【展開編】芳佳「私達10人が、ストライクウィッチーズです!」

2019年02月13日
【展開編】芳佳「私達10人が、ストライクウィッチーズです!」

7: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 00:29:25.14 ID:WHXjgAiD0

ミーナ「飽和戦法なんてとりたくはないのだけれど……」

ミーナ「この状況では本部を手放さないことが最善ね」


ミーナ「現在のメンバーを、3-2に分割します」

ミーナ「片方は原隊維持、もう片方は食料調達の為、作戦行動」

ミーナ「危険な仕事ね……」


芳佳「み、みんなで固まって動かないんですか……?」

ゲルト「いや……それでは、良い的になるだけだ」


ゲルト「二人一組で食料調達を行う、志願するものはいないか」

11: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 00:34:12.35 ID:WHXjgAiD0

シャーリー「ん……」ムクッ

シャーリー「それなら、私が行くぞ」


ゲルト「シャーリー……」

シャーリー「私なら、ハルトマンよりも速く走ることができるからな」

シャーリー「地上なら、まず負けないさ」


ミーナ「エイラさん……行ってみる気は無い?」

エイラ「ば、バカ言うなよ……こんなかっこで、出歩きたくなんて、ないぞ」



シャーリー「なら……宮藤、指名できるかな」

芳佳「へ? あ、はい!  ……へ?」

16: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 00:38:30.04 ID:WHXjgAiD0
ゲルト「な……おい、リベリアン! どうして宮藤なんだ」


シャーリー「何故って……身軽だし、」

シャーリー「敵に追われても、宮藤なら抱えて走ることも出来るからな」


シャーリー「心配しないでくれよ……もしもの時は、体を張って守ってやるから」

芳佳「えっ……」


ゲルト「……むう」

ゲルト「ならば……シャーリーと宮藤で、食料の調達を……」


エイラ「……!」

エイラ「だ、駄目だぞ! 絶対駄目だー!」

19: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 00:43:59.54 ID:WHXjgAiD0
エイラ「み、ミヤフジ、行くな、私を一人にすんな!」

エイラ「行くなよぉ……!」


芳佳「な、なんですかエイラさん……」

芳佳「一人じゃないですよ、バルクホルンさんや、ミーナ中佐もいますよぉ……」


エイラ(だ、だってこいつらは……)


ミーナ「……」

ゲルト「……」



ゲルト「エイラ」

エイラ「う……あう……」

24: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 00:50:00.26 ID:WHXjgAiD0
ゲルト「……宮藤、やはり私が代わりに行こう」

ゲルト「お前はここに残り、ミーナとエイラと共に本部を死守してくれ」


芳佳「バルクホルンさん……」


ゲルト「……心配するな。必ず戻る」

シャーリー「私がちゃんと責任持って連れて帰って来てやるよ、宮藤」

シャーリー「お前も、気をつけろ」



ミーナ「私の能力では、……遮蔽物が多すぎて誰が何をしているのかは把握出来ない」

ミーナ「でも、誰が動いているか、くらいはわかるから」

ミーナ「この基地での私達以外の生存者……それはもちろん、犯人だから」

25: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 00:54:15.57 ID:WHXjgAiD0

ミーナ「半径30メートル内に犯人が侵入したら、すぐに把握できるわ」

ミーナ「宮藤さんはすぐに反撃出来るよう、エイラさんは防御態勢をとっておいてね」


芳佳「は、はい……」

エイラ「……」


ゲルト「では、我々も任務を開始する」

シャーリー「ちゃんと付いてこいよ、バルクホルン」

  バタン   タタタタタ.....


芳佳(ほ、ほんとに行っちゃった……)

芳佳(バルクホルンさん……シャーリーさん…無事で……)

28: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 00:59:20.48 ID:WHXjgAiD0

芳佳「……」

芳佳「……あの、ミーナ中佐……」


ミーナ「……どうしたの? 宮藤さん」


芳佳「ミーナ中佐は、その……」

芳佳「ハルトマンさんの事……どう思ってるんですか……」


ミーナ「……宮藤さん…」


芳佳「バルクホルンさんも、他の人も……みんな、ハルトマンさんが犯人だって言ってます」

芳佳「でも……私は、……そんなの、信じません……」

31: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:04:12.64 ID:WHXjgAiD0

   エーリカ『私はさ、みんなが好きだよ』

   エーリカ『こうやってみんなと仲良くしてる時が、一番幸せだから』



芳佳(……)

芳佳(ハルトマンさん……)


ミーナ「エーリカと初めて出会ったのは

ミーナ「少し不真面目だけど……真っ直ぐで。とても良い子だった」


ミーナ「……今も、それは変わらないわ」

ミーナ「あの子が誰かを撃つなんて……考えられない……!」グスッ


エイラ「……」ギリッ

33: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:09:36.62 ID:WHXjgAiD0

芳佳「……そう、ですよね…」

ミーナ「……」




エイラ「……」

エイラ「何、甘いこと言ってんだよ……!」

エイラ「じゃあ、誰が坂本少佐を殺して、リーネを撃ったことになるんだよ!」


芳佳「そ……それは……」

ミーナ「エイラさん……!」





    エイラ『 犯人は、ハルトマンでなけりゃ、誰なんだよ! 』
          ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

35: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:13:09.55 ID:WHXjgAiD0

【3Day 05:00 食堂】


   ガタンガタン


シャーリー「駄目だな……一度、調理しなくちゃならない食材ばかりだ」

シャーリー「そっちはどうだ! バルクホルン!」


   ガタガタガタ

ゲルト「……収穫は、無い」

ゲルト「支給前だったのが痛いな……明らかに貯蓄が足りていない」

ゲルト「加工前の食品ばかりだ……やはり芳佳を連れて来た方が……」


ゲルト(やはり、あの備蓄を使うべきか……)

39: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:19:42.69 ID:WHXjgAiD0
ゲルト「おい、シャーリー……実は、一つ備蓄に心当たりがある」

ゲルト「ハンガーの格納庫の地下にな、巨大な非常用食料貯蔵庫があるんだが……」

シャーリー「……初めて知ったな、そんなこと」


ゲルト「確かあそこには、缶詰ならたくさんあったはずだ」

ゲルト「どうだ? 」


シャーリー「ふーむ……」

シャーリー「ハンガー、といえば、坂本少佐の事件があった……」


シャーリー「ん? ……あそこ封鎖したんじゃなかったのか」


ゲルト「非常貯蔵庫の入り口は、本館と直通している別の場所だ」

ゲルト「整備兵にハンガーを乗っ取られでもした時、食料が内側にあっては対処出来ないからな」

47: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:25:18.38 ID:WHXjgAiD0

【3Day 05:30  正面入口】

 ザー

シャーリー「司令室を出てから……一時間近くか……」

シャーリー「警戒しながらの途上とはいえ、基地がこれほどまで広く感じるのははじめてだ…」


ゲルト「あまり遅くなってしまっては、更に芳佳達を危険に晒すこととなる」

ゲルト「監視塔のライトを目印に進むぞ……足下に気をつけろ」


  ゴー―――

     ジャバ、ジャバ、ジャバ、

シャーリー(うへー、雨水が跳ねて気持ち悪い……)

シャーリー(シャワーでも浴びたい気分だけど、そうは行かないんだよなあ)


      バシャン!

ゲルト「……ここだ」

53: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:31:40.34 ID:WHXjgAiD0
【貯蔵庫】

   カツンカツン……


シャーリー「……」

シャーリー「あー、ここも、ハンガーの地下、になるんだよな?」


ゲルト「……そうだ」

ゲルト「ハンガーの地下はおよそ10ブロック近くに分けられ、それぞれ小型の貯蔵庫になっている」

ゲルト「最前線で基地を防衛するウィッチは、ここに寝泊まりするからな」


シャーリー(そういえば、私のバイクとかを隠してる小部屋も、地下だなあ)

シャーリー(あそこもブロックの一角になってたりするんだろうか)


  ガタン


ゲルト「よし、到着した。手早く運び出すぞ」

58: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:38:06.41 ID:WHXjgAiD0

ズッシリ


シャーリー「よっ……と」

シャーリー「持てるだけ、持ったぞ」


ゲルト「うむ……これだけあれば、司令室で充分立て籠もれるな」

ゲルト「あと必要なのは、仮眠用の毛布と、エイラの服か……」



シャーリー「……何を呆けているんだ、バルクホルン」

シャーリー「早く銃を抜けよ」


ゲルト「……!」

66: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:41:43.96 ID:WHXjgAiD0

シャーリー「解っているのか? 私はいま缶詰で両手がいっぱいなんだ」

シャーリー「敵が私達を襲撃するなら、今しかない」

シャーリー「お前が武装しないで突っ立っていて、どうするんだ」


ゲルト「……」

ゲルト「そうだな」

   カチャ


シャーリー「……」

ゲルト「……」


ゲルト(……私は…解らない)

72: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:45:36.69 ID:WHXjgAiD0









    ゲルト『なあシャーリー、お前の言う『敵』とは、何だ……?』
                         ~~~~~











78: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:50:23.42 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「私達は今、誰と戦っている……」

ゲルト「ネウロイと戦うはずの私達が……いや、これはもはや、戦いなのか?」

シャーリー「……おい、バルクホルン……」


ゲルト「エイラがな、……懐かしい事を言っていた」

ゲルト「これは、『ウェアウルフ』のゲーム上なんだと……」


シャーリー「……昔、お前と遊んだような気がするな…」


ゲルト「ああ。お前が狼の時にはよく騙されたものだ」






ゲルト「だが……もう、騙されない」

        カチャッ

シャーリー「……!」

81: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:55:44.85 ID:WHXjgAiD0

  ゲルト「……」

  シャーリー「……」





ゲルト「お前は、……『狼』か?」




シャーリー「……違う」

シャーリー「――ただの、楽天家な、村人さ」



シャーリー「で、……お前は? バルクホルン」


ゲルト「……」

88: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:00:11.17 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「『予言者』、はエイラに取られてしまったがな……」

ゲルト「私には……『狼』の牙から仲間達を守らなくてはならない……義務がある」


  ゲルト「……私は――『狩人』だ」





シャーリー「……」


シャーリー「……如何によっては」

シャーリー「――死ぬ気なのか。バルクホルン」

ゲルト「……」


シャーリー「お前との心中なんて、好みじゃないね」

90: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:05:06.22 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「心して答えろ……シャーリー……」

ゲルト「これがお前の運命の一票だ」



シャーリー「それは、お前の運命でもあるぞ……」

シャーリー「選択を誤れば……ハムスター以外の死体が二つ並ぶことになる」

シャーリー「このゲームは、終わってしまう……!」





  ゲルト「聞け」








   ゲルト『 犯人は、ハルトマンで有るか否か? 』
         ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

95: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:11:30.13 ID:WHXjgAiD0

【3Day 05:30-07:00 ダイアリー】


      さて……おかしな事になってきたな


       ハルトマンは犯人か否か……
      目の付け所はとても良いところだと思うよ。

    でもね、これは……駄目なんだ。 非常にまずい展開だ。
  だって……ハルトマンの無実なんて……証明しようが無いじゃないか!


