俺「気がつくと、俺は記憶を失くしてしまっていた」
1: SS速報VIPがお送りします 2017/03/28(火) 02:52:17.30 ID:14Zq+O/Ao
ふと気がつくと、俺は記憶を失くしてしまっていた――
2: SS速報VIPがお送りします 2017/03/28(火) 02:53:42.61 ID:14Zq+O/Ao
一体俺に何があったのか。
今まで俺は何をしてきたのか。
必死に思い出そうとするが、さっぱり思い出せない。もどかしい。
おそらくもう、思い出すことはないだろう。
3: SS速報VIPがお送りします 2017/03/28(火) 02:55:33.74 ID:14Zq+O/Ao
俺の近くに、一人の男がいる。
泣いている。
どうやら俺に起こった事態をとても悲しんでいるようだ。
4: SS速報VIPがお送りします 2017/03/28(火) 02:56:42.32 ID:14Zq+O/Ao
俺は推測する――俺とこの男はきっと強い絆で結ばれていたのだろう。
俺とこの男はさまざまな冒険を重ね、困難苦難を乗り越え、
俺はこの男の喜怒哀楽を全て受け止めてきたのだろう。
ついさっきまでの俺はそれらを全部覚えていた……はず。
なのに、今の俺は全く思い出せない。本当に申し訳ない限りだ。
5: SS速報VIPがお送りします 2017/03/28(火) 02:58:08.75 ID:14Zq+O/Ao
男が泣き叫ぶ。
「頼むぅっ……頼むよぉっ……!」
思い出してくれ、ということなのだろう。
だが、どんなに懇願されても、無理なものは無理なのだ。
俺にはどうすることもできない。
6: SS速報VIPがお送りします 2017/03/28(火) 02:59:02.39 ID:14Zq+O/Ao
泣きわめく男を尻目に、俺はあらためて自分に残る記憶を整理することにした。
俺とて、全てを忘れ去ってしまったわけではない。
こんな俺にも覚えていることが、たった一つだけあった。
自分が何者か、ということについてだ。
7: SS速報VIPがお送りします 2017/03/28(火) 03:00:13.69 ID:14Zq+O/Ao
俺はゲームソフト――
近くで泣きわめいている、俺で遊んでいたであろう男よ。
どうか最初からやり直して下さい。
―終―