#14 「キセキ野教会」#15 「神苑温泉」:神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」

2019年02月08日
#14 「キセキ野教会」#15 「神苑温泉」:神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」

#14 「キセキ野教会」
崩れかけの廃神社。寝るところが無い神様は隣の修道院にお世話になる事に・・・


#15 「神苑温泉」
休暇で訪れた温泉。お猿の神使キー子にメロメロの神様は何か気になる様子・・・



1: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/03(金) 03:20:14 ID:kFMRXB4g


神様「前スレだ!!」
#09 「のんびり村」〜#13 「いつでも一緒」

神使「読む必要は無いようですね」

神様「!?」


神様「前々スレだ!」
#01 「ひのひの村」〜#08 「神使」

神使「こちらも読まなくて良いと思います」

神様「そうなの!?」

2: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/03(金) 03:21:37 ID:kFMRXB4g

神様「・・・・・・」ジー

神使「あの、神様?」

神様「何だよ」

神使「早くお決め下さい」

神様「そんな事言ったって、こんな重大な事すぐに決められないって」

神使「選択肢はないと思うのですが・・・」

神様「でもっ・・・」

神使「・・・・・・」


神様「よし、決めた!」

神使「どちらに?」

神様「店員さん、私“あんまん”で」

店員「あい」

3: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/03(金) 03:22:48 ID:kFMRXB4g

~あらすじ~

神様「私は神様! 神宮に籍を置くとっても立派でかわゆい理想の女神!」

神使(訳)「神宮が誇る最大の問題児。 給料14万円、貯金残高601円で無期出向中のダメ女神です」

4: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/03(金) 03:24:33 ID:kFMRXB4g

【#14】

――― きせき野町


神使「“あんまん”と“もずくまん”なんて悩む必要ないと思うんですが」

神様「いや、以外と美味いかも知れないじゃん。もずくまん」

神使「そうでしょうか?」

神様「なんでピザまんが売り切れなんだよ」パクッ

神使「あっ! 神様、歩きながら食べるなんてダメですよ」

神様「うるせー」パクッ パクッ

神使「神宮の女神である事を少しは自覚して下さい」

神様「私のお金で買ったんだし好きにさせろってーの!」アムアム

神使「あまり無駄にお金を使っているとすぐに無くなっちゃいますよ?」

神様「そうね、すでに残り250円しかない。 銀行にある601円と合わせて私の全財産は851円だ」

神使「・・・・・・」

神様「ちゃんと私を養ってね、高給取りの最高位神使さま。 ハート」

5: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/03(金) 03:25:16 ID:kFMRXB4g

神使「さてと。 では次の勤務先に急ぎましょう」

神様「話をおそらしになられましたね?」

神使「私は金づるではありません」

神様「私は神使君のヒモです!」

神使「どこの世界に使いの者に集る神がいるんですか・・・」

神様「ココにいます!」フンスッ

神使「・・・・・・」

6: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/03(金) 03:26:21 ID:kFMRXB4g

神様「妾は神宮が誇るかわゆい女神でありんすぞ? 我が使いはその身をもってもてなすのじゃ」

神使「言葉遣いが変です、何年この国にいるんですか・・・」

神様「2000年以上おりますが」

神使「そんな立派な神なのにどうして悪さばかりするんです?」

神様「してねーよ! いつしたよ! してねーよ!!」

神使「お守りの値引き販売、他の神への賄賂、職務怠慢、神宮菜園からの野菜泥棒」

神様「・・・・・・」

神使「減給は日に日に額が大き苦なる一方、私も連帯責任で―――」

神様「分かった! 分かったよ・・・ 次はちゃんと仕事するから」

神使「お願いしますよ?」

神様「でもさぁ~ 出向という名の左遷はいつまで続くんだ?」

神使「最低でも2000円のお守りを300円で売り続けた3年間分の補てんが完了するまでは、神宮に帰れないと思います」

神様「結構な数売ったしなぁ~ こりゃ帰れないな。 ハハハッ」ズーン

7: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/03(金) 03:27:06 ID:kFMRXB4g

テクテク


神使「あっ、見えましたね。 たぶんあのお社が次の私達の勤務先です」

神様「神明社か?」

神使「よくお分かりになりますね」

神様「一応これでも業界人なもので」

神使「はさまれ神社です」

神様「何に挟まれてんだよ・・・」

8: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/03(金) 03:27:55 ID:kFMRXB4g

――― はさまれ神社


神様「あぁ~・・・ 確かに挟まれてるね」

神使「お隣は教会とお寺さんのようです」

神様「神社、細長!」

神使「両隣は大きいんですけどね」

神様「やっぱ神社って弱いよね~」

神使「・・・・・・行きましょう」

9: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/03(金) 03:28:37 ID:kFMRXB4g

神様「ちょっと待った!」

神使「?」

神様「まず、今回の目的を聞きたいと思っている神ちゃんであった」

神使「復興です」

神様「は?」

神使「はさまれ神社を建て直せと」

神様「なるほど、三大宗教の激突ですね?」

神使「・・・・・・」

10: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/03(金) 03:29:45 ID:kFMRXB4g

神様「帰らない?」

神使「神宮からの指令です」

神様「いやいや、私達は何と戦うんだよ」

神使「キリストさん?」

神様「わざわざ日本に来ないだろ・・・ っていうかいるのか?」

神使「お釈迦様?」

神様「ココは立川かよ・・・」

神使「・・・取りあえず社務所に行きましょう」


テクテク

19: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 06:53:25 ID:ESPJwW3s

―――社務所


ガラガラ


神使「・・・・・・」

神様「うはっ! カビ臭!」

神使「荒れ放題ですね」

神様「今までほったらかしにしておいて、どうやって他宗教にタイマン張るんだよ」

神使「別に喧嘩しろと言う事ではないと思うのですが」

神様「取りあえず窓開けよう」

神使「はい」ガラガラ

20: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 06:54:56 ID:ESPJwW3s

ブオォー


神使「うわっぷ・・・」ガラガラ ピシャッ

神様「何、今の冷たい風」

神使「お隣のエアコンの室外機でしょうか」

神様「仕方ないな、反対側の方だけ開けるか」ガラガラ


ブオォー


神様「ぶばばばば・・・」ガラガラ ピシャッ

神使「・・・・・・」

21: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 06:56:24 ID:ESPJwW3s

神様「帰ろ?」

神使「よ、良かったじゃないですか。 神様の憧れていたコンクリートジャングルですよ?」

神様「ん? コンクリートじゃなかったよ? お隣のお寺さん立派な木造建築」


神使「後ろ、裏手の窓を開けましょう」ガラガラ

神様「墓!」

神使「・・・・・・」ガラガラ ピシャッ


神様「墓見えた! 一面墓畑!」

神使「変な言葉を作らないで下さい」

神様「なんだよ、この神社の立地は・・・」

神使「そ、そういえば神様お昼寝まだでしたよね。 少しお休みになりますか?」

神様「どこで寝るんだよ。取りあえず寝る場所だけでも確保しないとマズいな」

神使「そうですね。 社務所は厳しそうですし・・・ 本殿の方を見てみましょうか」

神様「そうね」

22: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 06:57:33 ID:ESPJwW3s

――― 本殿


ギィー


神様「・・・・・・」

神使「これはこれは・・・」

神様「ねぇ、廃社にしない? 復興とか無理だって」

神使「・・・・・・」

神様「これ寝る場所確保するの無理だろ。 床に穴あいてるよ?」

神使「今日は無理でも2~3日使って掃除すれば寝る場所くらいは・・・」

神様「お前は狛犬に姿を変えれば外でも良いかもしれないけど、私は無理だからね?」

神使「私もできれば外で寝たくはないです」

23: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 06:58:20 ID:ESPJwW3s

神様「ん? 犬ころ、手に持ってる袋って何?」

神使「お隣さんへのご挨拶用の洗剤セットです」

神様「ふ~ん」

神使「先にご挨拶にでも行きましょうか」

神様「問題先送りってヤツですね」

神使「・・・・・・」

24: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 07:00:20 ID:ESPJwW3s

――― キセキ野教会

ギィ


神使「すいませ~ん」

神様「留守?」

神使「でも扉が開いていますので誰かいると思うのですが」

神様「寒いから中入ろうぜ」トテトテ

神使「ちょっと神様、勝手に入っちゃ・・・」

25: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 07:01:44 ID:ESPJwW3s

スタスタ


神様「うわぁ~ 凄いな」

神使「立派な礼拝堂ですね」

神様「ん?」

神使「どうされました?」

神様「あの壁画」

神使「随分と前衛的な絵ですね・・・ マリア様と天使でしょうか」

神様「犬ころ、僕もう疲れたよ。 一緒に休もう・・・」

神使「神様、フラソダースの犬好きなんですか?」

神様「あ?」

神使「よくその言葉を仰ってますので」

神様「読んだ事無いけどね~」

神使「そうですか・・・」

26: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 07:02:48 ID:ESPJwW3s

修道女「あの~」

神様・神使「?」クルッ

修道女「礼拝でしょうか?」

神使「申し訳ございません、勝手に入ってしまいまして」

修道女「いいえ、大丈夫ですよ」ニコッ

神様「!? あ・・・ ぁ・・・」ワナワナ

修道女「?」

神使「神様? どうされたんですか?」

神様「修道服、かわゆい・・・」ゴクリ

神使「神様、本当に制服好きですね・・・」

27: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 07:04:06 ID:ESPJwW3s

修道女「あの・・・」

神使「あっ、申し訳ありません。 私達、はさまれ神社に赴任して参りました神宮の者です」

修道女「はさまれ・・・ お隣の神社さんですか?」

神様「かわゆい神ちゃんです!」

修道女「本当に可愛い巫女さんですね」ニコッ

神様「でしょ! 犬ころ、メモ」

神使「・・・私は神使と申します」

修道女「はじめまして、シスターと申します」

神使「ご挨拶にと思ったのですが、扉が開いていたものでつい・・・」

修道女「日中はどなたでも入れるように開けているので気になさらないで下さい」

神使「そうだったのですか。 立派な礼拝堂ですから多くの人に見て頂きたいですものね」

修道女「ありがとうございます」

28: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 07:06:08 ID:ESPJwW3s

神様「ねぇ」

修道女「?」

神様「あの絵って・・・」

修道女「以前ここに寄贈された絵画と聞いております」

神様「へぇ~」

神使「神様、あの絵が気になるんですか?」

神様「ん? いや~ 凄く精神の深いところに訴えかけてくる絵だなぁ~って思って」

神使「そうですか?」

修道女「私もあの絵は大好きです」

29: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 07:07:10 ID:ESPJwW3s

神使「あっ、これよければお使い下さい」スッ

修道女「ご丁寧にありがとうございます。 まぁ、お掃除洗剤」

神使「ありきたりな物ですいません」

修道女「そんなことありません。 とても助かります」ニコッ

神使「色々とご迷惑をおかけするかも知れませんが、どうぞよろしくお願いいたします」

修道女「こちらこそ、よろしくお願いいたします」ニコッ


神様「」キョロキョロ

神使「今度はどうしたんですか?」

神様「ん? いや・・・ また来てもいい?」

修道女「ふふっ、いつでも気軽に遊びに来て下さい」

神様「宗教違うけどいいの?」

修道女「もちろんです。 神社さんのお話もぜひ聞かせて下さい」

30: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/04(土) 07:08:02 ID:ESPJwW3s


テクテク


神使「とても素敵な方でしたね」

神様「う~ん・・・」

神使「なにか気になる事でも?」

神様「なんでシスターがいたんでしょ~か」

神使「教会ですからシスターさんが居ても不思議はないと思うのですが・・・」

神様「そう? まぁいいや。 次は寺行くの?」

神使「はい」

31: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 03:48:31 ID:aytmGO.M

――― キセキ野寺


住職「チャオ!」

神様・神使「・・・・・・」

住職「?」

神様「ココのお寺の人?」

住職「そうで~す。 オ~ ベリッシマな巫女さ~ん」

神様「・・・・・・」


神使「外国の方ですか?」

住職「すごい! よく分かりましたね~ イタリアの人で~す」キラッ

神様「見りゃ日本人じゃないことくらい分かるわ・・・」

32: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 03:51:31 ID:aytmGO.M

神使「私達、隣の神社に赴任いたしました神宮の者です」

住職「オ~ 神社! 私大好きで~す」

神使「ご迷惑をおかけするかも知れませんが、よろしくお願いいたします」

住職「何でも相談して下さ~い。 スィニョリーナ、コーヒーでもいかがですか?」キラッ

神様「いえ、私はコーラ派ですので今日は失礼いたします」ペコリ

住職「オ~ 残念。 あいにくコーラ切らしてます・・・」


神使「あの、これ良ければお使い下さい」スッ

住職「デテルジェンテ! 助かりま~す」

神使「・・・それでは、私達はこれで」

住職「お構いも出来ず、すいませ~ん」

神使「お気になさらず」ハハハ


住職「スィニョリーナ! コーラ用意しておきますからいつでも来て下さ~い」

神様「はい」ペコリ

33: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 03:52:48 ID:aytmGO.M

――― はさまれ神社


神使「ビックリしましたね」

神様「お経とかちゃんと読めるのか?」

神使「さぁ・・・ でもあれだけ大きいお寺さんの住職様ですから・・・」

神様「なんか私、あれ嫌い」

神使「そんな、初対面で失礼な・・・」

神様「クソ坊主がケンカ腰で塩いて出てくるのを期待してたのに」

神使「そんな分かりやすい態度をとってくる方が異常だと思いますが」

神様「それよありさぁ~ どうすんだよこの神社」

神使「修繕できるところは直して寝るところだけでも確保しましょう」

神様「どちらにしろ今日は泊まれないから宿は用意しておけよ?」

神使「はぁ・・・」

神様「ヌルヌルした温泉付きの宿で頼む。 肌に良いんだよヌルヌルが」

神使「・・・・・・」

34: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 03:53:54 ID:aytmGO.M

――― 夜


神様「嫌だよ~」

神使「そう言わずに・・・」

神様「だってさぁ~」

神使「駅前に出ればネットカフェがありますから」

神様「ネカフェで一夜を過ごす神とか現代の闇に馴染みすぎだろ!」

神使「では、外で野宿しますか?」

神様「勘弁して下さいよ、神使さ~ん」

神使「私が狛犬になりますので、抱いていればいくらか暖かいと思います」

神様「生死をかけてまで寝たくない!」

神使「ワガママ言っていないで行きますよ」

神様「ヤダヤダ! 旅館が良い! ヌルヌルした温泉に入りたい!」ジタバタ

35: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 03:55:07 ID:aytmGO.M

修道女「?」キョロキョロ

神様「あっ、シスターちゃん」


修道女「どうされました?」

神使「夜分に大きな声を出してすいません・・・」

神様「神社が廃墟で寝る場所がないの」

修道女「それは大変ですね。 もしよろしければ、お部屋をお貸しいたしますが」

神様「マジで!?」

神使「お気になさらずに。 駅前で夜を過ごしますので」

神様「え~ でもネカフェだろ~?」

36: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 03:55:55 ID:aytmGO.M

修道女「ネカフェ?」

神使「その・・・ 24時間営業のカフェの様な所です」

修道女「それでは体も休まらないでしょう。 どうぞ遠慮なさらずお入り下さい」

神使「しかし・・・」


神様「今日は甘えようよ」

神使「本当によろしいのでしょうか?」

修道女「どうぞ、空いている部屋は沢山ありますから」ニコッ

37: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 20:18:09 ID:aytmGO.M

――― キセキ野教会


神使「本当に申し訳ありません。 正直助かりました・・・」

修道女「気になさらないで下さい、お互い様です」

神様「おっと、犬ころはここまで~ 今日は礼拝堂の隅っこで寝ること」

神使「えっ?」

神様「お前は礼拝堂から奥に入っちゃだめ。 その方が良いでしょ? シスターちゃん」

修道女「・・・・・・」

38: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 20:22:27 ID:aytmGO.M

神使「何か問題でもあるんですか?」

神様「ここ、修道院だよね。 しかも女子修道院」

神使「修道院!?」

修道女「よくお分かりに・・・ しかし私以外に人はおりませんから気になさらなくても」

神様「?」

神使「どうされました? 神様」

神様「いや何でも。 取りあえず犬ころは今日はココで寝ること」

神使「そう言うことでしたら、気にしないで下さい。 私は外でも寝られますから」

修道女「しかし、客間の方をお使い頂く位でしたら」

神様「大丈夫だって。番犬にもなるし丁度良いって」

修道女「番犬!? そんな・・・ 信仰は違えど神にお仕えする方を番犬扱いなど・・・」

神使「お気になさらず。 ワンワン」

神様「ね?」

修道女「フフッ。では、お布団をお持ちいたしますので」スタスタ

39: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 20:25:11 ID:aytmGO.M

神使「神様?」

神様「あ?」

神使「何か知っているんですね?」

神様「嫌だな神使君、なんでもごじゃりませんよ?」

神使「こちらの修道院にお心当たりがあるんですね?」

神様「・・・・・・」

神使「言いたくなければ無理には伺いませんが」

神様「・・・あれは、私がお爺さんと愛犬のパトラッシェと一緒に住んでいたときだった。 貧しい生活に耐―――」

修道女「お待たせいたしました。 お布団です」スタスタ

神使「ありがとうございます」

神様「・・・・・・」

神使「あっ、すいません神様。 まだお話になります?」

神様「いや、いいや・・・」

40: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 20:26:31 ID:aytmGO.M

神様「ねぇシスターちゃん」

修道女「はい?」

神様「この修道院は他に人は居ないって言ってたけど?」

修道女「人は・・・ 私だけです」

神様「人以外は?」

修道女「!?」

神使「神様、何を言っておられるのですか?」

神様「あ~ ちょっと意地悪な質問だったかな」

神使「?」

41: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 20:27:34 ID:aytmGO.M

神様「フラソダーピスチヌ会女子修道院、設立者はシスターアロハ」

修道女「よく・・・ ご存じで・・・」

神使「随分お詳しいんですね」ジー

神様「何見てんだよ。 やんのかコラッ!」

神使「なんでそんなに柄悪いんですか・・・」

神様「お前じゃねーよ」

神使「?」

42: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 20:28:34 ID:aytmGO.M

ダダダダダッ


?「神ちゃん!?」ズサッー

神様「やっぱり居た」

修道女「シスターうさー! お戻り下さい」

神使「シスターうさー・・・?」

修道女「いえ・・・ これは・・・」オロオロ

うさー「大丈夫だよシスターちゃん! 彼女は私の友達だから!」

修道女「シスターうさーのお知り合いなのですか?」

うさー「うん! 神ちゃんって言って神宮の神!」

修道女「神!?」

43: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 20:30:11 ID:aytmGO.M

神様「あっ、本業は見ての通り巫女ね。 神はバイトみたいなものだから」

神使「立場が逆かと・・・・・・」

修道女「・・・・・・」


うさー「久しぶり! 神ちゃん!」

神使「神様、ご紹介お願いします」

神様「こいつは、はさまれ神社の主神でうさー」

神使「主神様!?」

神様「神階の登録は・・・ 従三位だっけ?」

うさー「正三位だよ! もうどっちでも良いけど」

神様「こんな性格だから神階は高くないけど、神力は猫神と同じくらいある」

神使「え!?」

44: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 20:31:08 ID:aytmGO.M

神様「お前いつまで修道院にいるつもりだよ」

うさー「私は修道女! ここで祈りの生活を続けるの!」

神様「はぁ? お前、神だろ・・・」

うさー「もう神社に戻らないもん! シスターとして修道院で生きていくんだもん!」

神様「お前は日本の神! 自分の立場も忘れたのかっ!!」

神使「神様・・・ それブーメランですよ?」


うさー「それより、そっちの男の人は~ ・・・だれ?」

神使「申し遅れました。 私、神様の使いをしております狛犬の神使と申します」フカブカ

うさー「神ちゃんの神使さんなんだ。 よろしくね!」

45: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 20:31:53 ID:aytmGO.M

修道女「そんな・・・」

神様「どったの?」

うさー「あ~ 自分の信仰する神には会った事がないのに、こう簡単に他の宗教の神に会ったら・・・ ねぇ」

修道女「い、いえ! 神は存在します! 主よ、少しでも疑念を抱いてしまった私をどうかお許し下さい。 アーメン」

神様「ラーメン」

神使「・・・・・・」

46: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 20:33:10 ID:aytmGO.M

神様「ねぇ、シスターちゃん?」

うさー「なに?」

神様「お前じゃねーよ、偽シスター」

うさー「に、偽!?」


神様「シスターちゃんは、うさーの正体を知ってるんだよね?」

シスター「はい。 しかし過去はどうであれ今は敬虔な修道女、シスターうさーです」

うさー「そう! 私はこの修道院で祈りの生活を送るシスターなのです! ラーメン」

神様「塩バタコーンラーメン」

神使「・・・・・・」

47: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/05(日) 20:36:53 ID:aytmGO.M

神使「何故うさー様は、修道院で修道女など・・・」

うさー「ここが私の本来の居場所だからです。 塩バタコーンラーメン」

神様「塩バタコーンネギチャーシューラーメン、大盛」

うさー「素晴らしい! お~神よ、この者達に祝福を」ピカー

神使「!? 後光が!」

シスター「シスターうさー、力が漏れています・・・」オロオロ

うさー「あっ、失礼」シュー

神様「・・・・・・」

52: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/09(木) 00:29:05 ID:kdX936ks

うさー「神ちゃんありがとう! 来てくれるって信じてた!」

神様「は?」

うさー「この修道院を守るために来てくれたんでしょ!?」

神様「いいえ、違いますが。 何わけの分からない事を仰っているのですか?」

うさー「そんな事言って、相変わらず照れ屋さんなんだから!」

神様「神社VS教会VS寺の右手で握手して左手で殴り合う陰湿な宗教戦争をするために来たのです」

うさー「!?」

神様「三大宗教をぶっ潰して“神ちゃん世界教”を作るのさ」ウヒヒヒ

神使「違います。 そんないかがわしい教団作りませんし、宗教戦争など起こしませんから」

神様「あ? そろそろ私の時代だろ。 私が頂点に立つ頃合いだろ」

神使「そんな世界お断りいたします」

神様「うん、確かに何度かこの国を治めていた時は失敗した。 でも、その教訓を生かせば次は大丈夫だと思うんだよ!」

神使「・・・・・・」

53: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/09(木) 00:29:59 ID:kdX936ks

うさー「お願い神ちゃん! 助けて!」

神様「お前はさっきから私の話の腰を折ってんじゃねーよ! もっと乗っかって来いよ!」

神使「何か問題事でも?」

うさー「バレそうなの」ウルウル

神様「はぁ? 」

修道女「実は・・・ シスターうさーの力が知られてしまったようで・・・」

神使「力・・・ ですか?」

神様「お前、神力使って何かしたのか?」

うさー「気づかないうちに漏れちゃったみたいで・・・」

54: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/09(木) 00:32:22 ID:kdX936ks

修道女「司祭様がここを尋ねてきたときに、その・・・ 先ほどのように後光が・・・」

うさー「しかも慌てて隠したら力が暴走して宙に浮いちゃって」

神様「すげーじゃん。 どうやって浮くの? 私にも教えて?」

うさー「うん。 神力放出を逆に―――」

修道女「シスターうさー、真面目に」

うさー「はい・・・」

神使「司祭様にうさー様の力を見られたというのですね?」

修道女「はい。 見事な後光を出して宙に浮いたところを・・・」

神様「そんなの適当にあしらっておけば良いんじゃないの? 幻覚とか言って」

修道女「実は、司祭様がパチカンにご報告をしてしまい・・・ パチカンから奇跡調査が来る事に」

神使「奇跡調査?」

55: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/09(木) 00:33:35 ID:kdX936ks

修道女「シスターうさーの力を奇跡として認定しようとしているのです」

神使「なにか不都合でもあるのですか?」

神様「日本の神がパチカンに奇跡として認定とか普通に考えてダメでしょ」

神使「まぁ、そうですよね」

神様「この修道院だってタダじゃ済まないし、マジもんの宗教戦争だよ?」

神使「・・・・・・」

うさー「お~ 神よ、救い給え・・・ 塩バタコーンネギチャーシューラーメン、大盛」

神様「君、何の神にお祈りしてるの? 自分も神だからね?」

56: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/09(木) 00:35:35 ID:kdX936ks

うさー「神ちゃん、お願い! 修道院を守って!」

神様「だからなんで私なんだよ!」

うさー「くろまやラーメンの塩バタコーンネギチャーシューラーメン大盛ご馳走するから」

神様「え~ 私はとさん子ラーメン派なんだけど~」

神使「神様、何とかならないんですか?」

神様「他宗教に手を出すのはさすがにダメだって」

うさー「神ちゃんしか頼りに出来る人がいないの」

神様「お前がココを出て行けば解決するだろうが。 神社に戻れよ」

うさー「・・・・・・」

神様「?」


うさー「お願い神ちゃん、虫のいいお願いだけど・・・ この修道院を救って下さい」フカブカ

神様「・・・・・・」

62: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/11(土) 22:34:14 ID:GKTj3BYA

――― 夜


神使「神様? そろそろ10時ですから就寝されます?」

神様「そうね。 しかし、あいつらが8時に寝るとは思ってなかった・・・」

神使「その代わり朝3時起きと言ってましたから」

神様「早いね~」ポイポイ

神使「・・・さすがに下着姿で修道院内をウロウロするのはダメですよ?」

神様「分かってるよ」

神使「あの・・・」

神様「ちゃんとパジャマ着る!って」

神使「当たり前です。 それより、うさー様のことお伺いしても良いでしょうか?」

神様「うさー?」

63: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/11(土) 22:37:31 ID:GKTj3BYA

神使「はさまれ神社の主神さまと先ほど仰っていましたが」

神様「あ~ うさーは元神使で、その前はシスターアロハに飼われていたウサギなんだよ」

神使「シスターアロハ? 確か、初代院長でしたっけ」

神様「そうそう。 その後、私の神使を経て神になって神社に赴任した」

神使「なるほど」

神様「で、風の噂でシスターアロハが修道院を作るって話がうさーの耳にも届いてさぁ」

神使「うさー様は恩返しで手助けしたくなりますよね」

神様「あいつ、はさまれ神社の土地を半分譲っても良いか? って私に相談しに来て」

神使「しかし、他宗教ですし神宮が許可しませんよね」

神様「大変だったよ、小細工するのは・・・」ハァ

神使「譲ったんですか!?」

64: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/11(土) 22:39:12 ID:GKTj3BYA

