俺「うわああああああツバメが巣を作りやがったああああああああ」

2019年01月12日

俺「今日も仕事疲れたなっと」

俺（電気メーターの上にゴミが溜まってんな……）

俺（まぁそのうち風とかで落ちんだろ……）

数日後
俺「あ～クソッ疲れた～～」

俺（やけに鳥の糞があるな…って）

雛鳥達「」

俺「うそだろ……」

俺「」ｶﾀｶﾀ

『鳥の巣　撤去』

ネット民「雛鳥が生まれた場合撤去すると動物愛護法に抵触します」
ネット民「雛がいるのに巣を故意に壊すと犯罪です」
ネット民「ツバメの巣は縁起がいいものです、暖かく見守りましょう」

俺「」

>>8
動物愛護法じゃなくて鳥獣保護法な

翌日
隣のおばちゃん「おはようございます」

俺「あ、おはようございます」

おばちゃん「あら、俺さんの家にツバメの巣ができたのね」

俺「え、えぇ……」

おばちゃん「糞の処理とか大変だけど頑張って、みんな巣立つと縁起がいいってよく言うし」

俺「は、はぁ…」

俺（他人事のように言いやがって…要はちゃんと糞の世話しろって事だろ）

数日後
俺「」ｺﾞｼｺﾞｼ

俺（クソッ休みなのにどうして糞の世話しなきゃなんねぇんだよ……）ｺﾞｼｺﾞｼ

俺（ブラシとか洗剤とかいらん買い物させやがって）ｺﾞｼｺﾞｼ

俺「あ～あ、電気メーターとか読めないじゃん…脚立っと……」

俺「」ｺﾞｼｺﾞｼ

親鳥「」ﾋﾞｭｰﾝ

俺「うお！」

俺「危ねぇ…ビビった……」

俺（餌やりか…お前が餌をやるせいでこいつらが糞をするんだよ…）

雛達「ﾋﾟｰﾋﾟｰ」

俺「」

俺（ハァ…電気メーターは後だな……）

数分後
俺「」ｺﾞｼｺﾞｼ

俺「まぁこんなもんか…」

俺（まぁ来週も同じことするんだろうけどな……）

俺（さてと…段ボール敷いて、ガムテで固定して……）

俺（これで床は大丈夫だな）

数日後
俺「１…２…３……結構いるもんだな……」

俺「こいつらが黒い毛生えるのはいつ頃になるんだろうか……」

俺（さっさと巣立って俺を楽にさせてくれ…）

雛鳥達「」

俺（はいはい、いってきますよ）

数時間後
俺「クッソあのタヌキ、いちいちうっせぇんだよ……」

俺「相変わらず糞がお出迎えか…って」

段ボールの上にいる雛「」

俺「お前…落ちたのか……」

俺「」ｼﾞｰ

俺（ダメだ…死んでいる……）

俺（あそこから落ちて、死して糞まみれにされるのがこいつの末路か……）

俺「」

俺「ハァ」

俺「」ﾍﾞﾘﾍﾞﾘ

俺（ここに死体を置いても気分悪いし土葬ぐらいはしてやるか……）

おばちゃん「あら、俺さんおかえりなさい」

俺「あ、こんばんわ…」

おばちゃん「あら…雛が落ちちゃったの？」

俺「えぇ…まぁ…これから埋めに行きます……」

おばちゃん「俺さんも大変ね……」

俺「まぁ、そうですね……糞の世話とか大変ですし」

俺「」ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ

俺「」

俺（安らかに眠れ……）

俺（よく鳥になりたいとか言うけど、鳥も大変なんだな……生まれたばかりで死ぬことになるなんて）

数日後
管理会社「では点検は以上ですね」

俺「すいませんね…日曜なのに」

管理会社「いえいえ、ところで巣がありますね」

俺「え、えぇ…気づいた時にはもう……」

管理会社「撤去しますか？」

俺「え？」

管理会社「糞の処理とか大変ですし、何より景観を損ねるじゃないですか」

俺「…で、でも法律じゃ……」

管理会社「あ～大丈夫ですってみなさんやってますし」

俺「」

雛達「ちゅんちゅん」

親鳥「」ﾋﾞｭｰﾝ

