借金取り「金がねえなら、強盗やるなり誘拐やるなり臓器売るなりして金作れやァ!」

2019年08月04日
借金取り「金がねえなら、強盗やるなり誘拐やるなり臓器売るなりして金作れやァ!」

1: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:00:09.945 ID:EBQAkMpu0.net
借金取り「あぁ!? 金がねえだと!?」

男「ですから、返済はもう少しだけ待って下さい……」

借金取り「ふざけんな! ガキの使いで来てんじゃねーんだぞ!」

借金取り「金がねえなら、強盗やるなり誘拐やるなり臓器売るなりして金作れやァ!」

男「わ、分かりましたぁ!」

借金取り「ったく……」

4: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:03:20.938 ID:EBQAkMpu0.net
男「ああ……どうすればいいんだ……」

男「なんとかして、お金を作らなきゃ、殺されてしまうかも……」

男「こうなったら……強盗をやるしかない!」

男「やるとしたらどこだ……? どこかの家? それともコンビニ?」

男「いや、確実に金がありそうなところといえば、やっぱり銀行だろう」

男「銀行強盗をやるしかない……!」

6: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:06:19.673 ID:EBQAkMpu0.net
ウイーン…

男(包丁持って銀行に来たはいいけど、この後どうしよう……)

男(とりあえず、あそこの人に話しかけてみるか)

銀行員「いらっしゃいませ」

男「……」

男「やい、金を出せ!」

銀行員「!」

8: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:09:13.497 ID:EBQAkMpu0.net
男「これ……包丁だ!」サッ

銀行員「お、おやめ下さい!」

男「大丈夫、刺すつもりはない……けど、金を出せぇっ!」

銀行員「脅しになってませんよ!」

男「脅しになってないけど、お金を出してくれええええっ! お願いしますぅぅぅ!」



ザワザワ… ドヨドヨ…

ナンダナンダ… サワガシイナ…

10: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:12:17.522 ID:EBQAkMpu0.net
男「さあ、早く金を――」

銀行員「おい」

男「な、なんだ!?」

銀行員「落ち着け!」

男「落ち着いていられるか!」

銀行員「いいから! 落ち着いて俺の顔を見やがれ!」

男「……あ」

12: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:15:09.572 ID:EBQAkMpu0.net
男「あなた……借金取りさん!?」

銀行員「そうだよ」

男「なんでこんなところに……!?」

銀行員「なんではこっちの台詞だよ」

銀行員「よりによって、俺の勤めてる銀行に押し掛けてきやがって……」

男「すみません……。まさか銀行員もやってるとは知らなくて……」

14: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:18:12.468 ID:EBQAkMpu0.net
銀行員「幸い、まだ周囲もあんたが強盗だって気づいてないようだ」

銀行員「今日のところはとりあえず見逃してやる」

銀行員「あとは何とかごまかしておくから、とっとと帰れ」

男「は、はい……」

銀行員「あと、あんたはどう見ても強盗向いてねえから、もうよそで強盗なんてすんじゃねえぞ」

男「そうですね、そうします……」

銀行員(ったく、強盗やれっていわれて、ホントにやる奴がいるかよ……)

15: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:21:05.609 ID:EBQAkMpu0.net
――

男「うーむ、銀行強盗は大失敗に終わった……」

男「借金取りさんのいうとおり、他の銀行を狙ってもどうせ失敗するだろうな……」

男「他の手を考えなきゃ……」

男「だったら次は誘拐だ!」

男「子供を誘拐して、身代金を手に入れるんだ!」

16: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:24:20.084 ID:EBQAkMpu0.net
男(よし……あの子にしよう!)

