少年「学校が大ピンチだ!」霊感少女「学校七不思議の霊の仕業だわ……」

2019年01月27日
少年「学校が大ピンチだ!」霊感少女「学校七不思議の霊の仕業だわ……」

1: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:01:57.87 ID:DvDLthvho
<教室>

児童A「先生!」

教師「なんだ?」

児童A「なんだか気分が悪いです……」

教師「む、そうか。では保健室へ行きなさい」

児童B「先生、ぼくもー……」

ボクモー… アタシモー…



少年「…………」


2: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:03:58.73 ID:DvDLthvho
友「俺も早退しよっかな……さっきから吐き気がする……」オエッ

少年「君もか……」

少年(ここ最近、ずっとこうだ)

少年(学校にいるとみんな体調が悪くなる。ボクたちみたいな児童だけじゃなく、先生たちも)

少年(いったいどういうことなんだろう?)

少年(ずっとこんなことが続けば、学級閉鎖どころか学校閉鎖になってしまう……!)

3: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:06:22.79 ID:DvDLthvho
少年(でも、こんな中、一人だけ平然としてる子がいる)

少年(あの子だ……)

霊感少女「…………」

少年(いつも無口でなに考えてるのか分からないけど、あの子は特に体に異変はないみたいだ)

霊感少女「……ねえ」

少年「!?」ビクッ

少年(この子が自分から話しかけてくるなんて……雪でも降ったりして!)

霊感少女「これは……霊の仕業よ」

少年「……え?」

4: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:09:08.26 ID:DvDLthvho
少年「霊って……なにいってんのさ」

霊感少女「この学校に伝わる七不思議、あなたも聞いたことあるでしょう?」

少年「そりゃ、もちろんあるけど……」



トイレの花子さん

校長室の怒る初代校長の写真

夜になると一段増える十三階段

音楽室に鳴り響くピアノ

理科室のしゃべる人体模型

プールに潜む河童

図工室のしかめ面のモナリザ



少年「この七つでしょ?」

霊感少女「そう」

6: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:12:30.26 ID:DvDLthvho
少年「こんなの……ただの言い伝えじゃないの? 信じてる奴なんていないよ」

霊感少女「ただの言い伝えなんかじゃないわ。七不思議は実在する」

霊感少女「学校七不思議を司る霊たちが、なにかしらの不安や不満を溜め込んでしまってるから」

霊感少女「その怨念が学校中を包み込み、児童や先生たちに悪影響をもたらしてしまっているのよ」

少年「そ、そんな……」

霊感少女「私が何とかしてあげたいけど、一人だけだと不安があるわ」

霊感少女「だからあなた、手伝いなさい」

少年「え!?」

7: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:15:03.97 ID:DvDLthvho
少年「なんでボクが!?」

霊感少女「あなたも私ほどじゃないけど霊感が強そうだし、それに元気そうだから」

少年「でも……霊と戦うなんて……」

霊感少女「学校がずっとこのままでもいいの?」

少年「う……」

霊感少女「それに今のうちになんとかしないと、怨念がさらにひどくなって」

霊感少女「誰かの命がなくなるような、取り返しのつかない事態になる可能性もあるわよ」

少年「…………!」

少年「わ、分かったよ……ボクも手伝うよ」

霊感少女「決まりね。じゃあ放課後、七不思議に会いに行きましょう」

少年(とんでもないことになっちゃったなぁ……)

8: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:18:30.97 ID:DvDLthvho
放課後――

<教室>

霊感少女「じゃ、行くわよ」

少年「う、うん」



教師「おーい何してる! もう授業は終わったんだから、すみやかに帰るように!」



少年(ゲ、先生に見つかっちゃった……)

霊感少女「帰りません。だって、これから七不思議に会いに行くんだから」

教師「七不思議ィ~?」

少年(すごい、先生にまでハッキリ言った!)

9: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:21:24.33 ID:DvDLthvho
教師「ふんっ、バカバカしい!」

教師「先生もその話は聞いたことがあるが、あんなものは迷信だ!」

教師「先生だって多少体調を崩してるが、きっとただの風邪――」

霊感少女「…………」ギロッ

教師「え」

霊感少女「……呪うわよ」

教師「ええっ……」ゾクッ

霊感少女「分かったら、許可しなさい」

教師「は、はいっ!」

少年(弱っ!)

