【前・中編】サーニャ「…ストライクウィッチーズ」 エイラ「怪異ノ魔女」【ストパンSS】
サーニャ「…ストライクウィッチーズ」 エイラ「怪異ノ魔女」
2: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:34:57.89 ID:GadMtUQQO
―西暦1945年 某日―
夜間 アドリア海上空
ブゥゥゥン
サーニャ「~♪ ~~♪」
サーニャ「♪~……?」
《~~》
サーニャ「!」ピク
サーニャ「……」
サーニャ「…………」
サーニャ「…? ………」
3: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:37:07.70 ID:GadMtUQQO
ザザッ ガザザッ
サーニャ「っ! ……」スッ
『…ガザッ …こちら管制室。 リトヴャク中尉、定時報告をお願…します』ザザ
サーニャ「…こちらサーニャ・V・リトヴャク。 ……周辺空域、異常はありません」
『了解しました。 そろそろ夜が明けますので必要範囲の索敵を終了次第帰投ルートへ入ってください』
サーニャ「了解。 ………ぁ…あの…」
『…はい? どうされました?』
サーニャ「あ、その……気のせいかもしれないんですけど――」
4: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:40:54.19 ID:GadMtUQQO
―早朝―
501JFWロマーニャ基地 台所
エイラ「…よし! できたぞ!」
エイラ「あとはトレイ、トレイ~」ガチャガチャ
ミーナ「――あら、エイラさん。 おはよう」ツカツカ
エイラ「おー中佐、おはよう。 中佐も飲み物か?」
ミーナ「ええ。 夜間哨戒の報告を取りに行ったついでにね」
エイラ「……そんなのわざわざ行かなくたって届くだろ?(ていうか宿舎は遠回りだぞ?)」
ミーナ「外の空気を吸う口実作りで偶にこうしているのよ。 ……あら、ココア?」
エイラ「サーニャがさ、あんまり気分が良くなくて寝付けないみたいだから…。 中佐も飲むか? ワタシの分でよければ」スッ
5: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:42:54.02 ID:GadMtUQQO
ミーナ「私はコーヒーを淹れるつもりだから大丈夫よ。 それはサーニャさんと飲んで頂戴」
エイラ「そっか」
ミーナ「…っいしょ」ガタ
ミーナ「はぁ…」イソイソ
エイラ「……中佐、寝てないのか?」
ミーナ「ふふ、大丈夫よ。 ちゃんと寝てるわ」カチャカチャ
エイラ「ホントかぁ? なんか今朝のサーニャより元気なさそうだぞ? ミルク飲んで休んだ方がいいな」
ミーナ「ありがとうエイラさん、でも心配ないわ。 私って実は低血圧なのよ」コポポ
7: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:44:38.85 ID:GadMtUQQO
ミーナ「……それよりサーニャさんは大丈夫?」
エイラ「んーちょっと疲れてるみたいだったな。 ……! もしかしてネウロイが出たのか!?」
ミーナ「報告では特に異常はなかったみたいだけど……」ガサ
ミーナ「……えぇと…“一瞬未確認の反応を感じた後、周辺を捜索”…したらしいから、それで少し気を張っていたんじゃないかしら?」ペラ
エイラ「なんだってぇ!?」ガバ
ミーナ「大丈夫よエイラさん。 結局何でもなかったようだし、サーニャさん自身の気のせいだったと報告にあるわ」
エイラ「そ、そうか…」
ミーナ「でもあのサーニャさんが勘違いなんて、…確かに少し疲れているのかしらね?」
ミーナ「……やっぱり押し付け過ぎてるのかしら…」
エイラ「サーニャ…」
8: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:46:47.41 ID:GadMtUQQO
エイラーニャ部屋
エイラ「サーニャ起きてるか? ココア淹れてきたぞ」ガチャ
サーニャ「…エイラ」スクッ
エイラ「あ! いいって、座っててくれ。 ワタシが持っていくから……おととっ」パタン
サーニャ「……」トスン
エイラ「はい、サーニャ。 こぼさないように気をつけてな」
サーニャ「うん。 ありがとうエイラ」
サーニャ「………」コクコク
エイラ「……」ズズ
サーニャ「……あったかくておいしい」
9: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:47:55.66 ID:GadMtUQQO
エイラ「サーニャのために淹れたからナ。 特別だぞ?」
サーニャ「ふふ」ニッコリ
エイラ「っ!!/// ………っそ、そういえばさっき中佐から聞いたぞ? 哨戒中にネウロイの反応があったって」
サーニャ「……あれは私の気のせい」
エイラ「そんな!? サーニャが間違うはずなんか無いじゃないか!」
サーニャ「でも……本当に一瞬。 …何となくだったし、ネウロイの反応じゃなかったと思う…」
エイラ「えっ! アンノウンだったのか?」
サーニャ「感知にノイズが一瞬入っただけだから……私がぼぅっとしてて勘違いしちゃっただけよ…」コクコク
エイラ「そ、そっか。 ……サーニャがそう言うなら…そうだよな、ウン」ズズ
10: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:49:47.40 ID:GadMtUQQO
サーニャ「…ごちそうさま」コト
エイラ「ん、寝れそうかサーニャ?」
サーニャ「うん、もう落ち着いたわ。 ……エイラは起きてるの?」
エイラ「ア~、わっワタシはちょっとやる事があるから。 もうちょっとで起床時間だしな」
サーニャ「そう……」モソモソ
エイラ「おやすみサーニャ」
サーニャ「うん。 おやすみ…エイラ」
エイラ「……」
サーニャ「………zzz」スヤァ
エイラ「……カップ洗ってこよ」カチャ
エイラ「………」
エイラ(…気のせいだ。 ……気のせいなんだけど、なんか嫌な予感がするな)
11: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:54:10.12 ID:GadMtUQQO
食堂(台所)
エイラ「……ムム~…」ゴクリ
エイラ(スリーカードの2番……)ペラ
エイラ「……デビルの逆位置? …ナンダァ縁起よすぎないか?」
エイラ(いや~な予感がしてたんだけどなぁ)
エイラ「結局私の杞憂か。 ナハハ~」ペラ
エイラ「――……え?」
エイラ「3番が……タワー…!?」
エイラ「こ…これはどう読めばいいんだ……? 今じゃないのか??」
12: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:55:13.05 ID:GadMtUQQO
エイラ「……デビルの逆位置から、タワーの未来…」ゴクリ
エイラ(やっぱりなんかヤバそうだ。……よし、次はケルト十字で――)バラバラー
リーネ「あのぉー……エイラさん?」
エイラ「ン? リーネか。 なんか用か?」
リーネ「えと…その。 配膳したいので、そろそろ仕舞ってもらえると有難いんですけど……」オドオド
エイラ「あっゴメンゴメン、ちょっと待ってな? 今かたす」
芳佳「随分真剣そうでしたけど何を占ってたんですか?」ヒョコ
リーネ「芳佳ちゃん!」
13: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:56:38.93 ID:GadMtUQQO
エイラ「ん~~まぁ、イロイロだ」イソイソ
芳佳「えぇ~? 教えてくださいよぉ、エイラさん!?」
エイラ「うるせー! はやく朝食用意しろよー!」
芳佳「後は並べるだけですから!」
エイラ「だったら早く並べろぉー! そろそろルッキーニ達が来るぞ!」
ドタドタドタ
ルッキーニ「おっっなかすいたぁー!!」ステテーン
リーネ「ルッキーニちゃん!」
ルッキーニ「おっはよーリーネ、よしか! ごはんまだー??」
14: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 22:57:51.96 ID:GadMtUQQO
ゾロゾロ
シャーリー「ふわぁ~~~む……ねみぃ」ポリポリ
バルクホルン「大口開けてだらしないぞリベリアン! ……ミーナまでどうした? ぼーっとして」
ミーナ「っ! …そうかしら? いつも通りよ」
ペリーヌ「あら? 少佐はまだいらっしゃらないのですか?」
エイラ「……ほらナ?」
ルッキーニ「よしかぁー? ごはんまだぁー!?」グー
芳佳「はっ、はーい! 今用意するね!」パタパタ
15: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:00:03.35 ID:GadMtUQQO
――――
――
―
ミーナ「……」ガタ
バルクホルン「ん? もういいのかミーナ? あまり食べてないようだが…」
ミーナ「ええ。 …今朝はちょっと」
バルクホルン「……疲れてるんじゃないか? 医務室に行った方が――」
ミーナ「大丈夫、そんなんじゃないわ」スタスタ
エイラ「! 待った中佐ぁ……はむっはぐ」ガツガツ
ペリーヌ「エイラさん! もうちょっと落ち着いて食べてくださいまし」
16: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:01:23.55 ID:GadMtUQQO
ミーナ「…ご馳走様。 悪いけど片付けお願いね?」カタ
宮藤「すみません。 お口に合いませんでしたか?」
ミーナ「そんなことないわ、とても美味しかったわよ? ……ちょっと食欲がないだけなの、ごめんなさい」
宮藤「いえ、そんな!」
リーネ「…具合悪いんですか?」
ミーナ「大丈夫よ」
エイラ「――そうは見えないぞ?」カタ
ミーナ「エイラさん…!」
17: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:03:36.05 ID:GadMtUQQO
宮藤「エイラさんも食べ終わりですか?」
エイラ「いや私はおかわり。 半分ずつくらいよそってくれ」
リーネ「あ、はい」ヨッソイ ヨッソイ
エイラ「…あのさ中佐? 今日の夜間哨戒、ワタシも行かせてくれないか?」
ミーナ「……サーニャさんが心配なのね?」
エイラ「なんにも知らないんだけど、さっきの話がどうしても気になって。 ……念のためサーニャの側に居たいんだ」
リーネ「どうぞ、エイラさん。 おかわりです」
エイラ「ン、ありがとな。 ……それに中佐のことも心配だし」
ミーナ「え?」
18: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:07:10.82 ID:GadMtUQQO
エイラ「難しい事は手伝えないけど、私とサーニャで夜の空は護っとくからさ。 ……ソノ…あんま無理すんなよ?」
ミーナ「……エイラさん…」
ズイッ
美緒「よく言ったエイラ!!!」
エイラ「ワァ!?」ビクッ
ミーナ「きゃっ!? み、美緒!?」
美緒「はっはっは! 朝練に手間取ってな、少し遅れた」
美緒「……リーネ! 納豆大盛で頼むぞ!?」
リーネ「は、はいっ!」バタバタ
19: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:11:15.29 ID:GadMtUQQO
エイラ「少佐でもいい! 今日の夜間哨戒私も行かせてくれ!」
美緒「まてまて焦るな、エイラの意見には私も同意だ」ピシ
美緒「中佐は今日くらい休んだ方がいい。 顔色がよくないぞ?」
ミーナ「少佐までそんな…!」
美緒「後の事は私たちに任せろ! 急ぎのデスクワークは私ができる範囲でやっておく。 ……夜の安全はふたりに任せよう」
エイラ「ヤッタ! ありがとう少佐ー!」ピューン
芳佳「あぁ! エイラさん、納豆はいいんですかぁー!?」ネリネリ
20: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:12:59.24 ID:GadMtUQQO
ミーナ「美緒っ! 何を勝手に…」
美緒「エイラが夜間哨戒に出る事にさほど問題もないだろ? こうして事前に申告もしているしな」
ミーナ「…えぇ……まあ、そうよね。……そうね」アタフタ
美緒「判断・思考力も落ちているな。 やれやれ、また徹夜したのか?」
ミーナ「………に、…ニ時間は寝たわ//」
美緒「机に突っ伏してか?」
ミーナ「……」
リーネ「…なんだか珍しい光景だね、芳佳ちゃん?」ヒソヒソ
芳佳「うん。 こんなミーナ中佐初めて見たかも」ヒソヒソ
21: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:14:40.34 ID:GadMtUQQO
バルクホルン「――観念しろミーナ。 心配をかけたく無い気持ちはわかるが、強がって無理をされるとかえって心配になる」カタ
ミーナ「トゥルーデ…」
美緒「お前の口からそんな台詞が出るとはな、バルクホルン」ワッハッハ
バルクホルン「意味がわからんな少佐? ……宮藤、おかわりだ!」
芳佳「あ、はい! 納豆はいかがですか!?」ズイ
バルクホルン「いや、いい」
芳佳「そうですか……」ネリネリ
リーネ「…芳佳ちゃん、坂本少佐の分欲しいからそれ貰える?」
バルクホルン「とにかく! 今ミーナに倒れられでもしたら501が……ひいてはロマーニャ防衛戦線が崩壊する」
美緒「その通りだ。 それに私達も心配する。 …少し休んでくれミーナ?」
22: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:16:13.11 ID:GadMtUQQO
ミーナ「………わかったわ。 それじゃあお言葉に甘えさせて貰おうかしら…」
美緒「よし! ……宮藤!中佐を医務室まで連れて行ってくれ。 一応診断はしておこう」
芳佳「え? あ、はいっ!」バタバタ
美緒「……このあと手の空いてるものは朝食の片付けを手伝え!! 午後のスケジュールは私が調整して連絡する!」ビシィ
バルクホルン「…午後は全体訓練だったな?」
美緒「訓練指揮は私が代わろう。 エイラも抜けるから数は合う」
シャーリー(……聞こえたぞぉ? やばいなぁ~、今日は流せると思ったんだけど)モグ
ルッキーニ「はぐはぐっ…んぐんぐ!」ムシャコラ
シャーリー「………」
ルッキーニ「ばくばくっ……うじゅー!」
シャーリー「……うまいか? ルッキーニ」
ルッキーニ「んー! おいひー!」モグモグ
シャーリー「……今のうちに幸せを噛み締めとけよ?」ナデリ
ルッキーニ「?」モグモグ
エイラ(私の占い当たったな…)モグモグ
23: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:29:49.78 ID:GadMtUQQO
―その夜―
格納庫
エイラ「サーニャ、気分悪くないか?」
サーニャ「大丈夫よエイラ。 魔法力も安定してるわ」
ザザッ
『こちら管制。 発進進路、電波共にクリア! いつでもどうぞ』
サーニャ「了解。 サーニャ・リトヴャク…これより夜間哨戒に出発します」
エイラ「エイラ・イルマタル・ユーティライネン、発進するぞ!」
――――
――
―
24: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:33:58.36 ID:GadMtUQQO
アドリア海上空
サーニャ「……」フィィイン
エイラ「……どうだサーニャ?」ブゥゥン
サーニャ「…特に反応は無いわ」
エイラ「昨日のポイントはこの辺なんだよな?」
サーニャ「うん。 …でもあれは私の勘違いだか――」
《~~》
サーニャ「――っ!?」ピクッ
エイラ「サーニャ?」
サーニャ「っ……………?……??」
25: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:39:33.77 ID:GadMtUQQO
サーニャ「…………」
エイラ「……もしかして?」
サーニャ「…わからない。 ほんの一瞬だったけど……なにか…」
エイラ「ネウロイかっ!?」チャキ
サーニャ(……気のせい…? でも…)
エイラ(くっ…ちくしょー! なんだこの胸騒ぎは)キョロ
エイラ「……ン!?(なんだ? ……雲が――)」
エイラ「――っ!!!!」キュピン
26: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:44:21.66 ID:GadMtUQQO
サーニャ(反応は…多分あっちの――)ブゥゥウン
エイラ「サーニャっ!! 待てぇ!!!」ガシッ
サーニャ「!!?」ビクッ
エイラ「はぁ……はぁ…」キョロキョロ
サーニャ「……エイラ…?(ビックリした…)」ドキドキ
エイラ「ッ……それ以上行っちゃダメだっ…サーニャ!!」グッ
サーニャ「…!?」
サーニャ「どうしたのエイラ! 凄い汗よ!?」
27: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:47:35.40 ID:GadMtUQQO
エイラ「はぁ…はっ……い、行くなサーニャ…!」ギュッ
サーニャ「ぇ、エイラ…!?? //」
エイラ「はぁ……っはぁ……行っちゃ…やだっ!!」ギュゥゥ
サーニャ「…………??」
サーニャ「…わ、わかったわエイラ。 落ち着いて? 私はここにいるから…」サスサス
エイラ「~~ッ…」ギュッ
サーニャ「……」
28: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:54:07.38 ID:GadMtUQQO
―翌朝―
エイラーニャ部屋
コンコンッ
『サーニャさん、エイラさん? 起きてるかしら?』
サーニャ「はい、どうぞ…」
ガチャ
ミーナ「お邪魔するわね。 ……あら?」
エイラ「ウ~~ン…」グッタリ
サーニャ「…エイラ、しっかり。 お水飲める?」サスサス
29: SS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:56:12.40 ID:GadMtUQQO
エイラ「ウゥ……サーニャ。 …行くなぁ」
ミーナ「……記録班から報告は聞いたけど、いったい何があったの?」
サーニャ「私も詳しいことは……。 昨日と同じ違和感がしたので、探ろうとしたら突然エイラに止められて…」
サーニャ「そしたら、エイラの様子が急に変になってたんです」
ミーナ「具体的にどんな様子だったの?」
サーニャ「すごく必死に“それ以上行くな”って私を掴んで…。 息使いも荒くて……すごい様相でした」
ミーナ「………それは例の未確認反応を感じた後なのね?」
サーニャ「はい。でも本当に違和感程度なので…」
ミーナ「……」
30: SS速報VIPがお送りします 2015/02/19(木) 00:00:19.08 ID:xKr2Fz/tO
エイラ「ウ~~ン…そんなぁ……サーニャが…アァ……」
サーニャ「大丈夫よエイラ。 私はここにいるわ」サスサス
ミーナ「……何か、恐ろしい未来を見たのかもしれないわね?」
サーニャ「…未来……ですか?」
ミーナ「あくまで憶測だけど、未来予知の魔法でサーニャさんに危険が及ぶのを察知して止めたって可能性よ」
サーニャ「……じゃあ。 この、うなされてるエイラは…?」
エイラ「ウ~~ン……いゃだ~…」
ミーナ「おそらく相当ショックなものを見てしまったのかもしれないわね。 昨日から随分サーニャさんを心配していたし。 それで必死になって」
サーニャ「エイラ…」
エイラ「ウゥ……」
31: SS速報VIPがお送りします 2015/02/19(木) 00:02:30.02 ID:xKr2Fz/tO
ミーナ「……エイラさんが落ち着いたらまた話を聞きましょう。 場合によっては夜間シフトを組む事になりそうね」
サーニャ「…はい」
ミーナ「サーニャさんは大丈夫?」
サーニャ「え?」
ミーナ「……」スス
サーニャ「…?」
ミーナ「辛かったら遠慮なく言ってね、貴女ひとりで抱え込む必要は無いのよ?」ギュ
サーニャ「あっ…/// ……はい、ありがとうございます。 でも平気です」
サーニャ「…私には皆も……エイラもいますから」
ミーナ「ごめんなさい、サーニャさん。 …ありがとう」
エイラ「……ウ~~ン」
34: SS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 19:14:47.51 ID:rzPqjwtWO
―夕方―
ミーナの執務室
コンッコンッ
『中佐、坂本だ。 エイラを連れてきた』
ミーナ「入って」
ガチャ
エイラ「………」
ミーナ「…少しは落ち着いたようね。 話せるかしら、エイラさん?」
エイラ「あぁ…。 中佐も元気そうだな…」
35: SS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 19:21:59.25 ID:rzPqjwtWO
ミーナ「あなた達のおかげよ。 ……サーニャさんは?」
美緒「戻ってからしばらくエイラの面倒を見ていたようだからな、今は寝ている。 私が許可した」
エイラ「……」
ミーナ「そう…。 エイラさん、昨晩の哨戒中に何があったのか詳しく聞かせて貰えるかしら?」
美緒「私と中佐も記録を見たが、お前が取り乱した理由がわからん。 一体何が起きたんだ?」
エイラ「…そ、その。 ……例のポイント付近に到着して…」
ミーナ「以前サーニャさんが違和感を感知した場所ね?」
エイラ「……サーニャが周辺をサーチしたけど何も反応なかったんだ。 ……それで、…引き返そうとしたらサーニャが感付いて…」
ミーナ「前と同じ反応を感じたのね?」
36: SS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 19:30:08.29 ID:rzPqjwtWO
エイラ「…サーニャは、ネウロイとは違うかもしれないけどよくわからないって言ってて――」
エイラ「……多分反応先を追うつもりだったんだ。 …さ、先にっ進もうと……して」ウル
美緒「……」
エイラ「…ワタシは魔法を使って警戒…してたんだ。 ……そ、そしたらサーニャが………うっ…」グス
ミーナ「……未来予知で何か視えたのね?」
美緒「サーニャがどうなったんだ?」
エイラ「うっ……サーニャが…ぇっ……し、…しんじゃ……うぐっ」クシャクシャ
ミーナ「墜ちたのね?」
エイラ「ッ~…」コク
美緒「!」
37: SS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 19:36:15.42 ID:rzPqjwtWO
ミーナ「……わかりました。 ありがとうエイラさん、よく報告してくれました」ガタ
スタスタ
美緒「ミーナ…?」
エイラ「うっ……うわぁぁ~ん…」ペタン
ダキッ
ミーナ「…怖い思いをさせてしまってごめんなさい」サスサス
エイラ「うわぁぁん…ぅあぁ」
38: SS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 20:37:46.79 ID:rzPqjwtWO
美緒「……しかしエイラの未来予知で見たという事は……縁起でも無いが、止めなければサーニャはほぼ討たれていたということか」
ミーナ「そうね。 結果的にエイラさんの判断がサーニャさんを救ったわ」サスサス
美緒「サーニャの感じたものの正体も、そのサーニャを墜としたであろう者と考えられるが……」
ミーナ「妥当だけど、根拠はないわね」ナデナデ
エイラ「…うっ……ぐす…」
美緒「いずれにせよエイラが視た悲劇の原因はあるわけだ。 先ずはそちらをなんとかしないとな」スタスタ
美緒「…エイラ、大丈夫か? しっかりしろ!」
ミーナ「坂本少佐! 今は――」
エイラ「………大丈夫だ中佐」グシグシ
ミーナ「エイラさん…!」
39: SS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 20:50:02.90 ID:rzPqjwtWO
エイラ「……もう平気だ。 …ごめん…」スク
美緒「よし。 流石だ、エイラ」
ミーナ「美緒…」スク
美緒「お前が見たものについて幾つか聞くぞ?」
エイラ「………ま、まかせろっ」ビッ
美緒「いい返事だ! …サーニャが落とされたであろう原因はなんだった?」
エイラ「わかんなかった……あの時の未来予知はちょっとだけで、そんなはっきりと見えたわけじゃないんだけど、…でも攻撃を受けた感じじゃなかったと思う」
美緒「では、いきなり落ちたのか?」
エイラ「ゥ、ウン…。 サーニャが進んだ先で急に意識を失ってその……お、落ちたんだ」
40: SS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 20:54:06.21 ID:rzPqjwtWO
美緒「ふむ……どういうことだ?」
ミーナ「進入を止めることで防げたってことは、サーニャさん自身の原因ではないわね」
美緒「やはり“落ちた”のではなく“墜とされた”か…? しかし嵐や落雷の類の現象も特に観測されていない」
ミーナ「まって! さっきのエイラさんの話だとサーニャさんをその……亡失したって言っていたけど、そうとは言い切れないわよ?」
美緒「そうだな。 死ぬような損傷を負った訳でなく、ただ意識を失って落ちた可能性もある」
エイラ「ごめん。 ……気が動転しちゃってて」
美緒「…それでもお前はサーニャを守った。 大事なのはそこだエイラ、自分を恥じるな」
エイラ「うん…」
41: SS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 20:58:05.84 ID:rzPqjwtWO
ミーナ「……やっぱりネウロイなのかしら?」
美緒「わからんが、警戒すべきだろうな…。 上に言って情報を集めてもらうか?」
ミーナ「どうかしらね? 実際は何も起きていない訳だし、ただの妄言と取られる可能性が高いわ」
美緒「我々ウィッチにとっては信用できるが、エイラの予知は証拠にならんか。 …まったく面倒だな」
ミーナ「現場以外のフットワークが重いのは仕方がないわ。 明日中に周辺空域を哨戒してみましょう」
美緒「…今夜はどうする?」
ミーナ「今日は私がコントロールを務めます。 あなた達のおかげでゆっくり休めたことだし」ウフフ
42: SS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 21:00:24.34 ID:rzPqjwtWO
ミーナ「哨戒機はサーニャさんとエイラさん、…それと念のためバルクホルン大尉の3機で出てもらうわ」
エイラ「……了解」
美緒「まてミーナ、私が行こう」
ミーナ「……いくらなんでも戦力を割きすぎよ?」
美緒「それはバルクホルンでも同じだ」
ミーナ「あなたは戦闘隊長なのよ!?」
美緒「サーニャのレーダーに捕まらない敵なのだとしたら目視するしかない。 夜間で視界は悪いが、私の魔眼で探る価値はある」
ミーナ「でもっ! 危険だわ!!」
美緒「そんなのは誰だって一緒だ! …それに我々は独りではない」ガシ
エイラ「ぐぉ!?」
ミーナ「エイラさん…」
美緒「今夜はお前もいてくれるんだろ? なら心配ない、わっはっは!」
ミーナ「美緒…。 ……わかったわ。 でも無茶はしないで?」
美緒「承知している」
エイラ「……」
45: SS速報VIPがお送りします 2015/02/22(日) 11:23:21.09 ID:oqLgiZnMO
―同日 深夜―
アドリア海上空
ブゥゥウン
ミーナ『こちら管制。 状況はどうかしら?』ガザ
美緒「……こちら坂本。 今のところ異常はない、静かな夜だ」
ミーナ『もうすぐ例の空域に入るわ。 気をつけて』
美緒「承知した。 ポイントに到着したら鈍行にて周辺を探索する」
エイラ「…サーニャ、私から離れるなよ」ギュ
サーニャ「大丈夫よエイラ。 ちゃんと手も繋いでるでしょ?」ニギ
46: SS速報VIPがお送りします 2015/02/22(日) 11:26:16.51 ID:oqLgiZnMO
美緒「サーニャ! 僅かでも何か感じたら直ぐに知らせろ。 エイラはそろそろ魔法力を循環させておけ、危機を察知したらお前も直ぐに知らせろ」
サーニャ「了解」
エイラ「おう」フィィン
美緒(…私も眼帯を外しておきたいが、魔法力の無駄使いはできん。 この悪視界の中、無防備になれば死ぬ…)
美緒「……」
美緒(シールドも貼れず、烈風丸もそうやたらに抜けないか……くっ!!)ギリ
サーニャ「……坂本少佐、この辺りです」
美緒「よし、一度止まれ」
47: SS速報VIPがお送りします 2015/02/22(日) 11:32:08.22 ID:oqLgiZnMO
エイラ「……」ゴクリ
美緒「……………サーニャ、何か感じるか?」
サーニャ「……半径5km圏内空域に異常反応はありません」
美緒「…エイラ!」
エイラ「今のところナニかくる気配はないな」
美緒「ふむ……サーニャ、もっと遠くまで探ってくれ」
サーニャ「はい」フィイイン
サーニャ「………」
エイラ「……」
美緒「………どうだ?」
サーニャ「…ダメです。 およそ10km圏内全方位にネウロイ、その他アンノウン確認できません」
48: SS速報VIPがお送りします 2015/02/22(日) 11:51:07.07 ID:oqLgiZnMO
美緒「地平線のさらに地平線まで何もなし……か。 …エイラ!」
エイラ「こっちも相変わらずだ」
美緒「ミーナ、こちら坂本だ! 問題の空域10km圏内を探査したが反応はない」
ミーナ『まさか本当にレーダー探査できないネウロイが…?』ガザ
美緒「だがエイラの予知にも引っかからない。 今のところ危険はなさそうだ」
ミーナ『油断はダメよ、坂本少佐』
美緒「ふっ、誰に言っている! ……仮に敵が潜んでいるとして、今日はもう出ないのかもしれんな」
サーニャ「なにか習慣とか……規則性があるのかも…」
ミーナ『だとしたらやっかいね。 それを把握しない限りこっちは消耗する一方だわ』
49: SS速報VIPがお送りします 2015/02/23(月) 00:00:42.71 ID:WbM4vnn7O
ミーナ『そうね……ただの取り越し苦労で、何事もないならそれが一番良いのだけど』
美緒「とりあえずもう少し距離を伸ばして探ってみる」
ミーナ『すでに長時間飛行になっているわ。 戦闘は深追いしすぎないように注意して』
美緒「了解」
美緒「…よし、ではこのまま厳戒体制で距離を伸ばすぞ! いけるかお前たち?」
サーニャ「はい」
エイラ「……」
美緒「どうしたエイラ! へばってきたか!?」
エイラ「え? …あぁっだ、大丈夫だぞ!」
50: SS速報VIPがお送りします 2015/02/23(月) 00:02:36.11 ID:WbM4vnn7O
※一行抜けてたので訂正
美緒「…情報が足らんな。 昼間の哨戒報告を待つか?」
ミーナ『そうね……ただの取り越し苦労で、何事もないならそれが一番良いのだけど』
美緒「とりあえずもう少し距離を伸ばして探ってみる」
ミーナ『すでに長時間飛行になっているわ。 戦闘は深追いしすぎないように注意して』
美緒「了解」
美緒「…よし、ではこのまま厳戒体制で距離を伸ばすぞ! いけるかお前たち?」
サーニャ「はい」
エイラ「……」
美緒「どうしたエイラ! へばってきたか!?」
エイラ「え? …あぁっだ、大丈夫だぞ!」
美緒「…情報が足らんな。 昼間の哨戒報告を待つか?」
ミーナ『そうね……ただの取り越し苦労で、何事もないならそれが一番良いのだけど』
美緒「とりあえずもう少し距離を伸ばして探ってみる」
ミーナ『すでに長時間飛行になっているわ。 戦闘は深追いしすぎないように注意して』
美緒「了解」
美緒「…よし、ではこのまま厳戒体制で距離を伸ばすぞ! いけるかお前たち?」
サーニャ「はい」
エイラ「……」
美緒「どうしたエイラ! へばってきたか!?」
エイラ「え? …あぁっだ、大丈夫だぞ!」
51: SS速報VIPがお送りします 2015/02/23(月) 00:07:37.48 ID:WbM4vnn7O
美緒「今更お前に言うことではないが、夜間の長距離飛行で無理はするなよ! いくぞ」
エイラ「おう…」
ブゥゥウン
エイラ(…今のこの状況はワタシの所為で起きてんだよな? ……勘違いで説教なら別にそれで良いんだ)
エイラ(でも……なんだ? やっぱり何か胸騒ぎがするぞ)グッ
サーニャ(……エイラ?)
