幼馴染「あんたのこと……好きなの!」男「え、なんだって?」
1: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 01:44:27 ID:TVT0teLc
男「……こんなところに呼び出して、いったいなんの用だよ」
幼馴染「……」
男「なんだよ、早くいえよ」
幼馴染「あたし……」
男「?」
幼馴染「あんたのこと……好きなの!」
男「え、なんだって?」
幼馴染「……」
男「なんだよ、早くいえよ」
幼馴染「あたし……」
男「?」
幼馴染「あんたのこと……好きなの!」
男「え、なんだって?」
2: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 01:46:43 ID:TVT0teLc
幼馴染「ちょ、ちょっと! 聞いてなかったの!?」
男「ん、わりいな。もう一度いってくれないか?」
幼馴染「んもう……! もう一度だけだからね!」
幼馴染「あたし……あんたのこと好きなの!」
男「え、なんだって?」
男「ん、わりいな。もう一度いってくれないか?」
幼馴染「んもう……! もう一度だけだからね!」
幼馴染「あたし……あんたのこと好きなの!」
男「え、なんだって?」
3: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 01:48:42 ID:TVT0teLc
幼馴染「なによ! また聞いてなかったの!?」
男「ああ、ごめん」
幼馴染「あんた、耳遠いんじゃないの!?」
男「なにいってんだ、お前の声が小さいんだろ?」
幼馴染「む……!」
幼馴染「だったらもう一度いってやるわよ!」
幼馴染「あたし、あんたのこと好きなのっ!」
男「え、なんだって?」
男「ああ、ごめん」
幼馴染「あんた、耳遠いんじゃないの!?」
男「なにいってんだ、お前の声が小さいんだろ?」
幼馴染「む……!」
幼馴染「だったらもう一度いってやるわよ!」
幼馴染「あたし、あんたのこと好きなのっ!」
男「え、なんだって?」
4: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 01:52:23 ID:TVT0teLc
幼馴染「今のはさすがに聞こえたでしょ!?」
男「わりいな、全然聞こえなかった」
男「もっと声張り上げてくれよ。頼むから」
幼馴染「……分かったわ!」
幼馴染「あたし、あんたのこと好きなのッ!!!」
男「え、なんだって?」
男「わりいな、全然聞こえなかった」
男「もっと声張り上げてくれよ。頼むから」
幼馴染「……分かったわ!」
幼馴染「あたし、あんたのこと好きなのッ!!!」
男「え、なんだって?」
5: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 01:54:06 ID:TVT0teLc
幼馴染「今のが聞こえないって、どう考えてもおかしいでしょ!?」
男「おかしいのはお前だろ」
幼馴染「グギギ……!」
男「一字ずつしっかり発音しろ。さ、やれ!」
幼馴染「……分かったわ」
幼馴染「あ、た、し、あ、ん、た、の、こ、と、好、き、な、の!!!」
男「え、なんだって?」
男「おかしいのはお前だろ」
幼馴染「グギギ……!」
男「一字ずつしっかり発音しろ。さ、やれ!」
幼馴染「……分かったわ」
幼馴染「あ、た、し、あ、ん、た、の、こ、と、好、き、な、の!!!」
男「え、なんだって?」
6: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 01:57:03 ID:TVT0teLc
幼馴染「いわれたとおりにやったじゃないのよ! 一字ずついったじゃないのよ!」
男「んなこといったって……聞こえなかったんだもん」
幼馴染「よぉし、こうなったら恥を捨てて本当に全力で……!」
幼馴染「あたしィィィィィ!!!」
幼馴染「あんたのことォォォォォ!!!」
