男「とんでもない量の偽札を作っちまった……!」
1: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:00:28.323 ID:/CR6UE+q0.net
ドッサリ…
男「とんでもない量の偽札を作っちまった……!」
手下「しかも、どれもこれもひどい出来っすよ。コピー丸出し」
手下「こんなもん使いものになりゃしません。スーパーのおばさんだって騙せませんぜ」
男「仕方ない……全部処分するか」
手下「とんだ大赤字になっちまいましたね」
男「とんでもない量の偽札を作っちまった……!」
手下「しかも、どれもこれもひどい出来っすよ。コピー丸出し」
手下「こんなもん使いものになりゃしません。スーパーのおばさんだって騙せませんぜ」
男「仕方ない……全部処分するか」
手下「とんだ大赤字になっちまいましたね」
3: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:03:14.727 ID:/CR6UE+q0.net
男「全部捨てたか?」
手下「へい、燃えるゴミで全部出しました」
男「……ん」
男「おい、一枚だけ偽札が残ってるぞ」
手下「あ、ホントだ。すんません、すぐ捨てます」
男「いや……ちょっと待て」
手下「へい、燃えるゴミで全部出しました」
男「……ん」
男「おい、一枚だけ偽札が残ってるぞ」
手下「あ、ホントだ。すんません、すぐ捨てます」
男「いや……ちょっと待て」
4: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:06:23.939 ID:/CR6UE+q0.net
男「この偽札……すごくいい出来じゃないか!?」
手下「……ホントだ!」
男「見た目、手触り、透かし、なにもかもパーフェクトだ」
男「どんな工業製品でも万に一つは不良品が生まれるものだが――」
男「今回の場合、万の不良品からパーフェクトな一品が生まれてしまったようだ」
手下「ここまで本物そっくりだと、俺らが落とした本物ってことはないすか?」
男「そりゃありえない。万札なんかめったに持てない身分だから偽札作りに手を出したんだから」
手下「ですよねー」
手下「……ホントだ!」
男「見た目、手触り、透かし、なにもかもパーフェクトだ」
男「どんな工業製品でも万に一つは不良品が生まれるものだが――」
男「今回の場合、万の不良品からパーフェクトな一品が生まれてしまったようだ」
手下「ここまで本物そっくりだと、俺らが落とした本物ってことはないすか?」
男「そりゃありえない。万札なんかめったに持てない身分だから偽札作りに手を出したんだから」
手下「ですよねー」
6: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:09:19.746 ID:/CR6UE+q0.net
手下「ってことはこれを量産すれば……」
男「奇跡で生まれた偽札なのに、どうやって量産すんだよ。また奇跡待ちか?」
手下「う……たしかに」
男「それより俺は、こいつが通用するかどうか試してみたい」
手下「ってことは……」
男「おう、さっそく町に出かけるぞ!」
男「奇跡で生まれた偽札なのに、どうやって量産すんだよ。また奇跡待ちか?」
手下「う……たしかに」
男「それより俺は、こいつが通用するかどうか試してみたい」
手下「ってことは……」
男「おう、さっそく町に出かけるぞ!」
9: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:12:14.458 ID:/CR6UE+q0.net
男「あのー、すみません」
店員「なんでしょう?」
男「これ、なにに見えます?」
店員「一万円札ですよね?」
男「おおっ!」
手下「やった!」
店員「?」
店員「なんでしょう?」
男「これ、なにに見えます?」
店員「一万円札ですよね?」
男「おおっ!」
手下「やった!」
店員「?」
11: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:15:22.720 ID:/CR6UE+q0.net
男「万札使えるタイプの販売機に入れてみよう」
手下「さすがに機械相手はバレるんじゃ……」
男「それっ」
ウイーン…
パッ
男「買える!」
手下「すげえ!」
手下「さすがに機械相手はバレるんじゃ……」
男「それっ」
ウイーン…
パッ
男「買える!」
手下「すげえ!」
12: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:18:31.486 ID:/CR6UE+q0.net
手下「こいつが限りなく本物に近いことが証明されましたね!」
男「いや……まだだ」
手下「え?」
男「どうせなら、“本物”を作ってる連中にも見せてやりたい」
手下「おおっ!」
男「ってわけで、国立印刷局に行くぞ!」
手下「あれ? 金作ってるのって造幣局じゃないんですか?」
男「造幣局は硬貨を作ってて、紙幣は国立印刷局なんだよ」
手下「へぇ~」
男「いや……まだだ」
手下「え?」
男「どうせなら、“本物”を作ってる連中にも見せてやりたい」
手下「おおっ!」
男「ってわけで、国立印刷局に行くぞ!」
