男「嫁がいつも狙撃銃で僕を狙ってる」 嫁「若い女の子と話してる……発射!」
1: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 21:42:03.857 ID:l8PCfTNt0
<会社>
同僚「お、今日は愛妻弁当か。いいなぁ~」
男「いいだろぉ~」パカッ
男「……あれ」
男(いつもはご飯に梅干し乗せてくれてるのに、今日は乗ってないな)
バシュッ!
男「!」
男(どこからともなく、ご飯の上に梅干しが飛んできた……)
同僚「お、今日は愛妻弁当か。いいなぁ~」
男「いいだろぉ~」パカッ
男「……あれ」
男(いつもはご飯に梅干し乗せてくれてるのに、今日は乗ってないな)
バシュッ!
男「!」
男(どこからともなく、ご飯の上に梅干しが飛んできた……)
8: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 21:45:19.129 ID:l8PCfTNt0
プーン…
男「……ん」
男「こんな季節にハエか……うっとうしいな」
プーン…
男「シッ、シッ!」バッバッ
バシュッ!
男「!」
男(ハエが狙撃されて、砕け散った……)
男「……ん」
男「こんな季節にハエか……うっとうしいな」
プーン…
男「シッ、シッ!」バッバッ
バシュッ!
男「!」
男(ハエが狙撃されて、砕け散った……)
10: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 21:48:31.571 ID:l8PCfTNt0
新人女「せんぱ~い、これ分からないんで教えて下さぁい」
男「ああ、これはね……」
新人女「あぁ~、そうなんですかぁ~。ありがとうございますぅ~」
男「ちょ、近いって……(香水の匂いが……)」
ピシッ!
男「いでっ!」
ピシッ! ピシッ!
男「あうっ! はうっ!?」
新人女「?」
男(柔らかい弾が、僕に向かって何発も……!)
男「ああ、これはね……」
新人女「あぁ~、そうなんですかぁ~。ありがとうございますぅ~」
男「ちょ、近いって……(香水の匂いが……)」
ピシッ!
男「いでっ!」
ピシッ! ピシッ!
男「あうっ! はうっ!?」
新人女「?」
男(柔らかい弾が、僕に向かって何発も……!)
11: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 21:52:20.089 ID:l8PCfTNt0
<自宅>
男「ただいまー」
嫁「お帰り」
男「……今日も僕のことを狙撃銃で狙ったろう」
嫁「なんのことだ?」
男「とぼけちゃって……」
男「ああそれと……その迷彩柄のエプロン、よく似合ってるよ」
嫁「! ……あ、ありがとう」
男「ただいまー」
嫁「お帰り」
男「……今日も僕のことを狙撃銃で狙ったろう」
嫁「なんのことだ?」
男「とぼけちゃって……」
男「ああそれと……その迷彩柄のエプロン、よく似合ってるよ」
嫁「! ……あ、ありがとう」
14: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 21:55:21.340 ID:l8PCfTNt0
嫁「夕食の支度をするから、少し待っててくれ」
男「うん」
嫁「スープの中に……砂糖を発射!」バシュッ
ポチャンッ…
嫁「続いて、塩を発射!」バシュッ
ポチャンッ…
男「狙撃銃使わずにフツーに作りなよ!」
嫁「この方がおいしく出来上がるものでな……」
男「うん」
嫁「スープの中に……砂糖を発射!」バシュッ
ポチャンッ…
嫁「続いて、塩を発射!」バシュッ
ポチャンッ…
男「狙撃銃使わずにフツーに作りなよ!」
嫁「この方がおいしく出来上がるものでな……」
15: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 21:57:43.811 ID:l8PCfTNt0
嫁「どうだ?」
男「…………」ズズッ…
男「うん、おいしい!」
嫁「本当か!」
嫁「祝砲!」パンッ
嫁「祝砲!」パパパパンッ
男「ちょっ、やめて!」
男「…………」ズズッ…
男「うん、おいしい!」
嫁「本当か!」
嫁「祝砲!」パンッ
嫁「祝砲!」パパパパンッ
男「ちょっ、やめて!」
17: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:00:45.035 ID:l8PCfTNt0
男「そろそろ寝ようか。電気消そう」
嫁「ならば、狙撃で電気のスイッチをオフにしよう」パシュッ
男(なんて便利なんだ……)
男「君の狙撃銃は、何でも飛ばせるし、何でもできるんだね」
嫁「ああ、昔は銃弾しか飛ばせなかったが、そのように改造したからな」ジャキッ
男(どう改造したらそうなるんだか……)
