彡(゚)(゚)「中国のゴキブリ養殖場に見学に行く?」

2018年12月14日
彡(゚)(゚)「中国のゴキブリ養殖場に見学に行く?」

1: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:31:01 ID:aL9
 
( ・`ω・´)「そうだ」

彡(゚)(゚)「………」

─── 真弓バイオ研究所

彡(゚)(゚)「…ええと、もう一回確認しますけど、中国の…ゴキブリ養殖所?」

( ・`ω・´)「そうだ」

彡(゚)(゚)「なんでっかそれ」

( ・`ω・´)「ポジハメ研究員、説明を。」

(*^◯^*)「分かったんだ! このタブレットを見るんだ!」

彡(゚)(゚)「はあ…」

彡(゚)(゚)「これは……えらいデカい工場やな…」

(*^◯^*)「四川省西昌市にあるゴキブリの養殖場なんだ。」

彡(゚)(゚)「はあ…」

3: ◆jAjYS9VHd2 2018/12/12(水)18:31:44 ID:aL9

(*^◯^*)「AIが管理していて、養殖数はザッと60億匹なんだ」

彡;(゚)(゚)「60億!? 日本のアース製薬研究所でも60万匹やで!?」

(*^◯^*)「やっぱり中国はスケールがデカいんだ」

彡(゚)(゚)「でも、なんでそんなにゴキブリ養殖しとるんや」

(*^◯^*)「中国ではゴキブリが生薬になるんだ。成長したゴキブリをスリ潰して薬にするんだ」

彡;(゚)(゚)「うーん…」

(*^◯^*)「すごいのは、ゴキの脱走を防ぐために周りを水槽で囲って、中に魚を飼ってるんだ」

(*^◯^*)「逃げたゴキブリは魚に食べられて、成長した魚は食用として出荷…完璧なサイクルなんだ」

彡;(゚)(゚)「なんか…できればその魚食べたくないで……」

(*^◯^*)「で、社長としてはAIで生物飼育を管理しているってのがキョーミ深い…
      もとい、人員削減できるんじゃないかと企んで…」

( ・`ω・´)「ゴホン」

(*^◯^*)「あ… とにかく、そのシステムを見学しに行くんだ」

4: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:32:03 ID:aL9

彡(゚)(゚)「はぁ… しかし、なんでワイが…」

( ・`ω・´)「生物研究部でヒマ…いや、見分を広めるチャンスを生かしてくれそうなのが君だけなんだよ!」

( ・`ω・´)「機械プログラム担当のポジハメ君も同行してもらう」

彡(゚)(゚)「はぁ…まあ、AIがメインですもんね」

( ・`ω・´)「それと、ポジハメくんは中国語が堪能でな。通訳としても同行してもらう」

彡;(゚)(゚)「え…お前中国語しゃべれるんか? なんでや?」

(*^◯^*)「横浜には中華街があるから」

彡;(゚)(゚)「あーなるほど(?)」

( ^`ω^´)「とにかく、明日からよろしく頼んだぞ! ワッハッハ」 ポンポン

彡(゚)(゚)「はぁ……」

彡(゚)(゚)

彡(゚)(゚)「明日?」




彡;(゚)(゚)「ゼーッ ゼーッ 準備ギリギリやったぞ!! 話が急すぎるやろ!」

(*^◯^*)「ウチの所長の無茶ぶりはいつも通りなんだ」

彡;(゚)(゚)「ホンマ謝ってほしいわ! もう!」

5: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:33:07 ID:aL9

彡(゚)(゚)「ま、とにかく飛行機乗りこめたから安心したわ」

(*^◯^*)「ええと、東京から中国・成都まで5時間ちょいだね」

彡(゚)(゚)「はえ^~意外と近いんやなぁ中国」

(*^◯^*)「寝ちゃってもいいけど…ぼくは夜眠れなくなるから、もらった新聞でも読んでようかな」 ペラ…

彡(゚)(゚)「なんかおもろいニュースあるか?」

(*^◯^*)「あ、ええと、"中国で遺伝子操作ベイビー誕生が発表された"だってさ」

彡(゚)(゚)「ああ…タイムリーやな… 中国は遺伝子研究盛んやし」

(*^◯^*)「そうなんだ?」

彡(゚)(゚)「ああ、その人間のベイビーがニュースになるってことは、他はやり尽くされとるってことや」

彡(゚)(゚)「微生物、虫、魚、犬、サル…人間以外の生き物で、そらもう中国では遺伝子研究されまくりや」

(*^◯^*)「…なんか中国ってだけで凄そう」

彡(゚)(゚)「凄いで。 研究費も日本と比べ物にならん。研究者のポテンシャルも高い。」

彡(゚)(゚)「そして…競争が激しい。 やから、暴走する研究者が出るのも自明…時間の問題やった」

彡(゚)(゚)「ワイら生物学畑の人間は、中国のそのニュースはあんまり驚かんわ…」

(*^◯^*)「はえ^~ 研究が盛んなのはいいことだけど、暴走とか怖いなぁ」

6: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:34:01 ID:aL9

彡(゚)(゚)「…基本的には、ワイら日本の研究者は『カルタヘナ法』という取り決めに基づいて研究を行うんや」

彡(゚)(゚)「遺伝子研究ってのは慎重に行わんとそれこそ世界を変えかねんからな…」

彡(。)(。)「やけど、運用するのは所詮人間や…欲に目がくらんだら、どうなるか分からんな…」

(*^◯^*)「はえ^~ 確かに、遺伝子組み換えのアレコレが無秩序にバラまかれたらヤバそう」

彡(゚)(゚)「せやな…。 実は、生み出すのと同じくらい、処分の仕方も重要なんや。 ヘタな処分したら…」

彡(-)(゚)「ふあ……」

(*^◯^*)「あ、ごめん、眠い?」

彡(-)(-)「ワイは昨日徹夜で準備したからなぁ… すまんが、ちょっと寝かせてもらうわ」

7: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:35:17 ID:aL9

(*^◯^*)「うん。 ついたら起こすね」

彡(-)(-)「おおきに……」

彡(-)(-)「…zzzZZZZ…」

 ……zzzzZZZZ……

 …………


────

 「…頼みがある」

「なんだ」

 「実はな……こっちの研究の過程で生じた、大量の"在庫"があるんだ」

「在庫?」

 「…成長促進遺伝子を使った植物で食料品を大量に作るってプロジェクトだったんだが…
  これがどうにもクソマズくて食えない代物でな… それが大量の在庫になっちまって…」

「…味見はしなかったのか」

 「そんな悠長なことしてたら他の研究所に先越されちまう!
  今、この国の研究は出遅れたら即追い抜かれておしまいだ!
  一度落ちぶれたら、もう二度と国はカネを出さない! お前だってよく知ってるだろ!」

「ああ……」

 「それで…その大量に出た"在庫"を… お前んとこで処理できないか?」

「処理… 食わせるってことか? ウチのゴキブリに」

 「そうだ。 ゴキブリなら味もわからねぇだろ? 
  それに、そっちの餌代も浮く! お互いに悪い話じゃねぇだろ?」

8: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:35:53 ID:aL9

「…なるほどな。 分かった。今後会議にかけて、役人の承認も取り付けて…」

 「バカ!それができねぇからこうやって話してるんだろ!」

「…申告してないのか…」

 「ああ…さっきも言ったが、プロジェクトの失敗自体が悪い印象与えちまう。
  失敗は隠す…成功すれば表に出す…常識だろ?」

「まあな」

 「だから、お前のとこでこっそり食わせてくれよ。 頼む!」

「……いいだろう」

 「! ありがとう…!助かる!」

「その代わり、"謝礼"はそれなりの額だ。 当たり前だろう?」

 「……わかった」

「…よし、交渉成立だ。 私が他の誰にもバレないよう、手配してやる。
 気が付いた時には、すべてはゴキブリの腹の中さ」

────
──


 …くん!

 やきうくん!

(*^◯^*)「やきうくん!」

彡(-)(゚)「ファッ!?」

(*^◯^*)「ついたよ!」

彡(゚)(゚)「ついた…んか……」

9: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:36:20 ID:aL9

(*^◯^*)「そう、ぼくたち来たんだよ! 中国に!」

彡(゚)(゚)「ついたんか! 中国に!」




       彡(゚)(゚)「中国のゴキブリ養殖場に見学に行く?」




 ワイワイ ガヤガヤ

(*^◯^*)「ふえー 当たり前だけど中国人ばっかりなんだ」

彡(゚)(゚)「なあ、空港で現地コーディネーターと会うんやろ?」

11: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:38:19 ID:aL9

(*^◯^*)「そうなんだ。 ネットで料金安い人見つけて雇ったんだ」

彡;(゚)(゚)「ネットで? 大丈夫か?」

(*^◯^*)「大丈夫なんだ。 日本語もしゃべれる女性でトントン拍子だったんだ」

(*^◯^*)「しかも25歳で写真は美人! これは雇うしかないんだ」

彡;(゚)(゚)「なんか色々とヤバい気がするがほんま大丈夫か…」

(*^◯^*)「確か、ロビーで待ってるはずだけど…」 キョロキョロ

彡(゚)(゚)「えーと」 キョロキョロ


 『 ポじハめサン やキうサン ようコそ!!』


彡(^)(^)「あ! あれちゃうか!? あのスケッチブック掲げとる…」

(*^◯^*)「あー! あれなんだ! 行ってみるんだ!」

彡(^)(^)「やー、ニーハオニーハオ、これからよろしく頼む……」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ

彡(^)(^)

彡(^)(^)(…? なんやこの小学生のガキは。 母親の手伝いか?)

14: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:41:56 ID:aL9
 
彡(^)(^)「あーお嬢ちゃん。 マッマの手伝いか?偉いな。 とりあえずマッマ呼んでくれるか」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「アナタやきうさんネー! わたしフェリス! よろしくネ!」

彡(^)(^)

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「これからアナタたちのコーディネーターやるネ! 
       オカネいっぱいいっぱいくれるネ! よろしくネー!」

彡(^)(^)

彡(●)(●)「ポジハメエエエ゙エエ゙エ゙エエ゙!!!!」

(*゚◯゚*)「わあ゙あ゙ああ゙あ゙ああ゙あああ!!!!」

彡(●)(●)「何が美人や!! お前そんな趣味あったんか!!!」 ギュゥゥゥ

(*゚◯゚*)「違うんだ!! 写真ではちゃんと大人の女性…グエー」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「加工シタ」

彡(゚)(゚)

(*^◯^*)

レハ ^ヮ^ノ!ヽ「今からコーディネーター探すの大変ヨ みんなフッカケテくるネ」

レハ ^ヮ^ノ!ヽ「中国人はお金ガメついネ 時間もかかるヨ  ドースル?」

彡(゚)(゚)

(*^◯^*)


   「……よろしく……お願いします……」



15: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:46:28 ID:aL9
 
───

 ワイワイ ガヤガヤ
  パーッパーッ ザワザワ

彡;(゚)(゚)「うへぁ、凄いヒトや」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「中国人 交通ルール 守らないネ 轢かれないように注意するヨロシ」

(*^◯^*)「ここは…マーケット? 露天商がいっぱいなんだ」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「ここ通るとホテルまで近道ネ タクシー代は節約ヨ」

 「ニホンジン!スシ!ニンジャ!」
  「ヤスイヨ! コレ買ッテ!」

彡;(゚)(゚)「露店の売り込みが激しいわぁ」

(;*^◯^*)「買わされないように気をつけなくちゃ…」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「安いカラ私たちもたまにココで買うネ。 
       お金持ちは春熙路歩行街に行くネ。 日本でイウ銀座みたいなとこヨ」

(*^◯^*)「はえ^~」

   「丈夫な歯ブラシあるヨ!」
 「どんな体型でも履ける伸び伸びパンツね!お買い得ね!」
  「1週間もつホッカイロね!便利ね!」

彡(@)(@)「あぁぁあぁ……」

17: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:48:25 ID:dtd
春熙路

はえ~

18: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:51:25 ID:aL9
 
(*^◯^*)「活気がすごいや」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「スリにも気を付けるネ! ほら、ついてくるネ!」


 「安い安い安い!」
  「お買い得お買い得お買い得!」
 「買って買って買って!」

彡(@)(@) グルグル



彡(゚)(゚)「パンツ買ってもうた…」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「ここがホテルね!」

彡(゚)(゚)「はえ^~ 割りとちゃんとしたとこや」

レハ -ヮ-ノ!ヽ「日本人はチャントお湯が出るトコじゃないとウルサイね
        細かすぎるネ」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「それと、慣れないウチは夜に街をウロウロするとよくないネ
       この辺りは治安が良い方だけど、日本人は平和ボケボケだから危機感足りないネ」

(*^◯^*)「確かに無用なトラブルは避けないとなぁ」

彡(゚)(゚)「喧嘩売られたりするんかなぁ 絡まれたらなんて言えばええんや…」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「放馬過来!!」

彡(゚)(゚)「ふぁんまーぐおらい? どういう意味や」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「かかってこい」

彡;(゚)(゚)「煽っとるやんけ!!」
 

19: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:52:20 ID:aL9
 
(*^◯^*)「にしてもフェリスちゃん日本語上手なんだ。勉強したんだ?」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「アニメで勉強したネ!」

彡;(゚)(゚)「ア、アニメ?」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「プリキュア!!セーラームーン!!ダンバイン!!」

彡;(゚)(゚)「なあ、ほんまにコイツで大丈夫なんか!?」

(;*^◯^*)「うーん、今から代えを探すのは大変なんだ。しょうがないんだ」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「ドロブネにのったキモチでいるといいねネ!!!」

彡( )( )(日本帰りたい…)
 

21: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:58:22 ID:aL9
 
 ガチャ

彡(゚)(゚)「ふいー、シャワー浴び終わったで」

(*^◯^*)「あいよー 次はぼくなんだ」 トテトテ

彡(゚)(゚)「はぁ……疲れたなぁ… まあ、今日だけで色々あったしなァ」

彡(-)(-)「もう寝てまうか… 布団入ろ」 バサッ

レハ -ヮ-ノ!ヽ「グーグー…zzzZZZ」

彡(゚)(゚)





(*^◯^*)「ふいー、シャワー気持ちよかったんだ」

彡(-)(-)「zzzZZZ」 グーグー

(*^◯^*)「? なんでやきう君ソファーで寝てるんだ…?」

(*^◯^*)「まあいいや。僕は僕のベッドで寝るんだ」 ゴソ…
 

22: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)18:59:10 ID:aL9
 
(*^◯^*)「おやすみー」

彡(-)(-) 「zzzZZZ……」

………


 「やきうは本当に研究が好きだなぁ」

「大学研究員なんて貧乏なのによくやるよ」

 「研究が好きだから? すげぇなぁお前は」

   …
 
「なあ、やきうは次の教授戦、どっちに入れるんだ?」
 「やっぱりウチの陣営だよな」
「こっちだよな?頼むよ」
  「信じてる」
 「裏切るなよ」
  「裏切ったら…分かってるよな」
「研究できなくなるぞ」