神様「神社の土地10%だけ。 うさーのやつ、何日も私の前で土下座しに来やがって・・・」

神使「まさか、神宮に内緒で・・・」

神使「10%減るくらいなら大したことないと思ったんだけど、今日見た感じでは90%以上減ってたな」

神使「真逆じゃないですか・・・ それで、はさまれ神社はあんなに細長かったのですね」

神様「しかも、アロハ1人だけじゃ修道院を運営できないから手伝いもするって」

神使「それ以来うさー様は修道院に残っていると言う事ですね」

神様「そうね」

神使「何故、うさー様は修道院にこだわるのでしょうか?」

神様「・・・・・・」

神使「シスターアロハはすでにお亡くなりになっているのですよね、なぜ今も修道女を・・・」

神様「・・・・・・」

神使「神様?」

神様「取りあえず今日は寝よう」

神使「分かりました」

65: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/11(土) 22:40:08 ID:GKTj3BYA

神様「そうだ、犬ころは今日寝たくないだろ?」

神使「・・・・・・。 はい?」

神様「眠れないだろ」

神使「程よい疲労感による眠気が私のまぶたを下げようとしておりますが」

神様「奇跡調査というのが気になる。 寝ずに番犬してろ」

神使「・・・神様は?」

神様「程よい疲労感による眠気が私のまぶたを下げようとしているから、奥の部屋のベットに身を委ねる」

神使「・・・・・・」

神様「おやすみ、パトラッシェ」トテトテ

66: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/13(月) 08:56:06 ID:4ewRkb7s

――― 翌朝


神様「ふぁ~ よく寝た」トテトテ

神使「あっ、神様おはようございます」

神様「何か変わったことは?」

神使「特にございませんでしたが」

神様「あっそう」

神使「・・・・・・」

神様「まぁ、そういうこともあるさ。 ほら、ご褒美に“うんまい棒”やるから」ホレッ

神使「どうも・・・(粉々・・・)」

67: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/13(月) 08:57:07 ID:4ewRkb7s

修道女「おはようございます。 お二人ともゆっくり眠れましたか?」スタスタ

神様「バッチシ!」

神使「・・・・・・」

神様「うさーは?」キョロキョロ

修道女「シスターうさーは朝食の準備を」

神様「じゃぁ犬ころ、私達も朝ご飯食べに外行こうか。 朝焼肉が良いと思うの」

神様「何ですかそれ・・・」

修道女「お二人の分も用意いたしておりますのでぜひご一緒に」

神様「私達も良いの?」

修道女「もちろんです」ニコッ

68: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/13(月) 09:00:49 ID:4ewRkb7s

――― 食堂


神様「このパン美味しい」モグモグ

神使「私達だけメニューが違うようで申し訳ありません」

修道女「お気になさらず」

うさー「さすがにお客様に修道女と一緒のメニューはキツいだろうしね!」

神様「シスターちゃん達はそれだけで足りるの?」モグモグ

修道女「馴れてしまえば大丈夫です」

神使「神様も、普段は質素な食事を心がけてはいかがですか?」

神様「は? お前、巫女はガテン系だぞ? もりもり食べないと仕事できないってーの」

神使「いつの時代から巫女はガテン系になったんですか・・・」

69: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/13(月) 09:02:11 ID:4ewRkb7s

神使「それより、どうなさいます?」

神様「何が?」モグモク

神使「うさー様の件ですよ」

神様「あ~」

神使「うさー様が神力を無意識のうちに放出しなくなれば良いんですよね?」

神様「いや~ 問題はそこじゃないだろうな~」

うさー「・・・・・・」

神様「お前、神辞めて人になるか?」

うさー「神を、辞める・・・」

神様「・・・・・・」ジィー

うさー「やっぱり・・・ それしか方法無いのかな・・・」シュン

修道女「シスターうさー・・・」

70: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/13(月) 09:03:17 ID:4ewRkb7s

神様「さてと、ごちそうさま。 犬ころ、帰るぞ」

神使「え?」

神様「私達も仕事がある。 シスターちゃん、泊めてくれてありがとう」ペコリ

神使「大変お世話になりました」ペコリ

修道女「いえ、こちらこそ逆にご迷惑をおかけしてしまったようで」

うさー「・・・・・・」


神様「うさー」

うさー「?」

神様「お前のしている事は許される事ではない。 神法上では重罪だ」

うさー「・・・・・・」コクッ

神様「でも、私はお前に神の力を与えた以上・・・ その行使がどんな物であれそれを受け入れる」

うさー「神ちゃん・・・」

71: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/13(月) 09:03:59 ID:4ewRkb7s

神様「シスターちゃん」

修道女「はい」

神様「どの宗教の神を信じようが、この国にいる以上私は皆の力になる。 遠慮しないで頼って欲しい」

修道女「ありがとうございます」フカブカ


神様「帰るぞ、犬ころ」トテトテ

神使「はい。 いつでも相談に来て下さいね」ペコリ

修道女「・・・・・・」

72: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/13(月) 09:05:17 ID:4ewRkb7s

テクテク


神使「神様、もしよろしければ教えて頂きたいのですが・・・」

神様「あ?」

神使「なにか気になる事があるんですよね?」


神様「・・・あの修道院は奇跡が満ちている」

神使「奇跡? うさー様の神力という事ですか?」

神様「神の力は奇跡じゃない」

神使「?」

77: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/16(木) 06:06:28 ID:.mrHVH.M

――― 午後・はさまれ神社


神様「うへ~ ちかれた」グテッ

神使「えっ!? まだ掃除始めて1時間も経っていませんよ?」

神様「だってさぁ~ これ掃除しても無理だって」

神使「しかし・・・」

神様「それに、か弱い私に力仕事なんて出来ないよ」

神使「・・・あの、先ほど巫女はガテン系だと仰ってませんでしたっけ?」

神様「いつまでも過去に囚われてんじゃねーよ。 今を生きろ!」

神使「・・・・・・」

78: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/16(木) 06:07:16 ID:.mrHVH.M

ギィー


修道女「あの~」

神様「ん?」

神使「シスターさん」

修道女「先ほどはどうも」ペコリ

神使「どうされました?」

修道女「・・・少しお時間よろしいでしょうか」

神使「?」

79: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/16(木) 06:08:30 ID:.mrHVH.M

――― 境内


神使「まともな場所が用意できず申し訳ございません」

修道女「いえ・・・ お気遣い無く・・・」

神様「ねぇ、なんで真冬なのに外でパラソル出して話しをしなきゃいけないの」ブルブル

神使「社務所も本殿も崩壊寸前ですから」

神様「せめてサ店行こうぜ、サ店」

修道女「私のことでしたらお気になさらず。 この格好ですのであまり外をうろつくのもアレですし」

神様「え~」

神使「はい、神様コーラあげますから」コトッ

神様「キンキンに冷えてんじゃねーかよ! 何、嫌がらせ? ねぇ、嫌がらせ?」プシュ

修道女「・・・(でも飲むんですね)」

80: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/16(木) 06:11:17 ID:.mrHVH.M

神使「うさー様はお留守番ですか?」

修道女「えっ? あ、はい・・・」

神使「それでお話しというのは?」

修道女「実は、シスターうさーの件でして」

神様「寝ている時間が長くなった?」グビグビ

修道女「!?」

神使「お寝坊さんと言うことですか?」

修道女「私も最初はそう思って注意をしていたりしたのですが・・・」

神使「体調でも悪いんでしょうか?」

修道女「シスターうさーは気にしないでと言っているのですが、最近は私を気遣って無理をしているような気がします」

神様「あいつは神だからな、まぁ当然だね」ゲップ

神使「どういうことです?」

81: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/16(木) 06:12:32 ID:.mrHVH.M

神様「少なくともあいつはこの神社の主神だ」

神使「まぁ、形式上はそうですね」

神様「この状況見ろよ。 参拝者なんて何年も来てないだろ」

神使「確かに、その気配は感じられませんよね」

神様「そういうこと」

神使「?」

神様「だから神は参拝者からのお願い事で神力が溜まるの」

神使「・・・しかし、うさー様は無意識で放出するくらい神力が強いのでは?」

神様「あれはアイツ自身が持ってる元々の神力、資本金みたいな物だよ」

神使「・・・・・・」

神様「何だよ」

神使「神様、今の説明凄く分かりやすかったです」

神様「軽くバカにした?」ゲシッ

82: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/16(木) 06:13:09 ID:.mrHVH.M

修道女「では、シスターうさーの神力というのが底をつきかけていると?」

神様「もって1年」

修道女・神使「!?」

神使「ど、どういうことですか?」

神様「1年後に消えるって事、もっと早いかも」グビグビ

修道女「そんな・・・」

神使「何か方法はないんですか?」

神様「神社に戻すか、神を辞めて人になるかの2つしか方法はない」

修道女「・・・・・・」

83: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/16(木) 06:14:39 ID:.mrHVH.M

神様「シスターちゃんはどうしてあの修道院でシスターに?」

修道女「・・・私、孤児なんです」

神使「ご両親がお亡くなりに?」

修道女「いいえ、その・・・ 捨て子でして」

神使「ぁ・・・」

修道女「あの修道院の前に捨てられていたそうです」

神使「そうだったのですか・・・ 立ち入ったことをすいません」

修道女「いいえ、お気になさらず」ニコッ

神様「シスターアロハって知ってる?」

修道女「私が物心つく前にお亡くなりになったと聞いています」

神様「そう」

修道女「以来、シスターうさーが私をここまで育ててくれて」

神使「うさー様が修道院を離れない理由はそういう事があったのですね」

84: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/16(木) 06:16:50 ID:.mrHVH.M

神様「・・・シスターちゃんはどうしたい?」

修道女「・・・・・・」

神様「このままだとアイツは1年以内に消える。 人で言う死ぬって事」

神使「ちょっと、神様・・・」

神様「神社に戻せば神力は回復できる。 ただアイツは神法違反をしている」

修道女「神法違反?」

神様「神宮に引き戻して最低でも数百年はまともに外には出られない」

神使「そんな・・・」

神様「神力を無くして神籍抹消すれば人になることも出来る」

神使「うさー様は躊躇していたみたいですが」

神様「そうだろうな~ あいつはたぶん人には戻らないと思う」

神使「なにかお心当たりが?」

神様「・・・・・・。 ハァ~ どうすっかな~」

85: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/16(木) 06:17:41 ID:.mrHVH.M

修道女「私にできることはないでしょうか」

神様「・・・・・・」ジッー

修道女「?」


神使「そういえば奇跡調査の方は?」

修道女「まだ・・・ 事前連絡なしで来るとのことですので」

神様「あ~ そっちもあるんだよな・・・ 面倒くさい」

神使「面倒だなんて失礼ですよ?」

神様「先にそっちをどうにかしないとな」

神使「何か策はあるんですか?」

神様「シスターちゃん」

修道女「はい」

神様「私からもお願いがあるんだけど良い?」

修道女「?」

87: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/17(金) 06:51:03 ID:Lc63lBFc

――― 夕方・キセキ野教会


神使「・・・・・・」

神様「ふへへ~♪」ニッコニコ

うさー「うん、神ちゃん似合ってる!」

神様「やっぱり? 私って何着ても似合うよね」


神使「あの・・・」

神様「何だよ犬ころ」

神使「なぜ神様が修道服を?」

神様「私はシスターかわゆーいカミーです」

88: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/17(金) 06:52:09 ID:Lc63lBFc

神使「何ですかその名前・・・ かわゆーいは不要だと思うのですが」

神様「天の裁き!」ゲシッ

神使「痛っ!」

神様「天にましまし神よ、この邪道極悪腐れ犬ころを地獄に送り給え。 次郎系ラーメン」

神使「ましまし、って・・・」


うさー「神使くんも似合ってるよ! 本物の神父様みたいだね!」

神使「ありがとうございます・・・」

89: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/17(金) 06:53:16 ID:Lc63lBFc


ギー


司祭「失礼いたします」

修道女「司祭様!?」

司祭「おや、お客様ですか?」

修道女「あっ、こちらは・・・」


神様「初めまして、シスターかわゆーいカミーです」

司祭「シスターカミー?」

神様「シスター“かわゆーい”カミーです!」

司祭「はじめまして、シスターカミー」

神様「・・・うん」

90: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/17(金) 06:54:23 ID:Lc63lBFc

司祭「そちらは?」

神様「こっちはシンシー神父」

神使「え!?」

神様「話を合わせろ」ボソッ


神使「は、はじめまして。 神父のシンシーと申します」ペコリ

司祭「これはこれは初めまして、シンシー神父。 どちらの教会から?」

神様「伊勢! 私達はシスターうさーに呼ばれて参りました」

司祭「それはわざわざご苦労様です。 私はこの地区一帯を管理してます司祭と申します」

91: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/17(金) 06:55:07 ID:Lc63lBFc

修道女「あの、司祭様? 今日はどのようなご用件で」

司祭「そうでした、今日の夕方にパチカンから使者の方がお見えになります」

うさー「今日!?」

修道女「そんな急に・・・」

司祭「シスターうさー、あなたの奇跡を認定するためにです」

うさー「・・・・・・」


神様「その件で司祭様にお話しがございます」

司祭「これからパチカンの使者をお迎えに行かなくてはならず。 その後でもよろしいでしょうか?」

神様「いいえ、ダメです」

司祭「・・・・・・」

92: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/17(金) 06:56:09 ID:Lc63lBFc

神様「犬ころ、狛犬になれ」

神使「はい。 ・・・はい!?」

神様「はやくしろ」

神使「え~・・・」ボンッ

司祭「!?」

修道女「うそ・・・」

うさー「ちょっと神ちゃん! 神使君! 何やってんの!?」

神様「犬ころ! 司祭を確保!!」

神使「その必要は無いかと・・・」

修道女「司祭様!」

うさー「あ~あ、司祭様ビックリして気絶しちゃったよ」

93: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/17(金) 06:57:16 ID:Lc63lBFc

神使「神様・・・ どういうことですか?」ボンッ

神様「今からこの修道院は悪魔が占拠する!」

修道女「!?」

うさー「神ちゃん! いつ悪魔に魂なんか売ったの!?」

神様「この修道院とお前を助けるためだったら悪魔でも何にでもなってやるよ」イヒヒヒ

うさー「神ちゃん・・・」ウルウル

神使「うさー様、神様が良いことを言っているように感じるかも知れませんが本気にしないで下さい」

うさー「え?」

神様「何だよ、良いこと言ってんだろうが!」

神使「神様のあの笑い方は、絶対に良からぬ事を企んでいるはずです」

神様「・・・・・・」

94: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/17(金) 06:58:19 ID:Lc63lBFc

うさー「知ってるよ! 神ちゃんに全部任せれば良いって事だよね!」

神使「かなり危険な橋だとは思いますが」

うさー「でも神ちゃん」

神様「あ?」

うさー「昔みたいに島を一つ消しちゃうような事はしないでね!」

神使「島を!?」

修道女「消す!?」

神様「えっ? してないよそんな事」

神使「・・・・・・」ゾッ

修道女「・・・・・・」ゾッ

神様「ちょ、本当してないって! 適当なこと言ってんじゃねーよ、うさー!」

うさー「ふふっ!」ニコッ

98: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:34:29 ID:VKZnMIxU


――― 1時間後


司祭「う~ん、ここは・・・」ボー

神様「目が覚めましたか?」

司祭「シスターカミー!?」

神使「・・・・・・」

司祭「あっ・・・ あぁぁぁ」ゾッ

神様「シンシー神父がどうかしましたか?」

司祭「あ、悪魔・・・」ブルブル

神様「見てしまったのですね?」

司祭「お~ 神よ、救い給え・・・ アーメン」

神使「・・・・・・」

99: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:36:39 ID:VKZnMIxU

神様「なんか言えよ」ボソッ

神使「ワンワン」

司祭「ひぃ~!」ブルブル

神使「・・・・・・(すいません)」


神様「私は悪魔祓いを専門に扱うシスターです」

司祭「Exorcist!?」

神様「え?」

神使「エクソシスト、悪魔祓いの事です」ボソッ

神様「そう! 私はエクソシスター!」

司祭「そんな! 神の御業をシスターカミーが!?」

神様「ん?」

神使「エクソシストはパチカンでは神の権能なんです」ボソッ

神様「へ~」

100: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:37:57 ID:VKZnMIxU

司祭「何故この修道院に悪魔が・・・」

神様「心配いりません、この悪魔は私の力により下僕化しています」

司祭「お~ 何ということでしょう! この国にExorcistがいたなんて・・・」

神様「司祭様、この修道院には解決しなければいけない事がまだあるのです」

司祭「どういう事でしょうか?」

神様「救わなければならない者がいます」

司祭「・・・まさか、シスターうさー!?」

神様「迷える子兎をを私は救わなければなりません」

神使「子羊です」

神様「・・・・・・」ゲシッ

神使「痛っ!」

司祭「!?」

101: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:39:26 ID:VKZnMIxU

神様「あっ、この悪魔の邪心が開きそうだったんで制裁を」

司祭「その悪魔はどのように? 早めに消した方がよろしいのでは?」

神様「そうですね。 木っ端みじんにしましょうか」ニヤッ

神使「勘弁して下さい・・・」

神様「邪には邪を、まだコイツには利用価値があります」

司祭「そうだ! パチカンの使者もExorcistと伺っておりますのでお呼びした方が!」

神様「え!?」


神使「お、お前の管理する司教区で悪魔がでたんだぞ? パチカンに知られても良いのか(棒)」

司祭「!?」

神様「私が隠密に対処します。 くれぐれもパチカンの人間を近づけさせないように」

司祭「わ、分かりました」

102: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:42:43 ID:VKZnMIxU


ギィー
バタン


神様「行ったか?」

神使「はい」

神様「危ねぇ、危ねぇ」フー

神使「なんで私が悪者に・・・」

神様「いや~ 良い演技だった」ポンポンッ

神使「事が済んだら私の汚名を晴らして下さいよ?」

神様「分かってるって。 しかし宗教が違うと訳わかんねーな」

103: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:44:06 ID:VKZnMIxU

うさー「ねぇ神ちゃん、大丈夫?」

神様「任せておけって」

修道女「・・・・・・」

神様「心配?」

修道女「い、いえ・・・ 神である方にこのような事をさせてしまって、私・・・」

神様「シスターちゃんの信じる神のことは私は畑違いだからよく分からないけど、神は人のためにいる」

修道女「人の・・・」

神様「人の願いを叶えるのがお仕事。 だからその願いを叶えるためだったら何だってする、どんな手を使ってでもね」

修道女「神ちゃん様・・・」

神様「お前もそうなんだろ? うさー」

うさー「・・・・・・」コクッ

104: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:45:04 ID:VKZnMIxU

神様「さてと、シスターちゃんお使い頼まれてくれる?」

修道女「お使い・・・ ですか?」

神使「買い物でしたら私が行って参りますが」

修道女「・・・いえ、私が行って参ります」

神様「メモしてあるからこれ買ってきてくれる?」スッ

修道女「・・・分かりました」

神様「ごめんね、よろしく」

修道女「それでは」ペコリ


スタスタ
ギー バタン

105: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:47:39 ID:VKZnMIxU

神様「頭の良い子だな」

神使「?」

神様「さてと、うさー」

うさー「ん?」

神様「時間が無いし隠し事は禁止だ。 正直に言え」

うさー「・・・・・・」コクッ


神様「お前とシスターちゃんの状況は見れば分かる。 どういう経緯があったかを教えてくれ」

うさー「シスターちゃんは孤児なんだよ」

神使「たしか、修道院前に捨てられていたと・・・」

うさー「うん。 20年前の真冬に外で・・・ シスターアロハがそれを見つけて」

神様「シスターアロハが!?」

神使「この修道院の院長様ですよね」

106: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:48:56 ID:VKZnMIxU

神様「それでお前はシスターちゃんを助けるために神力を渡したな?」

うさー「・・・」コクッ

神使「え!? 神力を?」

神様「やっぱり・・・」ハァ

うさー「シスターちゃんを救うには、それしか方法がなかったんだよ!」

神使「と言うことは、シスターさんは」


 「お願いします、話を聞いて下さい!」
 「シスター、そこをどいて下さい」


神様「ん?」

神使「外で何か争っているような声ですが」

107: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:49:36 ID:VKZnMIxU


 バンッ


調査官「パチカンから来ました神父と申します」

神様「・・・」チッ


司祭「シスターカミー、やはりパチカンの神父にお任せした方が良いかと・・・」

神様「・・・・・・」

神使「神様、どうしましょう」

108: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:50:40 ID:VKZnMIxU

神様「あっ! 悪魔が逃げた!」

神使「?」

神様「おい、お前犬ころになって外を散歩してこい」

神使「え~・・・」

神様「早くしろ、この状況はマズい」

神使「も~ 勘弁して下さいよ」ボンッ

調査官「なに!?」


神使「あ、悪魔様のお通りだー。 どけどけ~(棒)」タッタッタッ

調査官「逃がすか! 悪魔め!」タッタッタッ

司祭「お、お待ち下さい神父~」タッタッタッ

109: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:51:31 ID:VKZnMIxU

神様「よし、これで少しは時間が稼げるな」

うさー「ねぇ、神使君あの姿で外を走り回るのマズくない?」

神様「マズいね。 私の来月の給料が減給になるのは間違いない」

うさー「そのレベルで済めば良いけどさぁ・・・」


神様「取りあえず場所を変えよう」

うさー「場所って・・・ 神社?」

神様「でも、ボロボロだし見つかったら逃げ道がないしなぁ・・・」

110: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/20(月) 22:52:25 ID:VKZnMIxU


 「スィニョリ~ナ!」


神様「?」クルッ

住職「うち来る? 歓迎しま~すよ」キラッ

神様「・・・・・・」

修道女「住職さん?」

住職「チャオ!」

うさー「かくまってくれるの?」

住職「美しいスィニョリ~ナ達をお迎えできるなんて大歓迎で~す!」

うさー「助かるよ! イタリアン住職君!」

神様「・・・・・・」

111: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/22(水) 20:37:56 ID:gHgDLCaA


―――キセキ野寺


住職「さぁ、遠慮しないで上がってスィニョリ~ナ達」

神様「随分立派な寺だなぁ~ 儲かってんのか?」

うさー「神ちゃん、失礼だよ!」

神様「え~ だってそこら中キラキラじゃん」

住職「お金よりもスィニョリ~ナ達を助ける事が私の使命で~す」キラッ

神様「うざっ!」チッ

うさー「も~ 神ちゃん! ゴメンね住職君、神ちゃん仏教のことあまり快く思っていなくて」

住職「気にしないで下さ~い」

神様「ちげーよ、そんなこといつまでも根に持ってないっつーの。 いつの話してんだよ」

住職「奥の部屋をお使いくださ~い。 今お茶持ってきま~す」テクテク

112: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/22(水) 20:41:07 ID:gHgDLCaA

スタスタ


神様「この部屋か?」

うさー「そうだね、入ろ!」


ガチャッ


神様「うへ~ ちかれた」グテッ

うさー「確かに」グテッ

修道女「シスターうさー? お行儀が悪いですよ?」

うさー・神様「ごめんなさい」

修道女「いえ、神ちゃん様は別に・・・」


神様「でも修道服って動きづらいな。 首元がキツい」

うさー「あ~ うちの修道院の服って古いタイプだからね!」

修道女「申し訳ありません、あまり他の修道院や教会と交流がないもので・・・」

神様「いや別に謝る必要ないけど。 私は古い修道服の格好の方が好きだし」

113: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/22(水) 20:42:29 ID:gHgDLCaA

うさー「それより、神使くんは大丈夫かな?」

修道女「心配ですよね・・・」

神様「まぁ、なんとかするでしょ」

うさー「信頼してるんだね!」


神様「それよりもだ」

うさー「?」

神様「アロハに関して、私から話しておくことがある」

うさー「シスターアロハ? 神ちゃん知ってるの?」

神様「私は過去にアロハと会ったことがある」

うさー・修道女「え!?」

114: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/22(水) 20:43:40 ID:gHgDLCaA

神様「アロハは・・・ 元、神宮の神だ」

うさー「なっ!?」

修道女「院長が神!?」

神様「元と言ったでしょ。 少なくともうさー達が知っているアロハは神を辞め人に戻った後だ」

うさー「ど、どういう事!? 神ちゃん!」

神様「私がアロハを神にして、その後アロハの意思で神籍を抹消した経緯がある」

うさー「そんな・・・ 知らなかった」

115: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/22(水) 20:44:32 ID:gHgDLCaA

コンコン


住職「失礼しま~す。 お客様で~す」

神様「客?」

うさー「まさか奇跡調査官!?」


ガチャッ


神使「私です」スタスタ

神様「お~ 悪魔か」

うさー「神使君! 上手く逃げられた?」

神使「大変でした・・・」

116: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/22(水) 20:46:20 ID:gHgDLCaA

神様「アイツらは上手く撒けたか?」

神使「はい。 しばらく時間は稼げると思います」

神様「よし。 でも、どうして私達がココにいることが分かったんだ?」

神使「神様達を探して、はさまれ神社の裏にいたところを住職さんに」

うさー「そうなんだ! ありがとね、住職君!」

住職「礼には及びませ~ん」


神様「おい、クソ坊主」

うさー「ちょっと、神ちゃん!」

住職「なんで~すか?」

神様「お前、何者だ?」

うさー「何言ってるの? この寺の住職君じゃない」

神様「違うね」

住職「・・・・・・」

神様「私を騙すことは出来ないぞ?」

117: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/22(水) 20:48:54 ID:gHgDLCaA

住職「さすがで~す。 私、パチカンの者で~す」

一同「!?」

住職「おっと、今回パチカンが寄越した調査官とは無関係で~すよ」


神様「目的は何だ?」

住職「私の目的は一つ、修道院の保護で~す」

神様「何の保護だ?」

住職「・・・・・・」

神様「答えられないか?」

住職「私は20年前、あの修道院で奇跡を見ま~した」

神様「・・・・・・」

118: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/22(水) 20:50:32 ID:gHgDLCaA

