毒使い「正々堂々と敵軍に毒を盛る!」

2019年06月02日
毒使い「正々堂々と敵軍に毒を盛る!」

1: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:08:56.124 ID:UscTMCVX0.net
― 城 ―

兵士「陛下、騎士団が敵軍に敗れ、壊滅いたしました!」

国王「なんだと!? 団長はどうしたのだ!?」

兵士「騎士団長も善戦されましたが、やはり多勢に無勢で……」

国王「そうか……あの精鋭がこうもあっさりと……」

国王「もはやこれまで……大人しく降伏し、ワシも潔く自害するしかあるまい……」



毒使い「お待ち下さい、陛下!」

3: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:13:13.631 ID:UscTMCVX0.net
国王「おぬしは……?」

毒使い「私は城下町に住む、毒使いでございます!」

国王「ほう……毒使い……。いったいなんの用かな?」

毒使い「祖国が滅びるところを黙って見ているなど耐えられません!」

毒使い「どうか私に機会をお与え下さい!」

国王「う~む……」

4: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:16:54.564 ID:UscTMCVX0.net
国王「しかし、おぬし一人でいったい何が出来る?」

毒使い「いえ、私一人ではありません」

毒使い「このたびは、私の親友たちを呼び寄せてまいりました!」



女病魔士「病気を操る術師です……。よ、よろしくお願いします……」

死体使い「ボクは死体使い! よろしくね!」

呪術師「オレは呪術師だァァァ!」



毒使い「まずは私に、敵軍と戦う機会をお与え下さいませ!」

国王「う~む……」

5: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:19:56.338 ID:UscTMCVX0.net
国王「しかし……我が国は建国以来、正々堂々と戦うことを貫いてきた騎士の国だ」

国王「いくら滅びの危機にあるとしても、卑怯な手段で戦うなど絶対に許されぬ」

国王「たとえば、武器に毒を塗るなどということは断じてあってはならんのだ!」

毒使い「ご安心下さい、陛下。武器に毒を塗ることなどいたしません」

国王「ほう? ではどうするというのだ?」

毒使い「敵軍の水と食料に……毒を盛ります!」

国王「おおっ、なんという正々堂々! それならなんの問題もない!」

10: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:23:49.894 ID:UscTMCVX0.net
毒使い「しかし、この作戦を実行するには、敵軍の水や食料を手に入れる必要があります」

毒使い「どうやって手に入れるかを考えねばなりません」

国王「では兵士よ、敵軍の水と食料を出来る限り奪ってくるのだ!」

兵士「かしこまりました!」

11: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:26:44.786 ID:UscTMCVX0.net
兵士「――奪ってまいりました!」ドサッ

国王「ご苦労」



毒使い「よし、これで敵軍に毒を盛ることができる!」

毒使い「みんな……私に力を貸してくれ!」



女病魔士「は、はいっ……」

死体使い「オッケー!」

呪術師「うおぉぉぉぉぉッ! 野郎ども、やってやろうぜェ!」



オーッ!!!

15: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:30:48.166 ID:UscTMCVX0.net
毒使い「みんなには、私が調合したこの毒薬を盛ってもらう!」

死体使い「どんな毒薬なんだい?」

毒使い「これを体内に含むと、すぐに全身がピリピリ痺れ、もがき苦しむことになる!」

毒使い「やがて、10リットルは血を吐きながら、息絶えることになるんだ!」

女病魔士「すばらしい毒ですね……」

呪術師「人間の血液量はせいぜい4、5リットルだってのにすげえじゃねえか!」

毒使い「人体に過剰に造血させる作用は特に工夫したところなんだ、嬉しいよ!」



国王(なんという正々堂々とした効果の毒薬だ……)

18: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:34:38.624 ID:UscTMCVX0.net
地道な作業が始まった。

女病魔士「…………」モソモソ…

死体使い「…………」モソモソ…

呪術師「…………」モソモソ…

兵士「…………」モソモソ…



毒使い(みんな黙々と水や食料に毒を盛ってくれている……)モソモソ…

毒使い(ありがとう……みんな!)キラッ…

毒使いの目にうっすらと涙が光る。

19: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:37:14.601 ID:UscTMCVX0.net
国王「ワシも……手伝いたいんだが、よいかな?」ヒョコッ

毒使い「もちろんです、陛下! ありがとうございます!」

国王「よし、正々堂々と毒を盛るぞ!」



毒使い(みんなが一致団結してる……! この戦、勝てる……!)

