男「本を売るならブックオフ。人を売るなら……」
1: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 00:30:37.611 ID:FyjFoi6a0
― 家 ―
母「ちょっと話があるんだけど」
男「なんだよ」
母「昼間からゴロゴロして……あんた、いつになったら働くの?」
母「あんたの同級生だった子は、みんな今頃ちゃんと働いてるんだよ?」
男(ちっ、また説教かよ! うるせーな!)スッ
母「待ちなさい! どこ行くの!」
男「ブックオフだよ!」
母「ちょっと話があるんだけど」
男「なんだよ」
母「昼間からゴロゴロして……あんた、いつになったら働くの?」
母「あんたの同級生だった子は、みんな今頃ちゃんと働いてるんだよ?」
男(ちっ、また説教かよ! うるせーな!)スッ
母「待ちなさい! どこ行くの!」
男「ブックオフだよ!」
5: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 00:33:34.408 ID:FyjFoi6a0
― ブックオフ ―
男(今日も立ち読みするか……)
ウイーン…
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませー!!」
「いらっしゃいませー!!!」
男(うーん、心地いい。王様にでもなった気分だ)
男(今日も立ち読みするか……)
ウイーン…
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませー!!」
「いらっしゃいませー!!!」
男(うーん、心地いい。王様にでもなった気分だ)
6: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 00:36:48.832 ID:FyjFoi6a0
男「ん」
客「……」ペラ…
男(俺が読みたい漫画のところに先客がいやがる)
男(うぜぇ……足踏みしてどかすか)
男「……」タンタンタン
男「……」タンタンタンタンタン
客(なんだよこいつ!? 絡まれるのも嫌だし、逃げよっと)コソコソ…
男「これでよし」
客「……」ペラ…
男(俺が読みたい漫画のところに先客がいやがる)
男(うぜぇ……足踏みしてどかすか)
男「……」タンタンタン
男「……」タンタンタンタンタン
客(なんだよこいつ!? 絡まれるのも嫌だし、逃げよっと)コソコソ…
男「これでよし」
9: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 00:39:39.378 ID:FyjFoi6a0
ペラ… ペラ…
男「アハハ……ハハ……」
男(よし、29巻まで読んだ。次は30巻を……)
男「!」
男「なんだよ~、30巻ないじゃねえか!」
男「ちょっと店員さん、この漫画の30巻は!? どこにあんの!?」
ブックオフ店員「申し訳ありません。品切れ中となっております」
男「せっかくここまで読んだのに……ったくよぉ~」ブツブツ…
ブックオフ店員「……」
男「アハハ……ハハ……」
男(よし、29巻まで読んだ。次は30巻を……)
男「!」
男「なんだよ~、30巻ないじゃねえか!」
男「ちょっと店員さん、この漫画の30巻は!? どこにあんの!?」
ブックオフ店員「申し訳ありません。品切れ中となっております」
男「せっかくここまで読んだのに……ったくよぉ~」ブツブツ…
ブックオフ店員「……」
10: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 00:42:04.825 ID:FyjFoi6a0
男(そろそろ閉店か……帰るか)
男「次来る時までに、この作品の30巻入荷しといてくれよ!」スタスタ
ヒソヒソ… ヒソヒソ…
「あ~……やっと帰ったよ」
「あいつがなんか買ってったことってあるっけ?」
「ないない」
「絶対ニートだよな、あいつ」
男「次来る時までに、この作品の30巻入荷しといてくれよ!」スタスタ
ヒソヒソ… ヒソヒソ…
「あ~……やっと帰ったよ」
「あいつがなんか買ってったことってあるっけ?」
「ないない」
「絶対ニートだよな、あいつ」
11: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 00:45:25.494 ID:FyjFoi6a0
― 家 ―
男「ただいまー」
父「こんな時間までどこ行ってたんだ?」
男「! ……ブックオフだよ」
父「何をしに?」
男「そりゃもちろん……資格を勉強するための本とかを買いに……」
父「ウソつけ!!!」
男「!」ビクッ
男「ただいまー」
父「こんな時間までどこ行ってたんだ?」
男「! ……ブックオフだよ」
父「何をしに?」
男「そりゃもちろん……資格を勉強するための本とかを買いに……」
父「ウソつけ!!!」
男「!」ビクッ
13: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 00:48:14.338 ID:FyjFoi6a0
父「お前、いい加減にしろよ!」
父「なにが哀しくて、とっくに成人した息子のための食いぶちを稼がなきゃならないんだ!」
父「俺だってもうすぐ定年だ! いつまでも働けんぞ! 分かってるのか!?」
男「……ちっ!」
男「分かった分かった! 働くって!」
男(定年になったら働けないだと? なにいってやがる)
男(今の時代、定年したって70、80まで働くのが普通だっての! この怠けもんが!)