修道女「どのような奇跡を見たのですか?」

うさー「・・・・・・」ドキドキ


住職「それは~・・・」

神様「・・・」キッ

住職「お教えできませ~ん」ニコッ

神様「変な笑顔を私に向けるな」プイッ

住職「ははっ、私ちょっと仕事ありますから失礼しま~す」テクテク


ガチャッ


神使「何か隠している感じですね?」

神様「・・・犬ころ、ちょっと付き合え」

神使「はい」

121: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/24(金) 00:07:36 ID:XiCKXaNc

――― 廊下


スタスタ


神使「まさか住職さんがパチカンの方とは思いませんでした」

神様「怪しいもんだ」

神使「え? パチカンの方というのは嘘ですか?」

神様「いや、嘘は言っていないと思う」

神使「どういう事です?」

神様「それを確かめに行くんだよ」

神使「?」


神様「この部屋だな」

神使「住職執務室? 住職さんとお話しに?」

神様「お前は入り口で待ってろ」

神使「分かりました」

122: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/24(金) 00:08:48 ID:XiCKXaNc

――― 住職執務室


コンコン


神様「私だ、入るぞ」


 どうぞお入りくださ~い


ガチャ


神様「立派な部屋だな」トテトテ

住職「お連れさんは中に入らなくて良いので~すか」

神様「一対一だ」

住職「分かりま~した」

123: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/24(金) 00:10:46 ID:XiCKXaNc

神様「私は神宮の神、名を神様と言う。 一応この国の最高神ということになっている」

住職「ご丁寧にありがとうございま~す。 私はパチカンの使い、この国でいう神使でしょうか?」

神様「天使・・・ でいいのか?」

住職「はい、合っていま~す」

神様「まさかこの国に天使がいるなんて驚いた」

住職「私のような一使いがこの国の最高神様とお話しなど、無礼をお許し下さ~い」フカブカ

神様「今更だな」

住職「・・・・・・」

神様「冗談だよ」

124: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/24(金) 00:12:01 ID:XiCKXaNc

住職「コーヒーでもお飲みになりま~すか?」

神様「いらない」

住職「おっと、コーラ派でしたね。 すいませ~ん、まだ買ってないです」


神様「目的はうさーか?」

住職「・・・・・・」

神様「・・・修道院の壁画か?」

住職「私達は“神の息吹”と呼んでいま~す」

神様「たいそうな名前になったもんだ」

住職「神の息吹は奇跡をもたらす物の総称で~す」

神様「奇跡、か・・・」

住職「パチカン最上級の宝物で~す」

125: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/24(金) 00:13:09 ID:XiCKXaNc

神様「あれは元々私の物だぞ?」

住職「ノンノン、あなたはあれを修道院に譲渡しました。 その時点で所有権は我々にありま~す」

神様「詳しいな」

住職「私は修道院が出来た時からずっ~といるんですよ?」

神様「・・・・・・なぜ持ち帰らずに何十年も監視なんかしているんだ?」

住職「持ち帰っても良いので~すか?」

神様「・・・・・・」キッ

住職「すいませ~ん。 冗談で~す」


神様「一つ聞かせてほしい」

住職「なんで~すか?」

神様「パチカンは敵か? 味方か?」

住職「どちらにでもなれま~す」

126: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/24(金) 00:14:00 ID:XiCKXaNc

神様「うさーは、日本の神だ。 お前達が手を出すことは許さない」

住職「彼女は監視対象から外れていま~す。 興味ありませ~ん」

神様「本当か?」

住職「でも~ あの教会にいる限り私達の管理下で~すよ?」

神様「・・・・・・」

住職「私達は神社に手出しはしない。 あなた達は教会に手出しはしない。 約束事で~す」

神様「心得ているつもりだ」

住職「それは良かったで~す」ニコッ

神様「・・・・・・」

127: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/24(金) 00:15:23 ID:XiCKXaNc


バタン


神様「ふ~っ」ハァ

神使「神様・・・ かなり緊張したやり取りでしたね・・・」

神様「ああいう探り合いは馴れないな。 好きじゃない」

神使「パチカンはあの絵画が目的だったのですね」

神様「そんな訳ないだろうが」

神使「え!?」


神様「いま何時だ?」

神使「もうじき18時です」

神様「コーラが飲みたい。 ちょっと外出よう」

神使「はい」


テクテク

130: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/26(日) 18:30:06 ID:SsgA9Wno

――― 客間


うさー「ん~・・・」ソワソワ

修道女「シスターうさー、どうしました?」

うさー「え? いや、えっと~・・・ ちょっと外行ってくる!」スタッ

修道女「・・・神ちゃん様達の後をつけてはダメですよ?」

うさー「嫌だなぁ~ トイレだって」

修道女「本当ですか?」

うさー「う~・・・」

修道女「・・・お手洗いは玄関近くにありましたから」

うさー「あ、ありがとうシスターちゃん!」タッタッタッ

修道女「まったく、シスターうさーときたら・・・」ハァ


修道女(そう言えば、神ちゃん様のメモ・・・)ピラッ

修道女(これ買ったら19時までに礼拝堂集合)

修道女「あと1時間・・・ 今買いに行けば間に合いますね」スッ

131: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/26(日) 18:31:21 ID:SsgA9Wno

――― はさまれ神社・境内


トテトテ


神使「コーラ売っていなくて残念でしたね」

神様「・・・あぁ」チラッ


 うさー「・・・・・・」コソッ


神様「・・・・・・」

神使「神様?」

神様「ん? あぁ、たまにはペポシでもいいや」プシュッ

132: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/26(日) 18:33:24 ID:SsgA9Wno

神使「神様、修道院の絵画って何か曰くがあるのですか?」

神様「・・・神が人に戻るとき、私は必ずある物を渡すことにしているんだ」

神使「?」

神様「そいつの神力を抜いて別の物に移して渡す。 アロハにはあの絵画に神力を移して渡した」

神使「それが修道院の絵画と言うことですか?」

神様「そう。 その神力は人になった後、1度だけ使うことが出来る。 まぁ退職金みたいなもんだ」


神使「もしかしてあの前衛的な絵って・・・」

神様「私が書いた」

神使「・・・なるほど。 通りで意味不明な絵だと思いました」

神様「・・・・・・」ギロッ

神使「すいません」

133: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/26(日) 18:34:48 ID:SsgA9Wno

神様「この修道院に奇跡を・・・」

神使「え?」

神様「20年前、アロハはあの絵にそう願っているようだ」

神使「奇跡・・・」


神様「うさー、隠れてないで出てこい」

神使「うさー様?」


うさー「・・・・・・」テクテク

神様「お前は、シスターちゃんを助けるため自分の神力を渡した」

うさー「うん」

神様「そうしないとシスターちゃんを救えなかった。 そうだな?」

うさー「うん」

134: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/26(日) 18:36:32 ID:SsgA9Wno

神使「シスターさんが神力を受け取ったということは、神になったということですよね?」

神様「・・・・・・」


神使「一つ疑問があるのですが」

神様「なぜ成長しているのか、だろ」

神使「はい」

神様「神の力を得た者はその時点で成長が止まる」

うさー「・・・・・・」


神様「お前、シスターちゃんが成長するように自分の神力を少しずつ渡してるな?」

神使「え!? うさー様の神力を?」

神様「そうだな?」

うさー「・・・・・・」コクッ

135: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/26(日) 18:38:25 ID:SsgA9Wno

神様「特定対象者への連続的な神力使用は立派な神法違反だぞ?」

うさー「だって! だって・・・ そうじゃないとシスターちゃんが・・・」

神使「うさー様・・・ それで今まで修道院に・・・」


うさー「神ちゃん、どうしよう。 私、神力がなくなりそうで」

神使「神力がなくなったら、うさー様は・・・」

うさー「私なんてどうでも良いんだよ! でも、シスターちゃんは・・・ シスターちゃんだけは!」


神様「お前の神力は少なくなってるけど、消えることはないみたいだ」

うさー「えっ!?」

神様「はさまれ神社のご神体はすでに神力が枯渇している。 参拝者もろくに来ていない」

神使「この状態ですからね・・・」

うさー「ごめん・・・ 私のせいだよね」シュン

136: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/26(日) 18:39:16 ID:SsgA9Wno

神様「でも、お前は今でも存在している」

神使「それは、うさー様の元々の神力が強いからですよね?」


神様「うさー、ちょっとおでこ貸せ」

うさー「おでこ?」

神様「少し触れるぞ」ピトッ

うさー「ひやっ!」

神様「・・・・・・」

うさー「・・・神ちゃん?」

神様「なるほどな」スッ


神使「何がですか?」

神様「予想よりも神力が多く残ってる」

うさー「え!?」

137: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/26(日) 18:41:02 ID:SsgA9Wno

神様「たぶん、シスターちゃんに渡した神力がお前にそのまま還元されている」

うさー「私が渡していた神力が使われずに戻ってきてるって事!?」


神使「ちょっと待ってください。 では、どうしてシスターさんは成長をして・・・」

神様「奇跡・・・ だな」

神使「神力とは違うのですか?」


神様「日本の神は“確率”を扱い神力を操作する。 簡単に言えば“運”だな」

うさー「うん」

神様「・・・・・・」ゲシッ

神使「痛っ! え!? なんで私が蹴られたんです??」スリスリ

138: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/26(日) 18:46:23 ID:SsgA9Wno

うさー「奇跡・・・ まさか、シスターアロハの願い!?」

神様「シスターちゃんは、うさーとアロハの神力を得ている」

神使「2つの神力を!?」

うさー「で、でもシスターちゃんからシスターアロハの神力は感じなかったよ?」

神使「そもそも、神力すら使えない感じでしたが」

神様「シスターちゃんの神力は押さえ込まれていると思う。 うさー、お前もだ」

うさー「でも、私は少しだけど使えるけど?」

神様「お前は神力が強すぎるから押さえられない部分が暴走している」

神使「それで、あの時に後光が・・・」

うさー「でも押さえ込むって、どうやって?」

139: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/26(日) 18:47:36 ID:SsgA9Wno

神様「“奇跡”を扱うのは」

うさー「パチカン・・・」

神様「そう、あのクソ天使が監視しているのはシスターちゃんだ」

神使「しかし、住職さんはそんなこと言っておられませんでしたが」

神様「私に隠し事なんていい度胸してるよな」


うさー「住職くんがシスターちゃんを狙ってるってこと!?」

神使「シスターさんを一人にするのはマズいのでは?」

神様「大丈夫だよ。 あのクソ天使もシスターちゃんを連れ出せない理由がある」

神使「理由?」

神様「あのクソ天使よく考えたわ」

うさー「?」

神様「本当、敵か味方かわかんねーな」

140: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/26(日) 18:48:17 ID:SsgA9Wno

神使「そう言えば、シスターさんはどちらに?」

うさー「シスターちゃんなら部屋にいると思うけど」

神様「私が頼んだ買い物をしに行ったと思う」

うさー「え!? 急いで連れ戻さないと!」

神様「大丈夫」

神使「どういう事です?」


神様「楽しいショータイムの始まりだよ、神使君や」ウヒャヒャヒャヒャヒャ

うさー・神使「(悪魔がココにいる・・・)」

144: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/28(火) 04:01:33 ID:b1eyWmmk

神様「犬ころ、お前は調査官達を探して1時間後に礼拝堂に連れてこい」

神使「え!?」

神様「ギリギリまで粘ってから見つかれよ?」

神使「・・・・・・」


神様「うさー、お前主神やってた時の祭儀装束ってまだ持ってるか?」

うさー「装束? たぶんあると思うけど」

神様「今日だけで良い。 日本の神として責務を果たして欲しい」

うさー「でも私・・・」

神様「シスターちゃんを救うんだろ?」

うさー「・・・分かった! 今日は神さまやる!」

神様「よし、19時に修道院の礼拝堂で合流だ」

神使「・・・はい」

神様「行くぞ、うさー」

うさー「うん!」

145: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/28(火) 04:02:51 ID:b1eyWmmk

――― キセキ野寺・墓地


神使「あの人達はまだココにいるでしょうか・・・」コソコソ


司祭「あの悪魔いませんね」キョロキョロ

調査官「隅々まで探しましょう」

司祭「しかし、これだけ大きな墓地ですと・・・」

調査官「そうですね・・・ そうだ! 墓地全体を清めましょう!」

司祭「え?」

調査官「悪魔がこの墓地にいれば、きっと苦しくて出てくるはずです」

司祭「なるほど、さすがパチカンの神父様! では早速」


神使「私には効かないですよね・・・ 祓われたらどうしましょう・・・」

146: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/28(火) 04:03:54 ID:b1eyWmmk


――― キセキ野教会・うさーの部屋


うさー「う~ん・・・ ここに隠しておいたと思うんだけど~」ゴソゴソ

神様「しかし、何もない部屋だな」キョロキョロ

うさー「修道女の部屋なんてこんなもんだよ」

神様「私なら退屈すぎて30分で発狂する自信がある」

うさー「はははっ」ゴソゴソ


神様「ん? あれって・・・」トテトテ

うさー「どしたの?」

神様「この写真」

147: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/28(火) 04:05:06 ID:b1eyWmmk

うさー「あ~ シスターアロハだよ」

神様「・・・いつの写真だ?」

うさー「う~んと、亡くなる少し前だから・・・ 20年くらい前かな?」

神様「・・・・・・」


うさー「懐かしい?」

神様「老けたな。 私が知っているアロハは20歳くらいだったから」

うさー「そっか」

神様「彼女は常に弱き者の味方で・・・ 本当に立派だった」

うさー「そうだね。 私の知ってるシスターアロハも同じ」

神様「アロハは私が神にする前も修道女だったんだよ」

うさー「そうなんだ」

148: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/28(火) 04:06:27 ID:b1eyWmmk

神様「驚かないんだな」

うさー「だって、シスターアロハが修道女以外の事をしているなんて想像できないもん」


神様「今みたいに教会が受け入れられる前でさ、凄く苦労してた」

うさー「なんで別の宗教だったシスターアロハを神になんかしたの?」

神様「宗教とかそんな壁どうでも良いんだよ。 人が勝手に区別しているだけだ」

うさー「え~ でも神宮が納得しないでしょ、そんなの」

神様「あぁ、許さなかった。 神宮はアロハを使って教会を手中に収めようとしていた」

うさー「そんな事まで!?」

神様「アロハには辛い思いをさせてしまった・・・」

149: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/28(火) 04:07:36 ID:b1eyWmmk

うさー「そんな過去があったんだ」

神様「恨んでいるだろうなアロハは・・・ 神の除籍をした後、私は会わす顔がなかった」


うさー「・・・あの壁画って神ちゃんが描いてシスターアロハに送った物なんでしょ?」

神様「結構自信作なんだけど、お前までいちゃもんつける気か?」

うさー「シスターアロハ、毎日あの絵にお祈りしてたよ?」

神様「え?」

うさー「とっても大切で、最も尊敬する親友から頂いた宝物だって」

神様「・・・・・・」

うさー「修道院の運営が立ちゆかなくなった時も、あの絵だけは守り通したんだ」

150: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/28(火) 04:08:28 ID:b1eyWmmk

うさー「椅子とか聖書とか売られても、あの絵だけは誰にも触れさせなかった」

神様「・・・・・・」

うさー「シスターアロハが神ちゃんを恨むはずないじゃん」

神様「だと、嬉しいな」

うさー「このバタバタが終わったらシスターアロハの墓地に一緒に行ってくれる?」

神様「そうだな」

うさー「ありがと!」

151: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/28(火) 04:11:34 ID:b1eyWmmk

神様「で、装束はあったのか?」

うさー「うん一応・・・ まさかこれ着るの?」

神様「当たり前だろ。 服は着るためにあるの!」

うさー「え~ 神ちゃんはいっつも脱いでるじゃん」

神様「着てるだろ! 見ろよ! ちゃんとおべべ着てるだろうが!」

うさー「あっ!」

神様「なんだよ」

うさー「この装束を売れば良かった! 結構価値あるよね、この服って!」

神様「・・・・・・」

うさー「冗談だって! これは神ちゃんからもらった物だもん、私の宝物!」

神様「あ~ それ猫神のお古だから。 私そういう装束とか大っ嫌いだから邪魔だったんだよ」

うさー「!?」

152: ◆8YCWQhLlF2 2017/02/28(火) 04:12:30 ID:b1eyWmmk


 修道女「ただいま戻りました。 神ちゃん様いらっしゃいますか?」


神様「シスターちゃん帰ってきたみたいだな」

うさー「ほんとに着なきゃダメ? 恥ずかしいよ」

神様「私は先に礼拝堂に行ってるから、ちゃんと着替えてこいよ」トテトテ

うさー「う~・・・」

153: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/01(水) 02:30:45 ID:/Qe3D7Dc


――― 礼拝堂


修道女「神よ、どうか私達をお守りください・・・」


ギィ


神様「お疲れちゃん」トテトテ

修道女「神ちゃん様」

神様「頼んだ物は買えた?」

修道女「・・・はい」

神様「どれどれ~」ゴソゴソ

修道女「一体何に使うのですか?」

神様「ウヒヒ、これでアイツらをコキャと言わせるの」

修道女「コキャ? 」

154: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/01(水) 02:31:38 ID:/Qe3D7Dc


ギィ


うさー「神ちゃ~ん・・・」モジモジ

修道女「シスターうさー? そんなところに隠れてどうしたんです?」

神様「何やってんだよ、早く来いって」


うさー「う~・・・」テクテク

修道女「シスターうさー!?」

うさー「はははっ、似合わないよね・・・ 自分でも分かってるし!」

修道女「・・・・・・」

神様「今日は神さまやるんだろ?」

うさー「そうだけどさぁ~・・・」

155: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/01(水) 02:33:07 ID:/Qe3D7Dc

神様「シスターちゃんに紹介しよう。 はさまれ神社の主神、従三位ウサノ神だ」

うさー「正三位だよ! どっちでも良いけど・・・」


修道女「それが・・・ シスターうさーの本当のお姿なのですね?」

うさー「え!? 違うよ! 私はシスター! シスターうさーだよ!」

神様「ウサノ神だろ?」

うさー「も~ 分かったよ! 今日は神さまのウサノ神!」

修道女「とてもご立派ですよ、ウサノ神様」ニコッ

うさー「シスターちゃんまで、からかわないでよ!」

修道女「・・・・・・」フカブカ

うさー「え!? ちょ、やめてよシスターちゃん」オロオロ

156: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/01(水) 02:34:28 ID:/Qe3D7Dc

神様「よし、それじゃぁこれ」スッ

うさー「なにこれ?」

修道女「台本・・・ ですか?」

神様「神ちゃん特性台本! そして~」ゴソゴソ

うさー「かぶり物?」

神様「私は悪魔のボス! 大悪魔だ!」カポッ

うさー「え~ ぴえろのかぶり物じゃん」

神様「・・・・・・」

修道女「すいません、そのぴえろが一番インパクトが強かった物で・・・」シュン

うさー「えっ、それシスターちゃんチョイスなの!?」

157: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/01(水) 02:35:46 ID:/Qe3D7Dc

神様「まぁ・・・ 私の演技力でカバーするから大丈夫・・・」

うさー「演技? 学芸会でもするの?」

神様「違うわ! 面倒な調査官達を蹴散らすんだよ」

うさー「どうやって?」

神様「その為の台本だよ」

うさー「ふ~ん」


神様「もうすぐうちの犬ころが調査官達を連れて礼拝堂に入ってくるから。そしたらこの台本通りでお願いね」

修道女「え!? 後10分しかありませんが!?」

うさー「・・・ねぇ、神ちゃん?」ペラペラッ

神様「あ? 泣き言なら聞かないぞ」

158: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/01(水) 02:36:47 ID:/Qe3D7Dc

うさー「これ神使くんの台詞もあるけど打ち合わせしたの?」

神様「・・・・・・」

修道女「一行目から神使さまの台詞ですが」

神様「・・・・・・」


うさー「まさか、神使くん知らないんじゃ・・・?」

神様「だ、大丈夫! 犬ころならきちんと出来るって。 あいつと私は深い精神の所で繋がっているから!」フンスッ

うさー「神ちゃん、色々無理・・・」

162: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/03(金) 01:34:40 ID:owHcblW.

――― キセキ野寺・墓地


神使「もうじき19時・・・ そろそろ行きますか」ボンッ



司祭「やはりここから逃げて別の所にいったのでは?」

調査官「そのようですね、他を探してみましょう」


神使「う、うわー 苦しいー(棒)」

司祭・調査官「!?」

神使「お、お前達何をしたー(棒)」

調査官「出たな悪魔め!」

司祭「さすがパチカンの神父! 効果覿面ですな」


神使「くそー、逃げてやるー(棒)」タッタッタッ

調査官「今度は逃がすか!」タッタッタッ

司祭「待ってください~ 神父~」タッタッタッ

163: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/03(金) 01:35:57 ID:owHcblW.

――― キセキ野教会・礼拝堂


神様「よしっ、と」グイグイッ

うさー「シスターちゃん、キツくない?」

修道女「大丈夫です」

うさー「別にシスターちゃんを縛り付けておかなくても良いんじゃない?」

神様「あ? 人質は縄で縛るのが常識だぞ。 私なんか捕まったときはいっつも縄で縛られるし」

うさー「そうなの?」


神様「あとは、犬ころが入って来るのを待つだけだ」

うさー「えっと~ “大悪魔様、我々の理想郷を作るために生け贄を連れて参りました”っていう神使くんの台詞だね」

神様「よし、うさーは柱の裏にでも隠れてろ」

うさー「うん」スタスタ

164: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/03(金) 01:37:39 ID:owHcblW.

神様「シスターちゃんは恐怖におびえた子兎のようにプルプルして、できるだけ言葉は発しないように」

修道女「難しいですね・・・ 出来るでしょうか?」

神様「大丈夫。 さて、私も準備を」カポッ

修道女「・・・・・・」


神様「大悪魔に見える?」

修道女「・・・・・・」

神様「嫌だな、まだ話はしても大丈夫だよ」

修道女「・・・はい。 インパクトはありますね・・・ すいません」


神様「よし! 準備オッケー」

165: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/03(金) 01:39:00 ID:owHcblW.


バンッ


神様「来た!」


神使「神様~ あとはお願いします~」タッタッタッ


神様「・・・・・・」

うさー「あちゃー、やっぱり神使くんの台詞全然違うよ・・・」


調査官「!?」

司祭「シスターカミー、そのお面は何ですか?」

神様「・・・わ、私は悪魔の親方! 悪魔長だ! ドドン!」

一同「・・・・・・」

修道女(大悪魔では・・・)

166: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/03(金) 01:40:35 ID:owHcblW.

司祭「シスターカミーですよね?」

神様「悪魔長だ! 犬こ・・・ 下級悪魔よ、 悪魔長である私の隣へ来い!」

神使「私ですか?」スタスタ

神様「さぁ、人間どもを威嚇するのだ! 犬こ・・・ 悪魔犬よ!」

神使「・・・ワンワン」

うさー(せめて呼び名は統一しようよ、神ちゃん・・・)


一同「・・・・・・」


神様(確か、コイツ尻尾握ると吠えまくったよな)


ギュッ


神使「!! ギャーッ!!!」

一同「!?」ビクッ

司祭「ひぃぃぃ~!」ブルブル

167: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/03(金) 01:42:00 ID:owHcblW.

神使「神・・・ 様・・・ 尻尾はダメで・・・す・・・」バタン

神様「やべっ、強く握りすぎたか」


調査官「悪魔を一瞬で!?」

神様「わ、私の力を思い知ったか!」

調査官「修道女の格好などして、私達を騙していたと言うことですか」

神様「その通りだよ! うひゃひゃひゃひゃ!」


調査官「何という凶悪な悪魔・・・」

司祭「神父、さすがにそれはないと思うのですが・・・」

168: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/03(金) 01:43:12 ID:owHcblW.

調査官「いいえ、確信しました。 あれは悪魔特有の笑い方です」

司祭「なんと!」


調査官「それと、あのお面は魔面に似ています」

司祭「魔面?」

調査官「14世紀に悪魔崇拝者が書いた禁書に出てくる最凶の悪魔が被っていた物です」

司祭「なんと!」


神様「・・・・・・」

調査官「まさか魔面を持つ物が悪魔の親玉だったとは・・・」

169: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/03(金) 01:44:24 ID:owHcblW.

調査官「・・・・・・」ジリジリ

神様「おっと、それ以上近づくとこのシスターがヤバいことになるよ?」

修道女「・・・・・・」プルプル

調査官「卑怯な! 私達の敬虔な修道女をすぐ解放しなさい!」

神様「嫌だね~ うひゃ・・・ イヒヒヒヒッ」


うさー(ここで出て行けば良いのかな?)

うさー「待ちなさい! 大悪魔!」


神様「だ~れ~だ~?」クルッ

うさー「その人を解放しなさい!」スタスタ

司祭「シスターうさー?」

170: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/03(金) 01:45:20 ID:owHcblW.

神様「お前は、日本の神で神力がめっぽう強いはさまれ神社の主神ウサノ神だな?」

司祭「シスターうさー、その格好はどうしたのです?」

うさー「わ、私は日本の神ウサノ神である! 今から悪魔を懲らしめる!」

神様「やれる物ならやってみろ~」


調査官「シスターうさー、危ないので離れていてください」グイッ

うさー「え?」ズルズル

神様「ちょ、うさーと戦わせろよ」

調査官「その必要はありません」


シャキン


神様「!?」

171: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/03(金) 01:47:41 ID:owHcblW.

