【ぼく勉】かくして少女は[x]を見上げる

2019年01月18日
【ぼく勉】かくして少女は[x]を見上げる

かくして少女は[x]を見上げる

元ネタ:ぼくたちは勉強ができない
1: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:35:18.97 ID:nbBNhs1nO
カリカリ…

文乃「……」

理珠「……」

うるか「……」

成幸「……」

うるか「うん、できたよ成幸っ!」

理珠「私もできました」

成幸「ああ、わかった。それじゃ見せてくれ」



2: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:35:59.97 ID:nbBNhs1nO
うるか「はいっ!けっこう上手くできてるっしょ?」

成幸「うーん……そうだな。長文自体は大分読めるようになってきてるな。すごいぞ、武元」

うるか「えへへー、でしょ?」

成幸「でも、和訳はもう少し筆者の言いたいことを解釈して書いた方がいいな。例えば下線部の『it』。これは前の文を読めば「地球環境を守ること」だってわかるだろ?解答にはそこまで書いた方がいい」

うるか「ちぇー……問題は『下線部を訳せ』なのにさ、なんかズルくない……?」

成幸「しょうがないだろ、長文読解っていうのはそういう問題なんだから」

うるか「むー……」

3: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:36:38.28 ID:nbBNhs1nO
成幸「で、えーっと、緒方は……」

理珠「…………」ドキドキ

成幸「うん。大分上手く書けるようになってきてるな」

理珠「はい、当然です」

成幸「でも、根拠と結論の結び付け方が少し弱いな。理論だけじゃなく、もう少し具体例を出して説を補強するといい感じになると思うぞ?」

理珠「具体例……ですか?」

成幸「ああ。緒方が今まで生きてきた中で見たこと、本で読んだこと、何でもいい。それが一つ挟まるだけで小論文の説得力は高まるんだ」

理珠「……わかりました」

成幸「でも、ずいぶん良くなったな。その調子だぞ」

理珠「……はい。ありがとうございます」

4: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:37:09.15 ID:nbBNhs1nO
成幸「……それで、古橋さん?」

文乃「……zzz… … 」

うるか「文乃っち、起きて!」

文乃「……はっ、……えっ?」

理珠「文乃、大丈夫ですか?」

文乃「ご、ごめん唯我くん!えっと、私も問題終わったよ!」

成幸「あ、ああ……」

文乃「どうかな?」

5: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:37:38.52 ID:nbBNhs1nO
成幸「うん、正解。途中式も問題なし。すごいぞ古橋!」

文乃「そ、そうかなー……ふぁぁ」

成幸「古橋……大丈夫か?疲れてるなら今日は終わりにしても……」

文乃「う、ううん!違うの!ごめんね!」

理珠「文乃、どうしたんですか?」

文乃「え、えへへ……実は昨日、夜更かししちゃって……」

うるか「夜更かし?見たいテレビでもあったの?」

6: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:38:37.40 ID:nbBNhs1nO
文乃「ううん、そうじゃなくて……『ペルセウス流星群』って、知ってる?」

うるか「ペルセウス?なにそれ?成幸、知ってる?」

成幸「ペルセウス……確か、メデューサを倒した英雄、だっけか」

理珠「石化してしまう眼光を鏡で反射した……ですか?」

文乃「そうそう!それでね、そのペルセウス座を中心に、流星が流れるのが『ペルセウス流星群』なんだ。昨日から見え始めるはずだったんだけど、ほら、昨日って曇ってたでしょ?それで待ってれば晴れるかと思ったらなかなか寝られなくて……」

うるか「それで、遅くまで起きてたんだ」

文乃「あ、あはは……そうなんだー。でも結局見れなくて……でもでも!今日はちゃんと晴れの予報だし、家よりものびのびと見られるように屋上の鍵を借りてきたんだ!」

7: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:40:10.04 ID:nbBNhs1nO
うるか「おー……文乃っち、やる気まんまんだね!」

成幸「まぁ、体には気を付けろよ?まだ夜は冷えるからさ」

文乃「うん!」

キーンコーン

成幸「っと、もうこんな時間か。それじゃ3人とも、これ今日の分の宿題な」

うるか「うぇぇ…こんなにー?」

成幸「当たり前だろ。毎日の復習。成績を上げるには結局それしかないんだ」

うるか「はー……しょうがない、かぁ。せっかく成幸が作ってくれたんだしね……ねえねえ、帰りにアイスとか食べてかない?」

文乃「ごめんねうるかちゃん。私は夜の準備したいから」

うるか「そっかぁ……成幸は?」

成幸「いや、俺はもう少し残って勉強してくよ」

理珠「居残りですか?それなら私たちも……」

成幸「いや……実は、また電気を止められちまって……家だと勉強できないからここでやるしかなくって。3人は気にしないでくれ。そんなに遅くまでやる気もないしな」

理珠「そう……ですか。わかりました」

8: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:40:37.89 ID:nbBNhs1nO
うるか「じゃー、リズっちと二人っきりかぁ」

理珠「……遠慮しておきます」

うるか「またまたー!そんなこと言わないでさー!」

理珠「やめておきます」

うるか「えー!リズっち冷たいー!」

ギャーギャー

うるか「じゃね!成幸!また明日!」

理珠「お先に失礼します」

成幸「ああ、じゃあな」

パタパタパタ……

成幸「ふう……さて、始めるか」

成幸(あいつらに教えるので手一杯で自分の宿題に手を付けられてない、なんて知られたら気ぃ使わせちまうからな……)