21: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:41:13.836 ID:UscTMCVX0.net
毒使い「できたぁっ!」

毒使い「奪ってきた水と食料全てに毒を盛り終えることができた!」

女病魔士「やりましたね……」

死体使い「あ~……疲れた」

呪術師「いよっしゃぁぁぁぁぁっ!!!」

国王「兵士よ、これらを元の場所に戻してくるのだ」

兵士「かしこまりました!」

23: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:44:18.389 ID:UscTMCVX0.net
兵士「――戻してきました!」

国王「ご苦労」



毒使い「さて、あとは……敵兵たちがそれを食べてくれるかだ……」

毒使い「もしかすると毒が効果が発揮しない可能性もある……」

死体使い「信じようよ、キミの毒を!」

毒使い「そうだな。私は私が調合した毒薬を信じるッ!」

国王「うむ……信じるのだ! 毒が正々堂々と敵軍を打ち倒すことを!」

25: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:48:12.561 ID:UscTMCVX0.net
― 敵軍基地 ―

敵兵A「ぐぅえぇぇぇぇぇ!」ゲボォォォォォ

敵兵B「ぐはぁぁぁぁっ!」ゲボボボボボ

敵兵C「うがぁぁぁっ!」ゲボッシャァァァ



敵将「なんだこれは!? 食事をした兵士たちが次々と……!」

敵将「――そうか! しまった! 毒を盛られたか……!」



敵軍基地は阿鼻叫喚の地獄となった。

28: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:52:14.080 ID:UscTMCVX0.net
― 城 ―

兵士「陛下、敵軍基地は大パニックに陥っています!」

国王「おおっ、そうか! 倒れた者たちの無念を晴らすことができた!」

国王「毒使いよ、よくやってくれた!」

毒使い「いえ……みんなの力があったからこそできたことです」

毒使いはさわやかな笑みを浮かべた。

29: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 22:56:36.992 ID:UscTMCVX0.net
兵士「しかし……敵の将軍がすぐに異変に気付いたため」

兵士「敵軍10万のうち、9万人はいぜん健在です」

兵士「まもなく我が国への攻撃を再開するでしょう」

国王「うむむ……敵もやるものだな」

国王「対する我が国の戦力は、もはや数千程度……どうすればよいのか……」



死体使い「ようし、今度はボクに任せてもらおうか!」

死体使いが名乗りを上げた。

32: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:00:13.383 ID:UscTMCVX0.net
国王「おぬしは死体を操ることができるのだな?」

死体使い「はい、ボクが死体をゾンビ化すれば、戦力がぐんと増えるよ!」

国王「う~む……」

国王「だがな、前もいったが我が国は正々堂々を重んじる国だ」

国王「毒薬で倒れた敵兵を、兵士として使うような卑劣なマネは断じて許可できん!」

死体使い「心配ご無用! 敵兵なんか使わないよ!」

国王「ほう? では、だれをゾンビ化させるのだ?」

死体使い「たっぷり死体があるじゃないか……この国の騎士団のね!」

国王「おおっ、それならばなんの問題もない!」

34: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:05:18.788 ID:UscTMCVX0.net
死体使い「だけど……死体がないとゾンビ化の秘術は使えないや」

死体使い「騎士団の死体を、誰かに取ってきてもらわなきゃ」

国王「兵士よ、戦場で志半ばで倒れた騎士団長たちの死体を回収してくるのだ」

兵士「かしこまりました!」

36: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:08:30.011 ID:UscTMCVX0.net
兵士「――回収してきました!」

国王「ご苦労」

死体使い「よし……これでゾンビ化の秘術を使える!」

死体使い「みんな、憎しみと怒りと絶望とこの世への未練を糧にゾンビになあれ!」ボワァァァ…



ウゾウゾウゾ……



国王「おおっ、すごい! 戦死したはずの騎士たちが動き始めた!」

39: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:12:21.761 ID:UscTMCVX0.net
ゾンビ団長「これは……?」ムクッ