調査官「この聖剣で悪魔どもを封じます」

神様「ちょ、ナイフはダメだって」

調査官「聖剣です」

神様「ナイフだろ! そんなの悪魔じゃなくてもダメージ受けるわ!」

うさー「そ、そうだよ! 私の神の力で神ちゃ・・・ 大悪魔と戦うから!」ジタバタ

司祭「シスターうさーはおとなしくしていて下さい」ガシッ

うさー「放してよ~」ジタバタ


神様「やべーな・・・」

175: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/06(月) 01:55:15 ID:DoJcG5F6

――― キセキ野寺


住職「さて~ 私の目的は感づかれてしまいましたかね」

住職「取りあ~えず、何か策を考え――― !?」ガタッ

住職「・・・・・・」


住職「墓地から負の瘴気が消えて・・・・・・」

住職「マズいで~す!」タッタッタッ

176: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/06(月) 01:57:29 ID:DoJcG5F6

――― キセキ野教会


神様「・・・・・・(くそ、逃げるか・・・)」ジリジリ

調査官「一歩でも動いたら投げますよ?」スッ

修道女「ちょっと待ってください! ここは教会ですよ? そんな物騒な物・・・」

調査官「聖剣です」

神様「聖剣なら聖剣らしい使い方しろよ! なんで投げる気満々なんだよ!」

うさー「そ、そうだよ! 投げたら危ないよ!」ジタバタ


神様「あー! もうっ! ナイフ投げるなら私がいなくなってからにしろよ!」タッタッタッ


うさー「神ちゃん!」ジタバタ

司祭「シスターうさー! 暴れないでください!」ガシッ

うさー「うるさい! 放せ!!」バッ

司祭「シスターうさー! 危ないですから戻って!」

177: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/06(月) 02:00:33 ID:DoJcG5F6


調査官「神の名のもとに、悪魔よ! 消えろ!」シュッ

うさー「!? 神ちゃん! 後ろ!!」タッタッタッ


神様「うげっ! あの野郎、本当に投げやがった!」ササッ

調査官「くそ! 逃がすか!」シュシュッ

神様「てめー! 何本持ってんだよ! 聖剣なんて普通1本だろ!!」


うさー「神ちゃーん!」タッタッタッ

神様「バカ! うさー! 危ない逃げろ!」


修道女「シスターうさー! 後ろ!」

うさー「え?」



バンッ

住職「これは!?」ハッ

178: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/06(月) 02:02:33 ID:DoJcG5F6

神様「おい、うさー! 大丈夫か!? うさー!」タッタッタッ

うさー「う~・・・」


神様「!? ・・・・・・おい、何だ・・・ あれ・・・」

うさー「へ? あれ? ナイフは?」キョロキョロ

司祭「ナイフ・・・ 聖剣が空中で止まって・・・」


ポワポワ


神様「シスター・・・ ちゃん?」

うさー「シスターちゃんが・・・ 光ってる」

神様「壁画も光って・・・」

179: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/06(月) 02:03:48 ID:DoJcG5F6


ポワポワ


修道女「・・・・・・」スー


調査官「バカな・・・ 宙を浮いて歩いて・・・」

司祭「そんな!?」


ポワポワ


修道女「神ちゃん」

神様「シスターちゃ・・・ アロ・・・ハ・・・?」

修道女「ありがとう」ニコッ

神様「・・・・・・」

180: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/06(月) 02:05:22 ID:DoJcG5F6

うさー「シスターアロハ・・・?」

修道女「立派になったわね、うさー」ニコッ

うさー「うっ・・・っ うん!」ポロッ


住職「・・・・・・」



修道女「この修道院は神の力で救われます。 うさーの言葉に従いなさい」

住職「・・・・・・」フカブカ


修道女「」スー パタリ


神様「光が消えた・・・」

うさー「シスターちゃん!」ユサユサ

181: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/06(月) 02:06:48 ID:DoJcG5F6

スタスタ

住職「スィニョリーナ」ボソッ

神様「・・・・・・」ポケー


住職「スィニョリーナ!」

神様「んぁ!?」ハッ


住職「大丈夫で~すか?」ニュッ

神様「わっ、顔近い! な、何だよ」

住職「失礼、墓地からの負の瘴気が消えていま~す」

神様「瘴気・・・? やっぱりお前が墓地からの瘴気を使ってシスターちゃん達の力を押さえ込んでいたのか」

住職「シスターさんが意識を取り戻す前にもう一度瘴気を出してきま~す」

神様「その必要はない」

住職「?」

182: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/06(月) 02:07:57 ID:DoJcG5F6

神様「シスターちゃんにも正直に話すべきだ」

住職「・・・・・・」

神様「力の扱いをどうするかは本人が決めるべきだ」

住職「分かりま~した」


神様「それより、お前はあそこの二人をどうにかしておけ。 お前達の管轄だぞ」

住職「?」クルッ


調査官「」ポケー

司祭「」ポケー

183: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/06(月) 02:09:51 ID:DoJcG5F6

神様「記憶くらいは書き換えておけよ?」

住職「そうです~ね」ハァ


住職「それと、シスター・・・ いえ、うさー様?」スタスタ

うさー「え? 私?」

住職「この修道院の導きを、うさー様のお言葉で」フカブカ

うさー「・・・・・・」

神様「アロハからの願いだ。 お前の言葉で伝えるんだ」

うさー「私の言葉・・・」

神様「神宮もパチカンも、お前の言葉に従うだろう」

184: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/06(月) 02:11:24 ID:DoJcG5F6


うさー「私は・・・ 私は日本の神! この修道院は日本の神の力で守られる! ウサノ神からの神勅とする!」


神様「いいのか?」

うさー「今日は神さまやるって神ちゃんと約束したし! 私は、約束は守るんだよ!」プイッ

神様「だってさ」

住職「よろしいので~すか?」

うさー「神勅なんだから絶対まげない! 日本の神は言った言葉に責任を持つんだよ!」

住職「素晴らしいお言葉で~す。 これからもご尽力くださ~い」フカブカ


神使「う~ん・・・」ムクッ

神使「あれ?」ボー

神様「目が覚めたか」

神使「どうなったんです? これ?」

神様「解決したよ、お前の名演技のおかげでな」

神使「はぁ・・・ (お尻が痛い・・・)」スリスリ

188: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/08(水) 02:21:39 ID:0i9dhtss

――― 深夜・キセキ野寺・住職執務室


 コンコンッ


住職「?」

神様「扉開けっ放しだぞ?」トテトテ


住職「こんな遅くにどうされたので~すか?」

神様「お前こそ、こんな遅くに何の荷造りしているんだ?」

住職「私は明日にでもこの国を出ま~す」


神様「シスターちゃんは私達の管理下でも良いと言うことか?」

住職「あの修道院はパチカン管理でなくなりま~したからね」

神様「随分引き際があっさりしてるな」

189: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/08(水) 02:22:48 ID:0i9dhtss

住職「・・・私、シスターさんをどうすれば良いのか正直分からなかったんで~す」

神様「・・・・・・」

住職「私はただ彼女の力を押さえつけるだけで、それ以上の方法を思いつきませんで~した」


神様「まさか、ずっとそばにいて守り続けるつもりだったのか?」

住職「はい」

神様「・・・即答か」

住職「私の役目で~すから」ニコッ

神様「何十年でもか?」

住職「はい」

神様「何百年でもか?」

住職「もちろんで~す」

190: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/08(水) 02:23:46 ID:0i9dhtss

神様「立派だな・・・ とでも言うと思ったか? そんなものただの自己満足だ」

住職「・・・・・・返す言葉もありませ~ん」


神様「彼女はもう子供じゃない」

住職「そうで~すね・・・」

神様「でも、今まで彼女の身を案じ、守ってくれたことに関しては深く礼を言う」フカブカ

住職「頭を上げてくださ~い。 あなたはそういう事が似合いませ~ん」

神様「?」ジーッ

191: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/08(水) 02:27:27 ID:0i9dhtss

神様「・・・お前、もしかして以前に私と会ったことがあるか?」

住職「・・・・・・」


神様「ミカエル・・・」

住職「お~! 思い出してくれましたか! 嬉しいで~す!」

神様「確か・・・ 800年くらい前か」

住職「またお目にかかれて光栄で~した」フカブカ

神様「・・・・・・」

住職「?」


神様「あの時はすいませんでした!」ドゲザ

住職「もう昔の話で~す」ハハッ

神様「異国の者が珍しくて裸に剥いてしまい申し訳ありません!」

住職「・・・忘れましょう」

192: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/08(水) 02:29:29 ID:0i9dhtss

神様「でも、大天使がわざわざ出張るほどの重要案件だったと言うことか?」

住職「パチカンと日本の神の力を持つ人間で~すよ?」

神様「まぁ、確かに」

住職「でも、心置きなく帰れま~す」


神様「・・・お前達の主に伝言をお願いできるか?」

住職「もちろんで~す」

神様「あの修道院は、私達日本の神の管理下になる」

住職「・・・・・・」

神様「しかし、修道院と隣のはさまれ神社を私達とお前達の共有管理にしたい」

住職「神社もで~すか!?」

193: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/08(水) 02:30:26 ID:0i9dhtss

神様「あの二人が信仰しているのはお前達の神だ。 そこに私は立ち入れない」

住職「しかし・・・」

神様「彼女たちの力を維持するには神社が必要だ。 二人ともこの国の神力を持っている」

住職「・・・・・・」

神様「教義はパチカンだが、彼女たちが平和に暮らせるよう私達の力も扱わせたい」

住職「ご立派です。 主に必ずお伝えしま~す」

神様「頼んだ」

住職「日本の最高神様からのお願いです、主も意義なく全面承認されるでしょう」

194: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/08(水) 02:34:31 ID:0i9dhtss

住職「あっ、でもアレは持って帰らせてもらいます~よ」

神様「あれ?」

住職「神の息吹」

神様「力の無くなった物を持って帰っても仕方ないだろ。 今は私の描いたただの落書きだぞ?」


住職「私も大天使で~す。 パチカンには依頼を完遂したという示しが必要で~す」

神様「なるほどな」

住職「複製が終わり次第、すぐに修道院に戻しま~す」

神様「お前達の物にするんじゃないのか?」

住職「いりませ~ん」

神様「・・・・・・」

住職「それに、あの絵はあの修道院に飾られるべき物ですから」

神様「本当に建前上持って帰るだけなんだな・・・」

住職「ふふっ」

195: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/08(水) 02:35:44 ID:0i9dhtss

神様「あの落書きが海を越えてパチカンに行くことになるとは思ってもみなかった」

住職「複製はパチカン大聖堂に飾られて沢山の信者が祈りを捧げることになると思いま~す」

神様「パチカンはそれでいいのかよ・・・」

住職「パチカン自体は私達にはあまり関係ありませんから好きにやらせておけば大丈夫で~す」

神様「そんな発言、パチカンのお偉いさんが聞いたら泣くぞ・・・」

住職「内緒でお願いしま~す」

196: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/08(水) 02:36:34 ID:0i9dhtss

神様「最後に一つ聞いていいか?」

住職「?」


神様「お前達は敵か? 味方か?」

住職「パチカンはどちらにもなれま~す」

神様「・・・・・・」


住職「でも~」

神様「?」

住職「主と私達天使は、日本の神と神使の味方で~す。 断言できま~す」ニコッ

神様「そうか」フッ

205: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/10(金) 04:56:18 ID:Ht/oWEBw

――― 翌日・フラソダーピスチヌ会墓地


テクテク


うさー「ここがシスターアロハのお墓だよ」

神様「随分と質素だな・・・」

うさー「シスターアロハの遺言なんだ」


 神使「神様~」タッタッタッ


神様「?」

うさー「神使君、どこ行ってたの?」

神使「お花を買いに。 神様、これでよろしいですか?」

神様「おっ、いいね~ さすが悪魔」

神使「悪魔じゃありません。 神に仕える神使です」

うさー「そうだよ~ あんまりいじめちゃ神使君が可哀想だよ」

神様「へいへい」

206: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/10(金) 04:59:28 ID:Ht/oWEBw

うさー「へぇ~ 綺麗だね」

修道女「私、こんな色のバラ初めて見ました」


神様「人の造りし花・・・ でも、綺麗な青色だな。 人のイデオロジーも凄いな」

修道女・うさー「?」


神使「・・・・・・もしかして、テクノロジーの事ですか? バイオテクノロジー」

神様「お前はそうやってすぐに難しい言葉を使うな! 意識高い系神使でも目指してんのか!」

神使「え!? イデオロジーなんて言葉の方が難しいと思うのですが・・・」

神様「うるさい! 極悪邪道腐れ犬ころ変態すけこま意識高い系アホ神使!」

神使「それ、次も同じ順番で言えます・・・?」

神様「うるせー、早く花を寄こせよ」

神使「はい、どうぞ」

神様「ったく」

207: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/10(金) 05:03:21 ID:Ht/oWEBw


トテトテ


神様「アロハ、心配かけたな・・・」

神様「ゆっくり話をしたいところだが神は墓地に長くいることは出来ないから・・・ 一言だけ」

神様「安らかに・・・ アーメン」


一同「アーメン」


―――――
―――

208: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/10(金) 05:04:53 ID:Ht/oWEBw

――― 帰り道


テクテク


うさー「ありがとうね、神ちゃん!」

神様「いや・・・」


うさー「ねぇ、皆お腹空かない? ラーメン食べようよ」

神様「いいね~」

修道女「シスターうさー? そんなお金・・・」

うさー「大丈夫だよ、一日くらい」

修道女「明日からしばらくパンを一つ減らしますからね?」ハァ

うさー「え!?」

209: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/10(金) 05:05:57 ID:Ht/oWEBw

ブルブル


神使「?(メール?)」ゴソゴソ



神様「そうだ、近いうちにシスターちゃん宛に神宮の使いを寄こすから」

修道女「ご使者の方ですか?」

神様「まぁ、神力の使い方とか簡単なレクチャーだけ受けておいて」


うさー「ね~ 神ちゃん、本当に私達このまま修道院にいても良いの?」

神様「その代わり、はさまれ神社の手入れもこれからはきちんとするんだぞ」

うさー「う~・・・ 分かった」

210: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/10(金) 05:06:53 ID:Ht/oWEBw

修道女「・・・・・・」

神様「心配?」

修道女「急だった物で・・・ 私に神の力があるだなんて・・・」

神様「大丈夫。 アロハの神力だ。 暴走することなんてないから」

うさー「私の神力もシスターちゃんにあるんだよ!」ニコニコッ

神様「・・・神力が暴走しないよう、レクチャーはちゃんと受けて慎重に扱うように」

うさー「ひどい! それじゃ私の神力が暴走するみたいじゃん!」

神様「みたいじゃない、するんだよ」

うさー「酷いよ神ちゃん・・・」

211: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/10(金) 05:07:50 ID:Ht/oWEBw

修道女「本当に、神ちゃん様には何とお礼を言えば良いか・・・」

うさー「神ちゃん、本当にありがとう」


神様「うさー」

うさー「ん?」

神様「私を庇ってくれてありがとう」

うさー「え!? いや、体が勝手に動いちゃっただけだし。 私こそ色々とゴメン」

神様「やっぱり、私はお前を神にしたことは間違っていなかった」

うさー「神ちゃん・・・」


神様「まっ、それは置いておいて早くラーメン食べに行こう!」

212: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/10(金) 05:09:39 ID:Ht/oWEBw

神使「・・・・・・」

うさー「どうしたの神使くん、元気ないね」

神使「いえ・・・ その・・・ 神宮からもの凄い量の着信とメールが・・・」

神様「神宮?」

神使「はい、100件以上も・・・」

うさー「あ~ 神使くん狛犬の姿で街中走り回ったから・・・ バレたんでしょ」


神様「うげっ! 私も着信凄い!」

神使「どうしましょう」

神様「取りあえず、早めに逃げた方が良いみたいだな」

神使「そうですね」

神様「じゃ、私達は逃げるから!」

213: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/10(金) 05:11:26 ID:Ht/oWEBw

うさー「え!? ラーメンは?」

神様「これで二人して食べてこい」ジャラジャラ

うさー「・・・神ちゃん」

神様「遠慮するな」フッ

うさー「いや・・・ 250円しかないよ?」

神様「私の手持ちの有り金だ。 それで腹一杯食べてこい」キラッ

うさー「う~ 一応、ありがとう・・・」


神様「よし、犬ころ! 逃げる準備は良いか?」

神使「はぁ」

214: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/10(金) 05:12:16 ID:Ht/oWEBw

うさー「ねぇ神ちゃん、また会える?」

神様「当たり前だ」

うさー「本当に? 嘘ついてない?」

神様「大丈夫だよ、あの修道院だって神宮の管理下に入ってるんだし。 また遊びに来るよ」

うさー「約束だからね!」

修道女「本当にお世話になりました」フカブカ


神使「こちらこそ、お世話になりました」

神様「じゃ!」


うさー「元気でねー また来てね~!!」

修道女「・・・・・・」フカブカ


―――――
―――

215: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/10(金) 05:14:32 ID:Ht/oWEBw

テクテク


神様「神ちゃん世界教はまだまだお預けのようだな」

神使「きっとその日は来ないと思いますが・・・」


神様「きせき野町か・・・」

神使「町の名前の通り奇跡に満ちていましたね」

神様「あぁ・・・ さて、急ぐぞ。 早めにこの町を出た方が良い気がする」

神使「そうですね」


ブーン キキィ!


神様「危ねっ! なんだ!?」

神使「黒塗りの車! まさか!」


バタン!


神様・神使「!?」

218: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:37:10 ID:Zj492Vqg


神様機構長官「久しぶり、神ちゃん」

神様「長官君!?」


神使長「ご無沙汰だ、神使君」

神使「神使長!」


長官「探したよ」

神使長「なぜ2人とも電話に出ないんだ?」


神様・神使「・・・・・・」

219: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:38:54 ID:Zj492Vqg

長官「中々楽しい事をしていたみたいだね?」

神様・神使「・・・・・・」


神使長「まぁ、とやかく言っても仕方ないから連絡事項だけ伝えておく」

長官「まずこれ」ドンッ!

神様「この紙の束は何でしょうか、長官君・・・」

長官「ん? それいっぱいに反省文を書いて」

神様「え!? コレ何枚あるの?」

長官「500枚」

神様「・・・・・・」

220: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:40:16 ID:Zj492Vqg

神使長「あと、これね」ペラッ

神使「これは・・・」

神使長「2人の辞令だ」

神使「辞令!?」


長官「今まで出向ご苦労様だったね」ニコッ

神様「まさか、出向が解かれてるの!?」

長官「長い間不便な思いをさせて済まなかったね、神ちゃんと神使君」

神様「おっ、神宮帰還?」

神使「・・・・・・」

221: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:41:37 ID:Zj492Vqg

神様「どったの?」

神使「いえ・・・ この辞令は・・・」


長官「本日付で2人は調査室に転属だ」

神様「調査室? そんなの神宮にあったっけ?」

神使長「いやいや、神宮にはそんな部署は無いよ」

神使「辞令に“神様・神使を神宮付きから解くものとする”と書いてあるのですが・・・」

神様「ふぇ?」


長官「好き勝手するのに神宮の名前は邪魔だろうからね」

神様「それって・・・」

神使「・・・・・・クビですか?」

神使長「いやいや、優秀な2人をそんな事するはず無いじゃないか」

222: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:42:32 ID:Zj492Vqg

長官「辞令とは別にリストが付いているだろ?」

神使「沢山神社の名前が書いてありますが・・・」

長官「要調査神社の一覧だ」

神使「要調査?」


神使長「今後2人でその神社を調査するのが仕事になる」

神様「うげっ! なにこの数!」

長官「やりがいがあるだろ?」

神様・神使「・・・・・・」

223: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:43:21 ID:Zj492Vqg

長官「それじゃ、私達は帰るよ」

神使長「健闘を祈る」

神様・神使「・・・・・・」


長官「そうだ、2人とも半年間は給料が出ないから」

神使長「反省文は今月中に提出するように」

神様・神使「・・・・・・」


バタン
ブーン


神様・神使「・・・・・・」

224: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:45:41 ID:Zj492Vqg

――― 車内


ブーン


神使長「本当によろしいのですか? 長官」

長官「あの2人は私達が長い時間をかけても解決できなかった問題を、全てたった数日で解決してくれている」

神使長「そうですが・・・」


長官「あの2人なら大丈夫だよ」

神使長「可愛い子には旅をさせろ、ですか?」

長官「いや・・・ 神宮は大きくなりすぎた。 スリムアップかが急務だ」

神使長「大変な作業ですな」

長官「その間はあの2人を巻き込みたくないからね」

神使長「その為の一時的な措置ですか・・・」

225: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:46:46 ID:Zj492Vqg

長官「神ちゃんは自ら神宮を出て行ったんだ。 また戻ってきたいと思える姿にするのが私達の使命だ」

神使長「・・・・・・」

長官「神ちゃんの理想とした神宮の姿を取り戻す」

神使長「可能ですか?」

長官「さぁ、どうかな。 ・・・それよりもだ」

神使長「気が重いですな」

長官「相手はパチカンだしな・・・」

神使長「今回の件でパチカンとの追加契約書だけでも300ページはありますからね」

長官「神ちゃん、こっちの身も考えてくれよ・・・」

神使長・長官「ハァ~・・・」ゲンナリ


ブーン


―――――
――――
――

226: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:47:46 ID:Zj492Vqg


神様「神使君?」

神使「何でしょうか?」

神様「これって神宮から追い出されたって事?」

神使「その認識で合っていると思います」


神様「私、ついに野良神になった?」

神使「私も野良神使ですかね・・・」


神様「半年間、給料出ないって言ってたよね?」

神使「はい」

神様「私のローンの支払いは?」

神使「・・・・・・」

227: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:49:30 ID:Zj492Vqg

神様「私、銀行に601円しかないよ? 手持ちはゼロ。 財布にレシートとポイントカードしか入ってない」

神使「私の貯金で半年持つでしょうか・・・」


神様「ちゃんと私を養ってね、ハート」

神使「・・・・・・」

神様「・・・・・・」


神様・神使「ハァ~」ゲンナリ

228: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:50:58 ID:Zj492Vqg

神使「仕方ありません、早速次の勤務先に行きましょう」

神様「都会がいい。 都会に行きたい」

神使「ワガママ言っている場合ではありません」

神様「え~ こんなに沢山神社あるんだから都会行こうぜ~」

神使「都会の神社は大変ですよ? 人間関係とか色々。 なんと言っても要調査神社ですから」

神様「・・・・・・。 だよね~」

神使「近場から行きましょう」


神様「その前に二人で温泉行こうぜ~」

神使「温泉!?」

神様「疲れちゃったしさぁ~」

神使「しかし・・・」


神様「最近、宿に泊まってないし・・・ お前とゆっくり過ごしたい」

神使「・・・・・・」

229: ◆8YCWQhLlF2 2017/03/11(土) 20:52:46 ID:Zj492Vqg

神様「ダメ?」

神使「・・・そうですね。 たまには贅沢も良いでしょう」ニコッ

神様「途中、廃神社によって賽銭パクっ・・・ もらってさぁ」

神使「それはダメです!」

神様「え~ 大丈夫だよ。 昔はよくパクッ・・・ もらったぞ?」

神使「バレたらシャレになりませんよ?」

神様「駅前に結構デカい無人の神社があったんだよ。 行こうぜ~」タッタッタッ

神使「ちょ、神様~」タッタッタッ


神様「早く来いよ~! あそこなら絶対賽銭多いから~」

神使「待って下さ~い」


タッタッタッ




神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
#14「キセキ野教会」 ―END

246: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/06(木) 00:01:31 ID:LRssWfN2

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

神様「フフフ~ン~♪」ジャバジャバ

神使「神様・・・ お願いですから、もう少しお行儀良く入浴して下さい」

神様「うるせー犬、人がいないんだから良いじゃねぇかよ」バシャバシャ

神使「人はいませんが、他の神と神使が沢山いますので・・・」

 他神・他神使「・・・・・・」

神様「あ?」バサァ!

神使「ちょっと神様! 素っ裸で立たないで下さい///」

神様「神様機構付属神苑温泉! 神と神使のユートピア! ここに羞恥などという言葉はない!!」

 他神・他神使「・・・・・・」

神様「おや~? かわいらしいお猿さんの神使み~つけた~」ニヤリ

キー子「ヒィッ!」ビクッ

神様「か~わ~ゆ~い~ わたしと一緒に遊びましょ~」ピョン!


 イヤ~!
 ウヒャヒャヒャヒャ!

