センター試験を受ける若者には、優しくしてあげましょう!

2019年05月23日
センター試験を受ける若者には、優しくしてあげましょう!

1: ◆Spu26Ohnv. 2017/01/15(日) 21:01:18.20 ID:3h3bqheQ0

所詮この世は、

持ちつ持たれつである



2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/15(日) 21:03:38.58 ID:3h3bqheQ0
【センター試験 一週間前】

[学校の放課後]



男「さて」

女「おーい。一緒に帰ろうよ~」

男「ごめん。今日は図書室で勉強したいんだ」

女「あらら。アンタって真面目だよね~」

男「うーん。そうかな?」

女「じゃぁ、わたしも一緒に勉強していい?」

男「いいけど、キミは塾じゃないの。もうすぐセンター試験なのに」

女「あー、いいのいいの。どうせ自習だから。もう行かなくてもおんなじ」

男「うーん」

女「それより、私にとってはアンタと一緒に過ごす方が大事だもん。やっぱり」

男「……そう、なんだ」

女「じゃぁ、図書室にレッツゴー♪」

3: - 2017/01/15(日) 21:06:09.27 ID:3h3bqheQ0

カリカリカリカリ


女「えへへ」

男「どうしたの」


女「やー、こういう風に二人きりで過ごすのって、久し振りだなーって」

男「そうだっけ」

女「そうだよ。最近はお互い忙しかったりで、会うとかも全然なかったじゃん」

男「まぁ確かに。忙しかったね」

女「メールやツイイッターすらも、返してくれないし」

男「う、それはゴメン」

4: - 2017/01/15(日) 21:07:23.41 ID:3h3bqheQ0

カリカリカリカリ


男「ねぇ」

女「んー」


男「受験の手応えは、どう?」

女「まぁまぁかな。模試だと私立の第一希望はA判定。国公立はセンター次第かなー」

男「上手くいくといいね」

女「でも国公立も今年から出題形式変わったり、授業料が私立並みに値上がりとかで、やんなっちゃう」

男「たいへんだよねー」

女「まぁ、ねー」

5: - 2017/01/15(日) 21:08:26.86 ID:3h3bqheQ0

カリカリカリカリ


女「アンタはどうなの?」

男「んん」


女「もうすぐ受験っていうか、高校卒業だけど?」

男「……」

女「その、卒業したら、どうするの?」

男「……とりあえず、西区にある工場に、就職が決まったよ」

女「わ、そうだったんだ!オメデトー!」

男「……う、うん」

女「あ、あれ。あんまりめでたくなかった?」

男「いやいや。君の気持ちはウレシイよ。ただ、」

6: - 2017/01/15(日) 21:09:24.09 ID:3h3bqheQ0

女「ただ?」

男「結構、厳しくてさ。週休1日で残業月60時間。それで手取りは10万ちょっと」

女「……ここらだと不景気で、そんな感じかぁ」

男「都市部や東京だと、もうちょっと条件は良いらしいけど、自宅から出ることになるし」

女「あー、やっぱり難しい?」

男「じいちゃんばあちゃんの介護に、人手が足りなくなっちゃう。父さんはいい人だけど」

女「あー、不器用っぽいよねー」

男「うん。母さんの方のじいちゃんと、性格合わないし」

女「あわわわ」

7: - 2017/01/15(日) 21:10:35.82 ID:3h3bqheQ0

女「……お母さんは、お元気?」

男「うん。術後のリハビリも、ほぼ順調」

女「おぉ、それは良かった」

男「うん」

女「もー、そうなら連絡くれても良かったのにー。この連絡下手め!」

男「ご、ごめん」

女「お見舞いもできない状況かと思って、心配してたんだよ!」

男「わわわ。ほんとごめん」

女「まぁ、元気なら、何より」

男「うん」

男(本当は難しい手術で、手術費用で息子の進学代が吹き飛んだって落ち込んでるけど、ナイショ)

男(……僕も父さんも、家族みんな、母さんが生きてくれてただけで嬉しいし)

