女僧侶「回復役は回復するだけではダメなのね……」
1: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:31:34.12 ID:ciDSS8FBo
勇者「君が女僧侶か、よろしく!」
戦士「一緒に魔王を倒そうぜ!」
女魔法使い「やっと回復役が仲間になってくれたわね~」
女僧侶「はいっ、よろしくお願いします!」
女僧侶(私は神に仕える身として、回復魔法には自信がある……)
女僧侶(絶対皆さんの役に立ってみせる!)
戦士「一緒に魔王を倒そうぜ!」
女魔法使い「やっと回復役が仲間になってくれたわね~」
女僧侶「はいっ、よろしくお願いします!」
女僧侶(私は神に仕える身として、回復魔法には自信がある……)
女僧侶(絶対皆さんの役に立ってみせる!)
2: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:33:37.97 ID:ciDSS8FBo
ところが――
勇者「くっ……傷を負った……!」
女僧侶「勇者さん!」タッタッタ…
勇者「あっ、ダメだ! こっちに来るな!」
魔物「キシャァァァァァッ!」グワッ
女僧侶「きゃああああっ!」
勇者「くっ……傷を負った……!」
女僧侶「勇者さん!」タッタッタ…
勇者「あっ、ダメだ! こっちに来るな!」
魔物「キシャァァァァァッ!」グワッ
女僧侶「きゃああああっ!」
3: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:36:01.67 ID:ciDSS8FBo
戦士「あっぶねえ……もう少しでお前、やられちまうとこだったぞ!」
女魔法使い「僧侶があんまり前に出ちゃダメよ? 防御力低いんだから」
勇者「君はパーティーの生命線なんだから、そのことをもっと自覚しよう」
女僧侶「す……すみませんでしたっ……!」
女僧侶(回復役は回復するだけではダメなのね……)
女僧侶(しっかりと装備を整えて、自分自身をも守れるようにならないと!)
女魔法使い「僧侶があんまり前に出ちゃダメよ? 防御力低いんだから」
勇者「君はパーティーの生命線なんだから、そのことをもっと自覚しよう」
女僧侶「す……すみませんでしたっ……!」
女僧侶(回復役は回復するだけではダメなのね……)
女僧侶(しっかりと装備を整えて、自分自身をも守れるようにならないと!)
4: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:38:34.30 ID:ciDSS8FBo
女僧侶「……」ガションガション
勇者「!?」ギョッ
戦士「お、おい……なんだそのゴツイ甲冑は!?」
女魔法使い「ビックリしたぁ~」
女僧侶「もう私は、回復ができるだけの僧侶ではありません!」
女僧侶「これからは自分の身は自分で守ります!」
勇者「!?」ギョッ
戦士「お、おい……なんだそのゴツイ甲冑は!?」
女魔法使い「ビックリしたぁ~」
女僧侶「もう私は、回復ができるだけの僧侶ではありません!」
女僧侶「これからは自分の身は自分で守ります!」
5: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:41:42.33 ID:ciDSS8FBo
女僧侶「お、重い……」ガションガション…
戦士「おーい、遅いぜ!」
女魔法使い「このペースじゃ、次の町にたどり着く前に日が暮れちゃうわ!」
勇者「やっぱり軽装の方がいいと思うけど……」
女僧侶(うう……こんなことになるなんて……だったら!)
戦士「おーい、遅いぜ!」
女魔法使い「このペースじゃ、次の町にたどり着く前に日が暮れちゃうわ!」
勇者「やっぱり軽装の方がいいと思うけど……」
女僧侶(うう……こんなことになるなんて……だったら!)
6: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:43:24.72 ID:ciDSS8FBo
女僧侶「体を鍛えて、スピードを高めました!」シャシャシャッ
勇者「はやっ!」
戦士「てか、俺たちより速くね……!?」
女魔法使い「黒光りする巨大な甲冑が高速移動しているのは、なんだかシュールな光景だわ……」
女僧侶「さあ、行きましょう!」シャシャシャッ
勇者「はやっ!」
戦士「てか、俺たちより速くね……!?」
女魔法使い「黒光りする巨大な甲冑が高速移動しているのは、なんだかシュールな光景だわ……」
女僧侶「さあ、行きましょう!」シャシャシャッ
7: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:46:14.62 ID:ciDSS8FBo
戦士「うおおおおおっ!」キンッ ギンッ
魔族「ガアアアアアッ!」シュバッ
女僧侶(あっ、この魔族、私に背中を向けてスキだらけ!)
女僧侶(今、私が攻撃すれば、戦士さんの戦いはだいぶ有利になるはず……)
女僧侶(だけど……どうしていいのか分からない……)
女僧侶(こんな時、私にも攻撃手段があれば、もっとお役に立てるのに!)
魔族「ガアアアアアッ!」シュバッ
女僧侶(あっ、この魔族、私に背中を向けてスキだらけ!)
女僧侶(今、私が攻撃すれば、戦士さんの戦いはだいぶ有利になるはず……)
女僧侶(だけど……どうしていいのか分からない……)
女僧侶(こんな時、私にも攻撃手段があれば、もっとお役に立てるのに!)
8: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:50:25.72 ID:ciDSS8FBo
女僧侶「――というわけで、モーニングスターを装備しました!」ガション…
女僧侶「ハイスピードで動きまわりながら、モーニングスターによる波状攻撃!」ブオンブオンブオン
ドゴゴゴゴゴッ!!!
