おれ(スマートアシスト搭載)「ほらほらどいたどいた!俺が通るよ!」

2019年03月15日
おれ(スマートアシスト搭載)「ほらほらどいたどいた!俺が通るよ!」

1: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 15:33:27.23 ID:8+J5W5iQO
幼女「きゃー!おれさーん!抱いて!」

子供「あ、おれさんだ!マジかっけー!!」

おれ「ピタ」

子供たち「うわぁぁぁあああ!止まったすげぇぇえ!」

幼女「もうまいっちんぐ」プシャァァア!

おれ「こらこら俺で遊ぶんじゃない」

クソガキ「おれ!いつもの決め台詞言ってくれよ!」

おれ「まったく、急いでるんだがな」

おれ「恋はいつでも誤発進!(決め顔」

子供たち「かっけええええぇぇぇ!!」

おれ「俺はもう行くぜ……!ハッ!」

ブルルン…ウゥン

8: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 15:36:34.42 ID:8+J5W5iQO
おれ「さて、今週のチャンピオンでも立ち読みするぜ!」

女子中学生「チラッ…チラッ」

おれ「むっ!殺気!」

女子中学生「ヒョイッヒョイ!!」

おれ「あの子、万引きしたぜ!フッ、いけない子だ!」

女子中学生「スタコラサッサ」

おれ「逃がすか!」ドヒュン!

おれ「零距離スマートアシスト!」

キキー!ドン!

女子中学生「きゃ、きゃあ!?」

おれ「おっと、大丈夫かい?」

ダキッ

女子中学生「って……かの有名なおれさん!!?///」

おれ「スマートだぜ」

10: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 15:40:05.39 ID:8+J5W5iQO
おれ「ところでお嬢さん、このポケットの膨らみは何かな」

女子中学生「う!なんでもありません!」

おれ「どっこい、あるね」

ガサゴソ

おれ「こいつぁ驚いた、なんてポケットだ。想像以上の広々空間、まるでピラーレスの大窓口だぜ。
たくさん万引きしたようだな」

女子中学生「うぅ……すみません……でも、私……」ポロポロ

おれ「謝るべきは俺じゃない。自分が何をすれば、君ならもう分かるね?」

女子中学生「はい……」

おれ「フッ、万引きは立派な犯罪だ。
ダイハツタントのように100%免除とはいかない。
だが……君がもし罪を償って、もう一度日の光を浴びる時まで――」

おれ「助手席、空けとくぜ」ニコリ

女子中学生「おれさん」ぶわっ

13: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 15:45:53.19 ID:8+J5W5iQO
おれ「またしてもいたいけなレディと約束事を増やしてしまった……俺の悪い癖だな」

おっさん「ほえぇ……どうしようどうしよう」オロオロ

おれ「む、反応ありだ!」

キキー!ピタ

おれ「お困りかい」

おっさん「お、おれさん!でもどうして!?」

おれ「俺のカーナビは、いつだってとあるところを指しているのさ」

おっさん「とあるところ……?」

おれ「おっと、聞かないでくれ。
それより、なんでおろおろしてたんだい?」

おっさん「実は――」

おれ「なに?娘の結婚式に行く途中?
車のタイヤがパンクしたって?」

おっさん「はい……」

おれ「しょうがねぇな」

おれ「乗りな」ニコリ

16: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 15:50:22.57 ID:8+J5W5iQO
キキー!ピタ

おれ「着いたぜ」

娘「パパ!」

おっさん「娘!」

婿「お義父さん!」

ダキッ!

娘「でもパパ!なぜ間に合ったの!」

おっさん「それはおれさんが乗せてくれたからだよぅ!
いやぁ、本当に助かったよおれさ……!?」

おっさん「い、いない!」

『――新郎新婦の入場です』

娘「あ、もう行かなきゃ!ほらパパ!」

おっさん「わ、わかったいま行くよ!」

17: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 15:51:37.06 ID:8+J5W5iQO
おれ「フッ……ヴァージンロードを走行した先はゴールじゃない。
始まりに過ぎないんだ。
それは道なき道を切り開くようなもの……それが人の持つ強さだ。
舗装された道しか走れない俺には、眩しいよ。
……幸せに向かってアクセル全開な二人の門出に……俺も杯を傾けようか」

ゴクゴク

おれ「今年のガソリンもいい出来だ」

21: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 15:57:23.19 ID:8+J5W5iQO
おれ「さて、と。今日のパトロールはおしまいだ」

おれ「飯でも食って帰るか」

おれ「着いた……む?なにやら騒がしいな」

店員「ひ、ひぃ!やめてください!」

就活生「うるさい!世の中に……社会に復讐してやる!
へ、へへ!このスイッチを押せばお前らまとめてマジぶっとび!」

ざわ……ざわ……

ワルガキ「ヤバイよ……ヤバイよ……」

女子中学生「ガソリンスタンドで爆弾なんか爆発させたら、大惨事ですよ!」

おっさん「街が吹き飛んじゃうよぉ!」

幼女「こんなとき……こんなとき、おれさんがきてくれたら……!」

ブロロロロ!キキー――

おれ「タクシー業はしてないんだがな」

全員「おれさん!」

23: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 16:01:23.29 ID:8+J5W5iQO
就活生「くっ……てめえがかの有名なおれか!ムカつく面だ」

おれ「いいデザインだろ?」プップー!

