教師「問題児だらけのクラスを立て直す!」

2019年05月20日
教師「問題児だらけのクラスを立て直す!」

1: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 21:47:54.577 ID:cJ/zYuBu0.net
― 校長室 ―

校長「ようこそ、我が校へ。ワシがこの小学校の校長だ」ペロペロ

校長「君には、ある問題児だらけのクラスを立て直してもらいたい!」ペロペロ

教師「分かりました、校長」

教師「この私が問題児だらけのクラスを立て直してみせましょう。今日中に!」

校長「おおっ、頼もしい言葉だ。期待しているよ」ペロペロ

教師「……ところで校長、さっきから何をなめているのです?」

校長「ペロペロキャンディだよ。君もなめるかね?」ペロペロ

教師「結構です」

6: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 21:52:06.223 ID:cJ/zYuBu0.net
― 教室 ―



ヒソヒソ…… ヒソヒソ……



ガキ大将「おい、聞いたかよ? ウチのクラスに新しい担任が来るんだってよ」

いたずらっ子「早いっすね! こないだ前の担任を追い出したばかりなのに!」

おっさん(56)「どうやら、また我らの恐ろしさを思い知らさねばならんようだな」

ミニスカ少女「私たちならどんなセンセであろうとイチコロよ」ウフッ

ガキ大将「なにしろ、それがあの人の命令だからな」ニヤッ

9: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 21:56:18.002 ID:cJ/zYuBu0.net
朝の会――



ザワザワ…… ガヤガヤ……



ガキ大将「ちゃんと罠は仕掛けたんだろうな?」

いたずらっ子「へい、ドアには黒板消し、椅子には画びょうを設置したっす」

ガキ大将「おいおい……いきなり本気(ガチ)じゃねーか!」

いたずらっ子「新しい担任は今日中どころか、授業が始まる前にリタイアっすよ!」

10: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 21:59:23.042 ID:cJ/zYuBu0.net
スタスタ……



ガキ大将(来た……!)ニヤ…

いたずらっ子(落ちろ! ――オイラの黒板消し!)



ガラッ! ボトッ



教師「!」

12: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:02:25.927 ID:cJ/zYuBu0.net
教師「おっと」サッ

教師「危ない」フワッ…



いたずらっ子(なんだってぇ!?)

いたずらっ子(落ちてきた黒板消しをかわしただけでなく、お姫様だっこでキャッチ……!)



教師「怪我がないようでよかった」チュッ



いたずらっ子(しかも……祝福のキスまでっ……!)

14: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:05:36.183 ID:cJ/zYuBu0.net
教師「おやおや? 私の椅子に画びょうが着席してる」

教師「椅子を温めてくれたんだね……どうもありがとう」ヒョイッ



いたずらっ子(画びょうをあっさりと解除したばかりか、お礼までっ……!)

いたずらっ子(イタズラを感謝されちまったら、イタズラ師はおしめえだ……)

いたずらっ子(大将……すんません。オイラ、完敗しちまったっす……)ガクッ





いたずらっ子、戦意喪失(リタイア)――

15: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:09:23.236 ID:cJ/zYuBu0.net
1時間目 算数――

教師「――であるからして、この分母と分子は約分できるから……」カリカリ…

教師「ん?」

優等生「…………」カリカリカリ

教師「おい君」

優等生「なんでしょう?」クイッ

教師「今は“算数”の時間なのに、どうして“数学”の教科書を開いてるんだ?」

優等生「フッ、分かりきったことを聞く先生ですね」クイックイッ

18: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:13:05.561 ID:cJ/zYuBu0.net
優等生「ボクはすでに大学卒業以上の学問を修め終えており」

優等生「ノーベル賞は全部門を獲得、数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞も受賞しています」

優等生「数々の不治の病の特効薬を作り、先日はハーバード大学で講演まで行いました」

優等生「こんなボクが、なぜ小学校の低レベルな授業を受けねばならないのです?」クイッ

教師「む……」

優等生「100字以内で説明をお願いします」クイッ

20: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:18:15.640 ID:cJ/zYuBu0.net
教師「ノーベル賞だかドーベル賞だか知らんが学校の授業受けてるんなら四の五の言わずに
   算数の教科書開けやクソガキャア。それに難しい勉強ばかりしてる時に、
   あえて簡単な勉強をするのって結構いいクールダウンになるよん」

