山岡「こんなの二郎系とはよべないね。出来損ないだ。」【美味しんぼSS】
山岡「こんなの二郎系とはよべないね。出来損ないだ。」
1: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:08:08.145 ID:hdKyJZ1od.net
店主「な、何だとこのやろう!どう見ても二郎系だろうが!」
山岡「盛りのインパクトが弱い上に味が薄い。野菜どーんなんてどこでもやっている。これじゃただの豚のエサだ。ニンニクも野菜の下に埋もれてる。二郎を馬鹿にしてるよ。」
店主「このやろう言わせておけば」
栗田「そ、そうよ山岡さん!野菜山盛りで味付けも死ぬほど濃いわよ?これこそ二郎じゃないの?ニンニクだって」
山岡「盛りのインパクトが弱い上に味が薄い。野菜どーんなんてどこでもやっている。これじゃただの豚のエサだ。ニンニクも野菜の下に埋もれてる。二郎を馬鹿にしてるよ。」
店主「このやろう言わせておけば」
栗田「そ、そうよ山岡さん!野菜山盛りで味付けも死ぬほど濃いわよ?これこそ二郎じゃないの?ニンニクだって」
2: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:12:10.427 ID:hdKyJZ1od.net
山岡「栗田さん。本物の二朗の濃さはこんなものではないよ。死ぬほどではなく死ぬレベルで濃いんだ。」
店主「ぐぅ」
栗田「!?死ぬレベルですって!?それと比べちゃうと確かに食べやすいわね」
山岡「明日またここにきてください。本物の二朗をごちそうしますよ」
店主「ぐぅ」
栗田「!?死ぬレベルですって!?それと比べちゃうと確かに食べやすいわね」
山岡「明日またここにきてください。本物の二朗をごちそうしますよ」
3: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:14:38.525 ID:hdKyJZ1od.net
栗田「はぁ」
部長「どうしたのかね栗田さん」
栗田「いえ、昨日こういう事があって」
部長「ふぅむ。確かに二朗系とよばれる店舗が点在している世の中だが、本物の二朗というのは興味をそそるな」
栗田(私はもうこりごりなんだけどなあ)
部長「どうしたのかね栗田さん」
栗田「いえ、昨日こういう事があって」
部長「ふぅむ。確かに二朗系とよばれる店舗が点在している世の中だが、本物の二朗というのは興味をそそるな」
栗田(私はもうこりごりなんだけどなあ)
8: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:17:09.666 ID:hdKyJZ1od.net
山岡「さてと」
大原「ワシも来たぞ。うまい二朗食べさせろ」
山岡「なんでご老人まで……二朗は身体に触りますよ」
大原「ぐぬぬこやつまたもワシを馬鹿にしおって」
部長「私もご一緒させてもらうよ」
店主「おいいい加減はやく食わせろよ」
大原「ワシも来たぞ。うまい二朗食べさせろ」
山岡「なんでご老人まで……二朗は身体に触りますよ」
大原「ぐぬぬこやつまたもワシを馬鹿にしおって」
部長「私もご一緒させてもらうよ」
店主「おいいい加減はやく食わせろよ」
9: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:20:44.478 ID:hdKyJZ1od.net
山岡「やれやれ」
栗田(はぁもうほんと食欲うせるのよねぇ)
山岡「さて、栗田さんも手伝ってくれ」
栗田「え、ああはい!」
山岡「まずは、メニューの確認からだ。今回は豚そば(中)のみだけどな」
山岡「とにかく無愛想に、答えられなければ再度確認してくれ」
栗田「確認って?」
山岡「ニンニク入れますか?とだけ聞いてくれ。素人はふるい落とせる」
栗田(はぁもうほんと食欲うせるのよねぇ)
山岡「さて、栗田さんも手伝ってくれ」
栗田「え、ああはい!」
山岡「まずは、メニューの確認からだ。今回は豚そば(中)のみだけどな」
山岡「とにかく無愛想に、答えられなければ再度確認してくれ」
栗田「確認って?」
山岡「ニンニク入れますか?とだけ聞いてくれ。素人はふるい落とせる」
10: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:23:35.826 ID:hdKyJZ1od.net
栗田「ニンニクいれますか?」
大原「ああ、頼むよ」
山岡「もう一度」
栗田「ニンニクいれますか?」
大原「ああ、いれるってしつこいな」
山岡「よしもうシカトしてくれ」
栗田「ニンニクいれますか?」
部長「野菜ニンニク少なめで」
大原「ああ、頼むよ」
山岡「もう一度」
栗田「ニンニクいれますか?」
大原「ああ、いれるってしつこいな」
山岡「よしもうシカトしてくれ」
栗田「ニンニクいれますか?」
部長「野菜ニンニク少なめで」
12: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:28:53.843 ID:hdKyJZ1od.net
大原「おいシカトってなんだ!ワシは社主だぞ!」
山岡「………」
栗田(シカトだなんて山岡さんどうしちゃったのよ)
山岡「おまち」ドンッッ!
