眠いのか?」
勇者「眠くなどない! 魔王め!」トローン
魔王「いや、とても眠そうだぞ」
勇者「ハッ! まさか!?」
魔王「料理長は何も入れていないぞ」
勇者「・・・・・・ん」トローン
22: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:25:06 ID:mcWhYPL.
魔王「・・・・・・魔族長よ」
魔族長「ハッ! ・・・・・・なんですかこれは」
勇者「・・・・・・すう、すう」
魔王「その勇者を客室のベッドへ運んでくれ」
魔族長「この娘は、本当に勇者なのですか?」
魔王「まあ、そうなんだろうな」
魔族長「寝ている隙に攻撃しては?」
魔王「そういう訳にもいかないだろうに」
魔族長「・・・・・・はあ」
魔族長「ハッ! ・・・・・・なんですかこれは」
勇者「・・・・・・すう、すう」
魔王「その勇者を客室のベッドへ運んでくれ」
魔族長「この娘は、本当に勇者なのですか?」
魔王「まあ、そうなんだろうな」
魔族長「寝ている隙に攻撃しては?」
魔王「そういう訳にもいかないだろうに」
魔族長「・・・・・・はあ」
23: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:25:42 ID:mcWhYPL.
魔王「だって仕方ないだろう! 寝ているんだもの」
魔族長「ええ、まあ確かに」
魔王「・・・・・・そんな目で見るなよ」
魔族長「魔王様、私の職務はなんでしょう」
魔王「魔族の部隊を率いて戦うことだ」
魔族長「もう一度」
魔王「・・・・・・魔族の部隊を率いて、戦うことだ」
魔族長「・・・・・・」
魔王「すまんって」
魔族長「・・・・・・はあ」ダキ
勇者「・・・・・・ん、すう、すう」
魔王「起こさぬようにな」
魔族長「ええ、まあ確かに」
魔王「・・・・・・そんな目で見るなよ」
魔族長「魔王様、私の職務はなんでしょう」
魔王「魔族の部隊を率いて戦うことだ」
魔族長「もう一度」
魔王「・・・・・・魔族の部隊を率いて、戦うことだ」
魔族長「・・・・・・」
魔王「すまんって」
魔族長「・・・・・・はあ」ダキ
勇者「・・・・・・ん、すう、すう」
魔王「起こさぬようにな」
24: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:26:22 ID:mcWhYPL.
魔王城、客室
魔族長「・・・・・・はあ」ドサ
勇者「・・・・・・うーん」
魔族長「戻りますか。・・・・・・ん?」
勇者「・・・・・・」ギュ
魔族長「袖を離しなさい」グイ
勇者「・・・・・・すう、すう」ギュウ
魔族長「・・・・・・はあ」
勇者「すう、すう」
魔族長「・・・・・・動けない」
魔族長「・・・・・・はあ」ドサ
勇者「・・・・・・うーん」
魔族長「戻りますか。・・・・・・ん?」
勇者「・・・・・・」ギュ
魔族長「袖を離しなさい」グイ
勇者「・・・・・・すう、すう」ギュウ
魔族長「・・・・・・はあ」
勇者「すう、すう」
魔族長「・・・・・・動けない」
25: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:52:09 ID:mcWhYPL.
夕方、魔王城、王の間
勇者「おはよう、魔王め!」
魔王「ああ、おはよう」
勇者「だまれ!」
魔王「なんて理不尽なんだ。お前が先に言ったのではないか」
勇者「挨拶は基本だと勇者学校で習ったのだ!」
魔王「・・・・・・さっきは聞きそびれたが、その恐ろしい学校は一体なんなのだ」
勇者「きさまを倒す勇者をそだてる学校だ!」
魔王「ああ、やっぱり」
勇者「聞いているぞ! 魔王はとても恐ろしい魔族なんだ!」
勇者「おはよう、魔王め!」
魔王「ああ、おはよう」
勇者「だまれ!」
魔王「なんて理不尽なんだ。お前が先に言ったのではないか」
勇者「挨拶は基本だと勇者学校で習ったのだ!」
魔王「・・・・・・さっきは聞きそびれたが、その恐ろしい学校は一体なんなのだ」
勇者「きさまを倒す勇者をそだてる学校だ!」
魔王「ああ、やっぱり」
勇者「聞いているぞ! 魔王はとても恐ろしい魔族なんだ!」
26: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:53:04 ID:mcWhYPL.
魔王「ああ、そうだろうな」
勇者「こう、身長は3mくらいあって」
魔王「そんなことはないけどな」
勇者「たまに火を吹くらしい!」
魔王「火も吹かないし、たまにってなんだよたまにって」
勇者「・・・・・・うーん」
魔王「どうした」
勇者「・・・・・・きさま、ほんとうに魔王か?」
魔王「お前にだけは言われたくない」
勇者「こう、身長は3mくらいあって」
魔王「そんなことはないけどな」
勇者「たまに火を吹くらしい!」
魔王「火も吹かないし、たまにってなんだよたまにって」
勇者「・・・・・・うーん」
魔王「どうした」
勇者「・・・・・・きさま、ほんとうに魔王か?」
魔王「お前にだけは言われたくない」
27: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 00:57:52 ID:mcWhYPL.