サーニャ「…!」ピク
サーニャ「坂本少佐」
美緒「どうした? 何か探知したか?」
サーニャ「…何か聞こえます……下の方から」
52: SS速報VIPがお送りします 2015/02/23(月) 00:11:42.33 ID:WbM4vnn7O
美緒「下か…よし雲を降りるぞ! 私が先頭になる。 エイラ、サーニャを頼むぞ」
エイラ「り、了解」
エイラ(この雲……?)
ブゥゥウン↓
美緒「音源は……海面か!」フィイイン
美緒(くっ…暗くて見え辛い!)
美緒「エイラっ!」
エイラ「大丈夫だー少佐ぁ! このまま進める! ……? まてよ、コイツ…!」
キュイキィ キィキュウ
美緒「……イルカだ」
53: SS速報VIPがお送りします 2015/02/23(月) 00:17:05.29 ID:WbM4vnn7O
サーニャ「…この先の海面から大群がこちらの方角へ移動してきます」フィイイン
美緒「凄い数だな…。 そしてうるさい」
エイラ「なんでこんな事してんだコイツら?」
美緒「おそらくネウロイによって住処を追われたのだろう。 他の侵食地域の生物でもこういった例は観測されている……国を追われた我々人類と同じだ」
サーニャ「……」
美緒「やはりこの周辺にネウロイが住み着いている可能性は高い。 …イルカの来た方角へ進路を取る! いくぞっ」ブゥゥウン
エイラ「まったく、驚かせんなよなぁ……――っ!!!」キュピン
54: SS速報VIPがお送りします 2015/02/23(月) 00:23:16.91 ID:WbM4vnn7O
エイラ「少佐ぁ!! 危ないっ!!!」グィイ
美緒「あぐぅっ!!?」グキッ
サーニャ「エイラ!?」
美緒「ぐっ……エイラ…な、なにをする!? 髪を引…っ張るな……ばかものぉ…」グワングワン
エイラ「それ以上進んじゃダメだ少佐!!」
サーニャ「エイラ……まさか…?」
エイラ「うん、…昨日と同じだ」
美緒「っ……なに! 本当か!?」サスサス
エイラ「多分…、後ちょっと進んだら私達やられる」
55: SS速報VIPがお送りします 2015/02/23(月) 00:26:16.24 ID:WbM4vnn7O
美緒「サーニャ!」
サーニャ「……ダメです。 捕捉できません」フィィィン
美緒「反応も皆無か?」
サーニャ「はい」
美緒「……とりあえず今の位置を保て、雲の上まで錐もみ機動で真っ直ぐ上がるぞ! 前進はするな!」
エイラーニャ「「了解」」
美緒「っ…(確かに嫌な空気だ。 いったい何が起きている…!?)」フィイイン
グルグル
ブゥゥウン↑
56: SS速報VIPがお送りします 2015/02/23(月) 00:29:43.59 ID:WbM4vnn7O
美緒「むぅ……何も見えない…」
サーニャ「………」フィイイン
エイラ「っ……」フィイイン
美緒「こちら坂本っ! ミーナ応答してくれ!」
――――
――
―
美緒「結局正体どころか捕捉もできないか…」
ミーナ『サーニャさんのレーダー探査にノイズが数度確認できたけど、…それだけじゃ何とも言いきれないわね』
サーニャ「…すみません」
ミーナ『別に責めてるわけじゃないのよサーニャさん? 仕方ないわ……もう時間も無いし、3人とも今日は帰投して頂戴』
美緒「了解した」
57: SS速報VIPがお送りします 2015/02/23(月) 00:32:14.74 ID:WbM4vnn7O
エイラ「ごめん少佐。 …でも本当なんだ、本当に向こうは危なかったんだ」
美緒「はっきり言ってかなり首が痛いが……お陰で助けられたんだ、よくやったぞエイラ! わっはっは!」ベシ
エイラ「少佐…」
ミーナ『エイラさん? 皆あなたの言う事を嘘だなんて思わないわ。 私達は家族なんだから』
サーニャ「…エイラ?」ギュ
エイラ「……ありがとう///」
美緒「よし、では帰るか! 基地に着くまで油断するんじゃないぞ!?」
61: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 20:56:28.87 ID:Fss5f2vJO
―翌日 正午―
ミーティングルーム
エーリカ「ふんふ~ん♪」テテッ
バルクホルン「遅いぞハルトマン! カールスラント軍人たるもの最低15分前には集合しろ」
エーリカ「間に合ってるんだからいーじゃーん! よっと!」トスン
バルクホルン「……重いぞ? どけ」イラ
エーリカ「む! 乙女にそれは傷つくな~」
バルクホルン「淑女を名乗るなら掃除の一つでも覚えろ」グイ
エーリカ「ぎゃー! ちかんー!」
バルクホルン「誰が痴漢だ!!」
ルッキーニ「んにゃー…おなかすいた……」
シャーリー「おまえ朝飯あんなに食ったろ? もうちょっと我慢だ、これ終わったら昼飯だから」
ルッキーニ「えぇ~お腹がぎゅるぎゅるして気持ち悪いよぉ~」グー
62: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 21:00:07.37 ID:Fss5f2vJO
シャーリー「はぁ……虫が鳴ったか、仕方ない。 ………ほれ、コレ食え」
ルッキーニ「ぅじゅ~……」サクサク
ペリーヌ「ちょっとルッキーニさん? こんな所でお菓子なんて食べないでくださいな! はしたないですわよ!?」
芳佳「あはは……ごはんの用意急いだ方が良さそうだね?」
リーネ「そうだね。 下ごしらえは済んでるからこのあと直ぐやれば多分平気だよ」
芳佳「…それにしてもこんな時間にミーティングなんて、何かあったのかな?」
リーネ「今朝知らない人たちがいっぱい来てたから、きっとその事じゃないかな?」
芳佳「あ! それ私も気になってたんだー! 坂本さんに聞こうとしたんだけど何処にもいなくって…」
――ガチャ
美緒「む? 待たせてしまったようだな」スタスタ
ミーナ「急に徴収かけてごめんなさいね」
63: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 21:10:33.56 ID:Fss5f2vJO
エーリカ「もー待ちくたびれちゃったよ!」
バルクホルン「お前は今来たばかりだろうが」
シャーリー「……ルッキーニ、その一枚で終りにしとけ。 残りは隠すんだ」ヒソヒソ
ルッキーニ「んん……」モグモグ
芳佳「坂本さん、今まで何処にいたんですか? 朝練にもいませんでしたけど…」
美緒「ああ、少し仮眠を取っていたんだが……それも含めてこれから話す。 サーニャ、エイラ! お前たちも早く入れ」
サーニャ「……」ヨロヨロ
エイラ「……」ポケー
64: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 21:14:20.57 ID:Fss5f2vJO
ヨロヨロ~ トスン
芳佳「…ふたりとも眠そうだね?」
サーニャ「ぅん…」ウトウト
エイラ「魔法力の使いすぎダナ……」ポケー
ミーナ「はい、では皆さんいいかしら?」
――――
――
―
バルクホルン「なに? ……それは本当なのか?」
ミーナ「ええ、エイラさんの未来予知とサーニャさんの感じた違和感……私は充分信頼できると思うわ」
バルクホルン「だが、結局何も起きてはいないのだろう?」
ミーナ「ふたりが事前に察知してくれたおかげでね」
65: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 21:20:21.68 ID:Fss5f2vJO
バルクホルン「……その2人の勘違いではないのか?」ジロ
エーリカ「えっ…?(トゥルーデ?)」チラ
サーニャ「っ…」
エイラ「ぅ……」
芳佳「バルクホルンさんっ!」ガタッ
リーネ「きゃ! 芳佳ちゃん!?」
美緒「宮藤やめろっ!」
芳佳「ぁ……」
美緒「……座れ」
芳佳「す、すみません」トスン
66: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 21:24:07.45 ID:Fss5f2vJO
シーーーンッ…
バルクホルン「……」フンッ
ミーナ「……(…どうしたのかしら?)」
シャーリー「……」
ルッキーニ「?」キョロキョロ
エーリカ「ぁの…」
ペリーヌ「……」ゴクリ
リーネ「……」ソワソワ
芳佳「……」
美緒「……バルクホルン。 私も一応だが判断材料を持っている」
67: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 21:26:59.76 ID:Fss5f2vJO
バルクホルン「…?」
美緒「昨晩哨戒に出た時、嫌な空気を感じた」
バルクホルン「嫌な空気?」
美緒「そうだ。 ちょうど今のここと同じ感じだな」
ミーナ「ちょっと、坂本少佐!」
バルクホルン「……少佐、ふざけないで欲しい」
美緒「ふざけてなどいない。 今まさに漂っている空気と同じだ…“何かまずい事になっている”という雰囲気とでも言おうか?」
68: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 21:28:35.49 ID:Fss5f2vJO
ミーナ「……ほ、本当なの?」
美緒「ミーナまで疑うか、私は真剣だ! 仲間の命が掛かっているんだぞ?」
サーニャ「……」
エイラ「……」
美緒「とにかくそういう物を感じていた。 魔法でなく私の戦場に立つ者としての感覚だが……バルクホルン、お前に“それ”は信じられないか?」
バルクホルン「……」
美緒「お前もただ突っ立って数多のネウロイを撃墜してきたわけではあるまい」
69: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 21:31:12.74 ID:Fss5f2vJO
バルクホルン「………そうだな。 すまなかった」
芳佳「バルクホルンさん…」ホッ
エーリカ「……トゥルーデごめん。 私のせいで機嫌悪くしてた?」オズオズ
バルクホルン「いや、違う! 違うんだっ………皆すまない、今日は…少し調子が良くないみたいだ」
エーリカ「トゥルーデ……」
芳佳「大丈夫ですか…バルクホルンさん? あの、私……」
バルクホルン「大丈夫だ宮藤。 悪かったな不安にさせて」
シャーリー「………」
シャーリー「……ルッキーニ、リーネ達のところ行ってろ」ヒソヒソ
ルッキーニ「にゃ?」
70: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 21:37:40.97 ID:Fss5f2vJO
バルクホルン「……」
シャーリー「…とりあえずさ、顔でも洗ってこいよバルクホルン?」スク
ミーナ「シャーリーさん?」
ペリーヌ(この空気の中でそんな発言が出来るなんて……流石シャーリーさん…)ヒィィ
シャーリー「……」スタスタ
バルクホルン「リベリアン…」
シャーリー「んー休んだ方がいいかなこりゃ。 顔色悪いぞ? ミーティング内容は後であたしが伝えてやるからさ」ポン
エーリカ「シャーリー…」
シャーリー「お前も昨日言ってたろ? 501やロマーニャ戦線の命がかかってるんだ。 無理なら休めって」
75: >>71以降の再投稿 2015/02/24(火) 22:43:38.66 ID:Fss5f2vJO
バルクホルン「……」
シャーリー「な?」
バルクホルン「………いや、顔を…洗ってこよう。 いいかミーナ?」スク
ミーナ「…ええ。 いってらっしゃい」
バルクホルン「すまない…」スタスタ
ガチャ バタン
美緒「…うむ、流石だな」
ミーナ「ありがとうシャーリーさん。 助かったわ」ハァー
シャーリー「リベリオンは平和主義ですから」ブイ
エーリカ「シャーリーごめんっ! 今回は私もちょっと予想外で…」
シャーリー「……ハルトマンですら把握できない状態だったってことだよな、さっきの?」
エーリカ「え? …ぅ、うん。 そうだね」
シャーリー「………らしくないな」ボソ
エーリカ「…ごめん」
シャーリー「ん? あー待った、そういう意味じゃないぞ!? ハルトマンのせいじゃない!」
美緒「なんだ? どうしたんだお前まで?」
シャーリー「いや、ちょっと珍しいなって思って……あたしが着任した頃ならいざ知らず…」
ミーナ「そうねぇ。 皆疲れてるのかしら?」
シャーリー「なら早く済ませて昼飯にしましょうよ? 今日は宮藤達のメシだから元気でますよ! あははは!」チラ
美緒「!」ピクッ
美緒「……そうだな、私も考えたら腹が減ってきた! 宮藤ぃ! 今日の献立は何だっ!?」ビシッ
芳佳「ぅえ!? あ…えっと」
リーネ「い…今はそれどころじゃ…」
美緒「まぁ何であれ宮藤達の料理なら美味いか! わっはっはっは!!」
ペリーヌ「しょ、少佐……!?」
ルッキーニ「うじゅ~お腹がぎゅるぎゅるしゅる~」モミモミ
リーネ「ひゃあ!? ルッキーニちゃんやめてぇ!!」
ルッキーニ「うじゅじゅ~」モミンモミン
リーネ「やぁぁあ~!///」
芳佳「おぉぉ……!」ジー
美緒「わっはっは! お前達、あまり騒ぎすぎるとゲンコツだぞ?」ワハハ
シャーリー「あっはは! ルッキーニ、身長伸びる前に戻って来い」
ミーナ「はぁ……さっきよりはマシだけど」
エーリカ「とんだヘルパーだね?」クスクス
76: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 22:47:12.46 ID:Fss5f2vJO
ペリーヌ「ちょっとあなたたち! いい加減におよしなさいな!!」
ミーナ「――はいはい! 元気が出過ぎた人には掃除を頼もうかしら?」パンパン
シーン……
ミーナ「よろしい。 ではミーティングを再開します」
ミーナ「……問題の経緯はさっき話した通りです。 何かあるのなら勿論、無いにしてもその確証をとる必要が出てきました」
美緒「警戒すべきという事だ。 仮にネウロイではなくとも、エイラの予知した内容から考えて只事でない可能性は充分ある」
芳佳「只事じゃない……」
リーネ「うぅ…」ギュ
77: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 22:49:45.12 ID:Fss5f2vJO
シャーリー「……エイラ、聞いてもいいか?」
エイラ「…あぁ、いいぞ」
シャーリー「昨晩もその前も、見た予知では攻撃は受けてないんだよな?」
エイラ「少なくともネウロイのビームや物理攻撃は無かった…と思う」
シャーリー「敵は確認できた?」
エイラ「いや、全く。 ……さ、最後までサーニャの魔導針にもかかった様子はなかった」
シャーリー「そっか……」
ミーナ「何か気になるの、シャーリーさん?」
シャーリー「いや……もし狙われたんだとしたら、攻撃する瞬間すら何も見えない聞こえないってのはどうかなと思って」
78: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 22:55:37.40 ID:Fss5f2vJO
美緒「そうだな。 そんなものがいたら戦い様が無いしな」
芳佳「じゃあいったい何でサーニャちゃん達はその…」
ミーナ「自然現象……? でも結局ネウロイと考えるのが妥当なのかしらね?」
ペリーヌ「…こんな不安を抱えたままでは任務も作戦も集中できませんわ」
エーリカ「でも、それを私達に言ったって事はさ…?」
美緒「その通りだ。 我々で探りを入れる」
ミーナ「今のところ夜間での発生例〈※厳密には未発〉しかないけど、戦闘も想定して悪状況を避けた昼間に同空域を哨戒します」キリ
ミーナ「先ずは本日1400時より各ロッテのローテーションで飛んでもらいます。 細かい事は昼食後ブリーフィングを行いますが、第1組だけここで決めてしまいましょう」
美緒「念のため1組目は特に警戒しておきたいが、サーニャとエイラは出せん。 ……となると」
79: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 22:58:45.89 ID:Fss5f2vJO
ミーナ「…やっぱりハルトマン中尉かしらね?」
エーリカ「私?」
美緒「そうだな。 僚機はバルクホルンがベストなんだが……」チラ
ミーナ「ええ……しかたないわね。 シャーリーさん、お願い出来るかしら?」
ルッキーニ「えぇー! シャーリーはあたしとだよぉー!?」
美緒「文句を言うな」
シャーリー「了解です。 ちょっと物騒な話だけどハルトマンとなら心強いし」
ミーナ「それじゃ――」
ガチャ
バルクホルン「待ってくれミーナ! 私が行こう」
エーリカ「トゥルーデ!」
80: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 23:03:12.26 ID:Fss5f2vJO
芳佳「バルクホルンさん!」
シャーリー「……もういいのかー?」
バルクホルン「問題ない。 …もう平気だ」スタスタ
バルクホルン「ミーナ、迷惑をかけた。 さっきの私は――」
ミーナ「遅刻よ、バルクホルン大尉?」
バルクホルン「……ミーナ?」
ミーナ「さっきまで貴女は居なかったじゃない。 ……そうでしょ?」
美緒「ふっ…」
バルクホルン「………ああ、申し訳なかった。 自室で居眠りをしてしまっていた。 罰は受けよう」
ミーナ「では罰として本日1400時より哨戒任務に着いてもらいます。 監視役としてハルトマン中尉を同行させます! いいですね?」
エーリカ「ミーナ!」ピョン
81: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 23:04:54.81 ID:Fss5f2vJO
バルクホルン「了解した。 ……それと」スタスタ
サーニャ「…?」
エイラ「……!」
バルクホルン「ふたりともすまなかった。 謝らせて欲しい」ペコ
サーニャ「いえ、そんな…」
エイラ「……ナンのことだ? 大尉は今来たばっかだろ? 謝る事なんかなにもないぞ? な、サーニャ?」
サーニャ「…ええ」コク
バルクホルン「…………ありがとう」
82: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 23:07:07.85 ID:Fss5f2vJO
エーリカ「ほらほら! なーに暗くなってんのさっ! 私が早起きしたから元気でないのか?」コチョコチョ
バルクホルン「ぅわひゃっ!? …や、やめろハルトマン! 何が早起きだ! 朝食ギリギリに起きただけだろっ!」バタバタ
エーリカ「だって宮藤のご飯は食べないと損だもーん! それそれー!」コチョコチョ
美緒「……ハルトマン、その辺にしておけ」
サーニャ「フフッ……」クス
エイラ「マッタク賑やかだな…」
ルッキーニ「――にゃ!? そーだごはん! ごはんまだぁ~~??」グー
芳佳「あ、そ…そうですね。 もうミーティングは終わりですか?」
ミーナ「いえ、待って宮藤さん!」
ミーナ「…皆も聞いて頂戴! 後ひとつ、別件で連絡事項があります!」パンパン
ピタッ……
83: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 23:10:52.08 ID:Fss5f2vJO
ミーナ「ありがと。 ……えー上層本部からの指示で、今日から暫く遺跡調査班が派遣されてきます」
ペリーヌ「遺跡調査?」
芳佳「あ! もしかして朝来てた人達…?」
美緒「ほう、そんな時間から来ていたのか。 随分と張り切ってるな?」
ミーナ「先日のビーチ付近の遺跡の一件で、少し本格的に調査を行う事になったの」
シャーリー(少佐が“わっしょーい”したやつか)
エーリカ(ミーナが“昇天”した日のあれだね)
美緒「すこし騒がしくなると思うが半ば強制なのでな、我慢して欲しい。 一応宿舎には近寄らないよう厳命はしてある」
バルクホルン「しかし今更こんな時期にそんな所を調べて一体何のつもりなんだ?」
84: SS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 23:12:04.30 ID:Fss5f2vJO
ミーナ「それは私達にもわからないわ」
美緒「詳しい事は我々には関係ないのだそうだ。 ……やれやれ、こっちは基地の真下まで掘り起こされるというのに」
ミーナ「坂本少佐、部下の前です」
美緒「おっとすまん」
ミーナ「連絡は以上です。 サーニャさんとエイラさん以外は、この後昼食をとってから1330時にブリーフィングルームへ集合してください」
一同「「了解」」
ミーナ「では解散!」
88: SS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 21:25:42.71 ID:s1ycahLQO
――――
――
―
アドリア海上空
バルクホルン「……」ブゥゥウン
エーリカ「…なーんにも無いねぇ~」ブゥゥウン
バルクホルン「油断するなハルトマン、もうすぐ問題の空域に到達する」
エーリカ「ねぇねぇ、トゥルーデは敵の正体なんだと思う?」クルクルー
バルクホルン「まだ敵なのかネウロイなのかも解らないだろ」
エーリカ「えぇ~敵だよぉ! サーニャンを虐めるんだから間違いなくてきぃ~っ!」グルグルー
バルクホルン「真っ直ぐ飛べ、落ちても知らないぞ」
89: SS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 21:33:18.38 ID:s1ycahLQO
バルクホルン(……ん? なんだこの感じは? …この不快感…昼間の――)モヤモヤ
エーリカ「トゥルーデ!!」
バルクホルン「――! どうした?」
エーリカ「あそこっ!」ビッ
バルクホルン「……なっ!? ネウロイ!!」
エーリカ「まだかなり距離はあるけど、多分こっちに向かって来てるよ?」ジィー
バルクホルン「くっ! 本当に居たとは…!」
バルクホルン「基地管制! こちらバルクホルン! 本部応答してくれ!!」
ガザッ
ミーナ『こちら本部。どうしましたバルクホルン大尉?』ガザザ
90: SS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 21:37:02.70 ID:s1ycahLQO
バルクホルン「例の空域の手前でネウロイが出た! 目測で2キロ程離れているがこちらに接近中」
ミーナ『なんですって!? わかりました、直ぐに援軍を出します! …貴方たちは無理に突っ込まず、そのポイントを維持して応戦して頂戴』
エーリカ「えーここから撃つの?」
バルクホルン「ミーナ! 奴の接近を待って迎撃するのか!? 抜かれたら基地へ一直線だぞ!? 先手を打って落とすべきだ!」
ミーナ『ダメよ!! ふたりは援軍が来るまでそれ以上前進しないで! 何が起こるか解らないわ』
エーリカ「それってエイラの予知のやつ?」
バルクホルン「くっ……了解。 …ハルトマン、準備しろ!」
エーリカ「て言ってもここで待つだけだよね?」クルクル