嫁「ならば、狙撃で電気のスイッチをオフにしよう」パシュッ
男(なんて便利なんだ……)
男「君の狙撃銃は、何でも飛ばせるし、何でもできるんだね」
嫁「ああ、昔は銃弾しか飛ばせなかったが、そのように改造したからな」ジャキッ
男(どう改造したらそうなるんだか……)
23: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:04:35.205 ID:l8PCfTNt0
朝――
男「しまった、寝坊した~!」ドタバタ
嫁「あれほど起こしたのに……!」
男「今日は遅刻するとまずいんだよなぁ、会社の健康診断もあるし……」ドタバタ
嫁「…………」
嫁「だったら、あれしかないな」
男「あれって?」
男「しまった、寝坊した~!」ドタバタ
嫁「あれほど起こしたのに……!」
男「今日は遅刻するとまずいんだよなぁ、会社の健康診断もあるし……」ドタバタ
嫁「…………」
嫁「だったら、あれしかないな」
男「あれって?」
26: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:07:16.735 ID:l8PCfTNt0
嫁「この大砲で、あなたを会社に狙撃する」
男「……え」
嫁「さあ、砲の中に入れ」
男「入れって……たしかドラえもんの道具でこんなのあったけどさ……」
嫁「会社は……あっちの方角だったな」
嫁「点火!」シュボッ…
男「あの、まだ心の準備が……」
男「……え」
嫁「さあ、砲の中に入れ」
男「入れって……たしかドラえもんの道具でこんなのあったけどさ……」
嫁「会社は……あっちの方角だったな」
嫁「点火!」シュボッ…
男「あの、まだ心の準備が……」
28: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:09:27.073 ID:l8PCfTNt0
嫁「発射!!!」
ドォンッ!!!
男「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
ギュゥゥゥゥゥゥゥンッ!
ドォンッ!!!
男「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
ギュゥゥゥゥゥゥゥンッ!
29: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:11:49.856 ID:l8PCfTNt0
ギュゥゥゥゥゥゥゥンッ!
男(おお……?)
男(空気抵抗やらなにやらで、砲弾になってる僕がどんどん減速して……)ヒュルルルル…
ストンッ
男「着いた」
課長「おはよう。今日はずいぶん早いねえ」
男(おお……?)
男(空気抵抗やらなにやらで、砲弾になってる僕がどんどん減速して……)ヒュルルルル…
ストンッ
男「着いた」
課長「おはよう。今日はずいぶん早いねえ」
31: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:14:23.838 ID:l8PCfTNt0
休みの日――
<街中>
嫁「たまには二人でショッピングというのもいいものだな」ウキウキ
男「うん、このところ忙しかったしね」
男「どれ、洋服でも買うかい?」
嫁「いいのか!? ならば、新しく出た迷彩色の――」
後輩「先輩!」
<街中>
嫁「たまには二人でショッピングというのもいいものだな」ウキウキ
男「うん、このところ忙しかったしね」
男「どれ、洋服でも買うかい?」
嫁「いいのか!? ならば、新しく出た迷彩色の――」
後輩「先輩!」
32: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:17:51.401 ID:l8PCfTNt0
後輩「よかった、先輩が近くにいて助かりました!」
嫁「なんの用だ?」
男(この人は、特殊部隊時代の後輩か……)
後輩「実は、立てこもり事件が発生しているんです」
後輩「犯人は体にダイナマイトを巻いており、一触即発の状況で……」
後輩「どうしても先輩の力をお借りしたいんです!」
嫁「私はすでに引退した身、しかもこの通りデート中なんだが……」
男「いいじゃないか。手伝ってあげなよ」
嫁「あなたがそういうなら……」
後輩「ありがとうございますっ!」
嫁「詳しい状況や犯人の位置を話してもらおう」
後輩「はいっ!」
嫁「なんの用だ?」
男(この人は、特殊部隊時代の後輩か……)
後輩「実は、立てこもり事件が発生しているんです」
後輩「犯人は体にダイナマイトを巻いており、一触即発の状況で……」
後輩「どうしても先輩の力をお借りしたいんです!」
嫁「私はすでに引退した身、しかもこの通りデート中なんだが……」
男「いいじゃないか。手伝ってあげなよ」