父「なにが哀しくて、とっくに成人した息子のための食いぶちを稼がなきゃならないんだ!」
父「俺だってもうすぐ定年だ! いつまでも働けんぞ! 分かってるのか!?」
男「……ちっ!」
男「分かった分かった! 働くって!」
男(定年になったら働けないだと? なにいってやがる)
男(今の時代、定年したって70、80まで働くのが普通だっての! この怠けもんが!)
15: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 00:51:11.911 ID:FyjFoi6a0
― 家 ―
男(お、10時だ……開店時刻だな)
男(今日もそろそろブックオフ行くか)
母「ちょっと! どこ行くの!?」
男「ハ、ロ、ワ」
母(ウソおっしゃい……)
男(お、10時だ……開店時刻だな)
男(今日もそろそろブックオフ行くか)
母「ちょっと! どこ行くの!?」
男「ハ、ロ、ワ」
母(ウソおっしゃい……)
17: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 00:54:31.853 ID:FyjFoi6a0
― ブックオフ ―
男「ちっ、まだ30巻ないじゃねーか! 使えねーな」
男「仕方ない、他の漫画を……」
案内人「もしもし」
男「……!?」
案内人「あなた……よくこちらのブックオフにお見えになってますよね」
男(なんだこいつ……!?)
案内人「ブックオフがお好きなんですか?」
男「ええ、まあ……」
男「ちっ、まだ30巻ないじゃねーか! 使えねーな」
男「仕方ない、他の漫画を……」
案内人「もしもし」
男「……!?」
案内人「あなた……よくこちらのブックオフにお見えになってますよね」
男(なんだこいつ……!?)
案内人「ブックオフがお好きなんですか?」
男「ええ、まあ……」
21: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 00:57:27.764 ID:FyjFoi6a0
案内人「いったいなぜ?」
男「そりゃなんたって、ブックオフは空調きいてるし、立ち読みし放題」
男「ここはでかい店舗だからトイレだってある!」
男「こんなに楽しく、タダで長時間ヒマを潰せるところなんて、他にありませんからね!」
案内人「なるほど、なるほど」
案内人「あなたのような方に常連になってもらって、店員さんたちもきっと喜んでいることでしょう」
男「まぁねー」
男「そりゃなんたって、ブックオフは空調きいてるし、立ち読みし放題」
男「ここはでかい店舗だからトイレだってある!」
男「こんなに楽しく、タダで長時間ヒマを潰せるところなんて、他にありませんからね!」
案内人「なるほど、なるほど」
案内人「あなたのような方に常連になってもらって、店員さんたちもきっと喜んでいることでしょう」
男「まぁねー」
23: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:00:23.730 ID:FyjFoi6a0
案内人「さて実は……そんなあなたにブックオフなんか目じゃないほどの中古ショップを紹介したいのです」
男「え、なんですか、それ?」
案内人「本を売るならブックオフ。では、人を売るなら……?」
男「本を売るならブックオフ。人を売るなら……」
男「ヒューマンオフ……」
男「え、なんですか、それ?」
案内人「本を売るならブックオフ。では、人を売るなら……?」
男「本を売るならブックオフ。人を売るなら……」
男「ヒューマンオフ……」
27: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:03:23.518 ID:FyjFoi6a0
案内人「いかがです? 興味湧いてきませんか?」
男「……面白い!」
男「ちょうど、目当ての漫画がなくて、ガッカリしてたとこなんです」
男「ぜひ連れてってもらいましょうか」
男「その、ヒューマンオフとやらに!」
案内人「かしこまりました。この私“案内人”が、ご案内いたします」
男「……面白い!」
男「ちょうど、目当ての漫画がなくて、ガッカリしてたとこなんです」
