男「俺の能力は……“ゆとり”だ」

2019年05月31日
男「俺の能力は……“ゆとり”だ」

1: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 16:17:18.92 ID:INl3wed9o

男「俺の能力は……“ゆとり”だ」


敵能力者「ゆとりだと……!?」


敵能力者(どんな能力だ!? 敵の動きや思考をゆっくりにする能力とかか!?)


敵能力者(まあいい、どんな能力であろうとオレが負けるわけねえ!)


敵能力者「夢を見させてやんぜ! 永久になァ!」




2: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 16:21:42.20 ID:INl3wed9o

男「ふんっ!」ガオンッ


敵能力者「!?」ビクッ


敵能力者「なんだ……!? 今なにしやがった……!?」


敵能力者「こけおどしか……ビビらせやがって! 喰らえ、オレの能力を!」

3: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 16:25:46.47 ID:INl3wed9o

敵能力者「どうだ? 俺の目は?」


男「……」


敵能力者「ほら、ちゃんと見てよ」


男「ちょっと充血してるね」


敵能力者「え、マジ?」

4: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 16:29:42.13 ID:INl3wed9o

敵能力者「――って、なにやってんだ、オレは!」


敵能力者「ほら、オレの目をよく見てくれよ! じっくり見て!」


男「奥二重でキュートだね」


敵能力者「そうか? ありがとう」


敵能力者(あれ!? おかしい! なんでオレの能力を発動できないんだ!?)


敵能力者(オレの能力は敵に“夢を見せる能力”なのに――)ハッ

5: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 16:33:45.95 ID:INl3wed9o

敵能力者「ま、まさか……まさか……!」


男「そのまさかだ」


男「俺の能力で、お前の“夢を見せる能力”を“目を見せる能力”に変えたんだ」


敵能力者「バ、バカな……ッ! そんなことが……ッ! できるわけ……ッ!」


男「信じられないのなら、もっとやってみせようか」

6: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 16:36:19.93 ID:INl3wed9o

男「たとえばほら、お前が持ってる湯たんぽ」


敵能力者「ハッ!」


男「ふんっ!」ガオンッ


敵能力者「ああっ、こ、これは……ッ!」

7: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 16:39:05.35 ID:INl3wed9o

敵能力者「湯たんぽが……“担保”になった!」


男「もしお前が借金を返せなくなったら、その湯たんぽは持っていかれることになる」


敵能力者「ぐ、ぐぐぐ……ッ!」

8: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 16:42:59.72 ID:INl3wed9o

男「さらに、お前がさっきまで飲んでいたジュース」


敵能力者「あ、飲みかけだったやつ……」


男「これを……ふんっ!」ガオンッ


敵能力者「うわあああっ!」

9: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 16:45:55.67 ID:INl3wed9o

ジース「オレはギニュー特戦隊のジース! よろしくな!」


男「こうなる」


敵能力者「ジュースが……“ジース”に……ッ! あとで飲もうと思ってたのに!」


敵能力者「カタカナや小さいゆにも効果があるのかよ……!」

11: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 16:49:41.56 ID:INl3wed9o

男「他にも、あそこにいる女同士のカップル」





女A「ほら、あーんして」ウフフッ


女B「あーん」オホホッ





男「ふんっ!」ガオンッ

12: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 16:55:01.08 ID:INl3wed9o

女A「今日はモホロビチッチ不連続面について語り合いましょうか」


女B「地殻とマントルの構造について、思う存分議論を交わしましょう」





男「俺にかかればああなる」


敵能力者「せっかくの百合カップルが……“理”カップルになっちまった……!」


ジース「へえ、すごい能力だな! グルドでもこんなことできないぞ!」

13: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 17:00:35.93 ID:INl3wed9o

UFO「……」キーン


男「ふんっ!」ガオンッ


レイザーラモンHG「ーフォーーーーーーーーーーーー!!!」キーン


敵能力者「ああっ、UFOが!」





有名人「どうも、有名人です」


男「ふんっ!」ガオンッ


うめい人「うめい! うめい!」


ジース「これはさすがに苦しくねえか!?」

14: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 17:06:49.77 ID:INl3wed9o

男「さて、そろそろトドメを刺してやろう」


敵能力者「ぐっ……!」


男「たしかお前の名前は由太郎だったな?」


敵能力者「なんで知ってるんだ!?」


男「戦う前に名刺くれたじゃん」


敵能力者「あ、そっか」


男「ふんっ!」ガオンッ

15: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 17:09:52.27 ID:INl3wed9o

男「これでお前の名前は……“太郎”になった」


敵能力者「うわあああああ!」


敵能力者「せっかくオシャレな名前だったのが、履歴書の見本欄にうってつけな名前に……」


敵能力者「オレの……負けだ……。完敗だ……!」ガクッ

16: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 17:13:38.18 ID:INl3wed9o

敵能力者「同じ能力者同士で、まさかここまで力の差があるとはな……」


男「いや……そんなことはないさ」


男「先にお前の能力を発動されていたら、俺は今頃夢の中だったからな。紙一重だった」


敵能力者「ありがとう……」ジーン…


ジース「それにオレはタロウって名前もシンプルでいいと思うぜ?」


敵能力者「え、そうかな!? へへっ!」

18: SS速報VIPがお送りします 2016/05/19(木) 17:20:36.37 ID:INl3wed9o

男「今日から俺たちは友達だ」


敵能力者「ああ!」


ジース「よっしゃ、じゃあ三人でチョコレートパフェでも食いに行こうぜ!」


男「そうだな、戦った後には甘い物が一番だ」


敵能力者「あ、そうだ! ジース、あとでクラッシャーボール見せてくれよ!」


ジース「いいとも! 特別に滅多にやらないスペシャルバージョンを披露してやるぜ!」





こうして戦いは終わった……。

彼ら三人の間で結ばれた固い友情の“ゆ”は、“ゆとり”能力でも取れないに違いない……。







― END ―

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