栗田ゆう子「夫婦別姓ですって?」【美味しんぼSS】

2019年01月16日
栗田ゆう子「夫婦別姓ですって?」【美味しんぼSS】

栗田ゆう子「夫婦別姓ですって?」

元ネタ:美味しんぼ
1: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)22:09:32 ID:4AT
タイトルで力尽きた

3: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)22:12:07 ID:4AT
富井「なにい? 結婚しても苗字を変えない?」

栗田「はい、今までどおり栗田ゆう子を名乗ろうと思うんです」

富井「ダメだよそんなの、結婚したら苗字が変わるのが当たり前でしょー!」

栗田「ええ? そんなの古い考え方です」

4: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)22:16:02 ID:4AT
荒川「副部長! 今どきそんなのは古いですよ!」

富井「ええ!? だ、だって君だって苗字が田畑から荒川に変わったじゃないか」

荒川「私は良いんです。それを選択したんですから」

荒川「大事なのは選択することなんです」

荒川「別姓を保ちたいと思う人が、別姓のままでいられる、それが近代的な考え方なんです」

三谷「そうですとも!」

富井「うう・・・(たじたじ)」

8: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)22:18:37 ID:4AT
富井「そ、そうだ、君たちに子供が生まれたらどうするんだ!」

栗田「もちろん、両親どちらかの苗字を名乗るんです」

栗田「例えば双子が生まれたら、片方は山岡で片方は栗田、なんてこともできます」

三谷「まあ素敵」

富井「す、すす、素敵・・・なのか・・・?」

11: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)22:22:12 ID:4AT
谷村「待ちたまえ」

富井「あっ、谷村局長!」

谷村「確かに夫婦別姓は進歩的な考え方かもしれない」

谷村「しかし、これから何十年も続く夫婦生活で、別姓であることの苦労を考えたことがあるのか?」

栗田「……」

谷村「三谷くん、君の嫁ぎ先は老舗のせんべい屋だろう」

谷村「もし別姓を選んだら、取引先と合うたびに違う性で自己紹介するのか?」

谷村「内縁の妻かと思われたり、いらぬ誤解を受けることになるんじゃないか」

三谷「それは……」

14: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)22:29:19 ID:4AT
小泉「ちょっと待ってもらおうか」

谷村「小泉専務……」

小泉「谷村くん、東西新聞の編集局長ともあろうものが、そんな前時代的な考えでは困るな」

谷村「……と、言われますと」

小泉「もっとグローバルな視点を持ちなさい」

小泉「現在、法律で夫婦同姓を強制している国は、事実上日本だけだ」

富井「えええっ!?」

15: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)22:34:46 ID:4AT
小泉「夫婦別姓を強制するのは人権の意味からも問題だし、男女平等にも反する」

小泉「そのせいで、日本は国連の女性差別撤廃委員会からたびたび責められている」

小泉「国際的な流れを考えれば、選択的夫婦別姓は当然なんだ」

谷村「ですが、日本には日本の伝統というものが…」

富井「そうですな、やっぱり夫婦別姓アリかも」

谷村「富井くん!?」

17: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)22:41:06 ID:4AT
中松「おうおう、面白そうな話してるじゃねえか」

栗田「あら中松警部、どうしたの?」

中松「ちょっと立ち寄っただけだ、それより夫婦別姓だって? ふざけちゃいけねえよ」

小泉「なんだって?」

中松「結婚ってのは同じ家に入ることだぜ」

中松「同じ家族になる人間が、同じ姓を名乗らなくてどうするよ!」

小泉「ふん、えらく根本的なことを言い出したな」

18: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)22:48:40 ID:4AT
栗田「でも中松警部、私にとって栗田は慣れ親しんだ性だもの、変えたら別人になるような気がするわ」

中松「山岡の旦那と結婚する時点で、全く新しい人生を歩くようなもんじゃねえか」

中松「逆に栗田性を名乗ってたら、いつまでも栗田家の一員みたいな気がしちまうんじゃねえのか」

栗田「それは…」

小泉「いや、中松警部、それこそが男尊女卑的な考え方だ」

小泉「同姓にすることで女性を家に組み込む、夫の下に従属させる」

小泉「そんな感覚から生まれた制度こそが夫婦同姓なんだ」

中松「てやんでえ、世界的に見りゃそんな国はゴマンとあるじゃねえか」

中松「そういう国は、形だけ夫婦別姓にして改善してるのかよ」

小泉「……」

19: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)22:52:20 ID:4AT
中松「それに、うちは嫁さんを家に組み込んだなんて考えたこたあねえぜ」

中松「嫁さんは働き者だし、俺よりずっとしっかりしてる」

中松「上限関係なんてあるわけねえ、夫婦同姓でも何の問題もねえ、俺の家がいい証拠だろうが」

富井「いやむしろ尻に敷かれて……」

中松「あん?」

富井「いや、ゴニョゴニョ……」

21: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)22:57:22 ID:4AT
まり子「みなさん、大勢集まってどうしたの」