男「ぜひ連れてってもらいましょうか」
男「その、ヒューマンオフとやらに!」
案内人「かしこまりました。この私“案内人”が、ご案内いたします」
30: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:06:37.287 ID:FyjFoi6a0
……
男「さっきからあちこち歩き回らされてるけど、まだつかないの?」
案内人「あなたももちろんご存じでしょうが、人身売買というのはバレてしまえばお縄です」
案内人「ですから、店舗は分かりにくいところに設置してあるのです」
男「なるほど、そりゃそうか」
案内人「お、つきましたよ。あれがそうです」
男「あれが……ヒューマンオフ……」
男(うおおお……看板に≪HUMAN OFF≫って書いてある)
男「さっきからあちこち歩き回らされてるけど、まだつかないの?」
案内人「あなたももちろんご存じでしょうが、人身売買というのはバレてしまえばお縄です」
案内人「ですから、店舗は分かりにくいところに設置してあるのです」
男「なるほど、そりゃそうか」
案内人「お、つきましたよ。あれがそうです」
男「あれが……ヒューマンオフ……」
男(うおおお……看板に≪HUMAN OFF≫って書いてある)
32: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:09:11.234 ID:FyjFoi6a0
― ヒューマンオフ ―
ギィィ…
店員「いらっしゃいませー! いらっしゃいませー! いらっしゃいませー!」
男「なぜ一人で三回も!?」
案内人「本家のブックオフリスペクトです」
男「芸が細かいね、あんたら」
ギィィ…
店員「いらっしゃいませー! いらっしゃいませー! いらっしゃいませー!」
男「なぜ一人で三回も!?」
案内人「本家のブックオフリスペクトです」
男「芸が細かいね、あんたら」
34: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:12:24.474 ID:FyjFoi6a0
幼女「あっ、お客さんだ!」トテトテ
幼女「こんにちはー!」
男「こ、こんにちは」
男(可愛い……)
男「この子は?」
案内人「商品です」
男「商品!?」
案内人「小さな女の子は人気ですからねえ……彼女の価格は100万円となっております」
男「100万……!」
案内人「愛情たっぷり育てるもよし、調教するもよし、イタズラするもよし、です」
幼女「こんにちはー!」
男「こ、こんにちは」
男(可愛い……)
男「この子は?」
案内人「商品です」
男「商品!?」
案内人「小さな女の子は人気ですからねえ……彼女の価格は100万円となっております」
男「100万……!」
案内人「愛情たっぷり育てるもよし、調教するもよし、イタズラするもよし、です」
36: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:15:28.962 ID:FyjFoi6a0
マッチョ「おい兄ちゃん、俺を買ってかねえか!?」ムキッ
男(うわっ、ボディビルダーみたいな奴だ)
男「この人も商品?」
案内人「もちろんです」
案内人「価格は30万円、力仕事をやらせるにはもってこいですよ」
男「でしょうねえ」
男(うわっ、ボディビルダーみたいな奴だ)
男「この人も商品?」
案内人「もちろんです」
案内人「価格は30万円、力仕事をやらせるにはもってこいですよ」
男「でしょうねえ」
38: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:18:25.613 ID:FyjFoi6a0
医者「いひひひ、注射させておくれよ~!」
男「うわわっ……!」
男「なんですか、あれ!? 狂人じゃないですか!」
案内人「彼は医師免許も持っている、正真正銘のお医者様です」
案内人「腕はいいのですが、頭がおかしいので、この店に売られてしまいました」
男「あらら……」
案内人「価格は70万円、一家に一人お医者がいるというのも、オツなものでございますよ」
男「うわわっ……!」
