【ぼく勉】真冬「どこにいるの? 緒方さん!!」

2019年01月22日
【ぼく勉】真冬「どこにいるの? 緒方さん!!」

真冬「どこにいるの? 緒方さん!!」

元ネタ:ぼくたちは勉強ができない
119: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:54:30 ID:dZYike.M
--ザアアアア…

真冬「はあ…はあ…」タッタッタッ

真冬「……どこに」ガサガサッ

真冬「どこにいるの? 返事をして! 緒方さんっ!!」

120: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:55:04 ID:dZYike.M
--数時間前

理珠「ゆ、唯我さんには関係ないでしょう!? 放っておいて下さい!!」ピシャーン

成幸(ええええ俺確か…君の教育係だよね!?)ズガーン

理珠「ささささようならッ!!」

成幸「えっどこ行くの!?(外出禁止だけど…)」

理珠「少し外の空気を吸ってくるだけです! 美味しいらしいので!」ダーッ

成幸(え…何? 急な反抗期…?)

121: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:56:13 ID:dZYike.M
--宿泊所・ロビー

ウイーン ガシャン

真冬「……」カシュッ ゴクゴク

真冬(休息。やっと一息つけたわね。この後の予定は何だったかしら…)ペラッ

真冬(16時半からミーティング…その後は教師同士での夕食を兼ねた懇親会ね。陰鬱…正直気乗りがしないけど…」ハア…

--ダダダダダダッ

真冬「何かしら…足音? あの姿は--緒方さん?」

理珠「………」ガーッ ダダダダッ

真冬(呼び止めたのすら気付かずに外に出て行ってしまったわ。今は外出禁止時間のはず。至急追いかけて--)

122: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:57:15 ID:dZYike.M
--見捨てるってことですか?

真冬「………っ!?」ビクッ

--見捨てる? 否。私は教育係として、最初から現実的な提案をしていたのだけれど?

--あれは提案ではなく、押し付けに過ぎません。私の人生を決めるのは私です。才能の有る無しで勝手に人生を決めないで下さい!

--責任。他人の人生に口を挟むからこそ半端なことは言わないし、させられないわ。理想を貫きたいのであればまずは実績、そう先日も告げたはず。だけど結果はどうだったかしら?

--ぐっ…!

--この間のテストで判明済み。あの点数で文系ですって? 笑止千万。緒方さん、あなたにはそんな才能はないわ。あきらめなさい

123: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:57:48 ID:dZYike.M
真冬「…………」スッ…

真冬(--あれを最後に、彼女たちとは袂を分かった。あれだけきついことを言ったもの。きっと顔すら合わせたくないでしょうね)

真冬(静観。冷静な彼女なら、そんな遠くに行くはずもない。帰ってきた後に言い含めておけば、それで…)

藤田先生「あ、桐須先生。ここにいたんですね。もうすぐミーティングが始まりますよ」

真冬「藤田先生…ええ、わかりました。至急伺います」

真冬「……」

124: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:59:35 ID:dZYike.M
--1時間後

司会「--では他に質問などあれば………無いようですね。ではこれにてミーティングを終了します。お疲れ様でした」

佐藤先生「やれやれ、やっと終わりましたな」

鈴木先生「一日中立ちっぱなしで、もうくたくたですよ…あ、いつの間にか雨が降ってきてますね」

真冬(雨…?)

佐藤先生「山の天気は変わりやすいからなあ。ま、この天気であれば、わざわざ外に出ようとする生徒もおらんでしょう」

鈴木先生「この後は夕食っスね。桐須先生。良かったら僕らの近くでご飯を食べながら教育論について--」

真冬「……いえ、ちょっと小用がありますので。もし遅くなった時には先に始めておいて下さい」スタスタ…

佐藤先生「くっ…今日も相変わらずクールだ。桐須先生は」

鈴木先生「ええ。けど…そこがいいっス」グッ

125: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:00:12 ID:dZYike.M
真冬(胸騒…やはり気になるわ。単なる杞憂であれば良いのだけど…)スタスタ

真冬「…? あの娘は?」

関城「……」キョロキョロ

真冬「関城さん?」

関城「あ、桐須先生」

真冬「何か探しているみたいだったけれど。落とし物か何か?」

関城「あ、いえ。緒方理珠を探しているんですけど、どこにも見当たらなくて」

真冬「----!!」サァーッ

関城「桐須先生は見かけませんでしたか? 緒方理珠」

真冬「い、いえ…見かけなかったわね」

関城「そうですか。では」スタスタ

真冬(--緒方さんっ!)ダッ!