大原「うひょお!これはうまそうじゃ!」
栗田「すごいっ!野菜の盛りの上に油の塊がコレでもかってくらいのってて、ニンニクも野菜の山の隣で小さな山を作っているわ!これが山岡さんがいっていたインパクトなのね!」
大原「ほっほー!食欲のそそる双子山だわい!」
店主「………」
山岡「………」
栗田(シカトだなんて山岡さんどうしちゃったのよ)
山岡「おまち」ドンッッ!
大原「うひょお!これはうまそうじゃ!」
栗田「すごいっ!野菜の盛りの上に油の塊がコレでもかってくらいのってて、ニンニクも野菜の山の隣で小さな山を作っているわ!これが山岡さんがいっていたインパクトなのね!」
大原「ほっほー!食欲のそそる双子山だわい!」
店主「………」
14: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:33:59.342 ID:hdKyJZ1od.net
栗田「これと比べちゃうとたしかに、店主さんのは豚のエサね!」
部長「ほほう!こうも見事に野菜が栄えるとはねえ。油がみごとに調和しとても美しく下品だ。本当に食欲をそそる!」
店主「ちっ。見た目なんかどうでもいーだろ。味だろ重要なのは」
山岡「お客さんいってみますか。ニンニクいれますか?」
店主「………」
店主「……野菜ましニンニク油カラメ」
山岡「……ニッコリ」
部長「ほほう!こうも見事に野菜が栄えるとはねえ。油がみごとに調和しとても美しく下品だ。本当に食欲をそそる!」
店主「ちっ。見た目なんかどうでもいーだろ。味だろ重要なのは」
山岡「お客さんいってみますか。ニンニクいれますか?」
店主「………」
店主「……野菜ましニンニク油カラメ」
山岡「……ニッコリ」
17: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:39:38.171 ID:hdKyJZ1od.net
山岡「おまちっ」ドン
部長「これはまた見事。早く食べたいね。よっと(天地返し)」
栗田「ええっ!?今のなんですか?」
部長「ふふこれでも昔はジロリアンでね。八王子でロッターとしてならしたもんさ」
栗田「部長かっこいい!」
部長「はははそうかね」
山岡「うん、天地返しだね。二郎はその特性上、時間がたつにつれ麺が伸びつらくなる。それを少しでも遅らせる技で、野菜と麺をひっくり返し麺を避難させるのさ」
栗田「見た目だけでなくちゃんと実用的なのね!」
部長「これはまた見事。早く食べたいね。よっと(天地返し)」
栗田「ええっ!?今のなんですか?」
部長「ふふこれでも昔はジロリアンでね。八王子でロッターとしてならしたもんさ」
栗田「部長かっこいい!」
部長「はははそうかね」
山岡「うん、天地返しだね。二郎はその特性上、時間がたつにつれ麺が伸びつらくなる。それを少しでも遅らせる技で、野菜と麺をひっくり返し麺を避難させるのさ」
栗田「見た目だけでなくちゃんと実用的なのね!」
21: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:45:47.732 ID:hdKyJZ1od.net
栗田(ほんとはどうでもいいんだけどな)
山岡「はいよ」ドンッッ!