霊感少女「あ、そうだ。先生も多少霊感あるみたいだし、私たちを手伝いなさい」

教師「は、はははは、はいっ!」

少年(弱すぎ!)

10: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:23:43.33 ID:DvDLthvho
少年「七つのうち、まずどこに行く?」

霊感少女「あなたが決めていいわよ」

少年「んー……じゃあトイレの花子さんから行こうか」

霊感少女「ベタな怪談から攻める……いい判断だわ」

少年「ど、どうも」

霊感少女「じゃあ行きましょう」

教師「まったく……花子さんなんかいるわけないだろうに……」ブツブツ…

教師「いいか、何も出なかったらすぐ帰るんだぞ!」

11: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:26:30.84 ID:DvDLthvho
<トイレ>

少年「言い伝えによると、このトイレに花子さんが現れるらしいけど」

教師「フッ、やっぱりいないじゃないか」

霊感少女「……花子さん」

霊感少女「私の声が聞こえたら、出てらっしゃい」



花子「はーい!」ボワンッ



少年「うわっ!」

教師「おぎょわわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

少年(花子さんより、先生の声にビビった!)

12: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:30:41.44 ID:DvDLthvho
教師「あわわわわ……花子しゃんや……」ガタガタ…

花子「花子でーっす!」

花子「あたしになにか用?」

霊感少女「今、霊たちの怨念によって、学校中の児童や先生の体調が悪化する事件が起きてるの」

霊感少女「私たちはそれを解決したいんだけど……あなた、なにか不満を抱えてない?」

花子「不満? 特にないけどー?」

少年「え、ないの?」

花子「あー……でもぉ、強いていうならぁ……」

13: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:33:03.39 ID:DvDLthvho
花子「トイレにずっと座ってるの飽きたから、もっといいイスに座りたいかなーとは思ってる!」

少年「アハハ……」

少年「たしかに便座って、冷たくて固いしね」

霊感少女「とりあえず、職員室にある先生の座布団をプレゼントしましょうか」

教師「ええ、俺の!? そんな勝手なこと――」

霊感少女「呪うわよ」

教師「ご自由にどうぞ」

少年(彼女が強すぎるのか、先生がヘタレすぎるのか、どっちなんだろう)

14: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:35:28.54 ID:DvDLthvho
スタスタ…

少年「これで一つ目解決か、なんか拍子抜けしちゃうな」

少年「次はどうする?」

霊感少女「そうねえ……」

霊感少女「ベタ続きで、理科室の人体模型にしましょう」

教師「ええ!? あれ、霊とか関係なしに怖いから後回し――」

霊感少女「…………」ギロッ

教師「行くぞ理科室へ! 二人とも、先生についてこい! 俺の生徒に手は出させない!」

15: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:39:47.31 ID:DvDLthvho
<理科室>

人体模型「…………」

少年「これだ」

霊感少女「人体模型さん、私の声が聞こえる?」

人体模型「ああ、聞こえるともさ!」

少年「しゃべった!」

教師「あぎゃはわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

16: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:41:43.28 ID:DvDLthvho
霊感少女「あなた、なにか不満や怒りを抱えてない?」

人体模型「うーん……そうだねえ」

人体模型「私のこの肉体を存分に生かすようなことがしたいねえ!」

霊感少女「じゃあ、先生とプロレスごっこでもしたら?」

人体模型「そうさせてもらおう!」

教師「は!?」



人体模型「コブラツイスト!」グググッ…

教師「いだだだだだ……!」メキメキメキ…



少年「お気の毒に……」

霊感少女「しょうがないわよ。私たちじゃ体格が違いすぎてプロレスにならないもの」

17: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:44:29.54 ID:DvDLthvho
<音楽室>

ポロロロン… ポロロロロロン…


少年「誰もいないのに、勝手にピアノが……!」

教師「ひいいぃぃぃぃぃぃ……! 祟りだ、祟りだぁぁぁぁぁぁ……!」

霊感少女「ピアノを弾いてる霊さん、現れてちょうだい」


ボァァ…

幽霊「はぁい」


少年(男の子の幽霊だ!)