幼馴染「好きなのォォォォォォォォォォ!!!」
男「え、なんだって?」
男「んなこといったって……聞こえなかったんだもん」
幼馴染「よぉし、こうなったら恥を捨てて本当に全力で……!」
幼馴染「あたしィィィィィ!!!」
幼馴染「あんたのことォォォォォ!!!」
幼馴染「好きなのォォォォォォォォォォ!!!」
男「え、なんだって?」
8: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 02:00:44 ID:TVT0teLc
幼馴染「おいコラ! 耳元で怒鳴っただろうが! 叫んだだろうが!」
男「怒鳴ろうが叫ぼうが、聞こえなかったもんはしょうがねえだろ」
幼馴染「だったら……骨伝導だ!」
幼馴染「あんたの骨に密着しッ! 振動で音を伝えてくれるわッ!」
幼馴染「この告白から逃れることはもはや不可能ッ!」
幼馴染「あたし、あんたのこと好きなの!」
男「え、なんだって?」
男「怒鳴ろうが叫ぼうが、聞こえなかったもんはしょうがねえだろ」
幼馴染「だったら……骨伝導だ!」
幼馴染「あんたの骨に密着しッ! 振動で音を伝えてくれるわッ!」
幼馴染「この告白から逃れることはもはや不可能ッ!」
幼馴染「あたし、あんたのこと好きなの!」
男「え、なんだって?」
9: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 02:04:25 ID:TVT0teLc
幼馴染「バ、バカな……ッ!」
幼馴染「自ら頭蓋骨を振動させ、伝導を相殺し、無効化させるなんて……」
男「おいおいおい、今なんていったんだ?」
男「教えてくれるかな?」
幼馴染「くっ……!」
幼馴染「だったら、手話でどうっ!?」
幼馴染『あたし、あんたのこと好きなの!』バババッ
男「え、なんだって?」
幼馴染「自ら頭蓋骨を振動させ、伝導を相殺し、無効化させるなんて……」
男「おいおいおい、今なんていったんだ?」
男「教えてくれるかな?」
幼馴染「くっ……!」
幼馴染「だったら、手話でどうっ!?」
幼馴染『あたし、あんたのこと好きなの!』バババッ
男「え、なんだって?」
10: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 02:09:03 ID:TVT0teLc
男「悪いけど……視神経の機能を遮断させてもらった」
男「今の俺は暗闇の中にいる」
男「お前が何をやろうが、今の俺にはなにも見えないのさ」
幼馴染「そ、そこまでやるか……!」
幼馴染「なら……ならっ! 点字で勝負ッ!」
幼馴染「どうだッ!」サッ
『あたし、あんたのことが好きなの』
男「え、なんだって?」
男「今の俺は暗闇の中にいる」
男「お前が何をやろうが、今の俺にはなにも見えないのさ」
幼馴染「そ、そこまでやるか……!」
幼馴染「なら……ならっ! 点字で勝負ッ!」
幼馴染「どうだッ!」サッ
『あたし、あんたのことが好きなの』
男「え、なんだって?」
11: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 02:12:59 ID:TVT0teLc
幼馴染「なにィィィ!? 今たしかに、指で点字をなぞったはず!」
男「無駄だ……」
男「感覚神経を遮断させてもらった」
男「今の俺の指は、どんな感覚も受け付けぬ!」
男「感覚がない以上、点字など読めるはずがない!」
幼馴染「ハァ……ハァ……ハァ……」
幼馴染「なら……なら!」
男「無駄だ……」
男「感覚神経を遮断させてもらった」
男「今の俺の指は、どんな感覚も受け付けぬ!」
男「感覚がない以上、点字など読めるはずがない!」
幼馴染「ハァ……ハァ……ハァ……」
幼馴染「なら……なら!」
12: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 02:15:47 ID:TVT0teLc
ズボォッ!!!
