男「俺は本当に切実に友達が少ない」

2019年06月16日
男「俺は本当に切実に友達が少ない」

1: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 20:50:21 ID:KqHdvuh2
昼休み

男「・・・・・・」もぐもぐ

女「あはは、えーほんと?」

女友「いや、マジだから!」

女「笑えるー」

女友「てか、放課後カラオケでいい?」

女「あー、いいね」

女友「チャラ男達誘っていい?」

女「また? 女友、最近チャラ男誘うの多くない?」

女友「ブハッ!? いや、いいじゃんか」

女「あはは、ブハッて」

男「・・・・・・」もぐもぐ

2: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 20:51:26 ID:KqHdvuh2
サッカー部「見んなって!」

野球部「見せろって! 彼女からなんだろ!」

サッカー部「何で彼女のライン見せなきゃいけないんだよ」

野球部「やっぱ彼女なんだろ! あ、からあげ一個くれ」

サッカー部「嫌に決まってるだろ」

野球部「部活で腹へるんだって!」

サッカー「俺も同じだろ」

男「・・・・・・」もぐもぐ

3: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 20:52:07 ID:KqHdvuh2
漫研「だからあれはリアルな友情を的確に表しているところが」

アニ研「いや、リアルなエロさが良いんだって」

漫研「リアルなエロなんて俺達知らないだろ」

アニ研「あはは、その通りだ」

漫研「アニ研はさ、アニ子とかどうなの? 部活同じなんだし」

アニ研「ないって! いやちげーし」

漫研「そうかぁ」

男「・・・・・・」もぐもぐ

4: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 20:53:18 ID:KqHdvuh2
放課後、校門

男「・・・・・・」スタ、スタ

後輩「あ、先輩昨日寝ちゃったでしょ」

○ッカー部「おう、ごめんごめん。また夜ラインするわ」タッタッタ

後○友「――え、結局好きなの?」

○輩「そーじゃないって!」

○○友「でも土曜日の試合みにいくんでしょ?」

○○○「・・・・・・うん、後輩友も一緒に来てね?」

○○○「わかってるってば!」

男「・・・・・・」スタ、スタ

5: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 20:54:01 ID:KqHdvuh2
駅のホーム、夕方

○○○「また明日ねー」

○○○「あ、明日忘れるなよー」

○○○「わかってるってー」

○○○「申し訳ありません。電話もなんですから、明日御社に直接――」

男「・・・・・・」

○○○「どうよ、今日」

○○○「いやーすいません。今金欠で」

○○○「奢るって」

○○○「ほんとですか!? 頂きます!」

○○○「おーう」

男「・・・・・・」

○○○「まもなく、普通列車が――」

6: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 20:54:58 ID:KqHdvuh2
住宅街、夕方

男「・・・・・・」スタ、スタ

○○○「うちの子なんて一川高校よー?」

○○○「いいじゃない! 進学校なんだから」

○○○「そうじゃなくて。ほら、大学っていったら学費が」

男「・・・・・・」スタ、スタ

○○○「おそいってば!」

○○○「待ってよお兄ちゃんー!」

男「・・・・・・」スタ、スタ

○○○「あ、兄ちゃん。お疲れ」

男「・・・・・・」スタ、スタ

弟「・・・・・・おーい」

男「・・・・・・」スタ、スタ

弟「おいってば!」

男「・・・・・・あ」

7: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 20:55:32 ID:KqHdvuh2
近所、夕方

弟「・・・・・・はあ、今日もカレーだろ」スタ、スタ

男「え? ああ・・・・・・なんで?」スタ、スタ

弟「いや、昨日の夜の残り」スタ、スタ

男「・・・・・・ああ、そっか」スタ、スタ

弟「・・・・・・」スタ、スタ

男「・・・・・・」スタ、スタ

弟「高校どうなの?」スタ、スタ

男「え?」スタ、スタ

弟「二年でクラス替えしたんだろ、可愛い子とかいるの?」スタ、スタ

男「いや、あー・・・・・・うん」スタ、スタ

弟「彼女とかできそー?」スタ、スタ

8: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 20:56:04 ID:KqHdvuh2

男「いや、出来ないって。そんなの」スタ、スタ

弟「ふーん」スタ、スタ

男「・・・・・・」スタ、スタ

弟「・・・・・・あのさ」

男「・・・・・・え?」

弟「・・・・・・もうちょっとさ、しっかりしろって」

男「・・・・・・」

弟「・・・・・・先帰るわ」タッタッタッタ

男「あ・・・・・・」

男「・・・・・・」スタ、スタ

9: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 20:56:56 ID:KqHdvuh2
男の部屋、夜

テレビに映るゲーム

男「・・・・・・おらッ・・・・・・」ピコピコ

男「・・・・・・おっ・・・・・・おっけ・・・・・・」ピコピコ

コンコン

男「はーい」ピコピコ

弟「風呂、出た」ガチャ、バタン

男「うんー」ピコピコ

弟「あー懐かしいな。なんだっけそれ」

男「スーパードンキーコング」

弟「猿の方俺やっていい?」

男「ディディーだって」

10: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 20:57:32 ID:KqHdvuh2
弟「いや、うわっ! 待てって!」ピコピコ

男「違う違う、回転してジャンプだって」

弟「分かってるって! うお、あっ! あー・・・・・・」

男「ドンマイ」

弟「・・・・・・あのさ」

男「ん?」

弟「・・・・・・さっき、ごめん」

男「え?」

弟「・・・・・・帰りのあれ」

男「・・・・・・ああ、いや」

弟「久しぶりに楽しかったわ。早く風呂はいれよ? 母さんうるさいから」スタ、スタ

ガチャ、バタン

男「・・・・・・」ピコピコ

11: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 21:02:46 ID:KqHdvuh2
玄関、朝

母「男ー! あんたお弁当持った?」スタ、スタ

男「うん、大丈夫だってば」

母「・・・・・・学校はどう?」

男「・・・・・・普通だよ」

母「楽しい? 新しいクラスでお友達は出来た?」

弟「・・・・・・」スタ、スタ、ピタ

男「・・・・・・うん、出来たよ」

母「そう、それならよかった。もう寂しくない? ほら、中学の時は――」

弟「ごめんどいて! 遅刻する!!」タッタッタ

母「きゃあ! あ、ごめんね弟君。今日も部活遅いの?」

弟「うん、遅い! ほら、行くぞ兄ちゃん」グイ

俺「うわっ!」

ガチャ、バタン

12: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 21:03:39 ID:KqHdvuh2
教室、始業前

男「・・・・・・」

○○○「あのー」

男「・・・・・・え? あ、はい」

女「日直、今日男君と私だよ」

男「あ、うん」

女「・・・・・・えーと、号令どっちからかける?」

男「あ、ああ。じゃあ、あの、女、女さん、から?」

女「はーい。後、昼休みにプリント取りに職員室だって」

男「あ、それは俺が、俺が行くよ」

女「ありがとう」ニコ

男(・・・・・・名前、覚えてたんだ)

13: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 21:04:15 ID:KqHdvuh2
女友「ちょ、女と話すからどけてくれない?」

男(彼氏とか、居るのかな)

女友「おーい」

男「え? あ、ごめん・・・・・・」

女「ちょっと女友、元々男君の席でしょ。あっちで話そ」

○友「やさしーな、女は」

○○○「女友がずうずうしいんだって」

○○○「あはは、そんなことないって!」

○○○「てか、あいつ男って名前だっけ」

○○○「女友、それは酷いって」

男「・・・・・・」

14: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 21:04:46 ID:KqHdvuh2
昼休み、廊下

男「・・・・・・」スタ、スタ

○○○「なに、お前アニメとかみんの?」

○○○「弟が無理やりみせてくんだって」

男「・・・・・・」スタ、スタ

○○○「試験とか謎でしょ」

○○○「いや、お前が謎だって」

男「・・・・・・」タッタッタ

○○○「おーい、廊下は話すとこじゃないぞー」

男「・・・・・・」タッタッタッタッタ!

○○○「はーい、つーかあいつ走ってますよ?」

15: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 21:05:32 ID:KqHdvuh2
昼休み、屋上

ガチャ、バタン

男「ぜえ、ぜえ・・・・・・」

男「・・・・・・ぜえ・・・・・・ぜえ」

男「・・・・・・」

男「・・・・・・ぁぁぁぁあああああ!! 分かってるって!!」

男「俺だって誰かと話したい!! 彼女だって欲しい!! 分かってる!!」

男「なんだよ!! しらねーよ!! 友達の作り方なんかわからねえよ!!」

男「分かってるって!! 分かってんだって!!!」

男「・・・・・・はあ、はあ・・・・・・・・・・・・なんだよこれ・・・・・・」

男「・・・・・・寂しい」

16: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 21:06:22 ID:KqHdvuh2
○○○「・・・・・・」もぐもぐ

男「・・・・・・寂しいって、俺だって・・・・・・」

○○○「・・・・・・ごふ、ごほッ! お、お茶」ゴクゴク

男「!? あ・・・・・・」

○○○「ぷはぁぁ死ぬかと思ったー・・・・・・あー、どうも」

男「いや! あの、これ、これは!!」

○○○「分かるよ」

男「あ! いや、だからこ・・・・・・え?」

○○○「寂しいんでしょ? 分かるよ。私も中学まで友達なんて居なかったし」

17: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 21:07:02 ID:KqHdvuh2
男「・・・・・・あの、え、と」

○○○「いじめられてるとか、そういうんじゃないんだよね。なんていうか、あー・・・・・・」

男「・・・・・・こ、どく」

○○○「あーそれそれ! 孤独ってやつ。超きついんだよね」

男「・・・・・・」

○○○「なんていうか、皆、友達をつくれつくれって言うじゃん。いや、じゃあ作り方おしえろよーって感じ」

男「・・・・・・」

○○○「みんな訳わかんないよね。だから気持ち分かるよ、すごく分かる」

男「あ、うん・・・・・・えっと、あり、がとう」

○○○「あはは! 何でありがとうって」

男「え? あ、ごめん」

○○○「どうした、さっきはあんなに話せてたじゃんか。超叫んでたのに」

18: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 21:07:38 ID:KqHdvuh2
男「! いや、あれは、一人だったから!!」

○○○「・・・・・・一人じゃないって。私も居たじゃんか」

男(そういうことじゃ、なくて)

○○○「そういうことじゃないって?」

男「あ・・・・・・ごめん」

○○○「・・・・・・よし」

男「・・・・・・?」

○○○「友達になるか!!」スタッ

男「うわッ!」

19: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 21:08:14 ID:KqHdvuh2
○○○「あはは! 怯えるなって! ほれ、ほれ」チョイチョイ

男「いやっちょっやめ、て、ください」

○○○「うさぎかっ! なんだよーほれほれ」チョイチョイ

男「だ、から! やめ、あ、あはは、はは」

○○○「! あははは! ほれほーれ」チョイチョイ

男「えへあははは! やめて下さいって!」

○○○「なんだよえへあははって! あはは!」

20: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 21:08:56 ID:KqHdvuh2
男「あはは・・・・・・はは・・・・・・はあ」

キーンコーンカーンコーン!