国王「騎士団長! よくぞ戻ってきてくれた!」

ゾンビ団長「陛下、申し訳ありませぬ! 我らが不甲斐ないばかりに……」

国王「いや、よいのだ。おぬしらはよくやってくれた」

国王「これからも正々堂々と、騎士らしく戦って欲しい」

ゾンビ団長「ははっ!」バッ



毒使い(主君と騎士の感動の再会だな……)キラッ…

毒使いの目にうっすらと涙が光る。

41: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:16:11.697 ID:UscTMCVX0.net
死体使い「もうキミたちは死んでるわけだから、二度と死ぬことはない」

死体使い「その体が腐り、朽ち果て、ボロボロに崩れるまで存分に戦ってくれ!」

死体使い「敵軍にガンガン突っ込んでいいからね! むしろ突っ込んでくれ!」

ゾンビ団長「ありがとう!」



ゾンビ団長「ゾンビになった騎士たちよ! 我らは再び敵と戦うぞ!」



オーッ!!!

43: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:19:17.940 ID:UscTMCVX0.net
ゾンビ団長「しかし、いかにゾンビ化しても、我らは一度敗れた身……」

ゾンビ団長「どこまで敵とやり合えるか……」

国王「う~む……」



女病魔士「あ……でしたら……私がサポートします」

女病魔士「敵軍にウイルスをまき散らせば……きっと有利になりますから……」

今度は女病魔士が協力を申し出た。

44: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:23:24.504 ID:UscTMCVX0.net
国王「おぬしは病気を扱う女性であったな」

女病魔士「は、はい……」

国王「だが、どうやってウイルスをばら撒くのだ?」

国王「しつこいようだが、我が国は正々堂々を重んじる騎士の国」

国王「風を使ってウイルスをばら撒くような、卑怯なマネはできぬ!」

女病魔士「それなら、大丈夫です……」

女病魔士「ゾンビ化した団長さんたちにウイルスを感染させ、ばら撒いてもらいます」

女病魔士「団長さんたちはもう死んでるので、病気では死にませんから……」

国王「なるほど! 正々堂々としたやり方だ!」

ゾンビ団長「私の中の騎士道精神が燃え上がりますよ!」

46: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:26:12.809 ID:UscTMCVX0.net
女病魔士「ウイ君、ルスちゃん、お願い……」ボワンッ

女病魔士は可愛いウイルスの精霊を呼び出した。

ウイ「なんだい?」

ルス「なにかしら?」

女病魔士「ゾンビの騎士さんたちを……病気にしてあげて」

ウイ「あいよ!」

ルス「任せといて!」

47: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:29:58.796 ID:UscTMCVX0.net
国王「ちなみに、おぬしの操るウイルスはどんな症状を引き起こすのだ?」

女病魔士「はい……」

女病魔士「まず、全身をナイフやアイスピックで刺されるような痛みが襲い」

女病魔士「やがて目、耳、鼻と機能が低下しますが、痛覚だけはしっかり残ります」

女病魔士「そして三日三晩苦しんだ後、口から泡を吹いて死に至る……という病気です」

国王「ふむ……実に正々堂々とした病であるな。我が国に相応しい」

国王「しかし、我々が感染することはあるまいな?」

女病魔士「はい……ちゃんと調整してますので、それは大丈夫です……」

女病魔士「多分……」

国王「正直でよろしい!」

49: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:35:09.955 ID:UscTMCVX0.net
すると、病気持ちのゾンビとなった団長のもとに妻が駆けつけた。

妻「あなた!」

ゾンビ団長「おおっ、妻よ」

妻「死んだと聞いていたけど、よかった……生きてたのね」

ゾンビ団長「生きてはいないがね。体もこのとおり、ポロポロ崩れるよ」ポロッ…

妻「まぁっ、ステキ! ジグソーパズルみたいだわ!」

妻「しかもこの、肉が腐ったようなデススメルがたまらないわ!」クンクン…

ゾンビ団長「ハハハ、ありがとう! ゾンビ化したかいがあったというもの!」



毒使い(死が二人を分かったのに、二人は別れることはなかったんだな……)キラッ…

毒使いの目にうっすらと涙が光る。

52: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:40:36.567 ID:UscTMCVX0.net
― 戦場 ―

ゾンビ団長はゾンビになった部下を引き連れ、敵軍へ突撃した。

ザシュッ! ザクッ! ズバァッ!

