姉「ねえ、お兄ちゃん」弟「…は？」

姉「お兄ちゃん、勉強教えてよ」

弟「嫌だけど…というか大学の勉強なんか俺分からないし」

姉「はぁ！？可愛い妹のお願いが聞けないって言うの！」

弟「……母さーん、姉ちゃんの頭がついに」

姉「ちょ、ちょっとタンマ！」

弟「……」

姉「なによ！世間では妹いもうとって！弟だって妹モノのアニメ欠かさず見てるの知ってるんだからね！」

姉「もういい！弟のばかぁーーーっ！！」ﾀﾞｯ

弟「なんだったんだ……」

ｺﾝｺﾝ

弟「…はい」

ｶﾞﾁｬ

姉「ねぇおにい！一緒にゲームで遊ぼ！」

弟「おにい？」

姉「昔はこうして二人でよく遊んだよね、昔はおにいに勝てなかったけど今ならあたしだってーー」

弟「……」ｽﾀｽﾀ

姉「あっ、ちょっと待って！」

弟「……」ﾎﾟｲｯ

姉「Wiiリモコンぽいってしないで！それお姉ちゃんのだから！壊れちゃうからぁ～！」

ｺﾝｺﾝ
ｶﾞﾁｬ

弟「（返事してから開けろよ）」

姉「あの、お…お兄さん？」

弟「……」

姉「私達、同じ家で暮らすようになってもう一ヶ月が経つんですね…」

姉「親の再婚でお互い何も知らないまま異母兄妹になってしまいましたけど…」

姉「それでもいつも優しくしてくれて……私、本当にお兄さんがお兄さんで良かった……///」ｶｧｧ

弟「血の繋がってない設定は甘え」

姉「むっ、やはりこれはダメか」

姉「おにいちゃーんっ！」ﾀｯﾀｯﾀ

弟「っ！？」ｿﾞﾜｯ

姉「ねえ見てみて！これ今日の図工の時間で描いたの！」

姉「わたしとおにいちゃんが将来結婚する絵！先生にもとっても上手だって褒められたんだよー？」ｷﾗｷﾗ

姉「ねーねー、褒めて褒めて～っ♪」

弟「……姉ちゃん、今年でいくつだっけ？」

姉「２２です」

弟「来年から社会人だよね？そんなんで社会に出れるの？大丈夫？」

姉「……」

姉「兄さん」

弟「今度は敬語妹？」

姉「…はぁ、そういうことは気付いても言わないのが女性への気遣いというものですよ、兄さん」

弟「……」ｲﾗｯ

姉「だいたい兄さんは女心が分かっていなさすぎなんです。そんなんだからいつまで経っても彼女が出来ないんですよ」

弟「……」ﾒｷｯ

姉「わー！ごめんって！言い過ぎたから！お姉ちゃんのWiiリモコン悲鳴あげてるから！！」

姉「おい、クソ兄貴」

弟「あ？」

姉「お前ウザいからどっか行け。視界に入るな」

弟「……」

姉「聞こえねーのかよ！視界に入るなって言って…んだろ……」ｸﾞｽ

弟「…なんで泣きそうなの？」

姉「やっぱりお姉ちゃんにはこのキャラ無理だよ…心が痛むもん……」

弟「じゃあやめなよ…」

姉「うん…」

姉「俺の姉がこんなに可愛いわけがない」

弟「確かに」

姉「お姉ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ！！」

弟「確かに」

姉「この中に１人、姉がいる！」

弟「お前だよ」

姉「最近、姉のようすがちょっとおかしいんだが。」

弟「生まれつきだよ」

姉「お姉ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」

弟「いや、俺に聞かれても」

姉「じゃあどうしろってゆーのさぁっ！！！」ﾌﾞﾜｯ

弟「知らないよ……」

姉「そもそも弟はどんな妹のタイプが好みなの？」

弟「えー…」

姉「いいから！何かしらあるでしょ！」

弟「うーん、一概には言えないけど」

姉「さっきからいろいろ試してみてるわりには全然HITしてる感がないんだけど！どうなってるの！？」

弟「だってあんた姉じゃん」

姉「いや、まぁ…それを言われたら身も蓋もないんですが」

弟「それ以前に器として成り立ってないよ」

弟「うるさいから言っておくけど」

姉「おっ、いいね」

弟「妹と一口に言っても、いろんなタイプの妹キャラがいるわけで」

姉「うんうん」

弟「当然、キャラごとにそれぞれ違った良いところがあるわけだよ」

姉「なるほど、つまりその理屈でいくとお姉ちゃんにも良いところがあると？」

弟「ないよ。いま妹の話してるんだよ？話聞く気ある？」

姉「……」

弟「もういいよ。つまりずっと妹が欲しかったってだけ」

姉「だからお姉ちゃんが妹風に接してあげるって！そういう話じゃんさっきから！」

弟「はぁ…じゃあ逆に、なんで俺が妹が欲しいと思ってるか分かる？」

姉「ロリコンだから？」

弟「……」

姉「……や、やーいやーい！このロリコン妹ちゅペロリストー！！おまわりさんこっちでーす！！」

弟「……」

姉「……ｺﾞﾒﾝﾅｻｲ」

弟「こんなんでも昔は多少なりマトモだったんだけどなぁ」

姉「やっぱりロリコンなんじゃない？」

弟「……さすがに十数年これの相手するのは疲れたよ」

姉「えっ…私達、もう終わりなの……？」

弟「そういう姉ちゃんはどうなんだよ」

姉「へっ？私？」

弟「姉ちゃんだって、弟より兄貴が欲しかったとかあるんじゃないの？」

姉「やだなぁ……お姉ちゃんは昔から今まで、ずっと――」

姉「妹が欲しかったに決まってるじゃない！！」

弟「なんでだよ！！！」



～完～