    悪魔の証明?  天使の証明?  どぅちでも同じことさ

    肝心のハルトマンが見つからないんだからな! ああ、困った!



     エイラは爆発寸前、バルクホルンは暴発寸前

           これ……止められるかな? 大丈夫かなぁ?



              なんとかしないと、死体が勝手に増えちゃうぞ!?

98: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:16:22.95 ID:WHXjgAiD0

【司令室】

  エイラ『さあ、ミヤフジ! 中佐!』ポロポロ


  エイラ『証明して見せろ! ハルトマンが犯人じゃ無いって言うんならなー!』

  エイラ『誰が、誰が犯人なんだよ!』



  芳佳『お、落ち着いて下さい! エイラさん!』

  ミーナ『……』



  ミーナ『そうね、一度……貴方の納得する形で、……』

  ミーナ『最後まで話し合った方が良いのかもしれないわ』


   芳佳『ミーナ中佐……』

100: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:21:24.39 ID:WHXjgAiD0

    ミーナ『少し、場を借りるわよ』


     さて……――、エイラさん
     貴方は、私達に、ハルトマンが犯人ではない証明が欲しいのね?


   エイラ『ああ、そうだぞ』

   エイラ『ミヤフジ、お前、ハルトマンは犯人か?』


   芳佳『……いいえ! そんなわけありません!』


   エイラ『そうか……なら、証明しなきゃな』

   エイラ『自分の言葉には、責任ってもんを、持つべきだからな』


      《エイラさんが言えた義理では無いと思うんだけど……》

102: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:26:31.57 ID:WHXjgAiD0

     それで、宮藤さん――

      貴方はエイラさんの言うとおり、ハルトマンさんの無実を示す根拠―
      証拠、もしくは証明を示さなくてはいけないわ。


    芳佳『しょ、証明……ですか……』

    芳佳『そんな……急に言われても……』


    エイラ『まあ、ミヤフジには無理だろうなー』

    エイラ『口答でいいよ。根拠だけを語ればいいんだ』



    芳佳『ハルトマンさんの……無実を信じる根拠……ですかぁ…』

    芳佳『……ありません!』

109: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:30:51.09 ID:WHXjgAiD0

    エイラ『……』ズルッ

     …………。


    芳佳『あ……駄目、でしたか…』

    芳佳『でも私……ハルトマンさんは、絶対にそんなことしないと信じてます!』

    芳佳『じ……自信、あるんです!』


   エイラ『ハルトマンを信じる自分を信じるってかー? めんどくさいなー』

   エイラ『どうせ、ハルトマンの方ではミヤフジなんて信じちゃいないさ』

   芳佳『そ、そんな事……』

111: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:35:06.04 ID:WHXjgAiD0

      なるほど……
      ……そうね、宮藤さん、あなたはエーリカを信じているの?


    芳佳『……はい』

    芳佳『私は、ハルトマンさんが無実だと、信じています!』


       ………。
       きっと、その気持ちは、エーリカに届くはずよ。
       忘れないであげてね。

     芳佳『は、はい!』



    エイラ『は、犯人信じてどうすんだー!』


     ミーナ『エイラさん。貴方のお相手は私がするわ』ニコッ

     エイラ『う……』

116: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:41:45.34 ID:WHXjgAiD0

【貯蔵庫】

  シャーリー『さて、何から話せばいいのやら』

  シャーリー『ハルトマンが犯人で有るか否か――か』
                 ~~~~~~~~~~~~~~~~~

   ゲルト『……』  チャキッ


  シャーリー『いいかげんそれを下ろしてくれよ……マトモに推理もできない』

  シャーリー『お前は私に推理をさせたいのか? 心中したいのか?』

  シャーリー『好きなのか? 恋してたのか? 気付かなかった私が悪いのか?』




   ゲルト『……』


   ゲルト『今の私は、酷く冷静だからな。地獄の釜も凍り付きそうなほどに』
              ~~~~~~~~~
   ゲルト『言葉は選べよ、シャーリー』

123: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:45:54.91 ID:WHXjgAiD0


  シャーリー《怖い……》

  シャーリー《こりゃ、ちょっとでも返すのを間違えると、地獄のベナルティかな…》

  シャーリー《そ、そもそも私は何をすれば良いんだ?》


   ゲルト『……』ギッ


  シャーリー《質問は許さん! って顔だな。石頭め……》

  シャーリー《さて、私が探らなくちゃならないのは――ハルトマンの事か》


             ハルトマンは、犯人で有るか、否か
             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  シャーリー《さて、私はどちらを答えなければならないのだろう》

124: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:49:34.91 ID:WHXjgAiD0

  シャーリー《犯人で有る――ならば、そのまま真犯人はハルトマンだ》

  シャーリー《否――であれば、おそらく私は、真犯人の提示を求められるか……》


  シャーリー《私が選ぶべき答えは、――おそらく後者だな》



     こいつは、先程、自らの事を『狩人』だと言った。
     狩人とは、本来の意味ではなく、ウェアウルフ上においての駒の事だろう

     『狩人』その駒は、村人と同義ではあるが、
     『人狼』の攻撃から、指定した村を守る、という特殊行動が可能な役職だ。


  シャーリー《本来、ウェアウルフの世界では、常に受け身である狩人――》

  シャーリー《なのにバルクホルンは、私に銃を突きつけている》

  シャーリー《わざわざ、私に狩人だ、と明かした上で》

125: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:53:52.70 ID:WHXjgAiD0

     守るべき『狩人』が、攻めに回る――

     これはつまり、場の収束――このゲームの結末が近いことを意味する
     村人の仮面を剥ぎ棄てた狩人が、村を死の覚悟で先導する――

     まずいね、これは……



  シャーリー《おそらく、私が『犯人はハルトマンだ』なんて答えたら》

  シャーリー《私はこの場で銃殺、さようなら》

  シャーリー《バルクホルンは基地内に潜むハルトマンを見つけ出し、始末――》

  シャーリー《――の、後に自殺。最悪のシナリオだ》



        ならば選べるのは後者だけなんだけど――うーん……
        ハルトマンって、本当に無実なんだろうか?

127: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:58:54.97 ID:WHXjgAiD0

    そもそも、バルクホルン自体はハルトマンをどう見ているんだ?



━━ ゲルト「私は―――エーリカを信じているが……その自分を信じることが…できない……」 ━━



              いつかのだれかさんの発言、さ

            信じているのなら、なぜ私に結論を求める?

         これは、純粋に私の真偽を確かめるテストなのか……?



           いや……そうじゃない……これは……もしや……


                      …………!


                そうか、やはりそうなんだな。


129: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 03:02:26.97 ID:WHXjgAiD0

【司令室】

    ミーナ『これで、ご満足かしら?』










    エイラ『……』

    エイラ『で、でも……これじゃあ……』


    ミーナ『おかしな所は無いわ。犯人、殺害方法、全て完璧よ』

    ミーナ『そして、このパターンだと……ハルトマンは、犯人ではない、わね』
                          ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


    エイラ『……そ、そうだけど……』

    エイラ『でも……なんか……これじゃあ……』

131: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 03:06:43.68 ID:WHXjgAiD0


     芳佳『……うう』ヒック

     芳佳『こ、こんなの違います! 間違ってます!』


     ミーナ『あら……宮藤さんはもう、解ってると思ったんだけど』

     ミーナ『何か、解らないところがあったかしら?』


    芳佳『だ、だってこんなの……おかしいですよ……』

    芳佳『犯人も……何もかも……』


      ミーナ『……そうね。ちょっと宮藤さんには理解出来ないかも知れないわね』



      ミーナ『でも、――エーリカはこれで無実よ』ニコッ



      芳佳『…うっ……ひぐ……うわぁ………』ポロポロ

      エイラ『み、ミヤフジ……』

137: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 03:10:08.07 ID:WHXjgAiD0


━━━━━━━━━─────
━━━━──


                   ハルトマン

             無実?         殺人者?
           村人?                狼?