○○○「やばっ! まだお弁当食べきってない!」

男「・・・・・・あ、うん」

○○○「明日もきなよ、ここ」

男「は、え?」

○○○「はいでいいんだって! はいって言え!」

男「あ、えっと・・・・・・はい」

○○○「うんうん! これから私達は友達だ!」

男「! ・・・・・・いい、の? だって、俺、そ――」

友「よし! そしたら私は行く! また明日!!」タッタッタッタ

ギイ、バタン

男「・・・・・・」

男「・・・・・・あ・・・・・・名前、聞いてなかった」

24: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:15:18 ID:KqHdvuh2
夜、リビング

弟「ただいまー・・・・・・あ、もしかして今日カレーうどん?」

母「よく分かったわね」

弟「玄関まで匂ってた。兄ちゃんは?」

父「今風呂入ってるぞー、ご飯の前に弟も入れ」

弟「分かってるって」

母「・・・・・・ねえ、お兄ちゃんのことなんだけど」

弟「ん、なに?」

母「学校ではちゃんと出来てるの?」

25: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:16:30 ID:KqHdvuh2
弟「・・・・・・大丈夫でしょ。つーか、俺高校違うから分かんないって」

母「今朝、友達が出来たって言っていたのだけれど、あれ・・・・・・本と――」

弟「兄ちゃんのことだろ、兄ちゃんに聞けよ」

母「だって、そんなこと聞けないわよ。男が中学生の時のこと、知ってるでしょ?
あの子は恥ずかしがり屋だから、一人も友達が作れなくて、もう高校生二年生なったのにま――」

弟「だから! 聞きたいことがあるならちゃんと兄ちゃんに聞けってば」

母「弟君は友達一杯いるでしょう? ほら、そういうこと、聞きやすいのかなって」

弟「・・・・・・俺じゃ駄目だと思う」

26: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:17:03 ID:KqHdvuh2
母「どうして?」

弟「よくわかんないけどさ、兄弟じゃ駄目なんだって、こういうの」

母「・・・・・・はあ」

弟「大丈夫だって」

母「大丈夫って・・・・・・だって、あの子は・・・・・・ねえ、お父さん」

父「あいつは大丈夫だ」

母「あなたまで・・・・・・どうしてそんなことが分かるのよ・・・・・・だってあの子は」

父「あいつ、今日は楽しそうな顔してたぞ」

母「え?」

27: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:18:04 ID:KqHdvuh2
ガチャリ、バタン

男「・・・・・・あ、弟おかえり」スタ、スタ

弟「・・・・・・はは、ほんとだ」

男「・・・・・・え? なに?」

母(・・・・・・そう、かしら?)

弟「あはは、何でもない。ほら、今日はカレーうどんだってさ」

男「ああ、お風呂にまで匂ってた」

父「弟、風呂」

弟「わかってるってば」

母「男、牛乳飲む?」

男「うん」

28: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:18:36 ID:KqHdvuh2
翌日、朝、校門

○○○「やばッ! 美術の資料集忘れた!」

ダッダッダッダッダッ

○○○「別のクラスの奴から借りるしかないな」

男「・・・・・・」スタ、スタ

○○○「俺達のとこ以外に今日美術あるクラスあったっけ」

ダッダッダッダッダッ

○○○「俺が知ってるわけないだろ」

男「・・・・・・」スタ、スタ

ダッダッダッダッダ!

友「おーっす!」ドン

男「うわっ!」

友「おはよー!」

29: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:19:10 ID:KqHdvuh2
男「あ、あの、おは」

友「あはは、ロボットか! おはよー!」

男「お、おは――」

○○○「おっ、友じゃん! おはよー」

友「あ、おはよー!」

男「あ、あ」

○○○「あ、そうだ。友のクラス今日美術ある? こいつ資料集忘れたらしいんだけど」

友「あるよー! 貸して上げようか?」

○○○「まじ? 助かる!」

友「いいよーっ。あ、でも落書きすんなよー」

○○○「ははは、しねーって! 小学生じゃないんだからさ」

○○○「いや、お前ならしそうだろ」

○○○「しねーって!」

男「・・・・・・」スタ、スタ

30: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:20:04 ID:KqHdvuh2
○○○「じゃあお礼に購買のパン買うわ。今日昼休み空いてる?」

友「あ、ごめん! 昼休みは駄目だ」

○○○「あれ、友達と食うの?」

友「そうだよー。なー?」

男「え? あ・・・・・・うん」

○○○「・・・・・・いや、誰?」

男「あ、俺は、その」

友「だから、私の友達だって」

○○○「・・・・・・へー。仲良いんだな。友、こういう地味系も友達なのか」

○○○「ほら、こいつどんな奴とでも仲良くなるじゃん」

友「そういう言い方するな」

○○○「こわっ! マジになんなって!」

○○○「・・・・・・まあいいや。じゃあ放課後は? カラオケ奢るぞ、バイト代入ったし」

友「おーいいね。皆誘っていこーか」

バイト「おう! そしたら後でなー」スタ、スタ、スタ

31: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:21:43 ID:KqHdvuh2
友「・・・・・・」

男「・・・・・・」

友「今日お弁当何入れてきた?」

男「え!?」

友「鮭? からあげ? ハンバーグ?」ズイ

男「え、と・・・・・・多分、ハンバーグ」

友「おっしゃ! じゃあさ、私のハムカツと交換しない?」

男「え、ハム、カツ?」

友「ほーう、うちのハムカツを甘くみてるな? そこら辺のトンカツの十倍は美味しいぞ! 保障する」

32: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:22:35 ID:KqHdvuh2
男「あ、いや、その・・・・・・」

友「え? なんだよー」

男「・・・・・・そんなに、美味しいなら、何で交換するの?」

友「・・・・・・え?」

男「・・・・・・あ、いや、ごめん」

友「あーもう。白状しますよ。ハンバーグが食べたいんですよ!! これで満足か!!」

男「あ、うん」

友「あはは。よし、じゃあ約束な! じゃあまた昼休みにー」タッタッタッ

男(友って名前だったのか)

33: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:23:40 ID:KqHdvuh2

二次限目、終わり

キーンコーンカーンコーン

○○○「ノート書いた?」

○ッカー部「俺に聞くか?」

男「・・・・・・」

○○○「ねえトイレいこー」

○○○「待って! コテもってくー」

○○○「え、巻くの? 10分で?」

34: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:24:17 ID:KqHdvuh2
○○○「ねっみい!」

○○○「なに、徹夜?」

○○○「徹夜ゲーム」

○○○「はは、アホだな」

○○○「いや、マジであれはヤバイから。今度貸すぞ」

○○○「おっマジ? つーか今日見に行っていい?」

○友「女ーもう駄目だー」

女「ちょっと、重いって!」

男「・・・・・・」

35: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:25:01 ID:KqHdvuh2
昼休み、屋上

友「うまっ! なにこれ!?」

男「あ、ああ、母さん、ハンバーグ得意だから」

友「いいなぁ・・・・・・で、どうよ。うちのハムカツは」

男「あ、うん。おいしい、です」

友「ああ!!」ガバッ

男「!」ビクッ

友「そういえば名前教えてなかった!!」

36: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:26:12 ID:KqHdvuh2
男「・・・・・・友さん、でしょ」

友「え!? こわっ! エスパーか!」

男「あ、いや・・・・・・ほら、今朝」

友「ああーなるほど。ごめんごめん」

男「・・・・・・あ、あの」

友「んー?」

男「・・・・・・あ、俺、男って・・・・・・いいます」

友「よろしくな」ニコ

男「あ、あは・・・・・・うん」

37: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:26:59 ID:KqHdvuh2
友「あ、そういえば放課後空いてる?」

男「え?」

友「ほら、今朝話してたじゃんか。カラオケ。一緒どう?」

男「あ、いや、でも・・・・・・」

友「楽しいぞっきっと」

(――へー。仲良いんだな。友、こういう地味系も友達なのか)

男「・・・・・・ごめん、俺、あの、いいや」

友「あれ、何か用事あった?」

男「うん、いや・・・・・・うん」

友「なら仕方ないかっ。また誘うよ」

男「あ、うん・・・・・・ごめん」

友「あはは、だから謝るなって!」

男「あは、はは」

38: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:27:54 ID:KqHdvuh2
友「・・・・・・あー、ごめん」

男「え?」

友「困らせてるなら、ごめん」

男「あ、いや! 困ってないし、その、楽しいっていうか、楽しいです」

友「・・・・・・うん、そっか」

男「あ、その・・・・・・はい」

友「・・・・・・」

男「・・・・・・」

39: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:28:36 ID:KqHdvuh2
友「・・・・・・えい」

男「ちょ、それ、やめてくだ、さいって」

友「えいえい」

男「いや、あは、えへはは、はは」

友「・・・・・・」

男「・・・・・・あれ? あ、あの」

友「えい」

男「うおっ!」

友「あははは!」

40: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:29:43 ID:KqHdvuh2
放課後、校門

男「・・・・・・」スタ、スタ

野球○「おっ後輩じゃん!」

(――いいなぁ・・・・・・で、どうよ。うちのハムカツは)

○○○「あ、野球部先輩」

○○○「なに、ま○サッカ○○の奴のこ○見に行○○?」

○○○「い、いいじゃな○○○か」

(――よろしくな)

○○○「あー・・・・・・あいつ、彼女居○○たい○○○」

男「・・・・・・」スタ、スタ

41: 深夜にお送りします 2017/03/06(月) 23:30:38 ID:KqHdvuh2
○○○「○? ○○!!」

○○○「○○○○○○。○○○○」

男「・・・・・・」スタ、スタ

○○○「○○○○!」

○○○「○○○。○○」

(――ほら、今朝話してたじゃんか。カラオケ。一緒どう?)

男「・・・・・・」スタ、スタ

○○○「なんかあの人、笑ってないですか?」

○○○「え? あー、あれクラスメイトかも」

○○○「かもってなんですか! あはは」

45: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:28:49 ID:ViaHC7ds
放課後、駅前、コンビニ

男「・・・・・・ジャンプ、は」ボソ

男「・・・・・・」ペラ、ペラ

ウィーン

○○○「いらっしゃーせー・・・・・・あ、バイト君。何、手伝いに来てくれたの?」

バイト「あ、ども。今からカラオケなんすけど、ちょっとトイレ借りに」

○○○「はあ、ちゃんと洗ってけよー」

バイト「あ、おす・・・・・・あ?」

男「・・・・・・」ペラ、ペラ

バイト「あれ、友の知り合いじゃね?」

男「え? あ、ああ、今朝の」

バイト「え、あ、ああ、今朝の」ニヤ

男「あ、ごめん」

46: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:29:27 ID:ViaHC7ds
バイト「はは、何キョドッてんだよお前。何してんの? 立ち読み?」

男「あ、ごめん。そう、ジャンプ」

バイト「ガキかよ。俺はこれからカラオケだわ」

男「あ、知ってる」

バイト「は? お前友と俺達の話聞いてたの? うわ、盗聴かよ」

男「あ、いや・・・・・・友さん、に誘われたから」

バイト「は? お前誘ってねえから」

男「あ、いや」

バイト「・・・・・・お前さ、友と友達なの?」

47: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:30:09 ID:ViaHC7ds
男「いち。おう・・・・・・友達? かな、はは」

バイト「・・・・・・朝も言ったけどさ、あいつ、どんな奴とでも友達になるから」

男「・・・・・・」

バイト「お前、特別じゃねーから。調子乗んな」

男「・・・・・・」

○○○「バイトくーん。結局トイレ使わないの? 清掃時間何だけど」

バイト「あ、おす。使って洗っときまーす。・・・・・・あとここ、俺のバイト先だから。立ち読みすんな」スタ、スタ

男「あ、えと・・・・・・ごめん」

バイト「・・・・・・」スタ、スタ

48: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:30:43 ID:ViaHC7ds
翌日、昼休み、屋上