   「辞めるのか…」
 「やきう君には…ウチの研究室で頑張ってほしかったが…」

 「どうして急に…?」「辞められたら困るよ」

  「…大きい? 大きい壁を感じる?」
 「自分は大きなものに立ち向かっていく勇気がない?」

  「そんな理由で辞めるのか?」

   「逃げるのか?」

 「それじゃあ… 一生逃げ続けろよ」

……


彡;(゚)(゚)「ハッ…!!」 ガバッ

(*^◯^*)「zzzZZZ…」 グーグー
 

23: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:00:08 ID:aL9
 
彡(゚)(゚)「…」

彡(。)(。)(…嫌なこと、思い出してもうたな…)

 ピピピピピピ

彡(゚)(゚)「ファッ」

(*^◯^*)「うーん、朝なんだ!」 ムク

(*^◯^*)「あれ? もう起きてたんだ? おはようなんだ」

彡(゚)(゚)「ん、おはよう」



(*^◯^*)「それじゃ、出発するんだ」

彡(゚)(゚)「おう」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「行くヨー」

彡;(゚)(゚)「……」

(;*^◯^*)「……」

彡;(゚)(゚)「…親戚の娘ってことにしとくか」

(;*^◯^*)「…ウン」
 

25: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:04:29 ID:aL9
 
─── 你好生薬研究所

彡(゚)(゚)「はえ^~めちゃくちゃデカいな…」

(*^◯^*)「敷地が一個の村ぐらいあるよ… それに近未来的なデザイン…」

彡(゚)(゚)「しかし…結構郊外にあるんやなぁ。山に囲まれた盆地やんけ。近くに民家もあらへんし」

(*^◯^*)「広い敷地を作るには、土地代が安い田舎じゃないとねー」

( `ハ´)「それと……研究所に人を近寄らせないためでもアル」

彡(゚)(゚)「ファッ!?」

( `ハ´)「研究員のリーある。 よろしくアル」

彡(゚)(゚)「ああ…よろしくやで。 日本語しゃべれるんやな」

( `ハ´)「ウチの研究員は天才ばかりだから日本語ぐらいお茶の子さいさいアルネ」

(*^◯^*)「今日はよろしくなんだ!」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「你好~」

( `ハ´)「……この子は?」

彡;(^)(^)「あ、あーこの子親戚の子で、中国に住んでるんですけど、どうしても着いて来たいって言って…」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「え? 私コーディネータ…モガ」

(;*^◯^*)「いやーどうしても聞かなくって…ご一緒してもいいですかねぇ?」

( `ハ´)「アイヤー仕方ないアルね いいアルよ 特別よ」

(;*^◯^*)「いやーありがとうございます」

彡;(^)(^)「ウロチョロせんように見張っときますんで…」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「モガモガ」
 

26: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:07:30 ID:aL9
 


( `ハ´)「これがウチの研究所のロビーある」

彡(゚)(゚)「はえ^~広いなぁ」

(*^◯^*)「オシャレなんだ!」

彡(゚)(゚)「真ん中に建っとるデカい時計塔は何や」

( `ハ´)「ウチの金(キン)所長が建てたアル。 タイム イズ マネー。 時はカネなりって我々に見せつけるためアル」

(*^◯^*)「その下にはホロ付きリヤカーがあるんだ」

( `ハ´)「あれは所長が昔、漢方薬の行商をしてた頃のリヤカーある
     がんばればこれだけ成り上がって稼げるぞ、と我々に示しているアル」

彡;(゚)(゚)「金の話ばっかやな……」

( `ハ´)「所長は我々がドン引きするぐらい金にガメついアル。給料上げてほしいアル」

彡(゚)(゚)「中国の研究者も大変なんやなぁ…」
 

28: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:15:59 ID:aL9
 
 ガチャ

( `ハ´)「そして、ここが研究室本部アル」

 ザワザワ ガヤガヤ

彡(゚)(゚)「はえ^~ たくさんの研究員が働いとる…」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「すごーい」

( `ハ´)「ここで我々はゴキブリのモニタリングと研究を行っているアル」

(*^◯^*)「ねえ見て、魚が泳いでるんだ」

彡(゚)(゚)「はぁ? 魚? そんなワケ…」

 パチャッ

彡(゚)(゚)「ホンマや…」

 ポジハメが指さしたその先──分厚いガラスごしに、水槽が見える。

(*^◯^*)「これが噂の、取り囲みの水槽…?」

( `ハ´)「そうアル」

( `ハ´)「この研究室の隣が、水槽に取り囲まれた飼育スペースになっているアル」

彡(゚)(゚)「なんで隣に?」

( `ハ´)「中国人はせっかちアル。 
     マジックハンドで採取したサンプルを1秒でも早く研究するために隣にできたアル」

(;*^◯^*)「ううん、中国人の熱意と合理性はすごいなぁ」

彡;(゚)(゚)「やなぁ」
 

29: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:19:55 ID:aL9
 
  ポトッ

(;*^◯^*)「あ゙! 水槽にゴキブリが落ちた!」

 ジタバタ

彡;(゚)(゚)「おえ…」

魚 スイーッ パクッ

( `ハ´)「こうして、魚のエサになるアル ゴキブリが外に漏れないよう工夫してるアル
     水槽も強化ガラスで出来ているから十分水圧にも耐えれるアル」

(*^◯^*)「なるほどなぁ」

( `ハ´)「ちなみにあの魚はたまに社員食堂に出るアル」

彡;(゚)(゚)「うえ…」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「おいしそー」

彡( )( )「ええ…」
 

30: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:33:54 ID:aL9
 
───

( `ハ´)「ここが倉庫……まあ、もといゴミ置き場アル」

彡(゚)(゚)「…ガラクタばっかりや」

(*^◯^*)「この大きいカプセルみたいなのは?」

( `ハ´)「これは、外部がどんな環境でもゴキブリを飼育できるスペースを確保しよう、
     というコンセプトで作られたシェルターある」

( `ハ´)「実験のため、高温・低温・衝撃にも耐えられる素材で作ってアル」

彡(゚)(゚)「なんでガラクタ扱いされとるん」

( `ハ´)「外がそんなだったら別にそこまでして飼育しなくてよくない?って意見が大半だったアル」

彡;(゚)(゚)「…作ったやつが無駄に凝ってしまったんか…あるあるやなぁ」

( `ハ´)「強化ガラスの窓…外からも中からも開く扉…凝りすぎて逆に色々残念な出来アル」

彡;(゚)(゚)「なんで中からも開くねん…」

( `ハ´)「中に人が閉じ込められたら大変だ!と思ったらしいアル」

彡;(゚)(゚)「大人が入るには小さすぎて入らんやろ」

( `ハ´)「そんなんだからボツになったアル」

(;*^◯^*)「なるほどね…」
 

31: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:34:02 ID:aL9
 
レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「これ何ー?」 ヒョイ

( `ハ´)「それは広く殺虫剤を散布するための道具アル」

彡(゚)(゚)「なんでボツに?」

( `ハ´)「今は殺虫剤の研究はやってないアル。 今育ててるゴキブリは全部生薬用あるね」

(*^◯^*)「なるほど…」



( `ハ´)「ここが飼育シェルターの扉ね」

彡;(゚)(゚)「この中に…60億匹のゴキブリが…」 ゴク…

( `ハ´)「飼育環境はAIが管理していて、『真っ暗でジメッとした環境』を維持してるネ
     ほとんどのゴキブリは一生光を見ることなく生涯を終えるネ」

( `ハ´)「一回、外国人の記者が中に入ったことがあるネ。
     『竹林に風が吹き抜けるような音が響き渡った』そうアルよ」

彡( )( )「うへぁ……」

(*^◯^*)「今回ぼくたちも中を見学できるんだ?」

彡;(゚)(゚)「本気か!?」

( `ハ´)「フルフル… 残念ながら、今は見学できないアル ちょっとトラブルで…」

(*^◯^*)「トラブル?」

( `ハ´)「ゴキブリたちの様子がおかしいアル… 原因調査のため、今は中に入れないアル」

(*^◯^*)「そっかー」

彡;(゚)(゚)「ホッ…」

(*^◯^*)「? ゴキブリの様子がおかしいって…?」

( `ハ´)「ああ…それは… これ言っていいんアルか? まあいいや、研究室に戻るアル」
 

33: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:37:08 ID:aL9
 
─── 研究室本部

 ザワザワ ガヤガヤ

( `ハ´)「これが今日のゴキブリの個体数アル」 ベラッ

彡(゚)(゚)「これは… 今日だけ個体数がガクッと減って…その後妙な増加傾向やな…」

( `ハ´)「AIが数えてるから完璧ではないが、概ね正確アル」

彡(゚)(゚)「なんだか妙なグラフやなぁ。 今までこんな変化ないで」 ペラペラ

(*^◯^*)「AIがエラーを起こした…?」

彡(゚)(゚)「バイトが何か変なことしたんちゃうん」

( `ハ´)「いや、電子部がチェックしたけど異常は無かったアル。 おかしいのはゴキブリたちね」 ピッ

(*^◯^*)「これは…動画?」

( `ハ´)「飼育室のカメラ映像アル」

彡;(゚)(゚)「おえ…」

  ガサガサ… ゴソゴソ…

    バリッ ガリッ

(*^◯^*)「!! 共食いしてる…」

彡(゚)(゚)「…? おかしいで…」

(*^◯^*)「ゴキブリの共食いが?」

彡(゚)(゚)「いや、ゴキブリの共食い自体は珍しくない。 
     個体数調整のためによく行われる行動や… しかし…」

( `ハ´)「そう。 ここの飼育環境は、餌も十分にあって、決してスペースが足りない訳でもないアル」

( `ハ´)「飼育ゴキブリ同士の共食いなんて、ワタシが勤めてから初めて見たネ」
 

35: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:43:42 ID:aL9
 
彡(゚)(゚)「しかも…食っとる側は色が濃くて大きい… 食われとる側と別個体…? いやまさかそんな…」

( `ハ´)「そう。この飼育室には一種類しか入ってないはずアル。この映像は色々とおかしいアルよ」

彡(゚)(゚)「外部から別種が混入した可能性はないんか?」

( `ハ´)「フルフル 機密性は厳重だし、餌を運び入れるのも慎重を喫しているアル」

(*^◯^*)「妙な話だね……」

彡(゚)(゚)「でもひとつ…可能性があるとすれば…」

( `ハ´) コク…

彡(゚)(゚)「突然変異か」

(*^◯^*)「突然変異!?」

彡(゚)(゚)「非常に稀やが、考えられるとすればそれぐらいしか… 本当やったら結構な大発見やけど…」

( `ハ´)「それでウチのチームも、早速マジックハンドでサンプルを取りに行ってるアル」

(*^◯^*)「はえ^~」

( `ハ´)「あそこの窓から、ゴキブリを捕まえたアームが出てくるアル」

研究員A「アームで一匹捕まえました。 出します」

研究員B「サンプル、上がってきます」

 プシュー… ウィィィィン…


(*^◯^*)「出てきた…」

 ジタジタジタジタ

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「動いてる」
 

37: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:45:28 ID:aL9
 
彡(゚)(゚)「めっちゃ暴れとるな…。 …? こんな種類、見たことないんやが…」

  キシ! キシ! キシ!

彡(゚)(゚)(こんな鳴き方も初めて聞くな…)

研究員A「とりあえず…ゴム手袋して、と…」

(;*^◯^*)「ふえ…手でつかむんだ?」

研究員B「ええ、手でつかんで、いったん解剖台に固定…」

研究員A「よっ、と」 パシ…

  ジタジタジタ…

研究員A「っ!? こ、こいつ、すげぇ力つよ…」 ギュゥゥッ

研究員B「大丈夫か?」

研究員A「な、なんだコイツ…暴れるな!」 ギュッ

   ギチ    ブヂッ

研究員A「え……」

  ブシュゥゥゥゥッ! 
   ボタボタボタボタ…


研究員A「うぎゃああああああああぁぁっ!!!」

彡;(゚)(゚)「!?」

(;`ハ´)「ど、どうしたアル!?」

研究員A「ゆ、ゆ、指が、噛まれ…!」 ボタ、ボタ ブシュッ…

(;*^◯^*)「ち、ち、血が!」
 

38: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:45:50 ID:aL9
 
 ブゥゥゥゥゥゥンッ!!

研究員B「ゴキブリが飛んだッ!」

彡;(゚)(゚)「!!」

(;`ハ´)「!!」

彡;(゚)(゚)「窓は……閉まっとるな!!」

(;`ハ´)「全部閉まってるアル…! でも、エアコンの通気口が天井に…!」

彡;(゚)(゚)「…!」

彡;(゚)(゚)(最も避けなければならないのは… "外部に新種が拡散してしまうこと"…!)

彡;(゚)(゚)(ただでさえ外来種っちゅーのは問題だらけやのに! 
      コイツはどんなシロモンかも分かってへんのや!)

彡;(゚)(゚)「殺して…ええな?」

(;`ハ´)「…コク サンプルはまだいっぱい在るネ」
 

42: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:50:24 ID:aL9
 
 ブゥゥゥゥン…   ピト

(*^◯^*)(…床に止まった…?)

 キシ… キシ… キシ…

彡;(゚)(゚)(こいつの鳴き声… よく見たらアゴのキバが擦れ合う音やんけ… そら指も食いちぎるわ)

  キシ…  ゴク、ゴク…

(*゚◯゚*)「!  こいつ…床に落ちた血を飲んでる…!」

研究員B「よし…止まってる… この雑誌で…!」 ブンッ!

  ! シャ───ッ!

(;*^◯^*)「あっ! 逃げた!」

彡;(゚)(゚)「うわっ! こっち来た!」

   キシャァアァァァァッ!

彡;(゚)(゚)「威嚇してくるんや…… ないで!!」 グチャァッ!!