126: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:00:48 ID:dZYike.M
--教員部屋

真冬(不覚…あのとき躊躇せずに、すぐに緒方さんを追いかけていれば…)ギリッ…

真冬(いえ、過ぎた事を後悔している暇は無い。今は緒方さんを見つけることが先決…!)

真冬「レインコートに、懐中電灯。正直、雨の山道に入るには心許ないけど…最後に見かけてから既に1時間半ほどは経っている。急がないと」ダッ!

127: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:03:06 ID:dZYike.M
--宿泊所、玄関

--ザアアアア…

真冬「これは…(思ったよりも雨脚が強い…)まずいわ。誰か応援を呼ぶ必要が--」

--またかしら緒方さん。難しい単語が目に入るとすぐに思考停止してしまう。まずはその癖を何とかしない限り、文系など到底無理よ

--言われずとも十分に理解しています。確かに今はできないかもしれませんが…それならば、諦めずにやり続けるだけです!

真冬「……」

真冬(…もし応援を呼んだら? 当然…騒ぎが大きくなるでしょうね。そうなってしまえば緒方さんには厳しい処分を下さざるを得ない。成績が良くない彼女にとっては致命的に…)

真冬「……」ギュッ…

真冬(1時間…1時間だけ捜索して駄目だったなら応援を呼ぶわ。だから、それまでに何としても--)タッタッタッ

128: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:03:39 ID:dZYike.M
--現在

--ザアアアア…

真冬「どこにいるの? 返事をして! 緒方さんっ!! …っ!」

真冬「…ったあ」ポタッ… ポタッ…

真冬「平気……これくらい」ギリッ

真冬「でも……」チラッ

真冬(既に探し回って30分。やっぱりこんな山の中を闇雲に捜索するのは…)

真冬「…っ」パシン!

真冬(諦めては駄目よ真冬! 仮にも元教育係。こんな時こそ、冷静に彼女を分析して答えを見つけないと)

真冬「……」スッ…

129: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:04:38 ID:dZYike.M
真冬(そう…最後に見かけた時、彼女は慌てていた。いつもは私の姿が見えた瞬間に姿を隠すのに、そのそぶりすら見せていない。テストの時と同じように思考が停止していたと考えるべき)

真冬(加えて、彼女は体育の成績があまり良くない。体力が無いのだからそう遠くまで出歩けないし、ましてや山奥の方になんて行くわけがない。以上の要素を合わせば--)

真冬(何らかの原因で緒方さんは冷静さを失っていた。外に出たのは頭を冷やすためだったのかもしれない。だけど思考が停止していたから--朝に来たのとは逆の方向に進んでしまい、道に迷ってしまった)

真冬「指針。仮説が全て正しいわけではないでしょうけど、目処は立った。山頂目指して進んでいけば…きっと見つかるはず」

--ザアアアア

(雨もいまだ止む気配がないわ。急がないと。たとえ--)

--理珠「……」ギリッ…

--文乃「……」ズーン

真冬「不変。たとえどう思われようとも…私の大事な生徒であることに変わりはないから」

130: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:05:08 ID:dZYike.M
--30分後

真冬「はあ…はあ…」ガサガサ

真冬「(もうすぐ1時間…これ以上引っ張るわけにはいかない)緒方さん。どこなの?」スゥ…

真冬「おが--」

「--へくしっ」

真冬「--っ!(くしゃみの音!? 見つけた!)」

真冬「お--」ガサッ!

131: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:05:46 ID:dZYike.M
成幸「さ…帰ろうぜ」

真冬「---!?」バッ!

真冬「あの子は教育係の…唯我くん?」

真冬(不可解。何故この場に彼が? それに今の言葉…もしかして緒方さんは彼と待ち合わせを? なら、何故わざわざこんな場所を--)

成幸・理珠「え……?」

真冬「----!?」

132: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:06:39 ID:dZYike.M
真冬(だ、抱き締めてキス……を? や、やはり不純異性交遊だったのかしら?)ソワソワ…

理珠「それでは戻りましょう」スタスタ…

成幸「えっちょっ緒方…! そっち宿と逆!!」ダダッ!

