男「死なせてくれ」 幼女「あたしもしぬ」
1: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:40:53.48 ID:v+qOhYE90
人里離れた山奥──
男「会社をリストラされ、女房に愛想を尽かされ──」
男「夢はついえ、残るのは悪夢ばかり……」
男「生きる気力もなくなった……」
男「せめて、この故郷の山で死のう」
枝にかかったロープの輪に、首を通そうとする。
幼女「だめよ、おじちゃん!」
男「!?」
幼女「だめだよ!」
男(な、なんだこの子は……)
男「会社をリストラされ、女房に愛想を尽かされ──」
男「夢はついえ、残るのは悪夢ばかり……」
男「生きる気力もなくなった……」
男「せめて、この故郷の山で死のう」
枝にかかったロープの輪に、首を通そうとする。
幼女「だめよ、おじちゃん!」
男「!?」
幼女「だめだよ!」
男(な、なんだこの子は……)
3: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:42:53.76 ID:v+qOhYE90
男「君はこんなところで、何をしてるんだい?」
幼女「あたし、いつもこの山であそぶの」
男(くそっ、けっこう奥深くまで入ったつもりだったが……まさか子供とは)
男「おじちゃんはね、これから大事な用があるんだ。だから、向こうに──」
幼女「しぬ気でしょ?」
男「!」
幼女「だめだよ、しんじゃ」
幼女「しんじゃったら、おわりじゃない」
男「おじさんはね、疲れちゃったんだ。生きるのにね」
幼女「あたし、いつもこの山であそぶの」
男(くそっ、けっこう奥深くまで入ったつもりだったが……まさか子供とは)
男「おじちゃんはね、これから大事な用があるんだ。だから、向こうに──」
幼女「しぬ気でしょ?」
男「!」
幼女「だめだよ、しんじゃ」
幼女「しんじゃったら、おわりじゃない」
男「おじさんはね、疲れちゃったんだ。生きるのにね」
4: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:44:21.67 ID:v+qOhYE90
幼女「だめだめだめだめだめ!」
幼女「ぜ~~ったいダメ!」
男(なんてデカイ声だ……! 大人が来るとまずいな)
男「頼むよ、死なせてくれ。おじさんのことを思うなら」
幼女「どうしても、しぬつもり?」
男「ああ」
幼女「じゃあ、あたしもしぬ」
男「!?」
幼女「ぜ~~ったいダメ!」
男(なんてデカイ声だ……! 大人が来るとまずいな)
男「頼むよ、死なせてくれ。おじさんのことを思うなら」
幼女「どうしても、しぬつもり?」
男「ああ」
幼女「じゃあ、あたしもしぬ」
男「!?」
5: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:45:54.67 ID:v+qOhYE90
男(どういうつもりだ!?)
男「君は死ぬ必要はないだろう。見たところ、楽しそうだ」
幼女「え~……でもじさつをとめられなかったから、むねがくるしい」
幼女「だから、いっしょにしにます」
男「た、頼むから……ほっといてくれよ!」
男「せめて死ぬ時はだれにも迷惑かけずに、ほっとかれて死にたいんだ」
男「君みたいな子供を巻きぞえにしたら、あの世でも苦しみそうだ」
幼女「──そう」
幼女「そこまでいうのなら」
男(気配が変わった……!)
男「君は死ぬ必要はないだろう。見たところ、楽しそうだ」
幼女「え~……でもじさつをとめられなかったから、むねがくるしい」
幼女「だから、いっしょにしにます」
男「た、頼むから……ほっといてくれよ!」
男「せめて死ぬ時はだれにも迷惑かけずに、ほっとかれて死にたいんだ」
男「君みたいな子供を巻きぞえにしたら、あの世でも苦しみそうだ」
幼女「──そう」
幼女「そこまでいうのなら」
男(気配が変わった……!)
8: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:48:19.12 ID:v+qOhYE90
幼女「おじちゃんには、しんでもらうしかないね」ザッ
男(あの構え──まさか仏滅拳!?)
<仏滅拳(ブツメツケン)>
いしにえの時代より伝わる、半ば伝説化した拳法。
予測不能の軌道を描く拳に、釈迦すらも恐れを抱いたという──
男「どうやら、子供だからといって手加減をしていては──」
男「おじさんの命が危ういようだ!」ス…
幼女(このおじちゃん……。さいやくけん、のつかい手!?)
<災厄拳(サイヤクケン)>
開祖は妖怪変化ともいわれる暗殺拳。
時の権力者の中には、この拳で命を絶たれた者も多い──
男(あの構え──まさか仏滅拳!?)
<仏滅拳(ブツメツケン)>
いしにえの時代より伝わる、半ば伝説化した拳法。
予測不能の軌道を描く拳に、釈迦すらも恐れを抱いたという──
男「どうやら、子供だからといって手加減をしていては──」
男「おじさんの命が危ういようだ!」ス…
幼女(このおじちゃん……。さいやくけん、のつかい手!?)
<災厄拳(サイヤクケン)>
開祖は妖怪変化ともいわれる暗殺拳。
時の権力者の中には、この拳で命を絶たれた者も多い──
9: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:49:33.09 ID:v+qOhYE90
幼女「いくよ、おじちゃん!」
男「来い!」
幼女「えいっ!」回し蹴り。
男(おいおいこの子、パンツ黒かよ!?)
男「!?」
ゴッ!
回し蹴りから変化したカカト落としが、男の肩にめり込む。
男(つっ、右肩が……)
幼女「まだまだぁっ!」
男「来い!」
幼女「えいっ!」回し蹴り。
男(おいおいこの子、パンツ黒かよ!?)
男「!?」
ゴッ!
回し蹴りから変化したカカト落としが、男の肩にめり込む。
男(つっ、右肩が……)
幼女「まだまだぁっ!」
12: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:50:27.37 ID:v+qOhYE90
男は幼女の拳をかろうじてとらえ、上空に投げた。
幼女「あわわっ!」スタッ
なんとか着地。
男(ほう、いい身のこなしだ)
男「今度はこっちから攻めるぞ!」
眼球、頸動脈、心臓、股間。
迷いなく急所を的確に狙う突きの嵐は、まさに災厄。
幼女「わっ、あぶっ、わっ!」
男「(体勢が崩れた!)もらった!」
幼女「あわわっ!」スタッ
なんとか着地。
男(ほう、いい身のこなしだ)
男「今度はこっちから攻めるぞ!」
眼球、頸動脈、心臓、股間。
迷いなく急所を的確に狙う突きの嵐は、まさに災厄。
幼女「わっ、あぶっ、わっ!」
男「(体勢が崩れた!)もらった!」
13: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:51:30.12 ID:v+qOhYE90
男の突きは、寸止めだった。
男「チェックメイト」
男「……ふぅ、だいぶ腕を上げたな」
幼女「えへへ、すごいでしょ!」
男「だが、防御がお粗末すぎる。あれじゃ一流どころには勝てん」
幼女「ごめんなさい……」
男(攻撃力は満点だがな。ヘタすると右肩、ヒビ入ってるかも……)
男「一年前、老師に二人そろって破門されて以来だな」
幼女「なつかしいねぇ」
男「チェックメイト」
男「……ふぅ、だいぶ腕を上げたな」
幼女「えへへ、すごいでしょ!」
男「だが、防御がお粗末すぎる。あれじゃ一流どころには勝てん」
幼女「ごめんなさい……」
男(攻撃力は満点だがな。ヘタすると右肩、ヒビ入ってるかも……)
男「一年前、老師に二人そろって破門されて以来だな」
幼女「なつかしいねぇ」
19: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:53:31.20 ID:v+qOhYE90
男「老師……お元気だろうか?」
幼女「もういないよ」
男「いない……!?」
幼女「うんっ♪」
男「亡くなられたってことか!?」
幼女「うんっ♪」
男「な、なぜ!? ご病気かなにかか!?」
幼女「ううん」
男「──ということは、まさか!」
幼女「もういないよ」
男「いない……!?」
幼女「うんっ♪」
男「亡くなられたってことか!?」
幼女「うんっ♪」
男「な、なぜ!? ご病気かなにかか!?」
幼女「ううん」
男「──ということは、まさか!」
21: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:54:50.65 ID:v+qOhYE90
男「犯人は、君か!」
幼女「うふふ。しょーこもないのに、いいがかりやめてよね」
男「証拠なら、あるよ」
幼女「なんですって?」
男「あの日、老師はぐっすり眠っていた」
男「おまえは寝ている老師に近づき、凶器でガツンと殴った!」
幼女「きょーき? きょーきってなんですかー」
男「これだよ」
ガサッ
男はカバンから、血痕がついた広辞苑を出した。
幼女「うふふ。しょーこもないのに、いいがかりやめてよね」
男「証拠なら、あるよ」
幼女「なんですって?」
男「あの日、老師はぐっすり眠っていた」
男「おまえは寝ている老師に近づき、凶器でガツンと殴った!」
幼女「きょーき? きょーきってなんですかー」
男「これだよ」
ガサッ
男はカバンから、血痕がついた広辞苑を出した。
22: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:56:20.10 ID:v+qOhYE90
幼女「な、なんでそれを……」
男「老師を殺した君は、あろうことか凶器である広辞苑を──」
男「ブックオフに売った!」
幼女「!」
男「凶器は処分できる。金も手に入る。一石二鳥の作戦のつもりだったんだろうが──」
男「それがかえって君の首を絞めることとなった」
幼女「ど、どういうことよっ!」
男「店員はちゃんと覚えていたよ。血まみれの広辞苑を売りにきた君をね!」
幼女(しまったーっ!)