雛たち「ちゅんちゅん」

俺「」

俺「い、いいです…このままで」

管理会社「そうですか…では私はこのへんで」

俺「お疲れ様です」

俺（なんで断ったんだよ……）

俺（まぁ殺したらなんか縁起悪そうだし後味も悪いしな）

雛たち「ちゅんちゅん」

俺（それに少し我慢したら巣立つんだ…）

雛達「」ﾌﾝﾎﾟﾀﾎﾟﾀ

俺「」

数日後
俺「」ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ

俺「お、いかにもツバメっぽくなってきたな」

俺（５羽ぐらいかな……でも本当はもう１羽いたんだよな……）

俺（小学生の頃ツバメは人間が守ってくれるって信じてるから人のいる所に巣を作るって教えてもらったっけ）ｽﾀｽﾀ

俺（実際は人間も危害を加える存在なのにな……鳥も大変だ）ｽﾀｽﾀ

俺（……一郎…安らかに眠れ）

数日後
俺「」ｺﾞｼｺﾞｼ

俺（よし、綺麗になったな）

俺（最近、糞が減ったような…成長すると減るものなのか？）

雛たち「ちゅんちゅん」

俺「」

俺「減ってる…」

俺（死体はなかった…というと…）

俺（巣立ったのか……）

俺（そうか…お前らとうとういなくなるのか……）

鳥たち「ちゅんちゅん」

俺「」

俺（長かったな…やっとこの糞の掃除の日課が終わるのか……）

鳥たち「ちゅんちゅん」

俺（寂しくなるな……）

俺（寂しく…？あぁ、そうか……）

俺（思えばずっと一緒だったからな）

俺（いつからだったか、こいつらの成長を見るのが楽しくなってきたんだよな……）

俺（だけどそれももう終わりか……）

俺（子供が自立して家を出るってのはこういう気持ちになるんだな……）

数日後
俺「最近熱くなったな」

鳥「」

俺「とうとうお前だけか……」

俺「」

俺（あいつは一郎だったからそうだな……太郎とでも呼ぶか）

翌日
俺「」ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬﾝ

俺（太郎、お前まだいるのか……）

太郎「」

俺（まぁ無理せずのんびりしたらいいさ）

夜
俺「クソあのタヌキ…左遷されねぇかな……」

俺「」

俺「太郎……」

俺「そうか…」

俺「」ﾋﾟｮﾝ

太郎「」

俺「なんだよ、まだいんじゃねぇか……」

俺（良かった……）

数日後
俺「」ｺﾞｼｺﾞｼ

俺（太郎だけだと掃除が楽だな）

太郎「」ｷｮﾛｷｮﾛ

俺「」

太郎「」ﾊﾞｻﾊﾞｻ

俺「」

太郎「」ﾋﾞｭｰﾝ

俺「あ…」

太郎「」ﾊﾞｻﾊﾞｻ

俺「」

俺「行っちまった……」

俺「」ﾋﾟｮﾝ

巣「」

俺「ツバメの巣ってこうなってんだな……」

俺「」

俺（一郎…お前の兄弟は無事に巣立ったよ……）

俺「ハァ……」

俺（まさかこんな気持ちになるなんてな……）

俺（最後に巣立つ奴は臆病とか言われているけど、太郎は勇気を出してちゃんと巣立ったな）

俺（俺も…頑張らなきゃな……）

数日後
俺「」

俺「…そうか」

俺（もう掃除はしなくてもいいんだったな）

電気メーター「」ｸﾙｸﾙ

俺（綺麗なメーターを見るのは久しぶりだな……）

親鳥「」ﾋﾞｭｰﾝ

親鳥「」ｷｮﾛｷｮﾛ

親鳥「」ﾋﾞｭｰﾝ

俺「」

俺（あんたもお役御免だな）

俺（確か巣立ったら熱い外国へ行くんだっけか）

俺（みんな自立して頑張るんだな）

俺（よし！）

俺（俺も新しい新天地目指して頑張るか！転職活動！！）

完

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