敵兵D「くそう、なんなんだこいつら! いくら斬っても倒れねえ!」

敵兵E「どうなってやがる!?」

ゾンビ団長(素晴らしい! いくら敵の攻撃を受けても、まったく痛みを感じぬ!)

ゾンビ団長(妻よ、見ているか!)

ゾンビ団長(私は正々堂々、ウイルスをまき散らしているぞ!)

ゾンビ団長は生きている時でも見せなかったような満面の笑みを浮かべた。

53: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:43:18.348 ID:UscTMCVX0.net
ゾンビ団長「よぉ~し、咳を開始! 正々堂々とウイルスをばら撒け!」ゲホッゴホッ



ゾンビ騎士A「はいっ!」ゴホッゴホッ

ゾンビ騎士B「騎士団の名にかけて!」ケホッケホッ

ゾンビ騎士C「ひまわり!」ゴッホゴッホ

54: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:49:15.749 ID:UscTMCVX0.net
― 敵軍基地 ―

敵兵D「ぐわぁぁぁ! 体が痛いよぉぉぉ!」ゴロゴロ…

敵兵E「助けてくれぇぇぇ……。いっそ殺してくれぇぇぇ……」ブクブク…

敵兵F「うぎゃぁぁぁ……!」ゴロゴロ…

激痛に襲われ、次々に泡を吹いて倒れていく敵兵たち。



敵将「なんだ、この得体の知れない疫病は!?」

敵将「……こうなれば止むを得ん! 無事な兵士で、勝負をかけるしかあるまい!」

57: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:52:38.540 ID:UscTMCVX0.net
― 城 ―

国王「よくやってくれた……!」

妻「さすがよ、あなた!」

ゾンビ団長「私はなにもしていないよ。みんな、死体使い殿と女病魔士殿のおかげだ」

死体使い「へへっ、そんなことないって」

女病魔士「はい……団長さんたちのお力です……」

ゾンビ団長「ん……蝿か」プーン…

妻「あら、あなたに蝿がたかるようになってきたわね。ステキ!」

国王「いい騎士というのは、蝿に好かれてしまうのだ」

58: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:56:06.809 ID:UscTMCVX0.net
ところが――

兵士「陛下、大変です!」

国王「どうした?」

兵士「敵の総大将が、まだ生き残っている精鋭を率いて、突撃を仕掛けてきました!」

兵士「あまりの凄まじさに、我が国の兵士もゾンビ騎士たちも蹴散らされています!」

国王「なっ、なんだと!? おのれ、最後の勝負を挑んできよったか!」

59: VIPがお送りします 2016/02/10(水) 23:59:14.842 ID:UscTMCVX0.net
敵将「うおおおおおおおおおおっ!」

敵将「こうなれば武人としての意地よ!」

敵将「病で全滅する前に、我らでこの国を滅ぼしてくれるわぁぁぁっ!」

ドカッ! ドシュッ! ザシュッ!



敵将の強さはまさに一騎当千。鬼のような勢いで王の首を獲らんと突き進んでいく。

61: VIPがお送りします 2016/02/11(木) 00:05:33.588 ID:5CGP653p0.net
国王「うぬう、どうすれば……!」

毒使い「我々は直接の戦闘力は低い……このまま攻め込まれたら打つ手はない!」

女病魔士「ど、どうしましょう……」

死体使い「まいったな……」

ゾンビ団長「こうなれば私が相手をしてやる!」ボロッ…

妻「今のあなたじゃ肉壁や捨て駒にすらなれないわよ……」



呪術師「いよっしゃァァァァァッ! ようやくオレの出番だなァ!」

ついに呪術師がハンマーを持ってやってきた。

63: VIPがお送りします 2016/02/11(木) 00:08:59.736 ID:5CGP653p0.net
呪術師「だれか敵将の髪の毛を入手してくれ!」