男「君」

幼女「なーに?」

男「包丁で刺されたくなかったら、おじさんについてきなさい」

幼女「はーいっ!」

男「あ、だけど本当に刺すつもりはないから安心してね!」

幼女「うん、そんな度胸なさそうだもん!」

男(子供にも見抜かれてる……トホホ)

17: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:27:21.069 ID:EBQAkMpu0.net
男「じゃあ、パパやママの電話番号を教えてくれるかな?」

幼女「いいよ! パパの番号教えたげる!」

男「ありがとう」

男「もしもし……お宅の娘さんは預かった」

『な、なにっ!?』

男「返して欲しければ、今からいう場所に身代金を持ってこい!」

『わ、分かった! 娘には手を出さないでくれ!』

18: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:30:14.203 ID:EBQAkMpu0.net
幼女「パパ、まだかなー」

男「もうすぐおうちに帰れるからね」

幼女「あっ、パパだー!」


「身代金を持ってきたぞ! 娘を返してくれ!」


男「ふふふ、よし――」

19: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:33:02.736 ID:EBQAkMpu0.net
男「あ」





借金取り「……あ」

20: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:36:20.711 ID:EBQAkMpu0.net
借金取り「またお前かよ!」

男「すみません、すみません、すみません!」

借金取り「よりによって俺の娘を誘拐しやがって……」

男「あなたに娘がいるなんて、知らなかったもので……」

借金取り「犯人がお前だって分かってたら、身代金なんて持ってこなかったぜ!」

男「すみません、余計な手間をかけさせまして」

幼女「じゃあねー」

借金取り(ったく、誘拐やれっていわれて、ホントにやる奴がいるかよ……)

21: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:39:23.703 ID:EBQAkMpu0.net
――

男「誘拐も失敗だった……」

男「元々子供を怖い目にあわせる誘拐は乗り気じゃなかったし、誘拐も諦めよう」

男「となると……残る手段はたった一つ」

男「こうなったら、臓器を売るしかない!」

24: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:42:18.054 ID:EBQAkMpu0.net
医者「本日はどうされましたか?」

男「実は……」

男「私から臓器を抜き取って欲しいんです!」

医者「は?」

男「お医者さんなら、メスでちょちょいと抜き取れるでしょう?」

医者「ちょちょいって……そんなことできるわけないでしょう!」

25: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:45:37.013 ID:EBQAkMpu0.net
男「お願いします!」

医者「落ち着いて下さい!」

男「この通りです!」

医者「落ち着きなさい!」

男「金が必要なんです!」

医者「落ち着け!」

男「いいえ、臓器を抜き取ってくれるまで――」

医者「俺だ! 俺の顔をよく見ろ!」

男「え」

28: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:48:38.292 ID:EBQAkMpu0.net
男「借金取りさん!?」

医者「……ああ」

男「借金取りさんって、銀行員だけでなく、お医者さんでもあったんですか!」

医者「まあな……」

男「すごい! よくこなせてますね! ダブルワークならぬトリプルワークじゃないですか!」

医者「まあ、勤務時間をなんとか融通きかせたりしてな」

男「仮に出来たとしても、過労死しちゃいますよ!」

医者「人間やればなんだってできるもんよ」

29: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:51:22.979 ID:EBQAkMpu0.net
医者「ていうか、お前の借金、そこまですごいもんでもねえだろ!」

医者「死ぬ気で働けば、バイト暮らしでも数年で十分返せる額だ!」

男「は、はい!」

男「俺も借金取りさんを見習って、どんな仕事にも挑戦します!」

男「そして必ず借金を返します!」

医者「その意気だ!」

医者(ったく、臓器売れっていわれて、ホントにやる奴がいるかよ……)

30: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:54:12.737 ID:EBQAkMpu0.net
……

……

……




借金取り「てなことがありましてね」

老人「ふふふ……本当に強盗、誘拐、臓器売りをやろうとするとは……大したタマじゃねえか」

借金取り「ええ、俺もビックリしましたよ」

借金取り「それからは一生懸命働いてますし、借金完済の日も近いでしょう」

31: VIPがお送りします 2019/03/15(金) 20:57:24.611 ID:EBQAkMpu0.net
借金取り「ところでこれ……今回の分の返済金です」

老人「おう、これで借金完済だな、おめでとう」

借金取り「ありがとうございます!」

老人「それにしても――」


『金がねえなら、借金取りやるなり銀行員やるなり医者やるなりして金作れやァ!』


老人「たしかに俺はこういったが、まさかホントにやる奴がいるとは思わなかったよ」





おわり

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