男「なんですか、あれ!? 狂人じゃないですか!」
案内人「彼は医師免許も持っている、正真正銘のお医者様です」
案内人「腕はいいのですが、頭がおかしいので、この店に売られてしまいました」
男「あらら……」
案内人「価格は70万円、一家に一人お医者がいるというのも、オツなものでございますよ」
40: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:21:46.729 ID:FyjFoi6a0
案内人「……以上で、案内を終わらせていただきます」
男「いやぁ~、まさかブックオフの人間バージョンなんて店がホントにあるとはね」
案内人「気に入った商品はございましたか?」
男「あえていうなら幼女だけど……俺、金ないからなぁ。買えないわ、ハハハ」
男「なにしろ絶賛ニート中だからさ」
案内人「そうですか、残念です」
案内人「でしたら……“売る側”になるというのはどうでしょう?」
男「え」
男「いやぁ~、まさかブックオフの人間バージョンなんて店がホントにあるとはね」
案内人「気に入った商品はございましたか?」
男「あえていうなら幼女だけど……俺、金ないからなぁ。買えないわ、ハハハ」
男「なにしろ絶賛ニート中だからさ」
案内人「そうですか、残念です」
案内人「でしたら……“売る側”になるというのはどうでしょう?」
男「え」
43: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:24:37.764 ID:FyjFoi6a0
男「ま、まさか……俺に体を売れってか!?」
案内人「そうじゃありませんよ。自分で自分を売ってどうするのです」
案内人「たとえば、あなたの近くに“売り払ってやりたい人間”はいませんか?」
案内人「今は買い取り強化中なので、高く買い取りますよ」
男「売り払ってやりたい人間……」
男「!」ハッ
母『昼間からゴロゴロして……あんた、いつになったら働くの?』
父『なにが哀しくて、とっくに成人した息子のための食いぶちを稼がなきゃならないんだ!』
案内人「そうじゃありませんよ。自分で自分を売ってどうするのです」
案内人「たとえば、あなたの近くに“売り払ってやりたい人間”はいませんか?」
案内人「今は買い取り強化中なので、高く買い取りますよ」
男「売り払ってやりたい人間……」
男「!」ハッ
母『昼間からゴロゴロして……あんた、いつになったら働くの?』
父『なにが哀しくて、とっくに成人した息子のための食いぶちを稼がなきゃならないんだ!』
49: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:27:46.969 ID:FyjFoi6a0
男「うーん……心当たりが……ないこともない」
案内人「おおっ、本当ですか?」
男「だけど、ここに売られた人ってどうなるの? やっぱり強制労働とか……?」
案内人「まさか」
案内人「貴重な商品にそんなことはさせませんよ」
案内人「どこかの誰かに買われるまで、責任を持って丁重に扱わせていただきます」
男「ふうん……」
男(まあ、たしかにさっきの三人は楽しそうではあったかな)
案内人「おおっ、本当ですか?」
男「だけど、ここに売られた人ってどうなるの? やっぱり強制労働とか……?」
案内人「まさか」
案内人「貴重な商品にそんなことはさせませんよ」
案内人「どこかの誰かに買われるまで、責任を持って丁重に扱わせていただきます」
男「ふうん……」
男(まあ、たしかにさっきの三人は楽しそうではあったかな)
52: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:30:11.936 ID:FyjFoi6a0
男「ちょっと……考えさせてくれませんか?」
案内人「分かりました」
案内人「あなたが『誰々を売る』といった時点で契約成立となりますので」
案内人「くれぐれもよくお考え下さい……後悔なさらぬよう……」
男「……分かりました」
案内人「分かりました」
案内人「あなたが『誰々を売る』といった時点で契約成立となりますので」
案内人「くれぐれもよくお考え下さい……後悔なさらぬよう……」
