ブサメン「イケメンと体が入れ替わったぞ!」

2019年04月20日
ブサメン「イケメンと体が入れ替わったぞ!」

1: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 00:45:46.576 ID:+k3vyxcQ0.net
―学校―

キャーキャー! キャーキャー!

イケメン「ハハハ……」



ブサメン(イケメンの奴、今日もモテてやがる)

ブサメン(あーあ、羨ましいなぁ)

5: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 00:49:03.293 ID:+k3vyxcQ0.net
美少女「イケメン君、勉強で分からないところがあるの! 教えて!」

イケメン「いいとも! これはね……」



ブサメン(オレの憧れ、クラスのアイドル美少女ちゃんまでがイケメンになびいてる!)

ブサメン(おのれ、イケメンめぇ!)

ブサメン(オレだって……オレだって顔さえよければ……!)

ブサメン(イケメン許すまじ!)

7: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 00:51:48.123 ID:+k3vyxcQ0.net
放課後――

ブサメン「おい、イケメン!」

イケメン「なんだい?」

ブサメン「ブサイクの恨み、思い知れ! 頭突きだぁっ!」

イケメン「えっ!」

ガツンッ!

10: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 00:54:32.760 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン「う……」ムクッ

イケメン「いたたた……イケメンに頭突きをしたら、オレまで失神しちゃったよ」

イケメン「イケメンは大丈夫かな、と……」

ブサメン「……」

イケメン「あれ!?」

イケメン「なんでオレが倒れてるんだよ! どうなってんだ!?」

11: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 00:56:53.614 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン「いや、ちょっと待て……」

イケメン「このすらりと美しい指、長い足……まさか!?」

イケメン(窓ガラス!)チラッ

イケメン「……!」

イケメン「やっぱりだ……やっぱりオレ、イケメンになってる!」

イケメン「アハハハハハハッ! やったーっ!」

12: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 00:59:17.881 ID:+k3vyxcQ0.net
ブサメン「……うう」ムクッ

ブサメン「うわ、なんだこの体は!?」

イケメン「おおイケメン、お前も気づいたか」

ブサメン「これは一体!? どうなってるんだ!?」

イケメン「オレがやった頭突きで、どうやらオレたちは入れ替わってしまったらしい」

ブサメン「な、なんだって!?」

13: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:01:58.639 ID:+k3vyxcQ0.net
ブサメン「そ、そんな……今すぐ元に戻ろう! やっぱり心と体は一致してないと……!」

イケメン「イヤに決まってんだろ!」

イケメン「せっかくイケメンになれたんだ。この体で思う存分楽しんでやるぜ!」

イケメン「ま、お前もせいぜいブサメンで頑張ってくれや!」

イケメン「アーッハッハッハッハッハ!」

ブサメン「あああ……」ガクッ

14: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:04:28.588 ID:+k3vyxcQ0.net
―ブサメンの家―

イケメン「ただいまー!」

ブサメン母「あら、お帰り。って、誰よあなた?」

イケメン「オレだよ、お母さん」

ブサメン母「ハァ?」

イケメン「あんたの息子だよ!」

ブサメン母「息子……?」

15: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:07:51.147 ID:+k3vyxcQ0.net
ブサメン母「あたしの息子はもっともっとブサイクよ」

イケメン「あっ!」

イケメン(そうだった……イケメンと入れ替わったの忘れてた)

イケメン「すみません、失礼しました!」タタタッ

イケメン(にしても、もっともっとブサイクよ、はねえだろ! お母さん!)

17: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:10:04.454 ID:+k3vyxcQ0.net
―イケメンの家―

イケメン「ただいまー!」

イケメン母「お帰りなさい」ニコッ

イケメン(うおっ、美人! さすがイケメンのお母さんだぜ!)

イケメン母「おやつ用意してあるけど、食べる?」

イケメン「食べます食べます!」

18: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:12:44.808 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン母「はい、どうぞ」コトッ

イケメン(うおお……見たこともないケーキだ。うまそう)

イケメン(うちでおやつっていったら、だいたい柿ピーかチョコバットだもんなぁ)

イケメン「いただきます!」ガツガツ

イケメン母「……あら?」

19: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:16:12.147 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン母「今日のあなたはいつもよりお下品ねえ」

イケメン「え!? あ……そうかな? ハハハ……」

イケメン(まずいまずい、怪しまれないうちにイケメンの部屋に行くとするか)

イケメン「オレ、自分の部屋に戻るね!」

イケメン母「今日もお勉強? 頑張ってね」

イケメン(家で勉強なんて、せいぜいテスト前しかしたことないや)

20: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:19:02.819 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン(ここがイケメンの部屋か……)

イケメン(きちんと整理整頓されてる。グッチャグチャなオレの部屋とは大違いだ)

イケメン(あ、ギターがある。やっぱモテる男はちがうねえ)

イケメン(ここにはクローゼットがある。何が入ってんだろ)ガチャガチャ

イケメン(ちっ、カギかかってて開かねえや)

イケメン(ふかふかのベッド……気持ちいい)ドサッ

イケメン(よーし、明日からは本格的にイケメンライフを満喫してやるぞ!)