嫁「あなたがそういうなら……」
後輩「ありがとうございますっ!」
嫁「詳しい状況や犯人の位置を話してもらおう」
後輩「はいっ!」
33: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:20:47.875 ID:l8PCfTNt0
嫁「じゃあ、狙撃銃貸して」
後輩「ど、どうぞ!」
嫁「発射」ドギュンッ
嫁「終わった。返す」サッ
後輩「え!?」
男「え!?」
ザザッ…
後輩「!」
通信『立てこもり犯が、どこからか飛んできた弾に当たって失神した! すぐに確保する!』
嫁「ほらな?」
後輩「あ……ありがとうございますっ!」
男「せめて見て撃ってあげなよ……なんだか犯人が可哀想になる」
嫁「すまん……」
後輩「ど、どうぞ!」
嫁「発射」ドギュンッ
嫁「終わった。返す」サッ
後輩「え!?」
男「え!?」
ザザッ…
後輩「!」
通信『立てこもり犯が、どこからか飛んできた弾に当たって失神した! すぐに確保する!』
嫁「ほらな?」
後輩「あ……ありがとうございますっ!」
男「せめて見て撃ってあげなよ……なんだか犯人が可哀想になる」
嫁「すまん……」
37: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:25:05.614 ID:l8PCfTNt0
<射撃場>
男(嫁さんは、かつて所属してた特殊部隊に未だに頼られてて、狙撃の指導をすることもある)
後輩「はっ!」ドキューン…
後輩「くそっ、わずかに中心から外れた!」
嫁「今外れたのは姿勢が悪かったせいだ。どれ、私が直してやろう」
後輩「お願いしますっ!」
男(嫁さんは、かつて所属してた特殊部隊に未だに頼られてて、狙撃の指導をすることもある)
後輩「はっ!」ドキューン…
後輩「くそっ、わずかに中心から外れた!」
嫁「今外れたのは姿勢が悪かったせいだ。どれ、私が直してやろう」
後輩「お願いしますっ!」
38: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:28:19.462 ID:l8PCfTNt0
嫁「まず、もっと腰はこう……ギュッとして!」
後輩「こ、こうですか?」
嫁「両眼でしっかりターゲットをビッと見て、腕はこうバーッとする!」
嫁「そして、ガッと引き金を引くのだ! グワッと!」
後輩「は、はぁ……」
嫁「コラ! もっと腰はグンッといったろう! グンッ!」
後輩「さっきはギュッていってましたけど……」
嫁「そんなこといってないぞ! さあ、もっと腰をギュルッと曲げて……」
男(教えるのはヘタクソなようだ……)
後輩「こ、こうですか?」
嫁「両眼でしっかりターゲットをビッと見て、腕はこうバーッとする!」
嫁「そして、ガッと引き金を引くのだ! グワッと!」
後輩「は、はぁ……」
嫁「コラ! もっと腰はグンッといったろう! グンッ!」
後輩「さっきはギュッていってましたけど……」
嫁「そんなこといってないぞ! さあ、もっと腰をギュルッと曲げて……」
男(教えるのはヘタクソなようだ……)
40: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:32:19.022 ID:l8PCfTNt0
そんなある日――
<自宅>
男「ふぅ……」
嫁「どうした? 元気がないな」
男「実は……この前の健康診断で再検査しなきゃいけないことになって……」
嫁「再検査……!」
男「まあ、何でもないと思うんだけど、ちょっと憂鬱でね」
嫁「その通り! 絶対何でもない! 病気なんか私が狙撃してやる!」
男「おかげで元気出たよ。ありがとう」クスッ
嫁「それは何よりだ」
<自宅>
男「ふぅ……」
嫁「どうした? 元気がないな」
男「実は……この前の健康診断で再検査しなきゃいけないことになって……」
嫁「再検査……!」
男「まあ、何でもないと思うんだけど、ちょっと憂鬱でね」
嫁「その通り! 絶対何でもない! 病気なんか私が狙撃してやる!」
男「おかげで元気出たよ。ありがとう」クスッ
嫁「それは何よりだ」
41: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:35:34.030 ID:l8PCfTNt0
ところが――
<病院>
医者「精密検査の結果、ご主人の脳に腫瘍が見つかりました」
医者「手は尽くしますが、今の状態が続くと、余命はあまり長くないかもしれません……」
男「…………」
嫁「そんな……! 何とか、何とか取り除けないのか!?」
医者「手術では取り除けないデリケートな箇所に出来ており……外科的な措置はまず不可能です」
医者「しかし、投薬や他の治療法を試してみましょう。決して希望は捨てないで下さい」
男「分かりました」
嫁(くっ……!)