真冬「何故宿と反対方向に…? でも…唯我くんもいたのなら迷っていたわけではない。なら私の…単なる早とちり…で」

ドサッ…

真冬(疲弊…無理をしていたのは私の方だったのね。足が棒のよう。手も…いつの間にか傷だらけで。でも--)

真冬「本当に…良かった。大切な生徒が無事で」ギュッ…

133: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:07:10 ID:dZYike.M
宿泊所・食堂

佐藤先生「あ! 桐須先生。随分遅かったじゃないですか」

鈴木先生「もう解散しようかと思っていたところなんですよ。一体何があったんですか?」

真冬「いえ、何も。小用を済ませたあと、生徒が外出していないかを確認していました」

佐藤先生「律儀ですなあ。しかしこの天候で出て行く生徒がいるとは」

真冬「いえ。雨は先ほど上がりました。その影響か、F組の緒方理珠とB組の唯我成幸、2名の生徒が先ほど宿を出て行くのを見かけたという報告が」

鈴木先生「え?」

134: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:07:40 ID:dZYike.M
真冬「…幸い、すぐに帰ってきたようです。気分転換に散歩でもしてきたのかもしれません…が、規則は規則。外出禁止を破った2人に対しては何か罰を設けるべきかと」

佐藤先生「そ、そうでしたか…桐須先生ばかりに負担をおかけしたようで申し訳ない。では2人には明日、授業が終わったら風呂掃除を行うよう言付けておきましょう」

真冬「ええ、ではそのように」クルッ

鈴木先生「あれ? 桐須先生。どちらへ?」

真冬「少々疲れたので、先に部屋に戻らせていただきます。では」スタスタ…

佐藤先生「こんな時ですら決して気を緩めないなんて。さすがは桐須先生だ…」ゴクリ…

鈴木先生「付け入る隙なしって感じッスね…」

135: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:08:32 ID:dZYike.M
--教員部屋

ヌリヌリ…

真冬「うっ! ……ったあ」

真冬「……」グス…

真冬(終了…まだ痛みが強いけど。仕方ないわね)

--ドサッ

真冬(疲弊。今日は疲れたわ。不純異性交遊の件は置いておくとしても、結局は私の一人相撲…)

真冬(いえ…相違。緒方さんが無事であることが確認できたもの。それで十分。それ以上は…何も望まない)

--けれど、もし……

136: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:10:46 ID:dZYike.M
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

成幸「--その手…虫さされと枝葉で切った傷だらけ…先生がなんであの事故のこと知ってたのか、やっとわかりました」
 
真冬「!」

成幸「--あの時緒方のこと心配して、雨の山の中探しまわってたんじゃないですか?」

真冬「----!!」ドクンッ

--けど、もし……気付いてくれる人がいたとすれば

成幸「伝えましょうよ! このこと知ったら緒方や古橋も先生のこと…」

真冬「……」トクン…

--理解してくれる人がいたとすれば、こんなに嬉しいことはない。
 だけど、今は私に甘えは許されない。だから少しの感謝を胸に、こう言おう。

真冬「絶対にやめて」


137: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:11:20 ID:dZYike.M
幕間・コンビニ前にて

成幸「じゃあお寿司のわさびとかパスタのタバスコとか」

真冬「論外、その単語を口にしないで」

成幸「(子供か…)あ、そういえば最近辛くないカレーラーメンが発売されたらしいですけど、それならいけるんじゃないですか?」

真冬「…考えておくわ」

後日買いました。

138: 深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:23:41 ID:dZYike.M
以上です。ネタ元は14~16話。
山中に人一人がいなくなったにも関わらず、探してたのがどうも先生だけっぽい感じだったり、成幸たちの処分が軽すぎ&周囲が誰も知らない感じなのを自分なりに補完してみました。
ついでに先生がカレーラーメンを食べてた理由などもw

感想、乙コメいつも励みになります。次もまたよろしくお願いします。

ぼくたちは勉強ができないSS ▶

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