               いや……そうじゃない。

            こんな二択じゃない……もっと……

             もっと現実は、違っているんだ―



     シャーリー《 気付いていたはず、だったんだがなあ 》


           そう。 狼は残酷なのがお気に召すのさ




140: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 03:13:54.86 ID:WHXjgAiD0
【貯蔵庫】

   ゲルト『……』

  シャーリー『……』


  シャーリー『……たとえば、だ』

  シャーリー『ハルトマンを、犯人ではない、と仮定しよう』

   ゲルト『……!』


  シャーリー『そうだ、私達は最初から、ハルトマンが犯人だと決めつけていた』』

  シャーリー『何故か?』


  シャーリー『あいつが怪しいから? 発言がおかしかったから―?』

  シャーリー『嘘を付いたから……? 逃げ出したから……?』



  シャーリー『違う』

  シャーリー『決めつけたのは、お前だ。バルクホルン』

142: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 03:17:21.30 ID:WHXjgAiD0


   ゲルト『私……だと……』


  シャーリー『そうだ』

  シャーリー『お前も、気付いているんだろう?』


   ゲルト『……』



   シャーリー『犯人で有るか、否か、じゃない』


   ゲルト『……違うぞ』




   シャーリー『お前は――信じていたいだけだ』


   ゲルト『シャーリー……!』

145: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 03:22:26.40 ID:WHXjgAiD0
  シャーリー『ハルトマンは、密室の禁固室にいた』

  シャーリー『そして、外から鍵を開けてもらう以外に、脱出方法は無かった』



   ミーナ『そこに、現れたのが、『共犯者』よ』

   ミーナ『いや……エーリカは無実なんだから、『真犯人』とすべきね』



  シャーリー『共犯者、であるならば、おそらくハルトマンの脱出の手助けをしに来たのだ』

  シャーリー『鍵を一度開けておけば、ハルトマンは好きな時に部屋に戻り、ずっと『閉じ込められ』を演じることが出来る』



   ミーナ『それをしなかった、と言うことは、エーリカに近付いたのは共犯目的では無かった』

   ミーナ『孤立したエーリカの元に現れた、真犯人、というわけよ』



      シャーリー『さて、バルクホルン。お前は……もう、理解しているんだろう』

       ミーナ『宮藤さん……もう、解るでしょう? エーリカは犯人じゃなければ…』


147: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 03:23:29.65 ID:WHXjgAiD0









                 エーリカ・ハルトマンは、被害者か、加害者か?
                                ~~~~~~~~~  ̄ ̄ ̄ ̄











150: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 03:25:17.42 ID:WHXjgAiD0
  逆転ウィッチーズ

  ……第2幕、ほぼ終了です。  お疲れ様でした。

  元来の遅筆に誤字などが加わり、時折見ていられなくなるほど酷い部分もありました。
 しかし、それでもなんとかここまで作品を続けられ、感謝しております。

  おかしな事に予定道理なら、昨日で第2幕終了、しているはずでしたが……
  未だ、荒野の途中にあります。

  予定していたストーリーを辿ってみると、予想以上に展開パートが長い事に気付き、
  深夜ながら焦っています。でもさるさんは怖いです


   長さだけ見れば、ちょうどこのあたりまで来ました  
aa

  第3幕は解決編なので無駄な考察やミスリードもなく、サクサク進められると思いますが…
  重ね重ねごめんなさい。

263: 1 ◆.ewUP/EILA 2011/02/08(火) 20:19:38.74 ID:WHXjgAiD0

エーリカ「いやー寝相悪すぎてさー、知らない内に扉を擦り抜けちゃったよー」

ミーナ「ここでネタばらし、犯人はバルクホルン大尉よ」

ルッキーニ「シャーリー! あっちにムシいた! ムシー!」

シャーリー「バイクで時間差トリックを作り出すのさ! ……何? 違う?」

サーニャ「スパイ映画の真似して、窓を破ってみたんだけど……平気だったわ」

エイラ「サーニャ……! その、裸で待ってたのに……酷いじゃないか!」

マルセイユ「私も入れて、11人じゃなかったのか!」



少佐「いや、正直危なかった。――眼帯が無ければ即死だった」

リーネ「この豊満な胸が、奇跡を起こしてくれたんです」チラッ


芳佳「お、おおぅ……」

ゲルト「こいつら……!」


ちょっとだけ再開が遅れます。21:15くらいになります

285: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:21:34.33 ID:WHXjgAiD0

【3Day 06:30 貯蔵庫】


ゲルト「……」

シャーリー「……」

シャーリー「バルクホルン」



シャーリー「割り切れ……私達のハルトマンは、……」

シャーリー「……どちらにせよ……もう、いない」



ゲルト「……、……なら、私はどうすればいい」

ゲルト「……答えろシャーリー」

286: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:26:31.97 ID:WHXjgAiD0


シャーリー(……)


シャーリー「それを決めるのは私じゃない」

シャーリー「でも……これだけは言えるぞ」


シャーリー「私がお前なら、最後まで思ったことを信じて――戦い抜く」

シャーリー「仲間を守れるのなら、なんだってやる」



ゲルト「……」

ゲルト「……そう…か」

290: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:30:34.04 ID:WHXjgAiD0

シャーリー「お前は……」


シャーリー「ハルトマンが、犯人だと考えているのか?」

シャーリー「それとも、ハルトマンの無実を信じているのか?」



ゲルト「……決まっている」

ゲルト「……あいつが犯人で……あるはずが無いだろう」




ゲルト「……だが……そうなら、あいつは禁固室で真犯人と接触したことになる」

ゲルト「……あいつが無事である保証は、無い」


292: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:35:59.04 ID:WHXjgAiD0

シャーリー「……」

シャーリー「……それが、怖かったんだよな」


ゲルト「……」



シャーリー「ハルトマンの事が、……本当は、心配でたまらなかったんだろう」


ハルトマン「ハルトマンが犯人かもしれないという結果が……お前を軍人として葛藤させた」

シャーリー「本当は……今すぐにでも、ハルトマンを探しに奔りたいくせに」


シャーリー「お前はそう言う奴さ、バルクホルン」

ゲルト「……」

293: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:40:33.42 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「……」

ゲルト「……お前に……何が解る」




ゲルト「私は……今やこの部隊の要だ」

ゲルト「私が自ら起たなければ……誰が芳佳たちを守れると言うのか……」

ゲルト「たとえ誰が犯人で有ろうと……!」



  カチャ

ゲルト「……」

シャーリー「もう、いいんだ、バルクホルン」



   ギュッ......


301: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:45:25.17 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「……な…」



シャーリー「ほら、……私が、わかるか?」


シャーリー「お前は、また一人で立とうとしているじゃないか」

シャーリー「でも、今は、こんな近くに……私がいる」

シャーリー「」


シャーリー「まったく……出来の悪い姉を持った気分だよ」



ゲルト「……」

ゲルト「……お前が妹なら、……私はきっと気苦労で倒れているだろうな…」グスッ


シャーリー「……そんときは、私が優しく看病してやるさ」

306: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:50:47.44 ID:WHXjgAiD0

シャーリー「お前は、ハルトマンが犯人だと、思っているのか?」




ゲルト「状況から見るのであれば……そうとしか考えられない……」


ゲルト「だが……私は……どうしても考えられない……」

ゲルト「あいつが人を……仲間を殺すなんて……」



シャーリー「……なら、信じるんだ」

シャーリー「今のハルトマンを信じてやれるのは、お前だけだ」

シャーリー「お前が――、お前が信じてやらなくては、誰が信じるんだ!」



シャーリー「ハルトマンの無実を!」

309: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:55:59.08 ID:WHXjgAiD0


ゲルト「……信じる」


ゲルト「ハルトマンを、……信じる」





ゲルト「……だが」


ゲルト「それならハルトマンは……どこにいるんだ…?」

ゲルト「何故、私の前に姿を見せない……」


シャーリー(……!)

312: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:00:24.73 ID:WHXjgAiD0


ゲルト「……」


ゲルト「……シャーリー」

ゲルト「ハルトマンが犯人ではないなら……それは……」

ゲルト「――――っ」



シャーリー「……」

シャーリー「――まだ、そう決まったわけじゃない」

シャーリー「あいつの事だ。そう簡単にやられるわけがないだろう?」



シャーリー(然し……ハルトマンが犯人ではないなら)

シャーリー(ハルトマンは、実態の所――殺されているだろうな)

317: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:07:24.53 ID:WHXjgAiD0

シャーリー「……」

ゲルト「……」



ゲルト「リネット曹長の殺人事件――」

ゲルト「これで……容疑者は、絞られた」


シャーリー「ああ」


ゲルト「事件の当時、お互いを証明出来るものは、お前と私に、ミーナ、芳佳」

ゲルト「この四人には、事件の実行は不可能だ」


シャーリー「……」

318: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:11:46.17 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「隣の寝室で一人でいた、エイラ」

ゲルト「行方不明の3人の内……事件直前から行方不明のルッキーニ」

ゲルト「姿の見えない、ペリーヌ」


シャーリー「エイラか……ん?」

シャーリー「あいつは、たしか犯行が不可能なんじゃなかったのか…?」

シャーリー「……エイラに関しては、サーニャの消失事件もあるぞ?」


ゲルト「お前はあの時眠っていて……聞いていなかったようだな」

ゲルト「お前の部屋の……『鍵の行方』だ。シャーリー」


シャーリー「……!」

シャーリー「そうか、……その可能性も……」

321: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:16:25.05 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「説明は必要無いな……」



ゲルト「鍵を部屋で見つけた……という判断が出来るなら

ゲルト「『銃』を部屋で見つけた、という可能性もあり得る……」



シャーリー「身体検査は、全員を小忠実に行っていたからな…」

シャーリー「エイラが銃を手に入れられる可能性は、そこしか無いのか」

シャーリー「確かに私の部屋で銃が一つ行方不明なのは、皆も知っている事実…」



シャーリー(然し、いささか強引が過ぎる気もするな…)

シャーリー(あるかどうかわからない銃を探しに、他人の部屋に忍び込むか? 普通…)


324: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:21:04.90 ID:WHXjgAiD0

シャーリー(エイラが犯人だとして……説明出来ない部分は、少し、あるな)

シャーリー(窓の外で棄てられた鍵でも見つかれば、それが証拠になるんだけど…)


シャーリー(いや、おそらくその『鍵』以外は決定的な証拠にならない)

シャーリー(エイラを告発するのは、現段階では不可能だ)


シャーリー(むしろ、行方不明の3人に焦点を当てるべきか……?)




ゲルト「……」

ゲルト「……」ギュッ


シャーリー「お……?」


ゲルト「……なあ、シャーリー」

329: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:25:59.99 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「私は、ハルトマンを信じている」

ゲルト「あいつは、犯人ではない……」


シャーリー「……」


ゲルト「……なら、な……」

ゲルト「お前は、……ルッキーニを、信じているのか……?」

ゲルト「それとも、疑っているのか……?」



シャーリー(……)

シャーリー「私は、……」






シャーリー「ルッキーニを、信じているよ」

330: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:30:30.87 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「……」

ゲルト「……」

ゲルト「……」



ゲルト「……そうか」スッ




シャーリー「……」

シャーリー(……)





シャーリー(……今、バルクホルンは、……私の鼓動を確認していたな)

332: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:35:46.28 ID:WHXjgAiD0

シャーリー(カールスラント式の嘘判別方、か……?)

