女「終電……なくなっちゃった」チラッ 男「俺が何とかしてやる!」
1: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 22:45:31.24 ID:Ned9OrTLo
女「あっ!」
男「どうしたの?」
女「もうこんな時間……終電、なくなっちゃった」
男「え……」
女「どうしよう、歩いて帰るわけにもいかないし……」チラッ
男「……」
男「どうしたの?」
女「もうこんな時間……終電、なくなっちゃった」
男「え……」
女「どうしよう、歩いて帰るわけにもいかないし……」チラッ
男「……」
2: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 22:48:10.43 ID:Ned9OrTLo
男(俺としたことが、終電時刻のことをすっかり忘れてた!)
男(こんな暗い夜道を彼女に帰宅させるわけにはいかない……危険すぎる!)
男(俺が……俺が何とかしなきゃ!)
男(愛する彼女のために!!!)
女「そういえば、あなたの家ってここからすぐ近く――」
男「俺が何とかしてやる!!!」
女「!?」ビクッ
男(こんな暗い夜道を彼女に帰宅させるわけにはいかない……危険すぎる!)
男(俺が……俺が何とかしなきゃ!)
男(愛する彼女のために!!!)
女「そういえば、あなたの家ってここからすぐ近く――」
男「俺が何とかしてやる!!!」
女「!?」ビクッ
3: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 22:52:08.58 ID:Ned9OrTLo
プルルル…
男「もしもし、鉄道会社ですか?」
男「終電時刻を過ぎてしまったので、俺の彼女が家に帰れなくなってしまったんです!」
男「だから特別に電車を動かして下さい!」
女「え!?」
男「……なに!? ダメ!? ――そこをなんとか!」
男「これほど頼んでもダメだというのか!」
男「ちくしょうっ、なんて融通のきかない会社だ! 人が困ってるというのに!」
女「ちょ、ちょっと……」
男「心配しないで。必ず俺が何とかするから」
男「もしもし、鉄道会社ですか?」
男「終電時刻を過ぎてしまったので、俺の彼女が家に帰れなくなってしまったんです!」
男「だから特別に電車を動かして下さい!」
女「え!?」
男「……なに!? ダメ!? ――そこをなんとか!」
男「これほど頼んでもダメだというのか!」
男「ちくしょうっ、なんて融通のきかない会社だ! 人が困ってるというのに!」
女「ちょ、ちょっと……」
男「心配しないで。必ず俺が何とかするから」
4: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 22:54:38.48 ID:Ned9OrTLo
男「こうなれば……鉄道を作るしかない!」
女「ええ!?」
男「緊急コール! 俺の部下達、緊急招集だ!」ピッポッパッ
男「待っててくれ。すぐ君の家までレールを敷いてあげるから!」
女「あ、あの……」
男「大丈夫、俺の部下はみんな頼りになる奴らさ!」
女「ええ!?」
男「緊急コール! 俺の部下達、緊急招集だ!」ピッポッパッ
男「待っててくれ。すぐ君の家までレールを敷いてあげるから!」
女「あ、あの……」
男「大丈夫、俺の部下はみんな頼りになる奴らさ!」
5: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:00:01.57 ID:Ned9OrTLo
ザッ!