18: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:47:34.89 ID:DvDLthvho
少年「君、なにか悩みや不満を抱えてない?」

幽霊「うーん……ぼく、本当はノーベル賞を取るような学者になりたかったんだ」

少年「学者に?」

霊感少女「それなのに、どうしてピアノを?」

幽霊「ムリヤリ習わされてたんだ。パパもママも音楽関係の仕事してたから」

幽霊「それで、ピアノ教室やだなーと思って歩いてたら、車にひかれちゃったってわけ!」

少年「恨みや怒りなんかはないの?」

幽霊「ないかなぁ……。ボケッとして赤信号渡っちゃったの、ぼくだしね」

霊感少女「このあまり過去を引きずらない性格は、研究者向きかもしれないわね」

19: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:53:23.27 ID:DvDLthvho
少年「でも君のピアノの腕、かなりイケてると思うよ!」

幽霊「そうかな?」

霊感少女「ええ、自信を持っていいと思う……だから元気出して」

幽霊「あ、ありがとう」

教師「そうかぁ? ムリヤリ弾かされてる感があって、イマイチな演奏だったが」

少年「…………」ギロッ

霊感少女「…………」ギロッ

教師「さ、最高の演奏でした。君ならベートーベンになれる!」

20: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:56:46.36 ID:DvDLthvho
スタスタ…

少年「あの男の子の霊もおだてて自信をつけさせて、これで三つクリアだ!」

霊感少女「それじゃ四つ目は、図工室に行きましょう。ここから近いし」

少年「しかめっ面のモナリザ、だね」

教師「アホらしい。モナリザは微笑んでるんだ。しかめ面なわけが――」

21: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 22:59:35.23 ID:DvDLthvho
<図工室>

モナリザ「…………」ムスッ

教師「ホントにしかめっツラぁぁぁぁぁっ!!?」

少年「もういい加減に慣れてよ、先生……。さっきからうるさい」

霊感少女「モナリザさん、昼は美しく微笑んでるあなたが、どうして今はしかめっ面をしているの?」

モナリザ「…………!」ビキッ

22: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:01:41.01 ID:DvDLthvho
モナリザ「あんたたちに……話すつもりはないわぁぁぁぁぁっ!!!」

ゴォッ!!!




霊感少女「きゃああっ!」

少年「うわあああっ!」

教師「ぎょええええええっ! 図工室の外に飛ばされるぅぅぅぅぅっ!」

23: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:04:03.97 ID:DvDLthvho
スタスタ…

少年「……追い出されちゃったね」

霊感少女「うん……なすすべがなかったわ」

教師「ったく、なんつう女だ! カリカリしやがって!」

教師「俺の昔の彼女があんな感じだったなぁ……腹痛の時なんかすぐ当たり散らして……」

少年「でも、ボクたちをふっ飛ばしたことで、多少はスッキリしたんじゃない?」

霊感少女「そうだといいんだけどね」

少年「七不思議、残りは三つ……次は夜中に十三段になる階段に向かおう!」

24: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:07:44.78 ID:DvDLthvho
<階段>

少年「数えてみるよ!」

少年「いち、にー、さん、しー、ごー、ろく、しち、はち、きゅー、じゅう、じゅういち、じゅうに……」

少年「じゅうさん……」スタンッ

少年「増えてる……いつもは十二段のはずなのに」

教師「怖いよぉぉぉ……!」

霊感少女「ねえ、階段の十三段目さん」

十三段目「あぁん、なんだよ!?」

教師「階段がしゃべった!」

25: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:09:58.61 ID:DvDLthvho
十三段目「悩み? 不満? 怒り? そりゃあるさ!」

十三段目「オレは……目立ちたいんだよぉぉぉぉぉっ!!!」

少年「へ……?」

十三段目「だってよ、他の七不思議はわりとド派手なのにさぁ……」

十三段目「階段が一段増えるだけ、なんて地味すぎるだろぉぉぉぉぉっ!」

十三段目「オレはもっと……劇的に自分を表現したいんだよぉぉぉぉぉっ!」

少年「分かった、分かったよ。愚痴を聞いてあげるから……」

十三段目「聞いてくれるの!?」

26: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:13:17.14 ID:DvDLthvho
スタスタ…