(;*^◯^*)「踏み潰した!」
 

43: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:51:00 ID:aL9
 
彡;(゚)(゚)「……」 スッ

  ピクピク… キシ…キ、シ…

(;*^◯^*)「潰れたんだ…」

(;`ハ´)「やきう、ありがとうアル」

彡;(゚)(゚)「あ、いや………それより……」

彡;(゚)(゚)「こいつ、 め っ ち ゃ 硬 か っ た で」

(;`ハ´)「え?」

(;*^◯^*)「硬い?」

彡;(゚)(゚)「感触が、カブトムシやクワガタとか甲虫類並やったで…」

研究員A「うう…確かに、触った感触も、いつものゴキブリのソレでは無かった…」

( `ハ´)「とりあえず、その死骸から解剖してみるアル 何か分かるカモ」

研究員B「分かりました…」

彡;(゚)(゚)「ふぅ…」

レハ;゚-゚ノ!ヽ「…」 

( `ハ´)「…やきう、一度その子を外に出すカ?」

レハ;゚-゚ノ!ヽ「…」 ブルブル

彡(゚)(゚)「…せやな」

( `ハ´)「お嬢ちゃん、ちょっとあったかいもの飲みに行こうカ」

レハ;゚-゚ノ!ヽ「…コク」
 

45: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:56:45 ID:aL9
 
 食堂

( `ハ´)y━・~ 「驚かせて悪かったアル」 スパー

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「…」 ゴクゴク

彡(゚)(゚)「まあなぁ でもま、ええ経験になったわ(?)」

(*^◯^*)「びっくりしたんだ」

( `ハ´)「さすがに、新種出現+あわや脱走事故、はそうそうあることじゃないネ」

彡(゚)(゚)「しかし、アレは一体…」

( `ハ´)「わからんアル。 硬質な外骨格に、大きなキバ、それに好戦的かつ凶暴化…」

彡(゚)(゚)「突然変異にしても、あまりにも…」

  ざわ・・・

彡(゚)(゚)「ん」

 カツ、カツ、カツ、カツ

彡(゚)(゚)「なんやアレ」

( `ハ´)「あれは軍部のお偉いさんネ。たまに視察に来るアル」

( `ハ´)「案内してるのが、金所長ね」

彡(゚)(゚)「ははぁ、ガメつそうな顔しとる」
 

47: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:57:18 ID:aL9
 
(*^◯^*)「なんで軍人さんが?」

( `ハ´)「ウチの生薬は軍部にも卸してるね
      それに薬は軍事利用もできるからネ
      所長は利用価値のあるものを軍に売り込んで、ビジネス広げようとしてるネ」

(*^◯^*)「はえ^~ お金儲けに忙しいんだ」

彡(゚)(゚)「ま、こんな最新設備の研究所やもんなぁ 金もかかるわなぁ」

(*^◯^*)「こんだけ広いんだもんね」

( `ハ´)「まあ、実を言うと地下にもスペースが在るヨ」

(*^◯^*)「まだあるの!?」

( `ハ´)「使ってないし、ただの空洞だけどネ ただ、所長はいつでも事業拡大できるようにしてるね
      一部工事始まってるから床が抜けないよう気を付けるネ」

彡( )( )「さらにデッかくなるんか…」

(*^◯^*)「ここが中国でも屈指の施設になりそうだねぇ…」 ズズ…

彡(゚)(゚)「ってことは…ここの所長、相当ヤリ手やな」

( `ハ´)「叩き上げで上り詰めたそうアルよ」

(*^◯^*)「"そう"?」

( `ハ´)「所長の過去は謎アル 大学出たあと、漢方薬の研究始めたらしいネ
     で、10年前…30歳の時に小さい研究所を立ち上げて、
     結果を出して…国から資金を得て、この研究所建てたみたいネ」

彡;(゚)(゚)「こんなデカい研究所の所長で、経歴が謎とかあり得るんか…」

( `ハ´)「まあ、この国ではよくあることネ 詮索はしないヨ 皆我が身が可愛いネ」

(*^◯^*)「はえ^~」
 

49: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)19:59:38 ID:aL9
 
レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「…」 ゴクゴク

( `ハ´)「お嬢ちゃんおいしいカ?」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ コク

彡(゚)(゚)「お前急に大人しくなったな」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「大人が難しい話してるときは黙る。私だって空気ぐらい読めるネ」

(*^◯^*)「フェリスちゃんえらいんだ」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「もう12歳ね 大人ね」

彡(゚)(゚)「…大人が話してるときに黙るんなら…子供やろ…」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ ゴクゴク

彡(゚)(゚)「…」

( `ハ´)「フーッ…」

 リーはタバコを揉み消すと、ジッポライターをポケットにしまった。

( `ハ´)「それじゃ、そろそろ研究室に戻るアル」

(*^◯^*)「あ…この子、一緒に付いて行っても…?」

( `ハ´)「もうめんどくさいから付いて来るアル」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「わーい」
 

53: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:06:15 ID:aL9
 
───

 研究室

( `ハ´)「今戻ったアル」

研究員A「あ、リーさん! こ、これ見てください!」

( `ハ´)「ん?」

 バサッ 『生態報告』 『筋力増多』 『アドレナリン検出』

彡(゚)(゚)「!」

研究員A「例のゴキブリですが、甲皮の硬質化、牙の獲得のほか、筋力・感覚器・循環器などの強化が認められます…」

研究員A「これはもはや別種…"進化"といって良いでしょう…」

(;`ハ´)「バカな! 何で急に、そんな…」

研究員B「また…解剖したところ、アラタ体の縮小が認められました」

(;`ハ´)「何!?」

彡;(゚)(゚)「アラタ体が!?」

(*^◯^*)「アラタ体? って何なんだ?」

彡(゚)(゚)「アラタ体っていうのは、昆虫の脳の一部で、幼若ホルモンを分泌する機関や」

(*^◯^*)「幼若ホルモン?」

彡(゚)(゚)「まあ、昆虫を幼体に留めるホルモンやと思ってもらえればええ。 
     これが減ると、早く成熟が始まるんや」 ※例:早期変態

(*^◯^*)「ええと、今回のゴキブリも早く成熟した、と…?」

彡;(゚)(゚)「いや、それが…」

(;`ハ´)「それだけだと説明がつかないアル」

(*^◯^*)「どういうことなんだ?」
 

59: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:12:06 ID:aL9
 
( `ハ´)「通常、アラタ体が減った個体は、確かに早く成熟が始まる…
      だが、バランスが崩れた結果、十分な成育はできないはずアル」

( `ハ´)「こんなしっかり成虫になるとは考えにくい…」

研究員C「リーさん! 遺伝子解析結果が出ました! 見てください!」 ドタドタ

( `ハ´)「これは…」

研究員C「成長促進遺伝子が…新たに発現しています!」

(;`ハ´)「バカな!? 突然変異でも起こしたというのか!?」

研究員C「天文学的確率ですが…それ以外考えられません… もしくは、外部から取り込んだか…」

(;`ハ´)「どこからそんな遺伝子取り込めるというんダ!」

(;`ハ´)「しかし、これで、アラタ体が縮小しても成虫になれた説明がつく…!」

(;`ハ´)「コイツは、"早く成虫になれる"完全上位互換の存在…! しかも…」

研究員デルトロ「しかも… 世代交代が早い、ということ。」 ザッ

( `ハ´)「デルトロ研究員!」

研究員デルトロ「世代交代が早く、通常では考えられないスピードで"進化"します。」

研究員デルトロ「これが、このようなスーパーゴキブリが誕生した経緯かと」

(;`ハ´)「なんということだ… とにかく、こんなことが起こった原因を突き止めるほかあるまい」
 

63: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:16:24 ID:aL9
 
研究員デルトロ「なにか"きっかけ"があったはずです。 外部からの刺激か…あるいは…」

研究員A「しかし…この飼育室は完全隔離されており、外部との接触は…」

彡(゚)(゚)「…エサ、とかどうやろ…?」

研究員A「エサ?」

彡;(゚)(゚)「例えば…その…エサに何かの卵がくっついてたとか、小さい生きモンが潜んでいたとか…」

研究員B「だが、ウチの研究所はエサにも細心の注意を払っている!」

( `ハ´)「…しかし、他の経路は考えにくいアル。 記録をチェックして確かめるアル」

  カタカタカタ…

( `ハ´)「…ん、通常通り、前回のエサも研究員Cが運び込んで…」

研究員C「え…… ボク、この間は担当じゃないですよ」

( `ハ´)「え?」

研究員C「はい。 交代になったから帰れって所長に伝えられて…」

( `ハ´)「所長?」

研究員C「はい…」

( `ハ´)「……」

( `ハ´) ハッ

( `ハ´)「…噂を、聞いたことがアル」

彡(゚)(゚)「ウワサ?」

( `ハ´)「ああ。 所長が、外から"困った処分品"を預かって、ゴキブリで内々に処置していると…
      見返りに金品を受け取っている、と…」
 

65: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:23:29 ID:aL9
 
彡;(゚)(゚)「まさか…今回のコレも、所長の仕業っちゅーことか…?」

(;`ハ´)「…まさか、信じたくはないが。 このタイミングで起こるとなると…」

研究員A「そんな…」

研究員B「しかし、あの所長なら、あるいは…」

研究員C「何考えてんだあのオヤジ!」

研究員デルトロ「げに恐ろしきは人の業…」

(;`ハ´)「…とにかく、所長に報告しておくアル…」

研究員A「はい… しかたないですよね」

( `ハ´) ピポパ トゥルルルル…

研究員A「しかし、新種発見だしな。 うまくいけばノーベル賞取れるかも…」

研究員B「すげぇ! ってことは、我が国で3人目の受賞者!」

研究員C「え? 4人目じゃ…」

研究員デルトロ「やめろ」

 トゥルルルルルル ガチャ

( `ハ´)「あ、もしもし」






『リーです。』

金所長「あー、リー研究員か。 悪いが今…」

劉将軍「……」

金所長「劉上将が来ていてね」 チラ

劉将軍「……」
 

66: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:23:47 ID:aL9
 
『上将……ああ、将軍ですか』

金所長「また後でかけ直せ いいな」

『……分かりました』 プツッ

金所長「… ああ、失礼しました」

劉将軍「…で。 首尾は?」

金所長「…あー、今現在、軍に卸す生薬をフル稼働で生産しており…」

劉将軍「我が国の利益になりそうな話はあるか、と聞いている」 ギン…!

金所長「……今しばらく、お時間をいただければ」

劉将軍「…ゴホン 所長」

劉将軍「我が国は…貴研究所へ多大な資産を投資している」

金所長「……」

劉将軍「それも、君が作り出す薬が、我らが人民解放軍の益になると、君自身が強く強く主張したからだ」

金所長「……」
 

71: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:29:53 ID:aL9
 
劉将軍「最近、成都の政治屋たちも何かとうるさくてな…やれ予算が不透明だ、使途不明金だのと…」

劉将軍「君のこの研究所への投資、これを引き上げろという話も出ていてねぇ ハッハッハッハ」

金所長「……」

劉将軍「…とはいえ、君を推薦した私の立場もある。
     君があの時から支払い続けている"誠意"に免じて…少しばかり延命させてあげたよ」

金所長「……」

劉将軍「……次来るまでに、何か成果を示さなければ……」

劉将軍「終わりだと思え」 ズイ

金所長「……」

劉将軍「さて…長居したな。 そろそろお暇させてもらおう…」 ヨッコラセ

金所長「……」 ギリ…

劉将軍「それじゃ、良い報告を期待しているよ…」 スタ…スタ…



 プルルルルル

    ガチャ

金所長「なんだ」

『リーです。 今大丈夫ですか?』

金所長「…チラ  ああ、大丈夫だ」

『…それが…』

金所長「…何? 新種? 遺伝子…? 強化…?」

金所長「……!!」

金所長「将軍! お待ちください!!」 バッ

劉将軍「…」 ピタ

劉将軍「んん~~~~?」
 

73: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:34:19 ID:aL9
 
───

( `ハ´)「…はい、はい」

( `ハ´)「…分かりました。 それでは、ひとまずデータをまとめておきます」

研究員A「所長は何て?」

( `ハ´)「…重要な発見だから、絶対に根絶はするな。繁殖も視野に入れろ、と」

研究員B「新種で生態も分からねぇのに繁殖も何もないもんだ」

( `ハ´)「とりあえず、今は静観するしかないアルねぇ」

研究員C「また、サンプル捕まえときますか?」

( `ハ´)「いや、また脱走したらコトだ。 しっかり準備してから望まないと、
     今度は所長がシャッター作動する事態になるかもしれないネ」

彡(゚)(゚)「シャッター?」

( `ハ´)「ここはバイオ研究を前提として建てられた研究所ネ」

( `ハ´)「生物の脱走を防ぐために、ドアというドア、窓という窓が所長権限で封鎖されるようになってるネ」

彡;(゚)(゚)「それ、めっちゃ怖くないか 火事の時とか間違って閉じ込められたらどうすんねん」

( `ハ´)「一回、それを所長に意見した研究員がいたアルね そいつクビになったネ」

彡;(゚)(゚)

( `ハ´)「ま、だから、脱走騒ぎは起こさないのが一番ネ」
 

78: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:46:16 ID:aL9
 
───

劉将軍「……なるほど、新種か」

金所長「はい…! 遺伝子操作で…強化された昆虫です。 
      これを人間にも応用できれば、我が国の軍事力の飛躍的向上へ…!」

劉将軍「……ふむ」

金所長「さらに、医学・人間工学へも応用が利きます。
      これは国家の、国力増強の要となる可能性を秘めております。
      これが劉将軍の功績となれば…将軍にとっても悪い話ではないかと…!」

劉将軍「…なるほどな…。」

金所長「すぐに、データをこちらに持ってこさせます」 ピポパ



 プルルルル

( `ハ´)「お、噂をすれば所長からアル」

研究員A「何でしょう」

( `ハ´)「どーせデータの催促アル」 ピッ

( `ハ´)「はいもしもし」

( `ハ´)「はい、はい、はい、すぐに~」

  …ポチャン

研究員A「お、ゴキが水槽に落ちた」

研究員B「そんなもん、見慣れてるだろ」

研究員A「いや、新種のゴキなんだよ」

 ジタジタジタジタジタ

研究員B「お、本当だ」
 

79: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:46:41 ID:aL9
 
魚「スイーッ  パクッ」

研究員A「あ、食われた」

研究員B「流石に新種でもなぁ 魚には敵わないわな」

魚「スイーッ…」

魚「… グ…  グゲ…  ビクンッ ビクンッ」

研究員A「……? おい、あれ見ろ」

研究員B「あん?」

研究員A「魚が…」

魚「…  バリッ」

研究員A「!!? 魚が!?」

研究員B「ゴ、ゴキブリが腹を食い破って…!?」

 バリッ ゴリ グチュ

研究員A「く、く、食ってる!! 魚を!!」

研究員B「嘘だろ!?」

( `ハ´)「おい、所長と電話中だぞ。 静かに…」

研究員A「リ、リーさん! 魚が、ゴキブリに…!」
 

81: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:47:20 ID:aL9
 
 ポチャ

研究員A「え……?」

 ポチャ ポチャ ポチャ ポチャポチャポチャ

研究員B「お、おい!! 次々と…ゴキブリが水槽に落ちてきてる!!!」

 魚 グチャッ バリ ビチビチビチ  
     グッチュ バリバリバリ

研究員C「次々と魚が…食われ…!?」

 ボチャボチャボチャボチャボチャボチャ

研究員デルトロ「す、水槽の上部がゴキブリで黒く染まってきたぞ…!?」

彡;(゚)(゚)「おいィ!!? 水槽から溢れるとどうなるんや!?
      まさかコッチに来んよな!?」

研究員A「す、水槽の外は、見ての通り強化ガラスで囲っている…! 
      研究室と隔てているソレは、ロケランをも跳ね返す代物で…」

  カサカサカサ…   

     ピタ…  ビタビタ… ビタァ

研究員B「うへぇ…ガラスにびっしり集まってきたぞ…!」

研究員C「まさか…俺たちをエサだと思って集まってんじゃねぇだろうな…」

 ガサガサ  ビタビタ…  ギシギシ…

(;*^◯^*)「ゴキブリの大群がグロすぎるんだ 見てらんないんだ」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「おえー」
 
  ガサガサ…
     ギシ… カリカリカリカリ…
  
彡;(゚)(゚)「……なあ、何か妙な音せんか?」

研究員A「妙な音?」
 

82: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:48:23 ID:aL9
 
 カリカリカリカリカリカリカリ…
 
彡;(゚)(゚)「ほら、なんか…」

(;`ハ´)「だからーちょっと静かにしててアルー あ、所長? もしもし?」

 カリカリカリカリカリカリ…
   ガリ
  ガリガリガリガリガリガリ

彡;(゚)(゚)「……!」

  ガリガリガリガリガリガリガリガリ
   ガリガリガリガリガリガリガリガリ
 ガリガリガリガリガリガリガリガリ


彡;(゚)(゚)「これ……」
 

83: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:48:37 ID:aL9
 
 ガリガリガリガリガリガリガリ…

     バリ

彡;( )( )「 ガ ラ ス を か じ っ と る 音 や !!! 」


   ガリガリ バリバリ
 ベキ バリ ガリッ
    ビシビシ… ピシ ベキ


  バリィィィィィィイイィィンッ!!!