8: - 2017/01/15(日) 21:11:54.99 ID:3h3bqheQ0

男「ねぇ、大学受かったら、何がしたい?」

女「そうねー。うーん」

男「……」

女「……特に思いつかないなー」

男「あらら。何かあるでしょ。サークル入るとか旅行行くとか、バイトするとか恋愛するとか」

女「わー。ふじゅーん」

男「不純って」

女「サークルは見学してから決めるし、旅行やバイトはいつでもできるし、それに……」

男「それに?」

女「大学で恋愛とかは、アンタが居るから。私には、いい///」

男「……」

9: - 2017/01/15(日) 21:13:02.54 ID:3h3bqheQ0

女「アンタは、どうしたい?」

男「……特に、今までと同じ様に生活できてりゃいいよ」

女「ふーん」

男「遅くまで働くことになるから、シンドイだろうけど」

女「……」

男「家族の介護とかは、やっぱり自分達で看なきゃだし。家族は助け合うものだから」

女「……」

男「しっかり働いて会社に貢献して、家族も平穏に暮らせるなら、それで十分さ」

女「……」

10: - 2017/01/15(日) 21:15:32.17 ID:3h3bqheQ0

女「私さ、頑張るよ」

男「……」

女「大学行けなくなっちゃった、アンタの分まで、勉強するから」

男「うん。がんばれ」

女「うん。頑張るよ。がんばるから、だから……」

男「……」


女「……やっぱり別れようだなんて、言わないでよ」

男「……」

女「私は、アンタとずっと一緒にいたいもん」

12: - 2017/01/15(日) 21:16:48.34 ID:3h3bqheQ0

男「……保育園の時にした約束 、覚えてる?」

女「……忘れたことないよ」



男「大人になったら一緒に結婚して、小さくても家を買って」

女「犬を飼って、子ども3人くらいの、普通の暖かい家庭を作るって。懐かしいなぁw」


男「……あの頃は簡単だと思ったけど、今の僕ではゼッタイに無理だ」

女「……」

男「だから、僕と別れて、大学の中で、違うイイ人を見つけてくれないか」


女「……イヤよ!」


男「……けど」

女「……けどじゃないの! 嫌なものはイヤなの! 私のワガママでしかないけれど!」

男「……」

13: - 2017/01/15(日) 21:18:48.46 ID:3h3bqheQ0

女「……それにアレだから、私はセンター試験の受験生なんだよ!」

男「えっ!?? そうだけど、それが何か?」


女「……日本ではね、センター試験の受験者には、みんなが優しくしたげないとダメなんだよ!」


男「……」クスッ


女「……だからお願い。私のワガママ、聞いてよ」

男「……わかった。別れるのは、なしで」

女「……ありがと。ごめんね」

14: - 2017/01/15(日) 21:20:07.91 ID:3h3bqheQ0

キーンコーン カーンコーン♪


女「下校時間になっちゃったね」

男「帰ろうか。送るから」

女「うん」


女「泣いちゃってゴメン」

男「いいよ」



男「泣きたいのは、僕も同じだから」

15: - 2017/01/15(日) 21:21:26.83 ID:3h3bqheQ0

列車がホームに参ります。白線の内側まで~








がたんごとん ガタンゴトン

16: - 2017/01/15(日) 21:22:16.29 ID:3h3bqheQ0

男「それじゃ、また明日ね」

女「うん。また明日」

男「……僕さ、頑張るよ」

女「えっ」

男「負けたくないんだ」

女「……」

17: - 2017/01/15(日) 21:25:04.58 ID:3h3bqheQ0

男「どう頑張ればいいかとか、何に負けたくないか、それすら分からないけれど」

女「……うん」

男「とりあえず、[残りの時間] は、悔いが残らないように勉強しようと思う」

女「……わたしも隣で、勉強を頑張っていい?」

男「あぁ」

女「ありがとう」


男「じゃぁね」


女「ばいばい。大好きだよ」









女(あっ、そうだ。腕時計を買わなくちゃ)

女(途中で電気屋さん寄ろう)

18: - 2017/01/15(日) 21:26:13.13 ID:3h3bqheQ0

【電気屋】


女「腕時計、腕時計は……あっ、テレビで大学受験の特集してる」


TV「さて、今週はいよいよセンター試験です」

TV「しかし当日の天候は悪く、交通ダイヤの乱れなども予想されています」


TV「多くの若者、大学受験生にとって、大切な日です!」

TV「センター試験を受ける若者には、優しくしてあげましょう!」

19: - 2017/01/15(日) 21:28:50.83 ID:3h3bqheQ0

女(……確かに多くの若者は受験するけれど)


女(それでも若者の全員が、センター試験を受ける訳じゃないですよ)


女(大学に行かない人や、行きたくても行けなくなった人もいますから)


女(だからどうか)

女(そういう人たちも忘れずに、)

女(みんなに優しくしたげてください)



女(本当の本当に助けが必要なのは、きっとそういう人たちだから)

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/15(日) 21:39:38.53 ID:3h3bqheQ0
おしまい。朝ニュース見たとき思いついた



こう書いちゃったけど、センターの受験者さんたちにもエールを!


他の誰でもない、自分自身の為に頑張れる出来事って、後の人生そうそうないので

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