友「――それで! カラオケに行く途中でバイトが転んだんだよ!」

男「・・・・・・はは」もぐもぐ

友「凄い笑ったよ! だって何もないのに転んだんだよ」

男「あは、は。えっと、どんな、風に、転んだの?」

友「そーだなぁ。いひひ、確かこんな感じ!」ズテーン

男「・・・・・・」

友「? こんな感じで面白かった!」ズテーン

男「・・・・・・」

友「・・・・・・あれ、どーした」

49: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:31:14 ID:ViaHC7ds
男「・・・・・・いや、あの、何で」

友「んー?」

男「なんで、俺、なんかと、友達に」

友「こら」

男「え?」

友「なんかじゃないって」

男「あ、えと、その」

友「だーかーら、俺なんかとか言うなって」

男「・・・・・・」

友「・・・・・・なんかあった?」

50: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:31:44 ID:ViaHC7ds
男「・・・・・・ううん、何も、ないよ」ニコ

友「なんだよーそのぎこちない笑いはー」

男「ほんと、ただ、気になったって、いうか、はは」

友「そっかそっか。・・・・・・友達になった理由かぁ」

男「・・・・・・」

友「あー・・・・・・叫んでて面白かったから?」

男「! いや、あれは、その」

友「あはは! 分かってるって。冗談冗談」

男「・・・・・・」

51: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:32:34 ID:ViaHC7ds
友「うーん。昨日も言ったけどさ、あの時男が叫んでたこと、凄い分かるっていうか」

男「あれ・・・・・・孤独?」

友「うん、そうそう」

男「・・・・・・でも、ほら、友さんは、友達、一杯いるっていうか、その」

友「・・・・・・ああ、それは高校に入ってからでさ。中学までは一人も居なかったんだよ」

男「・・・・・・」

友「何だよその顔は。ほんとーだぞ? 
小学生の頃にクラスで無視されたことがあってさ、その時にふざけんなーって暴れたら、
そのままそれが続いちゃってさ。ほら、中学って同じ小学校の人もくるじゃん?
なんとなーくその空気が中学でも続いて、私も変にムキになってさ、友達なんて一人も出来やしなかったよ」

男「・・・・・・あ、その・・・・・・ごめん」

友「あはは、だから謝りすぎだって。・・・・・・うん、だから男の気持ちは凄い分かる」

52: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:33:25 ID:ViaHC7ds
男「・・・・・・」

友「あーもう!!」スタッ

男「!」ビク

友「ごめん! なんか自分語りすぎて私キモいよね、あはは」

男「いや、そんなこと、ない」

友「あははは、そう? さんきゅー」

男「うん、そうだよ」

友「・・・・・・よし、今日遊びにいくか!」

男「え? いや、俺は、いいよ」

友「どーしてさ」

53: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:34:08 ID:ViaHC7ds
男「あ、ほら、皆の、邪魔になるっていうか」

友「・・・・・・よし、2人で遊ぼう!」

男「え!? あ、いや、だって、ほら」

友「なんか用事あるの?」

男「・・・・・・ない、けど」

友「ないならいいだろ! 決まりだ」

男「・・・・・・あー・・・・・・うん」

友「よっしゃ! なら放課後ね」

キーンコーンカーンコーン

友「あ! またお弁当半分食べそこねた!」

男「あ、あは、は」

54: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:35:08 ID:ViaHC7ds
放課後、教室

○○○「腹減ったーマックいこーぜー」

○○○「いや、モスだろ」

○○○「女ーかえろー」

女「あ、うん」

男「・・・・・・」ソワソワ

○○○「今日ラピュタだっけ」

○○○「はは、何回やんだよって話」

男「・・・・・・」ソワソワ

ダッダッダッダッダッ!

ガラガラ!

友「おつかれー行くぞ」

男「!」ビクッ

55: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:35:53 ID:ViaHC7ds
○○○「あ、友じゃん」

友「あ、おつかれー」

女「あ、友ちゃん」

友「女ーおつかれ!」

○○○「なに、どっか行くの?」

友「遊びにいくー。ほら、男。早く鞄持って」

男「え!? あ、いや、はい」

○○○「・・・・・・男と行くの?」

56: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:36:38 ID:ViaHC7ds
友「うんー友達だし。よし、準備出来たら早くいこーう」

男「・・・・・・あ、はい」スタ、スタ

友「じゃあまた明日ー!」スタ、スタ

アニ研「お、おーう」

漫画研「・・・・・・てか、あいつ、男って名前だったっけ」

女「・・・・・・そっかそっかー」

女友「どした? 早くいこ?」

女「いや、別にー。いこっか」

57: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:37:16 ID:ViaHC7ds
夕方、街中

友「これからどーするー? カラオケとか?」

男「・・・・・・あ、あの」

友「んー?」

男「あ、あれは、やめて、ほしいっていうか」

友「あれ?」

男「さっきの、教室の」

友「あれ、私なんか変なことした?」

男「いや、変っていうか、その、呼びにくるっていうか」

友「あー・・・・・・駄目だった?」

58: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:37:49 ID:ViaHC7ds
男「あ、ごめん」

友「いや、こっちこそごめん。なんていうか、普通だと思ってた」

男「・・・・・・あー・・・・・・あの、俺が悪い」

友「そんなことないって! ごめん、今度から控えるよ」

男「・・・・・・あ、うん」

男(・・・・・・今度も、あるのか)

友「あ、おなか空かない?」

男「え? あー・・・・・・空いた、かも」

友「サイゼリアだ!」

59: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:38:38 ID:ViaHC7ds
夕方、サイゼリア

男「や、安い」

友「あ、はじめてだった? そーなのさ、安いんですよ。食べ放題ですよ、もう」

男「た、食べ放題なの!?」

友「あはは! そんな訳ないでしょ!」

男「あ、ごめん」

友「ドリンクバー頼んでいい?」

男「・・・・・・あー・・・・・・」

友「え? 嫌だった?」

男「いや、その、やったこと、ないから」

友「よし、挑戦だ!」

60: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:39:09 ID:ViaHC7ds
男「・・・・・・」ゴク、ゴク

友「・・・・・・ぷはぁ、夏はやっぱりメロンソーダだな、うん」

男「う、うん」

友「あ、そういえば普段は何してんの?」

男「え? 普段?」

友「そうそう、普段」

男「あー・・・・・・学校、行って、帰って」

友「うんうん」

男「お風呂入って、ご飯食べて」

友「うんうん」

男「あ、昨日はプリンも、食べた」

61: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:39:52 ID:ViaHC7ds
友「ぷっはは!」

男「!」ビク

友「あはは、ごめんごめん。そこでプリンかってね。それで?」

男「・・・・・・ゲームとか、したり」

友「へえ! あんまりやったことない! どんなゲーム?」

男「言っても、分かんないかも、その、古いゲームが、好きで」

友「あーいいよ、新しくても分からないんだしさ」

男「スーパドンキーコングとか」

友「・・・・・・あーなんか聞いたことある。ゴリラが出てくるやつ」

男「そう、それがドンキーコング」

62: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:40:22 ID:ViaHC7ds
友「あとあれだ、猿も」

男「ディディー」

友「え?」

男「あ、ごめん。その、猿が、ディディーって名前」

友「ディディーン!」

男「!」ビク

友「あはは、ごめん、なんか言ってみたかった。それでそれで?」

男「あ、えと、それで、キングクルールっていう、ワニが居て」

友「うんうん」

63: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:41:20 ID:ViaHC7ds
――――
―――
――


男「それで、あの、ふぶきの山だけ、何故か、難し、くて、て・・・・・・」

友「・・・・・・どーした?」

男「あ・・・・・・あは、は」ポロポロ

友「うわっ! ごめん。私が泣かせたのか?」

男「い、いや、そうじゃなくて、その、なんて、言うか」

友「ん?」

男「・・・・・・すごい、楽しい」ポロポロ

友「うん、私もだよ」ニコ

男「ごめん・・・・・・いや、うん・・・・・・うん」

友「・・・・・・ポテト一つ食べる?」

男「うぐっ・・・・・・ひっく・・・・・・ごめん、うん、食べる」

64: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:42:00 ID:ViaHC7ds
夜、街中

友「あはは、三時間は居たな。記録更新だ」スタ、スタ

男「あ、うん」スタ、スタ

友「いやー本当にゲームが好きなんだな」スタ、スタ

男「あ、あは・・・・・・うん、凄く、好きだ」スタ、スタ

友「いいなー、私そういう趣味がないからさー。ゲームに興味が沸いた」スタ、スタ

男「・・・・・・あ、あ・・・・・・」

友「んー?」

男「あ、あれ、よか、たら、今度」

友「うんうん」

65: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:42:59 ID:ViaHC7ds
男「こん、今度、ゲーム、うちに沢山、あるし、よか、よか」

友「あ、いくいくー」

男「え? あ、うん」

友「いつ? 明日? 休みだし」

男「え!? あ、ああ、あ」

友「駄目?」

男「いいや、いや、いいんですよ?」

友「あはは、いいんですか! よし」ニコ

66: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:43:45 ID:ViaHC7ds
夜、リビング

男「・・・・・・」もぐもぐ

弟「・・・・・・」もぐもぐ

父「・・・・・・お母さん、醤油」

母「はいはい」コト

父「ん」

男「・・・・・・」もぐもぐ

母「弟君、もうすぐ大会なんだっけ」

弟「あ、うん。来週ね」

母「応援行こうかしら」

弟「いいって、地区大会に来る親なんていないし」

67: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:44:20 ID:ViaHC7ds
父「・・・・・・あれだ、いつかはアルシンドだな」

弟「いや、プロなんて無理だって」

男「・・・・・・」もぐもぐ

母「そうそう。男も弟君きちんと大学に行って、それから――」

弟「いや、無理って決め付けるなよ」

母「あなたがそう言ったんじゃないの」

男「・・・・・・」もぐもぐ

弟「人に言われるのはなんか嫌だ」

69: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 16:46:02 ID:ViaHC7ds
男「・・・・・・あのさ」

母「え? どうしたの?」

男「・・・・・・あの、明日さ。とも、友達が家、来てもいい?」

弟「!?」

母「え!?」ガタ

父「・・・・・・お母さん、ソース」

男「・・・・・・あ、駄目?」

弟「い、一々聞かなくていいって。ほら、俺の友達もよく来るし」

母「そうそう! お菓子、ケーキでいい?」

男「・・・・・・こういう時ってさ、ケーキで、いいの?」

弟「いや、俺の時はポテチとかだぞ」

父「お母さん、ソース」

75: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 22:31:31 ID:ViaHC7ds
土曜日、昼過ぎ、男の部屋

友「おじゃましまーす」

男「い、いらっしゃい、ませ」

友「あはは! なんだよそれ」

男「あ、あは」

友「おー凄い、本当にゲームだらけだ」

男「う、うん、うん」

友「おっ、これがドンキーコングだね」

男「! そう、そう」

友「やるか!」

男「や、やる」

76: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 22:32:22 ID:ViaHC7ds
――――
―――
――


友「うあ! な!? 跳ねてる! このワニ跳ねてる!」ピコピコ

男「お、おち、おちおち、落ち着いて」

友「男がだよ! あはは! ごめん、笑わせないで!」ピコピコ

男「あ、ごめん」

友「よーし、ここであれだ、回転ジャンプだ」ピコピコ

男「う、上手い、ね」

友「そうー? さんきゅー」ピコピコ

男「あ、そこ」

友「ぎゃー! 猿が落ちたー!」

77: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 22:33:10 ID:ViaHC7ds
コンコン、ガチャ

母「お、男ー、おやつ持ってきたわよ」

友「ありがとうございます」

母「い、いえいえ、こちらこそ、お土産まで頂いちゃって」

男「あ、そこに置いといて?」

母「はーい、じゃあ、あの、ごゆっくりね」ニコ

友「はいっ」ニコ

ガチャ、バタン

友「男、普通に話せるじゃん」

男「あ、え?」

友「ぎゃーまた猿が!」ピコピコ

78: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 22:33:54 ID:ViaHC7ds
リビング