21: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:22:05.985 ID:+k3vyxcQ0.net
―学校―

キャーキャー! キャーキャー!

女生徒A「イケメンくん、おはよう!」

女生徒B「今日もかっこいいわ~!」

女生徒C「ステキ!」

イケメン「おはよう、みんな!」

イケメン(これだよこれ! 顔さえよければ、オレだってモテるんだ!)

22: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:24:30.959 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン「一方、あいつは――」チラッ


ブサメン「……」ポツーン


イケメン(ハハハ、ぼっちだ)

イケメン(当然だわな! いやー改めて見ると、オレの顔ってホントブサイクだな!)

26: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:28:28.514 ID:+k3vyxcQ0.net
キャーキャー! キャーキャー!

「イケメンくーん! 後で一緒に昼ごはん食べよ!」

イケメン「いいとも!」


「イケメン! 後でリフティング見せてくれよ!」

イケメン「いいともいいとも!」


「イケメン君、後で勉強教えて~」

イケメン「もちろんだとも!」


イケメン(みんなにチヤホヤされるって、なんて気持ちがいいんだ!)

28: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:30:40.195 ID:+k3vyxcQ0.net
美少女「あの……イケメン君」

イケメン(美少女ちゃん!)ドキッ

イケメン「な、なんだい?」

美少女「今度のお休み……二人でデートしない?」ボソッ

イケメン「!」ドッキーン

イケメン「うん、デートしよう!」

美少女「ホント!? やったぁ!」

イケメン(美少女ちゃんとデートできる……オレ、もう死んでもいい!)

29: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:33:21.791 ID:+k3vyxcQ0.net
ブサメン「……」モグモグ



「イケメンくん、昼食食べよ!」

「イケメンくぅ~ん!」

イケメン(お前がぼっち飯してる間に、こっちはハーレムランチを楽しませてもらうぜ!)

30: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:36:25.574 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン「……でさぁ~」クッチャクッチャ

イケメン「今期のアニメで一番は~……」クッチャクッチャ


「今日のイケメン君、なんかおかしくない?」

「うん……行儀悪いし、話題もなんか……」

「あたし食欲なくなっちゃった……」


イケメン(あ? なんだよなんだよ、なんでみんなノッてこないんだよ!)

33: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:39:15.611 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン「リフティングは……」

イケメン「こう!」ポロッ

イケメン「あれ? ……こう!」ポーンッ


「どうしたんだよ、イケメン?」

「いつも100回以上やってくれるのに」

「ふざけてるのかよ?」


イケメン「い、いや……違うんだ! これは違うんだ!」

36: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:41:51.012 ID:+k3vyxcQ0.net
「イケメン君、ここ教えて~?」

イケメン「えぇとね、これは……」

イケメン(やべえ……分からねえ)

イケメン「これはえぇと、その……」

「どうしたの?」

イケメン「ご、ごめん……分からない!」

「ウッソー!」

37: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:45:15.096 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン(くそっ……こんなはずじゃ!)

イケメン(どいつもこいつもオレに失望しやがる! ムカつく!)

イケメン(やっぱりモテるには中身も伴わなきゃいけないってことか?)

イケメン(いや、そんなはずはない! オレがモテなかったのはブサイクだったせいだ!)

イケメン(あんなザコ女どもやクソ男どもなんかはどうでもいい!)

イケメン(美少女ちゃんとのデートは絶対成功させてやる!)

38: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:48:00.876 ID:+k3vyxcQ0.net
日曜日――

―駅前―

イケメン「や、やぁ」

美少女「どう? おめかししてきちゃった!」

イケメン「と、とてもステキだよ!」ウヒヒ…

イケメン(よぉーし、オレお得意のアニメトークで彼女をブヒブヒ言わせてやる!)

39: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:51:41.545 ID:+k3vyxcQ0.net
――

――――

美少女「……」

イケメン「でさぁ~、やっぱり今の時代円盤の売上が物をいうよね~」ペチャクチャペチャクチャ

美少女「ごめん……体調悪くなったから、帰るね」スタスタ

イケメン「……は?」



イケメン「……」ポツーン

イケメン「なんだよ! なんなんだよ!!!」

イケメン「なんでこうなるんだよおおおおおおおおう!!!」

40: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:54:51.597 ID:+k3vyxcQ0.net
―学校―

イケメン「……」ポツーン



「ブサメン、お前って結構すごいヤツだったんだな!」

「ブサメン君、おもしろーい!」

「ブサメン、勉強教えてくれよ!」

ブサメン「ハハハ……」

42: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 01:57:38.346 ID:+k3vyxcQ0.net
ブサメン「さ、みんな、そろそろ解散しよう」

キャーキャー! キャーキャー!