手下「あれ? 金作ってるのって造幣局じゃないんですか?」
男「造幣局は硬貨を作ってて、紙幣は国立印刷局なんだよ」
手下「へぇ~」
13: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:21:34.119 ID:/CR6UE+q0.net
男「……いかがでしょう?」
手下「俺たちが作った偽札なんですけど」
職員「ふーむ……」
職員「素晴らしい出来栄えです。私の目から見ても本物と見分けがつきませんな」
男「本当ですか!?」
手下「やりましたね!」
手下「俺たちが作った偽札なんですけど」
職員「ふーむ……」
職員「素晴らしい出来栄えです。私の目から見ても本物と見分けがつきませんな」
男「本当ですか!?」
手下「やりましたね!」
17: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:24:54.355 ID:/CR6UE+q0.net
手下「本物作ってる人のお墨付きも頂けましたし、どうします? 使っちゃいます?」
男「いや……ここまでくると使うの勿体なくなってきた」
手下「その気持ち、分かります」
男「ていうかむしろ、もっと見せびらかしたくなってきた!」
手下「分かります、分かります!」
男「個展を開こう!」
男「いや……ここまでくると使うの勿体なくなってきた」
手下「その気持ち、分かります」
男「ていうかむしろ、もっと見せびらかしたくなってきた!」
手下「分かります、分かります!」
男「個展を開こう!」
21: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:27:24.491 ID:/CR6UE+q0.net
男「私たちが作った世紀の偽札! どうぞご覧になって下さい!」
手下「偶然生まれたものなんで、現物はこれっきりですよー!」
客A「……これ、ホントに偽札?」
客B「すげー、本物そっくりじゃん! 本物より本物っぽいまであるよ!」
客C「よくこんなの作れたなぁ、芸術品のオーラが漂ってる!」
手下「偶然生まれたものなんで、現物はこれっきりですよー!」
客A「……これ、ホントに偽札?」
客B「すげー、本物そっくりじゃん! 本物より本物っぽいまであるよ!」
客C「よくこんなの作れたなぁ、芸術品のオーラが漂ってる!」
24: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:30:20.405 ID:/CR6UE+q0.net
ワイワイ… ガヤガヤ…
男「見ろよ、大盛況だ!」
手下「行列が10km以上続いてるらしいですよ!」
男「撮影された動画が10億再生されてるらしいし、世界中で話題になってるようだ」
手下「俺ら、一躍時の人ですね!」
男「見ろよ、大盛況だ!」
手下「行列が10km以上続いてるらしいですよ!」
男「撮影された動画が10億再生されてるらしいし、世界中で話題になってるようだ」
手下「俺ら、一躍時の人ですね!」
25: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:33:17.616 ID:/CR6UE+q0.net
プルルルル…
手下「もしもし!」
手下「いや、今んとこその予定はなくて……」
男「どうした?」
手下「このところ、あの偽札を欲しいって問い合わせがすごいんですよ!」
手下「さっきなんかルーヴル美術館からかかってきましたよ!」
男「たしかにあの出来だ。欲しがる気持ちは分かるけどな」
手下「もしもし!」
手下「いや、今んとこその予定はなくて……」
男「どうした?」
手下「このところ、あの偽札を欲しいって問い合わせがすごいんですよ!」
手下「さっきなんかルーヴル美術館からかかってきましたよ!」
男「たしかにあの出来だ。欲しがる気持ちは分かるけどな」
27: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:36:25.699 ID:/CR6UE+q0.net
プルルルル…
手下「ですから、売るつもりはありませんってば!」
手下「ったく、今度はどこぞの贋作コレクターでしたよ。言い値で買うって……」
男「あの偽札を持ってる限り、ずっとこういう電話がかかってくるだろうな」
手下「ええ、いい加減うんざりしてきましたよ」
男「だったら……みんなが納得する形で売りに出すのが一番だろうな」
男「公開オークションをやろう! 一番高値をつけた奴があの偽札の持ち主だ!」
手下「ですから、売るつもりはありませんってば!」
手下「ったく、今度はどこぞの贋作コレクターでしたよ。言い値で買うって……」
男「あの偽札を持ってる限り、ずっとこういう電話がかかってくるだろうな」
手下「ええ、いい加減うんざりしてきましたよ」
男「だったら……みんなが納得する形で売りに出すのが一番だろうな」
男「公開オークションをやろう! 一番高値をつけた奴があの偽札の持ち主だ!」
28: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:39:16.375 ID:/CR6UE+q0.net
ガヤガヤ…
男「さあさ、スーパー偽札のオークションを開始致します!」
手下「泣いても笑っても偽札は落札者のものになりまーす!」