男「……分かりました」
56: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:33:21.400 ID:FyjFoi6a0
スタスタ…
男(オヤジもお袋も働け働けうるさいし、うっとうしいけど……)
男(実の親をあんな店に売るってのはさすがにな)
男(さっきの店、どうも現実感に乏しかったし、もしかしたら俺は夢でも見てたのかもしれない)
男(今日のことは忘れよう……そうするに限る)
男(オヤジもお袋も働け働けうるさいし、うっとうしいけど……)
男(実の親をあんな店に売るってのはさすがにな)
男(さっきの店、どうも現実感に乏しかったし、もしかしたら俺は夢でも見てたのかもしれない)
男(今日のことは忘れよう……そうするに限る)
59: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:36:50.324 ID:FyjFoi6a0
― 家 ―
男「ただい……」
父「お前、どこほっつき歩いてたんだ!?」
母「そうよ! ご近所の方からはいつも同情されて、私みっともなくて……」
男「……!」
父「いいか、すぐにバイトでもなんでも始めなきゃ、この家から追い出すからな!」
母「もう私たち、あんたの面倒見切れないわよ!」
ガミガミガミガミ…
男(帰ってくるなり説教かよ……分かったよ、オヤジお袋)
男(……決めた!)
男(俺は……こいつらを……!)タタタッ
父「おいっ、どこ行くんだ!」
母「待ちなさい!」
男「ただい……」
父「お前、どこほっつき歩いてたんだ!?」
母「そうよ! ご近所の方からはいつも同情されて、私みっともなくて……」
男「……!」
父「いいか、すぐにバイトでもなんでも始めなきゃ、この家から追い出すからな!」
母「もう私たち、あんたの面倒見切れないわよ!」
ガミガミガミガミ…
男(帰ってくるなり説教かよ……分かったよ、オヤジお袋)
男(……決めた!)
男(俺は……こいつらを……!)タタタッ
父「おいっ、どこ行くんだ!」
母「待ちなさい!」
62: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:39:44.424 ID:FyjFoi6a0
― ヒューマンオフ ―
店員「いらっしゃいませー! いらっしゃいませー! いらっしゃいませー!」
案内人「おや? どうしました?」
男「あの……俺、決めました!」
案内人「ということは、もしや……」
男「はい、売ります。売らせて下さい」
案内人「ちなみにどなたを?」
男「俺のオヤジとお袋を……売ります!」
店員「いらっしゃいませー! いらっしゃいませー! いらっしゃいませー!」
案内人「おや? どうしました?」
男「あの……俺、決めました!」
案内人「ということは、もしや……」
男「はい、売ります。売らせて下さい」
案内人「ちなみにどなたを?」
男「俺のオヤジとお袋を……売ります!」
69: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:42:21.044 ID:FyjFoi6a0
案内人「ありがとうございます」ニコッ
案内人「では、契約成立ということで、あちらの部屋へどうぞ」
案内人「買い取り料金の相談や、色々と書類手続きなどがありますからね」
男「はい、分かりました」
幼女「おにいちゃん、こっちきてー! いっしょにあそぼー!」グイグイ
男「ああ、遊ぼう!」
男(悪いなオヤジ、お袋……買い手がつくとも思えんし、ここで幸せに暮らしてくれ)
案内人「では、契約成立ということで、あちらの部屋へどうぞ」
案内人「買い取り料金の相談や、色々と書類手続きなどがありますからね」
男「はい、分かりました」
幼女「おにいちゃん、こっちきてー! いっしょにあそぼー!」グイグイ
男「ああ、遊ぼう!」
男(悪いなオヤジ、お袋……買い手がつくとも思えんし、ここで幸せに暮らしてくれ)
71: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:45:38.507 ID:FyjFoi6a0
ガシィッ!