バルクホルン「緊張感を持てと言っているんだっ!!」
エーリカ「……そろそろ来るね」
バルクホルン「ちぃ!」ジャキッ
91: SS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 22:45:29.29 ID:s1ycahLQO
エーリカ「んー……」ジー
バルクホルン「……」
エーリカ「………ハッキリ見えてきた!」
バルクホルン「…! やはり未確認機か!!」
エーリカ「あれ? なんか距離感間違えたかも…?」ジィーー
エーリカ「……あ、これ不味いよトゥルーデ?」
バルクホルン「っ! ……超大型機だと!?」
エーリカ「どーする? あと1キロもないよ?」
バルクホルン「援軍は間に合わん。 ……超大型機のコアをこの戦力で掘り当てるのは無謀だ」
バルクホルン「出来るだけ引きつけて時間を稼ぐぞハルトマン! ……ミーナの指示だ、奴が来た方角へは出過ぎるなよ!」ジャキン
エーリカ「りょうか――…あっ! まってトゥルーデ!?」
バルクホルン「っ!? …なんだ!!?」
92: SS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 22:52:05.89 ID:s1ycahLQO
―同刻―
基地 格納庫
ゥゥウウウウ――
美緒「リーネはペリーヌ、宮藤は私に付いて出るぞ! 急げっ!!」
「「「了解」」」ダタッ
ミーナ「――貴女達は基地で防衛待機です。 私も出るから…シャーリーさん、後をよろしく頼むわね?」
シャーリー「了解」
ルッキーニ「いってらっしゃーいっ!」
93: SS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 22:55:20.98 ID:s1ycahLQO
エイラ「待ってくれぇ―!」タッタッ
ミーナ「エイラさん…!?」
エイラ「中佐! ワタシも行くぞっ!」
ミーナ「ダメよ、貴方は昨晩からまだ十分に回復してないわ。 今は基地の護りと夜間に備えて頂戴」
エイラ「そんなっ!! でもワタシがいないと――」
美緒「ミーナ! 観測班から連絡が入った、2人が発見したのは大型から超大型の可能性が高い」タタッ
ミーナ「なんですって!?」
エイラ「少佐ぁ! ワタシも行かせてくれぇ!!」ズイッ
美緒「エイラ!? お前――」
エイラ「お願いだぁ!」グイグイ
94: SS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 23:00:35.17 ID:s1ycahLQO
ミーナ「エイラさんっ!! やめなさい!」
美緒「…待ってくれ、中佐」ビッ
ミーナ「美緒…?」
エイラ「しょうさぁ!! 頼むっ!!」グイ
美緒「………いいだろう。 但し勝手はするな? お前は中佐の2番に付け!」
エイラ「! …オウ!!」ダダッ
タッタッタッ――
ミーナ「坂本少佐っ!!!」
ルッキーニ「ぎにゃっ…!?」ビクッ
美緒「ミーナ、甘やかすのはよせ。 敵は恐らく“件の奴”だ。 エイラの力が要る」
ミーナ「で、でも…」
美緒「大丈夫だ。 今のエイラは早まったりしないさ……そんな目をしてた」
ミーナ「……………信じていいのね?」
美緒「ああ。 …我々も急ぐぞ!」
95: SS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 23:52:56.22 ID:s1ycahLQO
――――
――
―
アドリア海上空
ブゥゥウン
ミーナ「見えたわ!」
芳佳「うわぁ! おっきぃ!!」
エイラ(アレなのか…? アレがサーニャを――)
美緒「? ……あいつら…どういうことだ?」
エーリカ「……」
バルクホルン「……」
『――バルクホルン! ハルトマン!』ブゥゥウン
エーリカ「…あ、援軍がきたね!」
96: SS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 23:57:01.22 ID:s1ycahLQO
ミーナ「2人とも、これはいったい…?」
美緒「状況を説明しろ」
バルクホルン「見ての通りだ。 ネウロイはあの位置まで来て停まってしまった」
エーリカ「ここからだと私達の武器じゃ届かないし。 前へ出るとミーナが怖いしね~」クルクル
バルクホルン「現場待機で観察していた」
美緒「うむ、お前達の対応は正しい。 今回は特に警戒する必要がある」
ペリーヌ「あんな大きなネウロイをたったふたりで相手するなんて、無謀ですわね……」
ミーナ「……未確認タイプのネウロイね。 何か解った事はあるかしら?」
バルクホルン「特に動きはないようだが、どうやら周辺を探索している節がある」
97: SS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 00:04:44.64 ID:gbW+A7h/O
美緒「周辺を?」
エーリカ「ずぅーっとあそこをウロウロ旋回してるんだよ。 もー飽きてきちゃった」
美緒「やつの射程はわからんが……こちらに気づかないというのはおかしいな?」ジー
ミーナ「……もしかしたら気にしていないのかしら…?」
美緒「我々をか? 馬鹿な」
バルクホルン「…どうするんだミーナ? よりにもよってあのサイズだ。 放っておく訳にはいかないぞ?」
ミーナ「そうねぇ…」
エイラ(……一応警戒しとかなきゃな)フィィイン
エーリカ「もういいよぉ、皆でサクッと倒して早く帰ろ?」ブゥゥウン
エイラ「――っ!!!」キュピン
98: SS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 00:07:33.79 ID:gbW+A7h/O
ミーナ「ちょっと、待ちなさいハル――」
エイラ「とまれぇハルトマンっ!!!」
リーネ「きゃっ!?」ビクッ
エーリカ「!! …えっ?」ポカン
芳佳「び、びっくりしたぁ! ……エイラさん?」
ペリーヌ「い…一体なんですのっ!? いきなり大声を出して!」プンスカ
美緒「……“みえた”のか? エイラ」
バルクホルン「なにっ!?」
99: SS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 00:13:12.49 ID:gbW+A7h/O
エイラ「あと少し、あのネウロイの近くへ出ると多分やられる…」
エーリカ「ぇ…それって私がってこと? うわっ、あぶな~!」ヒエー
バルクホルン「なんだと!?」
美緒「……となるとやはり、原因はあのネウロイか」
ミーナ「正体不明の必殺攻撃を持っているなら不用意な接近は危ないわね…」
美緒「しかし距離を詰めねば戦えない――……事もないか。 ここからなら」フィィイン
芳佳「え? どういう事ですか坂本さん?」
バルクホルン「……そうかリーネだな?」
リーネ「!! わ、私ですか…!?」ビク
100: SS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 00:19:38.04 ID:gbW+A7h/O
美緒「うむ、今ある得物の中で唯一リーネの対装甲ライフルなら届く筈だ」
美緒「幸い奴のコアも体躯同様大きくて狙い易いうえ、位置もそう深くない。 ……こちらに接近する前に同箇所への集中射撃でコアを撃ち抜く!」
リーネ「っ……!!」
エーリカ「でもさ、あーんなデッカい体なのに表面近くにコアがあるのっておかしくない?」
ペリーヌ「…確かに、弱点をやられやすい位置に置くなんて変ですわね?」
エイラ「タマタマじゃないか?」
美緒「そこは気になるが、私の魔眼に見えているものがコアである事は確かだ。 破壊さえすればネウロイは散る」
ミーナ「…このまま放って置く訳にはいかないし……それしか無さそうね」
美緒「ただ、コアまで浅いといっても奴の硬さがわからん。 …上手く倒すには高密度の魔法力を込めて的確に同箇所を撃ち抜く必要がある」
101: SS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 00:20:40.36 ID:gbW+A7h/O
リーネ「わっ…わたし……そんな…」オドオド
芳佳「リーネちゃん…!?」
ミーナ「リーネさん落ち着いて! …大丈夫、あなたならできる筈よ」
バルクホルン「本来のリーネの実力なら可能な事だ。 少佐もそれを解ったうえでの立案だろう」
エーリカ「トゥルーデ、あんまり言うと逆効果だよ?」
リーネ「でも…わ、私……自信が…」
芳佳「リーネちゃん、大丈夫だよ!」
リーネ「芳佳ちゃん…」
芳佳「私がまた支えになるから! 一緒なら絶対できるよ!」
102: SS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 00:29:22.85 ID:gbW+A7h/O
リーネ「……うん。 ありがとう」
芳佳「…坂本さん、いいですか?」
美緒「元よりそのつもりだ! だが今回は私も加わる。コアの位置と照準は私が支持するからリーネは狙いと魔弾に集中しろ」ビシ
美緒「宮藤はリーネの土台と私達3人の守備役だ、いいな!」
芳佳リーネ「了解!」
美緒「ミーナ、後の指揮を頼む」
ミーナ「わかったわ。 …ではエイラさんは魔法を使って敵の警戒」
エイラ「さっきからやってるぞ」フィィイン
ミーナ「いえ、今は大丈夫よ。 魔法力が惜しいから作戦開始まで温存しておいて」
103: SS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 00:31:38.20 ID:gbW+A7h/O
エイラ「でも、そんなコト言ってたら――」
バルクホルン「エイラよせ、既にお前は昨晩に限界近く消耗したはずだ。 無理をするな」グイ
エーリカ「さっきからここにいるトゥルーデと私が平気なんだから、今は安全だよ!」
エイラ「……ゥ、うん。 わかった…」
ミーナ「初撃の後、ネウロイがこちらに反応した場合は特に重要になります。 よろしく頼むわね?」
エイラ「了解…」
104: SS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 00:36:50.22 ID:gbW+A7h/O
バルクホルン「我々はどうする?」
ミーナ「残りの4人は部隊の護衛と遊撃です! 中型および小型機を搭載している可能性が高いわ」
バルクホルン「了解した」
エーリカ「りょーかい!」
ペリーヌ「了解しましたわ」
ミーナ「坂本少佐! 念のため救助・回収班に待機命令を出しておくわ」
美緒「ああ。 魔法力があるうちに始めよう」
ミーナ「…では各自、作戦準備!」
109: SS速報VIPがお送りします 2015/03/02(月) 21:21:10.58 ID:27FZIFM9O
――――
――
―
美緒「――もう少し右だ宮藤。 ………行き過ぎだ戻せ……ストップ! …よし、ここだ」
美緒「…いいかリーネ? 今この位置から敵の形が丁度丸く見えるが、その中心を狙え。 奴の図体をスコープの中心に捉えろ」
リーネ「はい……う、撃ちますか…?」
美緒「待て焦るな! 奴は旋回している……次に正面を向いた時が勝負だ」
美緒「宮藤! 反動の制御は任せるぞ!?」
芳佳「はいっ!」
美緒「リーネは射撃に専念しろ、魔法力を集中させるんだ」
リーネ「はい…」
美緒(弾は5発……出来れば一撃で決めたい)
110: SS速報VIPがお送りします 2015/03/02(月) 21:27:28.50 ID:27FZIFM9O
ミーナ「…坂本少佐!」
美緒「ああ、こちらの準備は出来た」
ミーナ「ではこれより作戦を開始します!」ビシッ
ミーナ「エイラさんは固有魔法を発動! 遊撃隊も目標警戒!」
「「「了解」」」
ミーナ「坂本少佐、いつでもいけるわ!」
美緒「承知した! ……リーネ、やれるか?」
芳佳「リーネちゃん…」
リーネ「………やれますっ…!」チャ
111: SS速報VIPがお送りします 2015/03/02(月) 21:45:31.38 ID:27FZIFM9O
美緒「……」
リーネ「……」ググッ
美緒「……よし! いい緊張だな、集中している」
リーネ「……」ジィー
美緒「いいかリーネ? 敵の中心を狙え。 そこへコアが来る位置になったら私が合図する……しっかり魔法力を込めるんだ」フィィイン
リーネ「………はい」
芳佳「リーネちゃん頑張って!」
リーネ「…うん……」
112: SS速報VIPがお送りします 2015/03/02(月) 21:49:42.98 ID:27FZIFM9O
美緒「……」ジー
ミーナ「……」
バルクホルン「……」
エーリカ「……」
ペリーヌ「……」ドキドキ
芳佳「……」ゴクリ
リーネ「……」
エイラ「…っ!」キュピン
美緒「………今だっ!」
リーネ「っ! ふっ……!!!」カチ
ガァァアンッ
113: SS速報VIPがお送りします 2015/03/02(月) 22:02:06.04 ID:27FZIFM9O
ヒュンッ
リーネ(あたってぇ!)
ミーナ(弾道制御は完璧だわ!)
美緒(よし中るっ!)
エイラ「まだだっ!!」
バァキャォオン
ネウロイ「!」ピタ
美緒「くっ! 狙い通りだがコアまで届いていない……!!」
芳佳「そんな…」
114: SS速報VIPがお送りします 2015/03/02(月) 22:19:07.87 ID:27FZIFM9O
バルクホルン「なんて頑丈なやつだ!」
エーリカ「でもネウロイの動きが止まったよ?」
ミーナ「……流石に目をつけられたわね」
ペリーヌ「あら? しかし中佐、こっちに向って来ませんわ?」
ミーナ「……いいえ、注意してペリーヌさん!」
ミーナ「フラウとトゥルーデも! 内部から出てくるネウロイ群に警戒して!! ただし母艦には近づいては駄目よ」
バルクホルン「了解! ……普通のネウロイならいいがな」ジャキッ
エーリカ「謎の必殺技はお断りだよ~」
エイラ「――っ!」キュピン
115: SS速報VIPがお送りします 2015/03/02(月) 23:48:12.20 ID:27FZIFM9O
エイラ「ちがうっ! “撃ってくる”ぞっ!!?」
ミーナ「…えっ?」
エイラ「ビームだ!! 宮藤ぃシールドを――」
バルクホルン「なん――」
ネウロイ「~ーー!」
ビィィイイーーーー
ペリーヌ「なっ!!」
リーネ「ぁ……」
美緒「まず――」
116: SS速報VIPがお送りします 2015/03/02(月) 23:50:08.99 ID:27FZIFM9O
芳佳「っ!! やぁ!!!」フィィィイン
パァアーーンッ
美緒「……宮藤よくやった! 助かったぞ」
芳佳「はぁっ……はい!(なに今の…!? すごく重い!)」
美緒「リーネ、次弾だ! このまま同箇所にぶち込め!!」
ミーナ「まさかあんな距離から直接ビームを撃ってくるなんて…!」
エーリカ「狙いまで正確だし」
バルクホルン「…しかし子機が出てくる様子はないな?」
エイラ「呑気なこと言ってる場合かっ! 多分また撃ってくるぞ!!」
117: SS速報VIPがお送りします 2015/03/02(月) 23:52:03.06 ID:27FZIFM9O
ミーナ「エイラさんとペリーヌさんは私に、フラウはトゥルーデについて!」
ミーナ「…各隊散開、距離を取ります! 固まっていてはダメだわ」
「「「了解」」」
リーネ「っ……」ドキドキ
美緒「リーネ落ち着け、次だ」
芳佳「リーネちゃん、大丈夫! …私が絶対守るよ!?」ゼェゼェ
美緒「……」
美緒(対装甲ライフルの反動制御をしながら今の巨大ビームを正面から止める……いくら宮藤でもそうのんびりは出来ないっ!)
リーネ「…うっ……!」カチ
ガァァアンッ
118: SS速報VIPがお送りします 2015/03/02(月) 23:54:42.34 ID:27FZIFM9O
バギャァオン
美緒「よし!」
芳佳「すごい! リーネちゃん!」
ネウロイ「ーーー!!」ビーム
美緒「なにっ!?」
リーネ「っひゃ!!」
芳佳「わぁあ!? す、すごい撃ってきます坂本さんっ!!」パァァ
美緒「見ればわかるっ! お前は守りに集中しろ!!」
美緒(くそっ! 射程ギリギリとはいえ、大型すら貫くリーネの魔弾を2度も耐えるとは…っ!)
119: SS速報VIPがお送りします 2015/03/02(月) 23:57:42.70 ID:27FZIFM9O
『ミーナまずいよ! ビームが殆ど弾幕で避けきれない!』ガザ
『ちぃっ…! こちらは反撃出来ないから一方的だぞ!!』
『ふたりとも接近してはダメよっ! なるべくこちらに攻撃を集中させるの!』
『ぐっ…! コレじゃヤバイぞ!?』
『なんなんですの! このネウロイは!?』
リーネ「っ………」カタカタ
リーネ「…っ!!」カチ
ガァァアン
ヒュゥゥウン――
リーネ「くぅっ! ……あたってぇ!」
美緒(…狙いがズレている!?)
120: SS速報VIPがお送りします 2015/03/03(火) 00:03:18.18 ID:8/uePZn+O
美緒「待てリーネ!」
リーネ「はぁっ…ふっ……ぐっ!!!」カチ
ガァァアン
ヒュゥゥウン――
美緒「リーネ落ち着けっ! 焦るな!!」
リーネ「はぁ……はぁ…はっ………っはあ…!」
美緒「…肩の力を抜け」
121: SS速報VIPがお送りします 2015/03/03(火) 00:12:02.86 ID:8/uePZn+O
ネウロイ「ーー~ー!」
ビビィィイイーーーー
芳佳「ふぅっ!!! ぐっッ!!」パァァ
リーネ「っ!? 芳佳ちゃ――」
美緒「集中しろっっ!! リーネっ!!!」
リーネ「っ!!」ビクッ
美緒「今お前にできる事は何だっ!!!」
リーネ「……ぅ」
美緒「皆を救いたいなら、役割を果たせ」
リーネ「…わ、わたし……」
美緒「……私が鍛えたんだ。 お前なら出来る!」
リーネ「坂本少佐……」
124: SS速報VIPがお送りします 2015/03/03(火) 22:16:29.89 ID:R7qiV0WZO
美緒「…決めるぞ? リーネ」
リーネ「……………はいっ!」チャキ
美緒「よし! …弾は残り1発だ」
リーネ「……」ゴクッ
美緒「……いいか? 魔法は想いの力だ」スッ
リーネ「想いのちから……?」
美緒「そうだ。 敵を貫くと強く願え! あのネウロイの外装を破り、コアを砕くイメージをするんだ」
リーネ「…ネウロイを……」
――ガザザッ
『みんな大丈夫っ!?』
『なんとかなってはいるが……長期戦ではシールドがキツイっ!』
『このビーム、普通じゃないよ!?』
美緒「……リーネ、お前なら出来る。 いや…皆を守るためにお前がやらなければならないんだ!」
リーネ「っ…!」
125: SS速報VIPがお送りします 2015/03/03(火) 22:28:57.33 ID:R7qiV0WZO
ネウロイ「ーーー!!」ビーム
芳佳「ぁぐっ!!!」パァァ
リーネ(……わたしにできること)
リーネ「…すぅ……はぁ……」
リーネ「………すぅー」
リーネ「――……………っ!!!」フィィイン
リーネ(行って!)カチ
バガャァアオン
ゴォォオァッ――
ネウロイ「ーーっ!!」ビーム
美緒(相殺!?)
リーネ(絶対あたるっ!!!)フィィイン
ズォォオン
――バキィィインッッ
126: SS速報VIPがお送りします 2015/03/03(火) 22:41:59.20 ID:R7qiV0WZO
ネウロイ「~…………」
ネウロイ「」
ッパァァアン
パラパラパラ……
リーネ「ふぇっ…はぁ………や、…やった…」ガク
芳佳「リーネちゃんっ!! やったぁ!」
美緒「…ふう。 見事だリーネ、よくやった!」
127: SS速報VIPがお送りします 2015/03/03(火) 22:55:58.15 ID:R7qiV0WZO
――ブゥゥウン
ミーナ「やったわねリーネさん!」
ペリーヌ「一時はどうなるかと思いましたけど、リーネさんも中々やりますわね」
エーリカ「すっごーい! ネウロイのビーム貫いちゃったよ!?」
バルクホルン「少佐の烈風丸の様だな…!」
エイラ「はぁふ……っけほ…これで終わったのか?」ゲッソリ
芳佳「エイラさん!? 大丈夫ですか?」
エイラ「ああ、…ちょっと魔法力が減っただけだ。 気にすんな……」
ペリーヌ「嘘おっしゃいな。 どう見たってバテバテですわよ?」
128: SS速報VIPがお送りします 2015/03/03(火) 23:02:59.97 ID:R7qiV0WZO
バルクホルン「普段より僅かに遠い未来を見続けただけで、それほどに魔法力を消耗するとはな」
芳佳「わ、私達のためにしてくれたんですよね? ……ありがとうエイラさん」ゼェ ハァ
エイラ「う……別に気にすることじゃないぞ。 皆で帰らないとサーニャが悲しむからな……//」
エーリカ「照れちゃって~」ニヤニヤ
ミーナ「うふふ。 皆お疲れ様、…それじゃ――」
ミーナ「っ!? ちょっと待って!」ビクッ
美緒「ん? どうした中佐?」
ミーナ「……まだ何かいるわ」ジー
美緒「なに?」
129: SS速報VIPがお送りします 2015/03/03(火) 23:09:50.88 ID:R7qiV0WZO
パラパラ………
………
…ぶわっ
エイラ「なんだぁ! アレ!?」
リーネ「黒い……雲? …ね、ネウロイ!?」ドキ
芳佳「こっちに来ますよ!?」
美緒「……中にもう1匹飼っていたか!」
ミーナ「……」フィィイン
ミーナ「これは…っ! 違うわっ!! 1機じゃない、無数の小型機の群れよ!?」
バルクホルン「なんだとっ!?」
130: SS速報VIPがお送りします 2015/03/03(火) 23:21:15.16 ID:R7qiV0WZO
エーリカ「えぇー! あれ全部墜とすのぉ~!?」ガーン
ペリーヌ「しょ、少佐これはいったい…?」
美緒「待て」フィィイン
美緒(くっ、どれだけ小さいんだ……! この距離ではとても…)
芳佳「坂本さん! こっちに来てますよ!?」ワタワタ
美緒「………っ」ジー
美緒「…………!! 視えたっ!」
美緒「やはり敵は“1機”! 本体〈コア〉はあの中のひとつだけだ!」
エイラ「ヒトツって……何体いるんだよ…!?」
バルクホルン「どうする…?」
ミーナ「考えている暇はないわ! ……トゥルーデとフラウは敵の数を減らして! 美緒は本体を狙って頂戴!」
131: SS速報VIPがお送りします 2015/03/03(火) 23:27:03.91 ID:R7qiV0WZO
ミーナ「宮藤さんとリーネさんは坂本少佐に付いて! 私とペリーヌさんでエイラさんの護衛と全体の援護をします!」
美緒「…リーネは私の銃を使え!」ズイ
リーネ「は、はい…っ」
エイラ「わ、ワタシは別に大丈夫だぞ!?」
ペリーヌ「何を言っておりますの! そんな青い顔をして!」
ミーナ「エイラさん! 無理して落ちたりでもしたら私達も、サーニャさんも困るわ」
エイラ(サーニャ…!)