父「・・・・・・」ペラ、ペラ

母「・・・・・・」スタ、スタ、ストン

父「・・・・・・」ペラ、ペラ

母「・・・・・・ねえ、あなた」

父「なんだ」ペラ、ペラ

母「男のお友達、女の子よ」

父「ああ、さっき見たじゃないか」

母「・・・・・・ねえ、あなた」

父「なんだ」ペラ、ペラ

母「あの子が、女の子を」

父「ああ、そうだ」ペラ、ペラ

79: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 22:34:28 ID:ViaHC7ds
夕方、玄関

友「遅くまでお邪魔してすいませんでした」

母「いいえー、ま、またいつでも来てね」

男「あ、じゃあ、あ」

友「うんっ、また来週学校でな!」

父「男、その子送って行け」

友「いえいえ、駅まで近いですし。大丈夫ですよ」

男「う、うん」

友「それでは!」

ガチャ、パタン

80: 深夜にお送りします 2017/03/07(火) 22:42:09 ID:ViaHC7ds
夜、友の家

ガチャガチャ、ガチャ、バタン

友「ただいまー!」スタ、スタ

友「あー面白かった」

友「今日はハムカツでも作るかなー」

友「今日もか、あはは」

友「あ、宿題あったなー」

友「はっはっはー、日曜日があるじゃないか。明日やろ」

友「・・・・・・」

友「よーし」

84: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 03:58:47 ID:W0ROFV3.
月曜日、始業前

○○○「あのさ、もう土日日日日木金って感じでいくね?」

○○○「・・・・・・二日だけでも学校来ようとするだけ偉い、のか」

男「・・・・・・」

○○○「目の下隈出来てない?」

○○○「え? マジ?」

○○○「いや、私が」

男「・・・・・・」

女「おはよう、男君」

男「!」ビク

女「・・・・・・あれ?」

85: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 03:59:41 ID:W0ROFV3.
男「あ、あ、おは、よう」

女「先週の金曜日、友ちゃんと遊んだの?」

男「あ、ああ、うん」

女「そっかそっか。ていうか、男君友ちゃんと友達だったんだね」

男「あー・・・・・・はい」

女「・・・・・・友ちゃんって明るいし、誰にでも優しいし、話していて楽しいもんね」

男「は、はい」

女「はいって! はは、男君面白い」

女友「なに話してんのー?」スタ、スタ

女「おはよー、男君が友ちゃんと友達って話だよ」

86: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:00:38 ID:W0ROFV3.
女友「あー金曜のあれか。てか、お前友達居たんだ」

女「ちょっと!」

男「・・・・・・あ、あは」

女友「はあ? 何で笑う訳?」

女「やめなって」

女友「え、どした。女変じゃない?」

女「そんなことないって。あっちで話そ?」スタ、スタ

女友「いーけど」スタ、スタ

男「・・・・・・」ドキドキ

男(凄い・・・・・・教室で、会話を)

87: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:01:31 ID:W0ROFV3.
昼休み、屋上

男「そ、それで、はいって、言ったら、女さんに、わら、笑われて」

友「うんうん! 凄いじゃないか!」

男「それで、女友さんに、お前友達、居たんだって! 言われて」ドキドキ

友「・・・・・・あー、いや、それは」

男「な、なに?」ドキドキ

友「いや、ううん。大進歩だ!」

男「うん! 教室で、はじめて、人と会話した!」

友「あはは! そんな宇宙人と会ったーみたいな言い方するなって」

男「・・・・・・あ、ごめん」

友「謝るなってば。良かったね」ニコ

88: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:02:17 ID:W0ROFV3.
男「あ、そういえば、あの、ど、土曜日、ありがとう」

友「いやいや、こちらこそ。凄い楽しかった。猿は一杯死んだけど」

男「ディディー、ね」

友「・・・・・・男の家族も皆良い人だったなー」

男「! うん。お、弟も居る」

友「お! 帰り際すれ違ったかも」

男「うん、多分、それ」

友「へー。背も高かったし、なんか男より大人っぽかったな」

男「あー・・・・・・そう、そっか」

友「あはは! 落ち込むなって!」

89: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:03:10 ID:W0ROFV3.
友「あ、そうだ! 今日もバイト達にカラオケ誘われてるんだけど、どう?」

男「・・・・・・あ、いや、俺は、いい、かな」

友「・・・・・・バイトのこと嫌いなのか?」

男「いや、いやいや。そんな、そんなことは」

友「なら来てみなって。今朝はクラスメートと話せたんだし、これで友達も増えたら凄くない?」

男「う、うん」

友「どうする?」

90: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:03:42 ID:W0ROFV3.
男「・・・・・・わ、わかった。行くよ」

友「よっしゃ! じゃあバイト達に伝えてくる!」スタ

男「・・・・・・あ」

友「んー?」

男「あ、あの。弁当、半分、残ってない?」

友「ああ! 危ないところだった!!」

キーンコーンカーンコーン

友「ぎゃー!」

91: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:04:24 ID:W0ROFV3.
放課後、教室

男「・・・・・・」ソワソワ

○○○「はあー疲れた。あと四日も続くのかー」

○○○「お前朝からそればっかりな」

○○○「カカオって?」

○○○「あーほら、ラインが黄色くなった感じのアプリ」

○○○「いや、余計分かんないんだけど」

男「・・・・・・」ソワソワ

○○○「・・・・・・つーか、扉のとこのあれ、友でしょ? 仁王立ちで何やってんだろ」

男「・・・・・・え?」チラ

友「・・・・・・!」ニカ

92: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:05:02 ID:W0ROFV3.
男「え? あ、え?」

友「・・・・・・」ブンブン

○○○「なにあれ、ダンス?」

○○○「いやいや。来い、来い、でしょ」

友「・・・・・・!!」ブンブンブン

○○○「やっぱダンスだって」

男「あ、いや、え?」

友「あー、もう!! 男がこうしろって言ったんだろー! 早く来なって!」

○○○「ほらやっぱり」

女「あ、友ちゃん! 今日も男君と遊ぶの?」

友「お疲れー! そうそう。今日はカラオケだ!」

女「ねえ、私も行っていい?」

93: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:05:42 ID:W0ROFV3.
男「!」

友「全然いいよん。なー?」

男「あ、うん」

女友「あ、女行くなら私も行くわ」

友「おー! 女の友達も全然おっけー」

○○○「あ、なに、カラオケ?」

○○○「友ー、俺らもいっていい?」

友「おーおー。あはは、今日は宴会か!」

女「ごめんね? 男君」

男「え? あ、いやいや、俺は全然、いいって、いうか」ドキドキ

94: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:06:17 ID:W0ROFV3.
夕方、カラオケ、パーティー室

○○○『まるでありえないぃぃやつらぁぁだぁけさぁぁ!!』

○○○「あはは、ちょっと古くね!?」

○○○「あ、ライン来た」

バイト「・・・・・・で、こいつら全員連れて来た訳?」

友「おう!」ニコ

バイト「まあいつものことだからいいんだけど。・・・・・・お前も来たのか」

男「あ、うん、その」

95: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:07:06 ID:W0ROFV3.
バイト「はは、まじキョドッてんな」

友「やめろって」

バイト「・・・・・・分かってるって」

友「ほれ、次は男が曲入れる番だぞー、何歌う?」

男「え? あ、いや、その」

友「ん?」

男「・・・・・・カラオケ、行ったこと、なくて」

バイト「だはは! それマジかよ」

友「おい、バイト」

バイト「何か歌えよ。せっかく来たのに歌わないんじゃ、しらけんだろ」

友「男、無理しなくていいから」

バイト「・・・・・・お前、友の友達だっていうなら、盛り下げるようなことすんな」ボソ

男「・・・・・・わ、わかった。う、うた、歌う」ピッ、カチ、カチ

96: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:07:54 ID:W0ROFV3.
男(あ、ああ、どれを、なにを、歌えば)ピッ、カチカチ、カチ

○○○『かぁみーさーま、ありがとうー!うんーめいのー』

○○○「うわぁこれオタクの歌でしょ」

○○○「オタクじゃなくてアニメな」

○○○「漫画研、詳しいんだな」

男(こ、これ? いや、あ、あ!!)ピピピ

女「これかーらーも! どっうっぞよろしくね! こんなわったっしだーけーど!」

○○○「かわいいなぁ」

○○○「やっぱカナだよねー」

○○○「わかるー」

97: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:08:34 ID:W0ROFV3.
○○○「あ、次誰ー?」

バイト「こいつこいつー。ほれ、マイク」ポイ

男「わ、あ、ああ、あ、その」

バイト「・・・・・・こいつ前で歌うらしいぞ!!」ドン

男「うわっ! いや、あ、ごめ、その」ドタタ

○○○「はは、気合入ってんな」

○○○「あれ誰だっけ」

○○○「あーあれ、いつも黙って端に座ってる奴」

男(ど、どど、どう、どう、どど)カタカタ

○○○「あ、この曲なんだっけ」

○○○「さあ?」

男(いや、これ、あ、ああ、あ)カタカタ

98: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:09:10 ID:W0ROFV3.
○○○「おーい前奏終わったぞー」

○○○「がんばれー」

男『わ、わ、あ、た』カタカタ

○○○「あはは! 何してんだよ」

○○○「うける!」

男(ああ、あ、あああ)クラ

友『ふっふっふー、ここからはデュエットだ!』スタッ

男『あ、え?』

○○○「はは、マジか!」

○○○「いーぞー!」

99: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:09:46 ID:W0ROFV3.
友『だきしめぇていぃたいぃぃぃ!! こーんなにー! えーぶりーでえいー!』

○○○「ははは! この曲全然しらねぇ」

○○○「あれ、古い奴だよ確か」

○○○「なんだかわかんねえけど上手いぞー!!」

男『は、はなしーたーくはー』ボソ

女「・・・・・・」

――――
―――
――

100: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:11:20 ID:W0ROFV3.
夕方、街中

漫画研「じゃあバス組こっちだから」

アニメ研「また明日なー」

ギャル「降りたらドンキ行かない?」

バイト「・・・・・・友、また明日な」

友「おうっ、みんな気をつけてバスに乗るんだよー」

ギャル「はは、気をつけて乗るってなに」

友「あはは! じゃあまた明日! ほら、男も」スタ、スタ

男「・・・・・・み、みんな、ま、また、明日」スタ、スタ

アニメ研「おーう」

101: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:12:06 ID:W0ROFV3.
友「はーすっきりしたー! もう喉ガラガラ」スタ、スタ

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「・・・・・・」スタ、スタ

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「・・・・・・えーと、ごめん」スタ、スタ

男「うえ!? え? なんで」

友「ほら、男、無理やり歌わされたじゃん」

男「あ、いや、こっちこそ、ごめんっていうか、曲、良く知ってたなって、いうか」

友「あー・・・・・・あはは、お父さんが好きだったんだよね」

男「あ、そう、なんだ。お、俺も、父さんが、あの曲、好きだから」

友「あはは! 確かに好きそうな顔してた!」

男「え? そういうの、顔に出るの?」

102: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:12:41 ID:W0ROFV3.
友「冗談だって! ・・・・・・今日、楽しめた?」

男「う、うん。楽しかった。ほら、最後の方、他の人、とかと、話せたし」

友「そっか。それなら良かった」ニコ

女「ごめーん遅れた!!」タッタッタ

友「あれー? 女バスじゃなかったっけ」

女「今日は電車なの!」

男「・・・・・・あ」ドキドキ

女「一緒にかえろ?」

男「あ、いい、いいよ」

友「じゃあ行こうかっ」スタ、スタ

103: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:13:12 ID:W0ROFV3.
夕方、駅、ホーム

