殺し屋「寡黙な殺し屋と心を読める少女」

2019年06月21日
殺し屋「寡黙な殺し屋と心を読める少女」

1: SS速報VIPがお送りします 2015/11/21(土) 01:31:07.34 ID:6NOSduWfo

ボス「まっ、待ってくれっ……! 命だけはっ……!」

殺し屋「…………」

ボス「そうだ! あの金庫には組織の全財産が入ってる! だから見逃してくれえっ!」

殺し屋「……どうだ?」

少女「真っ赤なウソね。あの金庫の中はからっぽ、なんにも入ってないわ」

ボス「!?」ギョッ

少女「ついでにいうと、この命乞いも時間稼ぎ」

少女「外に出ていた部下たちがもうすぐ帰ってくるから……それまでのね」

ボス「な、なんで!? なんで分かったんだ!?」



2: SS速報VIPがお送りします 2015/11/21(土) 01:35:02.73 ID:6NOSduWfo

少女「だけど、あの机の裏には秘密の抜け穴があるから」

少女「あそこから出れば、あたしたち部下に見つかることなく無事に出られるわよ」

殺し屋「……そうか」

ボス「なんでそんなことまでぇっ!? そのガキは俺の心が読めるのか!?」

殺し屋「仮に本当のことを話してたとしても……始末することに変わりはないがな」チャッ

ボス「ま、待っ――」

バンッ! バンッ! バンッ!



殺し屋「……終わった」

少女「それじゃ、秘密の抜け穴から脱出しましょ」

3: SS速報VIPがお送りします 2015/11/21(土) 01:38:28.60 ID:6NOSduWfo

――

――――

――――――



女(ようやく、情報屋に凄腕の殺し屋を紹介してもらうことができたわ)

女(寡黙な殺し屋と心を読める少女のコンビ、らしいけど……)

女(その二人なら、きっと私の父の仇を討ってくれるはず!)

女(早く指定された場所に向かわないと!)

4: SS速報VIPがお送りします 2015/11/21(土) 01:41:33.77 ID:6NOSduWfo

少女「こんにちは」

殺し屋「…………」

女「こ、こんにちは……」

女(無邪気な可愛い女の子と、いかにも殺し屋って感じの刺すような眼光の男……)

女(一見不釣り合いだけど、たしかに凄腕そうな雰囲気はあるわね)

少女「でしょ? 不釣り合いだけど腕は確かだよ」

女「!」ビクッ

女(心を……読まれた……!?)

少女「そう、心を読んだの」

女(すごい……! 情報は本当だったんだ……!)

少女「本当だったのよ。それじゃ、依頼内容について話してくれる?」

5: SS速報VIPがお送りします 2015/11/21(土) 01:45:39.38 ID:6NOSduWfo

女「私の父は……小さな町工場を営んでいました」

女「頑固だけど情に厚く、従業員みんなに慕われていました」

女「だけどある時、そんな父に妙な男たちが近づいてきたのです」

女「彼らの狙いは、父の持つ技術を軍事転用することでした」

女「父は断固として断りましたが――」

女「結局、父は殺され、父の持つノウハウも全て盗まれてしまいました」

女「そして、調査の結果、この事件の黒幕はある大企業の社長だと分かったのです」

女「お願いします、殺し屋さん! どうか……どうか!」

女「あの大企業の社長を殺して下さい! 父の仇を討って下さい!」

少女「ふむふむ、敵討ちか」

殺し屋「…………」

6: SS速報VIPがお送りします 2015/11/21(土) 01:48:37.16 ID:6NOSduWfo

殺し屋「…………」

女「…………」ゴクッ

殺し屋「……どうだ?」

少女「このお姉さん、ウソついてないよ。今の話は全部ホントのこと」

少女「お姉さんの心の中、悲しみと怒りでいっぱいだもの」

殺し屋「…………」

女「お願いしますっ! 私は父が殺されてから、復讐のためだけに生きてきたんです!」

殺し屋「……引き受けよう」

女「ありがとうございますっ!」

7: SS速報VIPがお送りします 2015/11/21(土) 01:50:27.36 ID:6NOSduWfo

殺し屋「…………」

少女「じゃあ依頼成立ってことで、具体的な話に移りましょ」

女「ええ」

女(あの殺し屋さん、本当に寡黙ね。ほとんどなにも喋らない……)

女(あの女の子は近くにいる人の心が読める……)

女(つまり、殺し屋さんの心も――)

8: SS速報VIPがお送りします 2015/11/21(土) 01:53:30.67 ID:6NOSduWfo

少女「あ、お姉さん、この人がなに考えてるのか知りたい?」

殺し屋「…………」

女「え!? ――あ、あの、私はっ!」

女「……知りたい、ですけど……」

少女「お姉さん、正直ね。だったら特別に教えてあげる」

殺し屋「……よせ」

少女「いいじゃない、減るもんじゃなし」

少女「えぇとね――」

9: SS速報VIPがお送りします 2015/11/21(土) 01:57:59.45 ID:6NOSduWfo

少女「ああ、少女ちゃん、少女ちゃん、今日もとっても可愛いよぉ~~~~う。
   思いきりナデナデしてあげたい、顔面チュッチュしてあげたいけど、
   この子そういうの嫌がるだろうし、俺もスーパー照れ屋だから
   できなぁ~~~~~~~い! あぁ、もう、俺のいくじナッシング!
   しかもこんなバカなこと考えてるってのも全部読まれまくってんだよなぁ……。
   それを考えると死にたくなる……けど、興奮もしてしまう! あんっ! あんっ!
   恥ずかしい……けど、感じちゃう! なにしろ、俺ってハイパードMだからね!
   しかも、今回の依頼人の女性がすっげえ美人! サラサラ黒髪! 胸でかい!
   お父さんの話も泣けるし、絶対仇討ってあげようって気分だわ! 胸でかいし!
   ぶっちゃけタダで仕事やってもいいぐらいだよ。少女ちゃん絶対キレるけど。
   仕事が片付いたら、食事でも誘ってみようかなぁ……ダメもとで。
   でも、俺みたいな根暗殺し屋の誘いなんか絶対受けてくれるわけないよね。
   こんなんだから、未だに彼女できねーんだよな。性格直したいわ、マジで。
   だったらせめてこの人の姿を目に焼き付けて……あとでオカズにしよっと!
   それぐらいなら許されるよね? ね? ね? って誰に許しこいてんだ俺。
   ――って少女ちゃん、俺の考えてることバラしちゃらめえええええええ!」

女「これ、本当ですか?」

殺し屋「……ああ」





おわり

オリジナルSS 特集ページへ ▶

このページのトップヘ