栗田「あら、近城さん、実は…」

まり子「ふむふむ」

まり子「みなさん、時代がどうこうと言うのなら、東西新聞も時代を読めていないようですね」

小泉「な、なんだって!?」

22: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)23:01:37 ID:4AT
まり子「いいですか、国民へのアンケートでも、夫婦別姓への賛成派はまだ少数派なんです」

まり子「しかも、そのうち実際に夫婦別姓を行いたい、という回答はさらに少ない」

まり子「また、実際に戸籍上で別姓にできたとしても、日本では事務手続きの面倒さや、表札を二枚付けなければならないなど、面倒なことが多すぎるんです」

まり子「それに、社会がまだ夫婦別姓に寛容とも言いがたい」

まり子「実際に別姓になれば、周囲の偏見や誤解、また子供がいじめを受ける可能性なども出てくる」

まり子「つまり日本では、まだ夫婦別姓を受け入れる土壌ができていないんです」

小泉「な……」

25: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)23:09:15 ID:4AT
まり子「もちろん、男女の機会均衡や、男女差別の撤廃などは大きな課題です」

まり子「しかし、現状で形だけ夫婦別姓にするのは、個人で背負うリスクが大きすぎます」

まり子「だからこそ私は、現実的なリスクを考えて夫の性を名乗っているんです」

栗田「でもまり子さん、勇さんに二木の性を名乗ってもらうという選択肢もあったんじゃ?」

まり子「もちろんその可能性も考えました」

まり子「しかし、私は育児と家事のほうに専念したかったので、主に仕事で人と合うのは主人になります」

まり子「より人と合う機会が多いほうの性を維持する、それが効率的というものでしょうね」

荒川「さすがはまり子さん…恐ろしく合理的でドライな考え方だわ…」

三谷「そうね、素敵だわ……」

富井(これはアリなの……?)

26: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)23:13:08 ID:4AT
栗田「でもやはり私は…」

中松「いやいや日本人たるもの…」

小泉「そんなこと世界では…」

富井「カレー食べたい…」

荒川「私が結婚した時は…」

まり子「夫婦というのは一種の契約で…」


大原「みんな、それぐらいでいいだろう」

27: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)23:19:30 ID:4AT
栗田「あ、大原社主」

大原「みんなも聞いていると思うが、今日、最高裁の判断で夫婦同姓への合憲の判断がなされた」

大原「ひとまず戸籍上では同姓を名乗るしかないのが現状だ」

大原「だが、仕事上では姓が変わると面倒なことが多いので、当面は通称の仕様を許可する」

大原「もちろん、夫婦別姓についての議論はこれからも続いていくだろう」

大原「東西新聞でも継続して取り扱っていくべきだろうな」

大原「みんなも、今の議論を記事に生かせるよう頑張ってくれ」

栗田「分かりました」

小泉「いやさすがは大原社主、見事な大岡裁きでしたな」

富井「ええもうホントホント、わたくし感動で涙が出そうでした」



山岡「いててて……二日酔いでアタマ痛い」

28: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)23:22:46 ID:4AT
栗田「あっ山岡さん、今ごろ出社してきたの?」

小泉「こら山岡! お前のことで議論になっていたのに遅刻とは何事だ!!」

富井「そうだぞ山岡! 罰として階段を百往復だ!!」

山岡「わあなんだなんだ、いきなり」

大原「まったく、あいつは結婚しても変わらんな」



山岡「いや、ちょっと待って、お客が一緒だから」

栗田「お客?」

海原「うむ」

29: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)23:25:32 ID:4AT
富井「ひいっ!? 海原雄山」

大原「む……」

栗田「山岡さん、海原さんと一緒でどうしたの?」

山岡「いや、ほら、先日俺と雄山が和解できただろ?」

栗田「時系列がすごくおかしい気がするけど、そうね、あったわね」

山岡「それで、何かうちの会社に連れてけって言うもんで」

海原「そこからは私が話そう」

海原「大原さん、少しよろしいか」

大原「……どうぞ、そこの応接スペースへ」

30: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)23:27:13 ID:4AT
荒川「急に会社に来て、何の用かしら?」

三谷「さあ…?」



海原「大原さん、うちの士郎がいつもお世話になっております」

大原「いえいえ…」

海原「さて、知っての通り、先日私と士郎は和解しましてな、勘当も解いた次第です」

大原「それは存じていますが…」

31: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)23:31:53 ID:4AT
海原「勘当を解いたということは、いずれ士郎は美食倶楽部を継ぐ可能性もある、そういうことです」

山岡「そんなつもりはないが…」

大原「はあ…」

海原「ついては、士郎は通称として母方の性を名乗っているが、戸籍上は今でも海原士郎です」

大原「そうなりますな」

海原「ついては、士郎には私の家の一員として、また後継者になる可能性も考慮して」

海原「今後、あらゆる場面で海原性を名乗ることを徹底させるので、そのつもりでお願いしたい」

全員「!?」



To be continue・・・

32: 名無しさん@おーぷん 2015/12/16(水)23:33:37 ID:4AT
以上です、読んでくれた人ありがとう
自分でもまさか書くとは思わんかった

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