女「――でね、久しぶりに会ったんだけど、その人が」

友「うんうん」

男「・・・・・・」

女「なんか変っていうか、髪型が・・・・・・アフロ? ボンって」

友「あはは! 凄いなそれ」

男「・・・・・・」

女「――料理が凄い上手でね」

友「あ、料理といえば男のお母さんも凄い料理上手なんだぞー。なー、男」

男「え? あ、ああ」

104: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:13:53 ID:W0ROFV3.
女「え? 友ちゃん食べたの?」

友「うん、おかず交換した!」

女「・・・・・・一緒にお昼食べてるの?」

友「うん、そうだよー。なー、男」

男「あ、はい」

女「じゃあ、明日私も一緒に食べていい?」

友「あ、私はいいけど?」チラ

男「・・・・・・あ! あ、うん、俺も、いい」ドキドキ

女「ありがと! じゃあ明日一緒に食べよう!」

○○○『まもなく三番線に、千歳行き、普通列車が到着致します。お待ちの方は白――』

105: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:14:32 ID:W0ROFV3.
プシュー、ガシャン

女「じゃあ、私これだから」スタ

友「うんっ! また明日!」

男「あ、また、明日」ドキドキ

女「また明日ねっ」

プシュー、ガシャン

○○○『千歳行き普通列――』

106: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 04:15:10 ID:W0ROFV3.
男「・・・・・・はあ」ドキドキ

友「・・・・・・」

男「・・・・・・?」

友「やったじゃん」ニヤ

男「え!? いや、俺、その」

友「なんだよー。えい、えい」

男「ちょ、ちょっと、だか、ら、あ」

友「あはは! なんだよー、ほれほれー」

男「い、いや、はは、えあははは」

109: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:51:46 ID:W0ROFV3.
夜、リビング

ガチャ、バタン

母「おかえり、今日は遅かったわね」

男「うん、友達、カラオケに行ってきたよ」スタ、スタ

母「え?」ガシャーン

父「お母さん、皿が」

母「そ、そう。良かったわね」ニコ

男「うん! 部屋に鞄置いてくる」タッタッタ

110: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:52:30 ID:W0ROFV3.
翌日、始業前

○○○「大会なのは分かるけどさ、野球部と吹奏楽部だけ授業サボりってずるくね?」

○○○「じゃあ野球部入れば?」

○○○「え、坊主は無理」

男「・・・・・・」

アニメ研「本屋が選ぶ漫画のやつあるじゃん」

漫画研「うん、書店員が選んだおすすめコミックな」

アニメ研「あれさ、書店員だからなんだっていうの? 何者なの?」

男「・・・・・・」

漫画研「俺に聞くなよ、知らんわ」

アニメ研「お前漫画詳しいだろ」

漫画研「書店員に詳しい訳じゃねーよ」

アニメ研「なんだよー、男はどう思う?」

111: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:53:19 ID:W0ROFV3.
男「・・・・・・え?」

アニメ研「だから、書店員は一体何者なんだって話」

男「あ、あ、うん。しょて、書店員は、本屋の、店員だよ?」

漫画研「・・・・・・」

アニメ研「・・・・・・」

男「あ・・・・・・ご、ごめ――」

漫画研「ははは! それは分かってるっての」

112: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:54:08 ID:W0ROFV3.
アニメ研「男って天然かよー、はは、今の返しは凄いわ」

男「あ、え? あ、あは」

漫画研「あれだ、書店員の資格があんだよ、きっと」

アニメ研「書店員三級とかか? あはは、ねえよ! そんなこと言ったら俺の親父も建築の資格が必要だわ!」

漫画研「それは必要だぞ」

アニメ研「・・・・・・え、まじ? 男も知ってた?」

男「う、うん」

漫画研「はは、知らねえのお前だけだって。どうやってこの高校入ったんだよ」

113: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:54:46 ID:W0ROFV3.
昼休み、屋上

女「あーほんとだ! 男君のお弁当美味しい!」

男「あ、あは、そう、かな」ドキドキ

友「いいなぁ、私も美味しいお弁当食べてーよう」

男「友、さんの、お母さん、のも、美味しかった」

友「ああ、あはは。ありがと」

女「あ、そうなの? 私も食べてみたい!」

友「ぎゃー! それはメインのフライなのにー!」

女「美味しい!」

男「あは、ははは」ニコ

114: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:55:21 ID:W0ROFV3.
放課後、男の部屋

男「・・・・・・てい、よし、うりゃ・・・・・・」ピコピコ

友「あー違うって! そこに入ったら赤い風船があるのに」

男「はは、いや、今、タイム、アタック、してるから」ピコピコ

友「何それ? あ! そこも確か入れるんだぞ!」

男「ああ、はは」ピコピコ

友「やっぱり男はゲーム上手いなぁ」

男「友、さんも、上手だよ」ピコピコ

友「ああー! そこには緑の風船が!」

男「うん、タイムアタック、だってば」ピコピコ

115: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:55:51 ID:W0ROFV3.
翌日、三次限目

キーンコーンカーンコーン

サッカー部「やっべ寝てた!!」

野球部「はは、ばーか。俺も寝てたけど」

サッカー部「ノート取ってねえ・・・・・・あ、男ー。お前ノート取った?」

男「あ、う、うん」

サッカー部「頼む、写させてくれ! 明日ノート提出だし」

男「あは、い、いいよ」

野球部「マジで!? 俺も俺もー」

116: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:56:25 ID:W0ROFV3.
夜、リビング

男「で、でね。ノートを写させて上げた」もぐもぐ

弟「うんうん」もぐもぐ

母「そう」ニコ

男「あ、あと母さんの弁当、美味いって」もぐもぐ

母「お昼も一緒に食べてるの?」

父「母さん、塩」

母「はいはい」

男「うん、屋上で、友さんと。・・・・・・あ、あとたまに、女さんも」ドキドキ

弟「おおー、男は兄ちゃん一人か」もぐもぐ

男「え? どういうこと?」

117: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:57:02 ID:W0ROFV3.
週末、書店

漫画研「おいー新刊売り切れてんぞ」

男「・・・・・・」ペラ、ペラ

アニメ研「なあ、やっぱり書店員には何か秘密があるんだって」

漫画研「だからないってば。あ、男ー。お前これ読んでるんだっけ」

男「え? あ、うん。好きだよ」

アニメ研「おっこれアニメにもなってるぞ!」

男「そ、そう、そうなんだ」

漫画研「男、思ったよりこういうの詳しいよな」

アニメ研「DVD貸してやろうか?」

男「あ、あり、ありがとう」ニコ

118: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:57:45 ID:W0ROFV3.
翌週、昼休み、屋上

友「あはは! だから謝るなってば」もぐもぐ

男「あ、ごめん」

友「ほれまた! 謝り大臣か!」

男「・・・・・・え? 謝り、大臣って?」

友「適当に言っただけだって! あはは」

ガチャ、バタン

バイト「・・・・・・よお」

男「・・・・・・あ」

友「おうバイト! どーしたー」

バイト「今日は連れが学食だから」ドサ

友「よーし! なら一緒に食べよーか」ニコ

バイト「おう」ドキドキ

119: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:58:16 ID:W0ROFV3.
男「・・・・・・」もぐもぐ

バイト「あ、そうだ。明日ボウリングいかね? 週末だし」

友「ほーう、私のアベレージを忘れているのかな?」

バイト「分かってるって」

男「・・・・・・」もぐもぐ

バイト「・・・・・・あー・・・・・・お前も来るか?」

男「・・・・・・あ、え?」

バイト「どうせ友が誘うんだろ? 来いよ。・・・・・・前みたいに、無茶ぶりしねーから」

男「あ、あは・・・・・・うん」ニコ

友「うんうん、皆で行こう」ニコ

120: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:58:56 ID:W0ROFV3.
金曜日、放課後、ボウリング場

野球部「おっしゃぁぁストライク!!」

ギャル「あれ、あんた部活は?」

野球部「・・・・・・地区二回戦、落ち・・・・・・来週まで、オフ」

ギャル「・・・・・・あー・・・・・・ボウリングで甲子園目指せば?」

野球部「ねえよそんなの!!」

女「きゃー! スペア取れた!」

女友「やるじゃん女! あ、ライン来た」

女「チャラ男君とどうなの?」

女友「あ、いや、別に?」

女「・・・・・・ふーん」

女友「な、なんだよその顔はー」

121: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 16:59:51 ID:W0ROFV3.
友「おお!! 凄いぞ男! 速すぎてボールが見えない!?」

バイト「いや、ちゃんと溝走ってんぞ。ガーター」

男「・・・・・・」

友「ど、どんまーい。もう一回あるよー」

男「・・・・・・わ、脇を、締めて・・・・・・こう! ・・・・・・あ」ガタン、ゴロゴロ

友「あははは! 下手くそー!」

男「あ、あは、は」

友「はっはっは。男、私の技を盗め! おりゃー!!」

ゴロゴロ、ガタン

友「・・・・・・こ、これぞ消える魔球だ」

アニメ研「消さなきゃいけないのはピンだけどな」

バイト「お前アベレージ25だもんな」

122: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:00:40 ID:W0ROFV3.
夜、駅のホーム

友「うひー、腕がパンパンだ! ほら、指もなんか震えてるし」

男「・・・・・・ボウリング、はじめて、やった」

友「うんうん! 男のおかげで私はブービー賞が取れたぞ」

男「・・・・・・ははは、ありが、とう?」

友「溝にボールを転がすスポーツなら、私達がトップなんだけどなぁ」

男「う、うん」

友「あはは、そうだったら楽しいかもな」ニコ

男「うん」ニコ

男(・・・・・・あれ? “だったら?”)

○○○『まもなく、新千歳空港行き、快速エアポートが――』

友「お、電車来るってさ」

男「あ、え? うん」

123: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:01:18 ID:W0ROFV3.
夜、近所

男「・・・・・・」スタ、スタ

近所の住民「こんばんはー」

近所の住民「あら、こんばんはー。どう? 息子さんは」

近所の住民「それがもう遊んでばかりでー。せっかく進学校なのに」

男「・・・・・・」スタ、スタ

弟「あ。お疲れ、兄ちゃん」

男「あ、うん」

弟「・・・・・・」スタ、スタ

男「・・・・・・」スタ、スタ

弟「・・・・・・最近学校どう?」スタ、スタ

男「楽しいよ」スタ、スタ

弟「そっか」ニコ

124: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:01:52 ID:W0ROFV3.
翌週、始業前、教室

男「・・・・・・」スタ、スタ

ガラガラ、ピシャ

女友「・・・・・・あ」

男「・・・・・・? お、おは、おはよー」ニコ

サッカー部「・・・・・・」

野球部「・・・・・・」

漫画研「・・・・・・」

アニメ研「・・・・・・」

男「・・・・・・あ、あれ? あ、あ・・・・・・」ニコ

女友「行こ? 女」スタ、スタ

女「う、うん」スタ、スタ

125: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:02:47 ID:W0ROFV3.
男「・・・・・・」スタ、スタ、ストン

サッカー部「・・・・・・最低だな」

男「え?」キョロ

野球部「・・・・・・おっ、そうだ! お前んとこも地区敗退だろ? オフ期間遊ぼうぜ」

サッカー部「ばーか、練習だよ」

男「・・・・・・あ、あれ?」ニコ

漫画研「・・・・・・おっそうだ、前言ってたDVDだけど」

アニメ研「おうっ! 持ってきたぞー」

男「あ、あの、ああ、あの」

漫画研「サンキュー! 今日観てみるわ」

アニメ研「傷つけんなよー?」

漫画研「はは、俺の漫画にお茶ぶっかけた奴が言うなって」

男「・・・・・・あ、あ」

126: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:03:31 ID:W0ROFV3.

