author_0173のSS・WEB小説まとめ一覧
「彼女の全身が石英で出来ていた事」
1: [sage] 2015/02/20(金) 00:01:06.58 ID:EfW8IvJ/0
彼女は二酸化ケイ素の大きなカタマリだった。
つま先から零れる砂は珪砂と呼ばれ、彼女の中でも特に透明な左胸は水晶、頬は希少なばら石英(ローズクォーツ)である。
誰もが肘を机に預けて形態を弄る講義を、一番前で聞いていたのが印象に残っている。
黒い髪の隙間から覗く病気の様な白い肌に一目惚れをする。
食べ物はあまり食べたがらなかったが、水はよく飲んだ。
好んでポカリスエットを飲んでいるのはイオン水だから彼女の身体にはいいのだろうと、専門的な知識もないのに一人で合点した。
聞けば何のことはない、味の好みの問題だった。
彼女はまた、ひどく遊び好きであった。
清流のさらさらと流れる渓谷、美しい夕日を水面にたたえた海、虫の歯車の鳴る森、鬱蒼とした魔物の住む廃墟。
彼女と歩いた道は、ひたひたの足跡が綺麗に反射していた。
彼女の石英としての道しるべを大切に写真に収める。
つま先から零れる砂は珪砂と呼ばれ、彼女の中でも特に透明な左胸は水晶、頬は希少なばら石英(ローズクォーツ)である。
誰もが肘を机に預けて形態を弄る講義を、一番前で聞いていたのが印象に残っている。
黒い髪の隙間から覗く病気の様な白い肌に一目惚れをする。
食べ物はあまり食べたがらなかったが、水はよく飲んだ。
好んでポカリスエットを飲んでいるのはイオン水だから彼女の身体にはいいのだろうと、専門的な知識もないのに一人で合点した。
聞けば何のことはない、味の好みの問題だった。
彼女はまた、ひどく遊び好きであった。
清流のさらさらと流れる渓谷、美しい夕日を水面にたたえた海、虫の歯車の鳴る森、鬱蒼とした魔物の住む廃墟。
彼女と歩いた道は、ひたひたの足跡が綺麗に反射していた。
彼女の石英としての道しるべを大切に写真に収める。
神さま「すっげーいらない能力をあげる」
1: SS速報VIPがお送りします 2015/03/10(火) 21:50:25.74 ID:/eElTH0b0
ステアリング
神さま「君にあげる能力は『階段をつくる力』」
男「ちょ、ちょっと待ってくれ」
神さま「!」
男「いきなり夢の中に現れてこれはどういう事なんだ」
神さま「ああそうだね、事情も何も説明してないとね、やはり理解が追いつかないと言いますか」
男「全く持ってその通りです」
神さま「まぁ事情というかさ、ちょっとしたリサイクルな訳だよ。ホラ、神話とかで神々を創る時にさ、あまりに使えなくて余った超常の力があるんだけどね。ほっといても暴走するかもしれないし、いっそ世界にばらまいてリサイクルしちゃおうって話なんですよ」
男「世界はゴミ捨て場か何かですか」
神さま「だからリサイクルだよ。僕らから見たら要らないけど、けっこう掘り出し物とかあるかもよ?」
男「だからってその、能力? 第一貰ってどうするんだよ」
神さま「そりゃ、戦うんだよ」
男「……は? 階段を創る能力で?」
神さま「そうそう。 ……アレ、君けっこう眠り浅いね。もう説明する時間ないや」
男「おい!」
神さま「バイバイ♪」
神さま「君にあげる能力は『階段をつくる力』」
男「ちょ、ちょっと待ってくれ」
神さま「!」
男「いきなり夢の中に現れてこれはどういう事なんだ」
神さま「ああそうだね、事情も何も説明してないとね、やはり理解が追いつかないと言いますか」
男「全く持ってその通りです」
神さま「まぁ事情というかさ、ちょっとしたリサイクルな訳だよ。ホラ、神話とかで神々を創る時にさ、あまりに使えなくて余った超常の力があるんだけどね。ほっといても暴走するかもしれないし、いっそ世界にばらまいてリサイクルしちゃおうって話なんですよ」
男「世界はゴミ捨て場か何かですか」
神さま「だからリサイクルだよ。僕らから見たら要らないけど、けっこう掘り出し物とかあるかもよ?」
男「だからってその、能力? 第一貰ってどうするんだよ」
神さま「そりゃ、戦うんだよ」