男「老師を殺した君は、あろうことか凶器である広辞苑を──」
男「ブックオフに売った!」
幼女「!」
男「凶器は処分できる。金も手に入る。一石二鳥の作戦のつもりだったんだろうが──」
男「それがかえって君の首を絞めることとなった」
幼女「ど、どういうことよっ!」
男「店員はちゃんと覚えていたよ。血まみれの広辞苑を売りにきた君をね!」
幼女(しまったーっ!)
26: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:58:08.52 ID:v+qOhYE90
男「店員の証言と、おそらくは老師の血と君の指紋だらけの広辞苑」
男「これでもまだシラを切るつもりか?」
幼女「うぅ……」
幼女「うっ、く」
幼女「うわぁ~~ん!」
事件の取り返しのつかなさを象徴するような、冷たい風が吹く。
男(弟子が師を殺すとは……なんという悲しい事件だ……)
幼女「ごめんなさい……自しゅします」
男「いや、君を警察に突き出すつもりはない」
幼女「えっ?」
男「これでもまだシラを切るつもりか?」
幼女「うぅ……」
幼女「うっ、く」
幼女「うわぁ~~ん!」
事件の取り返しのつかなさを象徴するような、冷たい風が吹く。
男(弟子が師を殺すとは……なんという悲しい事件だ……)
幼女「ごめんなさい……自しゅします」
男「いや、君を警察に突き出すつもりはない」
幼女「えっ?」
30: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 22:59:25.92 ID:v+qOhYE90
男「おじさんは、君を買っているんだよ」
幼女「どーいうこと?」
男「老師ほどの達人を殺害した君と、それを暴いたおじさんの頭脳」
男「二つがあれば、怖いものなしだ」
男「極端な話、日本を牛耳ることも可能……!」
幼女「うーん、おじちゃん。それはどうかしらね」
男「どういうことだ?」
幼女「さすがのあたしも、自えいたいにはかてないわ」
幼女「うまくいったとしても、すぐクーデターされるのがオチよ」
幼女「きじょうの空ろんだわ」
幼女「どーいうこと?」
男「老師ほどの達人を殺害した君と、それを暴いたおじさんの頭脳」
男「二つがあれば、怖いものなしだ」
男「極端な話、日本を牛耳ることも可能……!」
幼女「うーん、おじちゃん。それはどうかしらね」
男「どういうことだ?」
幼女「さすがのあたしも、自えいたいにはかてないわ」
幼女「うまくいったとしても、すぐクーデターされるのがオチよ」
幼女「きじょうの空ろんだわ」
32: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:01:01.23 ID:v+qOhYE90
男が幼女の首に手をかける。
男「なんだとぉー! おじさんをバカにするな!」グググ…
幼女「や、やめ……く、くるし……!」
男「いっつも無能どもはそうやって!」
男「もっともらしい逃げ口上を並べ!」
男「挑戦から遠ざかる!」
幼女「うぅぅ……」
男「おじさんを学会から追放した奴らもそうだった!」
男「空想だ、机上の空論だ、とおじさんの研究を認めなかった!」
幼女「ぅ、うげ……」
男「ちっ、つい力が入っちまった」
男「なんだとぉー! おじさんをバカにするな!」グググ…
幼女「や、やめ……く、くるし……!」
男「いっつも無能どもはそうやって!」
男「もっともらしい逃げ口上を並べ!」
男「挑戦から遠ざかる!」
幼女「うぅぅ……」
男「おじさんを学会から追放した奴らもそうだった!」
男「空想だ、机上の空論だ、とおじさんの研究を認めなかった!」
幼女「ぅ、うげ……」
男「ちっ、つい力が入っちまった」
35: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:02:37.00 ID:v+qOhYE90
幼女「はぁ、はぁ、くるしかった……」
男「だが、ついにおじさんの研究は完成した──」
幼女「え?」
男「人型殺戮兵器(ヒューマンウェポン)の第一号、が君なのさ」
幼女「うそでしょ……」
男「本当だとも。実はね、君の両親は両親でもなんでもない」
男「おじさんの部下なんだよ」
幼女「うそよ……」
幼女「うそよォッ!」
男「嘘じゃないよ~! だってゼロから作られた君に親なんていないんだから!」
幼女「あああ~~~~~っ!」
男「ハッハッハ……!」
男「だが、ついにおじさんの研究は完成した──」
幼女「え?」
男「人型殺戮兵器(ヒューマンウェポン)の第一号、が君なのさ」
幼女「うそでしょ……」
男「本当だとも。実はね、君の両親は両親でもなんでもない」
男「おじさんの部下なんだよ」
幼女「うそよ……」
幼女「うそよォッ!」
男「嘘じゃないよ~! だってゼロから作られた君に親なんていないんだから!」
幼女「あああ~~~~~っ!」
男「ハッハッハ……!」
36: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:03:17.84 ID:v+qOhYE90
幼女「──なら、おじちゃん!」
男「!」
幼女「あたしが、ひゅーまんなんちゃらの一ごうなら……」
幼女「おじちゃんが、あたしのぎせいしゃ、だい一ごうよ!」
男「なっ──よ、よせっ!」
幼女は怪力で、男を顔面から地面に叩きつけた。
ドゴッ!
男「ゴボォッ!」
幼女「どう、おじちゃん、いたい? あたしの心はもっと、いたいけどね!」
男「く、くく……」
男「すばらしい……すばらしいよ」
男「!」
幼女「あたしが、ひゅーまんなんちゃらの一ごうなら……」
幼女「おじちゃんが、あたしのぎせいしゃ、だい一ごうよ!」
男「なっ──よ、よせっ!」
幼女は怪力で、男を顔面から地面に叩きつけた。
ドゴッ!