呪術師「そうすりゃ、オレがヤロウを呪い殺してやるぜェッ!」

毒使い「そうか……! その手があった!」

国王「実に正々堂々とした手段だ! 兵士よ、敵将の髪の毛を入手してまいれ!」

兵士「かしこまりました!」

65: VIPがお送りします 2016/02/11(木) 00:12:09.656 ID:5CGP653p0.net
兵士「――入手してきました!」

国王「ご苦労」



呪術師「これさえありゃ、ヤロウがどんなに強くても無意味ッ! 呪い殺せるぜッ!」



巨大なワラ人形に敵将の髪を入れ、巨大な釘を刺し、地上に寝かせる。

そして、呪術師は巨大なハンマーを構える。

67: VIPがお送りします 2016/02/11(木) 00:17:06.813 ID:5CGP653p0.net
呪術師「うおおおおおおおおおおっ!!!」

呪術師「オレの鉄槌がヤロウを呪えと轟き叫ぶ!!!」

呪術師「今こそッ! この戦争でやられたヤツらのッ!! 恨みを晴らすッ!!!」



バッ!



呪術師が上空へと飛び上がる。

69: VIPがお送りします 2016/02/11(木) 00:21:24.726 ID:5CGP653p0.net
呪術師「うっしゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

呪術師「みんな……オレに力を貸してくれッ!」



毒使い「いけぇっ!」

女病魔士「どうか……っ」

死体使い「頼むよ!」

国王「正々堂々と呪ってくれ!」

ゾンビ団長「騎士団の力……全て託そう!」

妻「あなた、お弁当作ってきたわ」

兵士「お願いしますっ!」



呪術師「ヤロウの心臓……ブッ貫いてやるぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」ブオンッ





ズガァァァァァンッ!!!

71: VIPがお送りします 2016/02/11(木) 00:25:11.825 ID:5CGP653p0.net
みんなの力を乗せた呪いは――成就した。



敵将「ごふっ……! わ、私の心臓が……!」

敵将「そうか……これが、絆の力……!」

敵将「み、みごとだ……」ガクッ…





敵将がいなくなったことで、残った敵軍は総崩れとなり、どうにか戦争は終結した。

72: VIPがお送りします 2016/02/11(木) 00:30:24.924 ID:5CGP653p0.net
― 城 ―

国王「おぬしらの正々堂々たる戦いぶりで我が国と我が国の誇りは守られた」

国王「本当にありがとう」

ゾンビ団長「私からも、騎士団を代表して礼をいわせていただく」

毒使い「いえ……」

毒使い「陛下が正々堂々とした態度を貫かれたので、私たちは勝つことができたのです!」

国王「毒使いよ、これからもワシに仕えて欲しい!」

毒使い「喜んで!」

………………

…………

……

73: VIPがお送りします 2016/02/11(木) 00:34:17.690 ID:5CGP653p0.net
~ 後日談 ~



死体使い「どうやらボクは、キミに恋の病にかけられてしまったようだ……」

女病魔士「死体使いさんと……したいです」

死体使い「結婚しよう!」

女病魔士「はい……」ポッ…



呪術師「オレはようやく気づいた! オレの天職は呪術師ではないと!」

呪術師「この巨大なハンマーで土木工事開始だァ!」

呪術師「野郎ども、今日中にここに用水路を作るぞォォォォォ!」

ガンッ! ガンッ! ガツンッ!

74: VIPがお送りします 2016/02/11(木) 00:39:05.863 ID:5CGP653p0.net
ゾンビ団長「ついに肉が削げ、骨が見えてきてしまったよ! ハッハッハ!」

妻「そろそろゾンビからスケルトンに名前を変える時かしら?」

子「とってもかっこいいよ、パパ!」

ゾンビ団長「我らゾンビ騎士団、これからも腐臭を放ちながら国を守るぞ!」

オーッ!!!



兵士「ただいま、母さん!」

兵士母「お帰り! よかった……無事だったんだね」

兵士「うん……だけど俺はなんの役にも立てなかったけどさ」

兵士母「いいんだよ。私はお前が生きて帰ってきてくれただけで幸せだよ」ニコッ

75: VIPがお送りします 2016/02/11(木) 00:45:07.971 ID:5CGP653p0.net
毒使い「陛下!」シュザッ

毒使い「本日も正々堂々と、陛下の政敵や敵国の重要人物に毒を盛ってまいりました!」

国王「よくやった!」

国王「我が国は正々堂々を重んじる騎士の国……卑劣な行為は許されぬ!」

国王「これからも、正々堂々と敵を毒殺しまくろうぞ!」

毒使い「はいっ! 私はどこまでも陛下についてまいります!」







― おわり ―

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