幼馴染「あんたの脳に直接指を突き刺して!」
幼馴染「静電気を利用した電気信号で、メッセージを流し込む!」バチバチ…
幼馴染「でりゃああああああああっ!!!」バチバチバチッ
アタシ、アンタノコトスキナノ
男「え、なんだって?」
幼馴染「あんたの脳に直接指を突き刺して!」
幼馴染「静電気を利用した電気信号で、メッセージを流し込む!」バチバチ…
幼馴染「でりゃああああああああっ!!!」バチバチバチッ
アタシ、アンタノコトスキナノ
男「え、なんだって?」
13: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 02:18:39 ID:TVT0teLc
幼馴染「なぜぇ!? なぜだァァァァァ!? なぜ伝わらねぇぇぇ!?」
男「俺は自在に脳を操作できる能力を持っている」
男「脳内物質を操り、潜在能力を完全開放することもできる」ムキムキッ
男「活性化させることができるということは、つまり逆に──」
男「脳を休ませることもできるのさ」プツッ…
男「今のメッセージ……休んでいる俺の脳には届かなかった!」
幼馴染「ぐはァァァァァ!!!」
男「俺は自在に脳を操作できる能力を持っている」
男「脳内物質を操り、潜在能力を完全開放することもできる」ムキムキッ
男「活性化させることができるということは、つまり逆に──」
男「脳を休ませることもできるのさ」プツッ…
男「今のメッセージ……休んでいる俺の脳には届かなかった!」
幼馴染「ぐはァァァァァ!!!」
14: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 02:23:42 ID:TVT0teLc
男「どうやら……万策尽きたようだな」ニヤ…
幼馴染「ぐっ……!」
男「色々とやってくれたが、しょせんはメスの浅知恵!」
男「この俺に言葉を届かせることはかなわなかった」
男「さぁ、終幕(フィナーレ)だ!」グゴゴゴゴ…
幼馴染「うぐぐぐぐ……!」
幼馴染「どうやら……あたしの負けのようね……」
幼馴染「だが、いつの日か、いつの日か、あたしは復活してみせる!」
幼馴染「この世に光ある限り! 闇もまた滅びぬのだ!」
男「なにをほざこうが、しょせんは敗者の戯言! 歴史とは勝者が作るもの!」
男「──いくぞ!」
幼馴染(や、やられるっ!)グッ…
幼馴染「ぐっ……!」
男「色々とやってくれたが、しょせんはメスの浅知恵!」
男「この俺に言葉を届かせることはかなわなかった」
男「さぁ、終幕(フィナーレ)だ!」グゴゴゴゴ…
幼馴染「うぐぐぐぐ……!」
幼馴染「どうやら……あたしの負けのようね……」
幼馴染「だが、いつの日か、いつの日か、あたしは復活してみせる!」
幼馴染「この世に光ある限り! 闇もまた滅びぬのだ!」
男「なにをほざこうが、しょせんは敗者の戯言! 歴史とは勝者が作るもの!」
男「──いくぞ!」
幼馴染(や、やられるっ!)グッ…
15: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 02:27:25 ID:TVT0teLc
男「俺はお前のことが……好きだ!」
幼馴染「!?」
幼馴染「!?」
16: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 02:30:18 ID:TVT0teLc
男「お前がなにをいいたかったのかは、さっぱり分からなかったが」
男「俺がいいたいことはこれだけだ」
男「……どうだ?」
幼馴染「うん……あたしもあんたが好き」
男「!」
男「ホントか!?」
男「やったぁ!」
男「これで俺たちは、正式にカップルってわけだな!?」
幼馴染「うん……そうね」
男「俺がいいたいことはこれだけだ」
男「……どうだ?」
幼馴染「うん……あたしもあんたが好き」
男「!」
男「ホントか!?」
男「やったぁ!」
男「これで俺たちは、正式にカップルってわけだな!?」
幼馴染「うん……そうね」
17: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 02:33:35 ID:TVT0teLc
幼馴染「だけどね、付き合う前にこれだけやらせて」
男「ヤらせて?(おいおい、まさかいきなりかよ……!?)」ゴクッ…
幼馴染「キサマの両耳に、両人差し指を突っ込むッ!」
ズボッ!!!
男「ぐぎゃああああああああああっ!!!」
幼馴染「これで少しは耳の通りがよくなったでしょ?」
男「は、はい……」
………………
…………
……
男「ヤらせて?(おいおい、まさかいきなりかよ……!?)」ゴクッ…
幼馴染「キサマの両耳に、両人差し指を突っ込むッ!」
ズボッ!!!
男「ぐぎゃああああああああああっ!!!」
幼馴染「これで少しは耳の通りがよくなったでしょ?」
男「は、はい……」
………………
…………
……
18: 深夜にお送りします 2015/05/11(月) 02:37:27 ID:TVT0teLc
十年後──
男「ただいま~!」
幼馴染「おかえりなさい」
娘「おかえんなさ~い」
幼馴染「今日は遅くなるっていったのに……困るのよね~、こういうの」ボソッ
男「おい、聞こえたぞ!」
男「しょうがないだろ、さっきメールした時は会議が長引くと思ったんだから!」
幼馴染(まったく……地獄耳なんだから)
おわり
男「ただいま~!」
幼馴染「おかえりなさい」
娘「おかえんなさ~い」
幼馴染「今日は遅くなるっていったのに……困るのよね~、こういうの」ボソッ
男「おい、聞こえたぞ!」
男「しょうがないだろ、さっきメールした時は会議が長引くと思ったんだから!」
幼馴染(まったく……地獄耳なんだから)
おわり