男「ゴボォッ!」
幼女「どう、おじちゃん、いたい? あたしの心はもっと、いたいけどね!」
男「く、くく……」
男「すばらしい……すばらしいよ」
38: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:04:54.24 ID:v+qOhYE90
男「すばらしい味だ!」ガツガツ
男は土をむさぼり始めた。
幼女「ど、どうしたの? おじちゃん」
男「いいから君も食べてみろ!」
幼女「うっ……こ、これは!」
二人は号泣した。
男「うまい、うますぎる! 土を掘る手が止まらない!」
幼女「これまでたべたどんなごはんよりも、おいしいわ!」
男「大地に含まれる“歴史”がそのまま“味”となったような、なんと濃厚な!」
幼女「ああ、もうあたし、ほかのものたべられないかも……」
男は土をむさぼり始めた。
幼女「ど、どうしたの? おじちゃん」
男「いいから君も食べてみろ!」
幼女「うっ……こ、これは!」
二人は号泣した。
男「うまい、うますぎる! 土を掘る手が止まらない!」
幼女「これまでたべたどんなごはんよりも、おいしいわ!」
男「大地に含まれる“歴史”がそのまま“味”となったような、なんと濃厚な!」
幼女「ああ、もうあたし、ほかのものたべられないかも……」
40: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:05:59.49 ID:v+qOhYE90
二人はたらふく土を食べた。
男「ふぅ~食った食った。胃がはち切れそうだ」
幼女「ごちそうさま~♪」
男「腹ごなしに、少し走るか」
幼女「うんっ」
タッタッタッ
男(速い…まったく息切れせずついてくる)
男「なぁ、君」
幼女「ん?」
男「ふぅ~食った食った。胃がはち切れそうだ」
幼女「ごちそうさま~♪」
男「腹ごなしに、少し走るか」
幼女「うんっ」
タッタッタッ
男(速い…まったく息切れせずついてくる)
男「なぁ、君」
幼女「ん?」
42: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:06:39.95 ID:v+qOhYE90
男「おじさんと、オリンピックを目指さないか!?」
幼女「えぇっ!?」
男「君ほどの素質があれば、今から練習すれば──」
男「近い将来、陸上界の女王に君臨できると断言する!」
男「どうだ!?」
幼女「うぅ~ん」
幼女「あたし、みんなともあそびたいし……」
男「もちろん遊ぶ時間くらい作るさ!」
幼女「じゃあ、ねえ」
男「ん?」
幼女「ゲームをしない?」
幼女「おじちゃんがかったら、オリンピックめざしてあげてもいいよ」
幼女「えぇっ!?」
男「君ほどの素質があれば、今から練習すれば──」
男「近い将来、陸上界の女王に君臨できると断言する!」
男「どうだ!?」
幼女「うぅ~ん」
幼女「あたし、みんなともあそびたいし……」
男「もちろん遊ぶ時間くらい作るさ!」
幼女「じゃあ、ねえ」
男「ん?」
幼女「ゲームをしない?」
幼女「おじちゃんがかったら、オリンピックめざしてあげてもいいよ」
43: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:07:48.93 ID:v+qOhYE90
男「ゲーム?」
幼女「ルールはかんたん」サッ
幼女「ここに0~9までのカードがあるわ」
幼女「これを、あたしはうらにして、いちまいずつ出す」
幼女「おじちゃんはそのかずを、あてるのよ」
幼女「5かいのチャンスのうち、いちどでもあてたら、おじちゃんのかち」
男(ふん、心理戦には自信がある)
男「いいだろう……!」
サッ
幼女が一枚目を裏にして出す。
幼女「ルールはかんたん」サッ
幼女「ここに0~9までのカードがあるわ」
幼女「これを、あたしはうらにして、いちまいずつ出す」
幼女「おじちゃんはそのかずを、あてるのよ」
幼女「5かいのチャンスのうち、いちどでもあてたら、おじちゃんのかち」
男(ふん、心理戦には自信がある)
男「いいだろう……!」
サッ
幼女が一枚目を裏にして出す。
44: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:08:58.12 ID:v+qOhYE90
男(こういう時、心理として最も小さい0と、最も大きい9は出しにくい…)
男(──と見せかけて平然と0や9を出すのがこの子の恐ろしいところだ)
男(この子の博才は計り知れない。彼女の父親がそうだったように──)
幼女「うふふ、まよってるわねぇ。おじちゃん♪」
幼女「ヒントをあげるわ。かこまれたぶぶんがあるすう字よ」
男(囲まれた部分!?)
男(つまり、0、4、6、8、9のいずれか!)
男(ま、待て! 敵のヒントなどに頼ってどうする!)
男(くそっ、どんどん頭が混乱してきた!)
男(思考のドツボにハマったらバクチはオシマイだ!)
男(読め! あの子の心理を!)
男(──と見せかけて平然と0や9を出すのがこの子の恐ろしいところだ)
男(この子の博才は計り知れない。彼女の父親がそうだったように──)
幼女「うふふ、まよってるわねぇ。おじちゃん♪」
幼女「ヒントをあげるわ。かこまれたぶぶんがあるすう字よ」
男(囲まれた部分!?)
男(つまり、0、4、6、8、9のいずれか!)
男(ま、待て! 敵のヒントなどに頼ってどうする!)
男(くそっ、どんどん頭が混乱してきた!)
男(思考のドツボにハマったらバクチはオシマイだ!)
男(読め! あの子の心理を!)
45: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:10:06.54 ID:v+qOhYE90
男(この子はまちがいなく危険を楽しむタイプ!)
男(つまり、ヒントは正しい!)
男(なおかつ──初手で常人は出しにくい0か9を出す可能性が高い!)
男(ならば、0か9か──どっち!?)
男(0と9、どちらが数字として特別かと問われたら、やはり0だろう)
男(出す……この子は最初のターンで0を!)
幼女「まぁ~だぁ~?」
男「決まったよ……0だ!」ニヤリ
オープン!
幼女「7でした~♪」
男(ち、ちくしょォォォォ! なんて恐ろしい子だ!)
男(つまり、ヒントは正しい!)
男(なおかつ──初手で常人は出しにくい0か9を出す可能性が高い!)
男(ならば、0か9か──どっち!?)
男(0と9、どちらが数字として特別かと問われたら、やはり0だろう)
男(出す……この子は最初のターンで0を!)
幼女「まぁ~だぁ~?」
男「決まったよ……0だ!」ニヤリ
オープン!
幼女「7でした~♪」
男(ち、ちくしょォォォォ! なんて恐ろしい子だ!)
47: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:11:12.76 ID:v+qOhYE90
2ターン目開始。
幼女がカードを提出。
男(一度使用したカードは使えない。7が消え、今度は確率は1/9だ)
男(この子にセオリー通りの心理戦など通用しない!)
男(ならば、直感に頼るのみ!)
男「数字が決まったよ」
幼女「お、はやいわねぇ。ちゃんとかんがえたの?」
男「君相手に“ちゃんと考える”ってのは自滅行為だからね」
幼女「こたえは?」
男「4だ!」
幼女がカードをめくる。
幼女がカードを提出。
男(一度使用したカードは使えない。7が消え、今度は確率は1/9だ)
男(この子にセオリー通りの心理戦など通用しない!)
男(ならば、直感に頼るのみ!)
男「数字が決まったよ」
幼女「お、はやいわねぇ。ちゃんとかんがえたの?」
男「君相手に“ちゃんと考える”ってのは自滅行為だからね」
幼女「こたえは?」
男「4だ!」
幼女がカードをめくる。
49: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:12:40.83 ID:v+qOhYE90
幼女「ざんねん♪」
男(あ、あれは──“戦車ホイホイ”!)
<戦車ホイホイ>
罠カードの一種。
敵陣営の戦車カードを捕えて、破壊する。
ズガァン!
男「お、俺のデッキ最強カード、重力戦車(グラビティタンク)がァ~!」
<重力戦車(グラビティタンク)>
最大最強の攻撃力を誇る戦車カード。
しかし“戦車ホイホイ”の前では無力だった。
幼女「さ、どうする?」
男「参った……!」
男(あ、あれは──“戦車ホイホイ”!)
<戦車ホイホイ>
罠カードの一種。
敵陣営の戦車カードを捕えて、破壊する。
ズガァン!
男「お、俺のデッキ最強カード、重力戦車(グラビティタンク)がァ~!」
<重力戦車(グラビティタンク)>
最大最強の攻撃力を誇る戦車カード。
しかし“戦車ホイホイ”の前では無力だった。
幼女「さ、どうする?」
男「参った……!」
50: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:13:09.91 ID:v+qOhYE90
男「カードバトル世界大会三連覇を達成したおじさんが、まさかこんな子供に……」
幼女「よのなかひろいって、わかったでしょ?」
男「フッ、おじさんは、井の中の蛙だったようだ……」
幼女「でもおじさんもつよかったわよ。なんどかヒヤッとしたしね」
男(ヒヤッとさせた程度か……完敗だな)
幼女「とにかく、あたしのかちだから、やくそくはまもってもらうね」
男「約束……?」
幼女「なんでもいうこときいてくれるって、いったでしょ」
男(いったい何をさせられるんだ……!?)
幼女「よのなかひろいって、わかったでしょ?」
男「フッ、おじさんは、井の中の蛙だったようだ……」
幼女「でもおじさんもつよかったわよ。なんどかヒヤッとしたしね」
男(ヒヤッとさせた程度か……完敗だな)
幼女「とにかく、あたしのかちだから、やくそくはまもってもらうね」
男「約束……?」
幼女「なんでもいうこときいてくれるって、いったでしょ」
男(いったい何をさせられるんだ……!?)