教師「――どうだ? ちょうど100字」

優等生「ぐわぁぁぁぁぁっ!」クイックイックイッ

優等生「語尾を“よん”にするという露骨な字数調整まで行うとは……やりますね」ハァハァハァ…

教師「ついでに教えとこう。さっきから眼鏡クイクイやってるけど、サイズ大きいんじゃないか?」

優等生「ぐぎゃあぁぁぁぁぁっ!」クイックイックイッ





優等生「ボクの……負けです……」クイッ

23: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:21:52.436 ID:cJ/zYuBu0.net
1時間目終了――

ひねくれ少女「ヒヒヒ……ねえ先生」

教師「ん?」

ひねくれ少女「黒板消していい?」

教師「ああ、いいとも。よろしく頼むよ」

ひねくれ少女「ヒヒヒ……じゃあちゃんと消すね」

24: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:25:40.845 ID:cJ/zYuBu0.net
2時間目 国語――

教師「…………!?」

教師「あれっ、どうして黒板が消えてるんだ!? さっきまであったのに!」

ひねくれ少女「ヒヒヒ、だって先生いったじゃん」

ひねくれ少女「あたしが『黒板消していい?』っていったら『いいとも』って」

ひねくれ少女「だから消しちゃったの! ヒヒヒ……ヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!」

教師「…………」

ひねくれ少女「あたし悪くないわよぉ! これは先生のミスよぉ! ヒヒヒヒッ!」





ガキ大将「あいつの屁理屈……相変わらずの切れ味だな!」

いたずらっ子「昔あいつに『手袋を反対から言って』って聞かれて答えたらバットで六回殴られたっす」

25: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:29:29.474 ID:cJ/zYuBu0.net
教師「そうだな……これは私のミスだ。ちゃんと『黒板の字を消してくれ』というべきだった」

教師「だが、黒板がなくても授業はできる」

教師「たとえば、この白い壁に私の指を押し付けることで……!」ガリガリ…



児童A「マ、マジかよ……!?」

児童B「あの先生、血で字を書いてやがる……ッ!」

ひねくれ少女「ヒイッ!?」



教師「どうだい? ちゃんと読めるだろ?」ガリガリガリ…

26: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:31:25.431 ID:0cKmncFv0.net
― 校長室 ―

校長「ようこそ、我が校へ。ワシがこの小学校の校長だ」ペロペロ

校長「君には、ある問題児だらけのクラスを立て直してもらいたい!」ペロペロ

教師「分かりました、校長」

教師「この私が問題児だらけのクラスを立て直してみせましょう。今日中に!」

校長「おおっ、頼もしい言葉だ。期待しているよ」ペロペロ

教師「……ところで校長、さっきから何をなめているのです?」

校長「ペロペロキャンディだよ。君もなめるかね?」ペロペロ

教師「結構です」

27: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:31:57.255 ID:0cKmncFv0.net
優等生「ぐわぁぁぁぁぁっ!」クイックイックイッ

優等生「語尾を“よん”にするという露骨な字数調整まで行うとは……やりますね」ハァハァハァ…

教師「ついでに教えとこう。さっきから眼鏡クイクイやってるけど、サイズ大きいんじゃないか?」

優等生「ぐぎゃあぁぁぁぁぁっ!」クイックイックイッ





優等生「ボクの……負けです……」クイッ

28: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:32:43.468 ID:cJ/zYuBu0.net
ひねくれ少女「やめてぇぇぇぇぇっ!!!」

ひねくれ少女「そこまでの覚悟を持ってる先生に、屁理屈は通せないよ!」

ひねくれ少女「あたしにも、ひねくれてるなりに“筋(ルール)”ってもんがあるのよぉ!」

ひねくれ少女「消した黒板、すぐに持ってくる!」スタタタッ

教師「……ありがとう」



教師(この赤い文字、実はケチャップだったりして。まだまだピュアだな……)フッ

29: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:36:25.076 ID:cJ/zYuBu0.net
教師「黒板が戻ったので、授業を再開しよう」

教師「えぇと、教科書の38ページから……」

生意気ガキ「つまんねー!」

教師「!」

生意気ガキ「先生の授業、マジつまんねー! あーつまんねー、つまんねー、つまんねー!」

教師「なんだと……」

生意気ガキ「あ、ムカつきました? だったら殴って下さいよ、ほらここを一発」ペチペチ

生意気ガキ「でも分かってます? ぼくを殴ったらあんたクビですよ、クビ」

生意気ガキ「だけど子供を殴れない大人とかガッカリだわー、ヘタレすぎるわー、ゆとりだわー」

31: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:39:38.331 ID:cJ/zYuBu0.net
生意気ガキ「殴ればあんたはクビ! 殴れなきゃ臆病者! 前門のギロチン、後門のチキン!」

生意気ガキ「どうします? どうされます? まさか蹴るとかいわないよね? 一休さんじゃあるまいし」

教師「あっ!」

生意気ガキ「お、クビになろうってんですか? 下手すりゃムショ行きっすよ! おもしれー!」

生意気ガキ「やって下さいよ! さ、早く! レッツ体罰!」

教師「ふんっ!」



バキッ! ドカッ! ドゴッ!