少年「うへぇ~……長かった」

霊感少女「まさか、一時間も愚痴られるとはね」

教師「なんて話好きな階段だ! 校長といい勝負だ!」

教師「校長も職員会議の時、いつも話が長いのなんのって……」ブツブツ…

少年「……校長」

少年「じゃあ次は校長室にある“怒る初代校長の写真”に会いに行こう!」

27: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:17:08.75 ID:DvDLthvho
<校長室>

初代校長「うぬぬ……」ムカムカ…



霊感少女(怒ってる……)

少年(怒ってる……)

少年「どうしようか?」

霊感少女「私にいわれても……」

教師「ふっふっふ……二人とも、こういう時は俺に任せておきなさい!」

教師「怒ってる人をなだめるには、いい手がある!」

28: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:19:06.22 ID:DvDLthvho
教師「これはこれは初代校長先生、ご機嫌うるわしゅう」モミモミ…

教師「いつ見ても精悍な顔つきをしてらっしゃいますなぁ~」モミモミ…

教師「つきましては、あなたのお力で私を学年主任に……」モミモミ…

初代校長「…………」



霊感少女「ごますりで機嫌を取ろうってわけね」

少年「でもたしかにいい手かも……。褒められて嬉しくない人っていないし」

29: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:23:38.10 ID:DvDLthvho
初代校長「バッカモーン!!!」

教師「うわっ!?」ビクッ

初代校長「キサマはワシのことなーんも分かっておらん!」

初代校長「ワシはおだてられるのが大嫌いなんだ!」

教師「す、すみませんすみません!」

初代校長「ホントはワシは痛めつけられるのが好――いや、なんでもない!」

初代校長「とっとと出てけえっ!!!」

教師「は、はいぃぃぃぃぃ!」

30: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:26:18.08 ID:DvDLthvho
スタスタ…

教師「ハァ……初代校長を怒らせてしまった……」

少年「まあまあ、あくまであの校長先生は幽霊なんだから。先生の出世に影響はないよ」

少年(でもあの校長先生、なにか言いかけてたよな……)

霊感少女「二人とも、気を取り直して」

霊感少女「最後の七不思議、“プールに潜む河童”のところに向かいましょう」

31: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:28:35.39 ID:DvDLthvho
<プール>

霊感少女「河童さん……いるのなら出てきて……」



ザバァッ!

河童「出てきたっパーッ!」



少年「河童だ!」

教師「あんぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

32: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:32:17.06 ID:DvDLthvho
ザブザブ… ブクブク…

河童「っぷはぁっ! やっとプールサイドにたどり着けたッパ!」

少年「河童さん、河童のわりにあまり泳ぎうまくないね。ボクのがうまいくらいだ」

河童「ふん、河童だからって泳ぎがうまいという偏見はやめて欲しいッパ!」

河童「せっかくプールサイドに上がったんだから、水で絵を描くッパ!」

少年「水で絵を?」

河童「こうやって地面を濡らして、絵を描くッパ! オイラの特技ッパ!」ビショビショ

少年「へぇ~、うまいもんだなぁ」

霊感少女「お上手……」

河童「水が蒸発したら、消えちゃうッパけどね」

33: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:35:55.59 ID:DvDLthvho
河童「楽しかったッパー」

少年「じゃーねー」



スタスタ…

少年「……さて、これで七つ全部回ったわけだけど――怨念は消えた?」

霊感少女「いいえ……」

霊感少女「少し減っただけで、まだまだ怨念は渦巻いてるわ」

少年「ってことは、学校の七不思議たちの不満は解消されてないってことか……」

霊感少女「そういうことね」

少年「うーん……どうすればいいんだろう?」

34: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:37:41.29 ID:DvDLthvho
教師「ハッ、俺たちのような生きてる人間が、霊の不満を解消しようってのが無謀だったんだよ」

教師「霊や妖怪には、そいつらしか分からない事情ってもんがあるだろうしな!」

少年「そうかもしれないけど……」

教師「だいたいさっきの河童なんか、明らかに絵描きの方が向いてるじゃないか!」

教師「それがなんでプールにいるんだ! 適材適所って言葉を知らないんじゃないのか!?」ブツブツ…

少年「…………」

少年(河童は……絵描きの方が向いてる……)

少年「――――!」ハッ

少年「そうか! そうだったんだ!」

35: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:41:06.70 ID:DvDLthvho
霊感少女「……何か分かったの?」