<病院>
医者「精密検査の結果、ご主人の脳に腫瘍が見つかりました」
医者「手は尽くしますが、今の状態が続くと、余命はあまり長くないかもしれません……」
男「…………」
嫁「そんな……! 何とか、何とか取り除けないのか!?」
医者「手術では取り除けないデリケートな箇所に出来ており……外科的な措置はまず不可能です」
医者「しかし、投薬や他の治療法を試してみましょう。決して希望は捨てないで下さい」
男「分かりました」
嫁(くっ……!)
42: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:38:38.961 ID:l8PCfTNt0
<自宅>
嫁「…………」
男「どうしたの? 今度は君が元気をなくしちゃって」
嫁「夫が長く生きられないといわれて、元気をなくさない妻がどこにいる!」
男「夫の遺産目当てで結婚した妻なら、あるいは」
嫁「冗談をいってる場合か!」
男「ごめんごめん」
嫁「みんな、私を“狙撃手”と見る中、あなたははじめて私を“女”として見てくれた男だった」
嫁「おじいさんおばあさんになるまで、ずっと一緒だと思ってた」
嫁「それなのに……!」
嫁「…………」
男「どうしたの? 今度は君が元気をなくしちゃって」
嫁「夫が長く生きられないといわれて、元気をなくさない妻がどこにいる!」
男「夫の遺産目当てで結婚した妻なら、あるいは」
嫁「冗談をいってる場合か!」
男「ごめんごめん」
嫁「みんな、私を“狙撃手”と見る中、あなたははじめて私を“女”として見てくれた男だった」
嫁「おじいさんおばあさんになるまで、ずっと一緒だと思ってた」
嫁「それなのに……!」
43: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:40:14.146 ID:l8PCfTNt0
男「泣かないで」
嫁「!」
男「大丈夫……僕は死なないよ」
男「お医者さんも言ってたろう? 希望を捨てるなって」
男「絶対助かってみせるから……」
嫁「……うん」
嫁「!」
男「大丈夫……僕は死なないよ」
男「お医者さんも言ってたろう? 希望を捨てるなって」
男「絶対助かってみせるから……」
嫁「……うん」
45: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:45:45.637 ID:l8PCfTNt0
<病院>
医者「こちらがご主人の最新の脳の画像です」
医者「腫瘍の大きさは変わっていません。それどころか、より悪質なものに変性しています」
男「そうですか……」
嫁「…………」
医者「しかし、他にも治療法はあります。決して諦めず――」
嫁「あ、あのっ!」
医者「なんでしょう?」
嫁「もう一度、今の画像を見せてもらえるだろうか。出来れば色んな角度から」
医者「? かまいませんが……」
医者「こちらがご主人の最新の脳の画像です」
医者「腫瘍の大きさは変わっていません。それどころか、より悪質なものに変性しています」
男「そうですか……」
嫁「…………」
医者「しかし、他にも治療法はあります。決して諦めず――」
嫁「あ、あのっ!」
医者「なんでしょう?」
嫁「もう一度、今の画像を見せてもらえるだろうか。出来れば色んな角度から」
医者「? かまいませんが……」
46: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:47:41.959 ID:l8PCfTNt0
嫁「…………」ジーッ
男「どうしたの?」
嫁「ドクター、頼みがある」
医者「なんでしょう?」
嫁「この腫瘍の除去……私にやらせてもらえないだろうか」
医者「はい? おっしゃる意味が――」
嫁「私が狙撃でこの腫瘍を取り除いてみせる!」
医者「は!?」
男「どうしたの?」
嫁「ドクター、頼みがある」
医者「なんでしょう?」
嫁「この腫瘍の除去……私にやらせてもらえないだろうか」
医者「はい? おっしゃる意味が――」
嫁「私が狙撃でこの腫瘍を取り除いてみせる!」
医者「は!?」
47: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:50:14.774 ID:l8PCfTNt0