研究員A「ガラスが…!!?!?」

研究員B「割れたあ゙あ゙ああ゙ああ゙ああ゙ぁああ゙ぁあ゙あ!!?!?」

(*゚◯゚*)「うわ゙あ゙ああ゙あ゙ぁあ゙あぁあ゙ああ゙ぁあ゙ああ!!!!」

レハ;>o<ノ!ヽ「キャアアアアアアアアアァアアアァッ!!!」


   ガサガサガサガサガサガサ
    ギシギシギシギシ ガサガサ
 キシ… キシ…  ゾゾゾゾゾゾ

  キシャアアアアアアアアァァッ!!!


 

91: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:53:01 ID:aL9
 
────
──


金所長「もしもし? もしもし? どうした? 何があった?」

劉将軍「…? どうした、何かあったか?」

金所長「いえ、ちょっと」 ニコニコ

金所長「報告しろ」




(;`ハ´)「ゴキブリが! ゴキブリが! 脱走アル! まずいアル!」

『脱走?』

(;`ハ´)「早く! 早く全職員に退避命令を!! それと、警察と軍に通報して火炎放射器持って来させてアル!!」

『……』
 

96: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:55:19 ID:aL9
  
  ギシギシギシ ザザザザザア
 ウゾウゾウゾウゾ
   ゾゾゾゾゾゾゾ


   ヨジヨジ…

研究員A「う、うわぁっ!! よじ登っ…」

  ガサガサガサ!

研究員A「お、お、俺の首にィィィ!!!」

  バリッ! ガリ

研究員A「ッ!? ぎゃあ゙あ゙ああ゙あッぁぁあ゙あ゙ぁっ!!!」

   ブシュゥゥウゥゥッ!! ボタ、ボタ、ボタ

研究員B「Aがっ!!!」

研究員A「いでえぇぇぇえ!!! いでぇぇえぇよぉぉおぉ!!!」 ヨロ…ガク…

  ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ

彡;(゚)(゚)(ゴキブリが全身に…!)

 バリバリバリバリ グチュ グチャ
   バリボリ ぐちゅ

研究員A「あ゙あ゙ああ゙あぁあ゙あ゙あぁあ゙あぁァァア゙アァァ!!!!!」

   ぁぁあぁぁぁ……

 グチュ ボリ バリ クチュ…


研究員B「ッッ!!!」

(;`ハ´)「ッッ…A……!!」
 

100: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)20:59:23 ID:aL9
 
彡;(゚)(゚)「に、逃げろッ!! 部屋から出るんや!!!」

  ダダダッ

研究員B「あッ……!」

   ビタァ…

研究員B「足に…!!」

彡;(゚)(゚)「振り落とせぇぇ!! 部屋から出したらアカン!!」

研究員B「ひっ…ひぃぃぃ!!!」 ブンブンッ

   バリッ ガリッ!

研究員B「ぎゃああぁああぁあぁああ!!! 
      足がああぁああああぁあ!!!」 ドタッ

研究員C「くっ…」 クルッ

研究員B「た、助けでぐれええええぇえええ!!!!」 ガシッ

研究員C「うわ馬鹿やめろ!!離せ!!!」

研究員B「うぎ、ぎゃ、口のながにいっぃい゙い゙いい゙ぃ゙ぃぃ!!!!」

研究員B「うぶ  おぼ ば」

   ブシュウウゥゥッ!!! バリ グチャ バリバリッ!

 Bの腹から無数のゴキブリが食い破り、飛び出す。

研究員C「あ゙あ゙ああ゙ああ゙あ゙ぁあ゙ああぁああ!!!!」

  ゾゾゾゾゾ ブワァァァァァァァァ

 そして、そのまま大群がCへと襲い掛かる!

   ギシギシギシギシ ゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
 

102: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:03:55 ID:aL9
 
(;`ハ´)「C!!!」

彡;(゚)(゚)「もう無理や!!! 部屋から出ろぉぉぉおぉ!!!」

   ダッ!
  
   ギィィィィ バタン!! ガチャ


彡;(゚)(゚)「はーっ はーっ はーっ はーっ」

(;`ハ´)「ぜぇぜぇ…」

研究員デルトロ「ひぃ…ひぃ…」

レハ;゚-゚ノ!ヽ「ハァハァ…」

(*;◯;*)「ぶへっ ブハッ げほっがは ゲボ ぐへっ…」

  バリバリ ガサガサ  ゴソゴソ

彡;(゚)(゚)「…中で、ゴキブリが暴れとる」

(;`ハ´)「…くっ……A、B、C……」

研究員デルトロ「助けられ…なかった…」 ガク…

レハ;゚-゚ノ!ヽ「…」 ブルブル…
 

107: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:07:05 ID:aL9
 
(*^◯^*)「でも、とにかく中に閉じ込めたんだ。もう安心…」

(;`ハ´)「…」 フルフル

(;`ハ´)「エアコンの通気口や、排水溝から外に出ないとは限らないアル…
      とにかく、すぐに皆研究所から避難した方がいいアル」

(;`ハ´)「所長に通報と誘導をお願いしたアル。 ゴキブリに食われる前に外に脱出するアル」

(;*^◯^*)「わ、分かったんだ」

彡;(゚)(゚)「…すまんな 巻き込んでもうて」

レハ;゚ー゚ノ!ヽ「…料金、値上げ」

彡;(^)(^)「…はは」

研究員デルトロ「よし、行こう」

 タッタッタッタッタッ

研究員デルトロ「このドアから外に出られるはずだ」

(;*^◯^*)「やれやれ」

( `ハ´)「それじゃ、開けるアル」
 

108: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:07:21 ID:aL9
 
 

金所長(……ゴキブリが脱走…?)

金所長(…サンプルが、無くなってしまうことだけは…)

   所長の指が、タブレットの画面に触れる。

金所長( 避けんとな )

   ピッ



 

110: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:07:38 ID:aL9
 


 ギシ…

(;`ハ´)「ッ!?」

  ジャラララララララッ!!!

彡;(゚)(゚)「危ないッ!!」 グイッ

(;`ハ´)「わっ」

   ドォォォォォンッ!!

(;`ハ´)「シャ、シャッター!!?」

  ジャラララ… ドォン…  ドォン…

研究員デルトロ「…! 全ての出入り口にシャッターが…!」

(;`ハ´)「……… 所長…!!」



劉将軍「……で、サンプルは確保できそうか?」

金所長「…ええ。 大丈夫です。 この研究所から」

金所長「一匹たりとも、逃がしません」



 

114: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:11:58 ID:aL9
 

 
彡;(゚)(゚)「クソッ!!」 ガシャン!

(;`ハ´)「ビクともしないアルね…」

(;*^◯^*)「ほかに出口は!?」

(;`ハ´)「無い!! 解除できるのも所長だけ…」

( `ハ´)「所長だけ…」

( `ハ´)「! 所長室に行って、直接直談判しかないアル!!」

(;*^◯^*)「電話は?」

(;`ハ´)「さっきまで話してたアル! きっと現状を理解してないアル!」

彡;(゚)(゚)「せや! 直接事情話して開けてもらおうや!」

(;`ハ´)(…話したところで、開けてもらえるかは別問題だがな…)



 

115: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:12:18 ID:aL9
 



エアコン「ゴーゴー」

ゴキブリ「!」

 ザザ… カサカサ… カサカサカサカサ…





劉将軍「…さて、では、私は基地に帰って報告を待つとしよう」 ギシ…

金所長「…せんよ」

劉将軍「んんー?」

金所長「帰れませんよ」

劉将軍「どういうことだ?」

金所長「…今、研究所は一時的に閉鎖状態にあります… 今しばらくお待ちを…」

劉将軍「…チッ…早くしたまえ……」 ドサッ

金所長(さて、これからどうするか… この所長室だけは確保して… 
     後がゴキブリ共の巣となったとしても… それは詮無いこと) ニヤ…




─── エアコン ダクト内

 ガサガサ… ザザ…
  ゾゾゾゾゾゾゾゾ
 ガサガサガサガサガサガサ


 

120: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:15:44 ID:aL9
 
─── 給湯室

美女研究員「ねぇ……」

イケメン研究員「ん?」

美女研究員「さみしかったぁ…」 ぎゅっ

イケメン研究員「僕もさ」 ナデナデ

美女研究員「んふふー もう。休みは遊び行こうって言ってたのに」 ぎゅーっ

イケメン研究員「ごめんごめん…」

イケメン研究員「子供が、熱出しちゃってさ…」

美女研究員「もぉ…」 プクッ

イケメン研究員「…お詫びに、ホテルのディナー、取ってあるんだ」

美女研究員「ほんとっ?」 パァァ

美女研究員「……泊まれる、の?」

イケメン研究員「…妻には残業って言ってある」 ニコッ

美女研究員「ふふっ… 大好き!」 ぎゅっ

  ガサ… ガサ…

 天井の通風孔から、一匹のゴキブリが顔を出す。
 そして…

   ポト…

 イケメン研究員の背中へ落ち、止まった。
 しかし、誰もそれには気付かない。
 

122: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:16:12 ID:aL9
 
美女研究員「いっぱい…可愛がってね…」

イケメン研究員「もちろんさ…」

  ポト、ポト、ポト…

   ゴソゴソゴソゴソ…

 次々と背中に落ちては、服の中へ入っていく。

美女研究員「ねぇ……キスして」

イケメン研究員「ああ…」

 美女研究員がそっと目を閉じる。

美女研究員「……」

美女研究員「…………」

美女研究員「…?」 スッ

 目を開けると、イケメン研究員の様子がおかしい。

イケメン研究員「…ッ……ぁ……」 ビク、ビク
 

123: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:16:25 ID:aL9
 
美女研究員「? ちょ、大丈夫?」

イケメン研究員「…ッ… …──…ッ…」

 白目を剥き、体をビクビクと震わせている。

美女研究員「どうし…」

 と、イケメン研究員の眼球がズルリと削げ落ちた。
 そして、眼窩の穴、鼻の孔、口から大量のゴキブリが溢れ出す。

イケメン研究員「んヴぉお゙お゙ぁ゙ああ゙あ゙あ゙ぁあ゙ああ!!!!」 ゴボォォォォ

美女研究員「いやあ゙あ゙ああ゙あああぁああ゙あ゙ああ!!!!」

 至近距離の美女の顔面に大量のゴキブリが浴びせられる。

美女研究員「い、ひ、ぎ、ぃぃゃあ゙あ゙ぁぁ゙あ゙あ゙あぁぁ!!!!」

 バリバリバリバリ! グチャグチャ ベリベリ
  メ゙リメ゙リメ゙リメ゙リ… ボキバキ

   ああぁぁぁぁぁ…

 絶叫は、消えるように引いていき…肉を咀嚼する音と羽音が響き渡った。

   グチュ、ビチャ グチャ
 ギチギチギチ… ガサガサ グチュ

     ………

 

129: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:22:34 ID:aL9
 
 \ いやああぁああぁぁああ!! /

彡;(゚)(゚)「! おい! 今の声!」 タッタッタッタッ

(;`ハ´)「くっ… もうゴキブリはとっくに研究所中に広まってるネ!!」 タッタッタッタッ

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「はぁはぁ…」

(;*^◯^*)「もう少しだから! がんばろうフェリスちゃん!」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「コク…」
 

130: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:23:01 ID:aL9
 
─── 食堂

サモハン研究員「それじゃ食おうぜ おー旨そうなエビ炒めだ」

ユンピョウ研究員「エビは苦手だ」

サモハン研究員「なんでだ?うまいぞ」 パクパク

ユンピョウ研究員「知ってるか。エビのしっぽは、ゴキブリと同じ成分なんだぞ」

サモハン研究員「そんなこと言い出したら何も食えなくなっちまうぞ!」 パクパク

 …ポト…

サモハン研究員「! ゴキブリが落ちてきやがった…」

ユンピョウ研究員「…捨てちまえよ」

サモハン研究員「いーや! ゴキブリをヒョイとどかせば… ほら!うまそうなエビ料理だ!」

 …ポト…

サモハン研究員「…」 ヒョイ ポイ

 …ポト ポト ポト

サモハン研究員「んー?」 見上げ

 ボトボトボトボトボトボト!!

研究員たち「「うわ゙あ゙あ゙ああ゙あ゙ああ゙ああ゙あぁあ゙あああ゙!!!!!」」
 

134: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:34:19 ID:aL9
 
─── 所長室前

(;`ハ´)「ゼェゼェ…着いたアル」

 ドンドンドン!

(;`ハ´)「所長! 所長! 開けてほしいアル!」 ドンドン




金所長「!!」

劉将軍「!! 何だ?」

金所長(チッ…)

金所長「あー リー研究員か? 今重要な会議中で…」

 『ゴキブリが!! 凶暴化したゴキブリが研究所中を暴れまわってるアル!!
  早くシャッターを上げてほしいアル!!』 ドンドンドン!