シャーリー(私は……どう答えればよかったのだろう)



シャーリー(おそらく、あそこで私が……『疑っている』と答えれば)

シャーリー(バルクホルンは、私を軽蔑しただろうな……だが……)



   シャーリー『私は……ルッキーニを、信じ切れていない』
                ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

シャーリー(嘘を、ついてしまった)

シャーリー(バルクホルンは、この嘘を、何と受け取ったのだろう……)

シャーリー(私のこの思いは、届いたのか? ……届かない方がいいのか?)



シャーリー(どちらにせよ……バルクホルンの印象は、悪くなっただろうな)

335: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:40:59.94 ID:WHXjgAiD0


シャーリー「バルクホルン……」



ゲルト「……」

ゲルト「みっともないところを、見せてしまったな」


ゲルト「先程の私は、忘れてくれ……」



シャーリー(駄目だな……私は)

シャーリー(最後の最後に、誤るなんて)


シャーリー(ハルトマンの事はえらそうに言っておきながらも……)

シャーリー(私は、自らルッキーニの件に決着を付けていない)



シャーリー(……でもな)

338: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:45:52.68 ID:WHXjgAiD0


シャーリー(なんだか腹が立ってきたぞ、バルクホルン)


シャーリー(私は、こんなにも頑張っているんだ)

シャーリー(お前に信用されようと、必死なんだぞ)


シャーリー(それが何故だかわかるか?)



ゲルト「……」

シャーリー(いや……わかんないだろうな……この石頭にはさ)



ゲルト「……」

ゲルト「…シャーリー」

342: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:52:45.44 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「先程は……その、すまなかったな。取り乱して」


シャーリー「……? いや、いいって」

シャーリー「私の胸が大きいのは、たくさんの人を抱きしめる為だからな」

シャーリー「悲しくなったら、いつでも来いよ」



ゲルト「……」

ゲルト「お前は、凄い奴、だな」


シャーリー「な、なんだ? 胸の話か?」

ゲルト「いや……」

348: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:56:41.61 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「その、心だよ……」


ゲルト「私は……ハルトマン一人でも……押し潰されそうなほど怖かった」

ゲルト「あいつが逃げた時……頭のなかに真っ先に浮かんだのは」


ゲルト「――私に銃を向ける、ハルトマンの姿」

ゲルト「そして、それに向かい、引き金を引く私自身の姿だ」


シャーリー「……」


ゲルト「私は、怖い……自分の、状況が」

ゲルト「仲間に銃を向けなければならない、私達が」

355: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:02:53.20 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「私は、仲間を撃ちたくない」

ゲルト「仲間を守る為に戦ってきたんだ――これまでも」


ゲルト「私の人生は、自分の物じゃない。祖国を、誰かを、妹を――」

ゲルト「守るための、ものだ」


ゲルト「もしも、ここでエーリカやルッキーニが現れて、私に銃を向けた時」

ゲルト「私は、……おそらく躊躇無く引き金に指を掛けるだろう。」


ゲルト「私の前には……エーリカ」

ゲルト「後ろには……501の、仲間達」



ゲルト「私には、……仲間を天秤に掛けるような真似は……出来ない」

357: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:09:06.76 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「……」

シャーリー「バルクホルン」





   ガッ

ゲルト「ぎゃっ!」

ゲルト「な……何をするリベリアン! 貴様……」


シャーリー「一応、殴っとこうとおもってさ。それ以上喋る前に」


シャーリー「お前は、大馬鹿だぞ」


ゲルト「な、何……」

364: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:14:47.89 ID:WHXjgAiD0
シャーリー「黙って聞いてみれば、仲間が敵になるのが怖いって事だろう?」

シャーリー「石頭で根暗な軍人なんて、カールスラントにはそんな連中ばっかりか?」

ゲルト「なっ……」


シャーリー「どうして、両極端でしか物を考えられないんだ」

シャーリー「仲間を天秤に掛ける必要なんて、どこにもない」


シャーリー「どちらも精一杯、掬えるだけ掬っとくのが正しいに決まってるさ」


ゲルト「馬鹿な……そんな理想論を語っていられるような……」


シャーリー「ていっ!」 ガツッ

ゲルト「うぎゃっ!」

373: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:24:12.26 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「貴様……なんども……先任大尉のこの私の頭に……」


シャーリー「ふふん……器のちっちゃい石頭軍人なんざ」

シャーリー「私の前ではES出たての我が儘娘も同じだな!」


ゲルト「誰もが……貴様のように割り切れる分けではないんだ!」

ゲルト「誰でも救えるわけではない!」


シャーリー「いいや、救えるさ」

シャーリー「私の胸が大きいのは、たくさんの人を抱きしめる為だからな」

シャーリー「その石頭、ちっとは柔らかくしてやるよ」


ゲルト「な……なんだ、急に…」

ゲルト「もう馴れ合いは終わりだ、よせシャー―――」ムグッ

382: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:32:57.21 ID:WHXjgAiD0

シャーリー「……」


シャーリー「あのなあ、……バルクホルン」


シャーリー「確かに、お前の言うとおり、なのかも知れない」

シャーリー「人は、誰かを守ることが苦痛になる時もある」


シャーリー「誰かを守るって事は、自分を殺すってことだからな」

シャーリー「そう考えりゃ、すべての物を守る事なんて……出来ない――かもしれない」

シャーリー「自分の大きさに比べて、守りたい物ってのは、どんどん大きくなるもんだ」



シャーリー「ましてや、この状況だ。誰かを守るためには、必死になるのは間違いじゃない」

シャーリー「でも、……それを守る為に、他の何かを壊すのは、間違ってるんじゃないのか?」




ゲルト「……」

385: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:34:38.57 ID:WHXjgAiD0

ゲルト「……」

シャーリー「……」


   ……………。





シャーリー(我ながら……恥ずかしいことを言ったな)

シャーリー(少し……赤面してきたかもしれない)

シャーリー(バルクホルンもさっきから俯いて――)



ゲルト「……すまな……かった」

391: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:39:41.98 ID:WHXjgAiD0
シャーリー「……あっ…」


ゲルト「……」

ゲルト「……シャーリー」


ゲルト「私はどうやら……また、……間違っていたみたいだ」

ゲルト「疑うことと……守ることは……違う…」

ゲルト「誰かを信じると言うことを……私は無意識のうちに、恐れていたのかも知れない…」



ゲルト「……だが……もう、迷いはしない」

ゲルト「だが、私は、……きっと、立ち上がってみせる」

ゲルト「その時は……お前も、――共に」



シャーリー「……」

シャーリー「ああ」

396: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:42:11.44 ID:WHXjgAiD0

シャーリー「……」

シャーリー「そろそろ、行こうか。皆に食料を届けないとな」


ゲルト「……そうだな」





ゲルト「……」

ゲルト「……ま、待て」

シャーリー「……?」



ゲルト「もうすこし……このままで、いさせてくれ」

399: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:44:39.36 ID:WHXjgAiD0
シャーリー「……」


ゲルト「……お、」

ゲルト「お前と顔を合わせたくない……だけだ」



ゲルト「その……こんな、顔じゃ……な」

ゲルト「……ぁう…」








シャーリー「……もう少しだけ、…だぞ」

ゲルト「……ああ」



404: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:48:11.63 ID:WHXjgAiD0


【3Day 06:30 司令室】



ミーナ「もう……解ったかしら? 宮藤さん」

ミーナ「現時点で、一番怪しまれるべきなのは誰か……」


エイラ「……」

芳佳「……」



ミーナ「リネットさん殺害の真相――真犯人がエーリカであっても……」

ミーナ「もう一人の行方不明者――であっても」




  ミーナ『その共犯者は、――『シャーロット・イェーガー大尉』、になるのよ』
                   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


423: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:55:04.09 ID:WHXjgAiD0

芳佳「そんな……シャーリーさんがこの事件の共犯だなんて……」

芳佳「その……あり得ません……」



ミーナ「有り得ない? ……そうやって決めつけるのは、良くないことだわ」

ミーナ「よく考えて――私の話を聞いて頂戴」

ミーナ「ね? 宮藤さん」


芳佳「で……でも……」



エイラ「……」

エイラ「ミヤフジ……ここは黙って聞いてみようじゃないか」

エイラ「中佐には、どんな考えがあるんだ?」

431: VIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:59:18.63 ID:WHXjgAiD0

ミーナ「そうね……まず、結論から言うわよ」





  ミーナ『犯人は、行方不明のルッキーニさん、ハルトマンのどちらか』
            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  ミーナ『そして、そのどちらにおいても、共犯はシャーリーさん』
                           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



   これが、今のところ私の中で出た推理の中で、一番有力と言えるわ。

    事件直後より消えた二人のどちらかを犯人として見ると、
    事象がかなり明確なものになるのよ。

440: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:03:11.72 ID:s27CSVLA0

  まず、ハルトマンを主犯、シャーリーさんを共犯として考えた場合――


    第一の事件は、ハルトマンによる坂本少佐の殺害。
    これは、全くと言っていいほどシンプルなモノね。

    夜の00:00-02:00、
    ハルトマンは宮藤さん達の目を欺き、部屋を抜け出したの。

    目指す場所はハンガー。
    そこで坂本少佐を待ち構え、殺害するわ。

    そして再び貴方たちのベッドに戻り、何食わぬ顔で眠るのよ。
    坂本少佐を殺害したその手で、貴方たちと同じ布団でね。


  芳佳『……っ』ゾクッ

  芳佳『……ま、待って下さいよ……おかしいです』

446: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:08:20.80 ID:s27CSVLA0

   芳佳『た、たしかハルトマンさんがベッドを抜け出したのは―』

   芳佳『04:00ごろだったはずです!』
       ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
   芳佳『これは、被害者のリーネちゃんが、はっきり証言していることですよ!』

  ━━ リーネ「0400時くらいだったと思いますけど……」 ━━



   ……、それが、どうしたの?
   事件の発生は、その2時間も前の事よ。


   芳佳『え……でも、ハルトマンさんの外出時間が……』


    宮藤、さん? よく考えて。

   あなた、00:00-02:00の間、眠っていたんでしょう?