男「開始価格は一万円札なので、一万円から!」
男「それじゃスタート!」
男「さあさ、スーパー偽札のオークションを開始致します!」
手下「泣いても笑っても偽札は落札者のものになりまーす!」
男「開始価格は一万円札なので、一万円から!」
男「それじゃスタート!」
29: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:42:13.588 ID:/CR6UE+q0.net
「10万円!」
男「おっといきなり10万出た!」
「100万円!」
男「100万円きた! これより上は出るのか!?」
「1000万!」
男「い、一千万!? ペース早い! 早すぎる!」
男「おっといきなり10万出た!」
「100万円!」
男「100万円きた! これより上は出るのか!?」
「1000万!」
男「い、一千万!? ペース早い! 早すぎる!」
32: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:45:08.243 ID:/CR6UE+q0.net
「一億円だ!」
男「すごいことになってきた! 開始数分で一万円が一億円に!」
「十億!」
男「じゅ、十億!? ホントに払えるのでしょうかー!?」
「百億!」
男「お、おいおい……バカじゃねえの」
男「すごいことになってきた! 開始数分で一万円が一億円に!」
「十億!」
男「じゅ、十億!? ホントに払えるのでしょうかー!?」
「百億!」
男「お、おいおい……バカじゃねえの」
35: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:48:33.406 ID:/CR6UE+q0.net
「二百億!」
「五百億!」
「ええい、まどろっこしい一兆円だ!」
「十兆!」
男「みるみるうちに国家予算みたいになってきたぞ……」
手下「俺、怖くなってきました!」
男「オークションは失敗だった! かえってみんなの熱を煽ることになっちまった!」
「五百億!」
「ええい、まどろっこしい一兆円だ!」
「十兆!」
男「みるみるうちに国家予算みたいになってきたぞ……」
手下「俺、怖くなってきました!」
男「オークションは失敗だった! かえってみんなの熱を煽ることになっちまった!」
37: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:51:41.205 ID:/CR6UE+q0.net
「百兆円だ! これほどの偽札、絶対手に入れてやる!」
「ふざけるな! あの偽札はワシのもんだ!」
「この核スイッチを押されたくなくば、入札するなぁ!」
「戦争してでも手に入れてやる!」
男「や、やばい……このままじゃ第三次大戦が始まっちまう!」
手下「どうしましょ、どうしましょ!?」
「ふざけるな! あの偽札はワシのもんだ!」
「この核スイッチを押されたくなくば、入札するなぁ!」
「戦争してでも手に入れてやる!」
男「や、やばい……このままじゃ第三次大戦が始まっちまう!」
手下「どうしましょ、どうしましょ!?」
38: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:54:44.690 ID:/CR6UE+q0.net
総理大臣「こうなっては打つ手は一つしかないな」
男「総理大臣!?」
手下「なにかいい手があるんですか!?」
総理大臣「なぜ君たちの偽札があそこまで人気なのかというと、“偽札なのに本物そっくりだから”だ」
男「その通り!」
総理大臣「つまり――」
総理大臣「あの偽札こそが“本物”と認定してしまえば、この争いに終止符を打つことができる!」
男「なるほど!」
手下「その手があったか!」
男「総理大臣!?」
手下「なにかいい手があるんですか!?」
総理大臣「なぜ君たちの偽札があそこまで人気なのかというと、“偽札なのに本物そっくりだから”だ」
男「その通り!」
総理大臣「つまり――」
総理大臣「あの偽札こそが“本物”と認定してしまえば、この争いに終止符を打つことができる!」
男「なるほど!」
手下「その手があったか!」
41: VIPがお送りします 2019/03/18(月) 22:57:35.372 ID:/CR6UE+q0.net
「本物なら興味ないや」 「帰ろ帰ろ」 「一気に冷めちゃった」
男「ふぅ……争いが収まった」
手下「だけど、俺らが作ったあの偽札が本物ってことになると、今まで本物だった万札はどうなるんです?」
総理大臣「もちろん、混乱を避けるため貨幣としては今まで通り運用する」
総理大臣「しかし、当然全て“偽札”ということになるだろうな」
総理大臣「今や、君たちが作ったあの一枚こそが唯一の本物なのだから……」
男「とんでもない量の偽札を作っちまった……!」
おわり
男「ふぅ……争いが収まった」
手下「だけど、俺らが作ったあの偽札が本物ってことになると、今まで本物だった万札はどうなるんです?」
総理大臣「もちろん、混乱を避けるため貨幣としては今まで通り運用する」
総理大臣「しかし、当然全て“偽札”ということになるだろうな」
総理大臣「今や、君たちが作ったあの一枚こそが唯一の本物なのだから……」
男「とんでもない量の偽札を作っちまった……!」
おわり