金所長「…」

劉将軍「!? 凶暴化…!? 暴れ… どういうことだ!?」

金所長「あー、将軍、落ち着いてください。全ては順調…」


 『既に! 既に仲間が三人喰われたアル!! 早くしないと犠牲者が増え…!』


劉将軍「どういうことだ!! コントロール出来ているんじゃなかったのかね!!」

金所長「あー、将軍、これは…」

劉将軍「何が順調だ!! 詐欺師め!!」 ボカッ!

金所長「ぐっ…」 ドサ…
 

137: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:44:00 ID:aL9
 
劉将軍「…もういい。 資金は引き上げだ。 この研究所も畳む!!」

金所長「しょ、将軍…!」

劉将軍「黙れェ! 貴様が詐欺師だということは、元より分かっていた! この戸籍泥棒が!!」

金所長「…!!」

劉将軍「私が気付いていないと思ったか? お前、元は黒孩子だな!? 
     そして、他人の戸籍を乗っ取って、金(キン)を名乗ったんだ!!」

金所長「……」

劉将軍「死人か何かの戸籍を乗っ取って、すり替わったんだろう!」

金所長「……」



 

138: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:44:23 ID:aL9
 

(;*^◯^*)「何か言い争ってる声が聞こえるけど…」

彡;(゚)(゚)「ヘイハイツ、とか聞こえたが」

(;`ハ´)「黒孩子…… 戸籍を持たない子供のことネ」

(;`ハ´)「中国では一人っ子政策の弊害で、戸籍を持たない子供がいるネ…」

(;*^◯^*)「戸籍を持たない? それって…」

(;`ハ´)「そう。 国 民 と し て 認 め ら れ て い な い ネ。 
      国からしたら、存在しないモノね。
      教育や福祉なんて受けられるワケないネ」

(;*^◯^*)「そんな…」

(;`ハ´)「中国社会の暗部ね」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「……私も……」

彡;(゚)(゚)「お?」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「私も、黒孩子…」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「お父さんも、お母さんもいない…」

彡;(゚)(゚)「そうやったんか……」


 

139: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:45:02 ID:aL9
 

劉将軍「さらに、お前が定期的に北京の病院へ大金を振り込んでいることも知っているぞ!!」

金所長「…!!」

劉将軍「賄賂か!? 脱税か!? ええい、どうでもいい!! 
     貴様が薄汚いドブネズミであることに変わりはないんだからな!!」

金所長「……」

劉将軍「ええい、時間を無駄にした!! 私は帰るぞ!! さっさと扉を…」


   ドン!!


劉将軍「…え…」

  ボタ…ボタ…

劉将軍「ガハッ…」 ドサ…

劉将軍「き、金…貴様…」

金所長「……ふぅーっ……」 バサ…

金所長「銃を持てるのは…軍人だけじゃないんですよ。 この国では、ね」
 

140: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:45:15 ID:aL9
 
劉将軍「貴様…何、し……」

金所長「あのねぇ劉将軍…。 あなたは一つ勘違いをしている」

金所長「アナタは必ずしも必要な存在じゃあないんですよ。 所謂保険です」

劉将軍「……!」

金所長「今回の新種…この研究を成功させれば、貴方なんて要らないんです。
     私一人の力で、この国でのし上がれる。」

劉将軍「…馬鹿な…貴様ごとき、が……」

金所長「私はねぇ、貴方達と違って、血反吐を吐いて底辺這いずって来たんだ」

劉将軍「…ゴボッ…」 ドロ…

金所長「…」スッ

金所長「今の貴方のように、ね」

劉将軍「…」

金所長「…死んだか」
 

141: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:55:40 ID:aL9
 
彡;(゚)(゚)「なあ、今の…」

(;*^◯^*)「銃声!? い、いったい、中で何が…」

 ガチャ

(;`ハ´)「開いた! ってウオオ!?」

 扉の隙間から放り出されたのは、劉将軍の死体であった。

  ドサッ

(;*^◯^*)「ひッ!? 血まみれッ!?」

彡;(゚)(゚)「し、死んどる!!」

  バタン ガチャ

(;`ハ´)「あ、ああッ! しまった! また閉められたアル!!」
 

142: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:55:55 ID:aL9
 
『……次に、こうなりたい者はいるか?』

(;`ハ´)「しょ、所長!!?」

『…もう、ここには近付くな… 私を…これ以上怒らせるな!!』

(;`ハ´)「所長!? し、しかし……!」

  ドン!! バキッ

(;`ハ´)「ひッ!?」

(;*゚◯゚*)「じゅ、銃弾が扉を突き抜けて来たッ!?」

(;`ハ´)「しょ、所長は本気アル!! ひとまず退散アル!」

  ダッ

   タッタッタッタッタッタッ…




劉将軍「……」 ピク
  

143: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)21:57:15 ID:aL9
 
───

彡;(゚)(゚)「ったく何て所長や!」 ダッダッダッダッ

(;`ハ´)「もう、所長がシャッター開けてくれるのは期待できないネ!」 ダッダッダッダッ

 第二研究室

(;`ハ´)「と、とりあえずここに入るアル」

(*^○^*)「ここは?」

(;`ハ´)「去年まで使ってた第2研究室アル 今はもう本部の方しか使わないアル…」

 ガチャ バタン

彡;(゚)(゚)「とりあえずカギ掛けたで」

(;`ハ´)「謝謝」

研究員デルトロ「しばらくはやり過ごせそうだが…」

彡;(゚)(゚)「な、何か武器になりそうなもんはないんか!?」

研究員デルトロ「ここにあるのは…以前の研究資材と、化学材料のみか…」

(;`ハ´)「とにかく、できることをするアル!」

(;*^○^*)「僕も手伝うよ! これでもエンジニアの端くれなんだ!」

彡;(゚)(゚)「全員で、生き延びるんや!」
 

148: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)22:34:07 ID:aL9
 
────
──


金所長「……」 ジッ

 銃を携えた所長が見つめるのは、スマホの画面。

金所長「…まだ……」

金所長「まだ死ぬ訳には、いかないんだ」






 十年前…

行商人「安いよー 旦那ァ、一つ買っていきませんか
     効果バツグンの精力剤。 奥さんも大喜び! ね!」

 スタスタ…

行商人「売れねぇなぁ…」

男A「お、ちょうど薬屋がいるぞ」

男B「ま、待ってくれよ~」

行商人「?」

男A「あのさぁ、強壮剤ってある? 元気がモリモリ出てくるヤツ」

行商人「ああ、ありますよ~ 人参を使った奴で、これさえ飲めば…」 ゴソゴソ

男A「コイツがさー 勤めてた製薬会社が潰れて、転職先が決まらないってウジウジしちまってよー」

男B「や、やめてよ~」
 

149: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)22:35:02 ID:aL9
 
行商人「アハハ。 お兄さん方、仲いいですね」

男A「おう! 俺もコイツも親が早くに死んじまった身だからなー
   大学以来の付き合いよ。 ま、寂しいモン同士だよな!」

男B「ハハハ…」

行商人「ええと、コレとコレ、毎食前に飲んでください。 それと、お酒と飲んじゃダメですよ」

男B「あ、ありがとうございます」 チャリン

行商人「毎度あり!」

男A「しかし、薬の行商も大変だなァ! 儲かんのか?」

行商人「いえ…正直、あまり… でも、金が要るもんで…」

男A「金? そりゃ、金は欲しいよな! 俺も欲しい!」

行商人「2歳になる息子が… 心臓を患ってまして… 
     今も、病院に入院中なんです。 まあ…とても良い病院には入れられませんが…」

男A「……」
 

150: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)22:35:45 ID:aL9
 
行商人「その病院も…金が足りなくて追い出されそうでね…
     だから、金が要るんです…ハハハ
     嫁は息子を産んだときに死んじまったから、私が頑張らないとね」

男A「……」

男B「…悪いよ。 もう行こう」

男A「あ、ああ… それじゃ、ありがとな!」

行商人「はい、毎度あり!」

 スタスタ…

行商人「はぁ……」


 ━━━ グ ラ ッ


行商人「……っ……え…?」

 

151: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)22:36:00 ID:aL9
 

  ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 


 「キャーッ!?」 「じ、地震だ!」
「デカいぞ!!」  「た、助けてえええぇ!!!」


 ┣" ┣" ┣" ┣" ┣" ┣" ┣" ┣"


  四川大地震
  2008年5月12日午後2時28分 中国中西部の四川省でマグニチュード8.0の地震が発生。


 「うわああああァアアア!!」 「助けてえええぇええぇ!!!」
  ガチャーン! バキバキメキメキ… グシャァッ!
「終わりだ…もう終わりだ…」 「娘がぁぁ!! 娘がまだ中にぃぃ!!」


  死者は約6万9千人、行方不明者は約1万8千人。約500万人が家を失った。


   ガラガラッ…  パラパラ…

 「グスッ…おとーさーん… おかーさーん……」
    「…おしまいだ……もう……」


  断層の長さは280km以上と推定され、内陸部で発生した地震としては
  最大級のものである。


 

153: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)22:37:30 ID:aL9
 
   パラ…パラ… パラ…



行商人「……う……」 ゴソ…

行商人「…地震…か……」 ズズ…

行商人「う…立てる、か」 ノソ…

行商人「ひどい…なんてことだ…」 キョロキョロ

行商人「! 瓦礫に埋もれている人が…」

行商人「…さっきの二人じゃないか…」

男A「───」 男B「───」

行商人「どっちも死んでいる…」
 

154: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)22:37:45 ID:aL9
 
行商人「……」

行商人「すまない。 財布、身分証…」 ゴソゴソ

男B「──」

 パラパラ

行商人「…この男、金(キン)というのか…私と同じ30歳か…」

行商人「…待てよ」

行商人「背格好もよく似ている…天涯孤独の身だと言っていた…」 ジッ

行商人「……この男になりすませば… 戸籍と身分が手に入る…大卒資格も得られる…!」

行商人「もっと金を稼げる…! 金を稼げば、息子も…!」




……



金所長「…」 ジッ

金所長「名を変え……顔も変えた……だが…!」

金所長「…俺は……俺は、まだ……!」 ギリ…
 

156: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)22:40:59 ID:aL9
 
────
──


彡;(゚)(゚)「うーん…あれこれ探してみたが、ロクなモンないなぁ」

彡(゚)(゚)「とりあえずモップぐらいしか無かったで…」 ブンブン

(*^○^*)「見つけた薬品と電子部品を組み合わせて…爆弾作った」

彡(゚)(゚)「爆弾! すごいやんけ!」

(;*^○^*)「とはいえ、爆竹に毛が生えたような威力なんだ…
       とてもシャッター吹っ飛ばしたりはできないんだ」

彡(。)(。)「そうか…」

( `ハ´)「ワタシが持ってるライターオイルは使えないか?」 サッ

(*^◯^*)「揮発油は爆発物と相性悪いんだ…下手するとこっちに火が飛んできちゃうんだ」

( `ハ´)「そうアルか…」

研究員デルトロ「リーさん、ちょっといいですか」

( `ハ´)「! デルトロ研究員、何か分かったアル?」

研究員デルトロ「ええ……どうにか、ゴキブリの成長因子の抽出に成功はしました」 スッ

 そう言って、デルトロ研究員は一つの注射器をテーブルに置いた。
 中には黄土色の粘性の液体が入っている。

( `ハ´)「ほう! 凄いアル! これがゴキブリ急成長の秘密ネ!」

彡(゚)(゚)「ようこんなん作れたな」 ヒョイ

研究員デルトロ「やきうさんの靴裏についていたゴキブリの欠片のおかげですよ
         おかげで解析できました」
 

158: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)22:46:17 ID:aL9
 
研究員デルトロ「ですが…それを止める対抗薬はまだ作れていません。
         ここの機材ではこれが精一杯です」

(;`ハ´)「くっ…対抗薬があれば、まだ勝機が見えたが…」

研究員デルトロ「そして、解析を進めていて分かったのですが…」

研究員デルトロ「今回の"進化"には、アドレナリンが大きく関わっていると考えられます」

彡(゚)(゚)「アドレナリンが?」

(*^◯^*)「どういうことなんだ?」

研究員デルトロ「どうやら、ゴキブリの体内で発生したアドレナリンが、
         今回の成長因子と反応して急激な進化を促したようです」

彡;(゚)(゚)「ちょ、ちょ、ちょっと待った。 アドレナリンはゴキブリには作れんはずやが…」

研究員デルトロ「恐らく、縮小したアラタ体と関係があるかと…
         脳の一部の突然変異が、全てを引き起こしたと考えられます」

( `ハ´)「なるほど、それなら説明がつくアル」

研究員デルトロ「それに、ゴキブリにアドレナリンを投与することで心臓の動きが活性化したという研究報告もあります※
         本来存在しないはずのホルモンが、急激な進化を引き起こしたと考えるのが自然です」
         ※東京農工大学

彡(゚)(゚)「なるほど…」

(*^◯^*)「アドレナリンで変化? ハルク?」

研究員デルトロ「そして、今後も進化を続けるでしょう… どうにか止める薬を作らないと…」

彡;(゚)(゚)「作れそうか…?」

研究員デルトロ「…」 フルフル

研究員デルトロ「正直、時間も設備も足りません…」

彡(。)(。)「そうか…」
 

159: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)22:46:26 ID:aL9
 
(*^◯^*)「ゴキブリに弱点とかないのかな」

彡(゚)(゚)「弱点、か… ぶっちゃけ、頭を切り取っても餓死するまで数週間生き続ける奴やしなぁ
     弱点っちゅー弱点は…」

(;*^◯^*)「数週間…」

彡(゚)(゚)「あ。 一つだけあるで。 食道下神経節や」

(*^◯^*)「食道下神経節?」

彡(゚)(゚)「ゴキブリの胸部にあるモーターコントロールや。 そこを破壊されれば、ゴキは動けなくなるんや」

(*^◯^*)「はえ^~ でも、ちっちゃいゴキのソレをいちいち壊すなんて無理…」


   ド ン ッ !



(*゚◯゚*)「っ!?」 ビクゥッ!

彡;(゚)(゚)「な、何や!?」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「扉のとこ!」

  ドンッ!  ガンガンガン!

彡;(゚)(゚)「! 何かが扉を破ろうとしとる…!」

(;`ハ´)「生き残り…?」
 

162: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)22:59:07 ID:aL9
 
  ガン! ガンガン! ガンッ!

研究員デルトロ「でも、様子がおかしいですよ…?」

   ガン! ガン! ドン!

彡;(゚)(゚)「だ、誰かおるんか!?」

   シーン…

彡;(゚)(゚)「……」

   …キシ  キシキシ

彡;(゚)(゚)「ッ!! ゴキブリや!!」


    ドンッ!!  バキィッ!
  バリバリッ!  メキィ!