医者「なにいってんです!? 狙撃で……って」
医者「外科手術で取り除くのは無理だと、何度も説明したでしょう!」
嫁「この画像を見ると、この角度から極めて小さい弾丸で腫瘍を狙えば」
嫁「脳を傷つけずに腫瘍を取り除ける可能性がある」
医者「奥さん、落ち着いて下さい。ヤケになってはいけません」
医者「今すぐ死ぬわけではありませんし、他にも治療法はあるのですから――」
男「……いいかもしれない」
医者「ちょっ!?」
医者「外科手術で取り除くのは無理だと、何度も説明したでしょう!」
嫁「この画像を見ると、この角度から極めて小さい弾丸で腫瘍を狙えば」
嫁「脳を傷つけずに腫瘍を取り除ける可能性がある」
医者「奥さん、落ち着いて下さい。ヤケになってはいけません」
医者「今すぐ死ぬわけではありませんし、他にも治療法はあるのですから――」
男「……いいかもしれない」
医者「ちょっ!?」
48: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:54:10.914 ID:l8PCfTNt0
医者「なにいってんの!?」
医者「狙撃で脳腫瘍を撃ち抜くなんて聞いたことがない!」
医者「一ミリでもずれたら、どころのレベルじゃないんですよ!? まず即死、最低でも脳死!」
医者「ただの自殺――いや殺人だ! 断じて認められるわけがない!」
嫁「頼む、ドクター」
男「お願いします、お医者さん」
医者「…………!」
医者(夫婦揃って、私を撃ち抜くような目つきしやがって……)
医者「……いいでしょう。ただし、くれぐれも自己責任でやって下さいよ」
嫁「むろんだ」
男「ありがとうございます」
医者(ああ……なんで許可しちゃったんだろ私)
医者「狙撃で脳腫瘍を撃ち抜くなんて聞いたことがない!」
医者「一ミリでもずれたら、どころのレベルじゃないんですよ!? まず即死、最低でも脳死!」
医者「ただの自殺――いや殺人だ! 断じて認められるわけがない!」
嫁「頼む、ドクター」
男「お願いします、お医者さん」
医者「…………!」
医者(夫婦揃って、私を撃ち抜くような目つきしやがって……)
医者「……いいでしょう。ただし、くれぐれも自己責任でやって下さいよ」
嫁「むろんだ」
男「ありがとうございます」
医者(ああ……なんで許可しちゃったんだろ私)
49: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:57:41.728 ID:l8PCfTNt0
<手術室>
医者「では、麻酔医を呼んできますので……」
男「いや、麻酔はいりません。立ったままで狙撃を受けたいので」
医者「はぁ!?」
嫁「うむ、私としても立ってくれてた方がやりやすい」
嫁「現役時代も、標的は立っていることがほとんどだったからな」
男「というわけです」
医者「もう好きなようにしてくれぇ!」
医者「では、麻酔医を呼んできますので……」
男「いや、麻酔はいりません。立ったままで狙撃を受けたいので」
医者「はぁ!?」
嫁「うむ、私としても立ってくれてた方がやりやすい」
嫁「現役時代も、標的は立っていることがほとんどだったからな」
男「というわけです」
医者「もう好きなようにしてくれぇ!」
52: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:59:50.046 ID:l8PCfTNt0
嫁「では、始めよう」ジャキッ
男「うん」
シーン…
医者(ううう……マジで始まってしまった。狙撃による手術が……)
医者(しかし、奥さん……すごい集中力だ。銃を構えて、完全に自分の世界に入っている……)
医者(旦那さんも旦那さんだ。頭に銃を向けられてるのに、至って平然としている……)
医者(なんなんだ、この夫婦……!?)
男「うん」
シーン…
医者(ううう……マジで始まってしまった。狙撃による手術が……)
医者(しかし、奥さん……すごい集中力だ。銃を構えて、完全に自分の世界に入っている……)
医者(旦那さんも旦那さんだ。頭に銃を向けられてるのに、至って平然としている……)
医者(なんなんだ、この夫婦……!?)