イケメン(あいつ……あのツラにもかかわらず、クラスの人気者になってやがる)

イケメン(結局、容姿が悪くとも、中身がよければ人気者になれるってことなのか……)

イケメン(それに、あの生き生きした顔はどうだ!?)

イケメン(なんであいつ、オレの顔になったのにあんなに生き生きしてられるんだ!?)

イケメン(きっと……なにか秘密があるに違いない!)

44: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 02:00:25.104 ID:+k3vyxcQ0.net
―ブサメンの家―

ブサメン「ただいま!」

ブサメン母「あら、お帰り。相変わらずブサイクねえ」

ブサメン「褒め言葉をありがとう、お母さん」



イケメン(なんというポジティブさ……オレとは器が違いすぎる……)

イケメン(よし……オレも入ろう)

45: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 02:03:53.938 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン「こんにちは!」

ブサメン母「あら、いつだったかの……」

イケメン「今日はブサメン君と遊ぶ約束をしておりまして……」

イケメン「お邪魔します」

ブサメン母「どうぞどうぞ」

46: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 02:06:28.725 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン(なんだ……? オレの部屋から声が聞こえる)


「ああ……なんて美しい……」


イケメン(あいつ、なにやってんだ?)


「君は最高だよ……」


イケメン(ちょっと覗いてみるか)チラッ

47: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 02:10:52.111 ID:+k3vyxcQ0.net
ブサメン「美しい……なんという美しさだ」

ブサメン「ああ……この体が手に入るなんてなんという至福……!」ウットリ…



イケメン「!!!」ガーン

イケメン(でかい鏡の前で、うっとりしてやがる!)

イケメン(そうか、あいつああやって自己暗示を……!)

イケメン(だから、ブサメンになってもあんなに生き生きすることができたんだ!)

イケメン(オレはイケメンになったら容姿に頼りきりだったけど)

イケメン(あいつはブサメンになっても諦めず、常に努力してたんだ……!)

イケメン(だけどもういいんだ……お前がそんなに苦しむ必要はない!)

49: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 02:14:28.712 ID:+k3vyxcQ0.net
イケメン「すまなかった、イケメン!」ガチャッ

ブサメン「うわっ!?」

イケメン「オレの逆恨みで、お前を苦しめてしまった……今こそ元に戻ろう!」

ブサメン「え、いや、別にボク、苦しんでなんか――」

イケメン「もう一回頭突きするぞ! ――えいっ!」

ガツンッ!

50: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 02:17:34.266 ID:+k3vyxcQ0.net
ブサメン「う……」

イケメン「ううん……」

ブサメン「どうやら元に戻ったようだな……」

イケメン「うん……」

ブサメン「オレの身勝手で短い間だったけど、苦しい思いさせてごめん」

イケメン「いや、そんなことないよ。ボクは楽しかったよ」

イケメン「それじゃあ、ボクは自分の家に帰るね」スタスタ

ブサメン(イケメンは、やっぱり心までイケメンだったんだ……)

53: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 02:20:49.584 ID:+k3vyxcQ0.net
ブサメン(今回のことでオレは多くのことを学んだ……)

ブサメン(オレはしょせん容姿を言い訳にしていたに過ぎなかったんだと)

ブサメン(ただしイケメンに限るなんていうけど、やっぱり中身がひどけりゃモテるのは難しい)

ブサメン(これからは自分を磨いていこう!)

ブサメン(勉強にスポーツに礼儀作法に、イケメンのようにイケてるブサメンを目指すんだ!)

ブサメン(オレの人生の目標は……イケメンだ!)

54: VIPがお送りします 2016/11/03(木) 02:25:41.814 ID:+k3vyxcQ0.net
―イケメンの家―

イケメン(ブサメン君の体は惜しかったけど……まあしょうがない)

イケメン(あの美しい体には、やはりあの美しい心が相応しい)

イケメン(それと、このクローゼットを開けられてたら、まずかった)

イケメン(なにしろこの中には、隠し撮りしたブサメン君の写真が大量に入ってるんだからね)

イケメン(今回、彼の肉体を体験したことで、ボクはさらに彼に惚れてしまった)

イケメン(これからは猛烈アタックをかけていくからね、ブサメン君!)

イケメン(ボクの人生の目的は……ブサメン君だ!)





<終わり>

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