エイラ「……ワカッタ、了解だ」
美緒「ミーナ! 来るぞ!!」
ミーナ「いくわよ皆! ブレイクッ!!」
135: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 20:33:09.36 ID:UqGt2U67O
エーリカ「んも~~! ぜんっぜん減らないよぉ!!」ブゥゥウン
バルクホルン「……確かに、弾薬も尽きかけてこのままではジリ貧だ! きりがない」
バルクホルン「少佐ぁ! コアはまだやれないのか!?」
美緒『すまない、この中にいる筈だが捉えあぐねている!』ガザ
美緒『本体だけ他よりかなり小さくて素早い! おまけにこの乱戦の中で思う様に追――くっ! でやあっ!! …大丈夫か宮藤!?』
エーリカ「……私達があれだけやっつけたのに、随分向こうに流れてるみたいだね?」
バルクホルン「まずい……物量で押し切られるぞ? 撤退するにも犠牲が……」ギリ
エーリカ「なーに弱気になってるのさトゥルーデ! らしくないよ?」バシ
バルクホルン「ハルトマン…」
136: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 20:35:21.43 ID:UqGt2U67O
エーリカ「私達……まだやり切ってないじゃん?」フフン
バルクホルン「お前……っ! …まさか!」
エーリカ「…でしょ?」
バルクホルン「………わかった、最後まで付き合うぞエーリカ!」キッ
エーリカ「よーっし! じゃあ早く少佐達の所に――」
ミーナ「待ちなさいっ!! あなた達!」ブゥゥウン
バルクホルン「ミーナ!?」
ミーナ「そんなことは絶対に許さないわっ!!」
137: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 20:37:21.50 ID:UqGt2U67O
エーリカ「そんなことって何さ?」
ミーナ「解らないとでも思ってるの!? 無茶はやめなさいっ!! トゥルーデもっ!」
バルクホルン「し、しかしミーナ! このままでは……」
ミーナ「……フラウ? どうせやるならあなたの魔法力、私に預けなさい」
エーリカ「フフッ、……もっちろん!」
バルクホルン「何か…手があるのか?」
ミーナ「ええ。 少し骨を折ることになるわ」スッ
ミーナ「……皆聞いて! これから敵群を一箇所に集めます! 私が引き付けて廻るから合流した人はついて来て頂戴!!」
138: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 20:39:37.18 ID:UqGt2U67O
エーリカ「なーるほど、それで私を……流石ミーナだね!」
美緒『一気に叩くのか!? しかしコアは…?』ガザ
ミーナ「現状のままでは負けるわ! 全員で無事帰るために改善の手を打ちます」
ミーナ「……ペリーヌさん、さっき言った通りでいけるわね?」
ペリーヌ『了解ですわ中佐! おまかせください!』
ミーナ「皆もいいわね!? 敵戦力が集中するけど、なんとかもう少しだけ持ちこたえて!」
『『『了解』』』
ミーナ「……急ぐわよフラウ、トゥルーデ! 皆を助けながらネウロイを集めて廻るわ!」
エーリカ「オッケーイ!」
バルクホルン「了解!」
139: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:17:32.62 ID:UqGt2U67O
――――
――
―
ブゥゥウン
芳佳「はぁ……はぁ…」
リーネ「ふぅ……はぁ…」
エイラ「ぜぇっ…ぅ……っぜは…」
ペリーヌ「3人とも大丈夫ですの!?」パァァ
美緒「お前たち、しっかりしろっ!!」
美緒(…気力で持ちこたえているが、宮藤達はもう限界だ)
ミーナ「皆いるわねっ!?」パァァ
美緒「こちらはどうにか無事だ!」
ペリーヌ「さ……さっきの大型に比べれば、シールドへの負担も何てことありませんわ!」
140: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:20:22.52 ID:UqGt2U67O
バルクホルン「こちらも問題ない」パァァ
エーリカ「づがれ゛だ~!」パァァ
バルクホルン「ええい、黙れハルトマンっ! ……こちらも問題ないぞミーナ」
ミーナ「では一気にこの群の中から全速で離脱します!! ハルトマン中尉は私の合図に合わせて!」
エーリカ「まっかせて! ……この数なら“本気”だすからね? 帰りはおんぶしてよ?」
ミーナ「トゥルーデに言っておくわ」フフフ
バルクホルン「おいっ、なぜ私に振る!? ………まあいい特別だ。 思いっきりやれハルトマン」
美緒「ミーナ! 私が道を開く!!」
ミーナ「わかったわ! …坂本少佐に続きます! 全員突撃!!」
美緒「はぁぁあ!! 烈風斬!!!」
ズバァァアア
141: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:22:06.61 ID:UqGt2U67O
ブゥゥウン
ミーナ「――抜けたわ! …フラウッ!」
エーリカ「いよーっしー! 全開シュトルムゥ!!」フィィィン
ビュゴォォオォオオ
美緒「なるほど! 一箇所に“集める”ということか」
バルクホルン「ぐっ…! なんて暴風だ……ハルトマンの奴」
ミーナ「皆、流されない様に気をつけて!」
142: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:24:27.72 ID:UqGt2U67O
ミーナ「……よし、上手く全部捉えてるわ! ……ペリーヌさんっ!!」
ペリーヌ「了解ですわ!」ブゥゥウン
ペリーヌ「わたくしも中尉に習って……今まで温存していた鬱憤を――」フィィン
ペリーヌ「……全・開・トネールッ!!!」
バャリバリバリャァア
エーリカ「わぁあ!? あぶなっ!!」ブゥゥウン
ドゥゴバァァアン
ガゴォォ~ー………
バラバラバラ……
143: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:27:44.96 ID:UqGt2U67O
リーネ「……っ………すごい…」ゼェハァ
芳佳「ぜ、全部……はぁふ…やっつけたんですかっ…?」ヨロヨロ
エイラ(今度こそ終わったのか? 私は…サーニャを守れたのか?)
エーリカ「あ~………も~だめぇ~」ヒュゥウー
バルクホルン「あっ! おいハルトマン! エンジンを切るな!!」ブゥゥウン
ペリーヌ「うぅ……や、やりましたわ…」プスプス
芳佳(ペリーヌさん、髪がすごいことになってる…!)
144: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:30:20.49 ID:UqGt2U67O
美緒「よくやったなペリーヌ! 大手柄だ」
ペリーヌ「ぁ…ありがとうございます少佐ぁ!」
美緒「うむ! ………ミーナ、掃討は完了しているのか?」
ミーナ「待って、今把握するわ」
ミーナ「……」フィィイン
美緒「あの強風だ、漏らしてないとは思うが……本体は一口程に小さい。 注意してくれ」
ペリーヌ「おほほ! 今更あ~んなネズミ一匹残った所で何も出来はしませんわ」
エーリカ「うぅ…ペリーヌの髪型おもしろすぎ……は…ははは…」グッタリ
バルクホルン「しっかりしろハルトマン! こんなになってもふざけるのか!?」
美緒「…窮鼠猫を噛むとも言う。 ……最後まで油断するな、ペリーヌ」
ペリーヌ「へぁ!? は、はいっ! 申し訳ありません少佐!」
美緒(……私の考え過ぎならそれでいいのだが)
145: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:34:59.86 ID:UqGt2U67O
エイラ「……」ポケー
エイラ(………終わった。 …今日の哨戒はサーニャとゆっくりできるな、よかったぁ)
エイラ(雲の上で一緒に月を見るぞ! 今夜は確か――…ん?)ピク
エイラ(……そういえば今日のは普通の――)
ミーナ「…っ!! いた! 1体だけまだいるわっ、おそらく本体よ!」フィィイン
芳佳「えぇ!」
ペリーヌ「そんな!?」
美緒「どこだっ! ミーナ!!」チャキ
146: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:36:32.62 ID:UqGt2U67O
ミーナ「…あそこよっ!」ビッ
リーネ「きゃあ!? エイラさんのストライカーに!?」
ネウロイ「…~」ピトッ
エイラ「………」ボケー
ミーナ「エイラさんっ…!!」
美緒「エイラァッ!!!」クワッ
エイラ「ぅいっ!? …ど、どうした少佐!??」ビクゥ
ネウロイ「~~~~!」
バチバチバチィ
エイラ「うわぁ!? アチッ! なんだぁ!!?」アタフタ
147: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:38:28.73 ID:UqGt2U67O
美緒「……うぅごくなぁぁああ!!!」ブゥゥウン
エイラ「ヒィッ!?」
美緒「でぁぁあっ!!」
スパァーッン
ネウロイ「」パキン
パラパラ……
148: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:44:07.50 ID:UqGt2U67O
美緒「…………はぁ」パチン
ペリーヌ「…お、お見事ですわ少佐!!」
エイラ「えっ? なんだ? ……ネウロイ!? なんで!?」
美緒「~……自分から戦場に出たんだ、余所見をするな馬鹿者ぉ!!!」カッ
リーネ「ひっ!」ビクッ
芳佳「ぁ…あの坂本さん」オズオズ
バルクホルン「……ついでにお前も説教してもらうか? ハルトマン」チラ
エーリカ「…zzz」
バルクホルン「……ミーナ、やはりこいつはここに置いて行こう」
ミーナ「うふふ、ダメよ? ……はいはい! 皆かなり消耗したわね、お疲れ様。 今度こそ作戦終了よ」
149: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:46:52.45 ID:UqGt2U67O
ミーナ「今近くで待機中の救護班を呼んだので、基地までの余力がない人は輸送用の飛行艇で戻ってください」
芳佳「リーネちゃん、…私はちょっと無理かも…」グッタリ
リーネ「うん…。 私ももう魔法力が無いから、一緒に戻ろ?」
美緒「……エイラ、お前もストライカーが“それ”じゃあ帰れんだろう? 輸送機に乗って休め」
エイラ「…ごめん…なさぃ……少佐」
美緒「反省したならもういい。 よくやったなエイラ! お前のおかげで皆助かった」ポン
エイラ「少佐…」
美緒「今回のネウロイはお前のおかげで早期発見出来たからな」
150: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:49:19.90 ID:UqGt2U67O
ミーナ「手強かったわね。 …アレを犠牲者なく上陸前に倒せたのは大きいわ」
美緒「誇っていいぞエイラ! わっはっはっ!!」
ペリーヌ「……はっ! そういえば、わたくしの撃墜数…とんでもないことになっていませんこと!?」
バルクホルン「凄まじい数だったからな。 しかし残念だがペリーヌ――」
ペリーヌ「やっぱり!! わはぁ~~やりましたわ! 遂にわたくしも栄え有る勲章を授与されるのですね!?」キラキラ
バルクホルン「いや、待てペリーヌ? 多分今回のは――」
ペリーヌ「頂いたのちに売り払えばガリア復興の資金に…」
バルクホルン「ってこらぁ!! 何を考えているんだ貴様はぁッ!!」
151: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:51:04.07 ID:UqGt2U67O
ミーナ「はいはい、ハルトマンが起きちゃうわトゥルーデ?」
バルクホルン「ぐぬぬ……というか、ミーナは何故さっきからこいつの肩を持つんだ?」
ミーナ「起きたらそのまま、あなたが基地まで背負って帰るのよ? ……ほら、輸送機が来たから今のうちに乗せてきて頂戴」
バルクホルン「……まったく」ブゥゥウン
ペリーヌ「ミーナ中佐? そ、その~200機撃墜の折に金一封……なんて出たり…しませんわよね…?」
ミーナ「…あのねペリーヌさん? 今回のネウロイは超大型1機と中にいた1機だけなの」
ペリーヌ「…………へ?」
美緒「そうだな、コアの数は2つだった訳だから……。 2対8にしてはかなり苦戦してしまったものだ、はっはっはっ!」
152: SS速報VIPがお送りします 2015/03/06(金) 22:53:17.96 ID:UqGt2U67O
ペリーヌ「…ぇ? でも、わたくしが……その…」
ミーナ「中にいたネウロイは、コアを持った本体以外は手足の様なもので――」
ミーナ「あれ全てで1体のネウロイ……ということになるの。 私の200機目もそうだったわ」
ペリーヌ「で……ではわたくしは…」
美緒「見事、手足を落とした…と言った所か?」
ペリーヌ「――!!」ガーン
ミーナ「そうね…。 …残念だけど今回のペリーヌさんの撃墜数は0ね」
ペリーヌ「 」
ペリーヌ「きゅう~」グニャァ
美緒「おい、ペリーヌ!?」ガシッ
ミーナ「…あらあら困ったわ、輸送機足りるかしら?」
158: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 14:30:28.09 ID:UGVRmOCNO
501基地
シャーリー「向こう片付いたってさ? 出迎えに行くぞ、ルッキーニ!」
ルッキーニ「うーん…」
――――
――
―
格納庫出口
シャーリー「……ユニットリチューンしたからあたしも飛びたかったなー」
シャーリー「中佐が戻ったら飛行訓練の許可貰いに行こうかな。 …ルッキーニもどうだ? 多分今回のはメチャ速いぞ!」
ルッキーニ「…にゃ……どしよかな…」
シャーリー「んー? …どうした、元気ないな? 夕飯までまだ結構あるぞ?」
ルッキーニ「んー…別にお腹は空いてないんだけど~……」
159: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 14:31:57.16 ID:UGVRmOCNO
シャーリー「なんだよ、具合悪いのか?」
ルッキーニ「じゅ~……なんとなく。 ぐーんってしゅる…」
シャーリー「なんだそりゃ? ……どれ、おデコかしてみな?」ピト
シャーリー「……ん~、熱は無いな。 一応普通に話してるし、風邪とかじゃなさそうか?」
ルッキーニ「べつに、ぐーんってするだけだからだいじょぶ…」
シャーリー「“ぐーん”って、…よくわかんねぇなー」
シャーリー「……っ!」ハッ
シャーリー「もしかして“アレ”か…!?」
ルッキーニ「…うじゅ……わかんない。 そうかも…」
160: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 14:39:46.03 ID:UGVRmOCNO
シャーリー「わかんないって…、自分の事だぞ? “それ”ぐらいはお前ももう分かっとけよ…?」
ルッキーニ「だって知らないもん…」
シャーリー「はぁ……。 ズボン汚れるようなら言えな? 教えっからさ」
ルッキーニ「うん…」
シャーリー(……あたしと違ってルッキーニは精々お腹痛める程度だったはずだけど、…ちょっと重くなったんかな?)
シャーリー「出撃しなくて良かったな? とりあえず落ち着くまで大人しくしてろ」
ルッキーニ「え~…退屈やだ~」
シャーリー「…お前なぁ」
『……ャーリー…ん…』
シャーリー「んお?」クル
161: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 14:47:30.89 ID:UGVRmOCNO
サーニャ「……」ヨロヨロ
シャーリー「サーニャ! 寝てなくて大丈夫か?」
サーニャ「はい……なんとか。 ネウロイの反応が気になってあまり寝付けないので…」
シャーリー「ちょうど今大物が出てたんだ。 サーニャみたいに勝手に感応すると辛いよな?」
シャーリー「でも無事やっつけたみたいだからもう大丈夫だ。 皆ももうすぐ帰ってくる」
サーニャ「…は…ぃ…」フラッ
シャーリー「わっ! おい、大丈夫か!?」ガシ
サーニャ「……すみません…」
162: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 14:49:53.04 ID:UGVRmOCNO
ルッキーニ「サーニャ、だいじょぶ…?」
シャーリー「サーニャまで顔色悪いじゃんか」ピト
サーニャ「も…元々ですから……//」
シャーリー「これは違うよ。……熱はない。 昨晩からの疲労でやられたか?」
シャーリー「…ッ! ……もしくはサーニャも…? 疲れてる時は重くなるって言うし」ウーン
サーニャ「…?」
シャーリー(サーニャは流石に自分の世話くらい出来るだろうけど、……一応)
シャーリー「……サーニャ、ズボンがどうしても汚れるようならあたしに言いな? いい方法知ってるから」
サーニャ「ぇ…?/// …あの、それはまさか――」
ルッキーニ「あにゃ~。 かえってきたぁ」
シャーリー「お? ようやくか」
163: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 14:52:05.70 ID:UGVRmOCNO
シャーリー「……ん? 回収機と一緒だぞ! 誰かやられたのか!?」
ルッキーニ「えぇ…っ!」ガビンッ
サーニャ「……エイラがいない…!? そんな………ぁ……」フラッ
シャーリー「だぁ!? サーニャ、しっかりしろ!」ダキィ
ルッキーニ「……ハルトマン、ペリーヌ、リーネ…。 ッ!! 芳佳もいないっ…!?」
ルッキーニ「うぅ……っ」グスッ
シャーリー「おい、ルッキーニまで早まるなっての」
シャーリー「戦闘終了の通信時では特に負傷者の報告は無かったんだ、大丈夫だよ(と願いたいけど…)」
164: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 15:00:04.90 ID:UGVRmOCNO
ブゥゥウン
ミーナ「ただいま。 シャーリーさん、留守中に異常はなかった?」
シャーリー「ええ…。 こっちは何もありませんでしたけど、そっちは何かあったんですか…!?」
美緒「心配するな。 限界まで消耗した者に大事を取らせているだけだ」
ルッキーニ「うぐっ……じゃあ芳佳達は…?」グシグシ
バルクホルン「勿論、宮藤は傷ひとつ付いていない」
ルッキーニ「……よかった…」
シャーリー「言っただろ? 被害は無かったんだ」
美緒「いや、一応こちらも僅かだが被害は出た」
シャーリー「え?」
165: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 15:35:57.14 ID:UGVRmOCNO
サーニャ「…ぅ……う~ん…?」パチ
バルクホルン「サーニャ、出迎えは嬉しいが部屋で寝た方がいいんじゃないか?」
ミーナ「実は、エイラさんが――」
サーニャ(……エイラ…?)
ミーナ「ネウロイの攻撃を受けて――」
サーニャ(!!?)ガーン
ミーナ「ストライカーをやられたわ」
美緒「幸いエイラ本人は軽症だが、隙をつかれた。 …流石に無理がたたっていたな」
シャーリー「そ、そうですか…」
166: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 15:41:12.17 ID:UGVRmOCNO
ミーナ「だから私は止めたのに…」
美緒「そう言うな中佐。 おかげで皆無事だ!」
ミーナ「確かにそうだけど……もう!」
美緒「わっはっはっは!」
バルクホルン「何にせよ、これで件の問題も解決したな。 ……ん? おい、サーニャ!」
サーニャ「」チーン
シャーリー「エイラが被弾したって聞いてまた気絶しちまったよ」
バルクホルン「……さっきのは気を失っていたのか」
167: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 15:46:51.79 ID:UGVRmOCNO
ルッキーニ「ん~…サーニャばっかズルいなぁ~」クイクイ
シャーリー「だぁー、しょうがねぇだろ! ……とにかくサーニャは部屋に寝かせてくるよ」
美緒「ではその後に輸送機の奴らにも手を貸してやって欲しい。 私達もストライカーを脱いでこよう」
バルクホルン「了解」
ブゥゥウン
シャーリー「……今日は飛行訓練やめとくか…」
ミーナ「シャーリーさん」
シャーリー「え? あ、はい?」ビク
ミーナ「実は私からもお願いが有るの。……私達3人もかなり消耗してしまって、ちょっと休養が必要なの」
168: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 15:48:58.68 ID:UGVRmOCNO
ミーナ「それでなんだけど、 今晩宿舎の見回りを頼めるかしら?」
シャーリー「あちゃー、マジですか……~わかりました。 消灯前に仮眠とってもいいですか?」
ミーナ「ええ。 急で申し訳ないけど、よろしく頼むわね」
サーニャ「ぅ~ん……エイラ…」
ルッキーニ「サーニャ~おきてぇ? あたしとこうたい~」ペチペチ
169: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 15:56:12.22 ID:UGVRmOCNO
休憩、また夜に
172: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 20:58:29.95 ID:UGVRmOCNO
―夜―
格納庫
エイラ「なあ中佐ー? どうしてもダメなのかぁ~?」
ミーナ「ダメです。 第一、あなたのストライカーは検査修理の最中よ」
エイラ「じゃあ誰かの貸してくれよぉー?」
ミーナ「……」
エイラ「なぁー、なぁ~? ちゅうさ~」
ミーナ「今晩はゆっくり休んで、しっかりコンディションを戻しなさい」
ミーナ「サーニャさんもハードワークが続いてるから、もしもの時は貴女が夜間の要になるのよ?」
エイラ「もしもってなんだよぉー!?」オイー
173: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 21:01:16.38 ID:UGVRmOCNO
サーニャ「エイラ、我儘言わないで?」
エイラ「サーニャ~。 でもさぁ…」
サーニャ「あのネウロイはエイラ達が倒してくれたんでしょ? …ならもう大丈夫よ……」
エイラ「うん、だからさ! 安心して今日は私とゆっくり…」
サーニャ「私もそうしたいけど――」
ミーナ「サーニャさん?」ジト
サーニャ「……す、すみません…」
174: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 21:16:25.70 ID:UGVRmOCNO
サーニャ「…ストライカーが直ったら一緒にね?」ヒソ
エイラ「うぅ……チクショウ…」グヌヌ
サーニャ「それじゃあ行ってきます。 ミーナ隊長」
ミーナ「ええ。 …辛いと思うけどお願いね? 無理そうなら途中帰還も許可するよう言ってあるから」
サーニャ「はい。有難うございます」
スタスタ――
ミーナ「管制! リトヴャク中尉、夜間発進準備に入ります。 コントロールよろしく頼むわね?」
『管制、了解』ガザッ
エイラ「……はぁ。 まいっか、…アイツはもうやっつけたし」
エイラ「…サーニャ居ないんじゃさっさと寝よ……」トボトボ
175: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 21:49:15.59 ID:UGVRmOCNO
―消灯後 深夜―
エイラーニャ部屋
エイラ「………」カキカキ
エイラ「…イヨッシ、出来た! 完璧だ! これで誰よりもワタシがサーニャと一緒だぞっ!」
エイラ「……」
エイラ「はぁ~あ…。 ワタシのストライカーいつ直るんだろ?」ポイ
エイラ「サーニャと過ごす予定組み立てても夜間哨戒付いていけないんじゃなぁ。……なんか虚しくなってきた…」ガタ
176: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 22:11:13.38 ID:UGVRmOCNO
エイラ「んー……」トボトボ
エイラ「…んなぁ~っ!」バフッ
エイラ「………あぁ、ダメだ。 疲れたぁ…」
エイラ「このまま寝ちゃうなー……」
エイラ「……」チラ
エイラ「ぉ…!」
エイラ(……タロット…)
177: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 22:12:57.72 ID:UGVRmOCNO
エイラ「……」
エイラ「…どら、良い夢見れるかな~?」ペラッ
エイラ「………ン? タワー?」
エイラ「……」
エイラ「……」ムクリ
エイラ「ったく、…冗談キツイよな。 こんな時に」チャチャッ
178: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 22:16:11.06 ID:UGVRmOCNO
エイラ「やり直しはご法度だけ~……っど!」ペラッ
エイラ「………は?(またタワーかよ…)」
エイラ「…………」
エイラ「…ま、まったくついてないな~、アハハ。 さー寝よ寝よ! ツカレタナー」バフッ
エイラ「……」
エイラ「………」
。
○
(サーニャ『ネウロイはエイラ達が倒してくれたんでしょ?』)
○
。
エイラ「……そうさ。 ちゃんと最後の一匹だって…」
。
○
(エイラ『……雲が――』)
(美緒『エイラァァアッ!!』)
(エイラ『っ!!?』)
○
。
エイラ「?」
エイラ「…そうだ。 あの時はたしか――」
エイラ「!!」ハッ
179: SS速報VIPがお送りします 2015/03/08(日) 22:23:45.35 ID:UGVRmOCNO
エイラ「ッ…!」バサッ
エイラ「……マズい、……かもしれない」
エイラ(だって結局誰も“アレ”の正体は……!)
。
○
(サーニャ『それじゃあ行ってきます――』)
○
。
エイラ「! ……サーニャ…!?」ゾク
エイラ「…サーニャッ!!」バッ
【前編おしまい】
185: アイキャッチ 2015/03/14(土) 23:37:18.73 ID:wxuZSAf+O
エーリカ「ストライクウィッチーズぅ♪」 シャーリー「怪異の魔女!」
186: SS速報VIPがお送りします 2015/03/14(土) 23:41:40.04 ID:wxuZSAf+O
宿舎廊下
シャーリー「ふぁ~~…む(……やっぱ夜はねみぃ…)」ポリポリ
シャーリー(ていうか、見廻るまでもなく誰もトイレにすら起きる気配ないんだけど?)
シャーリー(皆そうとう消耗したんだな。 …聞いた話だと随分やばい奴だったらしいし)
シャーリー「……」
シャーリー(……結局エイラが予知した見えない攻撃は何だったんだろ?)
シャーリー(それにあの時のバルクホルンも――)
バタンッッ
シャーリー「っ!?(なんだ!?)」ピク
187: SS速報VIPがお送りします 2015/03/14(土) 23:45:34.18 ID:wxuZSAf+O
シャーリー「……っ」キョロキョロ
シャーリー「!」
エイラ「~~ッ!!」バタバタ
シャーリー(エイラ!? ……トイレって様子じゃないな?)
シャーリー「おい、エ………っ!(くそ、大声は出せねぇ!)」
シャーリー(何する気か知らないけど、……とにかく追わなきゃな!)タタッ
188: SS速報VIPがお送りします 2015/03/14(土) 23:51:17.33 ID:wxuZSAf+O
格納庫
エイラ「はぁ……はっ…」
エイラ「す、ストライカー…」
エイラ(一番速いのは……!)