32: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:43:27.916 ID:cJ/zYuBu0.net
生意気ガキ「…………!」

生意気ガキ「ハ、ハハ……どこ殴ってんです? ギリギリのところで外したんですか?」

生意気ガキ「だけど、ぼくを殴ろうとした事実に変わりは――」

生意気ガキ「!」



スズメバチ『ちくしょう! あと少しでこの小僧を刺せたのに!』ブブブ…

マムシ『いてて……なかなかやるじゃねえか!』シャー

ヤドクガエル『我々の気配に気づくとは……』ゲロゲーロ



生意気ガキ「ぼくの後ろに危険生物が三匹も!? いつの間に!?」



飼育委員「すみません、あいつら檻から逃げ出しちゃいまして」

教師「気をつけてくれよ」

33: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:46:07.226 ID:cJ/zYuBu0.net
生意気ガキ「どうして助けたんだよ! ぼくにムカついてたはずなのに!」

教師「どうして?」

教師「教師が危機に陥ってる児童を助けるのは、当然だろう……!」

生意気ガキ「あああ……」

生意気ガキ「“生意気”じゃ“男気”には勝てない……!」ガクッ





ガキ大将「あいつの生意気さですら通用しねえのかよ……!」

いたずらっ子「これであいつも戦意喪失(リタイア)っすね……」

ミニスカ少女「ウフフ……だったらそろそろ私の出番かしらね」

36: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:50:09.638 ID:cJ/zYuBu0.net
中休み――

ミニスカ少女「はい、スカートめくり」ピラッ

児童A「うひょ~!」

児童B「いい眺め!」

ミニスカ少女「一回100円ね!」ピラッピラッ

児童A「最高だぁ~……!」デレー…

児童B「よぉし、今年のお年玉全部つぎ込んでやる!」ムフフ…





教師(小学生のくせになんて商売してるんだ、あの子は……)

37: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:53:48.939 ID:cJ/zYuBu0.net
ミニスカ少女「あらセンセ」

教師「こんな商売今すぐやめるんだ。ご両親が泣いてしまう」

ミニスカ少女「センセったら強がっちゃって。ほんとは見たいんでしょ? スカートの中身」

教師「ああ……見たいね」

ミニスカ少女「だったら100円――」

教師「ただし、スカートの中身の、さらに中身をだ」

ミニスカ少女「!!!」ギャーン

40: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 22:56:29.813 ID:cJ/zYuBu0.net
ミニスカ少女「中身の中身って……」

ミニスカ少女「そんなのダメよう! ハレンチよぉ! お嫁に行けなくなっちゃう!」ポッ…

教師「だろう? もっと自分を大切にするんだ」

ミニスカ少女「……はい」キュンッ

ミニスカ少女(これほどの大胆さと優しさを持ったセンセなんて、初めて……)





児童A「あーあ、これでもうあいつのパンツ見れなくなっちゃったなー」

児童B「残念だなー」

教師「まあまあ、君たちには私のお古のエッチ本をやろう。多少ガビガビだがね」

児童AB「ありがとう!!!」

41: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:00:17.973 ID:cJ/zYuBu0.net
3時間目 社会――

おっさん(56)「新任教師よ! よくぞこの時間まで耐え抜いた!」

教師「!」

おっさん(56)「しかし、ここまでだ! 私は今までの児童とは違う!」

おっさん(56)「今日この授業で、貴様に社会の厳しさを教えてやろう!」

教師「…………」

教師「あの……」

おっさん(56)「なにかね?」

教師「なんで小学生の中に、あなたのようなおっさんが混じってるんです?」

43: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:03:10.568 ID:cJ/zYuBu0.net
おっさん(56)「混ざってちゃいかんのかね?」

教師「いえ、いいですけど……」

おっさん(56)「…………」

教師「…………」

教師「失礼ですが、お仕事はなにを?」

おっさん(56)「なにも」

教師「…………」

おっさん(56)「…………」

46: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:08:17.669 ID:cJ/zYuBu0.net
教師「それで社会の厳しさを教える、というのは少々ムリがあるんじゃ……」

おっさん(56)「たしかに! 正論である!」

おっさん(56)「どうやら私はまず、職を探さねばならんようだ!」

おっさん(56)「ガキ大将たちよ、名残惜しいが、今日はここでさらば!」スタタタッ



ガキ大将「おっさーん!!!」

いたずらっ子「いいおっさんでしたよね、あの人」グスッ…

ミニスカ少女「うん、私のスカートの中身も絶対に見なかったもん」シクシク…



教師(さようなら……おっさん……。就活頑張って下さい!)