247: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/06(木) 00:02:24 ID:LRssWfN2

~あらすじ~

神様「私は神様! とっても立派なかわゆい女神!」

神使(訳)「神宮を追い出されたダメ女神です」

248: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/06(木) 00:04:05 ID:LRssWfN2

【#15】


――― 更衣室


神様「すいませんでした。 調子に乗りすぎました」ドゲザ

支配人「・・・・・・」ギロッ

神様「!? ほ、本当にもう他のお客さんにちょっかい出したりしませんので!」ドゲザ

神使「私からも後でキツく言って聞かせますので」ドゲザ

支配人「周りに迷惑かけないで下さいよ? た・の・みますよ」スタスタ


神様「ひぇ~ おっかね~ あの支配人・・・ マジで殺されるかと思った」ホッ

神使「筋肉ムキムキでしたね」

神様「さすが、熊の神使だ・・・」

神使「部屋に戻りましょうか」

神様「あぁ」トテトテ

神使「ちょと待って下さい神様! 全裸ですから浴衣着て下さい!」

249: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/06(木) 00:04:45 ID:LRssWfN2


――― 宿泊部屋


仲居「お湯の方はいかがでしたか?」

神使「・・・とても良いお湯でした。 すいません」

仲居「?」


神様「ここの温泉って昔はもっとヌルヌルしてトロトロだった気がするんだけど」

仲居「最近、ちょっと泉質が落ちてまして・・・」

神使「何か原因でもあるんですか?」

仲居「えぇ・・・ まぁ・・・」

神使「?」

250: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/06(木) 00:05:37 ID:LRssWfN2

仲居「お食事は17時から20時までの間に1階の食堂へどうぞ」

神使「あっ、はい。 分かりました」

仲居「それでは、ごゆっくり」スタスタ


神使「神様、仲居さんの様子が少し変でしたね」

神様「そう? 特に違和感は感じなかったけど」

神使「気のせい・・・ ですかね」

251: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/06(木) 00:06:59 ID:LRssWfN2

神様「しかし、機構の保養所に連れてこられるとは思ってなかった・・・」

神使「一般の旅館になんか泊まれるわけないじゃないですか。 そんなお金ありません」


神様「ハァ~ 周りが神と神使ばっかで休める感じがしないんだけど」

神使「そんなこと言わずに。 見て下さい、外の景色とても綺麗ですよ」ガラガラ

神様「・・・何もねぇな」

神使「だから良いんじゃないですか」

神様「周りにある宿は、普通の旅館なのか?」

神使「そのようですね。 この旅館は表向き企業の保養所になっているそうです」

神様「企業ねぇ~」


神使「1週間ほど予約しましたからゆっくり骨休みしましょう」

神様「こんな所に1週間もいるのかよ・・・」

252: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/06(木) 00:08:17 ID:LRssWfN2

――― 1時間後


神様「・・・・・・」ボー

神使「神様どうしたんです? さっきから外ばかり見て」

神様「んぁ~?」

神使「反省文まだ1枚も書いてないじゃないですか。 期限は今月中ですよ?」スタスタ

神様「ん~」ボー

神使「ずっと同じ所を見ているようですが何かあるんですか?」ニュッ

神様「あんだよ、あっち行けよ」シッシッ


神使「あれ? 向かいの山の中腹に神社がありますね」

神様「・・・・・・」

253: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/06(木) 00:09:26 ID:LRssWfN2

神使「あの神社を見ていたんですか?」

神様「わたし見えな~い」

神使「・・・いえ、結構な規模の神社ですが」

神様「見えな~い。 神使君、頭だけじゃなくて目もおかしくなっちゃったんじゃないの?」


神使「・・・・・・」ペラッ

神様「? 何、その紙」

神使「フロントでもらった観光案内です。 え~と・・・ この温泉地帯の守護神様がお祀りされている神社のようですね」チラッ

神様「・・・・・・」プイッ

神使「気になるのでしたら後で行ってみましょうか?」

神様「気になってねぇし! 神社なんて行くのイヤだし!」

254: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/06(木) 00:10:10 ID:LRssWfN2

神使「神様?」

神様「休暇中なんだし神社のことは忘れようぜ~」

神使「あの神社、長官さんからもらった要調査神社に名前が記載されています」

神様「だから?」

神使「行きます」


神様「神使君、あそこはダメだ。 あそこに私達は近づいてはいけない」

神使「?」

神様「大いなる災いが私達を襲うであろう。 触らぬ神に祟りなし」

神使「触れて下さい。 仕事です」

255: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/06(木) 00:10:55 ID:LRssWfN2

神様「絶対行かないぞ! 私は何があろうと、この宿から一歩も外に出ない!」

神使「そうですか」

神様「うむ。 神の発した宣言は絶対なのだよ」ウンウン

神使「それでは、私一人でちょっと付近を散歩に行ってきます」

神様「おみやげよろ~」


神使「この温泉街は“牡蠣アイス”というのが名物のようですね」

神様「!?」

神使「アイスはさすがに溶けてしまうので、神様には温泉卵でも買って参りますね」スタスタ

神様「ちょ、ちょっと待って! 牡蠣アイスって何? 私も行く~!」タッタッタッ

261: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/08(土) 00:23:00 ID:Qj2qGMXw


――― 泉源山


テクテク


神様「・・・・・・」

神使「ここが温泉の泉源がある泉源山ですか」

神様「おい、犬」

神使「?」

神様「牡蠣アイス食いに来たんじゃないのかよ」

神使「そのつもりですが」

神様「ここって宿から見えた神社がある山じゃん。 騙したな?」

神使「騙すだなんて人聞きの悪い、アイスは神社で売っているんです」

神様「はぁ?」

262: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/08(土) 00:24:37 ID:Qj2qGMXw

神使「では、行きましょう」

神様「ヤダ! 行きたくない!」

神使「“牡蠣アイス”食べないんですか?」

神様「く、くそっ・・・ そんな卑怯な手を・・・」ムググ

神使「早く行きますよ」

神様「そうだ! お前が買ってくれば良いんじゃん。 私ここで待ってる」


神使「あっ、参道の出店に牡蠣フライ棒が売ってますね」

神様「よし、行くぞ神使よ。 もたもたするな」トテトテ

263: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/08(土) 00:25:54 ID:Qj2qGMXw


――― 参道


テクテク


神様「なぁ~ まだ階段上るのかよ・・・」ハァハァ

神使「あと半分くらいですね」

神様「牡蠣フライ棒、あと1本しかないんだけど」

神使「え!? もう食べちゃったんですか?」

神様「はぁ? 5本しか買ってないんだぞ?」

神使「・・・・・・」


神様「それより、参道綺麗に掃除されてるな」

神使「これだけ長い参道をここまで綺麗に維持するなんて、結構な数の神職さんや巫女さんが居るんでしょうね」

神様「さすがだねぇ~」

264: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/08(土) 00:26:56 ID:Qj2qGMXw


――― 10分後


テクテク


神使「そろそろ階段も終わりみたいですね」

神様「へふぼぐばー」ゼェゼェ

神使「・・・なんて言っているんですか?」

神様「やっぱり・・・ 帰ろうぜ・・・」ゼェゼェ


神使「あっ、階段登り切ったところにまた牡蠣フライ棒の屋台がありますね」

神様「よし! もう少しだ! 気合い入れろ!」スタスタ

神使「・・・・・・」

265: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/08(土) 00:28:54 ID:Qj2qGMXw


――― 境内


神様「おっちゃん! 牡蠣フライ棒2本!」

屋台店主「あいよ」

神使「私はもう食べられないので1本だけで・・・」

神様「あ? 私が食べる分だよ」

神使「・・・そうですか」

屋台店主「はい、揚げたてどうぞ」

神様「ども~♪」


神使「しかし、どうして牡蠣フライ棒なんですか? 私、初めて見ました」

屋台店主「あ~ ここの神社は屋台出すためには牡蠣関係じゃないと許可おりないんだよ」

神使「・・・・・・」

神様「んめ~ 牡蠣フライんめ~ やっぱ揚げたてが一番だよね」パクパクッ

266: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/08(土) 00:30:51 ID:Qj2qGMXw

神使「・・・神様?」

神様「言っておくけど、私は関係ないぞ」アムアム

神使「本当ですか?」

神様「それより、早く牡蠣アイス食って帰ろうぜ」


神使「店主さん、こちらで牡蠣アイスが売っていると聞いたのですが」

屋台店主「あ~ 境内の右手にある授与所で売っているよ」

神使「ありがとうございます」

267: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/08(土) 00:32:25 ID:Qj2qGMXw


―――授与所


神使「この授与所ですかね?」

神様「誰もいねーじゃん。 お~い巫女さ~ん、奥にいないの~?」


 幼女「ねぇ、ねぇ。 お兄ちゃん達参拝に来たの?」


神使「え?」クルッ

幼女「参拝に来たの?」

神使(かわいらしいお稚児さんですね)

幼女「・・・・・・」ジーッ

神使「神様、後ろ見て下さい。あの子、巫女服着てかわいらしいですよ」

268: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/08(土) 00:33:22 ID:Qj2qGMXw

幼女「お兄ちゃん?」

神使「あっ、ごめんなさい。 聞こえてますよ」ニコッ


幼女「・・・なんじゃ、こちら側の者か。 珍しいな」

神使「えっ!?」

幼女「我を子供扱いするんじゃない無礼者」ムスッ


神使「あの神様、って・・・ 神様どうして後ろ向いたままなんです?」

神様「わ、わたくしそろそろ帰りますわね。 おホホホホ」

神使「何ですかその言葉使い・・・ しかも裏声で・・・」

神様「しっ! 帰るぞ」ボソッ

269: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/08(土) 00:34:58 ID:Qj2qGMXw

幼女「おや~? もしかしてお前・・・」

神様「・・・・・・」


幼女「おい、そこの女。 こちらを向いてワシに顔を見せろ」

神様「・・・そ、そんな幼女神さまに見せる顔など」

神使「だから何ですかその裏声は・・・ って“ようじょしん”さま?」

神様「あぁぁぁぁぁぁ!!!! セイッ!」ゲシッ

神使「痛っ!」


幼女神「お前、ワシを知っておるのか?」ニヤッ

神様「イヤですわ、わたくしそんな事言っておりませんの事ですわよ?」

270: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/08(土) 00:36:47 ID:Qj2qGMXw

幼女神「そうか、いやワシの知っている者と後ろ姿がよく似てるのでな」

神様「その方は美人さんなのですわね」

幼女神「いや、その者は中身が腐っておってな? 全身からクズのオーラが滲み出ておるのじゃ」

神様「わ、私と正反対ですわね」プルプル

幼女神「ふむ。 しかもそいつは何を勘違いしておるのか、自分がとても“かわゆい”と信じ切っておるのじゃ」

神様「てめぇ! 幼女だからって調子にのってるとケチョンケチョンにしばき倒すぞ!」クルッ


幼女神「やはりお前か」ニヤッ

神様「うぐっ!」

271: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/08(土) 00:38:19 ID:Qj2qGMXw

神使「あの・・・神様、これは・・・」

神様「あ? 見てわかんないかよ。 巫女服着た幼女だよ、幼女」

神使「どうしていつも紹介が雑なんですか・・・」


幼女神「ワシは、この社の主神じゃ」

神使「主神様でしたか! 初めまして、私こちらの神様に使える狛犬の神使と申します」フカブカ

幼女神「ほぉ、倭国神の使いか」

神使「わこくしん?」

神様「その名前で呼ぶの止めてくれない? 前にも言ったよね?」

幼女神「お前、誰に向かって口を利いているんだ?」

神様「うぐっ・・・ す、すいません」

神使「!?」

273: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/11(火) 00:45:52 ID:MFu2sOGw

幼女神「久しぶりじゃな」

神様「ご無沙汰しております」フカブカ

神使「えっ? え?」


幼女神「なんじゃ、狛犬の神使よ」

神使「いえ、神様が他人にこんな態度を取るのを初めて見た物で・・・」

神様「ばか! 余計なことを喋るな!」

幼女神「まぁ無理もなかろう。 そいつはこの国の最高神だからな」

神使「はぁ」

幼女神「ほぉ、これは驚いた。 神使の身分であるお前がこいつの正体を知っておるのか!?」

神使「はい・・・ 一応、神様の使いですので」


幼女神「なるほど、そういうことか」ニヤッ

神様「チッ」イラッ

274: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/11(火) 00:47:00 ID:MFu2sOGw

神使「主神様はとても・・・ その、何と言いますか・・・ お若いですね」

幼女神「お前も外見で判断する類いの者か?」

神使「いえ、そのようなことは・・・」

幼女神「クックックッ、すまぬ。 冗談じゃ楽にしろ」

神使「・・・恐れ入ります」ペコリ


神様「そ、それでは私達はこれで」

幼女神「待て待て、折角来たんじゃ。 茶の一杯くらい飲んでいくが良い」

神様「いえ、私達も色々と忙しいもので」ペコリ

幼女神「特製の牡蠣アイス、食べたくないか?」

神様「お言葉に甘えます!」クワッ!

275: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/11(火) 00:49:56 ID:MFu2sOGw

――― 社務所


幼女神「茶を入れてくるから、この部屋で待っておれ」テクテク


神使「神様、幼女神さまというのは・・・?」

神様「私よりも前からこの国にいる神だよ。 元々は、あれが最高神だった」

神使「え!?」

神様「内緒にしておけ、私以外知らないはずだし」

神使「ど、どういうことです!?」

神様「あれが引退して、私が後を継いでいるんだよ」

神使「引退って・・・ いつのことですか?」

神様「えっと~ 私が卑弥呼になった少し前だから~」

神使「・・・・・・」

神様「何だよ」

神使「いえ・・・ 何となく気付いてはいましたが、聞かない方が良かったなぁと思っただけで」

神様「どういう意味?」

277: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/11(火) 00:52:17 ID:MFu2sOGw

幼女神「あまりワシの居ないところで昔話をするでない」テクテク

神様「別にいいじゃん」

幼女神「言葉使い」

神様「それを言うならあんたもだろ! その見かけで、その言葉使いは違和感ありまくり!」

幼女神「ほぉ~ そんなことを言っても良いのか?」ニヤッ

神様「何だよ」

幼女神「よいしょ」スッ


テクテク
ガラガラ


神様「あんだよ、寒いから窓開けんなよ」ブルッ

幼女神「外に参拝者が居るのぉ」ニヤッ

神様「?」

278: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/11(火) 00:53:23 ID:MFu2sOGw

幼女神「ふぇ・・・」グスッ

神様「!?」

幼女神「びえぇぇーん! おねぇちゃんがいじめるよ~ びぇぇぇーん!」

神様「ちょ! お前! 何さらしとんじゃ!!」ガシッ


ガラガラ ピシャッ



幼女神「ヘッ」ニヤッ

神様「何ていう姑息な手を」グヌヌ

神使「・・・・・・(何でしょう、この方から神様と同じニオイがします・・・)」

幼女神「このガキとワシを一緒にするでないわ」

神使「!?」

279: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/11(火) 00:54:49 ID:MFu2sOGw

神様「あ~ こいつ勝手に心を覗くから注意した方が良いぞ」

神使「心を!? そんなこと可能なんですか?」

幼女神「当たり前じゃ。 この位そこのクソガキだって出来るだろう?」

神様「・・・・・・」

神使「神様も!?」


神様「私は・・・ 覗かない」

幼女神「ほぉ」

神様「必要のない力だ」

幼女神「なるほどな」

神様「あー! もう! 早く牡蠣アイス出せよ!」バンバン

幼女神「まぁまぁ、少し待つが良い」

神様「だから来たくなかったんだよ・・・」

280: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/11(火) 00:55:39 ID:MFu2sOGw

神使「あの、幼女神さま?」

幼女神「なんじゃ?」

神使「神職や巫女の方の姿が見受けられないのですが、祭儀中とかでしょうか?」

幼女神「おらぬ」

神使「え?」

幼女神「この社に神職や巫女はおらぬ」

神様「あんた一人なのか?」

幼女神「神使がいる。 もうじき戻ってくると思うが」


 ?「ただいま戻りました~」


幼女神「噂をすれば、戻ってきたようじゃ」

神使「女性の神使なのですね」

281: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/11(火) 00:57:19 ID:MFu2sOGw


ガラガラ


キー子「幼女神さま、ただいま戻りました」

幼女神「ご苦労」

キー子「あっ、失礼しました。 お客様でしたか」ペコリ

幼女神「気にすることはないぞ」


神様「あっ」

キー子「? ・・・あっ!」


幼女神「なんじゃ、顔見知りか?」

神様「べ、べ、別に・・・ は、初めましてだよ」アセアセ

神使「先ほど、神様が機構の温泉で悪戯した方です・・・ 素っ裸で飛びついて長時間スリスリしてました」

神様「何その言い方! スキンシップって言えよ!」

282: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/11(火) 00:58:19 ID:MFu2sOGw

幼女神「・・・・・・お前」ゾッ

神様「おい、そこ! 引くな!」


キー子「支配人のゴリ夫さんに首を捕まれて温泉から連れ出されていましたが、大丈夫でしたか?」

神様「そういうこと言わないで・・・ 私の立場が悪くなるだけだから・・・」


幼女神「お前は相変わらず、おバカじゃのぉ」ハァ

神様「幼女に吐き捨てるように言われると精神的にキツいんですけど・・・」

285: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/14(金) 08:59:53 ID:cNhZPYgc

幼女神「キー子、帰って早々すまぬが牡蠣アイスを用意してくれるか?」

キー子「はい、ただいまお持ちいたします」ペコリ

神様「特盛りでお願いね」

キー子「はい、分かりました」フフッ


スタスタ



神使「しかし、何故牡蠣なのですか?」

幼女神「この世で一番美味いものだからだ」

神様「さすが、良くお分かりで」ウンウン

神使「・・・・・・」

286: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/14(金) 09:01:06 ID:cNhZPYgc

幼女神「昔はよくお前と海で牡蠣を食べたな」

神様「そうだっけ?」

幼女神「なんじゃ、もう忘れたのか?」

神様「いつの話だよ」

幼女神「まだ人が石を投げてウホウホ言っている時代じゃ」

神使「え!? それって石器時代とかですか?」


神様「嘘つくなよ! そんな時代に私はまだいねーよ!」

幼女神「そうじゃったか?」

神使「・・・・・・」

神様「神使君? コイツの話を真に受けないでね? さすがに私はそこまで古くないから」

287: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/14(金) 09:01:56 ID:cNhZPYgc

幼女神「ハハハッ! 愉快じゃ!」ゲラゲラ

神様「アンタさぁ、そういう嘘言って楽しいわけ?」

幼女神「すまぬ、すまぬ」ハハッ


神使(幼女神さま、楽しそうですね)

幼女神「ワシも楽しむことくらいある」

神使「あっ、すいません・・・」ペコリ

神様「ったく・・・」

288: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/14(金) 09:03:00 ID:cNhZPYgc


スタスタ


キー子「お待たせいたしました」


神様「待ってました!」

キー子「どうぞ」コトッ

神使「普通のアイスクリームのようですが?」

キー子「中に牡蠣が入っているんです」


神様「どれどれ~」ホジホジ

幼女神「何じゃお前は。 折角綺麗に盛り付けてあるのに、ほじくり返すな」

神様「お~ カチンコチンの牡蠣発見!」

神使「神様、お願いですからもう少しお行儀良くして下さい・・・」

神様「うるせー」パクッ

神使「では私も、いただきます」パクッ

289: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/14(金) 09:04:08 ID:cNhZPYgc

神様「・・・・・・」

神使「・・・・・・(生臭い)」


キー子「お口に合いませんでしたか?」

神使「いえ・・・ 何と言いますか、独特な・・・ どうですか神様?」


神様「うっ・・・ うめえーー!!」

神使・キー子「!?」ビクッ

神様「うめー! うめー!」パクッパクッ

幼女神「そうじゃろう、そうじゃろう」ニコニコッ

290: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/14(金) 09:05:02 ID:cNhZPYgc

幼女神「狛犬の神使には普通のやつが良いじゃろ。 キー子、入れてやれ」

キー子「はい」スッ

神使「日本酒・・・ ですか?」


キー子「一般にお出ししている物はお酒に浸しておりまして」トクトクッ

神使「そうだったのですか」

幼女神「まぁ、これで食べられるじゃろ」

神使「それでは、改めていただきます」パクッ


キー子「いかがです?」

神使「臭みが消えて美味しい!」

幼女神「そうじゃろ?」

291: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/14(金) 09:05:51 ID:cNhZPYgc

神様「私もそれ食べたい」

神使「ダメです、神様お酒弱いじゃないですか」

神様「私だってお酒くらい大丈夫だよ」

幼女神「止めておけ、牡蠣の濃厚な味が弱くなるぞ」

神様「ふ~ん、じゃこのままで良いや」パクパク


神使「生臭くないですか?」

神様「そこがいいんじゃん」

神使「はぁ・・・」

292: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/14(金) 09:07:29 ID:cNhZPYgc

神様「それより、さっき温泉に入ってきたんだけどさぁ」

幼女神「保養所のか?」

神様「なんか昔よりヌルヌルしなかったんだけど」

神使「仲居さんも、最近泉質が悪いようなこと言っていました」

キー子「・・・・・・」

幼女神「結構頑張って温泉を作っているんじゃがのぉ」

神様「あ? 泉質とアンタって関係あるのか?」

幼女神「当たり前じゃ。 温泉の効能はワシ自身の神力だからのぉ」

神様「は?」

神使「どういうことです?」

293: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/14(金) 09:08:32 ID:cNhZPYgc

幼女神「元々この地の温泉はただの白湯じゃ。 そこにワシが神力を入れてこの地一帯に出している」

神使「神力入りの温泉・・・ 通りで効能が日本一のはずです」

幼女神「しかし、最近は旅館が増えてのぉ。 理想の泉質に中々追いつかないのじゃ」

神様「アンタそんな事してたのかよ」


キー子「幼女神さま、そろそろ明日汲みあがる分の温泉を作りませんと」

幼女神「そうじゃな、行ってくるか」ヨイショ

神使「どのようにして神力を入れるのですか?」

幼女神「見てみるか?」ニヤッ

296: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/18(火) 00:14:35 ID:BIVRsQn.


――― 源泉殿


神様「何? この掘っ立て小屋」

幼女神「おい、失礼だぞ」

神使「こちらで温泉をお作りに?」

キー子「はい。 中には源泉をくみ上げた湯を張っておりまして、幼女神さま専用の入浴場所です」

神様「入浴?」

幼女神「そうじゃ。 さて準備するかの」ポイポイッ

神使「・・・・・・」


キー子「幼女神さま? 失礼ですが、お客様もおりますので浴衣を着用されては?」

幼女神「いまさら他人に裸を見られたところでなんとも思わんわ」

キー子「しかし・・・・・・」

神使「私達の事はお気になさらず。 神様もいつも裸ですので」

神様「神使君、その言い方おかしくない? 悪意あるよね?」

297: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/18(火) 00:16:24 ID:BIVRsQn.


幼女神「さて、入浴ターイム!」サブ-ン!

神使・神様「・・・・・・」


幼女神「ふい~ 気持ちいいのぉ~」チャプン

神様「おい・・・ もしかして、温泉の元ってお前が入浴して神力入れてんの?」

幼女神「そうじゃ。 ワシも気持ちいいし一石二鳥だと思わんか?」

神様「マジかよ・・・・・・」

幼女神「?」


神様「ここの温泉って幼女の出し汁かよ!」

幼女神「出し汁とか言うな! 無礼者!」

298: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/18(火) 00:18:03 ID:BIVRsQn.

神様「あのヌルヌルでトロトロした温泉の元が幼女の絞りかすだったとは・・・」

幼女神「クソガキ! それ以上ワシを侮辱すると牡蠣を絶滅させるぞ!」

神様「・・・・・・。 幼女神さまの有り難き神力を下々の者が享受できる最善の方法、感服いたしました」フカブカ

幼女神「そうじゃろ? 中々良い案であろう?」フフン

神様「はい、このような素晴らしき方法は私には思いも付きません」

幼女神「うむ。 どうだ? お前も一緒に入らぬか? 特別に許可しよう」

神様「いえ、私のような半人前が幼女神さまと一緒に入浴などおこがましく」

幼女神「遠慮はいらん。 さぁ一緒に入ろうではないか」

299: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/18(火) 00:18:58 ID:BIVRsQn.

神様「・・・・・・キー子ちゃんは一緒に入ら―――」

キー子「あっ! 私、境内のお掃除の時間ですのでお先に失礼いたします」ペコリッ

神様「わ、私も! キー子ちゃんとお掃除に行って参ります! お湯はその後で頂きます!」

幼女神「そうか・・・ まぁ入浴は掃除の後の方が良いな。 頑張ってこい」シュン


キー子「で、では失礼いたします」ペコリ

神様「失礼します!」ペコリ


タッタッタッ


神使「あっ、神様・・・」

300: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/18(火) 00:20:02 ID:BIVRsQn.

幼女神「おい、狛犬の神使や」

神使「はい!?」

幼女神「お前はどうじゃ?」

神使「え!?」

幼女神「一緒に風呂に入らぬか」

神使「私がですか?」

幼女神「遠慮することはない。 源泉になど中々入ることは出来ぬぞ?」

神使「しかし・・・・・・」

幼女神「腰痛・肩のこりが酷いようじゃな。 その位、この湯に浸かるだけで一発で治るぞ?」

神使「お言葉に甘えます」ペコリ

307: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/23(日) 03:38:21 ID:L/FPh.t.


神使「気持ちいいですね」フ~

幼女神「そうじゃろう、肩まで良く浸かれよ」


神使「幼女神さまは毎日このように温泉をお作りになっているのですか?」

幼女神「うむ。 朝昼夕と日に3度じゃな」

神使「そんなに!?」

幼女神「大きな宿が出来てのぉ、中々追いつかないのじゃ」

神使「それは大変ですね」

幼女神「なぁに、皆が温泉に浸かって少しでも疲れが癒えるのならそれでいい」

神使「・・・・・・」

308: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/23(日) 03:40:25 ID:L/FPh.t.

幼女神「何で温泉の神なんかやっているのかって?」

神使「あっ、すいません・・・」


幼女神「牡蠣と・・・」

神使「?」

幼女神「アイツは、牡蠣と温泉が好きなんじゃ」

神使「・・・・・・」

幼女神「・・・・・・」


神使「そうですね」

幼女神「アイツが好きな物はワシも大好き、それだけじゃ」

309: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/23(日) 03:42:01 ID:L/FPh.t.

神使「・・・・・・」

幼女神「何か気になることでもあるのか?」

神使「え?」

幼女神「ワシに隠し事など出来ぬぞ?」ニヤッ

神使「・・・・・・」


幼女神「そうか。 今日は気分が良い、少しだけ昔話をしてやろう」

310: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/23(日) 03:43:21 ID:L/FPh.t.

幼女神「遙か昔、人がワラや木を組んで住居を作り始めた頃、ワシはこの国の未来をあのガキに託した」

神使「そんなに古く・・・」

幼女神「古い、か・・・」

神使「?」

幼女神「アイツが神になってから今までの期間より、ワシはもっと長くこの国の神をしていたんじゃぞ?」

神使「え!?」


幼女神「神の仕事を託てしからのアイツは・・・ それはもう酷いもんじゃった」

神使「・・・・・・」

311: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/23(日) 03:45:23 ID:L/FPh.t.

幼女神「卑弥呼に据え国を治めさせれば失敗。 その後も何度か国を治めていたが失脚、逃亡・・・ 最低じゃった」

神使「そうでしょうね・・・」

幼女神「アイツの側近はいつも大変そうじゃったな」

神使「最高神がアレですから、周りがきちんとしないと歯止めがきかないですよね・・・」

幼女神「そう。 そこじゃ!」

神使「はい?」


幼女神「アイツは短期間でこの国をここまでの姿に変えた。 それはアイツがダメ神だったからなんじゃ」

神使「どういうことでしょうか?」

幼女神「こう見えて、ワシは完璧主義者でな? 何かを成すときは必ず順を追って物事を進めるのじゃ」

神使「ご立派です」

幼女神「いいや、それがダメだったんじゃ。 それをやるのはワシではなかった・・・ ワシがやってはいけなかった」

神使「?」

312: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/23(日) 03:48:31 ID:L/FPh.t.

幼女神「ワシはアイツよりも長く最高神をしていながら・・・」

幼女神「・・・・・・」ハァ

神使「幼女神さま?」


幼女神「あのクソガキは優秀だ。 ワシは到底アイツにはかなわない」

神使「そのようなことはないと思うのですが・・・」

幼女神「いいや、お前も気付いているのであろう? アイツの偉大さが」

神使「・・・・・・」


幼女神「多神の存在、神社や神宮の機能。 全てアイツが作った・・・ いや、上手く言って作らせた物だ」

神使「そう言われれば・・・ 素晴らしい仕組みですね」

幼女神「神使の存在もアイツが作ったのだぞ?」

神使「え!?」

313: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/23(日) 03:50:39 ID:L/FPh.t.

