課長「ワールドカップを見たいから会社を休みたいだと? ……ふざけるなッ!」

2019年06月03日
課長「ワールドカップを見たいから会社を休みたいだと? ……ふざけるなッ!」

1: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:30:11.766 ID:oMKu3QbA0
会社――

課長「なにぃ~?」

課長「ワールドカップを見たいから会社を休みたいだと?」

男「は、はい……」

男「日本とベルギーの試合は深夜ですし、会社のことを気にせず観戦したいんです!」

男「テレビの前で全力で日本を応援したいんです!」

課長「……ふざけるなッ!」

3: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:32:21.208 ID:oMKu3QbA0
男(うう……やっぱりダメか……)

課長「テレビの前で満足なのか?」

男「え……?」

課長「本当はロシアに行って生で応援したいんじゃないのか!?」

課長「日本を! 世界の強豪を! スーパースターたちを!」

男「そ、そうです!」

課長「ならば行くぞ……ロシアへ!」

5: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:34:35.826 ID:oMKu3QbA0
男「ところで、何で行くんです?」

課長「もちろん車だ。飛行機は怖い」

男「時間はかかりますが、のんびり旅が楽しめますね!」

課長「うむ、過程を楽しめないようでは、一流の旅人にはなれん」

課長「日本代表で、君の好きな選手は?」

男「うーん……色々いわれてますけど、やっぱり本田ですかねえ」

課長「フッフッフ、私の愛車はそんな君に相応しい車だ!」

男「え!?」

7: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:36:12.583 ID:oMKu3QbA0
ブロロロロロ… キキッ

課長「ムーヴだ」

男「ダイハツじゃねえか!!!」

課長「ダイハツの何が悪い!!!」

男「あ、いえ……悪くないです……。すみません、つい……」

課長「さぁ、ロシアに向けて出発だ!」

9: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:39:32.352 ID:oMKu3QbA0
ブロロロロロ…

男「そういえばロシアってどっちにあるんでしたっけ?」

課長「北だろう」

男「そりゃ分かりますけど……」

課長「北へ北へ進んでいけば、いつか必ずロシアにたどり着ける!」

男「どことなく名言に聞こえるからすごいです」

ブロロロロロロロ…

10: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:41:04.582 ID:oMKu3QbA0
北海道――

課長「札幌名物、サッポロビールだ」

男「うまそ~!」

課長「カンパイ!」

男「カンパーイ!」

グビグビッ

男「いやー……札幌で飲むサッポロビールは最高ですね!」

男「でも、運転はどうするんです?」

課長「あっ……」

課長「仕方ない、アルコールが抜けるのを待とう……」

男「とんだアディショナルタイムだ……」

12: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:43:19.466 ID:oMKu3QbA0
ザザーン…

男「ここが北海道の最北端、宗谷岬です」

課長「海じゃないか」

男「海です」

課長「しまった……! 北海道からロシアに通じるトンネルがあると思ってた……!」

男「ないですよ、そんなもん!」

男「どうするんですか!? 車じゃロシアにたどり着けませんよ!」

課長「安心しろ! ムーヴにはこんな機能もついている!」ポチッ

13: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:45:17.956 ID:oMKu3QbA0
ジャキジャキジャキーンッ!

男「おおっ、船になった!」

課長「どんなところでも動ける(ムーブ)……だからムーヴだ」

男「す、すげえ……!」

課長「野郎ども、出航だ!」





ザババババババ…

15: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:46:52.115 ID:oMKu3QbA0
ザババババババ…

男「ここはどこでしょう?」

課長「北方領土だ」

男「北方領土の……なんて島ですか?」

課長「……北方領土だ」

男「地理はお詳しくないようで」

課長「……すまん」

17: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:49:04.870 ID:oMKu3QbA0
ロシア娘「ボルシチ、いりませんカー?」


男「あ、女の子がいる! かわいいですね!」

課長「北方領土には、ロシア人が住んでいるというからな」

課長「だが、今はかまってられない。ワールドカップに間に合わなくなる」

男「その通りですね! 無視しましょう!」


ロシア娘「ワタシのボルシチ、誰も食べてくれナイ……」グスッ


男「……」

課長「……」

男「課長……!」

課長「ああ、分かってる。ここで食わなきゃ男じゃない!」

21: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:51:15.029 ID:oMKu3QbA0
男「君のボルシチ……食べさせてくれないか?」

ロシア娘「!」

課長「ちょうどお腹がすいていたんだよ。お腹と背中がくっつきそうだ!」

ロシア娘「スパシーバ! ボルシチ、たんと食べテ!」

男「いただきます!」

課長「いただきます!」

24: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:53:05.279 ID:oMKu3QbA0
男「いやー、おいしかったですね!」

課長「ああ、おかげで体が温まったよ」

ロシア娘「ワタシのボルシチ、食べてくれてスパシーバ!」

ロシア娘「この恩は必ず返すカラ……」

男「気にしないで、これからもおいしいボルシチを作ってくれよ!」

ロシア娘「ウン!」

26: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:55:23.297 ID:oMKu3QbA0
ザバババババ…

ヒュゥゥゥゥ…

男「うう……寒い……!」

男「なんか、ずいぶん寒くなってきたんですけど」

課長「そりゃあ、北に向かってるわけだから、寒くなるのは当たり前だろう」

男「だけどこの寒さ、尋常じゃありませんよ?」

課長「たしかに……ボルシチを食べてなかったら凍死しているレベルだ」

男「ほら、あそこ! 氷山がある!」

課長「な……!? な、なんてことだ……ということは、ここは――」

28: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 01:57:44.925 ID:oMKu3QbA0
課長「北極だ!」