47: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:11:15.026 ID:cJ/zYuBu0.net
4時間目 理科――

― 理科室 ―

教師「じゃあ、班ごとに分かれて、アルコールランプの実験を始めよう」



ワイワイ…… ガヤガヤ……



教師「――ん?」



ぼっち娘「…………」ポツン…

48: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:14:31.124 ID:cJ/zYuBu0.net
教師「君はどうして、実験に参加しないんだ?」

ぼっち娘「だってあたし……友達いないから……」

ぼっち娘「どうせみんな、あたしのことなんか覚えてないしね」

ぼっち娘「先生だって、あたしの名前すら覚えてないでしょ?」

教師「覚えているさ」

50: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:18:14.102 ID:cJ/zYuBu0.net
教師「私は君の名前、生年月日、年齢、住所、電話番号、身長体重、血液型、成績、家族構成、家系図、
   スリーサイズ、DNA構成、病歴、今日の朝なにを食べたか……etc」

教師「――全部覚えてる」

ぼっち娘「ホント?」

教師「ホントだとも」ニコッ

ぼっち娘「嬉しいっ……!」ウルッ…

教師「さ、実験に参加しよう」

ぼっち娘「はいっ!」

55: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:23:55.106 ID:cJ/zYuBu0.net
ザワザワ……



教師「なんの騒ぎだ?」

児童A「せんせー、あいつがアルコールランプのアルコール、全部飲んじゃったんです!」

児童B「お前のせいで実験できねーじゃねーか! バカヤロー!」



デブ「うっ、うっ……お腹が減ってつい……」

56: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:27:00.097 ID:cJ/zYuBu0.net
教師「我慢できなかったのか?」

デブ「はい……」

教師「飲んでしまったものはしょうがない。気にするな」

デブ「ううっ……」

教師「だけど、車の運転はしちゃダメだぞ。酒気帯び運転になってしまう」

デブ「――はいっ!」

57: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:30:08.841 ID:cJ/zYuBu0.net
給食――

― 教室 ―

貧乏小僧「…………」

教師「ん? どうして給食を食べない?」

貧乏小僧「ぼくんち貧乏で、給食費払ってないから……」

教師「そんなことは関係ない。ほら、食べなさい。遠慮しないで」

貧乏小僧「…………!」

貧乏小僧「いただきますっ……!」モグモグ

60: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:35:15.245 ID:cJ/zYuBu0.net
教師「ところで、どうして君の家は貧乏なんだ?」

貧乏小僧「パチンコやパチスロに父の稼ぎを全部使っちゃうせいなんです……」

教師「ふーむ……今度、家庭訪問して君の両親を説得する必要がありそうだな」

貧乏小僧「あ、いえ、やってるのはぼくなんですけどね」

教師「…………」

貧乏小僧「…………」

教師「 や め ろ 」

貧乏小僧「は、はいっ! 明日から――」

教師「今日からだッ!!!」

貧乏小僧「す、すみませぇんっ!」

61: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:39:43.674 ID:cJ/zYuBu0.net
教師「……おや?」

偏食少女「…………」

教師「全然食べてないじゃないか」

偏食少女「ごめんなさい……」

教師「謝ることはないよ。嫌いなものを無理に食べるのはよくないしな」

偏食少女「い、いえっ、そうじゃないんです!」

教師「え?」

62: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:42:34.116 ID:cJ/zYuBu0.net
偏食少女「わたし、食べ物が好きすぎて……! あまり口をつけられないんです!」

教師「なるほど、そういうことか」

教師「だけど世の中――好きだからこそ傷つけるという“愛”もあるんだよ」

偏食少女「あるんですか!」

偏食少女「分かりました! わたし、食べます!」パクパクモグモグ

偏食少女「ああ……この罪悪感や背徳感、たまりません!」ムシャムシャ

偏食少女「おいしいいいいいいい!」バキベキボキ

教師(すごいな……食器ごと食べてしまった)

偏食少女「いつか先生のことも……食べてみせますね!」ニヒッ

教師「いいとも!」

教師(児童に食料として狙われる……これもまた教師の宿命!)