51: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:13:55.09 ID:v+qOhYE90
幼女「あたしのおともだちを、生きかえらせて!」
男「………」
幼女「おねがい!」
男「不可能だ。おじさんに命をつかさどる力はない」
幼女「!?」
男「あきらめることだ」
幼女「どうして!? おじちゃんはどんなねがいもかなえる、まじん、でしょ!?」
男「それは君たち人間が勝手にウワサしたこと」
男「いかにおじさんでも、己の分を超えた願いを叶えることはできない」
幼女「ひどいよぅ……。あんなにくろうして、よび出したのに……」
男「………」
男「………」
幼女「おねがい!」
男「不可能だ。おじさんに命をつかさどる力はない」
幼女「!?」
男「あきらめることだ」
幼女「どうして!? おじちゃんはどんなねがいもかなえる、まじん、でしょ!?」
男「それは君たち人間が勝手にウワサしたこと」
男「いかにおじさんでも、己の分を超えた願いを叶えることはできない」
幼女「ひどいよぅ……。あんなにくろうして、よび出したのに……」
男「………」
52: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:15:01.71 ID:v+qOhYE90
男「たしかにおじさんは、友達を生き返らせることはできない」
幼女「うっ……うっ……」
男「だが──」
男「友の仇を討つことはできる……!」
幼女「!」
男「おじさんが手を下してもいいし、君に力を与えてもいい」
幼女「あたしが……ちからを……?」
男「復讐という憎しみの連鎖に身を置く覚悟があるのならば──」
男「与えよう、修羅となる力を」
幼女「しゅら……」
幼女「うっ……うっ……」
男「だが──」
男「友の仇を討つことはできる……!」
幼女「!」
男「おじさんが手を下してもいいし、君に力を与えてもいい」
幼女「あたしが……ちからを……?」
男「復讐という憎しみの連鎖に身を置く覚悟があるのならば──」
男「与えよう、修羅となる力を」
幼女「しゅら……」
54: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:15:36.96 ID:v+qOhYE90
幼女「──わかった、ちからをちょうだい」
男「ゆくか、修羅の道を。ならば次の四つから選ぶがよい」
幼女「うん!」
男「A.鋼鉄をも蒸発させる灼熱の炎を操る力」
男「B.マグマをも凍てつかせる冷気を操る力」
男「C.どんな生命をも滅ぼす猛毒を操る力」
男「D.いかなる場所にも一瞬で侵入できる瞬間移動の力」
幼女「うぅ~ん……」
幼女「かっこいいのは、ほのお。でも、れい気もすてがたいわねぇ……」
幼女「どくでくるしませるのもアリだし、しゅんかんいどうはべんりだわ」
男「ゆくか、修羅の道を。ならば次の四つから選ぶがよい」
幼女「うん!」
男「A.鋼鉄をも蒸発させる灼熱の炎を操る力」
男「B.マグマをも凍てつかせる冷気を操る力」
男「C.どんな生命をも滅ぼす猛毒を操る力」
男「D.いかなる場所にも一瞬で侵入できる瞬間移動の力」
幼女「うぅ~ん……」
幼女「かっこいいのは、ほのお。でも、れい気もすてがたいわねぇ……」
幼女「どくでくるしませるのもアリだし、しゅんかんいどうはべんりだわ」
55: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:16:33.33 ID:v+qOhYE90
幼女「きまったわ! A、で!」
男「ファイナルアンサー?」
幼女「ファイナルアンサー!」
無言で見つめ合う男と幼女。
男「………」
幼女「………」
男「………」
幼女「………」
男「………!」
幼女「………!?」
男「ファイナルアンサー?」
幼女「ファイナルアンサー!」
無言で見つめ合う男と幼女。
男「………」
幼女「………」
男「………」
幼女「………」
男「………!」
幼女「………!?」
57: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:17:52.04 ID:v+qOhYE90
男「………」ジロッ
幼女「………!」ビクッ
男「………」
幼女「………」
男「………」ニコッ
幼女「………」ニヤッ
男「………!?」
幼女「………♪」
男「───!」
幼女「………?」
男「………」
男「残っ……念!」
幼女「………!」ビクッ
男「………」
幼女「………」
男「………」ニコッ
幼女「………」ニヤッ
男「………!?」
幼女「………♪」
男「───!」
幼女「………?」
男「………」
男「残っ……念!」
58: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:18:51.46 ID:v+qOhYE90
幼女「うぅっ……まけた……」
男「あっけないな。もう少し楽しませてくれると思ったのに」
幼女「あたしはどうなるの……?」
男「敗北者である君は、おじさんによって売られてしまうんだよ」
男「売られた後、どうなるかは知らんがね」
男「どうせ買うのはロリコン親父さ。せいぜい可愛がってもらうんだな」
幼女(う、うられてたまるもんですか……)
幼女(このおじちゃんの性かくは、だいたい分かったわ)
幼女(あんまりあたまはよくなくて、しったかぶりするタイプ!)
幼女「ねぇ」
男「なんだい」
幼女「さっきおじちゃんがいった、ロリコン、ってなんのりゃくかしってる?」
男「!」
男「あっけないな。もう少し楽しませてくれると思ったのに」
幼女「あたしはどうなるの……?」
男「敗北者である君は、おじさんによって売られてしまうんだよ」
男「売られた後、どうなるかは知らんがね」
男「どうせ買うのはロリコン親父さ。せいぜい可愛がってもらうんだな」
幼女(う、うられてたまるもんですか……)
幼女(このおじちゃんの性かくは、だいたい分かったわ)
幼女(あんまりあたまはよくなくて、しったかぶりするタイプ!)
幼女「ねぇ」
男「なんだい」
幼女「さっきおじちゃんがいった、ロリコン、ってなんのりゃくかしってる?」
男「!」
60: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:20:14.36 ID:v+qOhYE90
男(コイツ、いきなりなにを……?)
男(ロリコンって幼女好きって意味で、何かの略とかじゃないだろ?)
男(ハッタリだ! この子はハッタリでこの場を逃れようとしている!)
幼女「ねぇ~もしかしてしらないの?」ニヤニヤ
男(無邪気の中にとびきりの悪意がこもった笑み!? ハッタリじゃないのか……?)
男「も、もちろん知ってるさ!」
幼女「へぇ~じゃあ、こたえてちょうだいよ」
男「だ、だから、知ってるって……。わざわざ答える必要すらない」
幼女「しらないんでしょ?」
男(ドキッ)
幼女「いみだけだれかにおそわって、つかいたくなっちゃったんでしょ?」
男「ち、違う……」
男(ロリコンって幼女好きって意味で、何かの略とかじゃないだろ?)
男(ハッタリだ! この子はハッタリでこの場を逃れようとしている!)
幼女「ねぇ~もしかしてしらないの?」ニヤニヤ
男(無邪気の中にとびきりの悪意がこもった笑み!? ハッタリじゃないのか……?)