勇者「私を馬鹿にするな! 成績は一番なんだぞ!」
魔王「そうらしいな。魔界もしばらく安泰だ」
勇者「壷を壊すのも一番早い!」
魔王「壷? なんだそれは」
勇者「人の家に入って、壷や木箱を壊す授業だ!」
魔王「泥棒じゃないか」
勇者「私は勇者だ!!」
魔王「そ、そうか」
勇者「宝箱の中身を盗むのも早い!!」
魔王「今盗むって言ったけどな」
魔王「そうらしいな。魔界もしばらく安泰だ」
勇者「壷を壊すのも一番早い!」
魔王「壷? なんだそれは」
勇者「人の家に入って、壷や木箱を壊す授業だ!」
魔王「泥棒じゃないか」
勇者「私は勇者だ!!」
魔王「そ、そうか」
勇者「宝箱の中身を盗むのも早い!!」
魔王「今盗むって言ったけどな」
28: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 01:02:38 ID:mcWhYPL.
勇者「あ!!」
魔王「今度はなんだ」
勇者「今何時だ!!」
魔王「5時過ぎだ」
勇者「も、門限を過ぎている!! 計ったな!?」
魔王「門限があるのか」
勇者「あるに決まっているじゃないか! 私をなんだと思っている!!」
魔王「勇者、じゃないのか?」
勇者「そうだ! ああ、どうしよう。お母さんに怒られる」
魔王「・・・・・・ルーラで帰ればいいじゃないか」
勇者「そんな難しい魔法使える訳ないでしょう!?」
魔王「本当にどうやってここまで来たんだ」
魔王「今度はなんだ」
勇者「今何時だ!!」
魔王「5時過ぎだ」
勇者「も、門限を過ぎている!! 計ったな!?」
魔王「門限があるのか」
勇者「あるに決まっているじゃないか! 私をなんだと思っている!!」
魔王「勇者、じゃないのか?」
勇者「そうだ! ああ、どうしよう。お母さんに怒られる」
魔王「・・・・・・ルーラで帰ればいいじゃないか」
勇者「そんな難しい魔法使える訳ないでしょう!?」
魔王「本当にどうやってここまで来たんだ」
29: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 01:06:14 ID:mcWhYPL.
勇者「どうしよう! う、ぐす・・・・・・怒られるよう」
魔王「はあ、魔族長よ」
魔族長「・・・・・・」
魔王「・・・・・・魔族長?」
魔族長「はい」
魔王「・・・・・・怒っているのか?」
魔族長「いいえ」
魔王「この勇者をルーラで送ってやってくれ」
魔族長「・・・・・・はあ」
魔王「そんな目で見るなよ」
魔王「はあ、魔族長よ」
魔族長「・・・・・・」
魔王「・・・・・・魔族長?」
魔族長「はい」
魔王「・・・・・・怒っているのか?」
魔族長「いいえ」
魔王「この勇者をルーラで送ってやってくれ」
魔族長「・・・・・・はあ」
魔王「そんな目で見るなよ」
30: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 01:12:14 ID:mcWhYPL.
魔族長「ほら、行きますよ」
勇者「何処に連れていく気だ!!」
魔族長「何処に住んでいるのですか?」
勇者「はじまりの街だ!」
魔族長「では、そこへ」
勇者「なっ!? あ、ありがとう! 魔族め!!」
魔王「今度はもう少し大きくなってから来るといいぞ」
勇者「これから先も第2、第3の勇者がお前に挑むからな!!」
魔王「勇者の言うことじゃないだろう、それ」
勇者「うるさい! 明日も来るからな!!」
魔王「ああ、もう分かったから。おかえり」
魔族長「ルーラ」ヒューン
勇者「今日は私の勝ちだからな!!」ヒューン
魔王「・・・・・・はあ、お前の勝ちではないけれど、俺の負けではあるよ」
勇者「何処に連れていく気だ!!」
魔族長「何処に住んでいるのですか?」
勇者「はじまりの街だ!」
魔族長「では、そこへ」
勇者「なっ!? あ、ありがとう! 魔族め!!」
魔王「今度はもう少し大きくなってから来るといいぞ」
勇者「これから先も第2、第3の勇者がお前に挑むからな!!」
魔王「勇者の言うことじゃないだろう、それ」
勇者「うるさい! 明日も来るからな!!」
魔王「ああ、もう分かったから。おかえり」
魔族長「ルーラ」ヒューン
勇者「今日は私の勝ちだからな!!」ヒューン
魔王「・・・・・・はあ、お前の勝ちではないけれど、俺の負けではあるよ」
31: ◆rPuHN1dQX2 2017/04/04(火) 01:22:36 ID:mcWhYPL.
完。ありがとうございました。