63: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:46:46.217 ID:cJ/zYuBu0.net
昼休み――

ガキ大将「ギャンブル依存症や偏食まで克服させるとは……どうやら、あいつ“本物”だな」

いたずらっ子「へい……みんな、やられちまいました!」

ミニスカ少女「私もあのセンセにちょっと惚れちゃったもの……」ポッ

ガキ大将「こうなったら、オレ自ら相手してやる!」

ガキ大将「ああいうタイプは小細工じゃ勝てねえ! 力でねじ伏せるのが一番よ!」



……

……



ガキ大将「先生、ちょっとツラ貸してくんな」

教師「……いいだろう」

64: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:51:14.254 ID:cJ/zYuBu0.net
― 校庭 ―

ガキ大将「まさかたった一日で、オレのクラスの奴らが改心させられるとは思わなかったぜ!」

ガキ大将「だがオレはまだアンタに従う気はねえ! こうなりゃ実力行使だ!」

ガキ大将「うおおおおおおおおおっ!!!」ベリベリッ



教師「すごいガタイだな、小学生離れしている」





いたずらっ子「ガキ大将さんは身長270cm! 体重220kg! 体脂肪率1.2%!」

ミニスカ少女「いくらあのセンセでも、素手のケンカで勝てる相手じゃないわ!」

おっさん(56)「これはどっちが勝つか読めんな!」

66: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:55:44.939 ID:cJ/zYuBu0.net
ガキ大将「ガキとは……漢字で書くと“餓鬼”」

ガキ大将「小学生ってのは、色んなものに餓えてるんだ……」

ガキ大将「酒は飲めねえ、パチンコやれねえ、こづかい少ない、何やるにしても親の許可がいる」

ガキ大将「あれもできない、これもできない……欲求不満だらけなのさ!」

ガキ大将「そしてオレはそんなガキどもの大将!」

ガキ大将「みんなの“餓え”をパワーに変えて、この拳を握るッ!」ギュッ

ガキ大将「それをあんたに叩き込んでやるッ! 覚悟はいいなッ!?」ゴゴゴゴゴ…



教師「もちろんだ。子供の駄々を正面から受け止めてこそ教師」



ガキ大将「うおおおおおおおおおおおっ!!!」ブオンッ

67: VIPがお送りします 2016/03/21(月) 23:59:07.974 ID:cJ/zYuBu0.net
ドゴォンッ!!!



ひねくれ少女「ヒエエエエ、すんごい音!」

生意気ガキ「パンチっていうか、もはや爆発だよ!」

優等生「先生の生存確率……0%!」クイッ



シュゥゥゥ……



「教師とは過酷な職業だ。時として悩みやストレスで“狂死”してしまうこともある」

「だが、それらの試練を乗り越えた“教師”は――」



強師「“強師”となるッ!!!」



ガキ大将「な……!? ノーダメージだとォ!?」

69: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:13:49.411 ID:gz6jIqzO0.net
強師「今の一撃……素晴らしかったぞ! 採点してやろうッ!」





グルグルッ!





強師はガキ大将の胸に、渦巻きに花びらをつけたようなアザを刻みつけた。





強師「――“花丸”だ」

ガキ大将「ぐはぁぁぁっ……!」ドザァッ…

70: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:15:14.246 ID:gz6jIqzO0.net
ガキ大将「やっぱり……ガキじゃ大人に勝て、ねぇか……。すげえよ、アンタ……」

教師「君こそ、すばらしいファイトだったよ」





教育完了!!!

71: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:17:11.362 ID:gz6jIqzO0.net
5時間目 体育――

― 校庭 ―

教師「今日は自習にしよう! みんな、好きなように遊んでいいぞ!」







ワーイッ!