男「も、もちろん知ってるさ!」
幼女「へぇ~じゃあ、こたえてちょうだいよ」
男「だ、だから、知ってるって……。わざわざ答える必要すらない」
幼女「しらないんでしょ?」
男(ドキッ)
幼女「いみだけだれかにおそわって、つかいたくなっちゃったんでしょ?」
男「ち、違う……」
61: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:21:05.97 ID:v+qOhYE90
幼女「にんげん、しょうじきが一ばんよ」
男「ちが……」
幼女(もうすこしだわ)
幼女「きくはいっときのはじ、きかぬはいっしょうのはじ、よ」
男「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥……」
幼女「わからないことがあったら、きけばいいのよ!」
幼女「はずがしがることなんて、ないのよ!」
男「あ」ポロッ※
男「すいません、知っているフリをしていました!」
男「ロリコンって何の略ですか!? おじさんに教えて下さい、お願いします!」
※目から鱗が落ちた音
男「ちが……」
幼女(もうすこしだわ)
幼女「きくはいっときのはじ、きかぬはいっしょうのはじ、よ」
男「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥……」
幼女「わからないことがあったら、きけばいいのよ!」
幼女「はずがしがることなんて、ないのよ!」
男「あ」ポロッ※
男「すいません、知っているフリをしていました!」
男「ロリコンって何の略ですか!? おじさんに教えて下さい、お願いします!」
※目から鱗が落ちた音
63: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:22:10.50 ID:v+qOhYE90
幼女「うんっ、いいよ♪」
男「ありがとう……!」
幼女「でも、じょーけんが一つだけあるわ」
男「な、なんでもいってくれ!」
幼女「あたしとデートして」
男「デート? おじさんと君がかい?」
幼女「うん」
男「いやぁ、デートっていっても親子くらい年離れてるし……」
幼女「いいのよ、それで」
男「えっ?」
幼女「じつはあたし──こういうものなの」
男「ありがとう……!」
幼女「でも、じょーけんが一つだけあるわ」
男「な、なんでもいってくれ!」
幼女「あたしとデートして」
男「デート? おじさんと君がかい?」
幼女「うん」
男「いやぁ、デートっていっても親子くらい年離れてるし……」
幼女「いいのよ、それで」
男「えっ?」
幼女「じつはあたし──こういうものなの」
65: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:23:05.81 ID:v+qOhYE90
幼女は懐から、手帳を取り出した。
男「警視庁特務精鋭捜査官! ま、まさか君のような女の子が……」
<警視庁特務精鋭捜査官>
警視庁のエリート中のエリートだけがなれる役職。
数々の強力な特権を持っている。
幼女「しってたのね」
男「存在は知っていたけど、まさか実際に会えるとはね」
幼女「こんど、ちょう大ものはんざいしゃが、ゆうえん地でとり引きするらしいの」
幼女「おじちゃんは、あたしとおやこになってもらうわ」
男「なるほど、話が読めてきたよ」
男「警視庁特務精鋭捜査官! ま、まさか君のような女の子が……」
<警視庁特務精鋭捜査官>
警視庁のエリート中のエリートだけがなれる役職。
数々の強力な特権を持っている。
幼女「しってたのね」
男「存在は知っていたけど、まさか実際に会えるとはね」
幼女「こんど、ちょう大ものはんざいしゃが、ゆうえん地でとり引きするらしいの」
幼女「おじちゃんは、あたしとおやこになってもらうわ」
男「なるほど、話が読めてきたよ」
67: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:24:23.42 ID:v+qOhYE90
男「超大物犯罪者とやらを捕えるため、父子を演じ遊園地に潜入するわけだ」
幼女「さっすがぁ~♪」
男「しかし、おじさんはしがない一般人。足手まといになるかも……」
幼女「だいじょーぶ。“たいほ”はあたしがやるし」
幼女「でもいちおうおじちゃんにも、ピストルをわたしとくわ」
男「ピストル!?」
幼女「あたしらは、みとめたいっぱん人にピストルをわたすことも、きょかされてるの」
男(すごいな……)
男「しかし持たされても、肝心の腕がなきゃ」
幼女「うん、今からくんれんよ!」
男「えぇ!?」
幼女「さっすがぁ~♪」
男「しかし、おじさんはしがない一般人。足手まといになるかも……」
幼女「だいじょーぶ。“たいほ”はあたしがやるし」
幼女「でもいちおうおじちゃんにも、ピストルをわたしとくわ」
男「ピストル!?」
幼女「あたしらは、みとめたいっぱん人にピストルをわたすことも、きょかされてるの」
男(すごいな……)
男「しかし持たされても、肝心の腕がなきゃ」
幼女「うん、今からくんれんよ!」
男「えぇ!?」
70: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:25:31.74 ID:v+qOhYE90
男は生まれて初めてピストルを持った。
幼女「あの木をねらってね」
男「ああ」
ズキューン!
バキューン!
ドギューン!
幼女「すごぉ~い! おじちゃん、はじめてにしてはじょうできよ」
男「木が可哀想だ」
幼女「あの木をねらってね」
男「ああ」
ズキューン!
バキューン!
ドギューン!
幼女「すごぉ~い! おじちゃん、はじめてにしてはじょうできよ」
男「木が可哀想だ」
71: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:26:22.04 ID:v+qOhYE90
幼女「かわいそうって、なにが?」
男「木だって生きているんだ。こんなことしたら、可哀想だろう」
幼女「あっはっはー、こっけいねぇ」
幼女「木はなにもいってないのに、かわいそうだなんて」
幼女「いいえ、かりにやめてくれっていっても、木をまもってやるぎむなんてないわ」
幼女「だって、にんげんは、ちきゅうのちょうてんですもの」
幼女「ほかのどうぶつやしょくぶつなんか、すきにしていいのよ」
男(この子は……なんて考えをしているんだ!)
男「木だって生きているんだ。こんなことしたら、可哀想だろう」
幼女「あっはっはー、こっけいねぇ」
幼女「木はなにもいってないのに、かわいそうだなんて」
幼女「いいえ、かりにやめてくれっていっても、木をまもってやるぎむなんてないわ」
幼女「だって、にんげんは、ちきゅうのちょうてんですもの」
幼女「ほかのどうぶつやしょくぶつなんか、すきにしていいのよ」
男(この子は……なんて考えをしているんだ!)
74: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:28:08.22 ID:v+qOhYE90
男「人間は、人間だけじゃ生きていけない!」
男「産業革命以降の、人間が自然から奪うだけの時代は終わったんだ!」
男「これからは人間と自然が共存しなければならないんだ!」
幼女「きょうぞん、ねぇ……。だったら、おじちゃんはげんし人のせーかつができる?」
男「なに……?」
幼女「しぜんとのきょうぞん、っていっても」
幼女「しょせん、人がかいてきなせーかつをおくってるぜんていのはなしよ」
男「しかし、自然に無理をさせないエネルギーの開発だって進んでいる!」
幼女「ふうりょく? たいようこう? ちねつ? いつになるやら、ね」
男「くっ……!」
男「産業革命以降の、人間が自然から奪うだけの時代は終わったんだ!」
男「これからは人間と自然が共存しなければならないんだ!」
幼女「きょうぞん、ねぇ……。だったら、おじちゃんはげんし人のせーかつができる?」
男「なに……?」
幼女「しぜんとのきょうぞん、っていっても」
幼女「しょせん、人がかいてきなせーかつをおくってるぜんていのはなしよ」
男「しかし、自然に無理をさせないエネルギーの開発だって進んでいる!」
幼女「ふうりょく? たいようこう? ちねつ? いつになるやら、ね」
男「くっ……!」
75: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:29:10.01 ID:v+qOhYE90
幼女「ま、あたしが一ばんほしいのは、おじちゃんのエネルギーだけどね」ガシッ
男「しまった!」
幼女に足首を掴まれた途端、男のエネルギーが幼女に吸い取られ始めた。
幼女「ぜぇ~んぶ、いただいちゃう♪」
男(この子の狙いは最初からこれだったのか……!)
幼女「うふふ、パワーがみなぎってきた!」
男(ま、まずい! このままでは、エネルギーを全て奪われてしまう!)
男「分かっているのか……?」
幼女「なにが?」
男「これは立派な窃盗だぞ!」
男「しまった!」
幼女に足首を掴まれた途端、男のエネルギーが幼女に吸い取られ始めた。
幼女「ぜぇ~んぶ、いただいちゃう♪」
男(この子の狙いは最初からこれだったのか……!)
幼女「うふふ、パワーがみなぎってきた!」
男(ま、まずい! このままでは、エネルギーを全て奪われてしまう!)