男「――!?」
マッチョ「おおっと、暴れるなよ? 暴れても無駄だがよ!」
男「!?」ジタバタ
医者「じゃ、注射するねー」チクッ
チュー…
男「うっ!?」
幼女「きゃははははははっ!」
男(なんだこれは!? どういうことだ!? なにがどうなってるんだ!?)
男(なんで俺が捕まらなきゃならないんだ!? この三人は何者なんだ!?)
男(ああ……眠くなって……き……)
…………
……
男「――!?」
マッチョ「おおっと、暴れるなよ? 暴れても無駄だがよ!」
男「!?」ジタバタ
医者「じゃ、注射するねー」チクッ
チュー…
男「うっ!?」
幼女「きゃははははははっ!」
男(なんだこれは!? どういうことだ!? なにがどうなってるんだ!?)
男(なんで俺が捕まらなきゃならないんだ!? この三人は何者なんだ!?)
男(ああ……眠くなって……き……)
…………
……
74: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:49:16.494 ID:FyjFoi6a0
男『俺のオヤジとお袋を……売ります!』
案内人「これが先ほど録音した息子さんの声です」
案内人「これをもって、あなたがたご夫婦との契約を成立、といたしました」
案内人「“もし親を売るような子だったら、ヒューマンオフに売る”という契約でしたからね」
案内人「息子さんは私ども≪ヒューマンオフ≫が買い取らせていただきます」
父「もし、あなたの誘いを受けてからきつめに説教されても、“親を売る”という選択をしなければ」
父「もうしばらくニートさせておいてもいいか……と思っていたのですが残念です」
母「ホント、バカな子……」
案内人「息子さんのお体は丁重に扱います。きっと役に立ってくれることでしょう」
案内人「このたびは貴重なお品をお売り下さり、ありがとうございました。料金は後日振り込みます」
店員「ありがとうございましたー! ありがとうございましたー! ありがとうございましたー!」
案内人「これが先ほど録音した息子さんの声です」
案内人「これをもって、あなたがたご夫婦との契約を成立、といたしました」
案内人「“もし親を売るような子だったら、ヒューマンオフに売る”という契約でしたからね」
案内人「息子さんは私ども≪ヒューマンオフ≫が買い取らせていただきます」
父「もし、あなたの誘いを受けてからきつめに説教されても、“親を売る”という選択をしなければ」
父「もうしばらくニートさせておいてもいいか……と思っていたのですが残念です」
母「ホント、バカな子……」
案内人「息子さんのお体は丁重に扱います。きっと役に立ってくれることでしょう」
案内人「このたびは貴重なお品をお売り下さり、ありがとうございました。料金は後日振り込みます」
店員「ありがとうございましたー! ありがとうございましたー! ありがとうございましたー!」
75: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:52:16.815 ID:FyjFoi6a0
案内人「では皆さん、今日はお開きにしましょう」
幼女「はーい! みんなでおしばいできて、たのしかったー!」
マッチョ「ああ、たまにはこういうのも悪くねえな!」
医者「いひひひ……新鮮な商品を手に入れられてよかった、よかった」
店員「お疲れ様でしたー! お疲れ様でしたー! お疲れ様でしたー!」
案内人「もし皆さまも、誰かを売りたいなと思ったら、我々にご用命ください」
案内人「人を売るならヒューマンオフ♪」
― 終 ―
幼女「はーい! みんなでおしばいできて、たのしかったー!」
マッチョ「ああ、たまにはこういうのも悪くねえな!」
医者「いひひひ……新鮮な商品を手に入れられてよかった、よかった」
店員「お疲れ様でしたー! お疲れ様でしたー! お疲れ様でしたー!」
案内人「もし皆さまも、誰かを売りたいなと思ったら、我々にご用命ください」
案内人「人を売るならヒューマンオフ♪」
― 終 ―
79: VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:52:53.924 ID:U86Ww4Dk0
乙
SSらしい作品だよね
SSらしい作品だよね