エイラ「…シャーリー、ごめん!」
グイ
シャーリー「だーめだ」
エイラ「!?」ギク
エイラ「え!? なっ…??」
シャーリー「あたしの当番中に問題起こすなよー」
189: SS速報VIPがお送りします 2015/03/14(土) 23:57:37.28 ID:wxuZSAf+O
エイラ「くっ、…離してくれぇ!」ジタジタ
シャーリー「……内緒にするからもう寝ような?」
エイラ「寝てられるかっ!!!」
シャーリー「ばっ…静かにしろって!?」
エイラ「頼むシャーリー、ストライカー貸してくれっ!?」ジタジタ
シャーリー「嫌だし、仮に貸してもお前じゃ満足に飛べないっての。 あたしだってまだ飛行テストしてないピーキーチューンなんだぞ?」
エイラ「じゃあ誰のでもいいからっ!!!」
シャーリー「よくねぇよ」
190: SS速報VIPがお送りします 2015/03/14(土) 23:59:04.35 ID:wxuZSAf+O
シャーリー「……どうしたんだよエイラ? おかしいぞお前、…いっかい落ち着け」
エイラ「そんな場合じゃ――むぐ!?」
シャーリー「……さもないと中佐に突き出して懲罰房に放り込む」グググ
エイラ「ムー! ムー!!(それがどうしたぁ!)」ジタバタ
シャーリー「サーニャとも会えないぞ?」
エイラ「~!!」ガーン
シャーリー「騒ぐなよ?」
エイラ「……」コクン
191: SS速報VIPがお送りします 2015/03/15(日) 00:11:02.83 ID:QEgHkaG7O
シャーリー「……乱暴にしてごめんな」パッ
エイラ「…っぷぁ! ……はぁ~」
シャーリー「あたしのストライカーで何する気だったんだよ? …遊びに行くテンションじゃなかったけど」
エイラ「サーニャが危ない…」
シャーリー「ぇ?」
エイラ「…か、かもしれないんだ…」
シャーリー「…………なんで?」
エイラ「いや、……証拠はないけど…」
シャーリー「……魔法じゃないのか?」
エイラ「……」
192: SS速報VIPがお送りします 2015/03/15(日) 00:13:55.80 ID:QEgHkaG7O
シャーリー「過保護だなぁ」ヤレヤレ
エイラ「っ!! ちが――」
シャーリー「興奮すんな。 約束」ピシッ
エイラ「っ……う、ぅん。 …ごめん」
シャーリー(本当にどうしちまったんだよ…、まったく)
エイラ「……私だって馬鹿な勘違いだって笑いたいけど、もし…まだなんにも終わってなかったら…」
シャーリー(!?)ピクッ
エイラ「…とにかく行かなくちゃいけないんだ。 早くっ!」
シャーリー「まてって。 他機の無断使用で夜の無断飛行なんて、あたしも擁護できないから」
193: SS速報VIPがお送りします 2015/03/15(日) 00:16:57.36 ID:QEgHkaG7O
エイラ「離してくれっ!!!」
シャーリー「……もうはっきり言うけど、そんな顔して魔導エンジンなんて回したら今度こそ死ぬぞ? 昼間だって出られる状態じゃなかったくせに」
エイラ「っ……」
シャーリー「……」
エイラ「………じゃあ…どうすりゃ…」ガク
シャーリー「はぁー……(寝ろと言いたいけど)」
シャーリー(…昨日の今だから、あたしも気にならなくはない……な)
エイラ「……」ショボーン
シャーリー「…あたしが行くよ」
エイラ「えっ?」
194: SS速報VIPがお送りします 2015/03/15(日) 01:00:17.71 ID:QEgHkaG7O
シャーリー「当たり前だろ? エイラが飛べないんだから、代わりにあたしが行くよ」
エイラ「ぇ……でも、…だってワタシの勘で…」
シャーリー「いいから。 急ぐんだろ? 飛行テストも兼ねてコッソリ飛ばしてくるよ」
シャーリー「だからもう変な気起こすなよ? できれば寝といて欲しいけど、心配ならおとなしくして待ってな」
エイラ「シャーリー…」
タッタッタッ
モブ兵「おいっ、そこに誰かいる――!? イェーガー大尉! ユーティライネン中尉!」
エイラ「!」
195: SS速報VIPがお送りします 2015/03/15(日) 01:04:40.88 ID:QEgHkaG7O
モブ兵「おふたり共、この様な時間にいかがされました!?」
シャーリー「丁度いい! インカムかシーバー持ってる?」
モブ兵「…え?」ポケ
シャーリー「わるい、急いでるんだ。 早く!」
モブ兵「ぇ、あっ…し、失礼しましたっ! ………どうぞ」スッ
シャーリー「サンキュー! 今のはあたしの上官命令だからー」タッタッ
シャーリー「とぉ!」バッ
シュバッ
シャーリー「……さあ起きろ、あたしのマーリン」フィィン ピョコ
…ゴォォオォオオオオオ
196: SS速報VIPがお送りします 2015/03/15(日) 01:08:59.20 ID:QEgHkaG7O
シャーリー「よぉし!」
エイラ「ぐわぁっ!? うるせぇ!」
モブ兵「…なんてエンジン音っ!! 耳が…」
シャーリー「まずはサーニャのコースを聞かなきゃ」スッ
『――…繰り返す! 格納庫に異変あり! 急行確認せよっ!! …どうした応答しろっ!?』ガザザッ
シャーリー「ナイスタイミング! ……管制、イェーガー大尉が緊急発進する」
『は? ………え! 大尉でありますか!? …え、じゃあまさかハンガーから漏れてる光は』
シャーリー「エンジンテストも兼ねるからコントロールよろしく!」
197: SS速報VIPがお送りします 2015/03/15(日) 01:11:14.99 ID:QEgHkaG7O
『何をおっしゃっているのです! 隊長から許可がありませんよ!?』
シャーリー「上官命令だ! あたしが責任とるっ!」
『ですが夜間は危険です!!』
シャーリー「だからせめて発進誘導は頼むよ? できればあたしも独りで飛び出したくはないからさ」
『………了解であります』
シャーリー「ごめんね。 ……それと力のある基地員を何人か起こして、こっちで待機させといて? エイラがストライカーを無断使用するかもしれないから」
『……お言葉ですが、何かトラブルでしたら――』
シャーリー「中佐達は寝かせておきたいからっ!!(いろいろな意味で)」
198: SS速報VIPがお送りします 2015/03/15(日) 01:12:51.45 ID:QEgHkaG7O
シャーリー「最悪露見したら全部あたしのせいにすること! 命令! オーケー?」
『…………了解であります。 …発進進路クリア。 風、北北東に微弱』
シャーリー「シャーロット・E・イェーガー、発進!」
ガシャン
ブゥゥウウン
モブ兵「………」
エイラ「……サーニャ…」
モブ兵「……(もしかして自分、すごくやばいんじゃないか…?)」
204: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 22:12:52.17 ID:4kpQpC4pO
――――
――
―
ビュゥゥウン
シャーリー「…初速は予想以上だ。 姿勢維持も問題なし!」ブゥゥウン
『……くれぐれも注意してください。 いくら大尉とはいえ、単独での夜間飛行は別であります』ガザ
シャーリー「了解! ところで、サーニャを追っかけたいんだけど位置教えてくれないか?」
シャーリー(――あっ! ていうか…)
『あの……恐縮でありますが、リトヴャク中尉に御用でしたらこちらから通信をお繋ぎしますが…?』
シャーリー(…だよな。 あたしバカだ)
シャーリー「ごめん。……とりあえず異常がないか確認おねがいします」
『了解であります』
205: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 22:27:31.55 ID:4kpQpC4pO
シャーリー「……はぁ (ただのテスト飛行になっちまったなぁ。 早く戻ってごまかさなきゃ)」
『――イェーガー大尉!』
シャーリー「お、大丈夫そうだった?」
『それが、中尉に通信が繋がりません!』
シャーリー「なんだって!?」
『前の定時連絡では問題なかったのですが…』
シャーリー(やばいっ!!!)
シャーリー「直ぐに警報を鳴らして中佐達を起こしてくれ!! ネウロイ出現は未確認なことも含めて現状を正確に報告するんだ!」
『りょ、了解っ! ………おい! 緊急警報だ!!』
シャーリー「あたしは全速でサーニャを追う! 哨戒コースを教えて!!」
206: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 22:41:38.04 ID:4kpQpC4pO
アドリア海 某空域
サーニャ「…~♪」
サーニャ「~……?」ピク
サーニャ「……ぇ…なに…?」
サーニャ(短波反応が…乱れてる……?)
サーニャ「……」ス
サーニャ「…こちらサーニャ・V・リトヴャク。 …異常を観測しました」
サーニャ「…………」
サーニャ「………ぁの……もしもし…?」
『……』ザー
サーニャ「…繋がらない……どうして…?」
207: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 22:47:11.16 ID:4kpQpC4pO
サーニャ「……」フィィィン
サーニャ(…魔法が……何も見えない。…何かが干しょ――)
《~》
サーニャ「!」
サーニャ「……なに…!?」
《~~》
サーニャ「これって……このあいだの…?」
208: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 22:50:25.13 ID:4kpQpC4pO
サーニャ「………聞こえる。 …今度はちゃんと…」
《《~~》》
サーニャ「…唄? ……違う、…なんだか哀しい――」
~フワッ
サーニャ「―― ?」
209: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 23:13:33.77 ID:4kpQpC4pO
――――
――
―
シャーリー「……まだ見えないか。 下手にとばすと見落としそうだな、くそっ」ブゥゥン
シャーリー(今日が満月でまだよかったよ…)
シャーリー「……最後に定時報告があったらしいポイントはもう過ぎてるけど、…雲の下って事はないよな?」チラ
シャーリー「チッ、高積雲かよ。 どっちみちここからじゃ降りないと見えないな」
シャーリー(…考えたくないけど、最悪墜ちてるなら早いとこ海面を探さな――)
シャーリー「! …くっ、 なに考えてんだあたし!! ただ無線が切れてるだけじゃんか、エイラに感化されてるぞ!」ブンブン
シャーリー(でも確かに、昨日からあたしも気になる事が――)
《…~》
シャーリー「!」ビクッ
210: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 23:18:47.92 ID:4kpQpC4pO
シャーリー「……? ……とにかくサーニャを見つけないと」
シャーリー(まず上からだ、月明かりにも慣れたからスピードを―― …~?)
ガクッ
シャーリー「ぉ……」グラ
シャーリー(なんだっ? やばいバランスが……っ!)
シャーリー「ぐっ…! あぶねっ!!」
ブゥゥウンッ
ぐわん
シャーリー「っ……。 ひぃ…ビビったぁ…」
シャーリー「気が緩んでたか…? あぁもう、何やってんだよあたしはっ!」ワシャワシャ
211: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 23:22:57.70 ID:4kpQpC4pO
シャーリー「……」
シャーリー「コントロール、聞こえるか? こちらイェーガー機! …コントロールッ!」
『……』ザー
シャーリー「この辺はもう繋がらないか。 てことは近くは通った可能性が……ん?」
シャーリー「いたっ、…あれか? ……サーニャー!」
ビュゥゥウン――
212: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 23:32:16.74 ID:4kpQpC4pO
シャーリー「……」ジー
シャーリー「やっぱりサーニャだ! なんだよ無事じゃん。 …あんなとこで止まって何やってんだ?」
サーニャ「……」
シャーリー「おーーい! サーニャー!」ブゥゥウン
サーニャ「! ……ぇ?」クル
シャーリー「よぉ! 大丈夫か?」
213: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 23:34:54.05 ID:4kpQpC4pO
サーニャ「……シャーリーさん! どうして…?」
シャーリ「通信が途絶えたから念の為探しに来た。 エイラが心配して…――って!?」ギョ
シャーリー「…おい、サーニャ! 鼻血が出てるぞ!?」
サーニャ「えっ…? ……ぁ! え…??」ススッ
シャーリー「大丈夫か?」
サーニャ「ぇ、ぇ…と……多分、平気です」
サーニャ「あのっ! …それより、実はさっきから何か――………っ…が…?」
シャーリー「? …サーニャ、どうした?」
214: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 23:38:39.14 ID:4kpQpC4pO
サーニャ「っ!? ……ぅぐ…っ」パシ
シャーリー「ぉ、おい――」
サーニャ「ごぼぁっ!!」ビチャ
シャーリー「…………はっ??」
サーニャ「ぅぶ……っ…」ガクン
シャーリー「(吐血!? …え? え??)ちょっ、おい!? サーニャッ!!!」ガシ
215: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 23:43:25.91 ID:4kpQpC4pO
サーニャ「」ビクッ ビクッ
シャーリー「……な、なんだよこれ…!?」ゾワ
シャーリー(お、落ち着け……、まさかやられたのか!? ……あっ!! “見えない攻撃”!!?)
シャーリー「敵かっ!??」キョロキョロ
シャーリー(マジかよっ!? ……どうする!? 仮に普通のネウロイが相手でもこんな状態で、しかも夜間戦闘なんて無理だっ!!)
シャーリー「……ストライカーは脱げてない。サーニャはまだ無事(ということは…)」
シャーリー「ぐっ…!」フィィィイン
シャーリー「戦線離脱が最優先ッ!!!」シュバッ
216: SS速報VIPがお送りします 2015/03/20(金) 23:46:20.83 ID:4kpQpC4pO
ビュゥゥウン
シャーリー(万が一、基地まで追われたらやばい! …全速で逃げるっ!)ブゥゥン
《《~~》》
シャーリー「コントロール!! 聞こえるか、コントロール!? ……ちぃっ、繋がらねぇ!!」
~フワッ
シャーリー(一体何が起こって……)
シャーリー「――っ!!?」ゾク
シャーリー「んむ゛っ!? ……ぐっ…おえ゛っ!」ゲロ
シャーリー「…っはぁ……っ …なんだよ、…おぃ…??」
サーニャ「」ビクッ ビクンッ
シャーリー(サーニャ!!? やばい、今のも――)
シャーリー「ぎ……ぐっぞぉおお゛!!!」フィィイン
221: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 13:35:03.87 ID:BPtmdrY/O
基地 格納庫
美緒「……一体何が起きている?」
バルクホルン「いくらサーニャと通信が繋がらないからといえ、ネウロイが出たわけでもなく緊急警報。 さらに勝手な出撃……」
ミーナ「シャーリーさんにしては軽率すぎるから、何か考えか…心当たりがあったのだと思うけど」
ミーナ「……まさか彼女まで通信が途絶えるなんて…」
芳佳「坂本さんっ! やっぱり探しに行きましょう!?」
美緒「駄目だ」
芳佳「なんでですかっ!!?」
リーネ「よ、芳佳ちゃん……落ち着いて…」
222: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 15:38:43.85 ID:BPtmdrY/O
ミーナ「貴女も経験してる通り、夜の飛行は昼間と全く別よ。 状況を何も把握できていない今は危険すぎるわ」
芳佳「ここでじっとしてても何もわからないと思いますっ!! サーニャちゃんとシャーリーさんにもし――」
バルクホルン「気持ちはわかるが無理だ、宮藤。 ルッキーニを除いて全員魔法力が空だ」
芳佳「バルクホルンさん! ……で、でもっ!」
バルクホルン「特にお前やリーネ達は自殺になりかねないほど消耗している。 ハルトマンもこの騒ぎの中全く目を覚まさない」
ルッキーニ「じゃあ、あたしが行くよ!!」
ミーナ「ダメです。 単独飛行は許可できません」
ルッキーニ「なんで!!! あたしがシャーリー助けにいくっ!!」
リーネ「ルッキーニちゃん…」
223: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 15:42:51.74 ID:BPtmdrY/O
美緒「早まるなルッキーニ! 今は2人との通信が途絶えた、…それだけが確かな事だ」
ミーナ「そうよルッキーニさん? ネウロイも未観測だし、シャーリーさんが危険に合ったとは決まってないわ」
ミーナ「この基地や…2人に本当に何かあった時に、今頼れるのは貴女しかいないの」
ルッキーニ「でも…っ……やだよぉ…」ポロポロ
ミーナ「今、偵察部隊の準備を急がせているから。 …我慢して頂戴?」
ルッキーニ「ぅ……しゃありぃ…」グスッ
ミーナ(私やトゥルーデもほんの僅かに余力はあるけど、こんな状況下で基地をこれ以上無防備にするわけには……)
ミーナ「…っ(本当は私だって今すぐ探しに行きたいわ!)」ギリッ
芳佳「サーニャちゃん…シャーリーさん……」
リーネ「……無事だといいけど…」
224: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 15:53:03.29 ID:BPtmdrY/O
美緒「ユーティライネン中尉の様子はどうだ?」スタスタ
モブ兵「はっ。 …暴れるのは収まりましたが、あまり大丈夫とは言えない雰囲気であります」
エイラ「……サーニャ…………サーニャ…」ブツブツ
ペリーヌ「エイラさん、気を確かにお持ちなさい! どうしたというんですの!?」
美緒(恐らくこの異変を最初に勘付いたのはエイラだったんだろう。 ……見廻り中のシャーリーがその暴走を止めたか)
美緒「(やはりシャーリーは頼りになるな)……念の為もうしばらく用心しておけ」
モブ兵「はっ! 了解であります!」ビシッ
225: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 17:26:03.71 ID:BPtmdrY/O
ガザザッ
『こちら管制、応答願います』
ミーナ「! 繋がったの!?」バッ
『はい。 たった今、イェーガー大尉との通信が回復しました! リトヴャク中尉も一緒のようです』
ルッキーニ「シャーリー!」
芳佳「やったぁー!」
リーネ「~はぁ……」ヘナ
バルクホルン「……まったく、心配させる」フン
226: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 17:27:35.45 ID:BPtmdrY/O
ミーナ「…よかった。 無事なのね」ホッ
『いえ、それが……リトヴャク中尉は意識不明の状態にあり――』
エイラ「!!!?!?」ビクッ
芳佳リーネ「……っ!」
『…本人は否定しておりますが、恐らく大尉も負傷されている様相であります』
ルッキーニ「ぇ……!?」
バルクホルン「ぐっ!!」バンッ
『ネウロイは依然確認できず、現在基地へ帰還中との――』
ミーナ「位置はっ!!!!」
美緒「中佐、落ち着け!」
227: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 17:29:45.40 ID:BPtmdrY/O
ミーナ「ッ………トゥルーデ!!」
バルクホルン「ああ!」
ダダッ
美緒「おい、ミーナ!? 待てバルクホルン!」
ルッキーニ「シャーリー!!」シュタタ
美緒「くっ! …行くなルッキーニッ!!」グイ
ルッキーニ「いだっ!? …やだぁ! 離してっ!!」ジタジタ
美緒「事態の把握もできずに場が混乱するばかりか…。 ……中さ――」クル
ゴォォオオ
美緒「っ! ……仕方ない」
美緒「中佐ぁ!! バルクホルンッ!! シャーリー達を頼むが、無理はするなよぉ!?」
228: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 17:33:00.95 ID:BPtmdrY/O
バルクホルン「わかっている!」フィィィン
ミーナ「ええっ! すぐ戻るわ!」ゴォオオ
ガチャンッ
ブゥゥウン
ルッキーニ「~あたしもぉ!! ……シャーリーー!!」ジタバタ
美緒「状況を見ろっ! ルッキーニ!!」グィイ
ルッキーニ「やぁーッ!」
美緒「今は私とお前で――」
『はなせぇぇえぇええ!!!』
美緒 ルッキーニ「!?」ビクッ
229: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 17:34:51.32 ID:BPtmdrY/O
エイラ「サーニャがぁ!! サーニャがぁ゛あぁあ゛!!!」バタバタ
モブ兵「お、落ち着いてください……中尉殿…!」グググ
ペリーヌ「え、エイラさん! …サーニャさんは中佐達に任せましょう? それに貴女は今ストライカーだって……」
エイラ「…うるさぁぁあぁあいっ!!」フィィィィイン ピョコ
ペリーヌ「!? …ちょっとエイラさん! 魔法はダメです!? お止しなさい…!!」
エイラ「邪魔すんなぁあああ!!!!」ブォン
モブ兵達「わぁっ!!?」
ガシャーンッ
230: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 17:36:20.62 ID:BPtmdrY/O
モブ兵達「」チーン
ペリーヌ「…きゃあー!! な、なんて事を…!」
エイラ「―ッ!!」ギロ
ペリーヌ「ひっ…!」ビクッ
エイラ「………サーニャッ!」ダダダッ
ペリーヌ「…ぉ…おそろしい……」ヘナヘナ
美緒「……エイラめ」チッ
ルッキーニ「……こわぃ…」ギュ
美緒「ルッキーニ、暴れるな? 上手く庇えなくなる」
231: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 17:39:08.59 ID:BPtmdrY/O
エイラ「…どいてくれぇー!!」ダダダッ
美緒「……許せ、エイラ」
エイラ「サーニャァアッ!!」フィィイン
美緒「…ッッ!!」シュッッ
ドスッ
エイラ「ァギ…ッ……!?」
エイラ「」ドサ
芳佳「さ、坂本さん!? …エイラさんが!」スタタ
美緒「当て身だ。 大事はない」
232: SS速報VIPがお送りします 2015/03/22(日) 17:41:15.54 ID:BPtmdrY/O
リーネ「こ…怖かったぁ…」
美緒「魔法力循環による身体強化は消耗が少ないとはいえ、これ以上魔法力を消費すれば命の危険もあった。 ……止むを得まいが力ずくで黙らせる他無い」
美緒「仲間を心配する気持ちは全員一緒だ。 …私とて気持ちがわからないわけ無いんだ」
ルッキーニ「しょーさ……」
美緒「だが今は、私とルッキーニでここの統制と護りをしなければならない。 ……いいな?」
ルッキーニ「ぅじゅ……はぃ…」
『少佐ー! 基地員の方々、完全にのびていらっしゃいますわー!?』
美緒「他の男共に言って医務室へ運ばせろー!! ……エイラもあとで運ぶが、今は近くで横にしておこう」
美緒「それからサーニャ達のために医療班をここへ待機、なるべく近くの部屋に治療室を仮設する! とにかく警戒体制のまま4人の還りを待つぞ?」
236: SS速報VIPがお送りします 2015/03/24(火) 22:07:55.10 ID:hL7bqWVCO
――――
――
―
格納庫出口
美緒「……少し冷えてきたな」
美緒「…お前達、身体の方は大丈夫か? 辛ければ休んでも構わん。 夜明け以降に備えろ」
芳佳「大丈夫です! こんな時に寝てなんていられません!!」
リーネ「わ、…わたしも…っ!」
ペリーヌ「リーネさん、無理は体に悪いですわ」
リーネ「へ…平気です」
237: SS速報VIPがお送りします 2015/03/24(火) 22:11:26.28 ID:hL7bqWVCO
美緒「ルッキーニと私は恐らく徹夜になる。 覚悟しろ?」
ルッキーニ「うん…。 ……ねぇ少佐、…サーニャはネウロイにやられちゃったの?」
芳佳「……」
美緒「まだわからん。 ネウロイを観測したという報告は未だない」
ルッキーニ「じゃあ…」
美緒「…何があったか、シャーリーの報告頼みではあるが――」
ペリーヌ「少佐! 戻ってきましたわ!?」ビッ
ルッキーニ「!」
美緒「……ミーナ達に怪我はなさそうか。 シャーリーも飛べてはいる様だな(問題はサーニャだが…)」
238: SS速報VIPがお送りします 2015/03/24(火) 22:27:04.47 ID:hL7bqWVCO
――ブゥゥウン
芳佳「!!? …サーニャちゃんっ!!」
リーネ「っ…!!!」
美緒「ミーナ! これはいったい…!?」
ミーナ「直ぐに医務室に運んで!! 早く手当を!!」
芳佳「私が直ぐに治します!!!」バッ
美緒「やめろ!! 今のお前の魔法力では…!」
芳佳「やらせてくださいっ!!! 傷はどこですか!?」
シャーリー「……ち…違う。 …その血は…っ……吐いた…やつ」
バルクホルン「シャーリー!! 無理に喋るな!」
239: SS速報VIPがお送りします 2015/03/24(火) 22:29:51.20 ID:hL7bqWVCO
芳佳「と、吐血!!? うそっ!?」ガーン
シャーリー「…あ、…あたし…っ…ぅぷっ!?」ガクン
ドシャァ
バルクホルン「おい!!」
ルッキーニ「シャーリーッ!!?」バッ
シャーリー「うっ……おぇえ…! …げぁぼぉぉ…」ビチャビチャ
ルッキーニ「ッッ!!!!」
バルクホルン「こんな吐くまで飛ばして、無茶しすきだ!」
シャーリー「ケホッ……。 ち…ちがぅ……カハッ!」
240: SS速報VIPがお送りします 2015/03/24(火) 22:41:48.06 ID:hL7bqWVCO