男「分かっているのか……?」
幼女「なにが?」
男「これは立派な窃盗だぞ!」
77: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:30:16.02 ID:v+qOhYE90
男「窃盗罪は、刑法235条」
男「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金……!」
男「子供である君に、こんな大金が払えるかな?」
幼女「アルバイトしてかせぐもん!」
男「ふん、子供を雇ってくれるところなど、ほとんどないよ」
幼女「うっ……えぐっ、じゃあどうすれば」
男「面接の練習しかない」
幼女「めんせつ……?」
男「練習台として、おじさんが面接官をやってあげよう」
幼女「ありがとう、おじちゃん!」
男「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金……!」
男「子供である君に、こんな大金が払えるかな?」
幼女「アルバイトしてかせぐもん!」
男「ふん、子供を雇ってくれるところなど、ほとんどないよ」
幼女「うっ……えぐっ、じゃあどうすれば」
男「面接の練習しかない」
幼女「めんせつ……?」
男「練習台として、おじさんが面接官をやってあげよう」
幼女「ありがとう、おじちゃん!」
79: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:31:09.24 ID:v+qOhYE90
男「なんでウチに入りたいの?」
幼女「お金がほしいからっ!」
男「正直すぎる。もう少しオブラートに包んで」
幼女「かぞくをやしなうためっ!」
男「なかなかいいじゃないか」
幼女「ありがとう」
男「じゃあ次だ。ウチに入ったら何がしたい?」
幼女「え……っ」
男「答えろッ!」
幼女「お金がほしいからっ!」
男「正直すぎる。もう少しオブラートに包んで」
幼女「かぞくをやしなうためっ!」
男「なかなかいいじゃないか」
幼女「ありがとう」
男「じゃあ次だ。ウチに入ったら何がしたい?」
幼女「え……っ」
男「答えろッ!」
81: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:32:37.65 ID:v+qOhYE90
幼女「………」
男「黙秘か。泣かせるじゃないか」
幼女「………」
男「共に革命を目指した仲間は裏切れない、ってとこか?」
幼女「………」
男「そんな君に、おじさんから一つ面白い情報を教えよう」
男「なぜ、君は捕まったと思う?」
幼女「!」
男「おやおや気づいたようだね」
幼女「ぅ……ぅそ……」
男「君は売られてしまったんだよぉ、お仲間にね!」
男「黙秘か。泣かせるじゃないか」
幼女「………」
男「共に革命を目指した仲間は裏切れない、ってとこか?」
幼女「………」
男「そんな君に、おじさんから一つ面白い情報を教えよう」
男「なぜ、君は捕まったと思う?」
幼女「!」
男「おやおや気づいたようだね」
幼女「ぅ……ぅそ……」
男「君は売られてしまったんだよぉ、お仲間にね!」
83: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:33:55.82 ID:v+qOhYE90
幼女「ぃいやぁぁぁっ!」
男「とっつかまえて、君の居場所を教えれば自由にしてやる、と持ちかけたら」
男「あっさりと吐いてくれたよ!」
男「数々の反逆行為も君に命令されて仕方なくやっていた、とまでね!」
幼女「あ、ぁ、ぁ、ぁ、あ……!」
男「むろん君を捕えた後、反逆罪で即刻処刑したがね」
幼女「ぁうう……! もうぃやぁ……」
男「さてと、ついでにもう一つ冥土の土産に教えてやろうか」
男「とっつかまえて、君の居場所を教えれば自由にしてやる、と持ちかけたら」
男「あっさりと吐いてくれたよ!」
男「数々の反逆行為も君に命令されて仕方なくやっていた、とまでね!」
幼女「あ、ぁ、ぁ、ぁ、あ……!」
男「むろん君を捕えた後、反逆罪で即刻処刑したがね」
幼女「ぁうう……! もうぃやぁ……」
男「さてと、ついでにもう一つ冥土の土産に教えてやろうか」
86: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:35:04.68 ID:v+qOhYE90
幼女「おみやげ……?」
男「あぁ、明日から北海道に三日間出張なんだ」
幼女「おまんじゅう!」
男(北海道じゃなくても売ってるだろうに……)
男「他には?」
幼女「ゆき! まっしろな!」
男「雪か……」
男(クーラーボックス持っていけば、なんとかなるか)
幼女「ぜったいだよ! そしたら、ね」
男「あぁ、明日から北海道に三日間出張なんだ」
幼女「おまんじゅう!」
男(北海道じゃなくても売ってるだろうに……)
男「他には?」
幼女「ゆき! まっしろな!」
男「雪か……」
男(クーラーボックス持っていけば、なんとかなるか)
幼女「ぜったいだよ! そしたら、ね」
87: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:35:51.71 ID:v+qOhYE90
幼女「いっしょにゆきがっせんしようね、おじちゃん」
男(雪合戦!? クーラーボックス程度じゃ、とてもそんな量は無理だ)
男(しかもクーラーボックスじゃ凍って固まっちまう)
男(雪合戦やるなら、やはりやわらかな新雪じゃないと……)
幼女「どしたの?」
男(屋内スキー場とかにある、降雪機──あれいくらくらいするんだろ?)
幼女「おじちゃーん、きいてる?」
男(この間、教育テレビでやってた雪の作り方をやってみるか!)
幼女「おじちゃん!」
男「はっ! ──ああ、雪に関してはおじさんに任せときな」
幼女「ホント!?」
男(雪合戦!? クーラーボックス程度じゃ、とてもそんな量は無理だ)
男(しかもクーラーボックスじゃ凍って固まっちまう)
男(雪合戦やるなら、やはりやわらかな新雪じゃないと……)
幼女「どしたの?」
男(屋内スキー場とかにある、降雪機──あれいくらくらいするんだろ?)
幼女「おじちゃーん、きいてる?」
男(この間、教育テレビでやってた雪の作り方をやってみるか!)
幼女「おじちゃん!」
男「はっ! ──ああ、雪に関してはおじさんに任せときな」
幼女「ホント!?」
88: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:36:52.51 ID:v+qOhYE90
男(やれる……)
男「コォォォォ……」
<体内造雪法>
人体の70%は水である。
自己催眠で体温を極低温まで下げ、体内で雪を作りだす。
雪が降らない赤道直下の某国で生まれたとされる──
幼女「すごい……! おじちゃんのからだが、こおりついていく!」
男(よし、体温は十分下がった。次は体内の水分を雪にする!)
幼女「きゃあっ! すごいさむさ!」
男(全身の隅々から水分を抽出……結晶化!)
ズギャァン!
男「コォォォォ……」
<体内造雪法>
人体の70%は水である。
自己催眠で体温を極低温まで下げ、体内で雪を作りだす。
雪が降らない赤道直下の某国で生まれたとされる──
幼女「すごい……! おじちゃんのからだが、こおりついていく!」
男(よし、体温は十分下がった。次は体内の水分を雪にする!)
幼女「きゃあっ! すごいさむさ!」
男(全身の隅々から水分を抽出……結晶化!)
ズギャァン!
89: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:37:50.68 ID:v+qOhYE90
男(開放ッ!)
男の口から、体内で作られた“雪”が大量に吐き出される。
男「オロロロロロロロロロ」
幼女「すっごぉ~い! てじなみたい!」
男「ハハハ、手品みたいなもんさ」クラッ
男(くっ……あとで水を補給しないと……。脱水症状だ)
幼女「だいじょうぶ? おじちゃん」
男「大丈夫さ、さぁ雪合戦をやろう!」
幼女「うん!」
男の口から、体内で作られた“雪”が大量に吐き出される。
男「オロロロロロロロロロ」
幼女「すっごぉ~い! てじなみたい!」
男「ハハハ、手品みたいなもんさ」クラッ
男(くっ……あとで水を補給しないと……。脱水症状だ)
幼女「だいじょうぶ? おじちゃん」
男「大丈夫さ、さぁ雪合戦をやろう!」
幼女「うん!」
91: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:39:10.37 ID:v+qOhYE90
幼女「いっくよー♪」
振りかぶる幼女。
ゴヒュッ!
男(速いっ! 球速150……いや160km/hは出ている!)
キュ…
男が軌道を読み、バットを振る。
幼女(うふふ、あたしのボールはねぇ)
男(変化した!?)
幼女(きゅーそく165km/hをいじし、なおかつボール3こ分のへんかをするの!)
振りかぶる幼女。
ゴヒュッ!
男(速いっ! 球速150……いや160km/hは出ている!)
キュ…
男が軌道を読み、バットを振る。
幼女(うふふ、あたしのボールはねぇ)
男(変化した!?)
幼女(きゅーそく165km/hをいじし、なおかつボール3こ分のへんかをするの!)
92: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:39:36.57 ID:v+qOhYE90
男(ちぃぃっ! だが、当ててみせるっ!)
カキ──
幼女(あてた!? うそ!)
男(なんて重い球……! 流すか? いや引っぱってやる!)
ィィ──
男(腕の筋肉が!)ブチブチッ
男(かまうものかァ!)
──ン
幼女(うたれたっ!?)
カキ──
幼女(あてた!? うそ!)
男(なんて重い球……! 流すか? いや引っぱってやる!)
ィィ──
男(腕の筋肉が!)ブチブチッ
男(かまうものかァ!)
──ン
幼女(うたれたっ!?)