○ッカー部「でー? お前は○フ期間何○○の?」

野球○「へへ、最近一川高校の女○○ライ○してる○○○」

○画○「○○○だろー、お前こそ○○○」

ア○○「あ○は! ○○○○○○」

男「あ、え? あ、あ・・・・・・」ニコ

○○○「○○○○○○、○○○」

○○○「○○、○○○○○○」

○○○「○○○○○」

○○○「○○○○、○○○○○」

男「・・・・・・あ、あは」

○○○「○○○○○○」

○○○「○○○○」

男「・・・・・・」

127: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:04:19 ID:W0ROFV3.
昼休み、廊下

男「・・・・・・」スタ、スタ

○○○「○○○、○○○○○○」

○○○「○○○○○○」

バイト「・・・・・・おい」

男「・・・・・・え? あ、ああ」ニコ

バイト「・・・・・・」グイ

男「!? あ、あれ? な、なんです、か?」ヨタタ

バイト「・・・・・・お前、最低だな」

男「え? な、なに?」

バイト「うるせーカス。・・・・・・お前、もう友に近づくなよ」

男「・・・・・・え?」

バイト「お前みてえな奴と関わると、友まで誤解されんだろ」

128: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:05:03 ID:W0ROFV3.
男「あ、あは? なに、を」

バイト「ヘラヘラしてんじゃねえぞ!! カス野郎」

○○○「おい、お前らどうした。喧嘩かー?」

バイト「・・・・・・とにかく、二度と友に近づくな」スタ、スタ

男「・・・・・・」

○○○「・・・・・・ん? なんだ、大丈夫か?」

男「あ、あは。・・・・・・はい」スタ、スタ

○○○「○○○○○○」

○○○「○○○○」

男「・・・・・・」スタ、スタ

男(・・・・・・あ、あれ? あはは、何処に行けば、いいんだろう)

131: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:18:39 ID:W0ROFV3.
放課後、街中

男「・・・・・・」スタ、スタ

○○○「どうぞー、試供品はいかがですかー?」

○○○「あれ、電波わりいな、ここ」


女「男君!」タッタッタ

男「・・・・・・あ、え?」

女「・・・・・・はあ、はあ・・・・・・やっと追いついた」

男「・・・・・・あ、はい」

女「・・・・・・はあ、はあ・・・・・・話が、あるの」

132: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:19:17 ID:W0ROFV3.
放課後、カラオケボックス

女「――だからね、何故だか分からないけど、男君が中学時代に、女の子に乱暴したって噂が広まってるの」

男「・・・・・・え? いや、俺、そんな」

女「分かってるよ、男君はそんなこと絶対しない」

男「あ、うん。・・・・・・あり、ありが、とう」

女「・・・・・・でも、こういう誤解ってそう簡単に解けるものじゃないと思う」

男「そう、かも」

133: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:20:00 ID:W0ROFV3.
女「私、頑張ってみんなに話してみるよ!! 男君はそんなことしてない、無視するのはやめようって」

男「う、うん」

女「だからそれまでさ・・・・・・友ちゃんとも話したりしない方が良いと思う」

男「・・・・・・え?」

女「ほら、こういうのって一緒に居る人も誤解されるでしょう?
だから、学校では私も男君とは話せない。男君の味方って思われたら、私の話を誰も聞かなくなるでしょう?」

男「・・・・・・うん。ごめ、ごめんね」

女「友達なんだから、当たり前だって・・・・・・私こそ、こんなことしか出来なくて、ごめん」

男「・・・・・・あ、ああ・・・・・・」ポロポロ

134: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:20:35 ID:W0ROFV3.
夜、近所

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「おっす!」

男「え? あ、あれ。何で?」

友「昼休み屋上来なかっただろー! 放課後に探しても見つからなかったから、ここまで来てみた」

男「・・・・・・あ、いや、ごめん」スタ、スタ

友「・・・・・・おーい、何処に行く」

男「・・・・・・か、かえ、帰る」スタ、スタ

友「待てって。どうしたんだよー」スタ、スタ

135: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 17:21:13 ID:W0ROFV3.
(だからそれまでさ・・・・・・友ちゃんと話したりしない方が良いと思う)

男「は、話し、かけないで」スタ、スタ

友「・・・・・・え? 訳分かんないぞ。あはは、何かのゲーム?」スタ、スタ

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「・・・・・・おーい・・・・・・」

友「ごめん、私、何かした?」

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「・・・・・・私のこと、嫌いか?」

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「あはは、は・・・・・・待てって・・・・・・待てってば」

139: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:31:51 ID:W0ROFV3.
翌日、昼休み

男「・・・・・・」もぐもぐ

○○○「あはは、えーほんと?」

○○○「いや、マジだから!」

○○○「笑えるー」

○○○「てか、放課後カラオケでいい?」

○○○「あー、いいね」

○○○「チャラ男達誘っていい?」

○○○「また? 女友、チャラ男と二人で行けばいいじゃんか」

○○○「ブハッ!? いや、いいじゃんか」

○○○「あはは、ブハッて」

男「・・・・・・」もぐもぐ

140: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:32:32 ID:W0ROFV3.
○○○「見んなって!」

○○○「見せろって! また彼女からなんだろ!」

○○○「何で彼女のライン見せなきゃいけないんだよ」

○○○「やっぱ彼女なんだろ! あ、からあげ一個くれ」

○○○「だからさ、嫌だってば」

○○○「部活で腹へるんだって!」

○○○「・・・・・・お前今オフ期間だろ」

男「・・・・・・」もぐもぐ

141: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:33:05 ID:W0ROFV3.
○○○「だからあれはやっぱりリアルな友情を的確に表しているところが」

○○○「いや、絶対リアルなエロさが良いんだって」

○○○「前も言ったけどさ、リアルなエロなんて俺達知らないだろ」

○○○「あはは、その通りだ」

○○○「アニ研、そういえばアニ子とデートしたんだって?」

○○○「はあ!? 出かけただけだ」

○○○「ほー」

男「・・・・・・」もぐもぐ

142: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:33:41 ID:W0ROFV3.
放課後、校門

男「・・・・・・」スタ、スタ

○○○「あ、先輩! 次はいつ遊べますか?」

○○○「だから俺彼女いるんだって」タッタッタ

○○○「ちょ! まってくださいよー」

○○○「後輩、もうあきらめときなって」

○○○「やだ!」

○○○「つ、強いなぁ」

男「・・・・・・」スタ、スタ

143: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:34:17 ID:W0ROFV3.
駅のホーム、夕方

○○○「また明日ねー」

○○○「あ、明日も忘れるなよー」

○○○「わかってるってー」

○○○「何度も申し訳ありません。電話もなんですから、また御社に直接――」

男「・・・・・・」

○○○「どうよ、今日」

○○○「いやーすいません。今日も金欠で」

○○○「ははは、お前最初から俺の財布当てにしてんだろー?」

○○○「そんなことないですよー」

○○○「心配しなくても奢りだ、いくぞー」

男「・・・・・・」

○○○「まもなく、普通列車が――」

144: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:35:15 ID:W0ROFV3.
住宅街、夕方

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「よっ!」

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「あはは! 早退して待ち伏せしたぞ! あはは! 怖いだろーストーカーだぞー」スタ、スタ

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「・・・・・・噂、耳に入った。あんなの嘘に決まってる」スタ、スタ

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「だから、気にするなって。私もそんなの気にしないから」スタ、スタ

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「・・・・・・あはは、何か、言えって」グイ

145: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:35:46 ID:W0ROFV3.
男「・・・・・・も、もう、放っといて」

友「・・・・・・え?」

男「もうほっといてくれよ!! め、迷惑なんだって!!」

友「ちょ、ちょっと、なんだよ」

男「友さんは友達一杯居るだろ!! そ、そいつらと話せよ!!!」

友「・・・・・・あは、は、男だって、友達、だろ」

男「やめろって!! 俺は一人で良いんだって!!! い、い、いつもそうだったからいいんだって!!!」

146: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:36:37 ID:W0ROFV3.
友「・・・・・・」

男「・・・・・・はあ、はあ。・・・・・・も、もう帰る」スタ、スタ

友「・・・・・・待ってよ」グイ

男「・・・・・・え?」

友「・・・・・・もう、やだよお・・・・・・ヒック・・・・・・一人は、嫌だよう」

男「と、友、さん?」

友「行く、なよー・・・・・・うぐ、ヒック。行ぐなってば・・・・・・」

男「・・・・・・友さん」

友「ひ、とり、に・・・・・・しないで」

147: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:37:16 ID:W0ROFV3.

――
―――
――――

四年前

友の家、リビング

友「・・・・・・」もぐもぐ

友弟「やっぱりお姉ちゃんのハンバーグの方が大きい!!」

友母「あはは、大きくないったら」

友「・・・・・・」もぐもぐ

友母「・・・・・・友ちゃん、学校はどう?」

友「・・・・・・別に」もぐもぐ

友母「そう・・・・・・お友達は、出来た?」

友「・・・・・・うちにだってお父さんが居ないんだから、そういうこと言われたくない」

友母「・・・・・・ごめんね」

友弟「あー! お姉ちゃんがお母さんのこといじめたー!」

148: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:38:03 ID:W0ROFV3.
三年前


中学、教室

○○○「○○○○○、○○○○○○○」

友「・・・・・・」

○○○「○○○○○、○○」

○○○「○○○○○○○○○」

友「・・・・・・」

友(別に、他人なんかどうでもいい。誰も私のことなんか分かってくれない)

○○○「○○○○○、○○○○○」

○○○「○○○○○○○○、○○○○」

○○○「○○○○、○○○○○○○○」

○○○「○○○」

○○○「○○○○○○○○○、○○○」

友「・・・・・・」

149: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:38:44 ID:W0ROFV3.

二年前

友の家、リビング

ガチャ、バタン

友「・・・・・・ただいま」ボソ

友「・・・・・・あれ? お母さん? 友弟ー?」

プルルルル、プルルルル

友「・・・・・・?」ガチャ

友「はい」

○○○『やっと繋がった・・・・・・友さんのご自宅ですか?』

友「・・・・・・はい・・・・・・あ、あの?」

○○○『第一病院の者です、落ち着いて聞いてください』

友「・・・・・・え?」

150: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:40:33 ID:W0ROFV3.
第一病院、廊下

友父「・・・・・・おい」

友「・・・・・・う、うぐっ・・・・・・ヒック・・・・・・あ、お父、さん」

友父「もう違うと言っただろう」

友「・・・・・・」

友父「金のことは心配しなくていい。このままあの家で暮らしなさい」

友「・・・・・・お父、さんは?」

○父「前にも言っただろう、もう俺は別の子のお父さんなんだ。
あいつは身内も居ないから、葬式もいらないだろう? あいつと弟の火葬だけ手配をしておく」

友「・・・・・・ま、待って、待ってよ」

○○○「とにかくまた電話する。じゃあ」スタ、スタ

友「・・・・・・」

○○○「・・・・・・酷いわね、今の聞いた?」ヒソヒソ

○○○「あの子、一人なんでしょう? どうするのかしら」

友「・・・・・・あ、あは、は」ポロポロ

友(・・・・・・私、一人だ)

151: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:41:20 ID:W0ROFV3.
一年前

高校、教室

○○○「じゃあ二人は同じ中学なんだね!」

○○○「うんっ。まだ何人か同中の子来てるよー、後で紹介するね」

友(・・・・・・もう、一人は、孤独は嫌だ。か、変わらないと)

友「は、はじめまして! 友だよー」ニコ

○○○「うんーよろしくー」

○○○「ねえねえ、中学何処だったのー?」

友「あ、恵庭、だよ」

○○○「結構遠いんだね! 他の子は来てるの?」

友「う、ううん。私一人」

○○○「勇気あるんだね! 私は札幌だよー」

友「あ、あははは! でしょ? 勇気百倍だよー」

○○○「なにそれー! 友さん面白い」

友(・・・・・・あ、あれ? これ、誰? このヘラヘラ笑ってるのって、私?)