(;`ハ´)「扉が!?」

(;*^◯^*)「破られた!?」

大型ゴキブリ「キシ…キシ…」 キチチチチチ…

彡;(゚)(゚)「何やコイツ!? 牛ぐらいあるで!?」

(*゚◯゚*)「あわわわわわ…」 ジョビジョバー

大型ゴキブリ「ギチチチチ!」 カサ…

彡;(゚)(゚)「こ、これも進化の一つの形やっちゅーんか!?」

研究員デルトロ「奴らの世代交代は早い…! しかし、ここまで急激な進化とは…!」

レハ;゚-゚ノ!ヽ「…」 ブルブル
 

164: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:02:31 ID:aL9
 
────

劉将軍「……ああ、そうだ……」

劉将軍「…緊急コード… 一九四九・・・」

劉将軍「爆撃指令…殲-20を…飛ばせ…」

劉将軍「全てを破壊し…灰も残すな… 座標は…───だ…」

劉将軍「……切るぞ……」 ピッ

劉将軍「……ガハッ…」 ドロ…

劉将軍「……祖国に……栄光あれ……」

   ガク…

 

165: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:05:09 ID:aL9
 
───

大型ゴキブリ「キシャアアアアアアアァァッ!!!」

(;*^◯^*)「ど、ど、どうするんだ!?」

彡;(゚)(゚)「ワ、ワイのモップで叩いて…」

(;*^◯^*)「あんな硬い奴がデッカくなったんだ。 人間が勝てると思えないんだ」

彡;(゚)(゚)「……」

大型ゴキブリ「…ギチ…ギチ…ギチ…」 カサ…

研究員デルトロ「…」

研究員デルトロ「私に考えがあります」

(;`ハ´)「?」

研究員デルトロ「…」 スッ

彡;(゚)(゚)「そのスプーン2個でどうするんや?」

研究員デルトロ「…」 スッ 
 
 チキチキチキチキ…

彡;(゚)(゚)「!」

(;*^◯^*)「!」

研究員デルトロ「奴らの出す音とよく似ていると思いませんか?」 チキチキチキ…

彡;(゚)(゚)「確かに…」
 

168: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:24:11 ID:aL9
 
研究員デルトロ「まあ見ていてください…」 チキチキチキ…

 デルトロが少しずつゴキブリに近付いていく。

研究員デルトロ「ほ~ら…」 チキチキチキチキチキ…

大型ゴキブリ「……」

彡;(゚)(゚)「…」

研究員デルトロ「僕はトモダチだよ~」 チキチキチキチキチキ…

大型ゴキブリ「……」

研究員デルトロ「怖くないからね~」 チキチキチキチキチキ…

大型ゴキブリ「…チキチキチキチキ」

(*^◯^*)「! 返した!」

大型ゴキブリ「ガブッ!!」

研究員デルトロ「ぁえ」

 ゴキブリが、デルトロの上半身を噛みちぎった。

大型ゴキブリ「 ガチュッ バリッ バキバキ…」

(*゚◯゚*)「食われたあああああぁあああ!!!!!」

彡;(゚)(゚)「当たり前やろ!! なんでスプーンで上手くいくと思ったん!!?」
 

170: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:25:44 ID:0tN
【訃報】デルトロ、逝く

171: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:26:03 ID:aL9
 
大型ゴキブリ「 ゲプ…  ギチチチ…」 クルッ

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「ヒッ…こっち見た…」

(;`ハ´)「…そうアル!」 バッ

彡;(゚)(゚)「? ライターオイルをどうするんや?」

(;`ハ´)「これをモップの毛のとこにかけるアル!」 ピチャピチャ

(;`ハ´)「そしてこれに…」 シュボッ

  ゴォォォッ! メラメラメラ…

彡;(゚)(゚)「! これなら…!」

彡;(゚)(゚)「えいっ! オラッ!」 シュッ シュッ

大型ゴキブリ「…ギギ…」 サッ

(;*^◯^*)「嫌がってるんだ!」

(;`ハ´)「ひるんだ! この隙に逃げるネ!」

彡;(゚)(゚)「よっしゃ! 急ぐで!」 シュッ シュッ

   ダダダダダダ!
 

173: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:27:49 ID:aL9
 
── 廊下

彡;(゚)(゚)「このまま突っ切って…」

   ザザザザッ…!

(;*^◯^*)「!! 小型ゴキブリの大群が追ってくるんだ!?」

彡;(゚)(゚)「くっ…全力で逃げるで!」 ダッ

レハ;゚o゚ノ!ヽ「あっ…!」 ドテッ

彡;(゚)(゚)「フェリス!! 大丈夫か!」

レハ;>-<ノ!ヽ「うぅ…ごめんなさい…」 ググ…

  ザザザザザッ!

(;*゚◯゚*)「ゴキが来るゥーんだ!」

彡;(゚)(゚)「せや!モ、モップで…!」

  ボロ…

彡;( )( )「あ゙ぁぁあ゙あぁ!! 毛の部分が燃え尽きとる!!」

(;*^◯^*)「そ、それに相手はゴキの集団なんだ! モップ一本じゃ…」

彡;(゚)(゚)「ああもう、あとはさっき取った注射ぐらいしか…」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「…逃げて…!」

彡;(゚)(゚)「ファッ!?」
 

175: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:31:26 ID:aL9
 
レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「もうイイ。 私は子供だし、足手まとい。 私を置いテ、早く逃げテ」

彡;(゚)(゚)「そ、そんなことできるワケないやろ!!」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「いいの。 私は親もいない、貧しい子供ネ。 十分生き延びた方ネ」

彡;( )( )「フェリス!!!」

レハ;-ヮ-ノ!ヽ「次産まれる時は、お金持ちな国がいいネ… さよなら、皆…」

       バッ

( `ハ´)

(;*^◯^*)「リーさん!?」

  ザザザザザ…

( `ハ´)「中国の男は、皆プライドが高く、メンツを大事にするネ」

(;*^◯^*)「こ、こんな時に何を…」

( `ハ´)「女の子を見殺しにしたとなれば、それこそ生き恥よ!!」

( `ハ´)「私がゴキブリを引き付けるアルネ! その隙に、その子連れて逃げるヨロシ」

(;*^◯^*)「それじゃ囮なんだ!!」

彡;(゚)(゚)「そ、そんなこと出来る訳…」

( `ハ´)「もうゴキブリはそこまで来てる!! 急ぐネ!!!」

彡;(゚)(゚)「リーさん……」
 

176: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:31:52 ID:aL9
 
彡;(゚)(゚)「行くで!! フェリス!!」 グイッ

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「あ……」

  ダッダッダッダッ

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「李老師!!」

彡;(゚)(゚)「振り返るな!!」

レハ;゚-゚ノ!ヽ「……!」

彡;(゚)(゚)「もう……見たらアカン!!」

レハ ;-;ノ!ヽ「……」 タッタッタッタッ





    ザザザザザザッ…

( `ハ´)「ゴキブリ共め…… 好き勝手してくれてるネ」

( `ハ´)「憤ッ!!」 グチャッ!

 リーが思い切りゴキブリの集団へ踏み付ける。
 数匹潰れたが、お構いなしにゴキブリ達はリーの足をよじ登る。
 

177: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:32:31 ID:aL9
 
( `ハ´)「おうおう。食えるものがあれば群がり噛み付くか。 まるでどこかの国民ネ」

 リーはポケットからライターオイルを取り出すと、
 頭から自身に振りかけた。

 ゴキブリ達はリーの全身へ群がり、牙を突き立てて肉を抉る。
  
   バリ ベキ グチュ ボリ

( `ハ´)「ッ… いいぞ、群がれ、食いつけ、それがお前らの最後の食事ネ」

 両手を広げたリーの全身が黒く覆いつくされる。
 が、リーの指はしっかりとライターを握っていた。

   ブシュ ボリボリ メリメリッ グチュ グチョ
 

178: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:32:48 ID:aL9
 
(::::::ハ´)「あの子は言った。 次は良い国に生まれたいと。 そんなこと、言わせちゃ駄目アル」

   ベキベキ グチュグチャ ボリボリ

(:::::::::::´)「我々大人が、この国を、誇れる国にしなきゃいけないアル。 だから、それなら、」

    ゴリ ベキ グチュ

(:::::::::::::::)「私があの子の道になる」

    カチンッ…

     「…什公是路」 


  ボリ グチュ ベキベキ メ゙リッ ザザ…


  就是从没路的地方践踏出来的


    バリバリ メキ グチュ    
 

   从只有荊棘的地方升辟出来的



        シュボッ







(;*^◯^*)「! あの光… 炎!?」

彡;(゚)(゚)「…リーさん……!」 タッタッタッタッ

レハ ;-;ノ!ヽ「……李老師…」 ギュッ
 

179: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:34:57 ID:0tN
おお、もう…
最後リーさんは何て言ってるんや…?

180: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:36:09 ID:aL9
>>179
什公是路?
(道とは何か)

就是从没路的地方践踏出来的
(それは道なき所を踏み歩き出来たものである)

从只有荊棘的地方升辟出来的。
(荊棘(いばら)の地を切り拓いて出来たものである)

          随感録六十六「生命的路」 魯迅
 

181: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:38:47 ID:OhS
>>180
教養あるひとやったんやね

184: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:44:34 ID:aL9
 
───


金所長「……」

  グチャッ!

金所長「…さて…何匹目かな」

 所長室の床には、潰されたゴキブリの死骸が散乱していた。

 しかし、その数十倍の数のゴキブリが、所長の周りをウロチョロと蠢いている。

金所長「…まさか、銃で開けた扉の穴から侵入とはねぇ。
     意地汚い生き物だ」

 次第に包囲網を狭めていくゴキブリ達。
 しかし、所長は落ち着いた様子で、時折スマホの黒画面を見つめている。

金所長「…まだ、死ぬわけにはいかないんだよ… まだ…」
 

185: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:45:05 ID:aL9
 
   ピロンッ!

金所長「!」

 スマホ画面に映し出されたのは…。

   『手術做成功了。』(手術は成功しました。)


金所長「……」

金所長「はは……そうか……」

金所長「そうか…! そうか………」 ポロ…ポロ…

 涙をこぼす所長と、 それを取り囲むゴキブリ達。
 確実に、その距離を縮め、今にも襲い掛かろうとしている。

金所長「…………」 スッ

金所長「……」

 所長は、持っていた銃を自身のこみかめに押し付けた。
   
金所長「………」

 所長は、最後は満足そうな笑顔だった。




    銃声───
  
  その後、一斉に肉を貪り食らう音が──。


 

187: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:54:41 ID:aL9
 
────
──


彡;(゚)(゚)「はぁ…はぁ…」 タッタッタッ

(;*^◯^*)「僕たち今どこに向かってるの!?」

彡;(゚)(゚)「分からん! とにかく、正面玄関へ、って看板に沿って走っとる!」

 ダダダダダ!

  バンッ!

彡(゚)(゚)「ひらけた! ここは!?」

(*^◯^*)「正面ロビー…? の2階なんだ!」

 


(;*^◯^*)「やっぱり正面玄関にも、シャッター降りてるね」

彡;(゚)(゚)「どうにか開けられんかな…」

(;*^◯^*)「うーん、まず下まで降りないと…」

彡;(゚)(゚)「しかし、また迂回路探すと、ゴキと鉢合わせするかもしれんし…」

(;*^◯^*)「うーん……」
 

188: 名無しさん@おーぷん 2018/12/12(水)23:55:30 ID:aL9
 
彡(゚)(゚)「! あの、時計塔に飛び移って、下に降りるのはどうやろ…?」

(;*^◯^*)「時計塔に!?」

彡(゚)(゚)「せや…。 言い出しっぺやし、ワイがやってみるわ…」

(;*^◯^*)「…気を付けてね…」


彡(゚)(゚)「よい……しょっ!」 ピョンッ

 ガシッ ビタッ

彡(゚)(゚)「よ、よし! どうにか飛び移れ…」

 ズルッ

彡(゚)(。)「あァ─── ッ!?」

(;*゚◯゚*)「足滑らせた!?」

レハ;゚o゚ノ!ヽ「やきう── っ!!」

 ガシッ

彡;(゚)(゚)「あわわわ」



(;*^◯^*)「どうにか時計の針は掴んでる!」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「でもアレじゃすぐ落ちるアルよ!」
 

192: ◆jAjYS9VHd2 2018/12/13(木)00:03:32 ID:noY
 
(;*^◯^*)「あ! でも、下にリヤカーあるからうまいこと落ちれば助かるかも!」

(;*^◯^*)「やきうくーん!! 下のリヤカーに着地……」

   ドゴッ! バキ…

大型ゴキブリ「キシャアアアァァアアァッ!!!」 バキ…

(*゚◯゚*)「デッカいのがロビーに入って来たんだ!!!!」

レハ;゚o゚ノ!ヽ「やきうー! 今落ちちゃダメー!」

彡;(>)(<)「う……あ……」 プルプル

 
大型ゴキブリ「!」 カサカサカサカサ


(;*^◯^*)「! ゴキブリがやきう君に気付いたんだ!!」


彡;(>)(<)「ぐ…ぬ……」 プルプル

大型ゴキブリ「キシ…キシ…」 ギチチ…

 

193: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:10:08 ID:noY
 
レハ;゚-゚ノ!ヽ「待ち構えてる…」

(;*^◯^*)「……」

(*^◯^*) チラ

 『消火栓』

(*^◯^*)「……あれだ!」

  ガシャッ  ゴソゴソ

レハ;゚-゚ノ!ヽ「? ホースをどうするの?」

(*^◯^*)「こうするっ!」 ブンッ

 シュルルルル… ドササ

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「ホースを下に…?」

(*^◯^*)「このホースで下に降りるんだ!」 ガシッ

 シュルルルルル…

 トサッ

(;*^◯^*)「やきう君!」


彡;(>)(゚)「ポジハメーッ!! 来たらアカン!!」


大型ゴキブリ「ッ!」 クルッ


レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「! ゴキブリがポジハメに気付いた!」

(;*^◯^*)「!」 ビクッ

194: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:15:26 ID:noY
 

大型ゴキブリ「…キシ……」

大型ゴキブリ「キシャアアアアアアァッ!!!」 ダッ!


彡;(>)(゚)「ポジハメ─── ッ!!」


(;*^◯^*)「…」



      ズルッ
彡;(゚)(゚)「あ…」

彡(。)(゚)「ああぁああぁぁあぁ……」 ヒュゥー

  ドサッ

彡(×)(゚)「あいでで…… た、助かった…」

 
(;*^◯^*)「…… フェリスちゃん!! 放水を全開にして!!」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「わ、分かっタ!!」 グッ

レハ;>o<ノ!ヽ「えいっ!!」 グルンッ

  …ブシュッ…

(;*^◯^*)「食らえええぇぇッ!!!」

 ポジハメが向けた放水口から、勢い良く水が発射される!