店主「………」
大原「な、なんじゃあ!これは!?」
部長「ふむ流石は増した二郎だ。こうまで暴力的な見た目はそうはないよ」
栗田(でも、どうみても豚のエサよ?一体どうしたの!?山岡さん!!)
山岡「はいよ」ドンッッ!
店主「………」
大原「な、なんじゃあ!これは!?」
部長「ふむ流石は増した二郎だ。こうまで暴力的な見た目はそうはないよ」
栗田(でも、どうみても豚のエサよ?一体どうしたの!?山岡さん!!)
22: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:50:06.962 ID:hdKyJZ1od.net
大原「では一口」ズルッ
大原「!!」
大原「う、うまい。なんだこのスープは!」
大原「明らかに濃すぎなスープを麺がすいとり、ダイレクトに脳みそを痺れさせるようだ!」
部長「なんてうま味なんだ………後半戦は明らかに飽きが来るが、その後悔を帳消しにするほどの一口目………スープがちょうどよく乳化して麻薬のような旨味を実現している……」
店主「………」
大原「!!」
大原「う、うまい。なんだこのスープは!」
大原「明らかに濃すぎなスープを麺がすいとり、ダイレクトに脳みそを痺れさせるようだ!」
部長「なんてうま味なんだ………後半戦は明らかに飽きが来るが、その後悔を帳消しにするほどの一口目………スープがちょうどよく乳化して麻薬のような旨味を実現している……」
店主「………」
23: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:52:02.205 ID:hdKyJZ1od.net
山岡さん「味の秘密は、化調だ」
大原「化学調味料だとぉ!?」
部長「化学調味料とは……大丈夫なのかい山岡くん」
大原「高血圧なワシを殺す気か!?お前はクビだ!」
大原「化学調味料だとぉ!?」
部長「化学調味料とは……大丈夫なのかい山岡くん」
大原「高血圧なワシを殺す気か!?お前はクビだ!」
24: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 20:54:08.554 ID:hdKyJZ1od.net
山岡「ふんっ殺しても死ぬようなタマじゃないでしょうに」
大原「なにを!!」
部長「まあまあ社主。話を聞きましょう」
栗田「化学調味料っていったいなんなの?」
山岡「やれやれ。化学調味料といっても、日常普通に生活していれば避けて通ることなんて出来ないんですよ」
大原「なにを!!」
部長「まあまあ社主。話を聞きましょう」
栗田「化学調味料っていったいなんなの?」
山岡「やれやれ。化学調味料といっても、日常普通に生活していれば避けて通ることなんて出来ないんですよ」
25: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 21:00:40.382 ID:hdKyJZ1od.net
山岡「全くみんな化学調味料に過剰反応しすぎなんですよ」
山岡「確かに体にいいとは言えない」
山岡「だが、体にいいものだけを食べるというのも健全とはいい難い」
山岡「栄養もくらう。毒もくらう。そのくらいの寛容さが食には必要なのさ」
店主「…………」
大原「………うむ」
大原「言ってることはわかる」
大原「しかし、これは明らかに体にとても悪い。それはどう説明するのだ?」
山岡「……大原社主。コレを一口食べたときどんな感情でしたか?」
山岡「確かに体にいいとは言えない」
山岡「だが、体にいいものだけを食べるというのも健全とはいい難い」
山岡「栄養もくらう。毒もくらう。そのくらいの寛容さが食には必要なのさ」
店主「…………」
大原「………うむ」
大原「言ってることはわかる」
大原「しかし、これは明らかに体にとても悪い。それはどう説明するのだ?」
山岡「……大原社主。コレを一口食べたときどんな感情でしたか?」
26: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 21:03:41.801 ID:hdKyJZ1od.net
大原「感情か、とても幸せで何度も食べたくなるような感覚だったな。特に一口目なんてこの世の物とは思えないくらいうまい食べ物だと感じたよ」
部長「私もそれは感じたね」
山岡「その感覚だけで充分なのでは?」
部長「……というと?」
山岡「食べ物を食べて幸せになる。二郎には普通の食べ物では到底たどり着けない幸福感を秘めている。」
山岡「それをノーリスクで食そうとする方が都合がいいのではないでしょうか」
大原「…………」
部長「…………」
部長「私もそれは感じたね」
山岡「その感覚だけで充分なのでは?」
部長「……というと?」
山岡「食べ物を食べて幸せになる。二郎には普通の食べ物では到底たどり着けない幸福感を秘めている。」
山岡「それをノーリスクで食そうとする方が都合がいいのではないでしょうか」
大原「…………」
部長「…………」
28: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 21:07:38.257 ID:hdKyJZ1od.net
栗田(山岡さん!すごいっ!確かにその通りだわ!)