少年「うん、分かった!」

少年「七不思議は、みんな間違った場所にいたんだよ!」

教師「どういうことだ?」

少年「ようするに、七不思議のみんなは、みんないるべき場所が一つずつズレていたんだよ!」

少年「たとえば、河童は図工室にいるべき、という風に!」

霊感少女「……なるほど。このズレがつもりつもった怨念を生み出したというわけね」

少年「だから……みんなを正しい場所に移せば、学校を包み込んでる怨念は晴れるはずだよ!」

霊感少女「やってみる価値はありそうね」

36: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:43:21.52 ID:DvDLthvho
<トイレ>

少年「花子ちゃん!」

霊感少女「花子ちゃん」

教師「は、花子しゃん」

花子「なーに?」

少年「騙されたと思って、ボクたちと一緒に校長室に来てみてよ!」

花子「…………?」

37: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:45:18.59 ID:DvDLthvho
<校長室>

花子「わーっ! フカフカーッ! このイス、最高!」フカフカ

花子「こんないい場所を紹介してくれて、ありがとう!」

少年「やったぁ!」

霊感少女「怨念がかなり減ったわ。花子ちゃんの不満が解消された証拠……」

教師「まさか、こんなことで……うーむ、教育って奥が深い」

少年「よぉし、この調子で他の七不思議がいる場所を一つずつズラしていこう!」

38: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:47:42.53 ID:DvDLthvho
<トイレ>

教師「いいのかなぁ……モナリザの絵をこんなとこに置いて」ゴトッ

霊感少女「学校を救うためなんですから」

少年「そうそう!」



モナリザ「ここは……トイレね!? やっと用を足すことができるわ!」

モナリザ「私ずっとお腹が痛かったの! 三人ともありがとう!」パァァ…



少年(うわ、ものすごくいい笑顔)

39: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:49:33.51 ID:DvDLthvho
<図工室>

河童「おお……!」

少年「ここでなら、絵の具やスケッチブックもあるし、好きなだけ絵を描けるよ!」

河童「すごいッパ! こんなとこあったなんてッパ!」

河童「ありがとうッパー! 必ずいい作品を描いてみせるッパ!」

少年「頑張ってね!」

霊感少女「作品ができたら見せてね」

教師「図画工作の教室に河童……なんというミスマッチだ」

40: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:52:06.82 ID:DvDLthvho
<プール>

少年「うわぁ~……」

霊感少女「速いわね」



ザバッ ザバッ ザバッ

人体模型「これだ! これだったんだ!」

人体模型「私がやりたかったことは!」

人体模型「水泳こそ、私の肉体を100%生かせる全身運動!」ザバァァァッ

41: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:54:52.94 ID:DvDLthvho
<理科室>

幽霊「ここは……」

霊感少女「あなたが好きな理科室よ」

霊感少女「もうあまり好きじゃないピアノなんか弾かなくていいのよ」

幽霊「うん……ここでいっぱい実験するよ! やっとピアノから離れられる!」

少年「先生の“ムリヤリ弾かされてるようなイマイチな演奏”ってのは正しかったわけだ」

教師「そういうことだな!」ムフッ

幽霊「じゃあさっそく、この先生で人体実験を……」

教師「やめて!!!」

42: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:56:57.26 ID:DvDLthvho
<階段>

教師「階段なんかどうやって動かすんだ?」

霊感少女「増えた一段は、霊的な物質だから持ち上げることができるはずよ」

少年「先生、頑張って!」

霊感少女「先生……お願い」

教師「んもう、こんな時だけ先生扱いして……よいしょぉ!」グイッ

十三段目「うおお! オレをどこに運ぶ気だ!?」

少年「音楽室だよ」

霊感少女「あなたが自分を表現するのには、うってつけな場所でしょ?」

十三段目「音楽か……たしかに!」

43: SS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 23:59:29.93 ID:DvDLthvho
<音楽室>

