介護ヘルパー「よくぞ来たな、勇者よ!!」
1: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/04(日) 20:54:13.45 ID:Pouf6ANx0
ヘルパー「…って言いたいんだよね、魔王さん?」
魔王「…」コクリ
勇者「…念の為聞く、その魔王何歳だ?」
ヘルパー「四捨五入して200歳くらいだっけ?」
魔王「…」←指を折り曲げている
ヘルパー「ひゃく、きゅうじゅう…なな!」
魔王「…」コクリ
ヘルパー「そっかー、凄いね魔王さん、私が見ているお客さんで最年長だよ!」
勇者「だろうな!!」
魔王「…」コクリ
勇者「…念の為聞く、その魔王何歳だ?」
ヘルパー「四捨五入して200歳くらいだっけ?」
魔王「…」←指を折り曲げている
ヘルパー「ひゃく、きゅうじゅう…なな!」
魔王「…」コクリ
ヘルパー「そっかー、凄いね魔王さん、私が見ているお客さんで最年長だよ!」
勇者「だろうな!!」
2: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/04(日) 20:54:31.35 ID:Pouf6ANx0
拝啓母上様。
私は幾多の戦いを乗り越え、遂に魔王城に辿り付きました。
数万の魔物を束ねる魔王とはどんな恐ろしい存在か、私は緊張しながら魔王の間に足を踏み入れました。
するとそこに待ち受けていた魔王は、ある意味何よりも恐ろしい佇まいをしていました。
私は幾多の戦いを乗り越え、遂に魔王城に辿り付きました。
数万の魔物を束ねる魔王とはどんな恐ろしい存在か、私は緊張しながら魔王の間に足を踏み入れました。
するとそこに待ち受けていた魔王は、ある意味何よりも恐ろしい佇まいをしていました。
魔王「…」ポー
勇者「あの、ヘルパーさん」
ヘルパー「はい、何でしょう」
勇者「その老人が本当に現役の魔王なんですか」
ヘルパー「はい、間違いないですよ」
勇者「おい魔王!」
魔王「…」ポー
勇者「…もしかして耳が遠いのか?近くに行くぞ!」
ヘルパー「あ、こちらから行きますよ」カラカラ
勇者「魔王が座ってたそれ、玉座じゃなくて車椅子だったんかい!」
3: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/04(日) 20:55:11.33 ID:Pouf6ANx0
勇者「おい魔王!」
魔王「…」ポー
勇者「まーおーうー!!」
魔王「…はぇ?」
勇者「ボケ老人かよ!!」
ヘルパー「こら!お年寄りに暴言を吐くなんて、貴方本当に勇者ですか!」
勇者「勇者と福祉は何の関係もない!」
魔王「は、はえぇ」ブルブル
ヘルパー「あー魔王さん、悲しいんだねー。大丈夫大丈夫、怒ってないよー」
魔王「…」コクリ
ヘルパー「感情コントロールがきかなくなるのも認知症の特徴なんです、気をつけて下さい」
勇者「はい…っておかしい、絶対おかしい」
魔王「…」ポー
勇者「まーおーうー!!」
魔王「…はぇ?」
勇者「ボケ老人かよ!!」
ヘルパー「こら!お年寄りに暴言を吐くなんて、貴方本当に勇者ですか!」
勇者「勇者と福祉は何の関係もない!」
魔王「は、はえぇ」ブルブル
ヘルパー「あー魔王さん、悲しいんだねー。大丈夫大丈夫、怒ってないよー」
魔王「…」コクリ
ヘルパー「感情コントロールがきかなくなるのも認知症の特徴なんです、気をつけて下さい」
勇者「はい…っておかしい、絶対おかしい」
4: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/04(日) 20:55:39.48 ID:Pouf6ANx0
勇者「あの、俺は勇者でその方は魔王ですよね」
ヘルパー「はい」
勇者「でしたら勇者として、魔王を討たないといけないんですが!?」
魔王「ふがー!」
ヘルパー「魔王さん落ち着いてー。はーい深呼吸~」
魔王「すぅー、はぁー」
ヘルパー「興奮させないで下さい、血圧上がったらどうするんですか」
勇者「俺は魔王を倒す為にレベルを80まで上げたんですよ!」
ヘルパー「レベルのことを言うなら、魔王さんの介護度は5ですよ、5!」
勇者「介護度とか言われてもわけわかんないから!」
ヘルパー「それなら貴方の言うレベルもわけわかりませんよ!」
ヘルパー「はい」
勇者「でしたら勇者として、魔王を討たないといけないんですが!?」
魔王「ふがー!」
ヘルパー「魔王さん落ち着いてー。はーい深呼吸~」
魔王「すぅー、はぁー」
ヘルパー「興奮させないで下さい、血圧上がったらどうするんですか」
勇者「俺は魔王を倒す為にレベルを80まで上げたんですよ!」
ヘルパー「レベルのことを言うなら、魔王さんの介護度は5ですよ、5!」
勇者「介護度とか言われてもわけわかんないから!」
ヘルパー「それなら貴方の言うレベルもわけわかりませんよ!」
5: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/04(日) 20:56:07.43 ID:Pouf6ANx0