93: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:40:31.70 ID:v+qOhYE90
白球は空の彼方へと消えた。
幼女「あたしの……まけね」
男「うぅっ!」ビキビキ
幼女「おじちゃん!?」
男「ちと無理をしすぎた……両腕の筋肉をやっちまったらしい」
幼女「そんな……だめだよぅ」
男「もう野球はできないだろうが、おじさんに後悔はないよ」
男「最後に君という好敵手と戦えたんだからな……」
幼女「いいえ」
幼女「あたしがなおすわ」
男「!?」
幼女「あたしの……まけね」
男「うぅっ!」ビキビキ
幼女「おじちゃん!?」
男「ちと無理をしすぎた……両腕の筋肉をやっちまったらしい」
幼女「そんな……だめだよぅ」
男「もう野球はできないだろうが、おじさんに後悔はないよ」
男「最後に君という好敵手と戦えたんだからな……」
幼女「いいえ」
幼女「あたしがなおすわ」
男「!?」
94: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:41:24.45 ID:v+qOhYE90
幼女「手じゅつで、両うでのきんにくをつなぎなおすわ」
男「分かった、よろしく頼む」
幼女「ますいは、なしよ」
ザクッ
男「!」
グチュ、グチュグチュ… クチュ… メリ…
ザシュッ ブチュ クチュグチュ… ニチャ…
幼女「おわり~♪」
男「おおっ、どちらの腕も動く! すばらしい!」
男「分かった、よろしく頼む」
幼女「ますいは、なしよ」
ザクッ
男「!」
グチュ、グチュグチュ… クチュ… メリ…
ザシュッ ブチュ クチュグチュ… ニチャ…
幼女「おわり~♪」
男「おおっ、どちらの腕も動く! すばらしい!」
95: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:42:24.75 ID:v+qOhYE90
男「こうしてはいられない。行かなければ」
幼女「だめだよ! まだあんせいにしてないと!」
男「行かせてくれ! こうしている間にも、奴らは!」
幼女「だーめっ!」
幼女「どうしてもいくというのなら……」
幼女「あたしを、まずころして」
男「………」
男「すまなかった、おじさんが勝手だったよ」
幼女「すまなかった……?」
幼女「だめだよ! まだあんせいにしてないと!」
男「行かせてくれ! こうしている間にも、奴らは!」
幼女「だーめっ!」
幼女「どうしてもいくというのなら……」
幼女「あたしを、まずころして」
男「………」
男「すまなかった、おじさんが勝手だったよ」
幼女「すまなかった……?」
97: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:43:29.00 ID:v+qOhYE90
幼女「も、う、し、わ、け、ご、ざ、い、ま、せ、ん、でしょ?」
幼女「あと、土下ざしてよ」
男(くっ……)
幼女「あたしのクツのうらをなめて、あやまってね」
男「い、いくらなんでも──」
幼女「いいの? あたしがパパにいったら、おじちゃんのこーじょーなんて……」
幼女「いっぱつで、ツブれちゃうわよ?」
男(うぅ……くっ! くぅぅ~!)
幼女「はやくしてよ」
男は土下座し、屈辱に涙しながら幼女の靴の裏に舌をつける。
男「も、申し訳ございませんっ!」ペロペロ
幼女「あと、土下ざしてよ」
男(くっ……)
幼女「あたしのクツのうらをなめて、あやまってね」
男「い、いくらなんでも──」
幼女「いいの? あたしがパパにいったら、おじちゃんのこーじょーなんて……」
幼女「いっぱつで、ツブれちゃうわよ?」
男(うぅ……くっ! くぅぅ~!)
幼女「はやくしてよ」
男は土下座し、屈辱に涙しながら幼女の靴の裏に舌をつける。
男「も、申し訳ございませんっ!」ペロペロ
98: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:45:16.30 ID:v+qOhYE90
幼女「ナメないでよ!」
男「ん?」
幼女「こどもだからって……ナメないでよっ!」
男「ナメる? 悪いが、君はナメるナメない以前の存在だ」
幼女「なんですって……」
男「おじさんは子供に興味はないんだ」
男「これ以上、大人の世界に首を突っ込むと……」
男「ヤケドじゃ済まないぞ」
幼女「ヤケド……」
男「せめて10年経ったらまた来な。相手してやるよ」
男「ん?」
幼女「こどもだからって……ナメないでよっ!」
男「ナメる? 悪いが、君はナメるナメない以前の存在だ」
幼女「なんですって……」
男「おじさんは子供に興味はないんだ」
男「これ以上、大人の世界に首を突っ込むと……」
男「ヤケドじゃ済まないぞ」
幼女「ヤケド……」
男「せめて10年経ったらまた来な。相手してやるよ」
100: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:46:04.35 ID:v+qOhYE90
幼女「──というわけで、10ねんごに行くわ」
幼女と男は、巨大なカプセルの前に立っていた。
男「これが……タイムマシン……!」
幼女「ええ、じんるいをすくうカギよ」
男「10年後の技術を持ち帰り、ヤツを倒すというわけだね」
幼女「ええ、そうよ」
男「もし10年後……あまり考えたくはないんだが……」
男「人類がいなかったら?」
幼女「そのときは──じんるいはおしまいね」
幼女と男は、巨大なカプセルの前に立っていた。
男「これが……タイムマシン……!」
幼女「ええ、じんるいをすくうカギよ」
男「10年後の技術を持ち帰り、ヤツを倒すというわけだね」
幼女「ええ、そうよ」
男「もし10年後……あまり考えたくはないんだが……」
男「人類がいなかったら?」
幼女「そのときは──じんるいはおしまいね」
102: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:47:18.27 ID:v+qOhYE90
男「では乗り込むぞ」
男「うっ……くっ……」
男は入り口でつかえてしまった。
男(入れない!?)
幼女「おじちゃん……もしかして太った?」
男「あ、あぁ……5キロほど……」
男(ホントは10キロだけど)
幼女「う~ん、けいりょう化するため、ギリギリのサイズでつくってたからねぇ」
幼女「しかたない。おじちゃん、ダイエットして!」
男「えぇっ!?」
男「うっ……くっ……」
男は入り口でつかえてしまった。
男(入れない!?)
幼女「おじちゃん……もしかして太った?」
男「あ、あぁ……5キロほど……」
男(ホントは10キロだけど)
幼女「う~ん、けいりょう化するため、ギリギリのサイズでつくってたからねぇ」
幼女「しかたない。おじちゃん、ダイエットして!」
男「えぇっ!?」
103: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:48:30.66 ID:v+qOhYE90
幼女「まずは、スクワットよ!」
男「ふっ……! ふっ……! ふっ……!」
幼女「500かいかぁ、はじめてにしては上できね」
男(これは明日、筋肉痛間違いなしだな。明後日だったらやだな……)
幼女「つぎは、うで立てふせよ」
男「しゅっ……! しゅっ……! しゅっ……!」
幼女「ふっきんもしなきゃね!」
男「ほっ……! ほっ……! ほっ……!」
幼女「うわぁ、みちがえるようだわ! すごいよ、おじちゃん!」
男「へへへ、そうかい?」
幼女「さいごはステロイドだねっ♪」
男「ふっ……! ふっ……! ふっ……!」
幼女「500かいかぁ、はじめてにしては上できね」
男(これは明日、筋肉痛間違いなしだな。明後日だったらやだな……)
幼女「つぎは、うで立てふせよ」
男「しゅっ……! しゅっ……! しゅっ……!」
幼女「ふっきんもしなきゃね!」
男「ほっ……! ほっ……! ほっ……!」
幼女「うわぁ、みちがえるようだわ! すごいよ、おじちゃん!」
男「へへへ、そうかい?」
幼女「さいごはステロイドだねっ♪」
105: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:49:16.34 ID:v+qOhYE90
幼女は男の首筋に、注射器でステロイドを注入する。
男「これでおじさんは強くなれるのか……?」
幼女「うん、まかせといて!」
男「うおおお……! 来たぞ来たぞ来たぞぉぉぉ!」
メキメキ…
男「みるみるうちに、おじさんのボディがシュワちゃんになっていく!」
幼女「おクスリがきいてきたね」
男「ね、ねぇ……これはちょっと、膨らみすぎじゃないかい……?」
幼女「あららららら」
男「がぁぁぁっ! は、破裂する! た、助けて!」
幼女「いま、たすけるわ!」
男「これでおじさんは強くなれるのか……?」
幼女「うん、まかせといて!」
男「うおおお……! 来たぞ来たぞ来たぞぉぉぉ!」
メキメキ…
男「みるみるうちに、おじさんのボディがシュワちゃんになっていく!」
幼女「おクスリがきいてきたね」
男「ね、ねぇ……これはちょっと、膨らみすぎじゃないかい……?」
幼女「あららららら」
男「がぁぁぁっ! は、破裂する! た、助けて!」
幼女「いま、たすけるわ!」
106: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:50:20.74 ID:v+qOhYE90
幼女「このハリで、させば……」
幼女「えいっ!」プッ
男「おおお!?」
プシュウウウウウ!
穴から空気が抜け、反動で男は空中へ飛ばされた。
幼女「やったぁ、だいせいこう♪」
男(飛んでる……)
男(これが空──なんて広く、なんて美しく、なんて温かいんだ!)
幼女「よかったね、おじちゃん……ゆめがかなって」
男(ありがとう……)
幼女「えいっ!」プッ
男「おおお!?」
プシュウウウウウ!
穴から空気が抜け、反動で男は空中へ飛ばされた。
幼女「やったぁ、だいせいこう♪」
男(飛んでる……)
男(これが空──なんて広く、なんて美しく、なんて温かいんだ!)