十三段目「Yo! Yo!」

十三段目「オレは階段! 増えた一段! かなり大胆! 趣味は猥談!」

十三段目「夜になると、増えてる一段! 泣く子も黙る、怖い怪談!」

十三段目「十三といったら不吉な数字! 起きる気しまくる不吉な凶事!」

十三段目「だけどオレはホントは無害! もっとみんなと仲良くしたい!」

十三段目「オレはやるぜ、みんなと仲良く! 少しずつやるぜ、だんだん仲良く!」

十三段目「チェキラァ!!!」ビッ



少年「……う、うーん」

霊感少女「まさか、こういう音楽でくるとはね……」

44: SS速報VIPがお送りします 2017/10/12(木) 00:02:29.38 ID:M9oQArn2o
教師「階段くん」

十三段目「なんだい?」

教師「俺はちょっとラップにはうるさいんだが……」

十三段目「ほう?」

教師「今のはもっと改良の余地があるな……たとえば……」

十三段目「ふむふむ、なるほど……」



少年「なぜか意気投合してるよ……」

霊感少女「ま、いいんじゃない」

45: SS速報VIPがお送りします 2017/10/12(木) 00:05:04.62 ID:M9oQArn2o
<階段>

教師「ここへ初代校長の写真を置けばいいんだな?」ゴトッ

初代校長「キサマら、なぜワシをこんなところへ!?」

霊感少女「階段に潜んでれば、思う存分踏まれることができるわよ」

初代校長「あっ、そうか! ナイスアイディア!」

霊感少女「じゃあ、階段を踏みましょう」スタスタ

少年「うん」スタスタ

初代校長「た、たまらんっ! もっと踏んでぇぇぇぇぇんっ!」ビクビクッ

46: SS速報VIPがお送りします 2017/10/12(木) 00:07:38.60 ID:M9oQArn2o
少年「これで七不思議、全てのズレを解消できたね!」

霊感少女「ええ……怨念がすっかり消えたわ」

教師「たしかにさっきより、体が軽くなって、気分が楽になったような……」

霊感少女「怨念が消えた証拠よ、先生」

少年「明日からはもう、みんなが学校で体調を崩すことはなくなるわけだね!」



パァァァ…



三人「!」

47: SS速報VIPがお送りします 2017/10/12(木) 00:10:08.39 ID:M9oQArn2o
花子『フカフカ椅子に座らせてくれてありがとう!』

モナリザ『とてもスッキリしたわ!』

河童『三人のおかげッパ!』

人体模型『もう怨念で君たちを苦しめるようなことはないだろう!』

幽霊『今までのことは許してね』

十三段目『これからは音楽室にたまに現れる段差として頑張るYo!』

初代校長『学校の児童たちと職員たちに幸あれ……』

パァァァ…



少年「みんな……スッキリした表情してたね」

霊感少女「うん、彼らはもう人々を苦しめる悪霊じゃない。立派な守護霊よ」

教師「さ、もう夜中だ! 親御さんも心配してるだろうから、帰るぞ!」

少年「はいっ!」

霊感少女「はい」

48: SS速報VIPがお送りします 2017/10/12(木) 00:12:32.02 ID:M9oQArn2o
その後しばらくして――

<教室>

友「なぁなぁ!」

少年「ん~?」

友「うちの学校って七不思議があったじゃん?」

少年「! ……うん、あったね」

友「だけど今は、七不思議が新しくなったって噂が立ってるんだ」

少年「へぇ~、どんな風に?」

49: SS速報VIPがお送りします 2017/10/12(木) 00:15:16.88 ID:M9oQArn2o
友「聞いた話じゃ、こんな具合だな」



校長室で偉そうにしてる花子さん

階段であえぐ初代校長の写真

音楽室でラップをかます謎の段差と教師

理科室で生き生きと実験する男の子

プールで泳ぎまくる人体模型

図工室でうまい絵を描く河童

トイレでやたら満面の笑みのモナリザ



少年「……アハハ」

友「どれも邪悪な感じじゃないし、むしろ出会うと幸運になるらしいぜ!」

少年「へぇ~」

少年(って先生、あの人何やってんだよ……)

50: SS速報VIPがお送りします 2017/10/12(木) 00:17:15.85 ID:M9oQArn2o
少年(そういえばあれ以来、彼女はまた元の無口に戻ってしまったけど……)

少年(それでも話しかけると――)

少年「新しい七不思議ができたみたいだね! みんな楽しそうだよ!」

霊感少女「……そうね」クスッ



少年(明るく笑いかけてくれるようになった!)









―おわり―

51: SS速報VIPがお送りします 2017/10/12(木) 00:17:49.41 ID:M9oQArn2o
以上でおしまいとなります

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