幼女神「お前とあのガキは良い夫婦じゃ」

神使「め、めおと!?///」


幼女神「真っ赤になって源泉にでもやられたか? 上がって体を休めると良い」ニヤニヤ

神使「そ、そうさせてもらいます」ザバー

幼女神「きちんと体を拭くんじゃぞ」


神使「・・・・・・」チャポン

幼女神「どうした?」

神使「無礼を承知の上で、一つ伺いたいのですが」

幼女神「?」



神使「神様はどのように生まれたのですか?」

317: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/24(月) 05:20:06 ID:0zBm2Adk

幼女神「アイツの生まれか?」

神使「はい。 もし差し支えなければ・・・」

幼女神「ふむ。 アイツは・・・ ワシが朝、目を覚ましたら隣にいた」

神使「え?」

幼女神「目を覚ましたらジーッとワシを見ていての~」

神使「どこからか歩いて来たとかですか?」

幼女神「分からぬ。 とても不思議な感じじゃった」

神使「不思議?」

幼女神「まるでワシが分裂したかのような・・・ 最初は意識もある程度共有されていた気がする」

神使「それって・・・・・・」

318: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/24(月) 05:21:20 ID:0zBm2Adk

~~~



神様「二百年くらい前にね、気付いたら別れてた」



神使「原因が分からないんですが、一体何がおこったんですか?」

猫神「分からないんだよね~ 神ちゃん自身も驚いてたくらいだし」



~~

319: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/24(月) 05:22:30 ID:0zBm2Adk

神使「・・・・・・」


幼女神「そうか、そんなことがあったのか」

神使「あっ」

幼女神「すまん、お前の心を見てしまった」

神使「もしかして、同じでしょうか・・・」

幼女神「そうだな」

神使「ということは、神様はもいずれ・・・」

幼女神「お前が気にすることはない」

神使「そう・・・ ですよね。 幼女神さまも最高神をお譲りになってもお元気ですし」

幼女神「・・・ワシは、まだあのガキに渡していない物があるからな」

神使「渡していない物?」

320: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/24(月) 05:23:15 ID:0zBm2Adk

幼女神「それをアイツに渡せば、ワシは・・・ この世から消えるであろう」

神使「!?」

幼女神「ただ、受け取ってくれなくてのぉ」

神使「一体何を・・・」

幼女神「教えないよーだ」ベー

神使「・・・・・・」


幼女神「そろそろ上がった方が良い。 源泉故少し湯あたりがキツいと思うしな」

神使「はい」ザバッ

321: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/24(月) 05:23:57 ID:0zBm2Adk

幼女神「狛犬の神使よ」

神使「?」

幼女神「知っているとは思うが、あのガキはお前を好いておる。 そして、お前もな」

神使「・・・///」

幼女神「アイツはワシにとって・・・ いや、この国にとっても大切な宝じゃ」

神使「・・・・・・身分不相応な感情お許し下さい」

幼女神「そんなことはない。 ただ、一つだけ言わせて欲しい」

神使「はい」


幼女神「アイツをよろしく頼む」

神使「幼女神さま・・・」

325: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/28(金) 20:30:37 ID:.o9yvy.U


――― 更衣室


神使(のぼせてしまいました・・・ 早く着替えて私もお掃除を手伝いましょう)スタスタ

ガラガラ


神様「んがっ!?」ビクッ

神使「うわっ! 神様! キー子さんと掃除に行かれたんじゃないんですか!?」

神様「え? パ、パンツ忘れちゃって」

神使「・・・神様は温泉入っていないじゃないですか。 それにパンツだって今日は履いてないですし」

神様「履いてるよ! 見ろよ! 超かわゆいパンツだろ!」ズルッ

神使「履いているじゃないですか」


神様「?? あっ! お前騙したな!」

神使「こんな手に引っかかるなんて・・・」

326: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/28(金) 20:31:29 ID:.o9yvy.U


神様「ったく・・・ 幼女のやつベラベラ喋りやがって」ボソッ

神使「盗み聞きしていたんですか?」

神様「ん? してないよ?」

神使「・・・今ベラベラと喋りやがって、って」

神様「言ってないよ?」

神使「・・・・・・」


神様「そんなことはどうでも良いの! 話があるから着替えたら社務所の裏まで来い」

神使「話?」

神様「いいから! 早くしろよ」タッタッタッ

327: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/28(金) 20:32:26 ID:.o9yvy.U


――― 社務所裏


神使「・・・・・・」


神様「うひゃひゃ! このスベスベな肌がたまんねーよ。 気持ちい~い~」スリスリ

キー子「あの・・・ そんなにくっつかれると動き・・・ にくいのですが・・・」

神様「高速スリスリ―!」スリスリスリスリ


神使「神様?」グイッ

神様「ぐへっ!」ズルズル

神使「どうしてそんなにキー子さんにくっつくんですか・・・」

神様「だって、見ろよこの透き通るような白い肌! ツルツルスベスベで辛抱堪らん」グヘヘ

キー子「・・・・・・///」

神使「その発言は変質者としか思えないんですが・・・」

328: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/28(金) 20:33:28 ID:.o9yvy.U

神様「犬ころ、お前幼女くせーな」スンスン

神使「え!?」

神様「幼女としっぽり裸の付き合いを堪能したんですね、分かります」

神使「温泉に入っていただけですから・・・ 見ていたんじゃないんですか?」

神様「見てねーし。まぁ良いや」


神使「それより、こんな所に呼び出してお話しというのは?」

神様「お前、この神社が要調査神社に指定されているって言ってたよな」

神使「えぇ。 それほど重要性は高くはありませんでしたが」

神様「理由は?」

神使「主神さまの神階調査書が神宮に提出されていないと」

キー子「・・・・・・」

329: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/28(金) 20:34:25 ID:.o9yvy.U

神様「何? 神階調査って」

神使「神社の格や主神さまの神階を規定するため、身上や主神さまの神力量を記した報告書です」

神様「そんなのあるの? 私、今まで書いた覚えないよ?」

神使「神様、聞いていました? “神社の主神さま”が書く物です。 神様は神社の主神ではございませんので」

神様「・・・あぁ~」ゲシッ

神使「痛っ!」

神様「そんなの出さなくたって問題ないだろ」

神使「はい、ですから重要度はそれほど高くないと」

神様「ん~」チラッ

キー子「・・・・・・」

330: ◆8YCWQhLlF2 2017/04/28(金) 20:35:29 ID:.o9yvy.U

神様「聞きましょうか?」

キー子「え?」

神様「何かあるんでしょ? 私これでも神宮が誇る最強の女神だよ?」

キー子「神宮の!?」

神使「元です。 先日、神宮から―――」

神様「ア~チョ~ッ!」ゲシッ

神使「痛い!!」ガクッ


神様「確かに、私はかわゆくて神に見えないと思うけど立派な女神なの」

キー子「はい。 幼女神さまと同じ気を感じます」

神様「・・・・・・」

神使「気? ですか?」


キー子「一緒に来てもらいたいところがあるのですが、よろしいでしょうか」

335: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/05(金) 16:30:16 ID:dLFOvlH.


――― 高級ホテル・ホテルニューよこどり


神使「ここは?」

キー子「2年ほど前にオープンした高級ホテルです」


神様「すげー・・・ 神使君、今日から私達ここに泊まらない?」

神使「きっと1泊何万もするんでしょうね・・・」

キー子「最低でも一泊4万円するそうです」

神様「一泊4万!?」

神使「機構の保養所に20日間も泊まれますね・・・」

神様「え!? 私達の宿って一泊2千円なの? 安っす!」

神使「しかも食事付きです」

神様「いくら神宮からの補助が出てるっていっても安すぎだろ・・・」

336: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/05(金) 16:32:00 ID:dLFOvlH.

神使「こちらの高級ホテルに何かあるのですか?」

キー子「取りあえず中に」スタスタ

神様「一張羅着てくれば良かった」トテトテ

神使「そうですね、神様ジャージですから・・・」


ウイーン


神様「なにこれ・・・」

神使「中も立派ですね・・・」

神様「建物の中なのに噴水があるんですけど」

神使「正面にある案内板だけで神様の神宮の部屋より大きですね・・・」

神様「そういうこと言わないで、悲しくならから」

337: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/05(金) 16:32:57 ID:dLFOvlH.


――― フロント


従業員「いらっしゃいませ」

キー子「日帰り温泉に入りたいのですが・・・」

従業員「そちらのお客様もご一緒ですか?」

キー子「はい、3名でお願いします」


従業員「・・・・・・」チラッ

神様「ジャージじゃダメ?」

従業員「いいえ、3名様で1万5千円になります」

神様・神使「!?」

338: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/05(金) 16:34:07 ID:dLFOvlH.

キー子「回数券で」スッ

神様「日帰り温泉が1人5千円!?」

従業員「当ホテルは最高の温泉施設を有しておりますので、きっとご満足頂けると思います」


キー子「行きましょう、こっちです」スタスタ

神使「あっ、はい」スタスタ

神様「高け~」トテトテ

339: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/05(金) 16:35:17 ID:dLFOvlH.


テクテク


神使「私達の分は後ほどお支払いいたしますので・・・」

キー子「お気になさらず。 温泉組合専用の回数券がありますから」

神使「すいません・・・ お言葉に甘えさせて頂きます」ペコリ


神様「5千円の温泉ってどんなかな~♪」

神使「しかし、この辺の温泉は全て源泉が同じなんですよね?」

キー子「はい。 この時間ですと露天風呂が空いていると思いますのでそちらに行きましょう」

神様「いいね~ 露天」

340: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/05(金) 16:36:24 ID:dLFOvlH.


―――よこどり大露天風呂


神様「大露天風呂入り口か」

神使「では、私は男湯の方で」

神様「覗いちゃいやよ~ 覗いたら罰としてお前は明日から3食コンビーフな」

神使「覗きません。 っていうか何でコンビーフなんですか・・・」


キー子「では、後ほど」

神使「はい。 私の方が早く上がると思いますので、ここのロビーで待っております」

キー子「ふふっ」クスッ

神使「?」

341: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/05(金) 16:38:06 ID:dLFOvlH.


ガラガラ


神使「お~ これは広いですね。 神様もいませんし、久しぶりにのんびりできそうです」

神様「神使君さぁ、本人のいる前でそういうこと言っちゃダメだと思うの」

神使「え!?」クルッ


神様「いや~ん、豊満な私の体を見たくて変質者が女湯に紛れ込んでるぅ~」クネクネ

神使「女湯!? え? 私、男湯の方から! あれっ!?」キョロキョロ

キー子「安心して下さい。 ここの露天は混浴ですから」

神使「そ、そうでしたか」ホッ


神様「犬ころ、お前覗いたから明日からコンビーフな」

神使「覗いたって・・・ 混浴ですから仕方がないかと思うのですが・・・」

キー子「この一帯の温泉は露天風呂は混浴という決まりがありまして」

神使「そうだったんですか」

342: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/05(金) 16:39:29 ID:dLFOvlH.

キー子「まだ他のお客さんもいないようですから入りましょう」

神使「はい」

キー子「その角を曲がれば露天風呂です」


神様「おっ風呂~ おっ風呂~♪」トテトテ

神使「神様・・・ 混浴なんですからキー子さんのようにタオルを巻くとかして下さいよ」

神様「何で風呂入るのにタオルなんか巻くんだよ。 お前もその腰に巻いているタオル取れよ!」グイグイ

神使「ちょ、止めて下さいよ! あっ、引っ張らないで下さい!」

キー子「ふふっ」クスクス

神様「キー子ちゃんも一緒に裸になりましょ~」ピョン

キー子「すいません、止めて下さい」キッ

神様「・・・・・・はい」

350: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/08(月) 01:23:32 ID:LVfBWC2g


スタスタ


神使「お~! すごい大きさのお風呂ですね」

キー子「国内でも有数の大きさを持つ露天風呂だそうです」

神様「よっしゃー! 客いねーし泳ぎまくってやる!」ピョーン


ザブーン


神使「神様、何度も申しておりますがもう少しお行儀良くして下さい・・・」

神様「あれ? この温泉、昔入ったやつと同じだ」

神使「昔?」

神様「トロトロでヌルヌル、保養所の温泉と全然違う」

神使「え?」

351: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/08(月) 01:25:28 ID:LVfBWC2g

キー子「汲み上げ直後の源泉掛け流しですので」

神様「うわっ、そういえばこれ幼女の出し汁だった・・・」

神使「では、私も失礼して」チャポン


神使「確かに全然違いますね」

神様「なんでこんなに違うの?」

キー子「幼女神さまがお作りになった源泉は、地下で鉱物などと合わさって汲み上がるんです」

神様「幼女汁は地下で熟成するって事か」

神使「熟成って・・・ 保養所の温泉や他の旅館は違うのですか?」

キー子「同じなんですが・・・」

神使「?」

352: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/08(月) 01:27:54 ID:LVfBWC2g

キー子「このホテルが建つ前は、この場所は汲み上げ場の一つだったんです」

神様「汲み上げ場の上にホテルがあるの?」

キー子「温泉の管理組合が資金難で、3年前にこの土地を売ってしまい・・・」

神使「なるほど・・・ それで、ホテルニューよこどりがこの場所に建ったと」

キー子「今は他に湧く場所がなく、他の旅館もここから温泉をもらっております」

神使「他の場所からは出ないのですか?」

キー子「もう一つあったのですが・・・ 枯渇してしまいまして」

神使「そうだったのですか」

キー子「それで、無理を言って各旅館へ源泉を融通してもらっている状況なんです」

神様「は~ん、周りの旅館には源泉を薄めて渡しているって事か」

キー子「確証はないので何とも・・・」

神使「それが本当だとするとちょっと許せないですね。 周りの旅館から文句は出ないのですか?」

キー子「施設自体はこのホテルの物ですし、薄めているとはいえ譲ってもらえるだけでも有り難い部分もありまして」

353: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/08(月) 01:30:28 ID:LVfBWC2g

神使「組合の方で汲み上げ場を新設するのは難しいのでしょうか?」

キー子「何千万円もかかりますから・・・ とてもそんな予算は・・・」

神様「金に困ってなかったらこの場所売ってねーだろ」

神使「まぁそうですよね」

神様「それに他の旅館分の源泉もこの状態で作るのは、あの幼女の神力が追いつかない」

神使「そう言えば、今も日に3度作っていると仰っていましたね」

神様「このホテル、神ちゃんパワーで潰しちゃう?」ニヤッ

神使「またそんなことを言って・・・」

キー子「このホテルのおかげで、周りの施設にもお客さんがたくさん来てくれている事もありますので・・・」

神使「持ちつ持たれつ、って事ですね」

354: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/08(月) 01:31:24 ID:LVfBWC2g

神様「幼女は知ってんの?」

キー子「・・・いいえ」

神様「でも、あいつに隠し事なんか出来ないでしょ」

神使「そう言えば、幼女神さまは心を読むことが出来ますからね」

キー子「幼女神さまは、私の心は読めないようで」

神使「え?」

神様「ふ~ん」

神使「どういうことです?」

神様「キー子ちゃんは、いつからあの幼女と一緒に?」

キー子「三百年ほどお仕えしております」

355: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/08(月) 01:32:42 ID:LVfBWC2g

神様「幼女の神力、昔よりかなり減っているよね?」

キー子「・・・はい」

神使「そうなんですか?」

キー子「先月の簡易測定では8カミーでした」

神使「8カミーって結構高いんじゃないですか? 最高は10カミーですよね?」

神様「神使君? カミーの最高値は100だよ?」

神使「しかし、最大の神力を持つ猫神さまが10カミーですよ? 10カミーが最高じゃないのですか?」

神様「カミーの基準値って何か知ってる?」

神使「基準?」

神様「私の神力が基準になっているのだよ。 そう! 私の神力が上限値の100カミーなのだ!」フンスッ

神使「・・・・・・」

356: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/08(月) 01:34:04 ID:LVfBWC2g

神様「ビックリした? ねぇ、超ビックリしたでしょ」

神使「神様は0カミーじゃないんですか?」

神様「今の話じゃねーよ! 私の最盛期は100カミーだった訳よ。 ユーノウ?」

神使「・・・・・・」

神様「あ~ 驚いて言葉も出ない? それも仕方のないこと、私の凄さに恐れ戦きひれ伏した後に牡蠣を納めよ!」カッカッカッ

神使「そうですか。 で、キー子さん。以前の幼女神さまの神力はどのくらいあったのですか?」

神様「あれ? 神使君? もっと、こう“さすがかわゆい神様! かわゆいだけではないと思っていました!”とかないの?」

神使「神様? いくら何でも100カミーは盛りすぎです。 せめて20カミーくらいでないと信憑性がありません」

神様「いや・・・ まじで私100カミーなんだけど・・・」

357: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/08(月) 01:35:20 ID:LVfBWC2g

キー子「以前の幼女神さまは30カミーほどありました」

神使「30カミー!?」

神様「ほら! 30カミーだってあるじゃん! 私は100カミー!!」

神使「30カミーだなんて、ちょっと想像できませんね・・・」

キー子「日本中の温泉は幼女神さまが過去に全国を旅して神力を入れていった物だそうですので」

神使「日本中の!?」

神様「マジかよ・・・ でも温泉から神力を全く感じないけど」

キー子「神力がバレないように調整するのが非常に難しいそうです。 それにここと違って1回限りの神力注入なので」

神使「日本の温泉が特殊なのはそういうことだったのですか」

神様「うげー、温泉全部が幼女の出し汁なのかよ・・・」

359: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/10(水) 01:34:28 ID:XFF0KwzY

神使「やはり幼女神さまの神力減少は、温泉の作りすぎという事でしょうか?」

神様「う~ん」


神使「神社に来る参拝者からの願掛神力はどうされているのですか?」

キー子「実は・・・ 私が頂いておりまして・・・」

神使「え? キー子さんが神力を?」

キー子「あっ、でも頂いたお力は参拝者さんのお願い事の成就に使っておりますので」

神使「それは・・・」

キー子「幼女神さまは、何と言いますか・・・ あまり成就などのお仕事は好きでないようで・・・」

神様「あ~ 私と違って幼女はそう言うの好きじゃないしな」

神使「・・・・・・ (やっぱり神様と似ていますね)」

キー子「でも、温泉を作ったり屋台の牡蠣フライ棒や牡蠣アイスなどの監修でお忙しので」

神使「はぁ・・・」

キー子「それに、幼女神さまの負担を少しでも軽くしたくて・・・ 成就は幼女神さまからの許可も得ております」

360: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/10(水) 01:35:27 ID:XFF0KwzY

神使「しかし、それは神の仕事であって・・・」

神様「キー子ちゃんは三百年もいるんだぞ? もう神使の枠を超えてるだろ」

神使「ちょっと待って下さい。 するとキー子さんは神使でなく・・・」

神様「まぁ、ある意味神だよね。 幼女の代わりに神力使って参拝成就しているわけだし」


神使「ちなみに、いつからキー子さんが幼女神さまの代わりを?」

キー子「三百年ほど前から・・・」

神使「幼女神さまとお会いになった時じゃないですか・・・」

キー子「・・・はい」

神使「では幼女神さまは何百年も神力補充をしていないと言うことですか?」

キー子「そう・・・ なりますね。 幼女神さまが神力を得ているところを見たことありませんので」

神使「それでは幼女神さまの神力は減る一方じゃないですか」

キー子「・・・すいません」

361: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/10(水) 01:37:07 ID:XFF0KwzY

神様「私が最高神を継いだとき、幼女はまだ私と同じくらいの見かけだった」

神使「え!?」

神様「アイツは大人から子供へと成長の過程をたどる。 今の仕組みとは逆だ」

神使「ちょ、ちょっと待って下さい。 どういうことですか?」

神様「赤子から子供、そして大人になるという成長過程の前は逆だったんだよ」

神使「・・・はい?」


神様「進化の試行錯誤。 どうやって成長させたら良いのか色々と試していたわけ」

神使「そんな時代があったんですか?」

神様「私はその時代の事は知らないけどね。 昔、幼女から聞いただけだし」

神使「ということは幼女神さまは最後は赤子になると?」

神様「さーね。 私には分からないけど成長しているって言うことはそうなんじゃない?」

キー子「・・・・・・」

362: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/10(水) 01:38:18 ID:XFF0KwzY

神様「まぁ早い話が今の幼女はヨボヨボのお婆ちゃんが老体にむち打って仕事してるって事」

神使「老体って・・・」

神様「アイツは他の神とは根本的に違うから、神力補給とかいう概念が分からないんだろ」

キー子「神力の補給をすれば幼女神さまの神力量は戻るのでしょうか?」

神様「たぶん」


神使「キー子さんは幼女神さまにご助言はされたのですか?」

キー子「いいえ・・・ 私もそういう事はよく分からないもので」

神使「神使学校や講習会で習ったと思うのですが?」

キー子「すいません。 そういうのは出たことないんです」

神使「・・・失礼ですが、キー子さんは形式上は神使なのですよね?」

キー子「はい。 幼女神さまから神使と言われております」

神使「神使としての階位は?」

キー子「階位・・・」

神様「あ~ たぶん未登録だろうなぁ~ あの幼女が神宮の規律なんか知らないだろうし」

363: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/10(水) 01:40:02 ID:XFF0KwzY

キー子「そう言えば、以前神宮から色々と書類を出せと言われたことはあります」

神使「登録書類はお出しに?」

キー子「はい。 結局返事が来なかったので、どうなっているのかは分からないんですが」

神様「さすが神宮はザルだな。 やっぱり、かわゆい神ちゃんが頂点に立って構造改革をするべきだと思うの」


神使「神宮のだれ宛てに申請を?」

キー子「広域特務課? という所へ審査申請を送りました」

神使「・・・・・・広域特務課」チラッ

神様「あはは~ やっぱり広い温泉は良いなぁ~ わたしちょっと奥で泳いでくる~」バシャバシャ

神使「神様?」グイッ

神様「ぐへっ!」

神使「温泉は泳ぐところではありません」

神様「ちょ、苦しい! 直接首掴むなよ!」ジタバタ

364: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/10(水) 01:41:40 ID:XFF0KwzY

神使「そのような書類を受けた記憶は?」

神様「・・・あった気がする」


神使「なぜ審査なさらなかったのですか?」

神様「だってさぁ~ 書類記載神使の神使籍をデータベースで調べたらなかったから~」


神使「なかったからどうしたんです?」

神様「後でやろうかなぁ~ って思って・・・」


神使「何をやろうと思ったんです?」

神様「なんか・・・ こう、良い感じの手続きを・・・」


神使「本当は?」

神様「・・・面倒くさいんで見なかったことにしました」

365: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/10(水) 01:43:10 ID:XFF0KwzY

神使「神様のやるべき事は三つ」

神様「温泉に入る。 牡蠣を食べる。 昼寝する。 ですね? その願い、我が身をもって成就して進ぜよう!」


神使「一つ目はキー子さんの手続きをして処遇をハッキリさせること」

神様「はい」


神使「二つ目は、源泉問題の解決」

神様「幼女にむちを打って働かせろと言うことですね? さすが極悪邪道犬ころ、悪魔に魂を売った男はひと味違う」


神使「三つ目は、幼女神さまの神力問題の解決」

神様「そんなのどうやって解決するんだよ」

神使「分かりましたね?」


神様「・・・一つ目だけで解決したことにしない?」

神使「ダメです。 三つとも解決して下さい」

神様「・・・・・・」

366: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/10(水) 01:44:58 ID:XFF0KwzY

神様「キー子よ」

キー子「はい?」

神様「神勅! キー子を神籍登録し神階を従三位とする。 神様から神勅を申し伝えた!」

キー子「・・・・・・」


神様「一個解決した」

神使「そんな簡単に神勅出さないで下さい・・・ しかも露天風呂なんかで・・・」

神様「あ? 場所なんてどこでもいいんだよ」

神使「キー子さんの主神である幼女神さまに断りもなく・・・ 怒られますよ?」

神様「・・・・・・」

神使「知りませんよ?」

神様「・・・今の神勅は無しで」

神使「神勅はそんな簡単に取り消せません」

神様「ですよね~」

367: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/10(水) 01:47:26 ID:XFF0KwzY

キー子「あの・・・ 今、私が神と・・・」

神使「はい。 神様が神勅を発してしまいましたので・・・」

神様「今日からキー子ちゃんは神! キー子神。 美容の女神とかどう?」

キー子「いえ・・・ そんな、私が神だなんて烏滸がましい。 しかも、め・・・ 女神だなんて///」

神様「そのツルツル美肌が手に入るなら、私はキー子神を主神の女神さまとして崇め奉る!」

キー子「はぅ・・・///」


神使「きちんと幼女神さまに報告して下さいよ、神様?」

神様「分かったよ。 次にアイツと会うのは百年くらい先だと思うけど」

神使「今日中に報告して下さい」

神様「え~」

神使「分かりましたね?」

神様「へいへい。 でもその前に行きたいところあるんだけど」

神使「どこです?」

神様「キー子ちゃんに案内してもらおう」

371: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/11(木) 23:32:21 ID:5n4ZX6Lk


――― かれかれ汲み場


キー子「ここが枯渇した源泉の汲み上げ場です」

神使「確かに何も出ていないですね」

神様「う~ん・・・」クンクン

神使「?」

神様「・・・・・・」

神使「どうされました?」

神様「いや、別に」


神使「この場所は枯渇した後も土地を売らずに残っているんですね」

キー子「はい。 神社が保有している土地なので売却はできないんです」

372: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/11(木) 23:34:07 ID:5n4ZX6Lk

神使「枯渇したのはホテルニューよこどりが建った後だと仰っていましたが」

キー子「1週間ほど経った頃だったと思います」


神様「その期間に何か問題とか異常とかは起こらなかった?」

キー子「そうですね・・・ 急に源泉の汲み上げ量が増えたので幼女神さまが体調を崩された位でしょうか」

神様「ふ~ん」クンクン

キー子「!?」

神使「ちょっと神様、キー子さんに何しているんですか・・・」

神様「あ? キー子ちゃんのにおいを嗅いでいるんだよ」クンクン

神使「意味が分からないのですが・・・ 失礼ですよ」グイッ

神様「あんだよ~ 嗅がせろよ!」ジタバタ

キー子「・・・///」

373: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/11(木) 23:34:47 ID:5n4ZX6Lk

神使「全く・・・ で、どうですか?」


神様「二つ目の問題は解決できる」

神使「二つ目って、源泉問題の事ですか?」

神様「ここの枯渇した汲み上げ場から温泉を再び出すことは可能だ」

キー子「え!?」

神使「では早速!」

神様「待てっちゅーの。 物事には順番というのがあるのだよ神使君や」