男「なんですって!? 北に行きすぎちゃったわけですか!」

課長「まずい……すぐ引き返さねば、ワールドカップに間に合わなくなる!」

男「そうですよ! 日本とベルギーの試合が……」

男「――あっ!」

課長「どうした!?」

男「課長……あそこ!」

30: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:00:04.566 ID:oMKu3QbA0
シロクマ「ガバッ……ゴボッ……ゲボォッ……!」ザブザブ



男「シロクマが溺れてます!」

課長「きっと温暖化の影響で氷山が溶け、泳ぎの苦手なクマが溺れてしまっているのだろう」

課長「だが、我々には関係ない」

男「ですよね……」

男「……」

課長「……」

男「課長……!」

課長「ああ、分かってる。ここで助けねば男じゃない!」

35: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:03:29.411 ID:oMKu3QbA0
シロクマ「……ありがとうございました」

シロクマ「なんとお礼をいったらいいか……」

男「いやいや、北極の氷が溶けてしまったのはこちらの責任でもありますから……」

課長「ええ、これからも絶滅しないよう頑張って下さい」

シロクマ「なんて優しい方々だ……」

シロクマ「あ、あのっ! よろしければ、北極名物を食べていきませんか!」

男「北極名物?」

38: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:06:14.533 ID:oMKu3QbA0
シロクマ「練乳と果実と小豆を乗せたかき氷です、どうぞ!」

男「おお~」

課長「本場の白くま!」

シャクシャク…

男「くぅ~、頭が!」キーン…

課長「しかし、うまい! たまらん!」シャクシャク

男「もしかしたら、鹿児島の白くまは、北極から伝来されたものなのかもしれませんね!」

課長「うむ……恐るべし薩摩隼人!」

40: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:07:10.549 ID:oMKu3QbA0
男「しかし、ここからどうしましょう?」

課長「なんとかしてロシアに行かなければならんな」

男「シロクマさん、ロシアってどっちだか分かりますか?」

シロクマ「すみません、私、北極から出たことがないもので……」

男「ですよね……」

課長「誰か、ロシアに詳しい人間はいないものか……」

41: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:09:01.262 ID:oMKu3QbA0
ロシア娘「オーイ!」





課長「あっ!」

男「あの子は!? 船で追いかけてきてくれたんだ!」

45: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:12:08.848 ID:oMKu3QbA0
ロシア娘「アッハッハ、やっぱり迷子になってたカ! 追いかけてよかっタ!」

ロシア娘「ボルシチ食べてくれたお礼! ワタシがロシアまで案内してヤル!」

男「本当かい!?」

課長「ありがとう!」

男「じゃあ、ロシアW杯へ……レッツゴー!」

課長「オーッ!」

ロシア娘「オーッ!」

シロクマ「オーッ!」

47: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:13:48.254 ID:PHUzmEnz0
シロクマもお供するのかよ

48: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:13:49.730 ID:PbCfatDWd
シロクマついてくるんかい

49: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:15:34.365 ID:oMKu3QbA0
ロシア――

ロシア人「へ? ワールドカップ? もうとっくに終わっちまったよ」

男「へ……?」

課長「なんだと……!?」

男「じゃあ、日本はどうなったんですか!? 優勝国は!?」

ロシア人「さぁ……俺、ウォッカにしか興味ねえから」グビグビ

男「あうう……」ガクッ

課長「せっかくここまで来たのに……」ガクッ

シロクマ(二人とも……)

ロシア娘(なんて声をかけたらいいか、分からナイ……)

51: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:17:54.337 ID:oMKu3QbA0
課長「すまん……!」

課長「私が車で行こうなんて提案したり、ビール飲んだり、北極に迷い込んだりしたから……!」

男「いえ、課長のせいじゃありませんよ」

課長「え……」

男「俺、課長が一緒にロシア行こうっていってくれた時、本当に嬉しかったんです」

男「だから、謝らないで下さい! 胸を張って下さい!」

課長「ありがとう……!」

男「さぁ、帰りましょう! 俺たちの故郷、日本に!」

ロシア娘「ニッポン楽しみー!」

シロクマ「私、一度日本に行ってみたかったんですよ」

55: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:20:29.565 ID:oMKu3QbA0
日本――

男「!」モジッ

課長「!」モジッ

男「課長……トイレに行きたくなってきました」

課長「そういえば、ビール、ボルシチ、かき氷と、飲んだり食べたりしてきたからな……」

男「ボルシチに使われるビーツには、利尿作用もありますしね……」

課長「どこかにトイレはないか……?」

ロシア娘「ねえ、あそこ! ワールドカップ! あそこワールドカップ、まだやってるヨー!」

男「え!?」

58: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:23:00.003 ID:oMKu3QbA0
≪W.C≫



ロシア娘「ほら、ワールドカップ!」

男「……」

課長「……」

シロクマ「……」

男「ふふっ」

課長「ははっ」

シロクマ「ハハハッ」

男「そうだな……たしかにこれはWC(ワールドカップ)だ!」

61: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:25:08.325 ID:oMKu3QbA0
課長「よーし、みんなで誰が一番長くおしっこ出せるかワールドカップだ!」

男「いいですねえ!」

シロクマ「やりましょう! 負けませんよ!」

ロシア娘「じゃあワタシ、外でボルシチ作って待ってるヨー!」

課長「とびきりおいしいのを作ってくれよ!」

男「俺たちのワールドカップはこれからだ!」







おわり

68: VIPがお送りします 2018/07/01(日) 02:29:02.766 ID:+Hw/n9fUr

ちょっとムーヴ買ってくる

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