俺「俺の会社の応接室にヤクザがやってきた」

2019年07月17日
俺「俺の会社の応接室にヤクザがやってきた」

1: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:06:54 ID:3BiDVde.
<会社>

課長「なんだね、この報告書は!?」

俺「どこか問題がありましたか? きっちり書いたつもりでしたけど……」

課長「ごちゃごちゃと色々書きすぎてて、結局何があったのかが全然分からん!」

課長「君の個人的感想など、誰も求めてないんだ!」

課長「取引先でどういうことがあったか、事実だけを書きたまえ! 事実だけを!」

俺「はい……申し訳ありません。すぐ書き直します……」

課長「まったくもう……」ブツブツ

2: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:09:10 ID:3BiDVde.
先輩「お前、また課長に怒られたのか?」

俺「はい……報告書の書き方がなってない、と」

先輩「どれどれ」スッ

先輩「たしかに……こりゃちょっとひどいな」

先輩「今までは込み入った商談とかなかったから、我流で何とかなったんだろうけど」

先輩「本とかで、ビジネス文書の書き方をちゃんと勉強した方がいいぞ」

俺「そうですね……そうします」

3: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:11:18 ID:3BiDVde.
先輩「お前たちの世代も、そろそろ同期同士でちょっとずつ差がついてくる頃だ」

先輩「あんまりぼやっとしてると、みんなに置いてかれちまうぞ」

先輩「お前がダメだと、俺の評価まで下がっちまう。もっとしっかりしてくれよな」

俺「はい……すみません」

4: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:13:03 ID:3BiDVde.
俺「よし、できた! もう一度、課長に提出しよう!」

俺「先輩、課長はどこにいますか?」

先輩「課長? 今、どっかのお客さんと応接室にいるはずだけど」



社員「た、大変だ!」

5: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:16:02 ID:3BiDVde.
先輩「どうした?」

俺「どうしたんですか?」

社員「実はさ、今応接室に来てるの、どっかのヤクザらしいんだよ!」

先輩「ええっ、ホントかよ!?」

社員「でさ、なんでも、うちの社のスキャンダルを握ってるなんて言ってて」

社員「それをネタに、法外な要求をしてるんだと!」

社員「部長と課長が相手してるけど、どうにもならないみたいなんだ」

6: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:18:07 ID:3BiDVde.
先輩「いっそ、警察呼んだらどうだ?」

社員「だけど、下手に刺激したら、かえって泥沼に……」

先輩「だけど、このままじゃ……」





俺「……」スッ

7: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:20:32 ID:3BiDVde.
給湯室――

俺「あ、それ応接室に持ってくコーヒー?」

女「うん、だけど怖い人が来てるんでしょ? できれば、イヤなんだけど……」

俺「だったら俺が持ってくよ」

女「え、ホント? ありがとう!」

8: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:24:19 ID:3BiDVde.
応接室――

ヤクザ「ったく、分からねぇ奴らだな!」

ヤクザ「だから、おたくらのスキャンダルのことを黙っててやる代わりに」

ヤクザ「うちの息がかかってる企業に、おたくの製品を入れてくれりゃいいんだよ!」

課長「しかし……こんな条件では、とても受けられませんよ……」

部長「ええ、大赤字になってしまいます……」

ヤクザ「あぁん!? 今すぐ会社が大ダメージ受けるよりは、マシだろうが!」

9: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:27:24 ID:3BiDVde.
俺「失礼いたします。コーヒーをお持ちしました」ガチャッ





課長「ん……なんだ、君か」

ヤクザ「あぁん!? だれだ、こんな時に――」

ヤクザ「!?」ギョッ

10: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:30:07 ID:3BiDVde.
課長「悪いが、今取り込み中なんだ。すぐに出ていきたまえ」

俺「……」スタスタ

俺「ところで、そちらの方に質問なのですが」チラッ

ヤクザ「!?」ギクッ

課長「なっ!?」

部長「コ、コラッ! なにをしとるんだ、君は! 下がりなさい!」

11: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:33:30 ID:3BiDVde.
俺「弊社には、どのようなご用件でいらしたのですか?」

課長「お、おいっ! 君の出る幕は……!」

ヤクザ「いや……あの……えぇと……」オドオド

課長&部長(え!?)

12: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:35:23 ID:3BiDVde.
ヤクザ「あ、あの……なんであなたが、ここに……?」

俺「は? 私はただの会社員ですよ。あなたのような知り合いはおりませんが」

ヤクザ「えっ……あっ、そ、そうですよね!」

俺「やだなもう、しっかりして下さいよ! アハハハハ!」

ヤクザ「ア、アハハ……ハハ……」

13: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:38:30 ID:3BiDVde.
俺「あ、そういえば……」

ヤクザ「な、なんですか?」

俺「肋骨と……あと右腕はもう大丈夫ですか?」

ヤクザ「……!」ゾクッ

ヤクザ「ひゃ、ひゃいっ! だ、大丈夫ですっ!」

俺「そうですか。それはよかった」

俺「それでは改めてもう一度うかがいましょう。弊社にどんなご用件が?」

ヤクザ「あ……いや、その……」

14: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:42:19 ID:3BiDVde.
ヤクザ「あ、あのっ! 部長さん、課長さん!」

課長&部長「は、はいっ!」

ヤクザ「さっきまでのお話……えぇと、なかったことにして下さい……えへへ……」

課長&部長「ええっ!?」

ヤクザ「それじゃ失礼しますっ!」タタタッ バタンッ



シーン……

15: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:45:55 ID:3BiDVde.
課長「あの……君はいったい……?」

俺「課長!」

課長「はいっ!」

俺「あとでもう一度、報告書を見てもらいたいのですが、よろしいでしょうか?」

課長「あ、ああ、もちろんだよ! ハハ……ハ……」

俺「それでは、私も失礼します」バタン…

16: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:48:13 ID:3BiDVde.
俺「課長、いかがでしたか?」

課長「いやぁ、もうバッチリ! 素晴らしい! 最高の報告書だったよ!」

俺「はぁ、どうも……」



俺(会社の役に立てたのは嬉しいけど、なんだかやりにくくなっちゃったなぁ……)







おわり

17: 深夜にお送りします 2015/10/04(日) 20:48:51 ID:3BiDVde.
以上、私がよくやる妄想をお送りいたしました

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