153: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:43:12 ID:W0ROFV3.
一ヵ月前

高校二年目

始業前、教室

○○○「○○○○○、○○○○○○○」

友「あはは! そーだな! 私もそれ好きだよー」ニコ

○○○「○○○、○○○○○○○○○!」

友「そうそう! こんな感じ! あはは!」

○○○「○○○○○、○○○○○○○」

○○○「○○○○○○○○」

友(あはは・・・・・・一年経っても・・・・・・声も、顔も、何も分からないや)

154: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:43:42 ID:W0ROFV3.
○○○「○○、○○○○○○!」

友「それ最高じゃん!」

○○○「○○○○」

○○○「○○○○○○○○」

友「そんなことないってば! 私達は友達だよー」ニコ

○○○「○○○○○、○○○○○○○」

○○○「○○○、○○○○」

友「あはは! はははは!!」ニコ

155: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:44:30 ID:W0ROFV3.
昼休み、屋上

友「・・・・・・」もぐもぐ

友「あは、は・・・・・・自分で作ったお弁当って、やっぱり美味しくないなぁ」

友「・・・・・・」

友「私は、誰なんだろう。みんなは、誰なんだろう・・・・・・友達って、何なんだろう」

友「・・・・・・」ニコ

友「・・・・・・あはは・・・・・・寂しいなぁ」ポロポロ

『カキーン! おーいそっち行ったぞー』

友「・・・・・・ここから飛び降りたら、お母さんと弟に会えるのかな」

ガチャ、バタン

友「!?」コソ

156: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 18:45:18 ID:W0ROFV3.
○○○「ぜえ、ぜえ・・・・・・」

友(な、なに?)

○○○「・・・・・・ぜえ・・・・・・ぜえ」

○○○「・・・・・・ぁぁぁぁあああああ!! 分かってるって!!」

友「!」ビク

○○○「俺だって誰かと話したい!! 彼女だって欲しい!! 分かってる!!」

○○○「なんだよ!! しらねーよ!! 友達の作り方なんかわからねえよ!!」

○○こ「分かってるって!! 分かってんだって!!!」

○とこ「・・・・・・はあ、はあ・・・・・・・・・・・・なんだよこれ・・・・・・」

男「・・・・・・寂しい」

友(・・・・・・)

――――
―――
――

160: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 21:07:13 ID:W0ROFV3.

夜、男の家、玄関

ガチャ、バタン

男「母さん!」

『男ー? 帰ったのー?』

男「母さん、来て」

『ちょっと待ちなさいー』タッタッタッタ

母「どうしたのよー、あら?」

友「うぐ、ひっく・・・・・・こん、ばんは」

161: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 21:07:53 ID:W0ROFV3.
母「友ちゃん・・・・・・? 泣いてるじゃない! 男、何があったの?」

男「今日、友さん、泊めたい」

母「え、ええ!? ちょ、ちょっと待ちなさいよ。お、お父さんー!!」

父「どうした」スタ、スタ

母「男が、友ちゃんと・・・・・・」

弟「え、なにこれ」スタ、スタ

父「・・・・・・どうした、男」

162: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 21:10:00 ID:W0ROFV3.
男「・・・・・・友さん、今日泊めたい」

母「泊めるっていったって、親御さんにも連絡しないと」

男「居ない」

母「居ない!? それに、ほら、友ちゃんは女の子じゃないの」

男「友さんは、友達だよ」

父「いいぞ」

母「あなた!」

父「友さん」

友「ひっく・・・・・・はい」

父「ゆっくりしていきなさい」ニコ

弟「大丈夫だって、母さん。俺の友達もよく泊まってるだろ」

母「・・・・・・そうね。友ちゃん、お風呂沸かしてるから、入っちゃいなさい」

163: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 21:38:48 ID:W0ROFV3.
深夜、男の部屋

男「・・・・・・」

友「・・・・・・」

男「・・・・・・」

友「・・・・・・男、寝た?」ボソ

男「ううん」ボソ

友「・・・・・・ごめん」

男「こっちこそ、ごめん」

友「・・・・・・私さ、男と、友達、やめたくない」

164: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 21:39:35 ID:W0ROFV3.
男「・・・・・・友達だよ」

友「・・・・・・うん」

男「俺、友さんと、友達だから」

友「はは、二回も言わなくても、聞こえてるよ」

男「うん」

友「・・・・・・」

男「・・・・・・」

友「あはは」

男「え?」

友「枕やわらかい」

男「ご、ごめん」

友「あはは、なんで謝るの?」ニコ

165: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 22:15:43 ID:W0ROFV3.
翌日、始業前、教室

ガラガラ

○○○「おはよー」

友「おっ! アニメ研おはよー」

○○○「え? 友? お、おはよー」

友「それでさー、ハムカツっていうのはなかなか奥が深いのだよ。私は卵に少し塩を――」

男「うんうん、なるほど」

友「男ー本当に分かってるのかよー」

男「あはは、分かってるってば」

○○○「え、男と話してるし」ヒソ

友「んー? どうしたの? ギャル」

○○○「え? いや、別に」

○○○「おーい女、どうした?」

女「・・・・・・え? ううん、何でもないよ」ギリ

167: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 22:19:06 ID:W0ROFV3.
三時限目、教室

キーンコーンカーンコーン

ガラガラ

友「お疲れ様ー!」

○○○「あ、ああ」

男「お疲れ様」ニコ

友「鞄の中が昨日のままだから数学の教科書貸してくれない?」

男「うん、いいよ」

友「あはは、ありがと!」

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

168: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 22:23:35 ID:W0ROFV3.
昼休み、屋上

ガチャ、バタン

友「ふあぁぁ。あはは、良い天気だね!」タッタッタ

男「うん、そうだね」

友「・・・・・・やっほぉぉぉ!!」

男「え!?」ビク

友「あははは! こんなに楽しい学校ははじめてだよ!!」

男「はは。でも、やっほーはおかしいよ」

友「あれ? そういえば普通に話せてるね」

男「え? ・・・・・・あ」

友「あはは! 良かったよかった」ニコ

男「あはは」ニコ

169: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 22:26:35 ID:W0ROFV3.
ガチャ、バタン

女「・・・・・・」スタ、スタ

友「あ、女ちゃんも一緒にご飯食べる?」

男「・・・・・・あ、あ、おつ、おつか、お疲れ」

女「なんでよ!?」

友「・・・・・・え?」

女「何で話すの!? 男君、友ちゃんと話さないでって言ったよね!!?」

男「あ、え? いや、い、そ、そ」

友「友達なんだ、話しちゃ駄目な理由なんてないよ」

170: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 22:31:48 ID:W0ROFV3.
男「あ、あ」

女「・・・・・・きもいんだよ」ボソ

男「・・・・・・え?」

女「きもちわりぃんだよ!! いつもキョドキョドしやがって!! そのまま一生黙ってれば良かったんだ!!
なんで、なんで友ちゃんと友達になれんだよ!! 笑ってんじゃねえよ!! 友ちゃんに、友ちゃんにお前は合わねえんだよ!!!」

友「・・・・・・な、なにいってんの?」

男「・・・・・・あ、え? あの、あ」

女「どれだけ、どれだけ私が!! 女だから、どうしようもなくて! それでも! 少しずつ話せてたのに!!
お前が、お前が突然邪魔したんだ!! ふざけんなよ!! 消えろ!! 消えろよ!!!」

男「あ、いや、そ、の」

女「友ちゃんが・・・・・・す、き・・・・・・なんだよう・・・・・・なな、何で、邪魔するの・・・・・・」

171: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 22:38:38 ID:W0ROFV3.
女「離れ、てよ。友ちゃん・・・・・・こんな、変態野郎と居たって面白くないよ? 知ってるでしょ?
こいつ、中学生の時同級生襲ってるんだよ? きもいでしょ? ねえ、離れなって」

友「男はそんなことしない」

女「するんだよ!! 男なんてみんなそうなんだよ!! ニタニタニタニタ笑って胸とかお尻しか興味ないんだよ!!
気持ち悪い、気持ち悪い!!! どーせこいつそうだよ!? 何かあったらどうするの?」

男「あ、ああ、あ」ポタ、ポタ

友「男は違う」

女「違わない!! なんでこいつ庇うの? ねえ、何で庇うんだよ!!!
入学した時私に話し掛けてくれたよね!? 仲良くしてくれたよね!? 信じてよ!!!」

友「・・・・・・お前が男の噂流したの?」

女「あ、あは。そうだよ」

友「嘘ついたってこと?」

女「それの何が悪いの!? どうせ本当にやるでしょ! こいつ!! こっち見るな!!!」

男「・・・・・・あ、うぐっ、ごめ、ごめ」ポタ、ポタ

172: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 22:44:57 ID:W0ROFV3.

女「・・・・・・ねえ、また私に笑ってよ。わた、私には、友ちゃんしか居ないんだよぉ・・・・・・」

男「あ、ああ、うぐ、ヒック」ポタ、ポタ

友「泣くな、男。こんな奴、好きにならなくていい」

女「・・・・・・?」

友「気持ち悪いよ、お前」

女「なに、それ」

友「男は、私の友達だ。泣かせんな」

女「・・・・・・待ってよ、ねえ、友ちゃ――」

友「もう隠すのはやめたんだ。私はもう、無理に笑ったりしない」

女「・・・・・・」

友「ごめん、女とは友達になれない」

173: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 22:48:51 ID:W0ROFV3.