ルッキーニ「ぅ…ぅぇぇ゛え゛えん! しゃあり゛ぃ~!!」
シャーリー「っ…はぁ……ペッ! …大丈夫だよ、ルッキーニ……っはぁ…」
ルッキーニ「うわぁあぁああん」
シャーリー「…あたしの事より、……とにかくサーニャがやばい…」ゼェ ハァ
美緒「わかった。 ……医療班!!」
芳佳「坂本さんっ! 私も魔法で手伝います!!」ズイ
美緒「やめろ宮藤」
芳佳「でもっ! 血を吐いたなら肺や消化器で出血してるかもしれません!! 早くしないと――」
美緒「いい加減にしろ宮藤っ!! 今のお前では無謀なことがわからんか!?」
241: SS速報VIPがお送りします 2015/03/24(火) 22:48:45.52 ID:hL7bqWVCO
美緒「……先ほどのエイラと違って、お前の治癒魔法は消耗も激しいんだ」
芳佳「私は死んだっていいです!!」
美緒「っ! ……軽々しく口にするなっ!!!!」
芳佳「諦めるくらいなら死にますっっ!!!!」
美緒「みやふじぃっ!!!!」カッ
ペリーヌ「ひぃ……!」ビクビク
リーネ「……(芳佳ちゃん…)」フルフル
ミーナ「……」ブゥゥン
バチンッ
芳佳「あぶっ!?」
美緒「……ミーナ…!」
242: SS速報VIPがお送りします 2015/03/24(火) 22:51:20.03 ID:hL7bqWVCO
ミーナ「………命を粗末にする人に、大切な仲間を預ける事はできません。 ……貴女はどうなの?」
芳佳「ぁ……」ヒリヒリ
美緒「待て、ミーナ!」
ミーナ「早く答えなさい! 一刻を争うの!!」
芳佳「…………やれますっ!」
ミーナ「では手伝いなさい、宮藤軍曹。 ただし魔法の使用には十分注意すること! 命令です」
芳佳「了解!」
ミーナ「…サーニャさんをお願い」
243: SS速報VIPがお送りします 2015/03/24(火) 22:53:32.16 ID:hL7bqWVCO
美緒「……」
ミーナ「坂本少佐、…頼めるかしら?」チラ
美緒「……わっかた、私も付こう。 宮藤に無茶はさせん」ハァ
ミーナ「ごめんなさい」
美緒「いいさ、今更だ。 ……それより今はサーニャだ」
ミーナ「ええ。 …トゥルーデ!」
バルクホルン「今行く」
ルッキーニ「びぇぇえぇえん」
シャーリー「…ぅ……ケホッ」ゼーハー
バルクホルン「大丈夫かシャーリー? …サーニャを運んだら直ぐ戻る。 落ち着くまでじっとしていろ」サスサス
ミーナ「……誰か手の空いてる人はシャーリーさんに水とタオルを!!」
247: SS速報VIPがお送りします 2015/03/26(木) 22:41:17.41 ID:XS3XyYAqO
―明方―
エーゲル部屋
エーリカ「――ん……っん~~~!」ノビー
エーリカ「…よく寝たー。 ……今何時だろ…?」ヒョイ
エーリカ「あれ? まだ起床前じゃん。 …この時計ずれてる?」
エーリカ「(…人の気配!)トゥルーデいるの? 今何時ー?」ノソノソ
248: SS速報VIPがお送りします 2015/03/26(木) 22:42:48.17 ID:XS3XyYAqO
エーリカ「………」ソロー
エーリカ「……トゥルーデ?」ヒョコ
バルクホルン「…zz」
エーリカ「………えー? 寝てる…」
エーリカ「じゃあ本当に朝早いんだ。 ……へぇ~」
エーリカ「ぁ!」ニヤッ
エーリカ「シシシ…(何かドッキリを――)」ソォー
バルクホルン「zz…」スヤァ
エーリカ「………」
エーリカ「やめとこ。 ………お腹すぅいた~っと♪」テテテ
250: SS速報VIPがお送りします 2015/03/26(木) 23:26:20.36 ID:XS3XyYAqO
食堂
エーリカ「~♪ おっいもっはど~~こだっ♪」ステテーン
エーリカ「……あれ、誰も朝食作ってないの?」
美緒「ん? …ハルトマンか」
エーリカ「おはよー少佐。 ……少佐って毎朝こんな早いの?」
美緒「今日は徹夜に近いがな」
エーリカ「うわ…」
美緒「かつてには3夜寝なかったこともある。 なんて事はない」
エーリカ「いや、昨日かなり疲れたじゃん…(……昨日だよね? 丸一日以上寝てたりして、私)」
美緒「私はまだ平気だが……お前はな。 どうだ、体調は?」
251: SS速報VIPがお送りします 2015/03/26(木) 23:29:59.73 ID:XS3XyYAqO
エーリカ「? 別に平気だけど? ……あ、お腹は空いてるね」
美緒「流石だな。 回復も早くて助かる」
エーリカ「それよりさ、朝食が準備されてる様子ないんだけど?」
美緒「ああ。 作れる者がいない」
エーリカ「え~! うそぉ!?」ガーン
美緒「……実はな、昨夜――」
――――
――
―
エーリカ「じゃあ、昨日倒したネウロイは…」
美緒「違ったか、もしくは複数いたか」
252: SS速報VIPがお送りします 2015/03/26(木) 23:33:21.12 ID:XS3XyYAqO
美緒「……確かな事は言えんが、昨晩サーニャ達を襲った“何か”が我々の警戒していたそれであった可能性は高い」
美緒「発生時間帯や唐突な被害……そしてサーニャを狙われた事も、これまでのエイラの言と一致する」
エーリカ「……サーニャンは大丈夫なの、少佐…?」
美緒「……」
エーリカ「……まさか」
美緒「………息はあるが未だ意識は戻らん」
エーリカ「…うそ……!?」
美緒「が、死の危険からは一先ず免れた。 宮藤が倒れるまで魔法をかけた甲斐あって、吐いた血の出所は治癒できた筈だ」
エーリカ「宮藤まで……」
254: SS速報VIPがお送りします 2015/03/26(木) 23:39:30.87 ID:XS3XyYAqO
美緒「……中佐とバルクホルンが起きるまでは私とルッキーニ、そしてお前を含めたこの3人が残る戦力だ」
美緒「他のウィッチ達の回復を待つ間は、我々で部隊を護り抜くぞ(……もっとも、私も満足に戦闘などできそうにないが…)」
エーリカ「うん、了解。 ……で、ルッキーニは?」
美緒「部屋だ。 シャーリーにずっと付きっきりでいる」
エーリカ「そっか…」
美緒「恐らくシャーリーも眠っているだろうし、……1人で下手に思い詰めているかもしれんな」
エーリカ「……そうだね」
美緒「少し様子を見に行くか…」スタスタ
エーリカ「あ! 少佐、私も行くよ」
美緒「……腹ごしらえはいいのか?」クル
エーリカ「どうせ作れないし、そんなの後々!」
255: SS速報VIPがお送りします 2015/03/26(木) 23:55:19.53 ID:XS3XyYAqO
シャッキーニ部屋
シャーリー「……」
ルッキーニ「……」
シャーリー「………ちょっとトイレに…」ムク
ルッキーニ「! 起きちゃダメぇー!!」グイー
シャーリー「……トイレだよ」
ルッキーニ「コレがあるから! あたしがやったげる!」シビーン
シャーリー(絶っ対に嫌だ)
256: SS速報VIPがお送りします 2015/03/26(木) 23:58:07.14 ID:XS3XyYAqO
シャーリー「……なあルッキーニ? あたしは病気も怪我もしてないし、もう平気だってば」
ルッキーニ「でも、シャーリーも血ぃはいたりしたら……」ウルッ
シャーリー(……まいったなぁ)
コンコンッ
『ルッキーニ、入るぞ?』
ルッキーニ「うじゅ?」
シャーリー「お? …少佐か? どうぞー」
『……シャーリー起きてるね?』
『のようだな』
257: SS速報VIPがお送りします 2015/03/27(金) 00:01:59.31 ID:6tjLBu9WO
ガチャ
美緒「失礼する」
エーリカ「やっほー!」
シャーリー「ハルトマン!? こんな朝早くに珍しいな…!」
エーリカ「あ、それ尿瓶? 今から使うの?」
シャーリー「使わないっての」
美緒「寝ていなくて大丈夫なのか?」
シャーリー「ちょっと前に起きたところです。 少し眠ったら落ち着いたんで、もう平気なんですけど」ムク
ルッキーニ「だめぇー!」グイー
シャーリー「……まぁ、その。 …こういうことでして…」アハハ…
258: SS速報VIPがお送りします 2015/03/27(金) 00:05:04.96 ID:6tjLBu9WO
美緒「…なるほど、ならそのままで構わない」
シャーリー(あたしが困るんだけど…)
美緒「シャーリー。 …昨晩の事について聞きたい」
エーリカ「……」
シャーリー「……わかりました。 ただその前に、何か食わせてください」
美緒「かまわんが、…生憎と料理をできる者が残っていない」
シャーリー「てことは、適当なレーションとかか…」
美緒「いや、本日中の食事は向こう〈基地本部〉の物をこちらにも分けるよう言ってある」
シャーリー「そうですか。 …ここはあたし達しか入れないから、取りに行かなきゃなぁ」チラ
259: SS速報VIPがお送りします 2015/03/27(金) 00:06:27.04 ID:6tjLBu9WO
シャーリー「……ルッキーニ、悪いけど飯持って来てくれないか?」
ルッキーニ「うん」
美緒「…そうだな。 ハルトマン、お前も一緒に行ってこい」
エーリカ「へ?」
美緒「……」クイッ
ルッキーニ「……」
エーリカ「…!」ピーン
260: SS速報VIPがお送りします 2015/03/27(金) 00:08:30.47 ID:6tjLBu9WO
美緒「お前には私のも頼みたいが、4人分も持つのは大変だろう。 2人は向こうで先に済ませるといい」
エーリカ「はーい」
ルッキーニ「ぇ…?」
美緒「…まだ起床前だが、そろそろ食事はできている筈だ。 男共が集まる前に食ってこい」
エーリカ「りょうかーい! 行くよ、ルッキーニ」
ルッキーニ「やだよ、あたしシャーリーと食べるもん」
エーリカ「どっちにしろ向こうに行かなきゃ。 献立も気になるし、ほらほら!」
261: SS速報VIPがお送りします 2015/03/27(金) 00:09:52.90 ID:6tjLBu9WO
シャーリー「慌てなくていいからな、ルッキーニ」
ルッキーニ「うん。 …シャーリー、トイレはだいじょぶ?」
シャーリー「え? あ、あぁ。 もう平気、引っ込んだ。 ……だから行ってこい」
ルッキーニ「うん…」
エーリカ「いってきまーす」
ステテテ…
バタン
265: SS速報VIPがお送りします 2015/03/29(日) 20:59:58.58 ID:iYiIFJerO
シャーリー「はぁ…。 …いしょっと」ムクリ
シャーリー「んー~~…っ!」ノビー
美緒「………何故わざわざルッキーニを離した?」
シャーリー「っくはぁ~~。 ……これ以上不安にさせたくないんで。 もう少しちゃんと掴めてからでないと」コキコキ
美緒「ということは…?」
シャーリー「はい。 あたしも何をされたのかわかりませんでした」
美緒「何を“された”か……敵の存在は?」
シャーリー「有視界には何も…。 正直サーニャの急変であたしも動揺してたから、見落としてたかもしれません」
266: SS速報VIPがお送りします 2015/03/29(日) 21:19:43.94 ID:iYiIFJerO
シャーリー「――って、そうだ! 少佐、サーニャは!?」
美緒「宮藤の魔法で傷は癒えたが、意識がまだ戻らん」
シャーリー「なっ…!!」
美緒「ドクターが言うには、脳か神経に異常をきたした可能性もあるらしい。 しかし、そもそもの原因が一切不明故はっきりした事はわからないそうだ」
シャーリー「くっ…ちっきしょう!! あたしのせいだ…!」ギュッ
美緒「救えなかった悔しさは私も同じだが、我々に過失はない。 ましてやお前はサーニャを連れ帰った」
美緒「エイラの暴走も留め、最善を尽くしたお前の判断に間違いはなかった。 夜間廻りを任せたのは正解だったな」
シャーリー「……っくしょぅ…」ググッ
268: SS速報VIPがお送りします 2015/03/29(日) 21:29:59.22 ID:iYiIFJerO
美緒「…シャーリー、判断を誤るなよ? 状況は恐らく切迫している。 迅速に事態を把握し、備える必要がある」
美緒「エイラが起きた際の不安もあることだし。 お前の協力は我々にとって不可欠だ」
シャーリー「…っ」
美緒「……」
シャーリー「………悔しいけど、今は確かに…それが最善ですね」ガクリ
美緒「そうだ」
シャーリー「……」
美緒「……」
シャーリー「………これは勘なんですが…」
美緒「…なんだ?」
シャーリー「正体はどうあれ、やっぱり敵はいます…」
269: SS速報VIPがお送りします 2015/03/29(日) 21:48:49.54 ID:iYiIFJerO
美緒「……」
シャーリー「……サーニャが気を失う直前、私に何かを言いかけてました」
美緒「それが敵だと?」
シャーリー「あたしが見つけた時、サーニャの様子が少し変だったんです。 今思えばあの時に何か察知していたのかも」
美緒「サーニャが何か知っているか…。 しかし今はなぁ」フム
シャーリー「数日前からエイラが騒いでたってのは間違いなくこれだ…」
シャーリー「……見えない敵、…攻撃。 ……絶対カラクリはある…」ボソ
美緒「何かわかるか?」
270: SS速報VIPがお送りします 2015/03/29(日) 21:54:34.52 ID:iYiIFJerO
シャーリー「今のところ全く見当はつかないですけど、…気になってる事はいくつか」
美緒「……昨日のネウロイか?」
シャーリー「いえ、それとは違うんですけど。 それについても詳しく聞きたいですね?」
美緒「いいだろう」
シャーリー「……規格外の新種だったってのは聞いたんですけど、その…他に何かおかしな点はありませんでした?」
美緒「ふむ。 おかしなことか…」
シャーリー「何でもいいです。 普通のネウロイじゃ見ないような」
美緒「……攻撃射程が驚くほど広かったな」
シャーリー「それってビームですか?」
美緒「ああ。 接近する前にエイラが“件の予知”をみたので、圏外からリーネの魔弾による駆逐を試みた」
271: SS速報VIPがお送りします 2015/03/29(日) 21:59:23.07 ID:iYiIFJerO
美緒「初撃の後に敵の反撃が始まったんだが、高出力のビームが易々とこちらに飛んできた。 狙いも恐ろしく正確で……もしかしたらあれ以上の距離も撃てたのかもしれんな」
シャーリー「うぇ~、発見前に攻撃されてたら危なかったですね…」
シャーリー「……ん? 待ってください、少佐」
美緒「なんだ?」
シャーリー「そのネウロイ、何で最初っからしかけてこなかったんですか? 敵の射程圏内だったってことは気付かれてる筈ですよね?」
美緒「うむ……それなんだが、我々がちょっかいを出すまでネウロイは特定点で旋回を続けていた」
シャーリー「……??」
美緒「先行していたバルクホルンらが言うには、超スピードで真っ直ぐ飛行してきた後に同点で急停止したと…」
シャーリー「……どういうことだ…?」ウーン
272: SS速報VIPがお送りします 2015/03/29(日) 22:12:56.02 ID:iYiIFJerO
美緒「内包していた奴も含めてその個体は間違いなく倒したが、……もしや同型が?」
シャーリー「……その新種がワンオフかどうかはわかりませんけど、サーニャをやった奴ではないと思います」
美緒「しかしエイラの予知もあった。 それ故に接近を避けたので事実は確認していないが」
シャーリー「…もしそうなら、サーニャやあたしにビームを撃たなかったのはおかしい。 逃げる際にも追い打ちっぽいことされたんですけど、ビームは一切なかった」
美緒「そうか…。 ……確かに夜間とはいえ、あれだけの図体を視認できない筈もないか…」
シャーリー「……」
シャーリー(……少佐達が戦ったネウロイは自衛行動で反撃したのか…? つまり侵略以外の目的があった…??)
シャーリー(ネウロイが目的内外の分別を? そんなの聞いたことない! ……でももしそうなら、その目的とエイラの予知に何か関係が――)
ガチャッ
ルッキーニ「シャーリー!」ステテ
シャーリー「…ルッキーニ!?」
273: SS速報VIPがお送りします 2015/03/29(日) 22:21:37.08 ID:iYiIFJerO
美緒「……早いな」
エーリカ「ごめーん少佐。 ワゴン貸してもらえてさ、…皆の分まとめて持ってきちゃったよ。 食堂に置いてあるから」スタスタ
美緒「いや、十分だ。 すまんな」
ルッキーニ「一緒に食べよー?」
シャーリー「……そうだな。 そんじゃあたしはもう起きるぞ?」モソ
ルッキーニ「うじゅ? ……あ、だめだよシャーリー! ぜったいあんせい~っ!」ダキッ
シャーリー「あのなぁ、あたしはもう大丈夫だっつうの。 お前も今忘れてたじゃん」
ルッキーニ「でも…また夜みたいに……」ギュ
エーリカ(……あーなんか見た事あると思ったらこの過保護っぷり、トゥルーデとクリスだ)
美緒「もうその辺にしろ、ルッキーニ。 無理して床に伏す方が身体に障る」
ルッキーニ「ぅ…」
シャーリー「あはは、ありがとなルッキーニ! 飯食いに行こう」
エーリカ「そーそー、早く行こ? 私もいい加減限界だよぉ」
274: SS速報VIPがお送りします 2015/03/29(日) 23:12:45.71 ID:iYiIFJerO
―食後―
基地本部 廊下
シャーリー「……」スタスタ
エーリカ「…お、きたきた。 シャーリー!」ピョン
シャーリー「んあ? ハルトマン、なんか用か?」
エーリカ「サーニャンの所行くんでしょ? 私も行くよ」
シャーリー「……それでわざわざ待ってたのか?」
エーリカ「まーね。 …そういえばルッキーニは?」
シャーリー「眠そうにしてたから寝かしてきたよ」
275: SS速報VIPがお送りします 2015/03/29(日) 23:17:34.15 ID:iYiIFJerO
エーリカ「相変わらず猫可愛がりしてるね~」
シャーリー「あのなぁ…」
エーリカ「少佐にバレたら怒られるんじゃない?」
シャーリー「とっくに気付いてるよ、多分。 あたしのせいでルッキーニも心労溜めてたから、大目に見てくれてるんだよ。 …ハルトマンも起きてきたし」
エーリカ「まぁ、本当ならまだ起床前だもんね」
シャーリー「……一応起床時刻は把握してるのな?」
エーリカ「あー! シャーリーもトゥルーデみたいな事いうんだから~!」
シャーリー「えー、あいつと同じかよ…」アハハ
バタンッ
シャーリー「? 物音だ」
エーリカ「…誰か起きてきたかな?」キョロ
276: SS速報VIPがお送りします 2015/03/29(日) 23:22:44.79 ID:iYiIFJerO
芳佳「っ……!」スタタタ
シャーリー「……」
エーリカ「宮藤だね」
シャーリー「あいつまさか…」
エーリカ「多分、医務室に向かったんじゃない? 無茶しに」
シャーリー「…やっぱりそうだよな」ハァ
エーリカ「宮藤のそういうとこ、私は好きなんだけど?」チラ
シャーリー「わかるけど……。 …ったく、どいつも良い性格してるよなぁ」クシャクシャ
エーリカ「あ! シャーリー、やっぱりトゥルーデに似てきてるよ?」
シャーリー「…いいから。 宮藤止めに行くぞ!」ダッ
エーリカ「はいはーい! ミーナもいないから廊下も走り放題だね♪」
279: SS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 20:43:19.31 ID:Jj3Wp+6kO
医務室
芳佳「サーニャちゃん!」ザッ
サーニャ「…」
芳佳「……サーニャちゃん…」
芳佳「…っ!」バッ
サーニャ「…」
芳佳「待ってて…、今助けるよ!」フィィン
サーニャ「…」
芳佳「……ぅ…っけほ! …はぁふ…」フィィィン
280: SS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 20:50:13.87 ID:Jj3Wp+6kO
バタバタバタッ
エーリカ「あー、やっぱり…」
シャーリー「…宮藤っ!」グイ
芳佳「シャーリーさん…!?」
シャーリー「よせ! 気持ちはわかるけど、いっかい落ち着け!」
芳佳「離してくださいっ!! 私が…私がやらなきゃ! サーニャちゃんを…!」ジタジタ
エーリカ(……サーニャン!!)
サーニャ「…」
281: SS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 20:52:39.51 ID:Jj3Wp+6kO
シャーリー「お前がもたないだろ!?」ググ
芳佳「でも!! 私が今やらなきゃ!」ジタジタ
シャーリー「そうじゃねぇ! 話を聞けって…!」
芳佳「離してぇ!!」
わしっ
芳佳「ひゃぅ…っ!!」ビクッ
シャーリー「………ぇ?」
エーリカ「ニッシッシ」ワキワキ
シャーリー「……なんでここで胸を…?」
エーリカ「落ち着いた、宮藤?」
シャーリー「いや、そんなわけ――」
芳佳「…………は、はい…」
シャーリー(えぇー……)
282: SS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 21:00:42.63 ID:Jj3Wp+6kO
エーリカ「シャーリーも離して大丈夫だよ」
シャーリー「…お、おぉ……」パッ
芳佳「ハルトマンさん…」
エーリカ「少佐から聞いたよ。 敵にやられたサーニャンを、宮藤が倒れるまで治療してくれたって」
芳佳「……」
エーリカ「……サーニャンを救ってくれてありがとう、宮藤」
芳佳「…!」
エーリカ「…――」ダキッ
芳佳「!?」
エーリカ「本当に……っ…ありがと…ぅ」
シャーリー(…!?)
芳佳「ハルトマンさん…!」
エーリカ「…っ……」グス
283: SS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 21:03:43.39 ID:Jj3Wp+6kO
シャーリー「……なぁ宮藤」ポン
芳佳「シャーリーさん…、私…」
シャーリー「…あたし等も皆同じ気持ちだよ。 仲間を失うのは恐いんだ、宮藤も入れてな」
芳佳「……」
シャーリー「サーニャのこと、あたしからも礼を言うよ。 ありがとう、…これからもよろしく頼む」
芳佳「ぅ……うぅ…っ…」ポロポロ
シャーリー「……よしよし、大丈夫。 大丈夫だ」ナデナデ
芳佳「ぅぅう…っ……」グス
シャーリー「……とりあえず、ドクターが来てから一度話し合っといた方がいい。 それまでは休んどけ?」
芳佳「ぅぐ……はぃ゛…」
285: SS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 21:40:34.05 ID:Jj3Wp+6kO
――――
――
―
芳佳「……失礼しました…」
パタム
シャーリー「……ふぃ~」
エーリカ「宮藤はとりあえず大丈夫そうだね?」
シャーリー「…ハルトマン、お前泣いてたろ?」
エーリカ「ちょっとだけね」
シャーリー「……」
エーリカ「…シャーリー?」チラ
シャーリー「言わないって」
286: SS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 21:45:34.17 ID:Jj3Wp+6kO
エーリカ「んふふ~、貸しだね!」
シャーリー「いいよ、別に」
エーリカ「そう? ラッキー♪」
シャーリー「……」
エーリカ「…………シャーリーも、ありがとう」
シャーリー「んー?」
エーリカ「サーニャン助けてくれて」
シャーリー「……」
287: SS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 21:47:57.35 ID:Jj3Wp+6kO
サーニャ「…」
シャーリー「……あたしは何も出来てないよ。 気付いたのはエイラだし」
エーリカ「………私なんて、呑気に寝てただけだから…」
シャーリー「……(気にしてんのか)」
エーリカ「サーニャン…」スッ
サーニャ「…」
シャーリー(皆かなりストレスかかってるな…。 早いとこなんとかしないと)
292: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 21:03:40.00 ID:0R/A6Zeh0
―起床時刻―
宿舎 廊下
そよそよ~
シャーリー「………」ノビー
シャーリー「……っはぁ~~」グデー
そよそよ~
シャーリー「…あぁ~、風が気持ちぃ(眠くなってきたぁ…)」
シャーリー「…………」
シャーリー「……ふわ…ぁ~――」
『あらあら、大きなあくび』
シャーリー「――~んむ…。 ん……、中佐?」グシグシ
293: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 21:11:48.81 ID:0R/A6Zeh0
ミーナ「おはよう、シャーリーさん…」ツカツカ
シャーリー「あはは…、おはようございまぁす」
ミーナ「随分眠そうね? 体調はもう平気なの?」
シャーリー「ええ。 というか、元々なんかなってた訳じゃないんですがね。 少し眠ったら大丈夫でした」
ミーナ「そうなの? でも、検査は受けてないでしょ?」
シャーリー「…まぁ」
ミーナ「だったら早計な素人判断はよくないわ。 まだ一晩経っただけだし――」
ミーナ「………サーニャさんが、あれだけの被害を受けたんだもの…」
シャーリー(中佐…!)
294: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 21:24:30.62 ID:0R/A6Zeh0
ミーナ「……」
シャーリー「…わかりました。 後でドクターの所に行ってきますよ」
ミーナ「ええ、そうして頂戴」
シャーリー「……ところで、中佐の方こそ大丈夫ですか?」
ミーナ「え…?」
シャーリー「今朝、鏡見ました? 隈が濃いですよ?」チョン
ミーナ「あらっ、やだ…!//」
シャーリー「………甘えてる身で言える事じゃないですけど、あまり無理し過ぎないでくださいね?」
296: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 21:47:22.80 ID:0R/A6Zeh0
ミーナ「ふふ、私は平気よ。 シャーリーさんのおかげで昨日は消灯時前には寝付けたし」
シャーリー(いやでも夜のことがあって、今起きてちゃ結局そんなに寝れてないじゃん…!)