幼女「よかったね、おじちゃん……ゆめがかなって」
男(ありがとう……)
107: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:52:18.06 ID:v+qOhYE90
男「──はっ!」
ぼくのゆめはふうせんになって
しゅるしゅると、そらをじゆうにとび回ることです。
男「思い出したよ。おじさんは、風船になりたかったんだ……」
男「昔から風船が大好きでね。バカなことを考えてたもんだ」
男「いつの間にか、すっかり忘れてしまっていたよ」
幼女「うふふ、でもゆめがかなってよかったね」
男「ありがとう……」
ぼくのゆめはふうせんになって
しゅるしゅると、そらをじゆうにとび回ることです。
男「思い出したよ。おじさんは、風船になりたかったんだ……」
男「昔から風船が大好きでね。バカなことを考えてたもんだ」
男「いつの間にか、すっかり忘れてしまっていたよ」
幼女「うふふ、でもゆめがかなってよかったね」
男「ありがとう……」
109: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:53:17.70 ID:v+qOhYE90
幼女「だからもう、じさつなんてしちゃだめだよ」
男「ふっ、君みたいな子供に気づかされるとはね」
幼女「あはは」
男「おじさんも楽しかったよ。ずいぶん回り道してしまった」
幼女「まさか、おじちゃんのゆめがふうせん、だなんてねぇ」
男「子供らしくていいだろ?」
幼女「あはっ」
男「くくっ」
二人「あっはっはっはっはっはっはっ」
男「ふっ、君みたいな子供に気づかされるとはね」
幼女「あはは」
男「おじさんも楽しかったよ。ずいぶん回り道してしまった」
幼女「まさか、おじちゃんのゆめがふうせん、だなんてねぇ」
男「子供らしくていいだろ?」
幼女「あはっ」
男「くくっ」
二人「あっはっはっはっはっはっはっ」
110: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:54:43.96 ID:v+qOhYE90
幼女「たのしかったよ」
男「おじさんも楽しかったよ」
幼女「ま、おとなもたいへんだろーけど、がんばってねー」
男「子供もな、今のうちに遊んでおけよー」
幼女「うんっ」
幼女「じゃあねー」
男「じゃあな、勉強もしろよー」
男「おじさんも楽しかったよ」
幼女「ま、おとなもたいへんだろーけど、がんばってねー」
男「子供もな、今のうちに遊んでおけよー」
幼女「うんっ」
幼女「じゃあねー」
男「じゃあな、勉強もしろよー」
113: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:56:12.73 ID:v+qOhYE90
幼女と別れた男は、山を下りる。
男「ふぅ、ふぅ、やっと麓まで下りられたぞ」
男「明日から、また頑張ろう」
男「───!」
妻「あなた……」
男「どうしてここが……!」
妻「あなたの故郷だからもしかして、と思って……」
男「俺は──」
妻「ごめんなさい! あなたから逃げたりして!」
妻「でもやっぱり分かってしまった。私、あなたがいないと──」
男「いや、俺が悪かったんだ。失業した不安と苛立ちを全てお前に向けてしまった……」
男「こんな最低な夫だが、またやり直してくれるか?」
男「ふぅ、ふぅ、やっと麓まで下りられたぞ」
男「明日から、また頑張ろう」
男「───!」
妻「あなた……」
男「どうしてここが……!」
妻「あなたの故郷だからもしかして、と思って……」
男「俺は──」
妻「ごめんなさい! あなたから逃げたりして!」
妻「でもやっぱり分かってしまった。私、あなたがいないと──」
男「いや、俺が悪かったんだ。失業した不安と苛立ちを全てお前に向けてしまった……」
男「こんな最低な夫だが、またやり直してくれるか?」
114: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:57:08.99 ID:v+qOhYE90
妻「やり直しましょう……!」
男「ありがとう。きっとやれるさ」
男「格闘家にもなったし、悪い博士にもなったし、野球選手にもなった」
男「それに比べたら、どってことないさ」ガシッ
妻「あなた……!」
男「俺はもうお前を離さないぞ、いいだろう?」
妻「ええ……」
男「ありがとう。きっとやれるさ」
男「格闘家にもなったし、悪い博士にもなったし、野球選手にもなった」
男「それに比べたら、どってことないさ」ガシッ
妻「あなた……!」
男「俺はもうお前を離さないぞ、いいだろう?」
妻「ええ……」
115: VIPがお送りします 2011/12/24(土) 23:58:02.49 ID:v+qOhYE90
いくらかの年月が流れ──
男の家族は故郷に引っ越していた。
男「見つからんな……」
妻「えぇ……いったいどこに行ったのか……」
男「いつもあの山で遊んでるんだろ?」
妻「そうなんだけど……」
男「警察にも届けたし、やることはやった」
男「信じよう」
妻「えぇ」
男の家族は故郷に引っ越していた。
男「見つからんな……」
妻「えぇ……いったいどこに行ったのか……」
男「いつもあの山で遊んでるんだろ?」
妻「そうなんだけど……」
男「警察にも届けたし、やることはやった」
男「信じよう」
妻「えぇ」
118: VIPがお送りします 2011/12/25(日) 00:00:23.08 ID:ig/N1NzP0
しばらくして──
娘「た、ただいま~」
男「あ!」
妻「心配したのよ!」
娘「ご、ごめんなさい。おとうさん、おかあさん……」
男「無事でよかった。しかしどこに行ってたんだ。いつもの山じゃないのか?」
娘「え? いつもの山だよ」
男「嘘をつくな。あんなに探したのに……」
妻「そうよ。隣町とかに行ってたんでしょう」
娘「ほんとだよっ! じさつしそうなおじちゃんがいて……」
男「───!?」
娘「た、ただいま~」
男「あ!」
妻「心配したのよ!」
娘「ご、ごめんなさい。おとうさん、おかあさん……」
男「無事でよかった。しかしどこに行ってたんだ。いつもの山じゃないのか?」
娘「え? いつもの山だよ」
男「嘘をつくな。あんなに探したのに……」
妻「そうよ。隣町とかに行ってたんでしょう」
娘「ほんとだよっ! じさつしそうなおじちゃんがいて……」
男「───!?」
120: VIPがお送りします 2011/12/25(日) 00:01:13.05 ID:ig/N1NzP0
娘「ぜったい、しなせちゃだめだ……とおもったら」
娘「いろいろへんなことになって、やっとじさつをとめられたの」
妻「じゃあその人はどこにいるの?」
娘「すぐわかれちゃったから……。あ、そうだ、おとうさんににてた!」
妻「お父さんはずっと私と一緒にいたわよ! あんたを探したり、警察に行ったり……」
男「いいよ、その辺にしとけ」
妻「で、でも……」
男「いいんだよ」
妻「あなたがそう言うなら……」
娘「いろいろへんなことになって、やっとじさつをとめられたの」
妻「じゃあその人はどこにいるの?」
娘「すぐわかれちゃったから……。あ、そうだ、おとうさんににてた!」
妻「お父さんはずっと私と一緒にいたわよ! あんたを探したり、警察に行ったり……」
男「いいよ、その辺にしとけ」
妻「で、でも……」
男「いいんだよ」
妻「あなたがそう言うなら……」
121: VIPがお送りします 2011/12/25(日) 00:02:31.76 ID:ig/N1NzP0
娘「ホントだってば!」
男「あぁ、分かってるよ。俺はお前を信じるよ」
男「だってお前は──」
男(俺の命の恩人だもんな)
男「俺の娘だもんな」
娘「ぐすっ……うれしい」
男「ほーれ」ギュッ
娘「あったかーい♪」
妻「あらあら妬けるわねぇ」
男「あぁ、分かってるよ。俺はお前を信じるよ」
男「だってお前は──」
男(俺の命の恩人だもんな)
男「俺の娘だもんな」
娘「ぐすっ……うれしい」
男「ほーれ」ギュッ
娘「あったかーい♪」
妻「あらあら妬けるわねぇ」
123: VIPがお送りします 2011/12/25(日) 00:03:22.94 ID:ig/N1NzP0
これで話は終わりである。
しかし──
男(いくらググっても仏滅拳も災厄拳も出てこないな……)カシャカシャッ
男「お前、友達に球速160km/hでボール投げたりするなよ」
娘「?」
男「娘のクツをなめたり、本気で殺しにかかったり、俺はなんてダメなやつだァ~!」
妻「どうしたの、あなた!?」
時折、後遺症が見え隠れするのだった。
~おわり~
しかし──
男(いくらググっても仏滅拳も災厄拳も出てこないな……)カシャカシャッ
男「お前、友達に球速160km/hでボール投げたりするなよ」
娘「?」
男「娘のクツをなめたり、本気で殺しにかかったり、俺はなんてダメなやつだァ~!」
妻「どうしたの、あなた!?」
時折、後遺症が見え隠れするのだった。
~おわり~