女「終電……なくなっちゃった」チラッ 男「俺が何とかしてやる!」

2019年01月21日
女「終電……なくなっちゃった」チラッ 男「俺が何とかしてやる!」

1: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 22:45:31.24 ID:Ned9OrTLo
女「あっ!」

男「どうしたの?」

女「もうこんな時間……終電、なくなっちゃった」

男「え……」

女「どうしよう、歩いて帰るわけにもいかないし……」チラッ

男「……」


2: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 22:48:10.43 ID:Ned9OrTLo
男(俺としたことが、終電時刻のことをすっかり忘れてた!)

男(こんな暗い夜道を彼女に帰宅させるわけにはいかない……危険すぎる!)

男(俺が……俺が何とかしなきゃ!)

男(愛する彼女のために!!!)

女「そういえば、あなたの家ってここからすぐ近く――」

男「俺が何とかしてやる!!!」

女「!?」ビクッ

3: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 22:52:08.58 ID:Ned9OrTLo
プルルル…

男「もしもし、鉄道会社ですか?」

男「終電時刻を過ぎてしまったので、俺の彼女が家に帰れなくなってしまったんです!」

男「だから特別に電車を動かして下さい!」

女「え!?」

男「……なに!? ダメ!? ――そこをなんとか!」

男「これほど頼んでもダメだというのか!」

男「ちくしょうっ、なんて融通のきかない会社だ! 人が困ってるというのに!」

女「ちょ、ちょっと……」

男「心配しないで。必ず俺が何とかするから」

4: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 22:54:38.48 ID:Ned9OrTLo
男「こうなれば……鉄道を作るしかない!」

女「ええ!?」

男「緊急コール! 俺の部下達、緊急招集だ!」ピッポッパッ

男「待っててくれ。すぐ君の家までレールを敷いてあげるから!」

女「あ、あの……」

男「大丈夫、俺の部下はみんな頼りになる奴らさ!」

5: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:00:01.57 ID:Ned9OrTLo
ザッ!

部下A「お呼びで」

部下B「あなたの望むことは」

部下C「必ず成し遂げてみせます」

男「今から新しく鉄道を作る。この地点から、彼女の家までの土地を全て買い取れ!」

男「金はいくらかかってもかまわん!」

部下全員「ははっ!」

女「えええ……」

7: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:01:51.23 ID:Ned9OrTLo
部下A「……申し上げます!」

男「どうした?」

部下A「ある老人がどうしても立ち退きに応じないのです。何億、何兆でも土地を売らん、と」

男「俺の経験からして、そういう人間は金で釣ろうとしても無駄だろう」

部下A「消しますか?」

男「いや、そういう手段を好まない」

男「俺が直々に出向こう。案内を頼む」

部下A「ははっ!」

8: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:04:38.83 ID:Ned9OrTLo
老人「なんじゃ、また土地買い取りの話か?」

老人「何度来ても無駄じゃ! 先祖から伝わってきたこの土地は絶対に売らん!」

男「……お願いします!」

老人「いくら頭を下げたところで……」

男「私の愛する女性を助けるためには……どうしても必要なことなのです!」ギンッ

老人「!」

老人「う……むむむ……!」

老人(この男、なんという澄み切った、まっすぐな瞳をしておるのじゃ……)

9: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:08:20.17 ID:Ned9OrTLo
老人「分かった……売ろう」

男「……ありがとうございます!」

老人「しかし、条件がある」

男「なんでしょう?」

老人「おぬしの愛する女性とやら、必ず救って下されよ」

男「もちろんです!」



部下A「お手数をおかけしました。あなたに出向いてもらうなど、部下失格です」

男「気に病むな。俺の手が必要であればいつでもいってくれ」

男「俺は部下を顎で使うような男にはなりたくないからな」

部下A「ありがたきお言葉……!」ドバァァァァァ

女(涙が土石流のように……)

10: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:11:11.29 ID:Ned9OrTLo
部下A「指定された地点と、ガールフレンド様の家までの土地、全て買収完了しました!」

部下B「障害となる家屋や建物は全て撤去しました!」

部下C「国や自治体、マスコミへの根回しも終わりました!」

男「ご苦労」

男「ではさっそく、この地点から彼女の家まで、線路を作るのだ!」

男「突貫工事で行え! なおかつ安全性には徹底的に気をつかってもらいたい!」

部下全員「ははっ!」

トンテンカン…

トンテンカン…

11: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:13:54.29 ID:Ned9OrTLo
ズラーッ!





男「おお……瞬く間に一本の線路が出来上がっていく。まるで早送りを見ているかのようだ」

男「どうだい? すごいだろう?」

女「え、ええ……すごい……(すごすぎ……)」

12: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:15:57.50 ID:Ned9OrTLo
部下A「線路ができました!」

男「よくやった。続いて駅と、走らせる列車を作るのだ!」

男「駅には彼女が不便しないよう、キヨスクはもちろん、さまざまなショッピングモールを誘致してくれ!」

男「さらにこの鉄道は24時間稼働させるから、複数の運転士を破格の条件で雇ってくれ!」

部下全員「ははっ!」

13: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:20:31.22 ID:Ned9OrTLo
ジャン!!!



男「できた……!」

男「ついに完成したぞ! この地点と、君の家までを24時間結ぶ鉄道が!」

女「や、やったね!」

男「ホントにそう思ってるのかい?」

女「!」ギクッ

男「そのわりに“何もここまでしなくても”って顔してるけど」

女「いえいえいえ! そんなことない! そんなことないから!」

男「ならよかった」ホッ

14: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:22:51.86 ID:Ned9OrTLo
運転士「ただいまより、運転を開始します。二人とも、お乗りになって下さい」



男「さ、乗ろうか。君の家に帰ろう!」

女「う、うん」

プシュー…

ガシャン…



ガタンゴトン… ガタンゴトン…

15: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:27:05.21 ID:Ned9OrTLo
ガタンゴトン… ガタンゴトン…



男「お、君の家が見えてきたよ!」

女「……本当ね」

男「嬉しくないのかい?」

女「う、嬉しいわ」

男「そのわりに“ホントはもっと違う展開になることを期待してたんだけどな”って顔してるけど」

女「ううん! そんなことないから! もうすっごく嬉しい! サイコー!」

男「ありがとう」ホッ

16: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:30:00.88 ID:Ned9OrTLo
男「……着いた」

男「君を無事家まで送り届けることができてよかったよ」

女「こちらこそ。わざわざ鉄道まで作ってもらっちゃって……」

男「だけど、俺……本当は……」

女「?」

男「今まで言う勇気がなかったんだけど……」

男「本当は俺……帰れなくなった君に、俺んちに泊まって欲しかったんだ……!」

女「!」

男「なぁ、よかったら俺の家に泊まらないか?」

女「うん……泊まらせて!」

17: SS速報VIPがお送りします 2017/10/04(水) 23:34:35.30 ID:Ned9OrTLo
男「すみません、運転士さん」

男「彼女の家に着いたばかりで申し訳ないけど、今すぐここから俺の家のある駅まで戻ってくれ!」

運転士「はいっ!」

運転士「これからお楽しみのようですね」ニヤッ

男「か、からかわないでくれ」

女「ふふっ」

男「愛してるよ」

女「私も……」

ガタンゴトン… ガタンゴトン…



二人の愛の列車に終電はない――










おわり

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