女「・・・・・・もういい」スタ、スタ

ガチャ、バタン

男「・・・・・・」ポタ、ポタ

友「・・・・・・泣くなってば」

男「・・・・・・う、ん」ポタ、ポタ

友「・・・・・・初恋?」

男「・・・・・・多、分」ポタ、ポタ

友「・・・・・・ごめん」

男「なん、で、友さんが謝るの?」

友「・・・・・・分かんないや」

174: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 22:53:50 ID:W0ROFV3.
昼休み、教室

男「・・・・・・」スタ、スタ

友「・・・・・・そしたら、後で」スタ、スタ

男「うん」

ガラガラ

○○○「・・・・・・お前、女ちゃんに何したんだよ」

男「・・・・・・え?」

○○○「え? じゃねえだろ!! 泣いてんだぞ!!」

女「・・・・・・うう、ぐす・・・・・・」

○○○「どうしたの? 女。ちゃんと言ってくれないと分かんないよ」

女「・・・・・・さっき、男、君に、無理やり・・・・・・」

○○○「うそ・・・・・・やっぱ変態じゃん」

○○○「気持ち悪! てか犯罪じゃん!!」

○○○「最低だぞお前!」

175: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:00:16 ID:W0ROFV3.
友「・・・・・・」ピキ

○○○「何か言えよ! 男!!」

男「あ、いや、俺、その、そん、な、そんな、こと」

○○○「はっきり話せ!! お前これどういうことか分かってんのか!!!」

友「・・・・・・」ブン

○○○「うわっ!! いって・・・・・・友?」

友「いい加減しろ!!! 男がそんな事する訳ないだろ!!!」

○○○「なに言ってんの? なに、女が嘘ついてるってこと?」

○○○「そんな訳ないじゃん」

176: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:01:46 ID:W0ROFV3.
友「ふざけんな!! 何も知らない癖に男のことを決め付けるな!!!
何で一人も男の話を聞こうとしないんだよ!」

○○○「おちつけって!!」

友「離せ!!」

○○○「おいおい何やってたんだお前ら!」

○○○「あ、いや、友が暴れだしたんですよ」

○○○「とりあえず指導室来い、友。話聞くから。あとお前も」

○○○「俺はただ殴られただけですって!」

○○○「いいから来い」

○○○「先生、男が」

女「いい!! ・・・・・・いいから」

○○○「ん? どうした」

○○○「あ、いや、別に」

177: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:18:24 ID:W0ROFV3.
五時限目、教室

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

○○○「えー例えば、戊辰戦争も六十干支にある戊・辰の年に起こったことからそう名付けられていて――」

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

男「・・・・・・」

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

178: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:19:05 ID:W0ROFV3.
男(・・・・・・俺のせいだ。俺のせいで、友さんは)

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

○○○「・・・・・・」ヒソヒソ

ガラガラ、ピシャ

○○○「同じような例えを出せば、壬申の乱も――? 何をしてる、授業中に」

友「ぜえ、ぜえ・・・・・・駄目だ! 全然話しにならなかったから逃げてきた!」

男「・・・・・・え?」

179: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:19:55 ID:W0ROFV3.
○○○「・・・・・・おい、友じゃん」

○○○「指導室行ったんじゃなかったっけ」

女「・・・・・・あ」

友「もう駄目だろここ!! 訳分かんない奴しかいない!! 全員男の話なんて聞こうともしない!!」ポロポロ

○○○「何だか分からないが、今は授業中だから、元のクラスに戻りなさい」

友「来い! 男!! もう行こう!!」ポロポロ

男「・・・・・・」スタ

○○○「待ちなさい、男。何処に行く! 君も!」

友「スクールエスケープだ!」ギュ

男「あっ!」

友「走れ!」グイ

男「あ、ああ!」タッタッタッタ

180: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:21:43 ID:W0ROFV3.
学校、廊下

友「あはは! 誰も居ない!!」タッタッタッタ

男「う、うん」タッタッタッタ

友「空気も全然違う!!」タッタッタッタ

男「あ、あの、友さん、何処いくの?」タッタッタッタ

友「分かんない!! 外!!」タッタッタッタ

男「・・・・・・あは、ははは! 何だよ、それ!」タッタッタッタ

友「あはは! だから分かんないんだったら!」タッタッタッタ

――――
―――
――

182: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:43:38 ID:W0ROFV3.
一週間後

昼、友の家


ピンポーン

友「・・・・・・はーい」ガチャ

男「こんにちは」

友「・・・・・・あ、え? 嘘! なんで!?」

男「職員室に、名簿があったから」

友「盗み見たの? あはは、ストーカーじゃん」ニコ

男「あ、ごめん」

友「何で謝ま――あ、いやこれは謝って当然か。あはは」

男「あ、それで、えっと」

友「んー? とりあえず入りなよ」

男「あ、うん。お邪魔します」スタ、スタ

183: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:44:12 ID:W0ROFV3.
友の家、リビング

男「・・・・・・」カタカタ

友「お茶でいいー? え、どうしたの?」

男「と、友達の家に入るって、はじめてだから」

友「あはは! ほら、そこのソファー座りなよ」

男「は、はい」ストン

友「はいどうぞ」コト

男「あ、これは、これは」

友「固過ぎだってば」

男「・・・・・・あと、何日だって?」

友「ん? 明後日には学校行けるよ。同級生を一発殴っただけだしね。怪我もしてないし」

男「あ、そのー、暴力は駄目だよ」

友「分かってるってば。相手にもちゃんと謝ったよ」

184: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:44:51 ID:W0ROFV3.
男「・・・・・・ごめん」

友「もう会ってから百回は謝られてるな、私」

男「あ・・・・・・ごめん」

友「謝ることないよ、あれは私が勝手にやったことだから、自宅謹慎は自業自得だ!」ニコ

男「・・・・・・」

友「男こそ、大丈夫なの? 学校」

男「うん。女さんの噂も誤解が解けたし・・・・・・無視っていうか、まだ変な空気ではあるけど、大丈夫」

友「・・・・・・そっか」

男「うん」

友「・・・・・・」

男「・・・・・・」

友「あ!」

男「・・・・・・」ビク

友「友達を家に入れるの、私も初めてかも!!」

男「そうなの?」

185: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:50:48 ID:W0ROFV3.
友「うん、初めてだ」ニコ

男「・・・・・・そっか」

友「うんー・・・・・・」

男「・・・・・・」

友「・・・・・・うわー、学校行きづらいよーう」

男「あー・・・・・・そうだろうね」

友「明後日迎えに来てくれる?」

男「いいよ?」

友「なら行くかー・・・・・・はあ」

男「・・・・・・」ニコ

186: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:52:03 ID:W0ROFV3.

友「・・・・・・ていうかさ、本当は今授業中じゃない?」

男「え? ああ・・・・・・うん」

友「サボったの?」

男「あ、あは、はは」

友「不良だー! 男が不良になったぞー! 出あえ出あえー」

男「ち、違うよ。スクール、エスケープだよ」

友「・・・・・・私が変なこと教えちゃったのか」

男「さっきやっと住所が分かったから、そのままきちゃった」

友「もうしないように!」

男「あ、うん。ごめん」

187: 深夜にお送りします 2017/03/08(水) 23:56:08 ID:W0ROFV3.
友「・・・・・・お茶飲まないの?」

男「あ、飲みます」ゴク

友「・・・・・・」ゴク

男「・・・・・・ふう」

友「・・・・・・」

男「・・・・・・」

友「気まずい! なにこれ!!」

男「ああ、うーん・・・・・・何でだろう」

友「う、うーん」チラ

男「・・・・・・うーん」

友「・・・・・・ぷっあはは! 分かんないね」

男「うん、分からない」ニコ

188: 深夜にお送りします 2017/03/09(木) 00:02:59 ID:/FUCHOrI
友「・・・・・・今日さ、晩ご飯食べてく?」

男「あ、う、うん」

友「よーし、ならハムカツ作っちゃうぞー」

男「分かったよ」

友「じゃあ後で買い物行こうか、近くのスーパー」

男「材料が足りないの?」

友「材料もそうだけど・・・・・・あはは、お箸とかお茶碗が一膳分しかないんだよね」

男「・・・・・・そっか」

友「でも今日から二つだ! 使わないともったいないから、沢山来るんだぞー」

男「は、はーい」

189: 深夜にお送りします 2017/03/09(木) 00:04:12 ID:/FUCHOrI
友「絶対来るんだぞー? 来ないと寂しいぞー」

男「はーい・・・・・・ぷっあはは、はは」

友「えー! 何でそこで笑うの?」

男「いや・・・・・・俺って、本当に、切実に、友達が少ないけど」

友「す、凄い悲しい言い方だな・・・・・・これから沢山作ろうよ」

男「・・・・・・でもさ、今、凄く楽しいよ」ニコ

友「・・・・・・ああ、私もだ」ニコ


190: 深夜にお送りします 2017/03/09(木) 00:04:57 ID:/FUCHOrI
※終わりです。ありがとうございました。
またお刺身の上にSSを載せる作業に戻ります。

199: ◆rPuHN1dQX2 2017/03/13(月) 21:10:37 ID:0KOw71DM
教室、HR

男「あ、は、はじめまして! お、お、お、男です!」ガタ

○○○「ははは、お、お、おだってさ!」

○○○「変なのー」

男「あ、あ、ぼ、僕は!」

○○○「こらこら。男君が頑張って自己紹介をしているんですから、静かに聞きましょうね」

男「・・・・・・あ、ごめ、お、終わり・・・・・・です」

○○○「あー・・・・・・はい! 男君ありがとう。じゃあ次の君」ニコ

○○○「桜町に住ん○○す、○○○です。私はピアノを○○ています」

○○○「あ! ○も習って○○!」

男「・・・・・・」

○○○「○○、○○?」

200: ◆rPuHN1dQX2 2017/03/13(月) 21:11:38 ID:0KOw71DM
教室、お昼休み

○○○「○○○○! ○○○!」

○○○「○○!」

男「・・・・・・」

○○○「○○○○○○○」

○○○「○○○○○、○○○○○」

○○○「○○○、○○」

男(ど、ど、どうしよう。寂しいよ・・・・・・お父さん、お母さん)

201: ◆rPuHN1dQX2 2017/03/13(月) 21:12:17 ID:0KOw71DM
○○○「ねえ、君は何処に住んでるの?」

男「・・・・・・うぐ、ひっく」

○○○「ねえったら」

男「・・・・・・え?」

○○○「私桜町! 君は?」

男「・・・・・・ぼ、僕、白樺町」

○○○「近いんだねっ! なら今日一緒にかえろ!」

男「あ、あ、え?」

友「あれ? 嫌なの?」ニコ

男「う、ううん! 帰る!!」ニコ

202: ◆rPuHN1dQX2 2017/03/13(月) 21:14:13 ID:0KOw71DM
夕方、男の家

ガチャ、バタン

男「ただいま!!」タッタッタッ

母「おかえりー、小学校はどうだった?」

男「ぼ、僕友達が出来た!」

母「あはは、よかったね」

男「い、一緒に帰った!」

母「うんうん」

男「楽しかった!!」ニコ

母「そっか」ニコ

203: ◆rPuHN1dQX2 2017/03/13(月) 21:14:59 ID:0KOw71DM
ガチャ、バタン

父「ただいまー」

男「お父さん! 友達出来た!!」ニコ

父「そっか。良かったね」ニコ

母「おかえり」ニコ

父「うん。あれ、もうご飯出来てるの?」

母「今日は早いって聞いていたからね」

父「あー・・・・・・ハムカツ、か」

母「そう!! 男の初登校日だったからね! 気合を入れてみました」

父「あは、は。今日も、ハムカツなんだね」ニコ

男「え? 僕ハムカツ大好きだよ」

母「ほら! 二対一!!」

父「あ、いや、俺も好きだけどさ。今週、もう二回は食べてるような」

204: ◆rPuHN1dQX2 2017/03/13(月) 21:15:37 ID:0KOw71DM
深夜、寝室

男「・・・・・・すう、すう」

父「・・・・・・」

母「・・・・・・」

父「・・・・・・」

母「・・・・・・寝た?」

父「起きてるよ」

母「・・・・・・男、楽しそうで良かったね」

父「そうだね」

母「うん、そうさ」

205: ◆rPuHN1dQX2 2017/03/13(月) 21:16:18 ID:0KOw71DM
父「・・・・・・」

母「・・・・・・」

男「・・・・・・すう、すう。ハム、カツ」

父「はは、良く似てるよ、やっぱり」

母「お父さんに?」

父「お母さんに」

母「お父さんにも似てるよ。よく噛んじゃうところとか」

父「そ、それはもう直っただろ!」

男「・・・・・・う、う、うるさい!・・・・・・すう、すう」

父「・・・・・・ごめん」

母「あはは。もう、ねよっか」

父「うん、そうだね」

母「おやすみ」ニコ

父「おやすみ」ニコ


206: ◆rPuHN1dQX2 2017/03/13(月) 21:19:11 ID:0KOw71DM
※こういう終わりもありかな、というのを載せておきます。
今度こそお刺身の上にSSを乗せる作業に戻ります。ありがとうございました。

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