ミーナ「…昨晩はありがとう。 貴女がいなかったら取り返しのつかない事になっていたかもしれない」
シャーリー「………やれる事はやったつもりですけど、…正直不甲斐ないですよ」
ミーナ「そんなこと…」
スタスタスタ
美緒「その話の決着はつけなかったか? シャーリー」デン
ミーナ「美緒…!」
297: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 21:51:07.73 ID:0R/A6Zeh0
シャーリー「……少佐」
美緒「感傷するなとは言わん。 だが反省と後悔は――」
シャーリー「わかってますよ少佐。 …すみません」
美緒「ふむ…」
ミーナ(…美緒)
美緒「……今日は自己判断で休んで構わん」
シャーリー「…部屋の時と、言ってること変わってますよ」
美緒「臨機応変だ。 その代わり、お前が休んでいる時はルッキーニを起こせ」
298: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 21:56:27.67 ID:W1/4U6Ys0
シャーリー「…………いや、やっぱり寝るなら夜がいいです」
美緒「そうか。 まぁそこはお前に任す」
ミーナ「くれぐれも無理をしないでね、シャーリーさん?」
美緒「…ミーナもだ。 まだ幾らも回復していないのだろう?」ビシ
美緒「今日一日ぐらいなら私が持たせる。 無理をするな」
ミーナ「……いつかとは逆ね。 あの時貴女は私の話を素直に聞いたかしら?」
美緒「む…、それとこれとは…」
ミーナ「大丈夫よ、3日前に十分骨休めは出来てるわ」
シャーリー(……たはは、中佐も意地っ張りだな。 昨日あたしに“休みが必要”て言ったのに)
299: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:11:24.26 ID:W1/4U6Ys0
ミーナ「それよりも、美緒だって寝ていないんでしょ?」
美緒「当たり前だ。 私まで寝てしまったら誰がここを護るんだ?」
シャーリー「……あれ? 一緒にメシ食ってから今まで何処に行ってたんですか? てっきり仮眠とってたのかと…」
ミーナ(まさか朝練をしてたなんて事ないわよね…?)ジト
美緒「いや、こんな状況なんでな。 基地内を警邏していた」
シャーリー「あっ、すみません少佐! あたし気づけなくて…」
美緒「いや、いい。 自ら直接確かめたくてやった事だ」
ミーナ「何か気になるの?」
300: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:49:10.69 ID:W1/4U6Ys0
美緒「具体的な懸念があった訳ではなかったが……、どうも基地員たちの士気が低い様子でな」
ミーナ「ウィッチの負傷が影響しているのかしら…?」
美緒「そんなやわな面子ではない筈なんだが」
シャーリー「……」
ミーナ「…困ったわね、ウィッチーズがこんな時に…。 事故の発生に改めて気を配らないと」
シャーリー「あたしらの中から被撃墜者が出たことに、少なくとも動揺してるんですよ。 仕方ないと思いますけど」
ミーナ(501を強く支えてきた“共同体意識”が、こんな形で欠点になるなんて…)
301: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 22:54:22.31 ID:0R/A6Zeh0
ミーナ「…とにかく今は隊の立て直しと情報収集に務めるべきね。 問題も山積みだから」
美緒「そうだな…。 宮藤達が心配だ」
シャーリー「あー宮藤は大丈夫そうです。 なのでリーネ達も様子見で、ルッキーニは任してください」
シャーリー「それとハルトマンも問題ない筈ですけど、一応気にしてやって下さい中佐」
ミーナ「ええ、わかりました。 ありがとうシャーリーさん」
美緒「とすると、懸念すべきはエイラか…」
シャーリー「……んが~~! そうだった、エイラがやばい!」ガクー
ミーナ「私達が戻った時からノビていたけど……何があったのかまだ詳しく聞いてなかったわね?」
302: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:07:12.08 ID:0R/A6Zeh0
美緒「…そのことも含めて話がある。 来てくれ、中佐」クイ
ミーナ「…ええ(残念ながら予想はつくのよね…)」
スタスタスタ
シャーリー「……今日は濃い一日になりそうだなぁ(悪い意味で)」ア~
シャーリー「…………」
シャーリー「…やば、ちょっと挫けそう」
ドガッ
バタムッッ
シャーリー「ッ!!? な、なんだぁ!?」ビクッ
303: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:44:26.44 ID:0R/A6Zeh0
バルクホルン「~~ッ!!」ズンズンズン
シャーリー「…! ……?」
バルクホルン「…~ッ」ズンズン
シャーリー「……」
バルクホルン「~~――」ズン
シャーリー「…うーぃ、ちょっと待った」ガシ
バルクホルン「…………離せ」
シャーリー「おはよ」
バルクホルン「……離せ」ギロ
シャーリー「(こいつもか…)ごめん、わかった離す」パッ
304: SS速報VIPがお送りします 2015/04/02(木) 23:48:18.05 ID:0R/A6Zeh0
シャーリー「…そんな意気込んでどこへ行くのかなと思ったんだ。 飯じゃないんだよな?」
バルクホルン「……ん、んん…。 まあな…」
シャーリー「(不安定だなぁ、大丈夫かよ)一回でいいからさ。 ゆっくり吸って、吐いてみ?」
バルクホルン「…すぅ……」
バルクホルン「………はぁー…」
シャーリー「…どぉ?」
バルクホルン「……すまない。 少し落ち着かせる」
シャーリー「あいよ」
バルクホルン「…………」
シャーリー「……」
306: SS速報VIPがお送りします 2015/04/03(金) 00:02:52.80 ID:OsHDOYL80
バルクホルン「……ふぅー…。 ……くっ、何をやっているんだ私は」
シャーリー「…話しかけて平気か?」
バルクホルン「ぅ…! あ、あぁ……すまなかった、シャーリー」クル
バルクホルン「朝からみっともない所を見せた…」
シャーリー「別に。 ……用事はいいのか?」
バルクホルン「いいさ。 向こうが煩いからと、少し文句を言ってやろうと思っただけだ」
シャーリー「(少し…?)向こうって………あー、遺跡調査の連中か。 確かに起床前からやってたしなぁ」
バルクホルン「疲れていたとはいえ、あの程度の騒音で腹を立ててしまうとは…」
307: SS速報VIPがお送りします 2015/04/03(金) 00:12:44.79 ID:OsHDOYL80
シャーリー「お前、昨日からちょこちょこ不機嫌だったけどさ……もしかしてアレか?」
バルクホルン「違う、それは先週終わっている。 そもそもPMSごときで私が揺らぐものか」
シャーリー「(鉄の女かあんたは)…あたしなんか胸は張るしお腹は痛いし、酷い時は吐き気もするけどなぁ」
バルクホルン「……個人差はある(…吐き気か。 ………――)」
バルクホルン「(――!!) そうだ! シャーリー、お前!? 身体はもう大丈夫なのかっ!?」
シャーリー「ん? ああ、寝たら落ち着いたよ」
バルクホルン「馬鹿を言え!! まだいくらも寝てないだろ!? あんな魔法力の使い方をしてすぐに戻る訳ない!」ガシ
シャーリー「含蓄あるなぁ」アハハ
バルクホルン「私は真面目に話しているっ!」
308: SS速報VIPがお送りします 2015/04/03(金) 00:14:10.34 ID:OsHDOYL80
シャーリー「…いや、待てよバルクホルン。 心配してくれるのは有難いんだけどさ?」ポンポン
バルクホルン「っ! ……べ、別に特別な事でもないだろ!? 同僚の心配ぐらい…//」プイ
シャーリー「それでも感謝するさ。 背中さすってもらったし、ベッドにも運んで――」ニコ
バルクホルン「う、うるさいっ!!///」
シャーリー「……でも、あたしが吐いたのは魔法で無理したせいじゃないんだ」
バルクホルン「………?//」チラ
シャーリー「サーニャと同じさ。 敵にやられたんだよ」
バルクホルン「…なんだと!?」
309: SS速報VIPがお送りします 2015/04/03(金) 00:17:02.48 ID:OsHDOYL80
シャーリー「正体は全っ然わかんねーんだけど、負傷したサーニャを担いで逃げる時に2回…――」
シャーリー「――……いや、もしかしたらその前にも1回あったかもしれない」
バルクホルン「敵は、ネウロイなのか?」
シャーリー「わからない。 …なんにも見えなかった」
バルクホルン「……サーニャは何と言っていた?」
シャーリー「何か言う前に血噴いて倒れちゃったよ。 戦闘態勢をとってた様子はなかったからネウロイじゃないかもしれない」
バルクホルン「…観測班も結局ネウロイを捉えることはなかったが、ネウロイ以外の可能性など私には考え付かん」
シャーリー「……ぶっちゃけ皆そうだろうな」
バルクホルン「くそっ! なんとか原因を掴まなければ…!」ダンッ
シャーリー「おーい。 また」
バルクホルン「あ、あぁ……すまない…」
シャーリー「……」
314: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 16:39:11.77 ID:EUZoJqN6O
格納庫
シャーリー「はぁ~。 緊急時に備えて、とりあえずユニットはディチューンしとかねぇと…。 めんどくせ」スタスタ
シャーリー「――ん? 整備兵がいるな……チーフか?」
整備士長「……」カチャカチャ
シャーリー「おーいっ! チーフー!」
整備士長「? ……えっ、大尉!?」
シャーリー「よぉ! 忙しそうだな?」スタタ
整備士長「はっ!」ビシッ
シャーリー「そういうのいいって言ってるじゃん、チーフ」
整備士長「お言葉ですが、大尉殿こそ上官らしく呼び捨ててください。 隊長のお叱りを受けるのは我々です」
シャーリー「あはは、硬いなぁ! エンジン速組み勝負で接戦した仲じゃん!」ポンポン
整備士長「……あれは成り行きです」
315: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 17:02:10.89 ID:EUZoJqN6O
整備士長「それより大尉! 負傷されたと聞きましたが…!?」
シャーリー「えっ?」
シャーリー(………まいったな、変に噂になってるのか)ポリポリ
整備士長「もう歩いても大丈夫なのですか?」
シャーリー「いやいや、別になんともないから! 負傷もしてないし」
整備士長「そうですか、安心しました。 …で、早速P51の調整ですか?」
シャーリー「あはは、まぁー……昨晩のテスト結果は最低だったからね…」
316: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 17:59:04.43 ID:EUZoJqN6O
シャーリー「…つうかそれより、これ――」チラ
整備士長「あ、はい。 ユーティライネン中尉のBf109ですが、どうにも…」
シャーリー「うぉ~…! フレーム変形してるし! 熱か、これ?」ツンツン
シャーリー「……あー、コネクトもほぼ駄目かもな? ショートか知らないけど、焼き切れてるじゃん」
整備士長「はい。 最悪、廃棄になるかと思います」
シャーリー「え? パーツ交換すりゃいいじゃん?」
整備士長「実は魔導機も沈黙したままなんです。 原因は調査中ですが、もしも損傷によるものだとしたら、こいつは終わりです」
シャーリー「マジかよ…、ブリタニア基地の頃と違って予備機はまだ配備すらされてないってのに」
317: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 18:04:35.23 ID:EUZoJqN6O
整備士長「我々も最善を尽くしますが、今から間に合わせを手配した方がいいかもしれませんね?」
シャーリー(んー、でもユニットだけあっても履く奴の調子がなぁ…)
シャーリー「――あれ? …なあ、チーフ?」
整備士長「チーフはやめてください、大尉」
シャーリー「今“我々”って言ったけどさ、他の皆〈整備班〉は?」
整備士長「昨晩、ユーティライネン中尉に投げ飛ばされた者たちの穴埋め中です」
シャーリー「チーフ以外全員!?」
整備士長「大尉、チーフは――……はぁ。 もういいです」ガク
シャーリー「なんで整備班からそんなに人取るんだよ!? 優先順位おかしいぞ?」
318: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 18:08:21.76 ID:EUZoJqN6O
整備士長「いや、実は……他の班には体調を崩している者が多くて。 自分達の班から人手を出さざるを得ないんです」
シャーリー「……流行病か? 大丈夫かよ」
整備士長「まったく恥ずかしいですよ。 501の基地員である我々が、こんな素人みたいな様…」
シャーリー(宮藤も魔法かけてまわる余裕はしばらく無いから気を付けねぇと。 ……ていうかやりかねないから釘差しに行っとくか)ポリポリ
整備士長「…大尉の発進ユニット、今お持ちします」ダッ
シャーリー「あっ! いいよチーフ! あたし用事できたから、やっぱ後回しにする」
319: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 18:39:06.06 ID:EUZoJqN6O
宿舎 医務室
シャーリー「…宮藤いるかー?」ガチャ
芳佳「え…? あ、はーい! ここにいます」
シャーリー「おー、いたいた。 ここか」スタスタ
エーリカ「私もいるけど?」
シャーリー「見ればわかるよ」
エーリカ「……やっぱりトゥルーデっぽいね」
シャーリー「おいおい、まだ言うのか」
エーリカ「ほーら、そういうとこ!」
320: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 18:54:37.22 ID:EUZoJqN6O
芳佳「あ、あのシャーリーさん。 それで…私になにか用事ですか?」
シャーリー「ああ、そうそう。 ちょっとね」
芳佳「?」
シャーリー「なんか基地内で風邪だかなんだかが流行ってるみたいで、基地員の皆がけっこうやられちゃってるみたいなんだよ」
シャーリー「だからその、まぁ…なんていうか……あまり変な気起こすなよ? 今、宮藤の魔法力は冗談抜きでヤバいからさ」
エーリカ「…にしし、シャーリーは相変わらずだね?」
シャーリー「? なんだよハルトマン?」
エーリカ「その話なら大丈夫だよ、さっき私達もドクターから聞いたから。 ね、宮藤?」
シャーリー「え、そうなのか?」
321: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 19:05:46.44 ID:EUZoJqN6O
芳佳「はい! さっきハルトマンさんと一緒にサーニャちゃんのことで色々と聞きに行ってきました!」
エーリカ「今後のこととかね。 …時間は取ってもらえたけど、向こうの対応でかなり忙しそうにしてたよ」
シャーリー「そんなに大勢いんのか?」
エーリカ「すごかったよ、みんな暗い顔して順番待ちしてたし」
シャーリー「…少佐が基地員の元気がないって言ってたのも体調不良のせいか?」
エーリカ「そんなとこだねー。 でも見た感じ咳や発熱してる様子じゃなさそうだし、夏風邪ってよりは疲労かな」
シャーリー「…!? ………あー、そっか。 ハルトマンも医学に明るいんだっけ?」
エーリカ「一応ね、でもテキトーだよ」
322: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 19:25:17.27 ID:EUZoJqN6O
芳佳「……えーっと、アスピ…アスピぃ~~……これかな?」ゴソ
シャーリー「宮藤はさっきからなにやってんだ?」
エーリカ「薬の補充。 ドクターの診療を手伝うんだって」
シャーリー「え!? 待った、これ以上治癒魔法なんて使ったらヤバいってば!」
芳佳「はい、わかってます。 だから魔法は使いません! それでも私にできることで皆さんを助けたいんです!」
シャーリー「な、なんだそうなのか…よかった」
エーリカ「さすが、医者の卵だよね?」
シャーリー「……むしろ流石宮藤ってとこだろ」
323: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 19:32:26.46 ID:EUZoJqN6O
エーリカ「でも宮藤、それアスピリンじゃないよ」
芳佳「え? ち、違うんですか? 頭痛って書いてありますけど…」ス
エーリカ「それも鎮痛薬だけど……うん、アセトアミノフェンって書いてあるから違うね」ジー
芳佳「??」
エーリカ「これ、どこにあった?」
芳佳「え? あ、えっと…ここの棚です」
エーリカ「じゃあ多分同じところにぃ~――」ゴソゴソ
エーリカ「……バイエルアスピリン、これだ。 あ、あと一応これも」ヒョイ
シャーリー「……?」
324: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 19:37:32.45 ID:EUZoJqN6O
エーリカ「はい! これだよ」
芳佳「あ、ありがとうございます」
エーリカ「それと制酸薬も足りなくなると思うから、はい」
芳佳「制酸薬…?」
エーリカ「胃酸中和剤だよ」
芳佳「…あっ、そうですよね!? ありがとうございます!」
エーリカ「がんばれ~」
芳佳「い、行ってきます…」ステテ
ガチャ パタン
325: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 19:51:59.35 ID:EUZoJqN6O
シャーリー「………なんかすごいな? いつものハルトマンじゃないみたいだ」
エーリカ「ひどいなー」
シャーリー「…ていうか、一緒に行かないの?」
エーリカ「私はいいよ、ちょっと気だるいし。 めんどくさい」
シャーリー「正直なやつだなぁ」
エーリカ「……シャーリーは今平気なの?」
シャーリー「えぇ? なにが?」
エーリカ「起きた時は気にしてなかったんだけど、なんか私も調子良くないみたいなんだよね」
327: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 22:01:22.87 ID:EUZoJqN6O
シャーリー「おいおい、大丈夫か?」
エーリカ「うん、まぁ……たいしたことないと思うけどさ。 こんな状況の時に、寝てただけの私が休むのも悪いし」
シャーリー「……だれも責めたりしないって」
エーリカ「ちがうちがう、自分の問題だよ」
シャーリー「あんま気にすんなよ? 無理して心配増やす方が、あたしは問題だと思うけど」
エーリカ「ンフフ、ありがと。 まぁでも平気、生理みたいなもんだよ!」
シャーリー「そ、そっか…」
エーリカ「……でもシャーリーは平気なんだ?」
シャーリー「え? おお、まぁな。 昨日はゲロ吐いちまったけど」
328: SS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 22:08:56.39 ID:EUZoJqN6O
エーリカ「……」
シャーリー「…? どうした?」
エーリカ「うん、なんかさ…タイミングが合い過ぎてないかなって」
シャーリー「!」
エーリカ「なんかこの数日で、いろんなこと起きてない?」
シャーリー「……なるほど、偶然にしちゃ出来過ぎてるってか?」
エーリカ「確証はないけどね」
シャーリー「んー……いや、ちょっと調べてみる価値はありそうだな」
333: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 17:43:17.97 ID:sPKijP6OO
廊下
シャーリー「…さて。 んじゃ、どうすっかな」ンー
シャーリー(今回の騒動……あたしなりにいくつか推理はあるけど、もっと情報が欲しいな)
シャーリー(とにかく事の頭っから関わった奴の話を聞きたい。 けどサーニャは無理だから――)
シャーリー「…エイラかぁ(あいつも今は無理かなー…)」
シャーリー「ん~…」
シャーリー「……色々と心配もあるし、とりあえず様子見に行ってみるか」
334: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 17:46:02.12 ID:sPKijP6OO
――――
――
―
シャーリー「(…エイラのやつ、今のサーニャの状態知ったら絶対やばいだろな。 どう説明すりゃ――…いや、いっそ隠した方がいいか? )……ん~」スタスタ
シャーリー「…ん? 中佐達だ」
美緒「――ああ、これは一時凌ぎに過ぎんしな」
ミーナ「作用量ギリギリの投与だけど、オーバードースや依存後遺症の危険を考えると今回きりにするべきね」
美緒「うむ……では、効いているうちに話してしまうか?」
ミーナ「…それも危険じゃないかしら?」
美緒「だが隠すリスクも大きい。 サーニャが直ぐに回復する保証は無いからな」
ミーナ「……ええ、でも…」
335: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 18:01:57.75 ID:sPKijP6OO
シャーリー「少佐ー、中佐ー」スタタ
美緒「む? シャーリーか」
シャーリー「…どうしたんです2人して? エイラになんかあったんですか?」
美緒「丁度いい所へ来たな。 シャーリー、お前の意見も聞きたい」
シャーリー「え?」
ミーナ「実は、ついさっきエイラさんが目を覚ましたの」
シャーリー「おぉ、そうなんですか! ……大丈夫でした?」
美緒「いや、駄目だ」
シャーリー「…だよなぁ。 無理もないか」
336: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 18:10:38.74 ID:sPKijP6OO
ミーナ「かなり不安定な状態だったから、非常処置として鎮静剤を打ったわ」
シャーリー「…!」
美緒「甲斐あって今はどうにか落ち着いている。 私は今のうちにエイラに事実を受け入れさせるべきだと考えるが」
ミーナ「私はもう少し様子を見てからにした方がいいと思うの。 確かにいずれは話さなければいけない事だけど…」
シャーリー「……」
美緒「お前はどう思うシャーリー? 今回の事の大きさを鑑みるに、エイラをこのまま腐らせておく訳にはいかんだろう?」
シャーリー「…そうですね。 あたしも早いとこ手を打たないと、このままもっとヤバい事になるような気がします」
美緒「ああ、同感だ」
シャーリー「けど今エイラにサーニャの事を話す必要はないんじゃないですか?」
ミーナ「シャーリーさん…!」
337: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 18:17:45.24 ID:sPKijP6OO
美緒「…何故だ?」
シャーリー「手を打つにしたって何が起きてるのかすらわからない状況ですし、まずはそっちの情報を集めるのが先だと思いますよ?」
シャーリー「エイラにリカバリーしてもらうのはそれからでも遅くないですって! それに中佐の心配するように万が一があったらもう聞き取りどころじゃなくなりますよ?」
美緒「むぅ…そうか」
シャーリー「てのが、あたしの考えです」
ミーナ「…美緒、どうかしら?」チラ
美緒「んー……確かにそうだな。 しかし何も分かっていないからこそ、一刻先が安全な保証はない。 この状態で敵が来たらどうする?」
シャーリー「そん時は、あたしがエイラの分までやりますよ!」
338: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 18:41:51.05 ID:sPKijP6OO
美緒「……その台詞にどれだけの責任が伴うか分かっているんだろうな?」
シャーリー「勿論」
美緒「…いいだろう。 お前に任せる」
シャーリー「あいあいマーム!」
ミーナ「今なら落ち着いて話せると思うけど、少し朦朧としてるかもしれないから注意して」
シャーリー「その方がかえって好都合ですよ。 …中佐達は一歩下がっていて下さい」ガチャ
美緒「何故だ?」
ミーナ「…なるべくストレスをかけないようにって事ね? わかったわ」
340: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 19:50:08.48 ID:sPKijP6OO
エイラーニャ部屋
エイラ「……」ポケー
シャーリー「よ、エイラ。 邪魔するよ」
エイラ「…シャーリー?」
ミーナ「……」
美緒「……」
シャーリー「んー、少し顔色よくなったじゃん!」
美緒(…?)
341: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 19:52:18.71 ID:sPKijP6OO
エイラ「……そうか…?」
シャーリー「なってるなってる。 でもドクターが言うには風邪もひいてるみたいだから、今日はまだじっとしてた方がいいぞ?」
美緒「……そうなのか?」ヒソ
ミーナ「いえ、知らないわ。 エイラさんは魔法力の過剰消費による体調不良だけの筈よ…」ヒソヒソ
エイラ「…うん、なんかちょっと頭がボーッとする。 変な感じだナ…」
シャーリー「(鎮静剤の作用か)気だるい時に悪いんだけどさ、ちょっとだけ聞いてもいいか? 急いでるんだ」
エイラ「……うん」
シャーリー「サンキュ。 …3日前の夜間紹介の事なんだけど、覚えてるか?」
エイラ「…3日前……」
シャーリー「ほら、えーっと…中佐が休んだ日の」
342: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 19:56:46.80 ID:sPKijP6OO
エイラ「……3日前…? ぅぅん…ワタシは確か…」ポケー
シャーリー「……」
ミーナ「…シャーリーさん、それ以上はサーニャさんの事に――」
美緒「待てミーナ。 暫くシャーリーに任せよう」ス
エイラ「……」
シャーリー「…ダメか」
エイラ「ごめんシャーリー……ワタシねむいぞ…」
シャーリー「あ、待った! じゃあ一昨日の夜はどうだ!? 少佐と飛んだんだろ?」
エイラ「少佐…? ………ああ、うん…そうだったカモな…」
343: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 20:00:27.99 ID:sPKijP6OO
シャーリー「なにかおかしな事とかなかったか? なんでもいい」
エイラ「……少佐に聞いてくれぇ…」
シャーリー「もう聞いたよ! お前の意見も聞きたいんだ!」
エイラ「…ゥ~……なんか、すごい嫌だったナー…」
シャーリー「嫌だった?」
エイラ「ずーっと…、ずーっと胸騒ぎがしてたんだ……嫌な感じだったぞ…」ポケー
シャーリー(胸騒ぎ…!?)
エイラ「…でもケッキョク、見つけたのはイルカの大群だけだったナ……」
344: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 20:04:48.50 ID:sPKijP6OO
シャーリー「イルカか。 …?」チラ
美緒「ああ、間違いない。 丁度エイラの予知が起こる前だ」コク
ミーナ「アドリア海には多いのよ。 ネウロイの侵略域から退去した群れだと思うわ」
シャーリー「…そうですか」
エイラ「……もうイイか? ネムイ…」ドサ
シャーリー「あ、あぁ。 オーケー、サンキューな(殆どなんも聞けてないけど、しょうがないか)」
エイラ「……」ポケー
シャーリー「ほら、ちゃんと布団かけろよ? 夏でも今日は冷えてるからさ」パサ
エイラ「…なぁ、シャーリー」
シャーリー「ん? どうした?」
エイラ「…………サーニャはどこだ?」
345: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 20:14:18.04 ID:sPKijP6OO
シャーリー「えっ」
美緒「……」
ミーナ「っ……」
シャーリー「…サーニャも休んでるよ。 ほらエイラもゆっくり――」
エイラ「下のベッド、ここはサーニャのだぞ……?」
シャーリー「今は別室で寝てるんだって。 お前の風邪が移ったらヤバイだろ?」
エイラ「……」
シャーリー「な?」
346: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 20:16:41.25 ID:sPKijP6OO
エイラ「……そっか、そーダナ…。 ワタシのせいでサーニャに迷惑かけちゃったな…」
シャーリー「大丈夫だって、もういいから――」
エイラ「…ごめんなサーニャ。 ……ごめん…ッ…、ワタシの…せいっで…サーニャ……ッ~」グス
シャーリー「!?」
エイラ「~ぅぅ……ッ…ごめ……サ…ニャ、…ごめん…~ぅぐ…ッ」ポロポロ
シャーリー「……エイラ、お前」
ミーナ「シャーリーさん」グイ
シャーリー「! 中佐?」
ミーナ「……」フルフル
347: SS速報VIPがお送りします 2015/04/08(水) 20:18:46.65 ID:sPKijP6OO
ミーナ「ここまでよ、暫くはそっとしてあげましょう?」
美緒「…そうだな」
シャーリー「……わかりました。 それじゃ、あたしは失礼します」スク
美緒「どうするつもりだ?」
シャーリー「自分のやれることをやりますよ。 …ちょっと確かめたいことがあるんで」スタスタ
ガチャ パタン
…タッタッタ――
ミーナ「シャーリーさん…」
美緒「ふむ……どうするべきか」ムゥ
354: SS速報VIPがお送りします 2015/04/16(木) 22:12:10.94 ID:yX4M6mo2O
滑走路
ザザァーン…
シャーリー「……」
シャーリー「…なーんも掛かんねぇなー」
ザザァーン…
シャーリー「……」
シャーリー「タイミングが良すぎる、か…(だとすると、やっぱ――)」
『おい、シャーリー』
355: SS速報VIPがお送りします 2015/04/16(木) 22:19:55.70 ID:yX4M6mo2O
シャーリー「ん…? おーバルクホルン、どうかしたか? こんなとこで」
バルクホルン「それはこちらの台詞だ。 お前こそ何をしている?」スタスタ
シャーリー「見たことない? 釣り」クイ
バルクホルン「…この非常時に何故そんなことをしているのかと聞いているんだ」
シャーリー「まあ、ちょっとな」
バルクホルン「隠すな! お前がふざけていないことぐらい、私にはわかる」
シャーリー「……」
バルクホルン「いったい何をしている? 答えろシャーリー」
356: SS速報VIPがお送りします 2015/04/16(木) 22:32:01.85 ID:yX4M6mo2O
シャーリー「……あの時あたしもサーニャも、なんかしらをやられたんだ。 自然現象なんかじゃない」
バルクホルン「? …ああ、今朝に聞いた話だな」
シャーリー「でも、いったいなにをされたんだ?」
バルクホルン「それを調べているというのか? 釣りで…?」
シャーリー「…なあバルクホルン。 お前、マジで生理じゃないんだよな?」
バルクホルン「そ、それがどうした!?///」
シャーリー「ここ数日、皆の体調や精神が不安定過ぎると思ってさ」クイクイ
シャーリー「中佐、宮藤、サーニャ、ルッキーニ、……ハルトマンもそうらしい」
バルクホルン「なに?」
357: SS速報VIPがお送りします 2015/04/16(木) 22:49:53.35 ID:yX4M6mo2O
シャーリー「始めは疲れか、そういうプライベートな事情だろと思ってたけど……ここへきて基地員も大勢ダウンしてる。 お前が情緒不安定なのも、もしかしたらさ…?」
バルクホルン「……なるほど、それが謎の襲撃の正体を掴むヒントになるか。 だがどうして釣りなんだ?」
シャーリー「被害調査だよ。 この辺にいるのは“あたし等”だけじゃないだろ?」
バルクホルン「!」
シャーリー「あたしが下手なだけかもしれないけど、もう2時間近くもやって全く反応ない」
バルクホルン「確かにこの辺りは沖に出なくとも海魚が見られる。 この基地をも含む規模で、何かが起こった――…いや、起きているのか!?」
シャーリー「かもな? んで、もしそうなら今回の騒動と関係ないなんて考えないだろ?」
バルクホルン「……そうだな、いくらなんでもタイミングが合い過ぎている。 いったい何が…?」
シャーリー「肝心のそこが分かんねぇんだよなー。 …あーもう止めた」ヒョイ
361: SS速報VIPがお送りします 2015/04/17(金) 00:24:06.97 ID:wNOHHnSjO
バルクホルン「んー…だがエイラ達が異変を察知した空域はここから離れているんだぞ? 本当にそんなことが――」キョロキョロ
バルクホルン「…!? あれは…!」
バルクホルン「おい、シャーリー!」
シャーリー「あーちょっと持って。 今糸が絡まっちゃってて――」
バルクホルン「後にしろ!!」グイ
シャーリー「ぐぉわっ! なんだよ!?」
バルクホルン「あそこだっ! 見ろ!」
362: SS速報VIPがお送りします 2015/04/17(金) 00:28:51.59 ID:wNOHHnSjO
シャーリー「!? 魚が…!」
バルクホルン「全部死んで岸まで流れ着いている様だ。 多くはないが、あの数は普通じゃないぞ?」
シャーリー「……やっぱりか」
バルクホルン「…つまり、アドリア海中枢からここに至るほどの何かがサーニャを瀕死に追い込み、お前に嘔吐させたということなんだな?」
シャーリー「ああ。 …予想が当たったのに嫌な気分だよ、くっそ!」
バルクホルン「だがそれだけ巨大な規模となると……本当に作為的な物なのか? ネウロイに結びつく証拠も結局無いままだ、流石に何かしらの自然災害とも考えられるんじゃないか?」
シャーリー「……いや、違う。 あの時あたしとサーニャは攻撃されたんだ」
バルクホルン「どうして断定できる?」
シャーリー「エイラの未来予知は多分正確だった。 それで少佐達やハルトマンは止められたんだろ?」
363: SS速報VIPがお送りします 2015/04/17(金) 00:32:36.17 ID:wNOHHnSjO
バルクホルン「ああ、それ以上進むと撃墜されると言われた。 だがそれは現象の効果エリア線と考えれ――…!? そうか!!」ハッ
シャーリー「…な? 本当はここまで届くんだよ、この辺の魚も死んでるし」
バルクホルン「だが、それならどうして私達は血を吐かずに意識を保っている!?」
シャーリー「それはわかんねぇけど……サーニャは多分そのラインを超えて、捕捉されたんじゃないかって思うんだ。それでやられたんだよ」
バルクホルン「……」
シャーリー「考えても見ろって。 エイラが止めたその辺を、ちょっと超えたら死ぬかもしんないのにギリギリ超えなきゃ平気って変だろ? 距離とダメージが比例するならわかるけど」
バルクホルン「それは、そうだな。 確かに」
シャーリー「けどまあ、その何かの余波っていうか影響がここまで届いてるからこうなってるんだろうけどさ」
364: SS速報VIPがお送りします 2015/04/17(金) 00:38:03.33 ID:wNOHHnSjO
バルクホルン「…ここが狙われていないにしろ、早く正体を突き止めて対策を取らなければな」
シャーリー「ん~、いまいち手掛かりがなぁ…。 そもそも見えない……つーか全く自覚なくやられるってのが謎だ」ポリポリ
バルクホルン「……現象は起こるんだ、つまり起因するものが必ず存在する。 何も無いわけがないという意識で考えればいい」
シャーリー「…なにかわかったのか?」
バルクホルン「そこにある筈、しかし視認できない。 となれば対象はそれほどに微細という事だ」
シャーリー「うんうん」
バルクホルン「……ずばりウィルス。 我々の体調不良も細菌兵器の仕業に違いない!」
シャーリー「さ、細菌!?」
バルクホルン「目に見えぬ程となれば当然質量も小さい。 風に乗ってここまで来ることだって考えられる」
シャーリー「……まぁ、そうか」ムム
365: SS速報VIPがお送りします 2015/04/17(金) 00:39:33.37 ID:wNOHHnSjO
シャーリー「んー、ウィルスか…………ぁ! でもさ――」
バルクホルン「早速ミーナに報告して来よう!」
シャーリー「あっ! おい待てって!」
バルクホルン「事態は一刻を争う、直ちに対策を練る!」ダッ
シャーリー「ちょ……バルクホルン!!」
タッタッタッ――
シャーリー「…………本当にウィルスなのか?」
366: SS速報VIPがお送りします 2015/04/17(金) 00:50:29.53 ID:wNOHHnSjO
シャーリー「……」
シャーリー(なんか引っ掛かるな。 あんまり納得がいかねぇ、なんでだ…?)