447: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:13:19.89 ID:s27CSVLA0

    だとすれば、たとえ犯行時刻から2時間過ぎた外出なんて、
    何の足かせにもならないとは思わないの?


    00:00-02:00の間、ハルトマンの無実を証明するものなんて、

    何も、無いのよ?


    隣で眠っていた、貴方でさえね。


     芳佳『う……うう……』


    最も、これは何度も繰り返した議論じゃない。

    シャーリーさんが戻る前にこの話は終わらせたいの。
    効率的に動きましょう。

455: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:17:25.03 ID:s27CSVLA0

    さて、次はシャーリーさんの番ね。

    こちらはご丁寧に、01:30-02:00の空白時間を認めているわ。

    まあ……少佐を撃つだけなら、共犯者なんて必要無いけど、一応ね?
    後々必要となる時間だから。



    エイラ『状況確認に手間取ってんなよなー、中佐』

    エイラ『坂本少佐のアリバイを示せるのは、私とサーニャとシャーリールッキーニのコンビだけで…』

    エイラ『それ以外はアリバイ無し……、これはもう何度も繰り返した議論、なんだろ?』


      あら、言ってくれるじゃない。
      宮藤さんの分を返されちゃったわね、ふふふ。


     芳佳『………』グスン

462: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:22:19.77 ID:s27CSVLA0


    なら次よ。リネットさん襲撃事件。

    これはまた、実行出来る人物が、非常に限られるわ。


    まず……行方不明の人物が全般ね。筆頭にエーリカ……ハルトマンね。

    残っている人たちでは……エイラさん、かしら


     エイラ『ふん……そうさ、証明出来ないさ』

     エイラ『サーニャは行方不明だし……私はひとりぼっちだ』

     エイラ『宮藤とシャーリー、中佐と大尉。どっちに付けばいいのか考えてるところさ』


     まあ、エイラさんはエーリカを疑っているから……
     この説明は理解してくれると、思うわ

469: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:26:34.24 ID:s27CSVLA0

   そう、実はリネットさんの事件……

   行方不明者のメンバーなら、誰でも可能な事件なの!
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   部屋に忍び込み、リーネさんを撃って、窓から逃走。
   至極簡単な話よね。


  ミーナ『……で、ここで問題点があるの』

  ミーナ『エーリカを犯人にしたいんだけど……彼女、禁固室に閉じ込められてるのよね』



  芳佳『……!』

  エイラ《……これは》


  ミーナ『そこで初めて、シャーリーさんが登場するの』

471: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:31:02.80 ID:s27CSVLA0


      宮藤さんは、憶えてるの?
      あなたが、リネットさんを、一人自室に残して行った理由。


      そう……シャーリーさんに、
           ~~~~~~~~~~~~~~~
      ルッキーニさんを探すのを手伝ってくれと頼まれたからよね?
      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


    エイラ『おい……つまり……』


       そうね。
       あれは全て誘導作戦。
      獲物を孤立させ、別働隊で襲撃……たしか模擬戦でやらされたわよね?


     芳佳『そ、そんな……まさか……』


474: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:36:10.38 ID:s27CSVLA0

     芳佳『そんなこと……あるわけ無いじゃないですか!』

     芳佳『だって……シャーリーさんは……シャーリーさんは……』ポロポロ


        ………。


     エイラ『……』

     エイラ『……泣くな、ミヤフジ。こっち来い』


     エイラ『中佐、一応ミヤフジのためにも、いちゃもんつけさせてもらうぞ』


       あら、何かしら、エイラさん。
       あなたは、たしかエーリ……ハルトマン中尉の犯人説を支持していたんじゃなかったかしら?


477: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:39:25.52 ID:s27CSVLA0

    エイラ『そうだけどな、言っただろう? 私は共犯関係においては――』

    エイラ『しっかりと利害関係が無くちゃ、納得しないんだ』
                ̄ ̄ ̄ ̄
    エイラ『それに……その、ハルトマンとシャーリー共犯説には、落とし穴がある』


      落とし穴……?


    エイラ『そうだぞ。 中佐、さっきこう言ったよな?』


    エイラ『ハルトマンの密室の理由……』

    エイラ『――ハルトマンの所在を誤認する為の罠、だとな!』


     ……そうね、言ったわ。
     あそこで気付かなければ、私達はずっと
     ハルトマンが閉じ込められているままだと思い込んでいた……


    エイラ『まず、そこが、おっきなミスだ』

481: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:44:06.20 ID:s27CSVLA0
    エイラ『確かに、その罠を仕掛けたのはハルトマンだろうな』

    エイラ『そうすることで、私達を追い詰められるんだから』



    エイラ『――だが、それを看破したのは誰だったかなー』


━━ シャーリー「もしかして、この中にハルトマン……いないんじゃないのか……」 ━━


    エイラ『そう、共犯者であるはずのシャーリーだ!』


        ……………、迂闊だったわ。
        そうね……これでエーリカとシャーリーの共犯性は……
        薄く、はなったわね……。仕方ないわ。



    エイラ《やっぱり……中佐……なんだか様子がおかしいぞ》

    エイラ《普段はミヤフジに高圧的につっかかったり……》

    エイラ《軽々しい発言なんて、しない人なのに………》

487: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:48:45.60 ID:s27CSVLA0

   ならば、もう一つのルッキーニさんとシャーリーさんの共犯説よ。


   こちらは、もう論ずるまでもなく……坂本少佐の殺害が可能。

   そして、ルッキーニさんが自ら行方不明になることにより……
   リーネさんの殺害も、可能よ。

   エーリカ……ルッキーニさん。

   お互いに、自分の所持している銃が行方不明なんでしょう?
   なら、それを凶器として使用出来るわね。


    エイラ『私の銃も行方不明だけどな……』


    まあ、所在不明銃に関しては数えられないわね……
    全てが犯人の手に渡るとも思えないわ……。なら、怪しい人物の物だけ集計しましょう

494: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:53:26.83 ID:s27CSVLA0

  ミーナ『ともかく……ルッキーニさん主犯であれば、ここまでの事が説明出来るの』

  ミーナ『どうかしら? 宮藤さん?』


  芳佳『う……』

  エイラ『……』


  芳佳『その、……もし、シャーリーさんとルッキーニちゃんが犯人なら……』

  芳佳『ハルトマンさんは……』


  ミーナ『犠牲者よ。最初に言ったでしょう』

  エイラ『……』


  芳佳『う……そんな……あんまりです…』


506: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 01:00:13.90 ID:s27CSVLA0


   芳佳『……!』

   芳佳『待って下さい……! その、シャーリーさんが共犯なら……』

   芳佳『外には『真犯人』のルッキーニちゃんがいるはず、ですよね!?』


        ……そうね。おそらく、いるわ。


   芳佳『な、なら……バルクホルンさん、危ないじゃないですか』

   芳佳『もし二人が組んでバルクホルンさんを襲ったら……』



      ミーナ『……殺されるかもしれないわね』




芳佳「……っ!」ガタッ

519: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 01:04:40.66 ID:s27CSVLA0

【3Day 07:00 司令室】


ミーナ「宮藤さん? どうしたの?」


芳佳「な、何言ってんるんですか……バルクホルンさんが、危ないんですよ!」

芳佳「駄目ですよ……そんなの、助けにいかないと……!」


ミーナ「無理よ。返り討ちにあうだけ」

ミーナ「それに、敵の状況から見て、ここで共犯者が裏切るとも考えられないわ」


エイラ「……」

エイラ「敵の状況、だと……?」

533: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 01:10:57.99 ID:s27CSVLA0
ミーナ「そう……もし、敵がハルトマン中尉であった場合」

ミーナ「バルクホルン大尉は、無事に帰ってくる可能性は高いわ」


ミーナ「彼女であれば、基地内の閉ざされたハンガーの開閉先や」

ミーナ「いずれ回復する無線を前に立て籠もる私達を見て、まず、ストライカーを必要とするはずだもの」


ミーナ「まあ、……シャーリーさんがここで私達の元から抜け出すメリットも無い物」

ミーナ「しばらくは、仲間でいられるでしょうね」




エイラ「おい……中佐、上官だけどな、言わせてもらうぞ」

エイラ「その判断は、間違ってる」

エイラ「絶対、どっかおかしいとしか思えないぞ」


ミーナ「……エイラさん、……私達は戦争をしているのよ」

ミーナ「部下の反逆も珍しいことではないわ。最善の行動をなさい」

546: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 01:17:36.54 ID:s27CSVLA0

芳佳「エイラさん……」

エイラ「やっぱりだな……中佐!」

エイラ「何も、変わっちゃいないじゃないか……!」


ミーナ「……」




ミーナ「……!」

ミーナ「二人とも、議論は終了よ」


ミーナ「大尉達が、戻ってきたわ」



ミーナ(……銃を持って先導しているのが、トゥルーデ……ね)

ミーナ(……シャーリーさんは大荷物で……)

ミーナ(……? ……二人……? いいえ……三人!?)

555: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 01:21:54.96 ID:s27CSVLA0

     コンコン....

ゲルト『私だ……バルクホルンだ』

シャーリー『遅くなってすまない。みんな、無事でいたか』


芳佳「あ……」ホッ

エイラ「やれやれ……腹減ったぞ……」


ミーナ「二人とも、まだ扉を開けないで」

ミーナ「様子が、おかしいわ」


芳佳「……!」

エイラ「何だ……」

564: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 01:24:52.02 ID:s27CSVLA0

  ピキュィィィ......

