少年「テスト勉強した?」友「してない」

2019年07月27日
少年「テスト勉強した?」友「してない」

1: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:21:20 ID:12Xn2yoQ
少年「今日いよいよテストだな」

友「うん」

少年「テスト勉強した?」

友「してない」

少年「とかなんとかいって絶対してるんだよな~」

友「してないって」

2: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:23:56 ID:12Xn2yoQ
少年「どうだ、100点!」サッ

友「100点」サッ

少年「ほらな、絶対勉強してるだろ、お前!」

友「してないってば」

3: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:27:29 ID:12Xn2yoQ
少年「今日はマラソン大会だな」

友「そうだね」

少年「どうせマラソンの特訓してきたんだろ?」

友「してない」

少年「絶対してるだろ~」

友「してないよ」

4: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:29:04 ID:12Xn2yoQ
少年「ハァ、ハァ、ハァ……同時に一位フィニッシュか……」

友「うん」

少年「余裕こいてるけど、お前絶対特訓してただろ! 分かってるんだからな!」

友「してないよ」

少年「ウソくせえ~」





やがて二人は成長していく――

5: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:32:48 ID:12Xn2yoQ
男「目指せ壱竜大学!」バリバリ

男「おい、お前も壱竜大学が志望校なんだろ?」

友「一応ね」

男「んで、俺みたくバリバリ勉強してるってわけだ」

友「してない」

男「ウソつけ!」

6: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:34:47 ID:12Xn2yoQ
男「よっしゃーっ! 壱竜大学合格! お前はどうだった?」

友「合格したよ」

男「ほら! やっぱり勉強してたんじゃん!」

友「してないけどね」

男「いやいや、勉強しないで受かるわけねーだろ!」

7: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:36:28 ID:12Xn2yoQ
男「よ~し、絶対ノーベル賞取ってやるぜ!」

男「お前もノーベル賞に向けて、勉強やら研究やらやってるんだろ?」

友「いや、別に目指してない」

男「あっそ!」

男「だったら俺一人で、ノーベル賞ゲットさせてもらうぜ!」

8: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:40:04 ID:12Xn2yoQ
記者「今年は日本人からノーベル賞受賞者が二人誕生しました! おめでとうございます!」

男「ありがとうございます!」

友「どうも」

記者「お二人とも、やはりノーベル賞を目標にされていたんでしょうか?」

男「当然です! ノーベル賞は私の目標……いや、夢でしたから!」

友「ぼくは特に意識はしてなかったんですけど」

男「ウソおっしゃい!」ビシッ

9: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:41:57 ID:12Xn2yoQ
男「よおし、次は政界進出だ!」

男「ありとあらゆる手を使って選挙に勝って、この国をよりよくしてやるぜ!」

男「そういやお前も選挙出るんだって? なにか選挙活動してるのか?」

友「特になにも」

男「おいおいお~い、どうやら次は俺だけ当選することになりそうだな!」

10: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:43:33 ID:12Xn2yoQ
男「当選だぁーっ! やったぁーっ! ダルマさんに目を入れてやる!」マルッ

友「ぼくも当選した」

男「やっぱりか!」

男「なぁ……影で努力してるんだろ? 頼む、そういってくれ」

友「いや、何もしてないよ」

男「ううう……マジかよぉ……」

11: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:45:17 ID:12Xn2yoQ
記者「お二人の出した政策が、それぞれ大成功を収める結果となりましたが……」

男「ありがとうございます!」

男「我が国と国民のことを血眼になって分析したかいがありました!」

記者「ということは、やはりあなたも分析を?」

友「いえ、ぼくはなんとなく頭に浮かんだ政策を実行しただけです」

男「……」

12: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:47:56 ID:12Xn2yoQ
――

男「なあ、親友よ」

友「ん?」

男「この年になって、俺はようやく気づいたよ」

男「俺とお前は今までほぼ互角の結果を出してきた……多分世間もそう思ってる」

男「だけど実際は全然互角じゃない……」

男「お前が何もしなくても出しちまう100という結果に」

男「俺は死に物狂いで98か99ぐらいを出して、食らいついてたに過ぎないってな」

男「お前は真の天才だ。一方、俺はただの凡人に過ぎない」

13: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:49:47 ID:12Xn2yoQ
男「いや、本当は気づいてたけど、認めたくなかっただけかもしれないな」

男「俺は……お前よりずっと格下だって」

男「お前もさぞかしうっとうしかったことだろう」

男「圧倒的に格下のはずの俺が、いつまでもお前と同格みたいなツラしてるんだもんな」

男「今まで……すまなかった」

友「いや、そんなことないよ」

男「……え?」

14: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:52:14 ID:12Xn2yoQ
友「ぼくは君に感謝している」

男「え? なにを? 引き立て役になったことを?」

友「そうじゃない」

友「だってぼくは……君がいなければ、多分死んでいただろうから」

男「! ――ど、どういうことだよ!?」

15: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:54:46 ID:12Xn2yoQ
友「今からいうことは嫌味になってしまうかもしれないけど、正直に話させてもらう」

友「ぼくは幼い頃からなんでもできた」

友「何もしなくても知識がどんどん入ってきて、運動では適当にやっても結果を出せた」

友「そんなぼくを、みんな恐れたり褒め称えたりしてくれた」

友「ぼくは……子供心に思った」

友「ぼくはきっと世界のバランスを崩す存在なんだって」

友「いっそ消えてしまった方がいいんじゃないかって」

16: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:56:25 ID:12Xn2yoQ
友「だけどそんな時、君がぼくの目の前に現れた」

友「君はぼくのいる位置に必死についてきてくれた」

友「もし、ぼくが“影で努力している”とウソをつけば、君は多分ホッとしただろう」

友「だけどやらなかった。君の必死さにウソをつきたくなかったから」

友「だからぼくは“何もしてない”と正直に答え続けた」

友「にもかかわらず、君はついてきてくれた」

17: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 01:58:12 ID:12Xn2yoQ
友「もし君がどこかでぼくを追うのを諦めてたら、ぼくは死を選んでいただろう」

友「今日この時までぼくが生きてこられたのは君のおかげだ。どうもありがとう」

男「……」

男「やれやれ、本当にイヤミな話だぜ」

男「俺は自分自身の手で、目の上のたんこぶを生かしてたってことになるんだからな」

男「それなら……!」

18: 深夜にお送りします 2016/06/08(水) 02:00:34 ID:12Xn2yoQ
男「さっきの言葉は全面撤回だ! これからも俺はお前に追いすがってやる!」

男「んでもって、いつか必ずお前を負かしてやるからな!」

友「……ありがとう」

男「いいってことよ。俺もお前のおかげでここまでやってこれたって一面もあるしな」

男「よーし、だったら……景気づけに今から飲みに行くか!」

友「いいけど、ぼくビール一杯で酔っちゃうよ」

男「いよし! やっと一つ勝てた!」





終わり

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