男「……は? 階段を創る能力で?」
神さま「そうそう。 ……アレ、君けっこう眠り浅いね。もう説明する時間ないや」
男「おい!」
神さま「バイバイ♪」
「捨てられないもの、御譲りください」
1: SS速報VIPがお送りします 2016/09/23(金) 07:27:11.64 ID:U8M2Wc0k0
「ホンモノですよ、ですが30円です」
若い女性の怒号と共に、古木の掘っ建て小屋みたいな店から、そんな声が聞こえてきた。
田舎と言ってもビルの数本はにょきにょきと生えている街並みだ。
こんな店あったか? と思いながらも、思わず足を止めた。
入口はすりガラスを張り付けた引き戸だったが、半分開いていて簡単に中を見ることが出来た。
少し覗くと、先ほどまで怒鳴っていた若い女性と、対照的に優しげな表情を浮かべた老婆が、勘定台の向こうにちんまりと座っているのが見えた。
「何ッでこの指輪が30円なの! この通り鑑定書もついてるホンモノよ!」
「ええホンモノですとも、でも30円です」
指輪を翳し、(後ろからなので顔は見えないが)凄まじい迫力で怒る女性に対し、老婆は同じ台詞を繰り返した。
「ウチはそういうお店じゃありませんからねェ」
「訳分かんない事言ってないで今すぐお金に換えて! 今すぐよ! どうせこんなチンケな店なんだからお客も来ないでしょ!」
「いえいえ、お客さんは来てくれますよ。 その指輪はお金に換えられますが、何度も言ってるように30円ですよ」
「~~~~ッ! もういい帰る! ボケてんなら店畳めよ!」
女性は怒りを投げつけるように勘定台を思い切り叩くと、踵を返して早足で出ていった。
すれ違いざまにキッと睨まれたのは、覗いていたことを悟られたせいだろうか。
「あら、今日はお客さんが多いねえ。お入んなさい」
そこで老婆は私に気づいたようだ。
声の言うままに店の中へ入る。
猫が居ました。
1: SS速報VIPがお送りします 2015/06/01(月) 02:31:23.51 ID:36HEwyO90
猫は心臓に病気を持っていました。
綺麗な白い毛並みと、群青色の深い瞳を持った美しい猫でした。
猫は生まれるとすぐに高値で取引されて金持ちの家にもらわれましたが、最初は可愛がっていた家族もすぐに猫に飽きてしまいます。
その上心臓に病気まで見つかってしまいましたから、もう癒えに置いておく理由はありません。
ただでさえ使用人任せだった世話も完全に放棄して、近所で噂にならないように、誰も知らない野原へ捨てたのです。
猫はみすぼらしい箱に入れられ、見た事もない景色に置き去りにされました。
綺麗な白い毛並みと、群青色の深い瞳を持った美しい猫でした。
猫は生まれるとすぐに高値で取引されて金持ちの家にもらわれましたが、最初は可愛がっていた家族もすぐに猫に飽きてしまいます。
その上心臓に病気まで見つかってしまいましたから、もう癒えに置いておく理由はありません。
ただでさえ使用人任せだった世話も完全に放棄して、近所で噂にならないように、誰も知らない野原へ捨てたのです。
猫はみすぼらしい箱に入れられ、見た事もない景色に置き去りにされました。
「囚人番号」
1: SS速報VIPがお送りします 2015/06/07(日) 20:16:08.29 ID:x6uUYver0
最初は何の事やらわからなかった。
刺青を入れた覚えもない。
少し崩れたような真っ黒い数字が、彼の腕で踊っている。
何より不思議な事は、数字が日ごとに変化している事だった。
終電を寝過ごしたら不思議な場所についた
1: SS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:09:15.55 ID:hlPstcEq0
ぼんやりとした頭で外を見ると静かに電車が止まっていた。
振り返って駅名を見ると『風の分岐点』。
こんな地名あったか、と思ってドアの上にくっついている路線図を見ると、なるほど確かにある。
『猫尾っぽ』『狐尾っぽ』『クリーム木星町』……『風の分岐点』。
渋谷がねぇ。