72: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:21:09.270 ID:gz6jIqzO0.net
ガキ大将「よっしゃ、ドッジボールしようぜ! ドッジボール!」

いたずらっ子「いいっすねえ、やりやしょう!」

優等生「ボクの顔面にボールが当たって眼鏡が破損する確率……75%」クイッ

ひねくれ少女「ヒヒヒ、これを機会にコンタクトにしたら?」

生意気ガキ「生意気じゃなく、勇気でボールに立ち向かってやる!」

ミニスカ少女「私に軽くボール投げてくれた人には、サービスしちゃうわよ」ウフッ

おっさん(56)「ドッジボールか……数十年ぶりだな」

74: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:24:04.296 ID:gz6jIqzO0.net
デブ「ボクにボールは当たらないよ!」シャシャシャッ

児童A「デブはえええええ!」

児童B「残像見えてんだけど!」

貧乏小僧「パチンコも楽しかったけど……みんなと遊ぶのはもっと楽しい!」

ぼっち娘「ホント……楽しいね」

偏食少女「ボールおいしそう……」ジュルリ…



ワイワイ…… ガヤガヤ……



教師(みんな……本当にいい子たちだ……)

75: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:28:11.355 ID:gz6jIqzO0.net
……

……



― 校長室 ―

校長「――よくやってくれた」

校長「あの問題児たちを、まさか本当に一日で更生させてしまうとは」

教師「……あいにく、私のクラスに問題児なんていませんでしたよ」

教師「みんななんの問題もない、いい子たちでした」

校長「なに?」

教師「本当の“問題児”は……彼らを問題児に仕立て上げたあなたなんじゃないですか? ――校長!」

校長「ぐおおおおおおおおっ……!!!」

76: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:31:43.934 ID:gz6jIqzO0.net
校長「いつ気づいたのだ? ワシが“問題児”――すなわちまだ“子供”だと」

教師「最初からですよ」

教師「どこの世界にペロペロキャンディなめながら新任教師に挨拶する校長がいるんですか」

校長「フッ、さすがの観察眼だな」

校長「……そうさ! ボクはこんな貫禄ある顔だけど、まだ子供なのさぁ! 小学生なのさ!」

教師「…………」

77: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:34:53.009 ID:gz6jIqzO0.net
校長「だけどある日、教育委員会の人がやってきて――」



教育委員会の人A『君、校長先生っぽい顔してるね!』

教育委員会の人B『実はある学校で校長が突然辞めて困ってるんだ。だから校長先生になってよ!』



校長「こうして校長先生をやらされるハメになったのさぁ!」

教師「なんとむごい……」

80: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:40:25.942 ID:gz6jIqzO0.net
校長「ボクは、学校ってものに、教育ってものに、復讐してやろうと誓った……!」

校長「だからあのクラスの奴らに命令して、先生をツブしまくってもらったんだよ!」

教師「ツブされた先生たちはどうなったんだ?」

校長「ちゃんと次の赴任先や就職先を用意してやったよ。後味悪いのは嫌いだからね」

教師「いい子だ」ナデナデ…

校長「今さら子供扱いするなよ! 白々しいんだよ!」パシッ

教師「いや、教育者を代表して私から謝ろう。 ――すまなかった」

校長「!!!」ズキューン

校長「ううう……大人に謝られるなんて初めてだ……」

教師「悪いことしたら謝る。当然だろう」

校長「ううう……うわぁ~~~~~~~~~~ん!!!」

教師「今まで大変だったろう……君はもう子供に戻っていい頃だ」

82: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:43:13.335 ID:gz6jIqzO0.net
校長「ボク……どうすればいいかな?」

教師「私のクラスに入るといい。彼らなら必ず君を受け入れてくれる」

校長「だけど、そしたらこの学校から校長がいなくなっちゃうよ?」

教師「大丈夫、ちょうどいいおっさんが一人いる」



………………

…………

……

85: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:48:41.745 ID:gz6jIqzO0.net
おっさん(57)「私が今日から新しい校長です! みなさん、よろしく!」



教師(おっさん……誕生日を迎えたんですね、おめでとう)



ガキ大将「お前が小学生だったなんてビックリだぜ! よろしくな!」

いたずらっ子「一緒に遊ぶっすよ!」

元校長「うんっ!」



教師(どうにか教育委員会を説得し、あの子も小学生に戻ることができた)

教師(ウチのクラスにちゃんと馴染めているようだ)

教師(もう私のクラスに問題児なんて一人もいない……)

87: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:52:36.810 ID:gz6jIqzO0.net
― 教室 ―

教師「さぁ、今日もはりきって授業を始めよう!」



はーいっ!!!



教師「あ、教科書を職員室に忘れてしまった! ごめん、ちょっと待っててくれ!」



クスクス…… ハハハ……



教師(だけど、自分が問題教師なんていわれないよう、気をつけないとな!)







~おわり~

88: VIPがお送りします 2016/03/22(火) 00:52:48.270 ID:gz6jIqzO0.net
ありがとうございました

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