神使「順番?」

神様「先に保養所の方に行くか」

374: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/11(木) 23:35:32 ID:5n4ZX6Lk


テクテク


神使「保養所へは何をしに?」

神様「このまま汲み上げ場から温泉を出したらどうなると思う?」

神使「ニューよこどりから薄めた源泉を分けてもらわなくて済みますね」

神様「そんな上手くいく分けねーだろ」

神使「どういうことです?」

神様「さっき話しただろ。 源泉が足りないんだよ」

神使「幼女神さまへの負担ですか・・・」

神様「あいつは無理してでも源泉を作ろうとするだろうけどね~」

375: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/11(木) 23:36:37 ID:5n4ZX6Lk

神使「そういえば、それが原因で体調を崩されたと先ほど仰っていましたね」

キー子「・・・はい」コクッ

神様「神力が不足しているわけ。 だったらそれを補うしかない」

神使「しかし、幼女神さまは他から神力をもらうのを嫌がるようなことを仰っていませんでした?」

神様「それは~ まぁ、良い感じに手を打ってだねぇ~」

神使「それに結構な量の神力が継続的に必要になると思うのですが、そんな簡単にどこから集めるんです?」

キー子「なんとかして神社の参拝者からの願掛け神力を幼女神さまに―――」

神様「ダメ! それは絶対ダメ。 神社で得た神力はきちんと参拝者のために使うこと」

キー子「そう、ですよね・・・ 失言でした」

神使「ではどうやって神力を?」

神様「それを解決するために向かっているのだよ」ニヤッ

376: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/11(木) 23:37:32 ID:5n4ZX6Lk


――― 神苑温泉


支配人「入湯税を導入しろだぁ?」

神様「ダメ?」

支配人「この保養所は神と神使のユートピア。 実費以外の金銭要求は神宮規定で禁止されています」

神様「金銭以外は良いんだな?」

支配人「どういう意味です?」


神様「ここに来た神から入湯税として神力をもらう」

支配人「はぁ?」

神様「神力は金じゃないから神宮規定に引っかからないだろ」

支配人「そんなの無理です。 だいたい貴方たち誰なんですか?」

377: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/11(木) 23:38:33 ID:5n4ZX6Lk

神様「ふふふっ、私は何を隠そう神宮が誇るかわゆい女神!」

支配人「神宮の女神!?」

神様「我が神使よ、私の神籍証をこの者へ見せてやれ!」

神使「いや・・・ それは・・・」

神様「私も権力を盾にすることは本意ではないが、仕方のないことなんだ」

神使「・・・・・・こちらが神様の神籍証です」スッ

支配人「・・・・・・」

神様「うひゃひゃ! どうだ! 我を敬い奉り、ひれ伏した後に大量の牡蠣を献上せよ!」

支配人「神力ゼロ、神階なしで所属無しの野良神ですか?」

神様「はい?」

神使「残念ですがこれが神様の新しい神籍証です」

神様「うがっ!」

378: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/11(木) 23:40:21 ID:5n4ZX6Lk

支配人「ご用件は以上ですか?」

神様「ねぇ~ 一応ここに来てる神達に聞いてみてよ~ 熊夫ちゃ~ん」

支配人「ゴリ夫です」

神使「ダメでしょうか?」

支配人「ダメです」

神様「良い子紹介するからさぁ~ 東北に熊好きのかわゆい巫女がいるんだよ~」

支配人「ダメなものはダメです」


キー子「無理は承知です。 神々の皆さんにお話しだけでもさせて頂けないでしょうか?」

支配人「うっ・・・ キ、キー子さんがそこまで言うのなら・・・」デレー

神様「え? キー子ちゃん今初めて喋ったんだよ? そこまで言ったのはこのかわゆい神ちゃんだよ?」

神使「神様、可愛いは正義なんです」

神様「私だってかわゆいだろ!」

神使「性格の話です」

神様「・・・・・・」

381: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/12(金) 22:46:51 ID:1VerBbIs


――― 神苑温泉・とある部屋


神A「見てくれよコレ」コトッ

神B「何それ! 我らのアイドル、キー子ちゃんのフィギュアじゃん!」

神A「知り合いの原型師に作ってもらったんだよ」

神B「さすが秋葉を牛耳るオタク神。 よく出来てるなぁ」

神A「はぁ~ 可愛いよなぁ~ キー子ちゃん」ウットリ

神B「会いに行きたいけど、あの神社はなぁ・・・」

神A「近づきがたい神力を感じるしな」

神B「独特の神力だよな。 強くはないけど畏怖を感じるもん」

神A「キー子ちゃんが、毎日この保養所に遊びに来てくれれば良いのになぁ」

382: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/12(金) 22:48:14 ID:1VerBbIs


ピン ポン パン ポーン♪


神A・B「?」


『本日は、神様機構付属神苑温泉にお越し頂きありがとうございます』


神A「おっ、この声はキー子ちゃんだ!」

神B「スピーカー越しの声も良いよなぁ~」


『当旅館にご滞在の皆様に ・・・わ、わたくしキー子よりお願いがありご連絡いたします』


神A・B「!?」


『もし、お時間があるようでしたら大広間の方へお集まり頂けますようお願いいたします』


ピン ポン パン ポーン♪

383: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/12(金) 22:48:51 ID:1VerBbIs


神A「さて、久しぶりに本気で仕事をするか」

神B「おいおい、お前は静養に来たんだろ? ゆっくりここで休んでいろって」


神A「・・・・・・」

神B「・・・・・・」


ダダダダダッ

384: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/12(金) 22:49:38 ID:1VerBbIs


――― 放送室


キー子「これでよろしいのでしょうか?」

神様「バッチグー!」


神使「こんな事で皆さん集まってくれるんですか?」

神様「だからお前は犬ころなんだよ。 今の放送を聞いて集まらない奴は神ではない!」

神使「え~・・・」


神様「さて、大広間の方に移動しますか」

支配人「・・・やはり、考え直して止めた方が良い気がしてきました」

神様「熊夫ちゃんさぁ」ズイッ

支配人「ゴリ夫です」

385: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/12(金) 22:50:33 ID:1VerBbIs

神様「これが上手くいったら、明日から毎日ここにキー子ちゃんが来てくれるんだよ?」

支配人「毎日!?」

キー子「え?」

神使「ちょっと神様、またそんな勝手な約束を承諾もなく・・・」

神様「い~や、キー子ちゃんは毎日ここに来ることになる。 熊夫ちゃんに会うためにね」ニヤッ

支配人「わ、私に会いに!?」

神様「そう! ここに! 熊夫と会うために!」

支配人「ウホウホ!」

神使「・・・(熊だかゴリラだか分からないんですが・・・)」

神様「ここで止めておく?」

支配人「続けて下さい」キリッ

386: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/12(金) 22:51:17 ID:1VerBbIs


――― 大広間


ガヤガヤ ガヤガヤ


神使「・・・・・・(こんなに宿泊している神と神使がいたんですか・・・)」


ガヤガヤ


神A「あれ? キー子ちゃんは?」

神B「キー子ちゃんまだ~?」

神C「キー子ちゃ~ん、はよはよ」


神使「・・・・・・」

387: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/12(金) 22:52:22 ID:1VerBbIs


神様『レジ~ス アンド ジィエントルメ~ン!』


神A「何だ?」

神B「キー子ちゃんの登場か?」

神C「待ってました! キー子ちゃん!」ヒューヒュー



神様「ようこそ! お集まりの皆さん!」トテトテ


シーン


神A「やべぇ、神ちゃんだよ・・・」

神B「そう言えば神ちゃんも泊まっているんだった・・・」

神C「どうする? 逃げるか?」

388: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/12(金) 22:53:20 ID:1VerBbIs

神様「おい、そこ! 一歩でも動いたら明日から3食“卵の白身だけかけご飯”だからな」


シーン


神様「え~ 今日からこの神苑温泉では入湯税を徴収することになりました」

神A「入湯税!?」

神様「おい、次喋ったらお前カンチョー100回な」

神A「!?」


神様「入湯税は、一神につき0.5カミーの神力を頂く」

神B「0.5カミーって結構な量じゃないか?」

神様「お前、喋ったから後でカンチョーな」

神B「!?」

389: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/12(金) 22:54:30 ID:1VerBbIs

神様「意見のある者はいる?」

神C「その分宿泊費が安くなるとか―――」

神様「お前、喋ったから後で金ケリな」

神C「!?」


神様「他にカンチョーと金ケリが欲しい・・・ いや、意見のある神は?」


シーン


神使A「あの・・・」

神様「なんだい? そこの勇気ある神使くんや」ニコッ

神使A「神使は神力が無いんですが、お付きで来た私達神使は入湯税の方はどうするんでしょうか?」

神様「お~ 良い質問だ。 主神から一神使につき0.1カミーをプラスで徴収することにしよう」

神達「・・・・・・」

390: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/12(金) 22:55:49 ID:1VerBbIs

神様「心配するな、私だって鬼じゃない。 入湯税の徴収は強制ではなく任意だ」

神A「なんだ~ よかった」ホッ

神B「任意なら良いや。 0.5カミーも取られたら戻るまで結構時間かかるもんな」

神C「でも、神力なんか徴収して何に使うの?」


神様「うむ。 徴収した神力はこの温泉の効能維持に使う予定だ」

支配人「維持?」

神様「ここの温泉を、いや他の旅館の温泉も全て以前の在りし日の泉質に戻すことに使われる」

支配人「融通してもらっている温泉を薄めずにもらうということですか!?」

神様「ノンノン。 枯れたとされる汲み上げ場から、再び温泉を湧き出させる」

支配人「そ、そんなこと出来るのですか!?」

神様「それがこの町に住む人々の願いなんだろ? だったらそれを叶えるのが私達、神の勤めだ」

391: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/12(金) 22:56:35 ID:1VerBbIs

神A「なんだ神ちゃん、そういう事かぁ~ だったら協力するよ」

神B「てっきり神ちゃんが神力使って、また悪さするのかと思ったよ」

神C「本当、この前も神ちゃん他の神から神力集めて光玉とか言って売り捌こうとしてたし」

神使「あの、すいません。 その話を詳しく教えて頂けないでしょうか」

神様「うるせー! お前ら全員金ケリだ、金ケリ! 一列に並べ!! ぶっ潰してやる!」

393: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/14(日) 00:31:13 ID:PJxa14Lg


――― 30分後


神様「あ~ 楽しかった!」ツヤツヤ

神使「これって、皆さん大丈夫なんでしょうか・・・」

神様「大丈夫だろ。 情けで弱めの電気アンマにしたから」

神A「弱くないよ! 全力でしょ! 絶対全力だよね?」イタタ

神B「うっ・・・ うっ・・・」ピクピク


神様「キー子ちゃんもやれば良かったのに」

キー子「えーっ!? 私なんかが神々の皆様にそのようなことは」

神様「スカッとするよ? なんか自分のさじ加減でどうにでも出来る状態になってるヤツを見てるのってゾクゾクしない?」

神使「神様、キー子さんに変なことを教え込まないで下さい」

394: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/14(日) 00:34:47 ID:PJxa14Lg

キー子「あの・・・ 神々の皆様、大丈夫でしょうか?」

神A「問題ありません」キリッ

神B「全然平気です」キリッ


キー子「よかったです。 安心しました」ニコッ


神A「なんてお優しい・・・」

神B「女神がいる・・・」


神様「ほら、大丈夫じゃん」

神使「そうでしょうか? 皆さん前傾姿勢で足がプルプルしてますが・・・」

395: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/14(日) 00:35:52 ID:PJxa14Lg

神様「遊びはこの位にして、早速入湯税の神力徴収でもはじめるか」

神使「神力ってどうやって集めるんです?」

神様「なにか神体になるようなものはないかなぁ?」キョロキョロ

神使「神々の皆様からお集めになる神力ですから、それ相応の神体でないといけませんよね」


神様「おっ!」ジー

神A「?」

396: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/14(日) 00:37:15 ID:PJxa14Lg

神様「おい、そこの・・・」

神A「おれ? 秋葉神だけど」

神様「お前、良いの持ってんじゃん。 それくれ」

神A「!? こ、これは俺の宝物! 例え神ちゃんでもこれだけは!」


神様「キー子ちゃん、あの人形が神体に相応しいから譲ってもらって?」

キー子「あの人形・・・ 私に似ている気がするのですが・・・ 他のものではダメでしょうか?」

神様「アレじゃなきゃ嫌だ」

キー子「・・・・・・」

神様「あれ譲ってもらって?」

397: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/14(日) 00:38:26 ID:PJxa14Lg

キー子「すいません、そのお人形を譲って頂くことはできませんでしょうか?」

神A「はい、喜んで」スッ

キー子「あ、ありがとうございます・・・」

神A「細かい設定まで忠実に再現させた自信作です」

キー子「私、巫女服って着たことないのですが・・・ どうして巫女服を着ているのですか?」

神A「いつか着て下さい。 キー子さんが巫女装束を着てくれるのであれば、いくらでも神力をお渡しいたします」

神様「期待しろ。 お前の願いは、この神ちゃんの力によって成就される!」

神A「なんと!」

398: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/14(日) 00:39:43 ID:PJxa14Lg

神様「キー子ちゃん、明日から巫女姿で1日1回この保養所に神力を取りに来ること」

キー子「え~っ!?」


神様「熊夫くん、キー子ちゃんの世話と護衛の大役は任せたぞ」

支配人「承知! この熊夫、責任を持って毎日キー子さんをお迎えいたします!!」

神使「・・・(ゴリ夫じゃないんですか?)」


神A「まさか、神力の授受ってキー子ちゃんが!?」

神様「あぁ、キー子神が直接執り行う!」

神B「キー子神? キー子ちゃんって神使では?」

神様「驚け! キー子は先ほど私の神勅により神籍に入った!」

神達「おぉ~」


パチパチ パチパチ

399: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/14(日) 00:40:42 ID:PJxa14Lg

キー子「私のような何の取り柄もない者が申し訳ありません!」フカブカ

神様「神としての初仕事。 これはキー子ちゃんにしか出来ないことだ。 誇りを持って」

キー子「は、はい・・・///」


神A「よっしゃー! これからキー子ちゃんと会えるとなれば、俺はここに通い詰める!」

神B「俺も神使いっぱい連れてくる!」


神様「ほぉ~」ニヤリ

神使「・・・・・・(神様が何か思いついた顔してますね)」

400: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/14(日) 00:41:57 ID:PJxa14Lg

神様「よーし! お前達の気概をくみ取り、このかわゆい神ちゃんがさらなる約束をしよう!」

神達「?」


神様「神力徴収の際に0.5カミーの入湯税で、キー子ちゃんから優しい微笑みをプレゼント!」

神達「!?」


神様「1カミーで神力徴収時にキー子ちゃんが手を添え手伝ってくれる!」

神A「なっ!?」


神様「そして、1カミー以上を払った者へは~」

神B「払った者へは・・・」ゴクリ

401: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/14(日) 00:43:35 ID:PJxa14Lg

神様「巫女服姿で抱擁だ!!」

キー子「え~!! 抱擁!?」


神A「よっしゃー!!」

神B「おれ、神力枯れるまで全部渡す!!」

神C「俺も来週は隣町の神使も引き連れて来る!!」


神様「よしよし、それじゃぁ~ キー子ちゃん、今日の分を早速―――」

支配人「お待ち下さい!」

神様「あ?」

402: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/14(日) 00:44:32 ID:PJxa14Lg

支配人「キー子さんが私服のままです」

神様「今日は良いだろ」

支配人「ダメです。 巫女装束でご奉仕なさると先ほどお約束しましたので」

神使「しかし、巫女装束の手持ちが今はないので・・・」


支配人「ここは旅館といえど、神様機構付属の神宮直轄施設ですよ?」

神様「まさか!」

支配人「最高級の巫女装束一式が用意できます」


神様「」グッ

支配人「」グッ

408: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/15(月) 21:41:05 ID:tGvvK6ZE


――― 保管庫


支配人「え~と・・・ 巫女装束は確かここに」ゴソゴソ

キー子「とても立派なご衣装がたくさんありますね」

支配人「はい、巫女装束から最高神様用のご装束まで全て揃っております」

神様「最高神用?」

支配人「いざという時のために、神宮規定の全装束が準備してあるんです」


神使「あっ、この大きな木箱ですね。 最高神様用御装束って書いてあります」

キー子「木箱の装飾がとても綺麗ですね」

409: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/15(月) 21:42:31 ID:tGvvK6ZE

支配人「この箱だけでも表に出せば国宝級だと思います」

神様「へぇ~ でも、私見たことないけど」

支配人「私もございません。 神力錠で封印されていますので一度も開封されたことはないと思います」

神様「神力錠なんて珍しいな」

神使「神力錠?」

神様「神の力に対応する専用の鍵だよ。 作るの面倒だから最近は使ってないんだけど」


支配人「一度で良いから最高神様の御装束を見てみたいものですよ」ハハハ

神使「確かに、興味ありますね」

支配人「ここだけの話、本当は最高神なんて存在しないんじゃないかって噂がありますので一生見られないと思いますが」

410: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/15(月) 21:43:51 ID:tGvvK6ZE

神様「これ、確か手をかざして念じれば解除されるんだよな」

支配人「あなたが最高神様であればですけどね」

神様「我、錠の解除を命ず」


ガチャン


支配人「・・・・・・」

キー子「鍵が!?」

神使「あぁ・・・」

支配人「ちょちょちょ! え? えっ?」

神様「なに? 開けちゃダメだった?」

支配人「ど、どうして神力錠が! 絶対に壊れたり誤動作しないはずなのに!」

411: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/15(月) 21:45:15 ID:tGvvK6ZE

神使「すいません、この方はこう見えて実は神宮最高神の女神でして・・・」

支配人「最高神!? し・・・ しかし、野良神って」

神使「話すと長くなるのですが、素性を隠しているといいますか・・・」

神様「いや~ん 私の正体がばれちゃった~」クネクネ


支配人「さ・・・ 最高神様!?」ドゲザ

キー子「・・・・・・」ドゲザ

神様「やばい、面倒なことしちゃった・・・」


支配人「数々のご無礼、お許し下さい!」フカブカ

キー子「最高神様とは知らず、申し訳ございません」フカブカ

神様「いや・・・ そういうのいいんで普通にして下さい」ペコリ

神使「神様はあまり仰々しくされるのが好きではないので、今まで通りフレンドリーに接してあげて下さい」

412: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/15(月) 21:48:10 ID:tGvvK6ZE

神様「そうだ!」

神使「?」

神様「この装束、キー子ちゃんにあげる」

キー子「え!?」

神様「これ、私のだから好きに使っていいんだよね?」

支配人「もちろんです。 しかしこの地からの持ち出しだけは規定で禁止されておりまして・・・」

神様「うん。 キー子ちゃんが神社で神力成就するときに着てよ」

キー子「そ、そんな!? 最高神様のご衣装を私なんかが!?」

神使「きっとお似合いになりますよ?」

神様「そうそう。 神なんて、それっぽい格好しているのが仕事みたいなものなんだから」

神使「もう少しオブラートに包んで言って下さい・・・」

413: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/15(月) 21:49:29 ID:tGvvK6ZE

神様「いいこと思いついた! サプライズで今日はこれ着て入湯税を徴収しよう」

神使「神になった記念でもありますし、いい案ですね」

キー子「!?」

神様「大丈夫。 何だかんだ言ってもただの装束だし」

神使「神用のご装束ですから神以外の着用は禁止されていますが、キー子さんは神ですから」


神様「ほらほら、着て見せてよ。 いいよね熊夫くん」

支配人「最高神様のご希望であれば。 わ・・・ 私もキー子さんが着ているところを見たいですし・・・」

キー子「私、こんな立派なものを着たことがないもので・・・ その・・・」

神使「大丈夫です。 私が着付けのお手伝いをいたします」

414: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/15(月) 21:50:21 ID:tGvvK6ZE


――― 30分後


神使「神様、キー子さんのお着替えが終わりました」

キー子「い、いかがでしょうか・・・」


神様「お~ すげー。 これ、いくらかかってんだよ」

支配人「なんと美しい・・・」ポー

神使「良くお似合いですよ」

キー子「あ、ありがとうございます///」


神様「なんか、アイツらに見せるの癪だな。 犬ころ、お前がアイツらの相手してこい」

神使「暴動が起こります」

415: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/15(月) 21:51:48 ID:tGvvK6ZE

神様「この感情、抑えきれない! キー子ちゃんは私のものだ~」ピョーン

神使「神様」グイッ

神様「ぅおぷっ!」

神使「キー子さんが汚れます」

神様「おま! 汚れるって何だよ!」

神使「もうこの時代では作れない最高級の装束ですよ? 神様のヨダレが付いたら大変です」

神様「ヨダレなんか付けねーよ」

神使「すでに垂れてます」

神様「おっと」ジュルリ


神使「皆さんお待ちのようなので行きましょうか」

キー子「はい」

416: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/15(月) 21:52:46 ID:tGvvK6ZE


――― 大広間


神様「待たせたな、お前達!」

神A「待ちくたびれたよ~」


神様「待たせただけはあるぞ?」ニヤッ

神B「期待してるよ~」


神様「お前達! キー子ちゃんの巫女姿が見たいかー!」

神達「オーー!!」

神使「・・・・・・(なんですか、この気迫は・・・)」

417: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/15(月) 21:53:32 ID:tGvvK6ZE

神様「私の巫女姿も見たいかー!」


シーン


神様「見たいかー!」


シーン


神使「お、お~」モジモジ

神A「・・・さすが神ちゃんの神使」

神B「あぁ、良く調教されている」

神使「うぅ・・・///」

418: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/15(月) 21:55:09 ID:tGvvK6ZE

神様「神使君?」

神使「は、はい」

神様「私のかわゆさを理解できるのは君だけのようだ。 こいつらちょっと絞めるから手伝って?」

神使「それより、早くキー子さんを」

神様「あ? ったく、しょーがねーな~」チッ


神様「今日はキー子にとって神になった記念すべき日。 特別仕様でお披露目する!」

神B「特別仕様?」

神様「従三位! キー子神のお披露目だ! ババン!」

422: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/16(火) 23:39:47 ID:zI0MiFEo


キー子「・・・・・・///」テク テク

神達「・・・・・・」ポケー


シーン


キー子「あ、あの・・・」

神A「言葉では言い表せない美しさ・・・」

神B「これは間違いなく女神さま・・・」

神C「本物の最高神はこの地に居たか・・・」

キー子「はうっ///」

423: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/16(火) 23:41:02 ID:zI0MiFEo

神様「よーし! 入湯税を支払うものは一列に並べ!」


ダダダダッ


神様「小さく前へならえ!」

神達「」サササッ

神様「直れ!」

神達「」ササッ


神様「最初の者、前へ!」

神A「よしっ!」テクテク

424: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/16(火) 23:43:33 ID:zI0MiFEo

神様「キー子ちゃん、神体の前へ」

キー子「は、はい」テク テク


神様「アニオタ、お前は何カミー支払うんだ?」

神A「私は! 3カミーお支払いします!」


神達「お~」パチパチ


神様「お前、3.5カミーしかないのに3カミーも出したら倒れるぞ?」

神A「自分のキー子ちゃんフィギュアがご神体に、しかもトップバッター。 ここで私が男を見せるんです!」フンスッ

神様「その心意気、しかと受け止めた! 礼に私もお前にハグしてあげよう!」

神A「あっ、そう言うのは結構です」

神様「・・・・・・」

425: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/16(火) 23:44:18 ID:zI0MiFEo

キー子「あの、私はどうすれば・・・」

神様「ん? 秋葉神の神力は感じる?」

キー子「・・・気は感じますが」

神様「それが神力。 元々キー子ちゃんは神力を感じ取る力があるみたいだから」

キー子「これって、神力だったのですか・・・」

神様「まぁ厳密に言うと、表には出ない神力も感じているようだけど」

キー子「表には出ない?」

神様「いや、何でもない」

神使「?」

426: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/16(火) 23:45:27 ID:zI0MiFEo

神様「よし、秋葉神! 手を前に!」

神A「はい!」スッ


神様「いい? 神体にこれから神力を徴収して何に使うかを、そして神力を渡してくれる神に深い感謝を強く念じて」

キー子「はい」


ポワ


神様「そう、その調子。 もう少し力を抜いてリラックスしようか」

キー子「はい」

神様「うん、今の感じを覚えて。 じゃぁそのまま続けてみて?」

キー子「」コクッ

427: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/16(火) 23:46:29 ID:zI0MiFEo


ポワポワ


キー子「秋葉神さまから頂く神力はこの地に住まう、そしてこの地を訪れた人々の笑顔を守るため使わせて頂きます」

神A「はい!」


ポワポワポワ


キー子「秋葉神さまに深い感謝を」ギュッ

神A「ふぉーーー!! キー子ちゃんの熱い抱擁!! 最高・・・ で・・・ す・・・・・・」バタリ

428: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/16(火) 23:47:52 ID:zI0MiFEo

神様「3.3カミー頂きました!」

キー子「あ、あの! 大丈夫ですか!?」オロオロ

神A「問題ありません」キラッ

神様「さすがキー子ちゃん、生かさず殺さずギリギリの神力を持っていくとは末恐ろしい」

キー子「いえ! そんなつもりは・・・」

神様「まぁ、最後の方はコイツ自分から神力放出してたから自業自得なんだけど」

神様「熊夫くん、こいつ温泉にでも放り込んでおいて」

支配人「承知!」ヨイショ

神A「あっ、お構いなく。 キー子さんの近くに居れば回復しますので」

支配人「行きますよ」スタスタ

神使「秋葉神様、大丈夫でしょうか・・・」


神様「よし、それじゃぁ次の神は前へ!」

神B「はい!」

429: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/16(火) 23:48:59 ID:zI0MiFEo


――― 1時間後


神様「お~ 結構集まったな」

神使「皆さん死んだように倒れておりますが・・・ すごい惨状ですね」

キー子「・・・・・・」


神様「さてと、何カミー溜まったかなぁ?」

支配人「神力計を用意してあります」スッ

神様「気が利くねぇ」

神使「小型の懐中電灯みたいですね」