部下A「お呼びで」
部下B「あなたの望むことは」
部下C「必ず成し遂げてみせます」
男「今から新しく鉄道を作る。この地点から、彼女の家までの土地を全て買い取れ!」
男「金はいくらかかってもかまわん!」
部下全員「ははっ!」
女「えええ……」
部下A「お呼びで」
部下B「あなたの望むことは」
部下C「必ず成し遂げてみせます」
男「今から新しく鉄道を作る。この地点から、彼女の家までの土地を全て買い取れ!」
男「金はいくらかかってもかまわん!」
部下全員「ははっ!」
女「えええ……」
7: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:01:51.23 ID:Ned9OrTLo
部下A「……申し上げます!」
男「どうした?」
部下A「ある老人がどうしても立ち退きに応じないのです。何億、何兆でも土地を売らん、と」
男「俺の経験からして、そういう人間は金で釣ろうとしても無駄だろう」
部下A「消しますか?」
男「いや、そういう手段を好まない」
男「俺が直々に出向こう。案内を頼む」
部下A「ははっ!」
男「どうした?」
部下A「ある老人がどうしても立ち退きに応じないのです。何億、何兆でも土地を売らん、と」
男「俺の経験からして、そういう人間は金で釣ろうとしても無駄だろう」
部下A「消しますか?」
男「いや、そういう手段を好まない」
男「俺が直々に出向こう。案内を頼む」
部下A「ははっ!」
8: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:04:38.83 ID:Ned9OrTLo
老人「なんじゃ、また土地買い取りの話か?」
老人「何度来ても無駄じゃ! 先祖から伝わってきたこの土地は絶対に売らん!」
男「……お願いします!」
老人「いくら頭を下げたところで……」
男「私の愛する女性を助けるためには……どうしても必要なことなのです!」ギンッ
老人「!」
老人「う……むむむ……!」
老人(この男、なんという澄み切った、まっすぐな瞳をしておるのじゃ……)
老人「何度来ても無駄じゃ! 先祖から伝わってきたこの土地は絶対に売らん!」
男「……お願いします!」
老人「いくら頭を下げたところで……」
男「私の愛する女性を助けるためには……どうしても必要なことなのです!」ギンッ
老人「!」
老人「う……むむむ……!」
老人(この男、なんという澄み切った、まっすぐな瞳をしておるのじゃ……)
9: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:08:20.17 ID:Ned9OrTLo
老人「分かった……売ろう」
男「……ありがとうございます!」
老人「しかし、条件がある」
男「なんでしょう?」
老人「おぬしの愛する女性とやら、必ず救って下されよ」
男「もちろんです!」
部下A「お手数をおかけしました。あなたに出向いてもらうなど、部下失格です」
男「気に病むな。俺の手が必要であればいつでもいってくれ」
男「俺は部下を顎で使うような男にはなりたくないからな」
部下A「ありがたきお言葉……!」ドバァァァァァ
女(涙が土石流のように……)
男「……ありがとうございます!」
老人「しかし、条件がある」
男「なんでしょう?」
老人「おぬしの愛する女性とやら、必ず救って下されよ」
男「もちろんです!」
部下A「お手数をおかけしました。あなたに出向いてもらうなど、部下失格です」
男「気に病むな。俺の手が必要であればいつでもいってくれ」
男「俺は部下を顎で使うような男にはなりたくないからな」
部下A「ありがたきお言葉……!」ドバァァァァァ
女(涙が土石流のように……)
10: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:11:11.29 ID:Ned9OrTLo
部下A「指定された地点と、ガールフレンド様の家までの土地、全て買収完了しました!」
部下B「障害となる家屋や建物は全て撤去しました!」
部下C「国や自治体、マスコミへの根回しも終わりました!」
男「ご苦労」
男「ではさっそく、この地点から彼女の家まで、線路を作るのだ!」
男「突貫工事で行え! なおかつ安全性には徹底的に気をつかってもらいたい!」
部下全員「ははっ!」
トンテンカン…
トンテンカン…
部下B「障害となる家屋や建物は全て撤去しました!」
部下C「国や自治体、マスコミへの根回しも終わりました!」
男「ご苦労」
男「ではさっそく、この地点から彼女の家まで、線路を作るのだ!」
男「突貫工事で行え! なおかつ安全性には徹底的に気をつかってもらいたい!」
部下全員「ははっ!」
トンテンカン…
トンテンカン…
11: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:13:54.29 ID:Ned9OrTLo
ズラーッ!
男「おお……瞬く間に一本の線路が出来上がっていく。まるで早送りを見ているかのようだ」
男「どうだい? すごいだろう?」
女「え、ええ……すごい……(すごすぎ……)」
男「おお……瞬く間に一本の線路が出来上がっていく。まるで早送りを見ているかのようだ」
男「どうだい? すごいだろう?」
女「え、ええ……すごい……(すごすぎ……)」
12: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:15:57.50 ID:Ned9OrTLo
部下A「線路ができました!」
男「よくやった。続いて駅と、走らせる列車を作るのだ!」
男「駅には彼女が不便しないよう、キヨスクはもちろん、さまざまなショッピングモールを誘致してくれ!」
男「さらにこの鉄道は24時間稼働させるから、複数の運転士を破格の条件で雇ってくれ!」
部下全員「ははっ!」
男「よくやった。続いて駅と、走らせる列車を作るのだ!」
男「駅には彼女が不便しないよう、キヨスクはもちろん、さまざまなショッピングモールを誘致してくれ!」
男「さらにこの鉄道は24時間稼働させるから、複数の運転士を破格の条件で雇ってくれ!」
部下全員「ははっ!」
13: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:20:31.22 ID:Ned9OrTLo
ジャン!!!