戦士「すげえ……魔物の群れが全滅……」
女魔法使い「あいつら一匹一匹がかなり手強い奴らだったのに……」
勇者「いったい僧侶はどこに向かってるんだ……」
女僧侶「ハイスピードで動きまわりながら、モーニングスターによる波状攻撃!」ブオンブオンブオン
ドゴゴゴゴゴッ!!!
戦士「すげえ……魔物の群れが全滅……」
女魔法使い「あいつら一匹一匹がかなり手強い奴らだったのに……」
勇者「いったい僧侶はどこに向かってるんだ……」
9: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:52:28.22 ID:ciDSS8FBo
暗黒魔術師「ヒャアッ!」ズオオオ…
女僧侶「ぐっ!」バチバチッ
女僧侶「ずえぁっ!!!」ブオンッ
グシャッ!
ドチャッ…
女僧侶「いくら防御力が高くても、ダメージを受ける時はあるのね……」
女僧侶「――だったら自分自身の回復も迅速にできないと!」
女僧侶「ぐっ!」バチバチッ
女僧侶「ずえぁっ!!!」ブオンッ
グシャッ!
ドチャッ…
女僧侶「いくら防御力が高くても、ダメージを受ける時はあるのね……」
女僧侶「――だったら自分自身の回復も迅速にできないと!」
10: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:55:34.25 ID:ciDSS8FBo
女僧侶「そんなわけで、自己再生できるようにしました!」
女僧侶「今の私は、たとえ腕を切られても0.1秒で再生できます!」
女僧侶「試してみますか?」
勇者「いや……結構だよ……」
女僧侶「残念……」
戦士「自己再生って……」
女魔法使い「もはや人の域を通り越して、魔族に片足突っ込みつつあるわね」
女僧侶「今の私は、たとえ腕を切られても0.1秒で再生できます!」
女僧侶「試してみますか?」
勇者「いや……結構だよ……」
女僧侶「残念……」
戦士「自己再生って……」
女魔法使い「もはや人の域を通り越して、魔族に片足突っ込みつつあるわね」
11: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:57:15.18 ID:ciDSS8FBo
女僧侶「だけどまだ不完全!」
女僧侶「いくら自己再生しても、老化や寿命からは逃げられない!」
女僧侶「寿命で死んでしまったら勇者さんたちに迷惑がかかるし、体をサイボーグ化しましょう!」
女僧侶「そうと決まれば、機械のお勉強をしなくっちゃ!」
女僧侶「いくら自己再生しても、老化や寿命からは逃げられない!」
女僧侶「寿命で死んでしまったら勇者さんたちに迷惑がかかるし、体をサイボーグ化しましょう!」
女僧侶「そうと決まれば、機械のお勉強をしなくっちゃ!」
14: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 20:59:52.54 ID:ciDSS8FBo
女僧侶「これデ、私は完璧な回復役となっタ……」ウイーン
女僧侶「だけどこれで本当に完璧といえるのカ……?」
女僧侶「いえなイ!」
女僧侶「完璧なる回復役とは、体だけでなく心をも癒やす者!」
女僧侶「敵味方の区別なく、癒やしを与える者!」
女僧侶「否! この世界そのものに、癒やしをもたらす者!」ウイーン
女僧侶「だけどこれで本当に完璧といえるのカ……?」
女僧侶「いえなイ!」
女僧侶「完璧なる回復役とは、体だけでなく心をも癒やす者!」
女僧侶「敵味方の区別なく、癒やしを与える者!」
女僧侶「否! この世界そのものに、癒やしをもたらす者!」ウイーン
15: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 21:02:11.46 ID:ciDSS8FBo
……
……
ワイワイ…… ガヤガヤ……
勇者「彼女を模した石像の前には、今日もたくさんの人が集まってるな」
戦士「ああ……世界中に癒やしを与えてくれるあいつに、みんな感謝してるんだ」
女魔法使い「もはや、この世界に争いは存在しないものね」
……
ワイワイ…… ガヤガヤ……
勇者「彼女を模した石像の前には、今日もたくさんの人が集まってるな」
戦士「ああ……世界中に癒やしを与えてくれるあいつに、みんな感謝してるんだ」
女魔法使い「もはや、この世界に争いは存在しないものね」
16: SS速報VIPがお送りします 2016/09/06(火) 21:04:39.92 ID:ciDSS8FBo
戦士「ほら、あそこ見ろよ。柄にもなく魔王が祈ってるぜ」
魔王「……」
勇者「魔王は邪悪な心の持ち主だったが、僧侶の力によってすっかり浄化されてしまったものな」
女魔法使い「本当はここで決着つけたいところだけど……」
戦士「俺らが魔族を憎む心も、同じく浄化されちまったからな……」
魔王「……」
勇者「魔王は邪悪な心の持ち主だったが、僧侶の力によってすっかり浄化されてしまったものな」
女魔法使い「本当はここで決着つけたいところだけど……」
戦士「俺らが魔族を憎む心も、同じく浄化されちまったからな……」
17: ◆rC1gJile/. 2016/09/06(火) 21:06:47.89 ID:ciDSS8FBo
勇者「さ、僕らも祈ろう」スッ…
勇者「今や神に仕える身ではなく、神そのものとなった彼女に――」
― 終 ―
勇者「今や神に仕える身ではなく、神そのものとなった彼女に――」
― 終 ―