シャーリー「…自覚してないだけかもしんないけど、あたしは基地にいても健康だし。 特別に鬱屈もイライラもしてないと思う…」
シャーリー(個人差があるのか? ……病気になり難いとか? それとも体質? 抗体ってやつ??)
シャーリー「…………違うよな。 だってあたし、サーニャを連れて逃げる時はくらったんだ」
シャーリー(じゃあなんで今はピンピンしてるんだ? ……そうだ自分で言ったんじゃんか、サーニャとあたしは捕捉されてた! つまり相手の射程圏内だったからここより強くて――)
シャーリー(…てことはウィルスじゃないだろ!? 感染ってのは白か黒なんだから、距離なんて関係ないっ!)
シャーリー「いや、でも程度はあるのかも…?? ……だぁーーもうっ! 頭がこんがらがってきた!!」クシャクシャ
370: SS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 06:02:31.03 ID:0zYaFuyzO
――――
――
―
格納庫
シャーリー「……あーも~! 全然わかんね」ポイ
シャーリー「ユニットのディチューンもイマイチだし。 …もーこれでいいや」パタン
シャーリー「はぁ…」
シャーリー(そもそも基地員まで全員やられてるってのに、サーニャと一緒にいたあたしがゲロだけで済んだっつーのもなんか――)
。
◯
(整備士長『まったく恥ずかしいですよ。 501の基地員である我々が、こんな素人みたいな様…』)
◯
。
シャーリー「 ! 」ハッ
371: SS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 06:05:11.60 ID:0zYaFuyzO
シャーリー「…………そっか。 あたしだけじゃないや、平気な奴」
シャーリー「…整備チームの皆は大丈夫っぽい。 なんで? ストライカーの整備士には感染しないウィルス……な訳ないし」
シャーリー(チーフ達とあたしの共通点……見えない敵、攻撃……死んでる魚…)
シャーリー「……それから」
。
◯
(シャーリー『――チッ、高積雲かよ』)
(エイラ『見つけたのはイルカの大群だけだったナ…』)
◯
。
シャーリー「っ!! もしかして…!?」
『お~い、シャーリー?』
タッタッタッ
シャーリー「……」
372: SS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 06:06:14.74 ID:0zYaFuyzO
エーリカ「いたいた、すぐ見つかって助かったよ」
シャーリー「……」
エーリカ「さっきミーナと話してたらトゥルーデが来てさ? 例の攻撃の正体がわかったって!」
シャーリー「……違う」ボソ
エーリカ「えっ?」
シャーリー「…そうじゃないっ!!」ダッ
エーリカ「あっ、ちょっと!」
373: SS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 06:19:16.16 ID:0zYaFuyzO
滑走路先端
シャーリー「っはぁ……ふぅ…はぁ……(あたしらには無理でも、こいつなら…!)」フィィン ピョコ
シャーリー「~はぁふ……はぁ…(くそぉ、自分の息遣いが邪魔だ!)」
シャーリー「ッ…!」ピク
タッタッタッ
エーリカ「も~、急に走り出してなんだよぉ?」スタタ
シャーリー「……」
エーリカ「こっちは結構急ぎの用なんだからさ、話聞いてよ?」
シャーリー「…あたしの血液でも欲しいってんだろ」
エーリカ「え? なんでわかったの??」
374: SS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 06:22:00.17 ID:0zYaFuyzO
シャーリー「そんなウィルスも、あたしの体に抗体も多分無いよ」
エーリカ「……それってどういう――」
シャーリー「しっ! 静かに!」
エーリカ「!?」
シャーリー「……」ピョコ
エーリカ「…?」
シャーリー「…………――」ピョコ ピョコ
≪ … …≫
シャーリー「……やっぱり、そういう事か」
375: SS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 06:23:43.98 ID:0zYaFuyzO
エーリカ「…なにが??」
シャーリー「ハルトマン! 悪いけど先にあたしの話を聞いてくれ、医学的な検知ってやつの意見も聞きたい」
エーリカ「え? …なに? ていうか私は素人だってば」
シャーリー「んぁ、そっか。 …どうしよう。 多分間違いなさそうだけど、わかりそうな奴にちゃんと確認取りたいな…」
エーリカ「ねえ、なんの話さ? シャーリーってば!」
シャーリー「ああ、わりぃ。 …今から説明するよ。 エイラが予知して、サーニャを襲った謎の正体をな」
380: SS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 00:16:23.08 ID:fGAaH6Ic0
通信室
ミーナ「…そういった状況ですから、遺跡調査に派遣されている人員を直ぐに撤退させてください」
『その必要はない。 調査は引き続き行う』
ミーナ「!? 危険です閣下!」
『リスクを負わずに得られるものがこの世にあるかね、ミーナ中佐? 我々に必要なのは撤収ではなくそれなのだよ』
ミーナ「(…リスクですって!? 自分の命じゃないのよ!!)……そこまでして、いったい何をお調べなのですか?」
『君達には直接関係の無いことだ』
ミーナ「…ここの責任者は私です。 基地内で行われる事項について把握する義務があります」
381: SS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 00:20:28.75 ID:fGAaH6Ic0
『ほぅ…言うな中佐? だが私は君の上司だ。 これがお願いに聞こえるのなら君の評価は変えざるを得ないな、君の部下達もさぞかし残念がるだろう』
ミーナ「っ……」ギリ
『報告ご苦労だった、そのまま基地及び戦線防衛に尽力したまえ』
ミーナ「…了解、しました」
『うむ』ブツッ
ミーナ「……」
ミーナ「(なんだかきな臭い、…何か企んでるわね)……絶対に逃がさないわ」
ガチャッ
エーリカ「あ!」
シャーリー「うおっ! 中佐!?」
ミーナ「! シャーリーさん、エーリカ」
382: SS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 00:30:06.96 ID:fGAaH6Ic0
エーリカ「ミーナ通信機使うの?」
ミーナ「…いいえ、丁度終わったわ。 どこへ繋ぐの?」
エーリカ「ちょっと妹に挨拶」
ミーナ「…? いいけど、あまり私情でここを使うのはやめなさい? その為の物だってあるんだから」
エーリカ「はーい」
ミーナ「…で、シャーリーさんは採血よね? 事情は聞いてるかしら?」
シャーリー「えっ? あぁっと、それなんですけど中佐…」
ミーナ「なに?」
シャーリー「ちょっと待ってもらえませんか? 多分ウィルスの線は考え難いですよ」
ミーナ「…と言うと?」
383: SS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 00:51:28.65 ID:fGAaH6Ic0
エーリカ「トゥルーデがひとりで突っ走っちゃったんだって? 私も聞いたけど、確かにシャーリーに一理あるよ」
シャーリー「それにあたしが比較的元気だからって、血を抜いて調べても何にもなんないと思いますよ?」
ミーナ「そう。 でもそれだけはっきり言うって事はシャーリーさん…?」
シャーリー「まだ確認中です。 混乱しないためにも確信を持ってから話します」
ミーナ「……(なるほど、それで)」チラ
エーリカ「?」
ミーナ「(…協力もしているみたいだし、大丈夫そうね)わかったわ。 バルクホルン大尉には私から伝えておくけど、先に会ったら上手く説得して頂戴?」
シャーリー「了解です」
384: SS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 01:01:28.76 ID:fGAaH6Ic0
ミーナ「…それじゃあ、私も急ぐから」スタスタ
エーリカ「ミーナどこ行くの?」
ミーナ「こっちも少しやる事があるの。 私に用がある時は、訪ねないで内線でお願い」ガチャ
パタン
シャーリー「……? 中佐も忙しそうだな」
エーリカ「こんな時だしね。 えーっと技術省に繋ぐにはー…」カチャカチャ
シャーリー「(通信兵も全員ダウンしてるのか? もし人払いしたんだとしたら、中佐はいったいどこに…?)」
エーリカ「…あ、もしもし? こちら501のエーリカ・ハルトマンですけど――」
389: SS速報VIPがお送りします 2015/04/25(土) 00:55:49.21 ID:of12V4IuO
――――
――
―
シャーリー「……まだかー?」ファ~
エーリカ「もうちょっと待って、もう解ったから」カチャカチャ
シャーリー「何回たらい回しにされてるんだよ…。 ハルトマン、自分の妹の連絡先把握してないのか?」
エーリカ「ごめんーって~……ぁ、もしもし? 501のハルトマンだけど、ウルスラいる!?」
シャーリー(切り出しが雑になってるし…)
『……ぇ、姉さま?』
シャーリー「お、きた!」
エーリカ「ウルスラ!? …やった、やーっとだぁ~」
ウルスラ『…どうしたんですか姉さま、突然ここへ直通信だなんて?』
390: SS速報VIPがお送りします 2015/04/25(土) 00:58:19.66 ID:of12V4IuO
エーリカ「うちのシャーリーがさ、ウルスラに聞きたいことがあるって?」
ウルスラ『……イェーガー大尉がですか?』
エーリカ「ちょっと待ってー、今変わるから」
ウルスラ『ぁ…姉さま!?』
エーリカ「はい、シャーリー」クイ
シャーリー「…挨拶とかいいのか?」
エーリカ「急いでるんでしょ? ほーら!」
シャーリー「さ、サンキュー…」パシ
391: SS速報VIPがお送りします 2015/04/25(土) 01:06:32.41 ID:of12V4IuO
シャーリー「……あー、もしもし? イェーガーです。 どうも」
ウルスラ『ぁ、はい。 ねえさ……エーリカ・ハルトマンの妹のウルスラです。 お久しぶりですイェーガー大尉』
エーリカ「なんかぎこちないな~」
シャーリー「一回挨拶した程度なんだからしょうがないだろ!?」
ウルスラ『あの、それで……私にお聞きされたい事というのは…?』
シャーリー「あ、あーそうそう! えっと…その、ハルトマンの妹は読書家で色々詳しいって聞いたからさ」
ウルスラ『はあ……? 確かに、昔は本の虫でしたが』
シャーリー「それでちょっと聞きたいんだけど……あー、なんて言えばいいかな? えーっとぉ……」
エーリカ「じれったいな~」
ウルスラ『…あの、宜しければ順序立てて説明されてはいかがしょう? その方がお役に立てると思います』
392: SS速報VIPがお送りします 2015/04/25(土) 01:13:49.04 ID:of12V4IuO
――――
――
―
ウルスラ『……』
シャーリー「どうかな? あたしは経験上そうじゃないかと思ってるんだけど」
ウルスラ『…イェーガー大尉の仰ったことに関して学術的に有意なものは少ないですが、因果関係はある程度支持されています』
シャーリー「やっぱそうか!」
ウルスラ『ですが理論も本に書かれた知識同様、所詮は机上の物です。 あくまで“それ”を恣意的に起こせればの話ではあります』
シャーリー「…そこは、正直自信ないな。 あたしも信じたくないくらいだし…」
エーリカ「ウルスラはどう思う、他に何かあるかな?」
393: SS速報VIPがお送りします 2015/04/25(土) 01:25:43.07 ID:of12V4IuO
シャーリー「うぉっ!? おいハルトマン、横からいきなり…!」ヨロ
ウルスラ『そうですね……。 敵対象を想定したとして、それが捕捉できない原因を距離が離れていること以外で考えるのはどうでしょう?』
エーリカ「…透明なネウロイってこと?」
ウルスラ『例えばそういうことです』
シャーリー「距離以外でか……う~ん…」
エーリカ「確かに見える所にいないんじゃなくて、敵も単に見えないだけって言うのはアリだね? そんなの居てほしくないけどさ」
ウルスラ『はい』
シャーリー「…でもそれだとまた色々辻褄が合わなくなるんだよなぁ。 攻撃の正体は多分間違ってないと思うし」
ウルスラ『対象が透明であるという仮説はあくまでも一例です、大尉』
エーリカ「えー? 私の意見は却下!?」ム
シャーリー「場合によってはそれも考えるよ」
394: SS速報VIPがお送りします 2015/04/25(土) 01:30:04.64 ID:of12V4IuO
ウルスラ『申し訳ありませんが私も頂いた話だけではハッキリした事はわかりません。 …つまりは頭を柔らかくして考えることが、答えに近づくヒントになるのではというのが私の意見です』
シャーリー「…柔らかく……ん~」ポリポリ
エーリカ「というかさ? 考えるのもいいけど、とりあえず対策とってみてからでもいいんじゃない?」
ウルスラ『姉さまの言うことも最もですね。 あまり時間を使える事態でないのは確かだと思います』
シャーリー「……そうだな」
ウルスラ『でしたら私の方でその為に役に立ちそうな物が有るので、急いでそちらにお送りします』
シャーリー「お、まじで!?」
ウルスラ『はい。 数はあまりないのでウィッチの方々の分しか用意できませんが』
395: SS速報VIPがお送りします 2015/04/25(土) 01:36:02.99 ID:of12V4IuO
エーリカ「さーっすがウルスラ! 用意がいいね!」
ウルスラ『本日中に輸送機で出しますので、検閲に時間を取られなければ明日にはそちらへ届くと思います』
シャーリー「サンキュー! ホント助かる」
エーリカ「どんな物なの? あまり使うの面倒なのはやめてよ?」
ウルスラ『大丈夫ですよ姉さま。 使い方は――』
――――
――
―
ノイエ・カールスラント領
某所
ウルスラ「――はい、それでは」
ウルスラ「…ぁ、姉さま? 大変な事態だと思いますけど、あまり無理はしすぎないでくださいね?」
ウルスラ「…………はい。 では失礼します」
ウルスラ「……」パチン
モブ博士「…501か、アドリア北西が何か物騒になっている様だね?」スタスタ
ウルスラ「! 博士」
396: SS速報VIPがお送りします 2015/04/25(土) 01:44:56.31 ID:of12V4IuO
モブ博士「いやすまない、音漏れが聞こえてしまったのでね」
ウルスラ「…ヴェネツィアの事もありますし、ロマーニャ南北で戦線が多面化する恐れもあります」
モブ博士「妹さん達が心配かな?」
ウルスラ「……」
モブ博士「……ふぅ。 フリーガーシュレッグの開発は少し休憩だろうな」
ウルスラ「…博士。 アレを501基地に送りたいのですが」
モブ博士「わかった、10人分だね? 直ぐに用意しよう」
ウルスラ「いえ、11人分をお願いします」
モブ博士「! ……わかった」
『――それにしても無人機開発部の奴等はまたどこ行ってんだろうな?』
『無人機開発部って…確か連合上層に参加してる高官の膝下だよな? なんかロマーニャに遠征調査しに行ってるらしいぞ?』
ウルスラ「…?」
ガチャ
モブ研究員A「俺はどうも連中は嫌だな。 例の件じゃあのマロニーに一枚噛ませてたって噂もあるし」スタスタ
モブ研究員B「ははっ、ウォーロックは失敗したんだろ? ブリタニアの元大将はとっくに失脚したし、ガランド中将お抱えの我ら魔導機開発部には関係ないことさ」ヘラ
モブ研究員A「いやそれが、なんでも今度は扶桑の――」
ウルスラ「……」
モブ博士「…君達! 現場に休憩の空気は持ち込まないようにしなさい」
399: SS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 12:02:00.10 ID:dmASoip8O
501基地
執務室
『なるほど。 相変わらず受難が多いな君は』
ミーナ「…やめてくださいガランド中将、自分では考えないようにしているんですから」
ガランド『ああそうだったか、すまない。 …それで? 秘匿のプライベートラインまで使ってまた何の用件かな?』
ミーナ「……今回の上層部の動き、中将なら何かご存知なのではと」
ガランド『フッ、それはどうかな? 私は彼奴らに内心煙たがられているからなぁ。 腹の底はわからないよ』
ミーナ「…隠さないでください」
ガランド『いや、本当に具体的な所はわからないさ。 だがな中佐――』
ガランド『もしかすると、随分ややこしい事になってるかもしれないぞ?』
ミーナ「……どういうことです?」
400: SS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 12:28:53.41 ID:dmASoip8O
ガランド『君達の基地となっているその古代遺跡が、表層でしかないことは知っているだろう?』
ミーナ「はい。 耳にされていると思いますが、先日ここのウィッチ達が地下区画を発見してひと騒動ありました」
ガランド『ひと騒動か……あの北郷の教え子が君にディープキスしたそうだな? 驚いたよ』
ミーナ「っ!!? ど、どうしてそんな事…!?////」
ガランド『君がこうして頼る程に、私の情報網は侮れないということだ』
ミーナ「ぃ、いえ…あのっ! 違うんですガランド中将!? あれは坂本少佐がワインで――///」
ガランド『クッフフ! 話が逸れたな、すまない』
ミーナ「~~っ……こ、この件についても今は考えないようにしていますので…」グヌ
401: SS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 12:48:42.27 ID:dmASoip8O
ガランド『話の続きだが。 君も今言ったその報告……具体的には遺跡深層が活きていた事がきっかけなんだが、調査の名目でメスが入っている』
ミーナ「名目…? 実態調査ではないんですか!?」
ガランド『確かに調査には違いないだろうが、そこまでのんびりした話では無いな。 恐らく連中は“あたり”をつけてやっている。 だからこそ引かないんだ』
ミーナ「……いったい何の目的で?」
ガランド『残念だが詳細はわからない。 そもそも私は自国の空軍ウィッチを預かったまでの立場で、欧州連合のピラミッドに登ったことは無いのでな』
ミーナ(統合編成の立役者が随分なご謙遜だわ)
ミーナ「…ですがガランド中将の耳にも届いてないということは、やはりウィッチとは無関係なのでしょうか?」
ガランド『そこは難しい所だな』
402: SS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 13:01:12.29 ID:dmASoip8O
ミーナ「ぇ…?」
ガランド『彼奴らの調査対象はウィッチ、だが“我々”ではないのだろう』
ミーナ「……」
ガランド『…君はマレフィキウムという言葉を知っているか?』
ミーナ「? いえ……まさかラテン語ですか?」
ガランド『そう、帝国時代のロマーニャの公用語だ。 君達が見つけた宝の地図にも使われていたらしいな』
ミーナ「はい。 …そのマレフィキウムが何か?」
ガランド『少し前から上で耳にするようになってな。 私もなかなか多忙で辞書を引く暇もないんだが、どうやらタブーに関わる語彙らしい。 陛下の前で口にしたら叱られてしまったよ』
ミーナ「何をなさっているんですか…」ガク
403: SS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 13:16:57.80 ID:dmASoip8O
ガランド『いや陛下なら存じているかと思ってそれとなく伺ってみたんだが、口をつぐまれてしまった』
ミーナ「…陛下の指示を無視してまだ飛んでいるからじゃないんですか?」
ガランド『フフ、かもしれんな。 …ああ、それともう一つ! “悪魔狩り”なら君も知っているな?』
ミーナ「悪魔狩り? ……ええ、はい。 ウィッチ達へのプロパガンダの為に昔からある、子供向けの作り話ですよね?」
ガランド『私も同じ認識だが、どうも連中はそれを真に受けている節がある』
ミーナ「…はい?」
ガランド『聞いたのはさっきのラテン語と丁度同じ頃だ。 ……これは少々クサイぞ中佐?」
ミーナ「……確かに、ややこしそうですね」
ガランド『まだまだ受難は続きそうだな』
ミーナ「ええ。 …それが私の仕事ですから」ハァ
404: SS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 14:00:17.03 ID:dmASoip8O
ガランド『今の私に分かることはこれぐらいだな。 遺跡調査に出ている者達にはカールスラントの技術チームもいる様だから、君達にも情報開示するよう根回しはしてみよう』
ミーナ「よろしくお願いします」
ガランド『しかし結果を導くのは、現場にいる君達だ』
ミーナ「…わかっています。 501もウィッチーズも私が守り抜きます」
ガランド『任せるぞ中佐、君達の立場はできる限り私が守ろう』
ミーナ「はい。 ありがとうございます」
ガランド『…では、健闘を祈る』
プツッ……
ミーナ「……」
ミーナ「…さてと、今が頑張りどころね!」
405: SS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 14:09:17.55 ID:dmASoip8O
医務室
芳佳「……」
サーニャ「…」
芳佳「サーニャちゃん。 私、家族も友達も……もう大切な人がいなくなっちゃうのは嫌だよ」
サーニャ「…」
芳佳「…誰にもあんな悲しい思い、して欲しくない」ギュ
サーニャ「…」
芳佳「……だから、だから必ず助けるよ。 サーニャちゃんが目を覚ますまで私が絶対に守るから!」
サーニャ「…」
芳佳(もう、誰も傷つけさせたくない…!)
406: SS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 14:12:10.06 ID:dmASoip8O
【中編おしまい】
397: SS速報VIPがお送りします 2015/04/25(土) 01:49:04.66 ID:of12V4IuO
すみません、アニメ2期時点でガランドさんは少将と中将のどっちなのか自信ないです
414: >>1 2015/05/16(土) 21:05:06.94 ID:pKdQ8I4JO
※ガランドさんはアニメ2期時では少将だったようです、すみません。以降出る場合は少将として修正します
さらにエイラーニャの二段ベッドの下はサーニャでなくエイラの寝床でした。こちらは修正せずにやっちゃいます
さらにエイラーニャの二段ベッドの下はサーニャでなくエイラの寝床でした。こちらは修正せずにやっちゃいます