勇者「あの、魔王が魔物を操って人間達と戦争しようとしているのはわかってます?」
ヘルパー「いくら介護職が掃き溜めと言われていても、それくらいは流石に知っています」
勇者「じゃあ、その魔王が魔王を操っている元凶で間違いないですよね?」
魔王「…」ブンブン
勇者「え、違う?」
ヘルパー「魔王さーん!魔王さんは世界征服するんだよねー?」
魔王「…あぁ~!」
ヘルパー「良かった、思い出したみたいです」
勇者「…忘れてたままの方が良かったな」
ヘルパー「いくら介護職が掃き溜めと言われていても、それくらいは流石に知っています」
勇者「じゃあ、その魔王が魔王を操っている元凶で間違いないですよね?」
魔王「…」ブンブン
勇者「え、違う?」
ヘルパー「魔王さーん!魔王さんは世界征服するんだよねー?」
魔王「…あぁ~!」
ヘルパー「良かった、思い出したみたいです」
勇者「…忘れてたままの方が良かったな」
6: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/04(日) 20:56:33.54 ID:Pouf6ANx0
勇者「とにかく!俺は勇者として魔王を倒す!」
魔王「ふぬぬぅ…」ゴゴゴ
ヘルパー「あ、駄目、魔王さん!」
勇者「来い!魔王…」
魔王「ふぬああああああぁぁぁぁ」
ズゴガガガガガアアアァァァァァン
勇者「」
ヘルパー「あぁ何てこと…発動してしまった、魔王さんの「高血圧波」が」
勇者「え、この魔法高血圧からきてるの!?」
魔王「ふぬぬぅ…」ゴゴゴ
ヘルパー「あ、駄目、魔王さん!」
勇者「来い!魔王…」
魔王「ふぬああああああぁぁぁぁ」
ズゴガガガガガアアアァァァァァン
勇者「」
ヘルパー「あぁ何てこと…発動してしまった、魔王さんの「高血圧波」が」
勇者「え、この魔法高血圧からきてるの!?」
7: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/04(日) 20:57:00.57 ID:Pouf6ANx0
魔王「ふがあああぁぁぁ…」
ぐぁんぐぁんぐぁんぐぁん
勇者「くっマトモに立っていられねぇ…!!」
ヘルパー「156,157…まずい、魔王さんの血圧がどんどん上昇している!!このままじゃ動脈硬化による合併症を引き起こしてしまう!!」
勇者「いやいや、それどころじゃないんですが!?」
魔王「うがあああああああぁぁぁぁぁ!!!」
勇者「!!?」
ぐぁんぐぁんぐぁんぐぁん
勇者「くっマトモに立っていられねぇ…!!」
ヘルパー「156,157…まずい、魔王さんの血圧がどんどん上昇している!!このままじゃ動脈硬化による合併症を引き起こしてしまう!!」
勇者「いやいや、それどころじゃないんですが!?」
魔王「うがあああああああぁぁぁぁぁ!!!」
勇者「!!?」
8: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/04(日) 20:57:26.99 ID:Pouf6ANx0
ヘルパー「魔王さん、はい、お薬あーん」
魔王「」ゴクッ
ヘルパー「あー、血圧上がっちゃったから今日はお風呂入れないねー」
魔王「…」ションボリ
ヘルパー「明日はお風呂入ってあったまろうねー」
魔王「へへぇ」
ヘルパー「それじゃ、今日はゆっくり休もうねー」
魔王「…」コクリ
勇者「」ピクピク
魔王「」ゴクッ
ヘルパー「あー、血圧上がっちゃったから今日はお風呂入れないねー」
魔王「…」ションボリ
ヘルパー「明日はお風呂入ってあったまろうねー」
魔王「へへぇ」
ヘルパー「それじゃ、今日はゆっくり休もうねー」
魔王「…」コクリ
勇者「」ピクピク
9: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/04(日) 20:57:54.61 ID:Pouf6ANx0
こうしてまた1人、若者が高齢化社会の厳しさに潰れたのであった。
高齢者はかつてこの社会を支えてきた。しかし時として、未来ある若者を食い潰すこともある。
若者と高齢者が手を取り合い、共に支え合う社会は実現できるのか。それが高齢化社会の進む、この国への課題である。
王「魔王の要求通り介護保険制度の見直しと介護職員の待遇改善したら魔物との抗争が収まったぞ」
勇者「初めっからそうして下さいよ!!」
終わり
高齢者はかつてこの社会を支えてきた。しかし時として、未来ある若者を食い潰すこともある。
若者と高齢者が手を取り合い、共に支え合う社会は実現できるのか。それが高齢化社会の進む、この国への課題である。
王「魔王の要求通り介護保険制度の見直しと介護職員の待遇改善したら魔物との抗争が収まったぞ」
勇者「初めっからそうして下さいよ!!」
終わり
11: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/04(日) 20:59:05.03 ID:Pouf6ANx0
読んで下さりありがとうございました。