ミーナ(やっぱり……誰か、いるわ……)



ミーナ「シャーリーさん……扉を開く前に」

ミーナ「……先に、あなたの後ろの人を、紹介してもらえないかしら」


芳佳「だ、誰がいるんですか……」

エイラ「サーニャ……サーニャか?」





シャーリー『……』

ゲルト『………ルッキーニだ』

682: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:03:15.01 ID:s27CSVLA0


 【3Day 07:15 司令室】


芳佳(……基地が嵐で閉ざされてから、三日)

芳佳(……坂本少佐が亡くなり……リーネちゃんが撃たれ)


芳佳(いつしか、私達は、たったの五人になってしまいました)

芳佳(そして――お互いを疑い、警戒しあっています)


芳佳(犯人は複数なのか。それとも単独なのか――)

芳佳(本当に……私達の中に犯人がいるのか……私には解りません)




芳佳(なんで、こんなことになっちゃったんだろう――)

684: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:05:30.17 ID:s27CSVLA0

芳佳「……ルッキーニ、ちゃん…」



ミーナ「……、まさか、ルッキーニさん、まで……」

エイラ「……」



ゲルト「……ハンガーの地下貯蔵庫より、食料を見つけてきた」

ゲルト「その途上……監視塔の下の花壇で、倒れているのを発見した」

シャーリー「……」






ゲルト「……間違い無く死んでいる」

687: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:08:39.91 ID:s27CSVLA0

芳佳「……」



ゲルト「宮藤……お前には見せたくないものだがな」

ゲルト「ルッキーニの体を、調べてくれ」


芳佳「私が……ですか?」


ゲルト「ああ……」

ゲルト「ルッキーニだけは、どうも他の犠牲者と少し違うようなんだ」


シャーリー(ルッキーニ……)


芳佳「……わかりました」


688: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:11:48.92 ID:s27CSVLA0
芳佳「……」



ゲルト「何か、解るか?」



芳佳「……」

芳佳(血管の浮き具合――)

芳佳(血が止まって顔が少し浅黒くなってる……)


芳佳「おそらく……無くなってから、半日――程度は過ぎています」

芳佳「ついさっき殺された――、とか、そんなん様子じゃありません」


シャーリー(半日か……)

シャーリー(ルッキーニが行方不明になったのも、それくらいだな……)

689: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:15:06.30 ID:s27CSVLA0
芳佳「全身に――擦過傷や、撲傷のような物が――あります」

芳佳「これはたぶん、亡くなってから付いたものです」

芳佳「……この嵐の中にいたから、でしょうか」



ゲルト「……ルッキーニは、死んでから嵐の外に放り出された……と言うことか?」

ゲルト「それとも……もともと、あそこで死んだのか?」


ゲルト「――死因は?」


芳佳「えっと……胸骨とか、全身の各部位に骨折が見られます――」

芳佳(これ……が死因になるのかなあ……)


芳佳「……!」

694: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:17:41.54 ID:s27CSVLA0

芳佳(ルッキーニちゃんの服の背中……真っ黒だ)

芳佳(泥かと思ってたけど……これ、血じゃないのかな……)

芳佳(なら……どこかに、傷口があるはず……)


芳佳「……」


芳佳「……!」


芳佳「……首筋の後ろから、後頭部にかけて――深い切り傷があります」

芳佳「たぶん……、ここが直接の死因に繋がると、思います」


ゲルト「切り傷――だと……?」

ゲルト「撃たれたのではなく、切られた……?」

697: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:20:52.42 ID:s27CSVLA0
芳佳「は……はい。……すごく深いから、ここが一番」

芳佳「他にも、傷口の回りから……ガラスの細かい破片……みたいなのが、見えます」

芳佳(ルッキーニちゃん……痛かっただろうな……)



ゲルト「……ガラス……と言えば、窓か」

ゲルト「……」


シャーリー「……」

シャーリー「なあ……宮藤。ルッキーニは、その……」


シャーリー「殺された、んだよな?」

699: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:24:22.28 ID:s27CSVLA0

芳佳「……はい」


芳佳(ルッキーニちゃんが行方不明になったのは、たしか、リーネちゃんが殺される前……)

芳佳(シャーリーさんと、部屋に戻った時だよね……)


芳佳「……あの…シャーリーさん」

芳佳「その、昨日の事……」



シャーリー「ああ。解ってる。話すよ」

シャーリー「私がルッキーニを最後に見たのは、16:30――少し過ぎぐらいだ」

シャーリー「その後、私は眠ってしまって……」

シャーリー「目が覚めたのは19:00、――前だな」


シャーリー「実際の所……状況は皆とほぼ変わらないさ。隣にいた、というだけで」

701: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:27:19.99 ID:s27CSVLA0

ミーナ「……つまり、1630-1900の二時間半――ルッキーニさんが消えたのは、その時間帯って事ね」

シャーリー「ああ」


ゲルト「私とミーナは、その時間帯をずっと共にいた……」

ゲルト「ルッキーニが連れ去られたと仮定すると、我々は互いの潔白を証明出来る」


芳佳「わ、私はリーネちゃんとずっと一緒にいました……」

芳佳「19:00の時点で、リーネちゃんは眠っていましたが、……」

芳佳「シャーリーさんが会いに来て、その時既にルッキーニちゃんは行方不明でした」


エイラ「私も似たようなもんだけど……サーニャもその期間に行方不明なんだよなー」

エイラ「だから、私は証明なんてが出来ないぞ……」

704: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:30:02.89 ID:s27CSVLA0

シャーリー「一応……言っておけば」

シャーリー「私は、寝る前に確かに部屋の施錠を確認した」


シャーリー「外から来た奴が、ルッキーニを連れ去る……なんてのは不可能だ」

シャーリー「ルッキーニが、自ら外に出たと考えるのが自然じゃないか?」



芳佳(ルッキーニちゃんが、自分から部屋の外に出て、…)

芳佳(そこで、誰かに襲われた、って事になるのかな……?)



ゲルト「……シャーリー、一つ、確認しておきたいんだが」

ゲルト「お前が起きた時、窓は開いていたのか?」

708: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:34:00.44 ID:s27CSVLA0

シャーリー「いや……そこまでは確認していない」

シャーリー「でも開け放ってはいなかったぞ。流石にそれは気が付く」


ゲルト「……なら、扉は?」


シャーリー「扉……? 私の部屋の扉か?」


シャーリー「そりゃあ、ルッキーニだって私がいるのに扉を開け放して行くことはないだろうさ……」

シャーリー「施錠されていたぞ……」


シャーリー「……あ!」

ゲルト「……」

エイラ「……!」


ミーナ「なるほど……」

709: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:38:20.21 ID:s27CSVLA0

エイラ「は、はいはいはい! わかったぞ!」

エイラ「『鍵』、の行方だな!」


ゲルト「そうだ。……シャーリーが起きた時点で、部屋の扉が施錠されていた…」

ゲルト「と、言うことは、――『鍵』が、『ルッキーニにより持ち去られた』と言うことを指す」


ミーナ「もしくは……窓から脱出した、と言う可能性も考えられるけど」

ミーナ「窓の開放はリネットさん殺害の後の可能性もあるのよね……」


ゲルト「そうだな。……鍵が室内に残っていれば、容疑者が増えることになる」

エイラ「大尉このやろー、まだ言ってんのかよ!」



芳佳「……? えっと……」

712: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:41:18.00 ID:s27CSVLA0
芳佳「あの……? どういう事ですか?」

芳佳「シャーリーさんの部屋の鍵なんて、今、関係あるんですか?」


ミーナ「そうね……宮藤さんたちはあの話の時、眠っていたものね」

ミーナ「二人にもわかるように説明をしておかないと」


ゲルト「シャーリーには貯蔵庫で、私から説明した」

シャーリー「あんまり面白くもない話だったがな……」

シャーリー「それと、こういう事は……エイラ本人から説明させるのがフェアだろう」



芳佳「え? えぇ?」


エイラ「……」

エイラ「なんだよ、もう……」

714: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:43:52.68 ID:s27CSVLA0

エイラ「その……つまり、鍵があるとだな……」

エイラ「その、私でも犯行が……その……」

芳佳「……ど、どういう事ですか……」

    ………!





ゲルト「おいリベリアン、……ルッキーニの件だが……」

ゲルト「殺害されたであろう時間帯について、気付いたことはないか?」


シャーリー「およそ半日前……だったよな、宮藤の検死では」

シャーリー「……すると、リーネの事件のあたりから、司令室に立て籠もる間か……」

シャーリー「……妙だな」

715: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:46:26.36 ID:s27CSVLA0
シャーリー「私達は、リーネの事件の直後から、ずっと共にいた」

シャーリー「つまり、私達の内でルッキーニ殺害を行えるのは、19:00以前となる」

シャーリー「リーネ殺害とルッキーニ殺害が同時期に行われたのなら、犯人は絞られる」


ゲルト「厄介なのは共犯だな……もちろん」

シャーリー「言いたいことは解る……私も弁解は出来ない」



シャーリー「でも一人、……確実にアリバイが無い奴がいる」ヒソヒソ

シャーリー「残念なことに、この五人の中にな……」



ゲルト「………エイラか」ヒソ

716: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 21:49:35.69 ID:s27CSVLA0

ゲルト(エイラは、鍵Aの所持が確認された時のみ犯行が可能だ)

ゲルト(その場合、エイラはルッキーニから鍵を奪った事になる……)

aa

ゲルト(まず、①の時点で鍵Aを所持)

ゲルト(これは1630-1900の間にルッキーニから奪ったもので、)

ゲルト(おそらく……この時点でルッキーニはエイラに殺害されている)


ゲルト(エイラが鍵を始末出来たのは、②、廊下の途上か、③、窓の外)

ゲルト(リーネ殺害後に、すぐさま廊下に隠したとなれば場所が絞られる……)

723: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:01:37.50 ID:s27CSVLA0


ゲルト(いや、銃声を聞きつけたシャーリー達が迫る中で……、廊下で鍵を隠している暇など無い)

ゲルト(ならば、始めの案通り、窓の外で間違い無いだろう……)


ゲルト(窓の外を捜索してみたいところだが、この嵐では不可能だな……)

ゲルト(それに、そのような事を行えば、エイラを犯人だと決めつけているのと同じ事だ)

ゲルト(軽率な行動はできん)