    ブシャアアァァァァアアァッッ!!!

大型ゴキブリ「ギシッ!!?」 ババババ

195: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:15:53 ID:noY
 
(;*^◯^*)「やきう君! 今のうちに逃げて!」

彡;(゚)(゚)「あ、で、でも……」

(;*^◯^*)「ぼ、僕は大丈夫! この水で…!」

  ブシュッ… ブシュ… ポタポタ…

(;*^◯^*)「!!! み、水が……」

(;*^◯^*)(そうか! ゴキブリ騒動で水道管理システムが…!)

大型ゴキブリ「 キシ……」 ムクッ

大型ゴキブリ「キシャアアアアアァアアァッ!!!」 ダッ!

(*゚◯゚*)「!!!」

 ドシュッ!!

 大型ゴキブリの牙が、ポジハメの腹へ突き刺さった。

大型ゴキブリ「キシャアアアァアアァッ!!!」 ブシュゥゥッ! ギチギチギチギチ

(*゚◯゚*)「ぐあああぁああぁッ!!」

 そして、突っ込んだ勢いそのままに、壁に叩き付けられる。

   ドガァァッ!!

(*゚◯゚*)「ごはッ…… ガハッ…」 ドロ…

大型ゴキブリ「ギシ…キシ…キシ…」 グチュ…

198: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:16:44 ID:noY
 
彡;(゚)(゚)「ポジハメェッ!!」 ダッ

(*゚◯゚*)「来るなァァッ!!」 ドロ…

彡;(゚)(゚)「っ……!」

(*゚◯゚*)「来ちゃ…ダメ、なんだ…ゴホッ」 ドロ…

(*゚◯゚*)「だって……」 グッ

 ポジハメが取り出したもの…それは、爆弾!

(*゚◯゚*)「巻き込んじゃうんだ…!」 グイッ!

   ズボォ!

 そして、ゴキブリの口の中へ爆弾をねじ込んだ!。

(*゚◯゚*)「くたばれえええぇええぇ!!!」 カッ

    ── ッ

  ドゴオォォォォォオンッ!!!


彡;(>)(゚)「ッ ぷはッ!?」

   ォォォォ…──

  パラ… パラ…


199: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:17:01 ID:noY
 
彡;(>)(゚)「ポ、ポジハメ─── ッ!」

  煙が晴れると…

彡;(゚)(゚)「ポジハ……」


(*^◯^*)

(*^◯^*)「はは……」

 ポジハメが、やきうへ笑顔を向ける。
 しかし、爆発を至近距離で浴びた腹部の損傷は激しく、
 下半身は完全に離断されていた。
 あたりに肉片と、腸の欠片、そしておびただしい血が飛び散った。

(*^◯^*)「…倒した、よ……ゴホ」 ドロ…

彡;(゚)(゚)「やめろ! アカン! しゃべるな!」

(*^◯^*)「…ぼく、ね… やきう君、のこと、尊敬してたんだよ、実は…」

彡(;)(;)「しゃべるな! もう! 日本に!日本に帰るんやろ!」

(*^◯^*)「物知りで……研究熱心で……」

彡(;)(;)

(*^◯^*)「また…一緒に……研究、したかっ……」

(*-◯-*)
 
彡( )( )

200: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:21:06 ID:SuY
あぁ...

201: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:21:27 ID:7n4
おぉ、もう…

202: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:21:44 ID:Z7Q
そんな・・・

204: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:24:23 ID:noY
 
────
──


 『Cleared for Takeoff』

  『Two, rolling,』

   『祝?成功』


205: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:25:10 ID:noY
 
────
──


レハ;゚-゚ノ!ヽ「やきう…」

彡( )( )「……」

 やきうはホースをよじ登り、再び2階へ来ていた。

彡(゚)(゚)「……ポジハメは、最後まで立派に戦ったやで…」

レハ ゚-゚ノ!ヽ「…うん…」

彡(゚)(゚)「…正面玄関も通れそうになかった… また、脱出経路を探すで…」 スタ、スタ…

レハ ゚-゚ノ!ヽ「…」 スタスタ…


 ギシ…

彡;(゚)(゚) ハッ

彡;(゚)(゚) ソーッ…

大型ゴキブリ「キシキシ…」 ギシ

彡;(゚)(゚)「! 大型ゴキブリがおる!」

レハ;゚-゚ノ!ヽ「!」

彡;(゚)(゚)「こっちに行くか…」 ソッ

小型ゴキブリ集団「ウゾゾゾゾゾゾゾゾ」

彡;( )( )

207: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:37:29 ID:noY

彡;(゚)(゚)「クソッ…どうしたら……」

彡;(゚)(゚)「ん…?」

 『倉庫』

彡;(゚)(゚)「!」

彡;(゚)(゚)「ここは……確か……」

彡;(゚)(゚)「せや! フェリス! こっちや!」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「?」 タタッ



彡(゚)(゚)「あった… これや…」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「このカプセル…」

彡(゚)(゚)「お前ならこの中に入れる。 お前はこの中に隠れるんや」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「やきうは?」

彡(゚)(゚)「ワイは……」

彡(^)(^)「ワイは、脱出経路を探して、見つかったらまたお前を迎えに来る!
     それまでここで大人しくしとるんやで!」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「わ、私も手伝えるよ! だから…」

彡(^)(^)「あー、子供が一緒やとジャマやねん。 うっとうしいんや
      一人の方がよっぽど身軽に動けるわー」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「ゔ……」

208: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:38:06 ID:noY

彡(^)(^)「やから、な。 お前はここで大人しくしとるんやで」

レハ;゚ヮ゚ノ!ヽ「わ、わかった…」

 カチャ パカッ

  ゴソゴソ

     バチン! ガチ


彡(゚)(゚) …ふぅ

 コンコン

彡(゚)(゚)「ん?」

レハ ゚-゚ノ!ヽ『…』

彡(゚)(゚)「…?」

レハ ;ヮ;ノ!ヽ『やきう……絶対、ゼッタイ死んじゃダメね』

彡(゚)(゚)

レハ ;-;ノ!ヽ『ワタシ…待ってる… 待ってるネ…』

彡:::::::::)

彡(^)(^)「ああ! 絶対迎えに来るからな! 待っとれ!」

   ザッ  スタスタ…




211: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:39:59 ID:noY




彡(゚)(゚)「…」

彡(゚)(゚)(下手に脱出経路を探してウロチョロするより…
     安全な場所で救助を待った方が生存確率は高い…)

彡(゚)(゚)(そして……フェリスの生存確率をもっと上げるには……)

彡(。)(。)

彡(`)(´)「オラアアアアァァァッ!!! ゴキブリ共ぉぉぉぉ!!!」

大型ゴキブリ「!」

ゴキブリ集団「!」

彡(`)(´)「こっちや!! お前らの大好きな人間はコッチやぞー!!」

 ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ

 ガササササササ  ゾゾゾゾゾゾ


彡;(`)(´)「オラこっちやー!! 来いやー!!」 ダッダッダッダッ

彡;(`)(´)(なるべく…倉庫から引き離す……!) ダッダッダッダッ

216: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:49:25 ID:noY

───

 『Two, Tally bandit twelve o'clock.』

───

217: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:49:32 ID:noY
 
───

彡;(゚)(゚)「はぁ……はぁ……」

  ザザザザ…

     キシ…キシ…

  ギチチチチ…


 やきうは廊下の行き止まりにいた。
 既に大型・小型…大量のゴキブリが取り囲み、今にも襲い掛かろうとしていた。

彡;( )( )「オラ…来いや… やけど…ワイも黙ってやられへんで…」

彡(;)(;)「お前らよくも…リーさん…ポジハメ…色んな仲間を殺してくれたな!!!」

彡(;)(;)「最後まで戦ってやらァ!!!」 グッ

大型ゴキブリ「キシャアアアアアアアアアァァァッ!!!」 バッ

彡;(>)(<)「……!!」

彡;(>)(<)

彡;(>)(゚)「・・…?」

大型ゴキブリ「キシ… キシ…」

 ゴキブリ達が、動きを止めている。
 それどころか、一匹一匹、次第にやきうから離れていく。

  キシ… ザザ…

彡;(゚)(゚)「…どういうことや…?」

218: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:50:03 ID:noY
 
  ザザ… ゾゾゾ…

彡;(゚)(゚)「……どこかに向かっている…?」

   ザザザ…

彡;(゚)(゚)「……追いかけてみる、か…」

220: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:52:34 ID:noY
 
───


 『Two, Request permission to attack.』


───

221: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:52:59 ID:noY
 
───
 
   カサカサ…
     ザザザ…

彡;(゚)(゚)(…完璧にワイを無視しとる… 一体、どこに向かって…)


  ─── 『 急激な進化を促したようです 』


彡;(゚)(゚)「進化…?」 ハッ

彡;(゚)(゚)(待てよ…進化ってのは体が頑丈になるだけか? 大きくなるだけか?)

彡;(゚)(゚)「もしかしたら……!」 ダッ

222: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:53:22 ID:noY
 
─── 飼育室


彡;(゚)(゚)「……そういうこと、か」





  『ギシ……キシ………』

  バリ ゴシュ ゴリ バキバリ


 飼育室の最も奥に、巨大な──20mはあるだろうか──ゴキブリが這っていた。
 全身から棘や触手のような物が蠢いている。
 それが、まだ進化の途中であることを物語っている。
 
 そして、その巨大ゴキブリの前に、研究所から集まったゴキブリ達がワラワラとひしめき合っている。

 その集団に顎を突っ込んでは咀嚼する巨大ゴキブリ。
 その度にバキバキと硬質な音、グチャグチャと粘着な音が鳴る。


彡;(゚)(゚)(間違いない……)

彡;(゚)(゚)(女王〈クイーン〉が誕生したな……!)


女王ゴキブリ「グチャ…ピチャ…バリボリ…」


彡;(゚)(゚)(こいつらは進化したんや… "社会性昆虫"に…!)

彡;(゚)(゚)(約3億年前…ゴキブリの先祖から派生して社会性を獲得したのがシロアリや…
      ま、進化としては順当っちゃ順当か…)

226: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)00:55:38 ID:noY
 
女王ゴキブリ「…ゴリゴリ…バキ、ベキョ…ジュル…」


彡;(゚)(゚)(…研究所内のゴキブリは残らずこの女王のエサになる…)

彡;(゚)(゚)(数が減ったと喜ぶべきか…? いや…『なぜエサにしているか』を考えろ…)


女王ゴキブリ「…ベキ、バキ…ジュル…ボキ、グチャ…」


彡;(゚)(゚)(コイツ…栄養を蓄えとるんや… 女王が栄養を蓄える…目的は…ひとつしかない…!)

彡;(゚)(゚)( 卵を産む気や…! 今度こそ…完全体のゴキブリの…! )

228: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:00:22 ID:noY
 
女王ゴキブリ「……パリッ  ゴク」

彡;(゚)(゚)(最後の一匹まで……食ってもうた……)

彡;(゚)(゚)(どうする……? どうしたら……)

 チクッ

彡;(゚)(゚)「痛っ……?」

彡;(゚)(゚)「…!」



女王ゴキブリ「…」 ズズ…

   ザッ

彡;(゚)(゚)「……」

女王ゴキブリ「ッ! ……ギチチチチ」 ズズズ…

彡;(゚)(゚)「ワイを喰う気か…」

229: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:00:27 ID:noY
 
女王ゴキブリ「…ギチギチギチ…」 ズズズ…

彡;(゚)(゚)「やけど……」

彡;(`)(´)「黙って喰われる気はないで!!」 ダッ!

 駆け出すやきう!
 そして、それを追う───

女王ゴキブリ「ギ……ギジャア゙ア゙ア゙アアアアァァアアァッ!!!」

    ドッ ドッ ドッ ドッ 

  ド ド ド ド ド ド ド ド 

  バキ ベキ  バキャッ!


 壁やパイプを破壊しながら、女王〈クイーン〉が追って来る…!


232: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:04:22 ID:noY
  
彡;(゚)(゚)「クソッ!! パワーも規格外か!!」 ダッダッダッ

女王ゴキブリ「ギヂァァァァ!!!」 ギヂギヂギヂギヂ

  ┣" ┣" ┣" ┣" ┣" ┣" ┣" ┣"

彡;(゚)(゚)「!」 ズザザザッ

女王ゴキブリ「ギヂャアアァアアァァ!!!」 ダンッ!

彡;(゚)(゚)「はは…… 張り切って飛び掛かってきよる…」

女王ゴキブリ「ア゙ア゙ア゙ァア゙ア゙アァア!!!」 ド ン !

彡;(゚)(゚)「やけどここは……」


  ─── 『 地下にもスペースが在るヨ。
        一部工事始まってるから床が抜けないよう気を付けるネ 』


彡(゚)(゚)「足場が悪いで!!」

   バキィッ!  メキメキメキ…


女王ゴキブリ「!!」 ギ…


彡(゚)(゚)「ワイと一緒に…堕ちろッ!!」


    バキィッ!  ガラガラガラ…!

 女王ゴキブリの重量に耐え切れなかった床に大きな亀裂が入り…
 次の瞬間、崩れ落ちた。

 やきうと女王は、大量の瓦礫と共に地下へ吸い込まれた…。


   ボロボロ…  メキメキ… ガラガラ…


235: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:07:48 ID:noY
 
───

 『Two, Running in』

───

236: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:08:05 ID:noY
 
───


  パラ…パラ…


彡(-)(-)

彡(-)(゚)「う……あ……」

彡(-)(゚)「ワイ、まだ、生きとる…」 ズ…

  ズキッ

彡;(>)(゚)「ぐッ……」 ズキ…

彡;(>)(゚)(足…折れてもうたか……)



女王ゴキブリ「…ギ…ギギ…」 ググ… ヨロ…

彡(゚)(゚)「ヘッ… お前も…生きとったか… 

女王ゴキブリ「ギギ…ギチチ…」

彡(゚)(゚)「ま、こんなもんじゃくたばらんよな」

239: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:17:45 ID:noY
 
女王ゴキブリ「ギギギ……ギヂャアアアアアァアアァ!!!」

彡(゚)(゚)「ハッ…相当ブチキレとんな… 
     ま、女王なのにこんな扱いされるの初めてやろな…」 クク…

女王ゴキブリ「グルァァァア゙ア゙ァア゙!!!」 ド ド ド ド

彡(゚)(゚)「やけど……」

彡( )( )「ブチキレとるのは……ワイの方や……」


  ─── 『私がゴキブリを引き付けるアルネ!』

    『また…一緒に…研究、したかっ…』 ───


彡( )( )「ワイの仲間を……お前らが殺したんや……」

 ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ

彡( )(゚)「この上ない程……ハラワタ煮えくり返っとるんや……」

240: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:17:52 ID:noY
 
   ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ

 ─── 『今回の"進化"には、アドレナリンが大きく関わっている』
       『アドレナリンで変化』 ───


彡(●)(●)「 おかげで… アドレナリン出まくりやで 」

  やきうが取り出したのは、デルトロから受け取った注射──成長遺伝子を抽出したもの。
  その注射を、思い切り自分の腕に突き立てた。

彡( )( )「あ゙あ゙あ゙ああ゙あぁ゙あ゙ああ゙あぁああ゙ああ!!!!」 メ゙キメ゙キメ゙キメ゙キィ!!