支配人「最新型ですから。 対象に向けて上のボタンを押すと液晶部分に神力量が表示されます」

神様「ふ~ん。 ハイテクだねぇ~ ポチッと」ポチッ


ピピッ

430: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/16(火) 23:50:25 ID:zI0MiFEo

神様「お~すげ~ 40カミーもある」

神使「みなさん倒れるまで神力を差し出していましたからね・・・」


キー子「神々の皆さん、本当にありがとうございます」フカブカ

神C「何のこれしき・・・ 明日も神力渡すからね・・・」バタリ

キー子「いえ・・・ そこまでなさらなくても・・・」


神様「おい犬ころ、ちょっと出かけるぞ」

神使「?」

神様「キー子ちゃんはコイツらを介抱しててくれる?」

キー子「はい」

神様「すぐ戻ってくるから後で合流ね」

キー子「お気をつけて」

434: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 01:53:05 ID:qQYGK.Oo


――― かれかれ汲み場


神使「汲み上げ場に戻ってきてどうされるんです?」

神様「この場所からキー子ちゃんの香りがした」

神使「香り? そう言えば、先ほどキー子ちゃんをクンカクンカしていましたね」

神様「・・・・・・。 ここから温泉が出なくなったのはキー子ちゃんが原因だ」

神使「え!?」

神様「幼女が体調を悪くしたって言ってただろ?」

神使「そう言えば、急に源泉の汲み上げが増えたからと仰っていたような」

神様「キー子ちゃんは幼女に代わって普段から祈願成就をしている」

神使「それが何か関係あるんですか?」

435: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 01:54:15 ID:qQYGK.Oo

神様「たぶん、キー子ちゃんは見よう見まねで祈願成就をしているんだろう」

神使「神使講習も受けていないくらいですからね」

神様「自分のお願いも知らずに成就している」

神使「自分のお願い?」

神様「幼女が体調不良になってお願い事をするとしたら、お前なら何て願う?」

神使「体調が良くなりますように・・・ でしょうか?」

神様「そう、体調が良くなるには?」

神使「汲み上がる源泉の量を減らす・・・」

神様「この場所は神社の飛び地、ニューよこどりの汲み上げ場よりも影響を受けやすい」

神使「キー子さんは知っているのでしょうか?」

神様「自覚なんかないだろ。 でも、幼女は知っているかもな」

神使「・・・・・・」

436: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 01:55:14 ID:qQYGK.Oo

神様「私の神力が入ったお守り、一つくれ」

神使「はい」スッ

神様「お守りに封印されし我が神力を解放す」


ポワ


神様「神力祈願で成就されし願いを我が命令で上書きせよ」


ポワポワ


神様「これで良しと。 ん~ 神力少し余ったなぁ~」

神使「あの、特に変化ないようですが?」

437: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 01:56:06 ID:qQYGK.Oo

神様「明日には源泉が出るだろうよ」

神使「キー子さんには何と・・・」

神様「言う必要なんかないよ。 彼女の神力が上がって、いずれこの場所へ来たときに気がつくだろう」

神使「大丈夫でしょうか? キー子さん自分の行いにショックを受けるのでは・・・」

神様「そんな弱っちい者は私は神にしない。 キー子は私が認めた神だ」

神使「そうですね」

神様「いずれ真実に気付いたとき“さすが私のかわゆい神様! ぜひスリスリしてもらいたい!”と私を―――」

神使「そろそろキー子さんと合流して神社に行きましょうか」スタスタ

神様「・・・・・・」

438: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 01:57:12 ID:qQYGK.Oo


――― 神苑温泉前


神様「お~い、キー子ちゃ~ん」

キー子「あっ、ご用の方は終わったのですか?」

神使「遅くなりましてすいません」


神様「あれ? キー子ちゃん私服に着替えちゃったの?」

キー子「歩くのが少し大変なので・・・」

神様「巫女服でもいいんですぜ?」グヘヘ

キー子「・・・・・・。 祭儀服と巫女服は後で熊夫さんが神社に持ってきてくれるそうです」

神使(あっ、もう熊夫さんになっちゃったんですね)

神様「それじゃぁ、行きたくないけど幼女のところに行きますか・・・」

神使「幼女神さまを説得させるの大変そうですね」

神様「うっ・・・」

440: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 23:10:17 ID:qQYGK.Oo


――― 泉源神社


神様「ちょっと私一人で幼女と決闘してくるわ」

神使「大丈夫ですか?」

神様「二人は障子に耳でも付けて成り行きを見守っていてくれ」

神使・キー子「はい」コクッ

神様「ふ~ ・・・よし!」トテトテ


ガラガラ


神様「幼女!」

幼女神「お~ クソガキか。 キー子のヤツを見なかったか?」

神様「そんなことはどうでもいい。 アンタに大事な話がある」

幼女神「あ?」

441: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 23:12:50 ID:qQYGK.Oo


――― 社務所


幼女神「断る」

神様「そう言うと思った」

幼女神「なら一々聞くでない。 だれが他のヤツの神力なぞもらうものか」フンッ


神様「アンタ今の状態で倍の源泉なんか作れるのか?」

幼女神「出来るわ! 入浴回数を倍にすれば良いだけじゃ!」

神様「無理だね」

幼女神「・・・・・・」

神様「そもそも今の状態で温泉作れるのって、後どのくらいだよ」

442: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 23:14:31 ID:qQYGK.Oo

幼女神「・・・お前気付いておるのか?」

神様「当たり前だろーが。 私これでもあんたの後を継いだ神だよ?」

幼女神「わ、ワシの後はキー子が継いでくれる!」

神様「それはアンタが決めることじゃない」

幼女神「うるさい! 一々口出しするでない!」


神様「ニューよこどりが出来て・・・ キー子ちゃんの願いを知ってるんだろ?」

幼女神「お前、汲み場のことを知っているのか・・・」

神様「だから、私を誰だと思ってるんだよ」

幼女神「まさか原因のことをキー―――」

神様「いいや、話してない」

幼女神「そうか」ホッ

443: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 23:15:49 ID:qQYGK.Oo

神様「それに、私はアンタからまだもらっていない物がある」

幼女神「・・・・・・」

神様「それをもらうまで消えることは無理だよ~」

幼女神「ワシの神力がなくなり、寿命を迎えれば有無を言わずにお前に伝わる」

神様「私はアンタからもらうって決めてるし。 それまで勝手に消えることは許さないし」

幼女神「なにを勝手なことを」フンッ



神様「アンタさぁ、この神社の主神を引退しろ」

幼女神「はぁ? 引退じゃと!?」

神様「私これでもこの国の最高神。 アンタでも私の命令に背くことは出来ない」

幼女神「・・・何を考えている」

444: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 23:18:02 ID:qQYGK.Oo

神様「神宮の主神規定ってのがあってさぁ」ゴソゴソ

幼女神「?」

神様「これ、神力計。 これで神力量が測れるんだわ」

幼女神「ま! まて、計る前に準備を!」

神様「ズルはダ~メ~」ピピッ

幼女神「くっ!」


神様「2.5カミーか。 大分少ないようで」

幼女神「・・・・・・」

神様「キー子ちゃんは前回の測定で8カミーって言ってたけど、あれってキー子ちゃんの神力量だよね」

幼女神「お前そこまで知って・・・」

神様「キー子ちゃんは騙せても私には通用しないぞ。 私くらいになると見ただけで神力量なんて分かるんだわ」

幼女神「相変わらず面倒くさい力を・・・」

445: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 23:20:28 ID:qQYGK.Oo

神様「2.5カミーしかないんだったら主神としてこの神社への配属は無理だなぁ~」

幼女神「姑息な手を・・・」


神様「神勅。 泉源神社の主神である幼女神を神力不足により解任、キー子神を新たな主神として任命する。 最高神神様から神勅を申し伝えた」

幼女神「!?」

神様「じゃ、そういう事で」

幼女神「まて! キー子にはまだ早すぎる! アイツはまだワシの神使で教えていないことも沢山―――」

神様「さっき神勅出してキー子ちゃんを神籍に入れたから問題ないし」

幼女神「神籍じゃと!? お前・・・ 勝手に何をしているのじゃ!!」

神様「今のアンタよりキー子ちゃんの方が神力高いんだし、当然でしょ」

幼女神「・・・・・・」グヌヌ

神様「世代交代だよ~ お疲れちゃん。 これからはキー子ちゃんが主神、幼女はさっさとここから出て行くこと」

幼女神「きさま・・・」


神様「」チラッ

幼女神「?」

446: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 23:21:30 ID:qQYGK.Oo


 ちょ、キー子さん落ち着いて!
 は、放して下さい!


神様「いいタイミング」ニヤッ

幼女神「・・・お前、まさか!」


バンッ


キー子「最高神様!」

神様「おや? 主神様の登場か」

キー子「酷すぎます! 幼女神さまは・・・ 皆のことを思って温泉を作っているのに・・・」ワナワナ

神使「キー子さん・・・」

447: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 23:22:33 ID:qQYGK.Oo

キー子「私は幼女神さまから離れません! この神社の主神様は幼女神さまで、私はそのお付きです!」

神様「ほぉ」ニヤリ


幼女神「バカ! キー子、余計なことを喋るな! このクソガキは何か企んで―――」

神様「今、この神社の主神はキー子ちゃんだ。 神勅宣言はしなかったが、この社においては同等の力を有す」

幼女神「くっ!」

神様「その主神がなんて言った?」

幼女神「お前・・・」

448: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 23:24:03 ID:qQYGK.Oo

神様「なんと! 神力の少ない幼女を主神にすると! しかし、この幼女は神力が神宮規定以下の量しかない」

神様「どうすれば良いんだー。 泉源神社の主神が発した神勅には逆らえないしー」ウーン

キー子「・・・あの」


神様「あっ! キー子神が手に持っているのは神力が詰まった神体!」

神様「そうか! それを幼女が取り込めば主神認定分の神力が溜まるということか!」

キー子「・・・最高神様?」


神様「なに!? しかも毎日その神体分の神力量が手に入るって!?」

神様「さすが、キー子神! 準備はすでに出来ていたと!」

神様「素晴らしい作戦! 私もそれに乗ろう!」

キー子「・・・・・・」ポカン


神使「神様・・・ 棒読み過ぎるんですが・・・」

449: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/18(木) 23:24:53 ID:qQYGK.Oo

神様「おい、幼女。 主神様からアンタの神力を上げるように言われたぞ。 さっさと取り込んで神力上げろ」

幼女神「んがー! なんという回りくどいことを!!」ジタバタ


神様「最高神と主神からの命だ。 神宮規定でお前は逆らえないし言うこと聞いておけ」

幼女神「こんな下らない仕込みを見抜けなかった自分が悔しぃー!!」ジタバタ

神様「心ばっか読んでるからだ。 ざまー」ニヤッ

幼女神「んがー! んがー!」ジタバタ

454: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/24(水) 01:30:07 ID:ZOdeniU2


――― 本殿


キー子「では、幼女神さま」

幼女神「ふん!」プイッ

神様「おい、往生際が悪いぞ。 あんまりダダをこねてるとママ許しませんよ?」

幼女神「うっさいわ! 誰がママじゃ!」

神様「そうですか、幼女神さまはキー子ちゃんの神勅を無視する気ですね? 見損ないました」

幼女神「うっ・・・ わ、分かったわ! しかし何じゃこの神体は」

神様「あ? 現代の職人が腕によりをかけて作り上げた唯一無二の工芸品だぞ? 文句あるのか?」

幼女神「これは・・・ キー子ではないのか?」

神様「この地に相応しい神体だろ? みんな大喜びでコレに神力入れてたぞ?」

キー子「・・・ぅぅっ///」

455: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/24(水) 01:31:40 ID:ZOdeniU2

神様「いいから早く手を出せよ」

幼女神「ったく」スッ

神様「キー子ちゃん、よろぴこ」

キー子「は、はい」スタスタ

幼女神「?」

キー子「善意ある神々から頂きし神力を我が主神である幼女神さまへ解放されたし」


ポワッ


幼女神「キー子・・・ お前・・・」

神様「さっき言っただろ、キー子ちゃんは神籍に入ったの。 神力操作位は扱えるようになってるの」

幼女神「そうか・・・」フッ

456: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/24(水) 01:32:52 ID:ZOdeniU2


ポワポワ ポワポワ


幼女神「ふむ。 これでいいか?」

一同「・・・・・・」

幼女神「なんじゃ、皆してアホずらしおって」

キー子「幼女神さま・・・ ですか?」

幼女神「あ? 何を言っておるのじゃキー子」

神使「神様が二人!?」

幼女神「? なんか背が伸びた気がするのぉ」

神様「随分と成長・・・ いやアンタからしたら若返ったのか」

神使「神様とうり二つですね」

幼女神「ふむ。 懐かしい感じじゃ」

457: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/24(水) 01:34:06 ID:ZOdeniU2

神様「せめて髪型くらい変えとけよ。 かわゆい神ちゃんがいっぱいいると困る」ムスッ

幼女神「そうだな。 ではワシは男どもに大人気のポニーテールにでもするかのぉ」

神様「え!? ポニーテールって野郎どもが好きなの?」

幼女神「なんじゃ、知らぬのか? ナウいおなごはポニーテールなんじゃぞ?」

神様「・・・幼女はそのままでいろ。 私がポニーテールにする!」

幼女神「狛犬の神使は、どちらが好みじゃ?」

神使「え!? 私は・・・ 特に髪型にこだわりは・・・」

幼女神「・・・・・・」ジーッ

神様「あっ! お前犬ころの心覗いたろ!」

幼女神「いいや?」ニヤッ

神様「どっちだったんだよ! 気にはならないけど、教えろよ!」

幼女神「ワシはポニーテールにする。 お前はそのままでいるんじゃな」ヒヒヒ

神様「んがー! ムカつく!」

463: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/27(土) 02:03:29 ID:58iIJxUA


――― 数分後


 おい教えろよ~
 あっちに行け! それ以上近づいたら電気アンマじゃぞ!!


神使「幼女神さま元気ですね」

キー子「・・・・・・」

神使「キー子さん?」

キー子「最高神様って凄いですね」


 ねぇ~ お願いだから~
 まとわりつくな! 用が済んだらとっとと帰れ!!


神使「・・・だと良いのですが」

464: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/27(土) 02:04:38 ID:58iIJxUA

キー子「私、幼女神さまの神力がどんどん減っていくのを見てどうすることも出来ず・・・」

神使「・・・・・・」

キー子「何十年も一人で悩んで・・・ でも、最高神様が来てたった1日で全部解決してくれて」

神使「お役に立てて何よりです。 神様もああ見えて一応神ですから、お願い事を成就するのが好きなんです」

キー子「尊敬いたします」

神使「なんか、神様が褒められると私も嬉しいですね」ハハハッ

キー子「神になった今、最高神様の凄さがハッキリと分かります。 とても強いお力をお持ちなんですね」

神使「力は・・・ どうなんでしょう。 神力ゼロですからね」

キー子「ゼロ? またご冗談を。 凄い量の気・・・ いえ、神力を感じますよ?」

神使「はい?」

465: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/27(土) 02:05:26 ID:58iIJxUA


ガバッ


キー子「きゃ!」

神様「犬ころの分際でしっぽりしやがって、私もキー子ちゃんとしっぽりするー」グヘヘ

神使「神様! どこから湧いたんですか!」

神様「キー子ちゃんは、やっぱり私のものだ~」スリスリ

キー子「最高神様! ちょ! あの!」

神様「うへうへ~、高速スリスリ~」スリスリ スリスリ

神使「それはしっぽりとは言いません。 ただの変質行為です」グイッ

神様「ぅおぷっ!」

466: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/27(土) 02:06:10 ID:58iIJxUA

神使「さて、日も暮れてきましたしそろそろ戻りましょうか」

神様「そうね、幼女いじるのも飽きたし」

キー子「え!? もう少しゆっくりされては・・・ 何でしたらお泊まりに」

神使「そんな迷惑をおかけするのも悪いですし」

キー子「迷惑だなんてそんな事は」

神使「いえ、キー子さんに被害が及ぶという意味ですので」

神様「ぐへへ~」ワンワナ

キー子「・・・・・・」


神使「神様? 口からよだれが垂れてます」

神様「おっと」ジュルリ

467: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/27(土) 02:07:02 ID:58iIJxUA

キー子「・・・・・・。 あっ、幼女神さまを呼んで参ります」

神様「良いって、また遊びに来るから」

神使「よろしいのですか?」

神様「それより、キー子ちゃんをお持ち帰りして―――」

神使「では失礼いたします。 ほら、神様行きますよ」グイッ

神様「あんだよ~ もっとキー子ちゃんとくっつきたい~」ズルズル

キー子「・・・・・・」


神様「キー子ちゃん! またね~」ズルズル

神使「幼女神さまによろしくお伝え下さい」ペコリ


キー子「ま、またお目にかかれる日を楽しみにしております」フカブカ

468: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/27(土) 02:07:39 ID:58iIJxUA


――― 参道


神様「おっちゃん! 牡蠣フライ棒30本!」

店主「はいよ!」

神使「ちょっと、何ですかその数・・・ すいません、3本で良いです」

店主「はい、牡蠣フライ棒3本」スッ

神様「え~ 私30本くらい食べれる~」

神使「食べられる食べられないの問題ではありません」

神様「なんだよ、ケチ」ブー

469: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/27(土) 02:08:32 ID:58iIJxUA


テクテク


神使「今回も無事解決できて良かったですね」

神様「まぁ、私にかかればこんな問題何でもない訳よ」パクパク


神使「あの、一つ良いですか?」

神様「あ? 食べ歩きくらい良いだろ」アムアム

神使「いえ、神様が幼女神さまに神力補給の神勅を出すだけで良かったのでは?」

神様「それじゃぁ面白くないだろ? もう少し幼女を“ぎゃふん”と言わせるような手をだね~」

神使「」ジーッ

神様「な、何だよ」

470: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/27(土) 02:09:32 ID:58iIJxUA

神使「誰も傷つかず関係も壊すことなく、なおかつ今まで以上に皆さんが喜ぶ方法でしたね」

神様「・・・何か言いたいんだよ」

神使「さすが神様です」

神様「ま、まぁ神使君が私の素晴らしさに気付いて崇め奉り大量の牡蠣を納めようとしている気持ちは―――」

神使「またそうやって照れちゃって」

神様「・・・・・・」


神様「買いかぶり過ぎだよ。 幼女はキー子ちゃんの願いは絶対に断らないし」

神使「そうなんですか?」

神様「主神と神使はそういうもんだ」

神使「・・・・・・。 では、毎日裸でうろつくのは止めて下さい」

神様「うろついてねーだろ! 毎日ちゃんとおべべ着てるだろーが! 見ろよ!」

471: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/27(土) 02:10:20 ID:58iIJxUA

神使「とにかく、今回もご苦労様でした」

神様「ご苦労しました」


神使「では、暗くなってきましたし急ぎましょう」

神様「まぁ、これでミッションクリアって訳だな」

神使「そうですね」

神様「次はもう少しだけ都会が良いなぁ。 あと、海が近いところで。 楽しみだな~」

神使「何を言っているんです?」

神様「は? いや、次の町に行くんだろ? そういう流れだったじゃん」

神使「今日の朝着いたばかりですよ? 一週間泊まると言ったじゃないですか」

神様「・・・・・・え?」

472: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/27(土) 02:11:09 ID:58iIJxUA

神使「今日から6泊しますので」

神様「いや・・・ もういいって言うか・・・ こんな所でやることないんだけど」

神使「何を言っているんですか。 反省文、まだ書いていませんよね?」

神様「・・・・・・」


神使「500枚ですからね?」

神様「どうにかして提出しなくてもいい方法ってないかなぁ」

神使「あるわけないじゃないですか。 さ、早く宿に戻りましょう」

神様「うぅ・・・ 私だけ願いが成就されないままだよ・・・・・・」

479: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/28(日) 02:24:31 ID:KpM4lsiY


――― 神苑温泉


ガラガラ


神様「たでーま~」

支配人「お帰りなさいませ、最高神様」ドゲザ

神様「いや、普通にかわゆい神ちゃんって呼んで欲しいんだけど。 っていうか何コレ!?」

神使「どうしてエントランスに神々の皆さんが?」

支配人「明日の分の入湯税徴収の順番待ちです」

神様「順番って・・・ 並んでないじゃん、倒れてんじゃん」

神使「あまり景観がよろしくないですね・・・」

480: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/28(日) 02:25:39 ID:KpM4lsiY

神様「おいクズども、徹夜待ちの者は明日キー子ちゃんの顔を拝めないぞ!」

神達「え!?」

神様「熊夫くん、徹夜待ちのヤツをチェックしておいて」

支配人「承知!」


ダダダダダッ


神使「すごい早さで居なくなりましたね・・・」

神様「ったく、アイツらときたら」

481: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/28(日) 02:27:18 ID:KpM4lsiY

支配人「神ちゃん様!」

神様「え!? なに?」

支配人「神ちゃんさまには何とお礼を申し上げたら良いか」フカブカ

神使「源泉のことでしたらお気になさら―――」

支配人「キー子さんの入湯税徴収サービスの噂を聞きつけ、向こう3年分の宿の予約が埋まる勢いです」

神使「あっ、そちらの話ですか・・・」

神様「良い案だっただろ?」ニヤッ

支配人「神々の皆さんが長期滞在で予約を入れて下さり大変有り難いことです」

神使「長期滞在なんかして皆さん神力は大丈夫なんでしょうか・・・」

482: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/28(日) 02:29:18 ID:KpM4lsiY

支配人「大のキー子さんファンでもある神様機構の長官様と、神使長様もご予約頂きまして」

神様「アイツらもかよ・・・」

支配人「視察名目で本日1泊だけですが、早速お越し頂けるとの事でご連絡頂きました」

神様「ぇ・・・・・・」サー

神使「神様? 顔色が悪―――」


ダダダダダダッ


神使「神様!?」

483: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/28(日) 02:30:05 ID:KpM4lsiY


――― 宿泊部屋


神使「どうされたんです? そんなに急いで部屋に戻って」ハァ ハァ


ポワポワ


神使「?」

神様「よし、と」


神使「神様?」

484: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/28(日) 02:31:31 ID:KpM4lsiY

神様「おい、荷物まとめて速く逃げるぞ」イソイソ

神使「反省文の件ですか? 提出期限までまだありますから大丈夫だと思いますが」

神様「私がそんなもの書くわけねーだろ!」

神使「・・・・・・。 私はほとんど書き上げたので・・・ 少しお手伝いしましょうか?」


神様「もう書けねーんだよ」

神使「どういう意味です?」


神様「・・・・・・。 これ」スッ

486: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/29(月) 22:43:47 ID:TavMzoVQ

神使「それは千羽鶴ですか?」

神様「うん」

神使「どうしたんですか、それ?」

神様「感想文の紙で作りました」

神使「・・・・・・」

神様「最初は数羽だったんだけど・・・ 気がついたら・・・ 全部・・・ こんなになって・・・」

神使「でも、神様の分だけですと500羽ですよね?」

神様「・・・・・・」

神使「あの・・・ 所々に文字の書いてある鶴があるのですが・・・」

神様「神使君の分も鶴にしてみました」テヘッ

神使「!?」

487: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/29(月) 22:45:05 ID:TavMzoVQ

神様「合わせて1000羽、みたいな?」

神使「私の反省文が!」

神様「諦めるんだ! もう戻せない!」

神使「ちょ、何で鶴にしちゃたんですか!?」

神様「なってしまったものは仕方がないんだ! 良いからアイツらが来る前にずらかるぞ」


長官「誰が来る前にだって?」

神様「長官くんと神使長だよ! あいつら私達を見たら絶対反省文のこと言って・・・ って」クルッ

長官「反省文は書けたのかい? 神ちゃん」

神様「・・・・・・」

神使長「神使君は出来たのかな?」

神使「・・・・・・」

488: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/29(月) 22:46:49 ID:TavMzoVQ

神様「あっ、長官くん! 足下にゲジゲジがいる!」

長官「!?」


神様「逃げるぞ! 犬ころ!!」ダダダッ

神使「え!? ちょ、神様!?」


 早く来いやー!! ダダダッ


神使「いや・・・ あの・・・」オロオロ

神使長「君の主神様がお呼びだ。 お付きの神使なら主神に従いなさい」

神使「すいません、失礼します」ペコリ


神使「神様~ 待って下さ~い」ダダダッ

489: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/29(月) 22:47:47 ID:TavMzoVQ

長官「全く・・・」ハァ

神使長「ん? これは・・・」

長官「千羽鶴のようだね」

神使長「これ、反省文の紙じゃ・・・」

長官「神ちゃんは一体何をやって・・・ ん?」

神使長「長官さん?」


長官「これは・・・ 千羽鶴から神ちゃんの神力を感じる・・・」

神使長「そんな! 最高神様の神力!?」

長官「・・・・・・」

490: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/29(月) 22:50:40 ID:TavMzoVQ


ブルブル


長官(メール?)




From:神ちゃん
Title:それ
本文:私達からのプレゼント 神宮のみんなにあげるから許してちょ





長官「全く」フッ

神使長「?」

長官「最高神の神力入り千羽鶴だなんて、神宮久しぶりの宝物だな」


長官「今日は素晴らしい日だ」

491: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/29(月) 22:51:44 ID:TavMzoVQ


テクテク


神使「も~ どうするんですか・・・」

神様「だって、アレに捕まったら面倒だろ?」

神使「面倒ってそんな・・・ 元々の原因は私達ですから」

神様「宿に戻れないし、このまま次の所に行こうぜ~」

神使「荷物がまだ宿にありますから戻りますよ。 それに宿泊費は前金で入れておりますから泊まらないと損です」

神様「え~ マジかよ」

神使「長官さん達は1泊と言っていましたから、私達は明日宿に戻りましょう」

神様「今日はどうするの?」

神使「野宿とか?」

神様「申し訳ございませんが、そういうのは本当に勘弁していただけないでしょうか」

神使「では」

492: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/29(月) 22:53:20 ID:TavMzoVQ


テクテク
ピタッ


神使「本日はこちらにお世話になりましょう」

神様「まぁ・・・ 野宿よりはマシか・・・」ハァ


ガラガラ


神様「たでーま~」

神使「おじゃまいたします」


キー子「最高神様、狛犬の神使さま。 お帰りなさいませ」ニコリ

幼女神「なんじゃ、夕飯は食べてしまったぞ? 食後の牡蠣アイスでも一緒に食べるか?」ニコッ





神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
#15「神苑温泉」 ―END

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