エイラ「つまり……その、私にはリーネが殺された時のアリバイが無いんだよ」

エイラ「……鍵が問題なんだよな…」

芳佳「そ、そうだったんですか……」

725: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:02:51.45 ID:s27CSVLA0

シャーリー「……もう、いいだろう」

シャーリー「ルッキーニをここに置いておくわけにはいかない。

シャーリー「……隣の会議室にでも、寝かせておこう」

ゲルト「私も行こう。一人では危険だ」



ミーナ「……」

ミーナ「……! ちょっと待って、二人とも」


シャーリー「なんだ? 中佐?」

ミーナ「……ルッキーニさんの右手……何か握ってないかしら?」

727: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:10:16.80 ID:s27CSVLA0


ゲルト「右手……?」

シャーリー「本当だ……なんか持ってるな。…小石か?」

シャーリー(いや……これは……)


   グイッ

ゲルト「……強く握っているようだな。手から取り出せないぞ」

ゲルト「これ以上力を入れるとルッキーニの指が折れてしまう」

芳佳「何が握られているのか、解りますか?」



シャーリー「……これは……その、――『鍵』、だな」

729: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:12:55.83 ID:s27CSVLA0

エイラ「……!」

ゲルト「鍵……だと!」

芳佳「鍵? へぇ、どこの鍵なんですかぁ?」




シャーリー「……おそらく、私の部屋の鍵だろう」

シャーリー「やはり……ルッキーニが持っていたのか……」


エイラ「なーんだただの鍵かよー」

芳佳「これで一応、鍵の行方は解りましたね」


ゲルト「……!」

731: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:16:38.16 ID:s27CSVLA0

シャーリー「……鍵、か」ボソッ

ゲルト「ああ……」


シャーリー「鍵が、始めからルッキーニの手にあったとするとなれば」

シャーリー「……エイラの犯行は難しくなるのか…?」


ゲルト「エイラを犯人とする根拠は、『鍵をエイラが持っていた』と言う推理が前提だ」

ゲルト「エイラは窓の外に出ていない……」

ゲルト「即ち、鍵が無くてはリーネの部屋の密室を作るのは、不可能だ」
        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


シャーリー「エイラは事件発生からずっと私達と行動を共にしているからな……」

シャーリー「ルッキーニに鍵を握らせに行ける余裕なんて無い…か」


ゲルト「……エイラが犯人だという予想が、崩れてしまった……」

734: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:20:48.61 ID:s27CSVLA0

  シャーリー《然し……これで、一つの結論が出てしまった》

  シャーリー《ここにいる5人には、リーネ殺人は不可能――》


  私と宮藤はもちろんの事――

  二人で共に行動していた、中佐とバルクホルンも除外

  エイラも、アリバイが成立してしまった……


   なら……やはり、行方不明の誰かを疑うしか無いのだろうか?


    容疑者は―――3人。


739: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:24:18.76 ID:s27CSVLA0

    シャーリー『3人の内……ルッキーニは、『殺害』されていた』

    シャーリー『これが、……今後、重要なポイントとなるだろうさ』



 リーネを撃った犯人は、行方不明の3人の誰か――であると考えて間違い無い

            ならば、ルッキーニを殺した犯人は?


  残りの行方不明者を、本当に犯人だと決めつけて良いものなんだろうか……


         そして、【共犯者】――が、存在する可能性は?


芳佳「……」

747: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:29:06.67 ID:s27CSVLA0

芳佳(うーん……わからないよ…)

芳佳(ルッキーニちゃんが死んじゃって鍵が見つかったなら……犯人は、行方不明の誰か…)

芳佳(ハルトマン……さん……)


ゲルト「……」

ゲルト(たとえば……ルッキーニをリーネ殺しの犯人として見た場合)

ゲルト(最後にルッキーニを殺せるのは、同じ行方不明の二人だけだ)

ゲルト(ハルトマンを――潔白だと見ると――)


エイラ「……」

エイラ(やっぱり……カールスラントの3人の疑いは解けないぞ)

エイラ(ハルトマンが主犯だとしても……禁固室の鍵を開けた、共犯者――)

エイラ(中佐か大尉か……どちらか、のはずだ)

749: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:30:26.99 ID:s27CSVLA0

ミーナ(状況が煮詰まってきたわね…)

ミーナ(犯人として有力なのは………行方不明の人物と加えても、筆頭にエーリカ)

ミーナ(加え2人――。そして共犯関係のある人物が一人――)

ミーナ(ルッキーニさんが犯人ではない…と、考えた場合)

ミーナ(残るのは……)





シャーリー「……」

シャーリー(……)

シャーリー(………何か、私は……大きな勘違いをしているのか……)

755: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:35:32.98 ID:s27CSVLA0

 【3Day 09:00 司令室】


芳佳「……」モグモグ


芳佳(……一日ぶりの食事――なのに)

芳佳(ルッキーニちゃんを見た後だと――何もおいしくないよ)




ゲルト「……」

ゲルト「……皆、食事を続けたままで良い。聞いてくれ」

芳佳「……!」

758: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:38:33.46 ID:s27CSVLA0


ゲルト「嵐は未だ基地の上空にあり……無線も回復しない」

ゲルト「そして我々の戦力は、既に半数以上に減少した」

ミーナ「……」



ゲルト「犯人が、行方不明の内の誰かだと想定すれば」

ゲルト「もはや猶予もない。これ以上の犠牲が増える前に――事を起こす」


シャーリー「……具体的には、どうするんだ?」



ゲルト「この、閉ざされた基地から……」



ゲルト「……――脱出、する」

760: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:41:33.14 ID:s27CSVLA0


エイラ「脱出……?」

芳佳「……ええっ……で、出来るんですか……!」


ミーナ「基地からの陸路は、増水により非常に危険な状況――」

ミーナ「飛ぶ――というのね。この嵐の中――」

シャーリー「……」


ゲルト「ああ……そうだ」

ゲルト「もっと早く決断すべきだった――」


ゲルト「我々5人が結束していれば、おそらく、敵も迂闊に攻撃は出来ないだろう」

ゲルト「このまま立て籠もったところで、ジリジリと命を削られるだけだ」


ゲルト「何か……反論がある物は?」

766: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:45:34.65 ID:s27CSVLA0

シャーリー「……」


ミーナ「危険よ、トゥルーデ。……現時点で、ハンガーを開放するのは」

ミーナ「あそこには、大量の武器がある……その為に、わざわざ封鎖したんでしょう?」


ミーナ「この中に、犯人との『共犯者』がいる可能性が残ってる以上……頷けないわね」


芳佳「……!」ビクッ


ゲルト「共犯者――か」

ゲルト「然しそれは、ハルトマンを犯人として見た場合、だろう?」


ミーナ「……そうよ」

767: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:49:09.99 ID:s27CSVLA0

ゲルト「私は……ハルトマンが犯人だとは、到底思えない――それだけだ」

ゲルト「私は……奴を信頼しているからな」


ミーナ「ま、待ちなさいバルクホルン大尉!」

ミーナ「私達は……生き残るために行動しているのよ! そんな危険な真似……」



芳佳「……」

芳佳「……ミーナ中佐!」


ミーナ「……み、宮藤さん…」

770: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:52:24.40 ID:s27CSVLA0

芳佳「私も……ハルトマン中尉が犯人だなんて、思いません」

芳佳「そして、この5人の中に犯人がいるとも思えません……」


芳佳「私、バルクホルンさんについて行きます」


ミーナ「あなた達……」


エイラ「……」

エイラ「言っただろミヤフジ……信じるとか信じないとか以前に」

エイラ「その根拠を言えよ……」


芳佳「……別に。何も――ありませんよ」

780: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:58:05.63 ID:s27CSVLA0

芳佳「私は……仲間を、信じるのに……理由なんて必要ありません」

芳佳「私は、……ハルトマンさんが好きです。大切な仲間なんです」

芳佳「疑うなんて……絶対に間違ってます」



シャーリー(……)

シャーリー「……そうだな」

シャーリー「この狭い部屋で……誰かを疑いながら過ごすよりも……」

シャーリー「――皆を信じて、行動するべきなのかもな」

シャーリー(……)


エイラ「………馬鹿げてるぞ……」

エイラ「……」

781: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 22:59:36.41 ID:s27CSVLA0
ゲルト「ミーナ…」

ゲルト「私はな……フラウが疑われた時――あいつを、信じてやれなかった」

ミーナ「……」


ゲルト「でも、今は確信を持って言える」

ゲルト「あいつは……誰も、殺していない」

ゲルト「この中に、あいつの共犯者なんていないんだ」

ゲルト「私は……それを信じている」


ミーナ「……たとえ……反対したって」

ミーナ「行ってしまうんでしょう……」


ゲルト「……すまん」

784: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:03:31.19 ID:s27CSVLA0

ミーナ「……出歩くなら、私の能力が必要でしょう」

ミーナ「障害物があると、うまく働かないけど――」

ミーナ「扉の向こうの様子や、気配を探る程度なら、出来るわ」スッ


エイラ「……」

エイラ「……み、みんな行くのかよ」


エイラ「ま、待てよ……おい……」

エイラ「せ、せめて……私の部屋に寄ってくれよな!」



芳佳「……?」

エイラ「その……服を、……着ないと」

788: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:08:06.30 ID:s27CSVLA0

ゲルト「……」

シャーリー「バルクホルン……」


シャーリー「一応――貯蔵庫での話の、結論が聞きたい」

シャーリー「もしも……エーリカに、銃を向けられたら……どうする?」



ゲルト「……」

ゲルト「……地上で、エーリカ如きに私が遅れをとると思うなよ、シャーリー」

ゲルト「捕まえて、とびきり痛い罰をくれてやる」




シャーリー「はは。……そうだな」

790: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:10:41.57 ID:s27CSVLA0
シャーリー(この5人で、ハンガーに向かい……)

シャーリー(バルクホルンが扉を開き、危険な嵐の中、基地を出立)

シャーリー(ロマーニャ軍基地に避難する……か)


シャーリー(確かに、危険だ……)

シャーリー(途中、不意を突いて強襲されれば全滅も考えられる)


シャーリー(それ以上に怖いのが、共犯者がこの5人の中に存在する場合……)

シャーリー(ハンガーには多数の武器が手の届く位置にある)


シャーリー(松明を掲げて火薬庫に入るようなもんだ)



シャーリー(本当に……大丈夫―――なの、だろうか)

シャーリー(嫌な、予感がする……)

793: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:13:19.97 ID:s27CSVLA0


【3Day 10:00 寝室前廊下】


ミーナ「……」ピキュィィーン


ミーナ「この廊下付近には、誰も、隠れていないわ」

ミーナ「部屋の中までは詳細に調べられていないから……用心して」


ゲルト「よし、……エイラ、部屋に入れ」

芳佳「……」キョロキョロ...