男「できた……!」
男「ついに完成したぞ! この地点と、君の家までを24時間結ぶ鉄道が!」
女「や、やったね!」
男「ホントにそう思ってるのかい?」
女「!」ギクッ
男「そのわりに“何もここまでしなくても”って顔してるけど」
女「いえいえいえ! そんなことない! そんなことないから!」
男「ならよかった」ホッ
男「できた……!」
男「ついに完成したぞ! この地点と、君の家までを24時間結ぶ鉄道が!」
女「や、やったね!」
男「ホントにそう思ってるのかい?」
女「!」ギクッ
男「そのわりに“何もここまでしなくても”って顔してるけど」
女「いえいえいえ! そんなことない! そんなことないから!」
男「ならよかった」ホッ
14: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:22:51.86 ID:Ned9OrTLo
運転士「ただいまより、運転を開始します。二人とも、お乗りになって下さい」
男「さ、乗ろうか。君の家に帰ろう!」
女「う、うん」
プシュー…
ガシャン…
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
男「さ、乗ろうか。君の家に帰ろう!」
女「う、うん」
プシュー…
ガシャン…
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
15: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:27:05.21 ID:Ned9OrTLo
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
男「お、君の家が見えてきたよ!」
女「……本当ね」
男「嬉しくないのかい?」
女「う、嬉しいわ」
男「そのわりに“ホントはもっと違う展開になることを期待してたんだけどな”って顔してるけど」
女「ううん! そんなことないから! もうすっごく嬉しい! サイコー!」
男「ありがとう」ホッ
男「お、君の家が見えてきたよ!」
女「……本当ね」
男「嬉しくないのかい?」
女「う、嬉しいわ」
男「そのわりに“ホントはもっと違う展開になることを期待してたんだけどな”って顔してるけど」
女「ううん! そんなことないから! もうすっごく嬉しい! サイコー!」
男「ありがとう」ホッ
16: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:30:00.88 ID:Ned9OrTLo
男「……着いた」
男「君を無事家まで送り届けることができてよかったよ」
女「こちらこそ。わざわざ鉄道まで作ってもらっちゃって……」
男「だけど、俺……本当は……」
女「?」
男「今まで言う勇気がなかったんだけど……」
男「本当は俺……帰れなくなった君に、俺んちに泊まって欲しかったんだ……!」
女「!」
男「なぁ、よかったら俺の家に泊まらないか?」
女「うん……泊まらせて!」
男「君を無事家まで送り届けることができてよかったよ」
女「こちらこそ。わざわざ鉄道まで作ってもらっちゃって……」
男「だけど、俺……本当は……」
女「?」
男「今まで言う勇気がなかったんだけど……」
男「本当は俺……帰れなくなった君に、俺んちに泊まって欲しかったんだ……!」
女「!」
男「なぁ、よかったら俺の家に泊まらないか?」
女「うん……泊まらせて!」
17: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:34:35.30 ID:Ned9OrTLo
男「すみません、運転士さん」
男「彼女の家に着いたばかりで申し訳ないけど、今すぐここから俺の家のある駅まで戻ってくれ!」
運転士「はいっ!」
運転士「これからお楽しみのようですね」ニヤッ
男「か、からかわないでくれ」
女「ふふっ」
男「愛してるよ」
女「私も……」
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
二人の愛の列車に終電はない――
おわり
男「彼女の家に着いたばかりで申し訳ないけど、今すぐここから俺の家のある駅まで戻ってくれ!」
運転士「はいっ!」
運転士「これからお楽しみのようですね」ニヤッ
男「か、からかわないでくれ」
女「ふふっ」
男「愛してるよ」
女「私も……」
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
二人の愛の列車に終電はない――
おわり