  ビリッ  メ゙キメ゙キィ…
 
彡( )( )「ギッ……がッ……ぃ……」 メギメギ… ベキ…

   メキ…  ビキビキ…!

    バリッ…  

    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

 
  シュゥゥゥゥゥ…

彡( )( )

  やきう民も、巨大化───!
  その身長は20m近くに達し、筋肉も異常に肥大している。
  その皮膚は岩のように無骨に隆起し、もはや人のそれでは無かった。

女王ゴキブリ「…ギシ…  ギシャアアアアァアアァッ!!!」

彡( )( )「うお゙お゙おおぉ゙お゙おお゙おお゙おぉお!!!!」

244: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:20:38 ID:noY
※緊迫した状況

248: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:23:08 ID:5Mh
やきう、露店で買った伸び伸びパンツ履いてるのか…

249: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:23:55 ID:Z7Q
>>248
あれも伏線だったのか!? イッチやべえ!!

252: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:26:21 ID:noY
 
女王ゴキブリ「ギッ!!!」 ダンッ!

 女王ゴキブリが思い切り突進し、やきうへブチかます!
 
彡( )( )「お゙お゙お゙ぉぉお゙おぉッ!!!」

 それを受け止める…が、
 衝撃に耐え切れず、後方へ圧し潰される…!

   ギャリギャリギャリギャリ…!

彡( )( )「ぐ……がッ……」

   ドゴォッ! バギィッ! 

 コンクリの壁を幾枚も破壊し…それでも突進は止まらない!

   ドガッ! ドゴォッ! バギィッ!

彡( )( )「がッ… ぐッ…」

   ドォォォオン!!

彡( )( )「ガ……ハッ……」

 最後の壁に叩き付けられる。
 壁には大きな亀裂が生じ、瓦礫がやきうの頭上に降り注いだ。

   パラ… パラ…
 

253: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:30:57 ID:noY
 
女王ゴキブリ「ギヂャアアアァアアァァッ!!!」 バリッ!!

 女王のキバが、やきうの腹に突き刺さり、肉塊を抉り取る。
 
   ガシュッ! グチュ ギチギチギチ…!

彡( )( )「グ…ガ…」 ブシュッ! ブシュゥゥッ!

女王ゴキブリ「ギシャアアアアァァッ!!!」 ドロドロ…

 女王の顔が、頭が、やきうの血で染まる…!

彡( )( )「お゙お゙おぉお゙お゙おおおおッ!!!」

 やきうの膝蹴りが女王の顎を打ち上げる!

   バギィッ!

女王ゴキブリ「ギギッ!?」 ヨロ…

彡( )( )「くたばれやああぁあああぁッ!!」

 やきうが両拳を組み、思い切り打ち下ろす!

   ┣" ゴ ッ !!


女王ゴキブリ「…ッ… ッ…」 ヨロ…ヨロ…

彡( )( )「トドメッッ!!」 グオッ

女王ゴキブリ「ッ…!」

    バ  ッ  


      ハネ
彡( )( )「 翅ッ!!?」
 

258: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:42:42 ID:noY
 
女王ゴキブリ「…ギギッ」

  ヴヴヴヴヴヴ…

彡;( )( )「コイツ……飛ぶ気か……ッ!」

彡;( )( )(逃げる気か……!)

女王ゴキブリ「ギギッ…!」

   ブ ワ ッ 

 舞い上がる女王……!

彡( )( )「逃がすかッ!!」 ガシッ

  飛び掛かり、背中にしがみつくやきう…!

女王ゴキブリ「ギギギギッ!!!」 ヴヴヴ…ヴヴヴヴ…!

 ドゴッ!  ドガァッ!

 壁にブチ当たりながら、上空へ飛んでいく…!
 そして…


   ドゴォッ!!

 天井──研究所の床をブチ破り、二者は光を浴びた…!

彡( )( )「ぐッ……こ、ここは……」

 やきうの眼下に、時計塔が見える。
 ロビーの上に出たのだ…!
 

259: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:45:07 ID:noY
 
彡( )( )「時計塔……せや!!」

 やきうは女王の翅を掴むと、

彡( )( )「うごおおおあ゙あ゙ああああぁあ゙ああ゙!!!」 ビキ、ビキ、ビキィ!

女王ゴキブリ「イギッ!? ギギギギィィ!!!」 ヴヴヴ… ジタジタ

  万力を込めて

彡( )( )「おお゙おお゙ああ゙ぁあ゙あ゙ァァッッ!!!」

    ブヂィィッ!!!

  引きちぎった───!!!


女王ゴキブリ「イギイィィァア゙ァァァァ!!!!」 ヴヴヴヴヴ!!

 翅をもがれた女王は、真っ逆さまに堕ちて行く──!!
 

260: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:45:27 ID:noY
 
彡( )( )「堕ちろォォッッ!!!」


  その堕ちる先は……!!!


    ズシャァァッ!!!!


 時計塔に、突き刺さる──!
 女王の躰が串刺しとなる……!

女王ゴキブリ「ギ……ガ………」 ジタ…ジタ…

女王ゴキブリ「……ィ……」 ジタ…

女王ゴキブリ「……────」


   食道下神経節…… 破壊───



彡( )( )「……がふッ…」 ドロ…

 しかし、その槍は

彡( )( )「………」 ボタ…ボタ…

 やきうのドテッ腹をも、貫いていた。
 

265: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:55:59 ID:noY
 
───
   

 キィィィィィィィィィィィン……


    ザッ

   『 Two, 』


   『 Missile 』
   (ミサイル)

   『 away.』
   (発射せり)

───
 

266: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:57:01 ID:noY
 
 
 ポタ… ポタ… ポタ…


彡( )( )


ポタ… ポタ… ポタ…


彡( )( )


  フェリス…すまん… 


彡( )( )


  ワイは… 約束を…… 守れそうにない…

 

268: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)01:58:43 ID:noY
 


彡( )( )



  やけど…… 忘れんでくれ……



彡( )( )



  みんな…みんな、お前を守ろうとしたんや…




彡( )( )



  やから… 生きてくれや… 
  死んでもいいなんて、寂しいこと言わんで、生きてくれや…

 
 

269: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:00:37 ID:noY
 


彡( )( )



  あ……中国語で…なんて言うんやっけ……



彡( )( ) 



   あ… 思い、出した……



彡( )( )「…再見(さよなら)……」


 
 キィィィィィィィィィィ……


    

 ┣" ッ───────

        …………………

            ……
 

 

274: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:07:22 ID:noY
 
────
──


 ……
 本日、四川省成都市の郊外に在る生物研究所において、
 大規模な爆発事故が発生しました。
 爆発の衝撃波で研究所周囲5kmまで家屋損壊等の被害を認めています。
 なお、研究所は外観も留めない程に消し飛んでおり、
 成都軍の部隊を含む調査団が現地入りしております。
 政府公表により調査計画が発表される一方、一部の現地住民から
 「戦闘機のような飛翔体を見た」との証言が上がっておりますが、
 当時偶然にも飛行訓練が行われており、それと混同したとの見方をされています。
 次のニュースです……。 
 

275: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:08:29 ID:Mxp
共産党政府なら何事もなかったのごとく隠すやろなあ

276: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:09:07 ID:Z7Q
偶然にも飛行訓練・・・すごい言い訳

280: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:13:42 ID:noY
 
───

隊長「えー、調査計画は以上だ」

隊長「今回の"爆発事故"調査において、異常な物、判断しかねる物があれば、速やかに報告しろ。
    分かったな」

隊員たち「「「是~」」」

隊長「では、調査始め!」

 ザッ ザッ ザッ ザッ

隊員A「…はぁ… 調査部隊に選ばれるなんてツイてないな…
     給料増えるワケでもないし…」

隊員B「ま、しょうがねぇよ さっさと終わそうぜ」

隊員A「そうだな… ん」

 隊員Aが足元の球体にぶつかった。

隊員A「ん、何だこりゃ… カプセル?」

 それは、大きなカプセルのようであった。
 しかし、中には何もおらず、ただフタのような扉が開いているだけだ。

隊員A「……」

隊員B「おうい、どうしたー?」

隊員A「……うんにゃ。 なんでもねぇー」

 隊員Aは、さっさと終わらすことだけを考え、Bの後を追った。

───
 

286: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:29:13 ID:noY
 
────
──



 「私は……本来であれば、このような、
  卒業生代表という、名誉を受けるべき人間ではありません」

   少女が、マイクの前で、やや緊張した面持ちで…
   しかし、決意を帯びた口調で挨拶を始める。


 「しかし、私には誇るべき思い出があります。」

 「それは、私の命は、私の魂は、多くの人に愛され、生かされ、ここに在るということです」

 「私は、私を生かしてくれた人々に感謝し、
  また、彼らのようになれるよう、憧れをもって生きてきました。」

 「私は、貧民の生まれです… 運良く、愛情深い養父・養母に恵まれ、
  こうして大学の卒業を迎えることができました」

 「私は、この星に生きる人々が好きです。 
  富めるも、貧しきも関係なく、命を燃やして生きる、その生き様に感動を覚えるのです。」

 「私は政治家を目指しています。
  …この国は、未だ完璧ではありません。
  貧しさにあえぐ子供がいる。病に伏し絶望を食む人間がいる。
  …私は少しでも、少しでも彼らに『生きて』ほしいのです。」

 「かつて、私はそうしてもらったように。」

 「…話が散らかってしまいました。 
  この度は、我々の卒業をお祝いくださって、有難うございました…」

  パチパチパチパチ…

男子大学生「やあ、良かったよ。 フェリス」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「あ、男子大学生くん…」
  

289: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:30:44 ID:noY
  
男子大学生「なんだろう…とっても、とっても心を打ったよ…なんでかな…」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「ふふっ… なあに、今のうちから政治家に媚を売ろうって~?」

男子大学生「ち、違うって! 医者たるもの、権力に媚びるわけには…!」

レハ ^ヮ^ノ!ヽ「ふふっ、冗談冗談♪」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「にしても、医者かぁ すごいなぁ 立派だよ」

男子大学生「そんな、全然立派なんかじゃないよ」

男子大学生「ただ、恩返ししたいだけなんだ」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「恩返し?」

男子大学生「…僕は、ちっちゃい頃は難病を患っていてね…
        子供ながら、先の短い人生に絶望したもんだよ」

男子大学生「でもね…… 匿名の人…僕はあしながおじさんって呼んでたけど、
        その人が、僕の入院費…手術費…それに、大学を出るまでの十分な蓄え…
        それを払ってくれていたんだ…」

男子大学生「…結局、その人が誰なのか、分からずじまい…。」

男子大学生「でもね、僕はその恩に、報いたいんだ… 
        せめて医者になって、世界中の皆に恩返しするんだ」

レハ ゚ヮ゚ノ!ヽ「そっか… 素敵な動機だね」

男子大学生「フェリスも政治家、がんばれよ」

レハ ^ヮ^ノ!ヽ「うん! がんばるよ! 約束だもん」

男子大学生「約束…?」
 

290: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:31:53 ID:Z7Q
この男子大学生はもしや所長の・・・

294: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:35:03 ID:5Mh
ああ…! 読み返したら、フェリスと所長のムスッコ同い年やんけ!

295: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:38:59 ID:noY
 
     「そ。 約束…」

  「絶対、迎えに来るって言ってたの」

  「だから、私、待ってるんだ」

      「あの人を」








 ザッ… ザッ… ザッ… ザッ…

 「あー、あっついなぁ……」

 「お、人や」

 「おーい!」

爺「んん……?」

爺「旅行者、か…? 珍しいな」

 「まあ、そんなとこや。 なあ、ここらへんで変なモンが出るって聞いたんやけど」

爺「変なモン… アイツか! あんた、なんでそのことを知ってる!?」

 「んー、まあ風の噂で…」

爺「戒厳令が敷かれているはずだが… あの、化け物イノシシのことは…」

 「化け物イノシシ?」
 

297: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:44:48 ID:noY
 
爺「ああ……異常に巨大になったイノシシだ…
   畑を荒らされ、家を壊され…何人も、殺された…」

 「……警察や、軍とかは動かんのか?」

爺「ここは、チベット自治区だ… 中国の警察や軍が、我々の為に動く訳がない…」

 「…そうか…」

爺「それに、イノシシが化け物になった原因が原因だ」

 「原因?」

爺「放射性廃棄物、だ…… 奴ら、ここらの川や原っぱに捨てやがるんだ……
  その影響で、突然巨大化したイノシシが…」

 「それやったら尚のこと、中国側が責任取って処理を…」

爺「あいつらがそんなことするもんか! …自分らの責任なんて、認めないさ…
  それに、ワシらチベット民族が減るいい機会だと思っているだろうよ…」

 「……そうか…」
 

298: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:48:58 ID:noY
 
爺「なあ、分かっただろ若い旅行者。 ここは危険だ…すぐに立ち去れ…」

 「あー、それなんやけど…」

   ド ド ド ド ド ド …!!

 「!?」

爺「!! き、来た……!」


  \ 奴だーッ! 奴が山から下りて来たぞーッ! /


爺「に、逃げなされ!! 早く!!」

 「あいや、実はな、その化け物イノシシに用があって来たんや…」

爺「!? な、何を……」



イノシシ「ブオーッ!! ブオオオォォォオッ!!」 ド ド ド ド ド ド


 「ははあ、なかなかデカいなぁ……」

爺「早く逃げるんじゃーッ!! 潰されるぞ!!」


 

299: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)02:49:59 ID:noY
 

  「ああ……さっきの話聞いたら、ムカッ腹立ってきたわ…」


爺「!?」


  「ワイは…怒ったで…!」 メキ…メキメキメキ…



爺「あ、あんた…… 一体……」



イノシシ「ブオオオォォオオォォオッッ!!!」 ズオオォォォッ!

 ┣" ┣" ┣" ┣" ┣" ┣" ┣" ┣" 


      ファンマーグオライ
彡(゚)(゚)「 放 馬 過 来 !! 」(かかってこい!!)


      

            完!


 

319: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)04:19:20 ID:noY

320: 名無しさん@おーぷん 2018/12/13(木)04:19:27 ID:noY
ありがとうございました。

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