エイラ「……寒い…」


シャーリー「……」

797: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:17:04.10 ID:s27CSVLA0

【エイラの寝室】


エイラ「うわ……荒れてるな…」


ゲルト「丸一日嵐の中で窓を開け放していたんだ……当然だ」

エイラ「うう……お気に入りの水晶玉が…ばらばらに」



ミーナ「私は……階段方面を能力で見張るから」

ミーナ「エイラさんが着替えている間、宮藤さんとシャーリーさんは後方を見張っておいて」


芳佳「……は、はい!」

ゲルト「怪しい物を見たら、大声で知らせろ」

804: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:22:54.54 ID:s27CSVLA0

ゲルト「エイラ、急いで着替えろ」

ゲルト「言っておくが……選んでいる暇はないぞ、適当に着合わせろ」


エイラ「解ってるよぉ……うっさいなー」

ゲルト「なら急げ」



ゲルト「……」ジー

エイラ「……」


エイラ「……ちょっと大尉、一旦外出てくれるか」

807: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:23:44.30 ID:s27CSVLA0

ゲルト「……? 何故だ」

ゲルト「お前を一人にするわけにはいかんからな」

ゲルト「私の見ている前で、とっとと着替えろ」


エイラ「い、いや……せめて、その、後ろ向いてほしいぞ…」


ゲルト「何を言う。これまでもほとんど裸だったじゃないか」

ゲルト「今更女同士で恥ずかしがる必要があるのか」


エイラ「そ、それとこれとは別だろ……あっち向いてろよ……」

ゲルト「断る」

810: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:26:17.87 ID:s27CSVLA0

シャーリー(これで……いいんだよ、な?)


シャーリー(……まだ、何か引っかかる)

シャーリー(……でも…)


シャーリー「……」



シャーリー「ん……?」

芳佳「どうかしたんですか? シャーリーさん?」


シャーリー「……」ヒョイ

シャーリー「これって……」


芳佳「え? それがどうかしたんですか?」

817: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:30:42.74 ID:s27CSVLA0

シャーリー「……」

シャーリー「……!」



シャーリー(おいおい……! まさか……! 嘘だろ……!)

シャーリー(そうか……その可能性も……!)


芳佳「あ、あの? シャーリーさん?」

芳佳「大丈夫、ですか?」


シャーリー(なら……やばいぞ…今、ハンガーに向かうのは……)

シャーリー(でも……それを証明するには、証拠が足りない…)

820: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:33:27.16 ID:s27CSVLA0

芳佳「……シャーリー、さん?」


シャーリー(どうする……私は……)

シャーリー(こんな不確定な……でも……)



シャーリー「……」

シャーリー「宮藤……一つだけ、……」

シャーリー「お前に、聞きたいことがある……」


芳佳「なんですか?」

825: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:37:58.08 ID:s27CSVLA0

シャーリー「お前は……もしも……」

シャーリー「私達の中に犯人がいるって言ったら……どうする?」

シャーリー「お前なら……どうするんだ……」



芳佳「……!」

芳佳「わ、私は……」



芳佳「……その人と、向き合って……話をします」

芳佳「ど、どうしてそんなことをしたのか……言い分を聞いてから……」

芳佳「私自身……どうすればいいか、考えたいと思います……」

827: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:41:06.92 ID:s27CSVLA0
シャーリー「……」



━━━━━━━━━─────
━━━━━────

ルッキーニ『私達の中に、犯人がいるってわかったとしたら……?』

ルッキーニ『私は、どうすればいいのかな……?』


シャーリー『まず、そいつと話し合わなくちゃならない』

シャーリー『なんで、こんなことをしたのか』

シャーリー『そいつの言い分をしっかり聞いてから、ガツンと言ってやるべきだ』

                                  ────━━━━━━
                         ──────━━━━━━━━━━━



シャーリー(……そうだよな! ルッキーニ!)

829: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:44:09.09 ID:s27CSVLA0


  グイッ

芳佳「きゃあっ!」

芳佳「シャ、シャーリーさん?」


シャーリー「宮藤……私と来てくれ!」


シャーリー「この事件……謎は……全て解けた!」


芳佳「え……! ええっ!」




シャーリー「――かも、しれない!」


芳佳「えぇーっ!」

841: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:48:48.83 ID:s27CSVLA0

ゲルト「お、おい! 今の悲鳴は……!」

エイラ「や、やめろ大尉、服をひっぱんな!」

ミーナ「シャーリーさん!」


シャーリー「みんな、私に付いてきてくれ!」

シャーリー「確認したい、事があるんだ!」



ゲルト「な、何を、……勝手な行動は……」


シャーリー「行くぞ芳佳!」ギュッ

芳佳「あっ!」


ゲルト「ま、待て! シャーリー!」

エイラ「ど、どういう事だ……?」

847: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:50:51.59 ID:s27CSVLA0

【3Day 10:15  会議室】


   タッ

シャーリー「……ここだ」


   ドサッ

芳佳「うう……酔いました……」



   ルッキーニ「」




シャーリー「ルッキーニ……」

シャーリー(力を、貸してくれ……!)

851: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:53:51.34 ID:s27CSVLA0

シャーリー「……」スッ


芳佳「シャーリー、さん……?」

芳佳「ルッキーニちゃんに、まだ何か……」


芳佳「……!」



シャーリー「ルッキーニ、その手の物を……」

シャーリー「こちらに、渡してくれ……」


 ルッキーニ「」


     カラン......

855: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:56:26.21 ID:s27CSVLA0

芳佳「……? それ……」

芳佳「今更、何に使うんですかぁ……?」


シャーリー「……」ゴソッ


芳佳「あ、それ、さっきの……」

芳佳「でも……それ、何の意味も無いんじゃ……」


シャーリー「……」




芳佳「……あ、あれ? そんな……」

860: VIPがお送りします 2011/02/09(水) 23:57:29.77 ID:s27CSVLA0
シャーリー(間違い……無い)

シャーリー(この事件の……真相が……)


芳佳「ど、どういう事ですかシャーリーさん!」

芳佳「これ……その、おかしいじゃないですか……!」







   ダダダダダッ――バン!


ゲルト「宮藤! そいつから離れろ!」

ゲルト「何のつもりだ…リベリアン……! 説明してもらうぞ!」

864: VIPがお送りします 2011/02/10(木) 00:00:23.66 ID:iEtjkw5g0

  タッタッタッタッタ……


エイラ「……お、おまえ達…勝手に……行くなよぉ」

ミーナ「……シャーリーさん、これは……」



シャーリー「……」

シャーリー「解った……」



ゲルト「何……?」


シャーリー「……」

シャーリー「解ったんだよ」


シャーリー「この事件の……真相が!」

ゲルト「な……何……!?」

871: VIPがお送りします 2011/02/10(木) 00:03:07.56 ID:iEtjkw5g0

ミーナ「犯人……、共犯者が、いるって事……?」


シャーリー「……いや、共犯者……じゃない」

シャーリー「……ただ、行方不明者ではなくとも……この事件の実行は可能だ」



エイラ「……? ま、待てよ、……お前も、これまでの推理、聞いてなかったのか?」

ゲルト「……そうだ。シャーリー」


ゲルト「宮藤は、お前自身と会っていたので犯行は不可能」

ゲルト「エイラは、鍵を施錠する術がないので犯行が不可能」

ゲルト「ミーナは、私と共に基地の外に出ていた……」



ゲルト「リーネの殺人は、行方不明の3人にしか、不可能なんだ」
                              ~~~~~~~~

875: VIPがお送りします 2011/02/10(木) 00:06:18.76 ID:iEtjkw5g0

シャーリー「……」

シャーリー「……そう、かな?」


ゲルト「……」

ゲルト「……まさか…」


ゲルト「説明、出来るのか……?」

ミーナ「……」

エイラ「……!」



シャーリー(……未だ、決定的な証拠は――、無い……)

シャーリー(……だが……私の考えが、正しければ……)


シャーリー「説明は、……出来る!」

880: VIPがお送りします 2011/02/10(木) 00:08:24.33 ID:iEtjkw5g0

     シャーリー「そうさ……!」

     シャーリー「坂本少佐を殺害し――」

     シャーリー「リーネを、撃ち――」

     シャーリー「ルッキーニを殺害した、……」


   芳佳「……」オドオド

   ミーナ「……」

   ゲルト「……」

   エイラ「……」

888: VIPがお送りします 2011/02/10(木) 00:11:26.84 ID:iEtjkw5g0







              シャーリー『犯人は……、―――お前だ!』
                                 ~~~~~~~







                                    apo mekhanes theos



893: 1 ◆.ewUP/EILA 2011/02/10(木) 00:13:24.50 ID:iEtjkw5g0

逆転ウィッチーズ

第二幕 展開編、終了です。
本来であれば、昨日の時点でここまで進めるべきでしたが
私の不注意による所の遅滞が相重なり、真に申し訳ありませんでした。

全体的な長さと致しましては、

      第一幕、第二幕、第三幕  2:6:2  位の長さの比となっております。


昨日の件により書き貯めが復元出来ておらず、今日はここまでとなります。

おそらく第3幕、解決編は更に次スレに跨ぐと思います。
今晩から明日へ本気で書き貯めを作成しますので、どうかご了承下さい。お平に。


今のところレスを見ている様子では、物語に致命的な矛盾点はありません。

解決編でおおよその疑問は解決されると思われます。
もう犯人もミステリー好きの方なら気付かれたとは思いますが、どうか、お平に。

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