山岡「店主さん。あなたは元々ジロリアンなのでは?注文も食べる順序も理にかなっていた」
栗田「食べる順序?」
山岡「ああ、野菜を後回しにして肉、麺を食べる方法さ。肉は後半飽きてきたときにとても入らない。麺は伸びる。だから先に潰すのが定石だ」
山岡「店主さん。あなたは元々ジロリアンなのでは?注文も食べる順序も理にかなっていた」
栗田「食べる順序?」
山岡「ああ、野菜を後回しにして肉、麺を食べる方法さ。肉は後半飽きてきたときにとても入らない。麺は伸びる。だから先に潰すのが定石だ」
29: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 21:12:30.673 ID:hdKyJZ1od.net
店主「……確かに昔はジロリアンだった」
栗田「ええ!?そうだったのね!なのになぜあんなゴミみたいなまがい物を!?」
店主「最初は真面目にやってたさ。だが、世は女性をメインターゲットにしないと儲からないんだ。」
店主「気がつけば味は薄く、盛りはインパクトにかけ、乳化もできないレベルに落ち込んでいた。だが一番悪いのは劣化に気がつけなかったこの俺だ。」
店主「うまい二朗をありがとう。また1から出直すよ」
山岡「あなたは元々凄いジロリアンだ。きっと出来ますよ」
大原「おお、あなたの二朗楽しみにしてますよ」
栗田「ええ!?そうだったのね!なのになぜあんなゴミみたいなまがい物を!?」
店主「最初は真面目にやってたさ。だが、世は女性をメインターゲットにしないと儲からないんだ。」
店主「気がつけば味は薄く、盛りはインパクトにかけ、乳化もできないレベルに落ち込んでいた。だが一番悪いのは劣化に気がつけなかったこの俺だ。」
店主「うまい二朗をありがとう。また1から出直すよ」
山岡「あなたは元々凄いジロリアンだ。きっと出来ますよ」
大原「おお、あなたの二朗楽しみにしてますよ」
30: VIPがお送りします 2018/07/18(水) 21:16:33.856 ID:hdKyJZ1od.net
ーーー
栗田「山岡さーん!まってー!」
山岡「ん?」
栗田「置いていくなんてひどいわ!」
山岡「ああ、すまん」
栗田「………」
山岡「………」
山岡「どこか口直しでもするか?」
栗田「ぜひ。でもニンニクの無いところにしましょ!」
山岡「はははそうだな」
~end~
栗田「山岡さーん!まってー!」
山岡「ん?」
栗田「置いていくなんてひどいわ!」
山岡「ああ、すまん」
栗田「………」
山岡「………」
山岡「どこか口直しでもするか?」
栗田「ぜひ。でもニンニクの無いところにしましょ!」
山岡「はははそうだな」
~end~