53: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:02:02.316 ID:l8PCfTNt0
嫁「いくぞ」
男「いつでも」
医者「…………」ゴクッ…
男「いつでも」
医者「…………」ゴクッ…
56: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:04:07.476 ID:l8PCfTNt0
ズキューン…
バシュッ!
………………
…………
……
バシュッ!
………………
…………
……
58: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:07:53.200 ID:l8PCfTNt0
医者「……改めて脳を撮影したところ、腫瘍は完全に消えています」
医者「手術は……成功です」
嫁「や、やった!」
男「……ありがとう」
医者「いやはや、すごいものを見せてもらいました」
医者「奥さんの狙撃の腕はもちろんですが、一切微動だにしなかった旦那さんもまたすごい」
医者「この手術は……まさにあなたがた“夫婦の手術”だったといえるでしょう」
嫁「おだててもなにも出ないぞ」
男「こちらこそ、無理を聞き入れて立ち会って下さってありがとうございます」
医者「今日のことは、私の一生の思い出となるでしょうね」
医者「手術は……成功です」
嫁「や、やった!」
男「……ありがとう」
医者「いやはや、すごいものを見せてもらいました」
医者「奥さんの狙撃の腕はもちろんですが、一切微動だにしなかった旦那さんもまたすごい」
医者「この手術は……まさにあなたがた“夫婦の手術”だったといえるでしょう」
嫁「おだててもなにも出ないぞ」
男「こちらこそ、無理を聞き入れて立ち会って下さってありがとうございます」
医者「今日のことは、私の一生の思い出となるでしょうね」
60: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:10:48.174 ID:l8PCfTNt0
帰り道――
嫁「今になって……両手が震えている」プルプル…
嫁「我ながら恐ろしいことをしたものだ。脳腫瘍を狙撃だなんて……」
男「本当にありがとう」
嫁「いや……ドクターもいってたが、この手術の功績はむしろあなたにある」
嫁「私の腕を信じて、微動だにしなかったんだからな」
男「君の腕を信じる? 僕は別に、君の腕を信じてたから微動だにしなかったわけじゃないよ」
嫁「えっ、どういうことだ?」
嫁「今になって……両手が震えている」プルプル…
嫁「我ながら恐ろしいことをしたものだ。脳腫瘍を狙撃だなんて……」
男「本当にありがとう」
嫁「いや……ドクターもいってたが、この手術の功績はむしろあなたにある」
嫁「私の腕を信じて、微動だにしなかったんだからな」
男「君の腕を信じる? 僕は別に、君の腕を信じてたから微動だにしなかったわけじゃないよ」
嫁「えっ、どういうことだ?」
63: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:14:16.542 ID:l8PCfTNt0
男「だって……僕にとって、君に狙撃されることは“人生の一部”だから」
男「だから、緊張せず普段通りの気持ちでいられたんだ。微動だにせずにいられたんだ」
男「たとえどんな結果になっても、僕は納得できていたと思うよ」
嫁「…………!」
男「どうしたの? 顔が真っ赤だよ?」
嫁(私としたことが、夫にハートを狙撃されてしまうなんて……まだまだ未熟だ……!)
男「?」
嫁「さ、さあ帰るぞ! ダッシュだ!」ダッ
男「あのー、僕まだ病み上がりなんですけど……」
男「だから、緊張せず普段通りの気持ちでいられたんだ。微動だにせずにいられたんだ」
男「たとえどんな結果になっても、僕は納得できていたと思うよ」
嫁「…………!」
男「どうしたの? 顔が真っ赤だよ?」
嫁(私としたことが、夫にハートを狙撃されてしまうなんて……まだまだ未熟だ……!)
男「?」
嫁「さ、さあ帰るぞ! ダッシュだ!」ダッ
男「あのー、僕まだ病み上がりなんですけど……」
64: VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:16:37.308 ID:l8PCfTNt0
……
男「うわぁ、遅刻遅刻!」
男「行ってきまぁ~す!」タタタタタッ
嫁「おいっ、定期を忘れてるぞ!」
嫁「仕方ない……定期入れをあの人のカバンめがけて――発射!」ズキューン…
おわり
男「うわぁ、遅刻遅刻!」
男「行ってきまぁ~す!」タタタタタッ
嫁「おいっ、定期を忘れてるぞ!」
嫁「仕方ない……定期入れをあの人のカバンめがけて――発射!」ズキューン…
おわり