成幸「げっ……数学の課題、こんなに出てたっけか……」

9: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:41:35.48 ID:nbBNhs1nO
修正

うるか「じゃー、リズりんと二人っきりかぁ」

理珠「……遠慮しておきます」

うるか「またまたー!そんなこと言わないでさー!」

理珠「やめておきます」

うるか「えー!リズりん冷たいー!」

ギャーギャー

うるか「じゃね!成幸!また明日!」

理珠「お先に失礼します」

成幸「ああ、じゃあな」

パタパタパタ……

成幸「ふう……さて、始めるか」

成幸(あいつらに教えるので手一杯で自分の宿題に手を付けられてない、なんて知られたら気ぃ使わせちまうからな……)

成幸「げっ……数学の課題、こんなに出てたっけか……」

10: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:42:35.03 ID:nbBNhs1nO
~~~~

成幸「よしっ、やっと終わった」

成幸(思ってたより早く終わったな……古橋に教えてるお陰で俺の学力も上がったとか?)

成幸「げっ……外、真っ暗じゃねえか……って、そりゃ夜九時にもなりゃ当然か」

成幸(そういえば、古橋のやつ……)

文乃『のびのびと見られるように、屋上の鍵を借りてきたんだ!』

成幸「まだ屋上にいるかな……一応、ちょっと見に行ってみるか」

11: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:43:20.09 ID:nbBNhs1nO
~~~~

ーー屋上ーー

ガチャッ

成幸(おっ、鍵が開いてる……ってことは、まだ古橋はここにいるのか)

成幸「おーい、古橋?」

文乃「…………」

成幸(古橋、すげえ集中して空を見上げてるな……そういや俺も、流星群なんて見たことなかったっけ)

成幸「すっ……げぇ……!」

成幸(すげえ……流星群って、こんなにキレイで、壮大で……)

12: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:44:51.15 ID:nbBNhs1nO
文乃「?……あっ、唯我くん?どうしたの?」

成幸「あ、ああ……一段落付いたから、ちょっと俺も見に来てみたんだ」

文乃「ホント!?ね、スゴいでしょ!?この流星群!晴れてよかったぁ!」

成幸「ああ……俺も初めて見たんだけどさ、なんて言うか……圧倒されるみたいだ」

文乃「でしょ!?あのね、ペルセウス流星群はスイフト・タットル彗星っていう彗星が母天体になってて、流星群の中でも一番華やかで数も多くて……へくちっ!」

成幸「おいおい、大丈夫か?この時期に風邪ひいたりしたら……」

文乃「えへへ……そしたら、またお見舞いに来てくれる?」

成幸「お見舞い、って……っ!」

文乃『パ、パジャマだし……髪とかボサボサだし……』

13: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:45:24.97 ID:nbBNhs1nO
成幸「ひ、ひかないように気を付けろよ!受験は夏が勝負なんだからな!」

文乃「えへへ、ごめんごめん……でも、大丈夫。私は絶対大学に合格して、本格的に天文学を勉強するんだから」

成幸(おふくろさんの星を見つける、か……)

文乃「ね、唯我くん。宇宙って、今この瞬間もすごい速度で広がり続けてるんだって。それで、新しい星もどんどん生まれ続けて、同じようにどんどん消えてってる。それって、怖いことじゃないかなって思うんだ」

成幸「怖い……って?」

14: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:46:07.16 ID:nbBNhs1nO
文乃「私が小さいころ……お母さんがまだ生きてたころね、停電になったことがあったの。お家が真っ暗になって、お母さんもそばにいなくて、私、とっても寂しくて怖かった。真っ暗な世界で、誰も私は一人ぼっちになっちゃったんじゃないかと思って、わんわん泣いちゃったの」

成幸「…………」

文乃「そしたらね、お母さんが私を見付けてくれた。見付けてくれて、『もう大丈夫よ』って抱きしめてくれたの。私、すごく嬉しかった」

成幸「……ああ、そういうことってあるよな」

文乃「お母さんが死んじゃって、誰かが言ってたのを思い出したんだ。『死んだひとはお星さまになって、私たちを見守ってくれてる』って。……でもさ、こんなに暗くて広い宇宙で誰にも見付けてもらえずにいるのって、きっと私の何十倍も、何百倍も寂しくて怖いと思う。……だから、今度は私がお母さんの星を見付けてあげるんだ。……今のままじゃ、まだできるかわからないけど」

15: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:47:19.20 ID:nbBNhs1nO
成幸(古橋……やっぱり、不安だよな)

成幸「……きっとできる。いや、させてやる。約束しただろ?俺がお前たちの志望を叶えさせて、幸せにやる、って」

文乃「……うん。言質、ちゃんと取ってあるからね、唯我くん!」

成幸「ははっ、そりゃ頑張らねーとな」

文乃「ね、唯我くん……改めて、よろしくお願いします!」

成幸「ああ。こちらこそよろしくな、古橋」

文乃「うん!」

16: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:48:19.83 ID:nbBNhs1nO
~~~~

成幸「……ハックション!」

水希「もー。気を付けなきゃダメじゃない」

成幸「うう……すまん……」

葉月「にーちゃん、かぜー!」

和樹「だいじょぶー?」

水希「こら、うつるといけないからあんた達はあっちいってなさい」

葉月「はーい!」

パタパタ……

水希「いい?しっかり寝て、早く治しちゃわなきゃダメだからね。私も夏合宿とかあるんだから」

成幸「ああ、わかってる……」

成幸(そうだ。早いところ治して、また勉強しないと。あいつらのためにも、こいつらのためにも……そして、VIP推薦のためにも!)

成幸「……ハックション!」

17: SS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 12:48:59.72 ID:nbBNhs1nO
おわり

ちなワイうるか派

ぼくたちは勉強ができないSS ▶

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