就活生「ふざけやがって!大爆発を見舞ってやるぜ!」

おれ「食べ物で遊ぶのは感心しないな」ヤレヤレ

就活生「世の中が悪いんだ……!
就職させてくれない世の中が悪いんだ!!!」

ワルガキ「あ、あいつボタン押す気だぞ!」

おっさん「ふえぇ!!」

24: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 16:04:50.02 ID:8+J5W5iQO
おれ「踏み間違えるなよ、人間」

ブロロロロ!

就活生「く、くるなら来い!
こっちは元々死ぬ気なんだ!」

ブロロロロ!

就活生「ひっ、本気で轢く気――」

ピタ

就活生「あ、あああ……」ガクッ

就活生「生゙ぎだい゙!」

おれ「……分かってるじゃねえか。
無視するなよ、お前の心の信号を」

25: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 16:06:37.49 ID:8+J5W5iQO
ブロロロロ!

パトカー「おれさん!」

若手パトカー「ちょりーす!あんたがかの有名なおれさんすか!wwそいつ連行するんで引き渡しおなしゃっすww」

おれ「すまねぇがちょいと待ってはくれねぇか、若ぇの」

若手パトカー「は?ムリムリwww国家権力嘗めんなww」

パトカー「黙ってろ」

若手パトカー「…っす」

おれ「何年かかってもいい。やり直せよ。
ガソリンなんてなくったって走り続けられる。
それがお前ら人間の力だろ……違うかい?」

就活生「おれ、さん……」

おれ「フッ、リッター30キロの俺から見ても凄いよ、お前らは」

ブロロロロ……

全員「おれさん……」

26: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 16:09:09.70 ID:8+J5W5iQO
事件は解決し、街には再び平和が戻りました。
おれさんはそれからも連日のようにパトロールし、都市を脅かす闇と戦い続けました。
そんなある日――

おれ「事件発生率……今日も0」

おれ「そろそろ頃合いか」

おれ「ここには長居しすぎたな……」

ブロロロロ……ウゥン

ザッ……

幼女「いってしまうのね」

おれ「!……幼女か。子供は寝る時間だぜ」

幼女「ひどい人。なにもいわずにでていくなんて」

おれ「……分かってくれ」

おれ「俺は本当の意味で人と深く繋がれない。ぶつかれない」

幼女「あたち……まつわ。
あなたのその枷が外れるその日まで」

おれ「……俺みたいな軽、忘れてしまうのが君のためだ」

27: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 16:11:40.05 ID:8+J5W5iQO
幼女「ばか……ほんとにばかっ……!」ポロポロ

幼女「忘れられるわけ、ないじゃないのよぉ……!」ポロポロ

おれ「幼女……」

おれ「どうやら、この街で最後に一仕事やりのこしていたみたいだな」

幼女「……?」

おれ「幼女、俺のブレーキランプを見てくれ」

幼女「ぐすっ……いったいなんなのよ……?」

おれ「幼女、俺も楽しかったぜ。
けど、立ち止まるなんてらしくない。お前は走り続けろ――」

おれ「さよならだ」

ピカッ――――

子供「幼女ちゃんボーッとしてどうしたのー?」

幼女「ふえ?なんでもないよ。
ただ、なにか忘れてるような気がして……」

子供「忘れ物?」

幼女「んーん。……でも、大事なものだった気がする……とっても大事なもの……」

30: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 16:16:51.64 ID:8+J5W5iQO
ブゥン…

カーナビ『……よろしかったのですか?』

おれ「あぁ。人の重荷になる車だなんて、笑えないだろ」フッ

カーナビ『罪作りな乗用車ですよ、貴方は』

おれ「ほっとけ」

おれ「さて……北か南か西か東か……」

カーナビ『目的地はどこにします?』

おれ「んなもん、決まってんだろ」

おれ「どこかの誰かのHAPPY ENDへ」

~fin~

38: VIPがお送りします 2013/12/01(日) 16:48:16.85 ID:8+J5W5iQO
見てくれた人ありがとう

またなにか書くわ

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